「続古今和歌集」一覧
1918件
| 1 | なにたかき あまのかくやま けふしこそ くもゐにかすめ はるやきぬらむ | 定家 |
| 2 | いかはかり としのかよひち ちかけれは ひとよのほとに ゆきかへるらむ | 清輔 |
| 3 | けさみれは かすみのころも おりかけて しつはたやまに はるはきにけり | 兼実 |
| 4 | あさあけの かすみのころも ほしそめて はるたちなるる あまのかくやま | 土御門院 |
| 5 | あさみとり かすみのころも いつのまに はるきにけりと けさはたつらむ | 為家 |
| 6 | いつくより はるはきぬらむ あまのとの あくるもまたす たつかすみかな | 後嵯峨院 |
| 7 | おほともの みつのはままつ かすむなり はやひのもとに はるやきぬらむ | 宗尊親王 |
| 8 | ひさかたの あまのとあけて いつるひや かみよのはるの はしめなりけむ | 道家 |
| 9 | はるかすみ たちはそむれと みよしのの やまにけふさへ ゆきはふりつつ | 貫之 |
| 10 | かせさむみ またゆききえぬ しからきの とやまかすみて はるはきにけり | 宗尊親王 |
| 11 | いまもなほ ころもてさえて あつさゆみ はるともいはす ゆきはふりつつ | 良実 |
| 12 | おとはかは ゆきけのなみも いはこえて せきのこなたに はるはきにけり | 定家 |
| 13 | こほりゐし みつのしらなみ いはこえて きよたきかはに はるかせそふく | 良経(九条兼実男) |
| 14 | はるかせに いくへのこほり けさとけて よせぬにかへる しかのうらなみ | 後鳥羽院 |
| 15 | おとはかは たきのみなかみ ゆききえて あさひにいつる みつのしらなみ | 道家 |
| 16 | かすかのや またしもかれの はるかせに あをはすくなき をきのやけはら | 順徳院 |
| 17 | みわたせは わかなつむへく なりにけり くるすのをのの をきのやけはら | 長方 |
| 18 | わかなつむ をきのやけはら なほさえて そてにたまるは はるのあはゆき | 忠良 |
| 19 | きえそむる ゆきまもあらは とふひのに はやしたもえの わかなつみてむ | 実雄 |
| 20 | わかなつむ わかころもても しろたへに とふひののへは あはゆきそふる | 為家 |
| 21 | あさみとり かすみのころも はるはきぬ すそののわかな いまやつままし | 家良 |
| 22 | うちむれて わかなつむのの はなかたみ このめもはるの ゆきはたまらす | 家隆 |
| 23 | たかための わかなならねと わかしめし のさはのみつに そてはぬれつつ | 土御門院 |
| 24 | しらゆきの きえあへぬのへの こまつはら ひくてにはるの いろはみえけり | 土御門院 |
| 25 | ねのひして きみさかえぬる ためしには けふのみゆきを よにはのこさむ | 兼盛 |
| 26 | めつらしき きみかねのひの まつをこそ よろつよまての ためしにはひけ | 経実 |
| 27 | ねのひせし ちよのふるみち あととめて むかしをこふる まつもひかなむ | 後嵯峨院 |
| 28 | おほかたの はるのけしきに さそはれて しるへもまたぬ うくひすのこゑ | 後嵯峨院 |
| 29 | ももちとり けさこそきなけ ささたけの おほみやひとに はつねまたれて | 亀山院 |
| 30 | はるやとき くさはもみえぬ ゆきのうちに むすほほれたる うくひすのこゑ | 実氏 |
| 31 | うちきらし たまらぬゆきの はなのえに うつりにけりな うくひすのこゑ | 公経(藤原実宗男) |
| 32 | うめかえに こそのやととふ うくひすの はつねもさむく あはゆきそふる | 道助法親王 |
| 33 | うくひすも はなにまかふる ゆきなれや をりもわかれぬ こゑのきこゆる | 上東門院 |
| 34 | うめかえに ふりかさなれる しらゆきを やへさくはなと おもひけるかな | 花山院 |
| 35 | くれなゐに にほはさりせは ゆききえぬ のきはのうめを いかてしらまし | 基俊 |
| 36 | さわらひは いまはをりにも なりぬらむ たるみのこほり いはそそくなり | 俊成(藤原俊忠男) |
| 37 | はるやとき はなのみやこは なのみして ゆきけのつきは かせもにほはす | 家隆 |
| 38 | かさしをる みわのひはらの ゆふかすみ むかしやとほく へたてきぬらむ | 実氏 |
| 39 | あさみとり かすみにけりな いそのかみ ふるのにみえし みわのかみすき | 隆信 |
| 40 | やまのはに つきのいさよふ ゆふくれは ひはらかうへも かすみわたれり | 赤人 |
| 41 | ここにきて かすかのさとを みわたせは こまつかうへに かすみたなひく | 人麿 |
| 42 | はるきては かすみそうつむ しらゆきの ふりかくしてし みねのまつはら | 宗尊親王 |
| 43 | なみまより ゆふひかかれる たかさこの まつのうははは かすまさりけり | 順徳院 |
| 44 | みつしほに かくれぬいその まつのはも みらくすくなく かすむはるかな | 定家 |
| 45 | しほかまの うらのひかたの あけほのに かすみにのこる うきしまのまつ | 後鳥羽院 |
| 46 | こころあらむ ひとのためとや かすむらむ なにはのみつの はるのあけほの | 後鳥羽院 |
| 47 | みすはまた くやしからまし みつのえの うらしまかすむ はるのあけほの | 後嵯峨院 |
| 48 | はるのよの あけのそほふね ほのほのと いくやまもとを かすみきぬらむ | 良平 |
| 49 | あかしかた ゑしまをかけて みわたせは かすみのうへも おきつしらなみ | 俊成(藤原俊忠男) |
| 50 | さほひめの とこのうらかせ ふきぬらし かすみのそてに かかるしらなみ | 光俊(葉室光親男) |
| 51 | わたつうみの なみのちさとや かすむらむ やかぬしほせに たつけふりかな | 宗尊親王 |
| 52 | けふりたつ あまのとまやも みえぬまて かすみにけりな しほかまのうら | 経信 |
| 53 | なにはえの しほひのかたや かすむらむ あしまにとほき あまのいさりひ | 順徳院 |
| 54 | あしのやの なたのしほやの あまのとを おしあけかたそ はるはさひしき | 順徳院 |
| 55 | はるのよの おほろつきよの なこりとや いつるあさひも なほかすむらむ | 家隆 |
| 56 | はるのきる かすみやそらに かさぬらむ あまつをとめの あまのはころも | 道家 |
| 57 | きみさそふ しるへにそやる うくひすも きゐるのきはの うめのにほひを | 亀山院 |
| 58 | さきなはと またれしうめの はなのかに こぬひとたのむ はるのやまさと | 為氏 |
| 59 | とはるへき やととはなしに うめのはな ひとたのめなる かににほふらむ | 大納言典侍(後嵯峨院) |
| 60 | けふもまた ひともとはてや くれなゐの こそめのうめの はなのさかりを | 宗尊親王 |
| 61 | のもやまも にほひにけりな くれなゐの こそめのうめの はなのしたかせ | 実氏 |
| 62 | たかさとの うめのたちえを すきつらむ おもひのほかに にほふはるかせ | 実氏 |
| 63 | うちわたす をちかたひとは こたへねと にほひそなのる のへのうめかえ | 定家 |
| 64 | はるかせの そらなるほとは うめのはな こすゑのほかも かににほひつつ | 義孝(藤原敦舒男) |
| 65 | おもひいてて みにこさりせは うめのはな たれににほひの かをうつさまし | 伊勢 |
| 66 | わかやとに ふきくるかせの にほへるは かきねのうめの はなやちるらむ | 兼盛 |
| 67 | うめのはな ちりぬるまてに みえさりし ひとくとけさは うくひすそなく | 光孝天皇 |
| 68 | わかやとに さきたるうめを つきかけに よなよなきつつ みむひともかな | 人麿 |
| 69 | やまのはに かすめるつきは かたふきて よふかきまとに にほふうめかえ | 家良 |
| 70 | かすみとも くもともわかぬ ゆふくれに しられぬほとの はるさめそふる | 良経(九条兼実男) |
| 71 | あさみとり そめかけたりと みるまてに はるのやなきは もえいてにけり | 赤人 |
| 72 | ぬれてほす みとりもふかし はるかせに なみよるきしの あをやきのいと | 通方 |
| 73 | ひとかたに なひきにけりな たにかせの ふきあけにたてる あをやきのいと | 宗尊親王 |
| 74 | つゆにたに むすほほれたる あをやきの いととみたれて はるかせそふく | 教定(飛鳥井雅経男) |
| 75 | くもはなほ よものはるかせ ふきはらへ かすみにゆるす おほろつきよそ | 家隆 |
| 76 | うきみには さこそこころの はれさらめ みるかけさへに かすむつきかな | 親子(典侍親子朝臣) |
| 77 | はるはなほ かすむにつけて ふかきよの あはれをみする つきのかけかな | 小宰相(土御門院) |
| 78 | つきかけの かすむはうきを いかにして はるはあはれと おもひそめけむ | 顕朝 |
| 79 | あすかかせ かはおとふけて たをやめの そてにかすめる はるのよのつき | 宗尊親王 |
| 80 | さほひめの かすみのそても たれゆゑに おほろにやとる はるのつきかけ | 家隆 |
| 81 | つきのこる かたやまききす こゑたてて あくるもをしく かすむそらかな | 実氏 |
| 82 | ほのほのと かすめるやまの しののめに つきをのこして かへるかりかね | 家良 |
| 83 | かへりゆく こしちのゆきや さむからむ はるはかすみの ころもかりかね | 讃岐(二条院) |
| 84 | たかなかに とほさかりゆく たまつさの はてはたえぬる はるのかりかね | 家隆 |
| 85 | いまはとて やまとひこゆる かりかねの なみたつゆけき はなのうへかな | 良経(九条兼実男) |
| 86 | まちわふる とやまのはなは さきやらて こころつくしに かかるしらくも | 為家 |
| 87 | あたならぬ いろとおもはは さくらはな まつもこころは のとけからまし | 基平(近衛兼経男) |
| 88 | みわたせは ふもとはかりに さきそめて はなもおくある みよしののやま | 宮内卿(後鳥羽院) |
| 89 | よそにみる かつらきやまの しらくもに かせこそにほへ はなやさくらむ | 民部卿典侍(後堀河院) |
| 90 | さくらはな さきぬるときは かつらきの やまのすかたに かかるしらくも | 家隆 |
| 91 | しらくもや はなよりうへに かかるらむ さくらそたかき かつらきのやま | 順徳院 |
| 92 | かつらきや たかまのやまの はなさかり くものよそなる くもをみるかな | 有家(藤原重家男) |
| 93 | ゆくままに はなのこすゑに なりにけり よそにみえつる みねのしらくも | 清輔 |
| 94 | よしのやま はなよりおくの しらくもや かさなるみねの さくらなるらむ | 雅有 |
| 95 | しらくもの かかれるやまと みえつるは こほれてはなの にほふなりけり | 高遠 |
| 96 | さくらいろの はつはなそめの かりころも きつつやなれむ はるのこのもと | 実氏 |
| 97 | いつくにか はるのこころも ととむへき ゆききにさける やまさくらかな | 長能 |
| 98 | ひにみかく たまきのみやの さくらはな はるのひかりと うゑやおきけむ | 定家 |
| 99 | くももみな うすはなそめに なりにけり さくらにうつる はるのあけほの | 公相 |
| 100 | はることに おもひやられし みよしのの はなはけふこそ やとにさきけれ | 後嵯峨院 |
| 101 | さほひめも やまのさくらや かさすらむ かすみのそての はなにかかれる | 宗尊親王 |
| 102 | たをやめの ころものそてや にほふらむ をりはへかさす はなのしらくも | 教実 |
| 103 | はつせめの みねのさくらの はなかつら そらさへかけて にほふはるかせ | 為家 |
| 104 | やまさくら あくまていろを みつるかな はなちるへくも かせふかぬよに | 兼盛 |
| 105 | ふくかせも をさまれるよの うれしきは はなみるときそ まつおほえける | 後鳥羽院 |
| 106 | かつみても あかぬこころの いろならは うつるはかりや はなにそめまし | 行家(藤原知家男) |
| 107 | くれやすき はるのひかけと おもふこそ はなみてあかぬ こころなりけれ | 経平(衣笠家良男) |
| 108 | みてもなほ しつのをたまき なかきひの くるるもあかぬ やまさくらかな | 為経(甘露寺藤原資経男) |
| 109 | ふくかせの さらぬならひも わすられて ちよともなけく はなのかけかな | 按察(鷹司院) |
| 110 | さかぬまは たれかはとひし わかやとの はなこそひとの なさけなりけれ | 兼実 |
| 111 | けふこすは にはにやあとの いとはれむ とへかしひとの はなのさかりを | 良経(九条兼実男) |
| 112 | めかれせぬ やとのさくらの はなさかり わかこころさへ ちるかたそなき | 後嵯峨院 |
| 113 | ちらぬまの はなのかけにて くらすひは おいのこころも ものおもひもなし | 良実 |
| 114 | はなみても はるのこころの のとけきは おいてよにふる すみかなりけり | 家良 |
| 115 | さくらかり かすみのしたに けふくれぬ ひとよやとかせ はるのやまもり | 定家 |
| 116 | はなのいろの をられぬみつに こすさをの しつくもにほふ うちのかはをさ | 定家 |
| 117 | いのちあれは おほくのはるに あひぬれと ことしはかりの はなはみさりつ | 顕輔 |
| 118 | かへりこぬ むかしをはなに かこちても あはれいくよの はるかへぬらむ | 実氏 |
| 119 | はしたかの すゑののはらの さくらかり しらふにはなの いろをまかへて | 後鳥羽院 |
| 120 | ふるさとの はなにむかしの こととはは いくよのひとの こころしらまし | 成範 |
| 121 | たのまれす はなのこころを おもへはや ちらぬさきより うくひすのなく | 元方 |
| 122 | かつみつつ あかすとおもへは さくらはな ちりなむのちそ かねてこひしき | 貫之 |
| 123 | このさとの さくらをくもと なかめつる みやこそかすむ はるのゆふくれ | 実氏 |
| 124 | なかめても みそふりまさる さくらはな やまとしたかき ゆきにまかへて | 実氏 |
| 125 | よしさらは ちるまてはみし やまさくら はなのさかりを おもかけにして | 為家 |
| 126 | ちきりおきし はなのころしも おもふかな としにまれなる ひとのつらさは | 月花門院 |
| 127 | さきたつる こころをしらて さくらはな たつねぬひとに なりやしぬらむ | 中宮(堀河院) |
| 128 | よしのやま さくらにかかる ゆふかすみ はなもおほろの いろはありけり | 後鳥羽院 |
| 129 | ゆふやみは あなおほつかな つきかけの いてはやはなの いろもまさらむ | 人麿 |
| 130 | やすらはて ねなむものかは やまのはに いさよふつきを はなにまちつつ | 良経(九条兼実男) |
| 131 | さきにほふ はなをひかりに さしそへて このまをいつる はるのよのつき | 道良 |
| 132 | あかすみる はなのこのまを もるつきに おもかけとめよ くものうへひと | 実氏 |
| 133 | ちりかかる はなのかかみの みつのおもに かさねてくもる はるのよのつき | 資平 |
| 134 | いまはとて つきもなこりや をしむらむ はなちるやまの ありあけのそら | 冬忠 |
| 135 | いまはとて はるのありあけに ちるはなや つきにもをしき みねのしらくも | 讃岐(二条院) |
| 136 | いまはまた ゆきとふりつつ かかみやま みしにはかはる はなのかけかな | 知家 |
| 137 | すかのねの なかきひなれと さくらはな ちるこのもとは みしかかりけり | 躬恒 |
| 138 | にはのうへに ふきまふかせの なかりせは ちりつむはなを そらにみましや | 経信 |
| 139 | ふきのほる きそのみさかの たにかせに こすゑもしらぬ はなをみるかな | 長明 |
| 140 | うらむへき かせのやとりを しらねはや ちるをははなの うきになすらむ | 基平(近衛兼経男) |
| 141 | やまさくら われとやあたに さきそめし はなのなたての はるかせそふく | 良実 |
| 142 | さらてたに しつこころなく ちるはなを あかすやかせの なほさそふらむ | 性助法親王 |
| 143 | ちりつもる はなのしらゆき ふきわけて かせこそにはの あとはみせけれ | 良教 |
| 144 | ふきはらふ このしたかせに かつきえて つもらぬにはの はなのゆきかな | 通具 |
| 145 | はるかせに しられぬはなや のこるらむ なほくもかかる をはつせのやま | 丹後(宜秋門院) |
| 146 | もろともに なかむるをりの はなならは ちらすかせをも うらみさらまし | 枇杷皇太后宮 |
| 147 | ゆめのうちも うつろふはなに かせふけは しつこころなき はるのうたたね | 式子内親王 |
| 148 | おもひねの ゆめちににほふ はなをさへ しはしもみせぬ かせのおとかな | 忠良 |
| 149 | かすみつつ はなちるみねの あさほらけ のちにやかせの うさもしられむ | 丹後(宜秋門院) |
| 150 | ちりぬとも いかてかしらむ やまさくら はるのかすみの たちしかくせは | 人麿 |
| 151 | ちるにたに あはましものを さくらはな またぬははなの つらさなりけり | 躬恒 |
| 152 | やまさくら おほふはかりの かひもなし かすみのそては はなもたまらす | 家隆 |
| 153 | やまひめの かすみのそてや しをるらむ はなこきたれて はるさめそふる | 後鳥羽院 |
| 154 | くらきよの あめにたくひて ちるはなを はるのみそれと おもひけるかな | 一条院 |
| 155 | みにかへて おもへはなにか したふへき はなをとめても おなしわかれを | 基家 |
| 156 | をしまれて とまるならひの はなならは さそふあらしに みをやかへまし | 実氏 |
| 157 | こころあらは かせもやひとを うらみまし をるはさくらの をしからぬかは | 俊頼(源経信男) |
| 158 | よしのかは はなにもみつや まさるらむ ちれはおちそふ たきのしらなみ | 成茂 |
| 159 | みなそこに しつめるはなの かけみれは はるはふかくも なりにけるかな | 是則 |
| 160 | はるののに すみれつみにと こしわれそ のをなつかしみ ひとよねにけり | 赤人 |
| 161 | あさちふの をののしはふの ゆふつゆに すみれつむとて ぬるるそてかな | 後嵯峨院 |
| 162 | たまかはの きしのやまふき かけみえて いろなるなみに かはつなくなり | 後鳥羽院 |
| 163 | さきにほふ こしまかさきの やまふきや やそうちひとの かさしなるらむ | 光俊(葉室光親男) |
| 164 | さきにけり なはしろみつに かけみえて たなかのゐとの やまふきのはな | 堀河(待賢門院) |
| 165 | うつろへは はるはかきりの いろそとも いふにまされる やまふきのはな | 家良 |
| 166 | はやせかは なみのかけこす いはきしに こほれてさける やまふきのはな | 為家 |
| 167 | にほふより はるはくれゆく やまふきの はなこそはなの なかにつらけれ | 定家 |
| 168 | はるはたた かすみはかりの やまのはに あかつきかけて つきいつるころ | 定家 |
| 169 | なかめこし やまのすゑのの ゆふかすみ そのいろとなく をしきはるかな | 忠定(藤原兼宗男) |
| 170 | さきにけり ぬれつつをりし ふちのはな いくかもあらぬ はるをしらせて | 宗尊親王 |
| 171 | ぬれつつも をりてかへらむ いしはしる たきついはねに かかるふちなみ | 家隆 |
| 172 | ときはなる まつのなたてに あやなくも かかれるふちの さきてちるかな | 貫之 |
| 173 | けふくれて あすになりなは ふちなみの かけてのみこそ はるをしのはめ | 醍醐天皇 |
| 174 | なにゆゑに はるのわかれは をしきそと とふへきはなの ちりにけるかな | 慈円 |
| 175 | ゆくはるの せきにしとまる ものならは あふさかやまの はなはちらしな | 後三条院 |
| 176 | まれにあふ やよひのつきの かすそへて はるにおくれぬ はなをみるかな | 光俊(葉室光親男) |
| 177 | かそへては のこりいくかと またれつる わかれにはるの なりにけるかな | 光俊(葉室光親男) |
| 178 | なからへて さてもいくたひ をしむらむ みにかへつへき はるのわかれを | 通雅 |
| 179 | あはれとは わかみのみこそ おもひけれ はかなくはるを すくしきぬれは | 千里 |
| 180 | おいぬれは はるのくるるも をしきかな いそくひかすも いのちならすや | 元方 |
| 181 | ひとはいさ おいぬるみには おほかたの はるのわかれも かなしかりけり | 実氏 |
| 182 | きのふまて なれしたもとの はなのかに かへまくをしき なつころもかな | 土御門院 |
| 183 | けふよりは ちよをかさねむ はしめとて まつひとへなる なつころもかな | 良経(九条兼実男) |
| 184 | はなそめの そてさへけふは たちかへて さらにこひしき やまさくらかな | 宗尊親王 |
| 185 | くものゐる とほやまとりの おそさくら こころなかくも のこるいろかな | 宗尊親王 |
| 186 | たつねはや あをはのやまの おそさくら はなののこるか はるのとまるか | 後嵯峨院 |
| 187 | さくらたに ちりのこらはと いひしかと はなみてしもそ はるはこひしき | 俊頼(源経信男) |
| 188 | あかさりし はるのへたてと みるからに かきねもつらき やとのうのはな | 宗尊親王 |
| 189 | さきてこそ へたてもみゆれ やまかつの あるかなきかに かこふうのはな | 家経(一条実経男) |
| 190 | うのはなの まかきはくもの いつくとて あけぬるつきの かけやとすらむ | 為家 |
| 191 | をとめこか ゆふかみやまの たまかつら けふはあふひを かけやそふらむ | 家隆 |
| 192 | おもひやる かりねののへの あふひくさ きみをこころに かくるけふかな | 定家 |
| 193 | としをへて まつのをやまの あふひこそ いろもかはらぬ かさしなりけれ | 紀伊(祐子内親王家) |
| 194 | なきぬとも ひとにかたらし ほとときす たたしのひねは われにきかせよ | 小弁 |
| 195 | つきよりも まちそかねつる ほとときす みやまをいてむ ほとをしらねは | 公任 |
| 196 | かくはかり まつちのやまの ほとときす こころしらてや よそになくらむ | 村上天皇 |
| 197 | なにゆゑに しのふなるらむ ほとときす こゑたてぬねは くるしきものを | 花山院 |
| 198 | みにしらは はつねきかせよ ほとときす さつきをまつも くるしかるらむ | 後嵯峨院 |
| 199 | うくひすの ふるすのたけの ほとときす よをかそへてや さつきまつらむ | 教実 |
| 200 | ほとときす なれよなにとて なくこゑの さつきまつまは つれなかるらむ | 具氏 |
| 201 | たのめぬを われのみまちて ほとときす つれなきものと いひやなすへき | 家良 |
| 202 | まちわひぬ いかなるさとの ねさめにか やまほとときす はつねなくらむ | 忠家(藤原教実男) |
| 203 | ほとときす みわのかみすき すきやらて とふへきものと たれをまつらむ | 通光 |
| 204 | ほとときす まつゆふくれの むらさめは きなかぬさきに そてぬらしけり | 俊成(藤原俊忠男) |
| 205 | まちあかす やとにはなかて ほとときす くもゐなからも すきぬなるかな | 瑒子内親王 |
| 206 | きかましや やまほとときす ひとこゑも まてとたのむる ひとなかりせは | 小左近 |
| 207 | ほとときす よふかきこゑは つきまつと おきていをねぬ ひとそききける | 躬恒 |
| 208 | ほとときす まつところには おともせて いつれのさとの つきになくらむ | 貫之 |
| 209 | まちわふる やとともしらす ほとときす くものいつくの つきになくらむ | 月花門院 |
| 210 | ひとこゑを あかすもつきに なきすてて あまのとわたる ほとときすかな | 宗尊親王 |
| 211 | ゆきやらて くらせるやまの ほとときす いまひとこゑは つきになくなり | 宗尊親王 |
| 212 | あしひきの やへやまこえて ほとときす うのはなかくれ なきわたるなり | 赤人 |
| 213 | わかことく ものおもふときや ほとときす みをうのはなの かけになくらむ | 敦忠 |
| 214 | うのはなの かけなかりせは ほとときす そらにやけふの はつねなかまし | 後鳥羽院 |
| 215 | かみやまに ゆふかけてなく ほとときす しひしはかくれ しはしかたらへ | 後鳥羽院 |
| 216 | さかきとり しめゆふもりの ほとときす うつきをかけて しのひねそなく | 為氏 |
| 217 | いまはまた ねにあらはれぬ ほとときす なみこすうらの まつとせしまに | 為家 |
| 218 | ひとよりも まつきけとてや ほとときす わかしめしのの かたになくらむ | 行家(藤原知家男) |
| 219 | ほとときす なくひとこゑも あけやらす なほよをのこす おいのねさめに | 為家 |
| 220 | かはらすと ひとにかたらむ ほとときす むかしのこゑは われのみそきく | 実氏 |
| 221 | ふりにける あすかのさとの ほとときす なくねはかりや かはらさるらむ | 兼経 |
| 222 | あさとあけに たちいててきけは ほとときす やまのはみゆる かたになくなり | 信実 |
| 223 | あかてこそ とほさかるなれ ほとときす そをたにのちと たれにちきりて | 光俊(葉室光親男) |
| 224 | またきかぬ ひとのためには ほとときす いくたひなくも はつねなりけり | 寂身 |
| 225 | くさのなに わすれやしぬる ほとときす さつきもとはぬ すみよしのさと | 国平 |
| 226 | さとわかす なけやさつきの ほとときす しのひしころは うらみやはせし | 小宰相(土御門院) |
| 227 | ほとときす しのひしころの ひとこゑを いまはさつきと なきやふりなむ | 雅忠 |
| 228 | かきりなき なみたとみせて ほとときす おのかさつきの あめになくなり | 蓮生法師 |
| 229 | みかくれて おふるさつきの あやめくさ なかきためしに ひとはひかなむ | 貫之 |
| 230 | たまもかる いけのみきはの あやめくさ ひくへきほとに なりにけるかな | 堀河院 |
| 231 | みのうきに ひけるあやめの あちきなく ひとのそてまて ねをやかくへき | 和泉式部 |
| 232 | あやめおふる ぬまのいはかき かきくもり さもさみたるる きのふけふかな | 土御門院 |
| 233 | をやまたに まかするみつの あさみこそ そてはひつらめ さなへとるとて | 弁内侍(後深草院) |
| 234 | くれかかる やまたのたこの ぬれころも ほさてやあすも さなへとるへき | 隆親(藤原隆衡男) |
| 235 | ときすきは さなへもいたく おいぬへし あめにもたこは さはらさらなむ | 貫之 |
| 236 | けさたにも よをこめてとれ せりかはや たけたのさなへ ふしたちにけり | 読人不知 |
| 237 | さみたれは たなゐにもりし ささみつの あせこすまてに なりにけるかな | 崇徳院 |
| 238 | なつかりの あしのまろやの けふりたに たつそらもなき さみたれのころ | 教実 |
| 239 | さみたれに みつのみなかみ すみやらて さらすかひなき ぬのひきのたき | 行能 |
| 240 | たまほこや かよふたたちも かはとみて わたらぬなかの さみたれのころ | 定家 |
| 241 | おもひかは いかなるときの さみたれに せかてもみつの ふちとなるらむ | 少将(藻璧門院) |
| 242 | さみたれに みかさまさりて うきぬれは さしてそわたる さののふなはし | 祐盛 |
| 243 | さみたれの つきてしふれは あすかかは おなしふちにて かはるせもなし | 雅成親王 |
| 244 | なかなかに しほくみたゆむ あまひとの そてやほすらむ さみたれのころ | 家隆 |
| 245 | さみたれは はれゆくそらの ほとときす おのかなくねは をやみたにすな | 家隆 |
| 246 | たかそての にほひをかせの さそひきて はなたちはなに うつしそめけむ | 土御門院 |
| 247 | むかしをは はなたちはなに しのひてむ ゆくすゑをしる そてのかもかな | 土御門院 |
| 248 | のきちかき はなたちはなの にほひきて ねぬよのゆめは むかしなりけり | 寂蓮 |
| 249 | にほひくる はなたちはなの そてのかに なみたつゆけき うたたねのゆめ | 俊成(藤原俊忠男) |
| 250 | たをりつる はなたちはなに かをしめて わかたまくらに をしきそてかな | 讃岐(二条院) |
| 251 | たかそての なみたなるらむ ふるさとの はなたちはなに つゆそこほるる | 慈円 |
| 252 | たちはなの はなちるさとの ほとときす かたこひしつつ なかぬひもなし | 旅人 |
| 253 | ともしして こよひもあけぬ たまくしけ ふたむらやまの みねのよこくも | 順徳院 |
| 254 | かたいとを よるよるみねに ともすひに あはすはしかの みをもかへしを | 定家 |
| 255 | はやせかは みをさかのほる かかりひの よとむとすれは あくるしののめ | 通光 |
| 256 | いさりひの うかへるかけと みえつるは なみのよるしる ほたるなりけり | 行成 |
| 257 | やきすてし あとともみえぬ なつくさに いまはたもえて ゆくほたるかな | 宗尊親王 |
| 258 | したもえや くるしかるらむ なくこゑも きこえぬむしの よはのおもひは | 帥(鷹司院) |
| 259 | とふほたる おもひやなほも かくれぬの したはふあしの ねはしのへとも | 行家(藤原知家男) |
| 260 | なつのよは まつひともなき まきのとも あけなからのみ あかしつるかな | 重之女 |
| 261 | つきのさす まきのいたとと しりなから たれあけよとて たたくくひなそ | 中務命婦 |
| 262 | てにむすふ いはゐのしみつ そこみえて かけもにこらぬ なつのよのつき | 実氏 |
| 263 | さらぬたに みるほともなき なつのよを またれていつる つきのかけかな | 覚性法親王 |
| 264 | あかつきの そらとはいはし なつのよは またよひなから ありあけのつき | 公相 |
| 265 | なつやまの ならのはそよき ふくかせに いりひすすしき ひくらしのこゑ | 後鳥羽院 |
| 266 | なくせみの はにおくつゆに あきかけて こかけすすしき ゆふくれのこゑ | 良経(九条兼実男) |
| 267 | まつかせも はけしくなりぬ たかさこの をのへのくもの ゆふたちのそら | 宗尊親王 |
| 268 | かせさわく しのたのもりの ゆふたちに あめをのこして はるるむらくも | 実氏 |
| 269 | かやりひの けふりそのこる ゆふたちの くもはすきぬる をちのやまもと | 知家 |
| 270 | くれかたき なつのひくらし なかむれは そのこととなく ものそかなしき | 業平 |
| 271 | つゆをたに うちもはらはぬ とこなつは たかうきなかの はなにさくらむ | 行家(藤原知家男) |
| 272 | みちのへの はにふのこやの ほとなきに あまりてかかる ゆふかほのはな | 政村 |
| 273 | さきにけり をちかたひとに こととひて なをしりそめし ゆふかほのはな | 小侍従(太皇太后宮) |
| 274 | はしたての くらはしかはに かるくさの なかきひくらし すすむころかな | 後鳥羽院 |
| 275 | そまかはの やまかけくたす いかたしよ いかかうきねの とこはすすしき | 良経/兼実 |
| 276 | このころは なかるるみつを せきいれて こかけすすしき なかかはのやと | 光俊(葉室光親男) |
| 277 | うちなひく しけみかしたの さゆりはの しられぬほとに かよふあきかせ | 定家 |
| 278 | ゆふすすみ みにしむはかり なりにけり あきのけしきの もりのしたかせ | 成実(藤原親実男) |
| 279 | つのくにの なにはのさとの ゆふすすみ あしのしのひに あきかせそふく | 信実 |
| 280 | ゆふされは しののをささを ふくかせの またきにあきの けしきなるかな | 実能 |
| 281 | みそきかは さよふけかたに よるなみの かへるやなつの わかれなるらむ | 長雅 |
| 282 | なつくれて なかるるあさの ゆふはかは たれみなかみに みそきしつらむ | 家隆 |
| 283 | あすからは ゆくせのなみに みそきして はやくそとしの なかはすきぬる | 定家 |
| 284 | ときはいま あきそとおもへは ころもてに ふきくるかせの しるくもあるかな | 家持 |
| 285 | かきりあれは きのふにまさる つゆもなし のきのしのふの あきのはつかせ | 順徳院 |
| 286 | しらつゆの たましくをのの あさちはら かせよりさきに あきはきにけり | 実氏 |
| 287 | つゆむすふ ころもてすすし ねぬるよの みにしられてそ あきはきにける | 公基 |
| 288 | あききては いくかもあらしを ふくかせの みにしむはかり なりにけるかな | 式子内親王 |
| 289 | あききぬと いはぬをしるは ふくかせの みにしむときの こころなりけり | 少将内侍(後深草院) |
| 290 | ふきそめて いくかもあらぬ あきかせに いとはやそての つゆけかるらむ | 実雄 |
| 291 | なみたより かつかつそてに つゆちりて まちしかひとの あきのはつかせ | 慈円 |
| 292 | もしほやく あまのとまやの しるへかは うらみてそふく あきのはつかせ | 定家 |
| 293 | みなとこす ゆふなみすすし いせのうみの をののふるえの あきのはつかせ | 宗尊親王 |
| 294 | うつせみの はにおくつゆも あらはれて うすきたもとに あきかせそふく | 雅経 |
| 295 | いまよりは すすしくなりぬ ひくらしの なくやまかけの あきのゆふかせ | 実朝 |
| 296 | まくすはひ をきのしけらぬ やとならは おそくやあきの かせをきかまし | 公実 |
| 297 | あききては かくこそありけれ ふくかせの おとさへつらき にはのをきはら | 亀山院 |
| 298 | みにしむは いかなるいろの つらさとも しらてかなしき あきのはつかせ | 兵衛佐(東二条院) |
| 299 | ふけはこそ をきのうははも かなしけれ おもへはつらし あきのはつかせ | 政村 |
| 300 | をきのはに そよときこえて ふくかせに おつるなみたや つゆとおくらむ | 安法 |
| 301 | あきかせは さてもやものの かなしきと をきのはならぬ ゆふくれもかな | 家隆 |
| 302 | うらみよと なれるゆふへの けしきかな たのめぬやとの をきのうはかせ | 後鳥羽院 |
| 303 | ゆふされは まかきのをきを ふくかせの めにみぬあきを しるなみたかな | 土御門院 |
| 304 | あきのよの あやしきほとの たそかれに をきふくかせの おとをきくかな | 斎宮女御 |
| 305 | ふきすくる おとはすれとも あきかせの やとるはをきの うははなりけり | 読人不知 |
| 306 | をきのはに ありけるものを はなゆゑに はるもうかりし かせのやとりは | 澄覚法親王 |
| 307 | ふきよれは みにもしみける あきかせを いろなきものと おもひけるかな | 友則 |
| 308 | あまのかは みつかけくさの あきかせに なひくをみれは ときはきにけり | 赤人 |
| 309 | あまのかは やすのかはらに ふねうけて あきかせふくと いもにつけこせ | 赤人 |
| 310 | あまのかは きりたちわたり けふけふと わかまつきみの ふなてすらしも | 房前 |
| 311 | くれをまつ くもゐのほとも おほつかな ふみみまほしき かささきのはし | 上東門院 |
| 312 | かささきの はしのたえまを くもゐにて ゆきあひのそらを なほそうらやむ | 東三条院 |
| 313 | あまのかは くもゐをわたる あきかせに ゆきあひをまつ かささきのはし | 道家 |
| 314 | あまのかは けふのふなては ほともなし ちきりそとほき わたりなりける | 素暹 |
| 315 | かささきの くもゐのはしの とほけれは わたらぬなかに ゆくつきひかな | 知家 |
| 316 | たなはたの こひやつもりて あまのかは まれなるなかの ふちとなるらむ | 宗尊親王 |
| 317 | いかはかり うれしからまし たなはたの まつよのかすの あふよなりせは | 顕房 |
| 318 | あふとても なれすやあらむ たなはたの まとほにきたる あまのはころも | 康資王母 |
| 319 | あまのかは またはつあきの みしかよを なとたなはたの ちきりそめけむ | 匡房 |
| 320 | いくとせの あきのひとよを かさぬらむ おもへはひさし ほしあひのそら | 亀山院 |
| 321 | あまのかは いかになかれて たなはたの としにあふせは かはらさるらむ | 為氏 |
| 322 | あまのかは もみちのはしや あきをへて わたれとたえぬ にしきなるらむ | 澄覚法親王 |
| 323 | たけのはに あさひくいとや たなはたの ひとよのふしの みたれなるらむ | 忠良 |
| 324 | あまのかは あかつきやみの かへるさに またたとらるる あさせしらなみ | 家経(一条実経男) |
| 325 | たちかへる あまのかはなみ ふくかせの みにしむはかり つらきけふかな | 師時 |
| 326 | いとはやも さきにほふらし をやまたの かりほのやとの あきはきのはな | 実経 |
| 327 | あきはきの したはにつきの やとらすは あけてやつゆの かすをしらまし | 俊頼(源経信男) |
| 328 | かりころも みたれにけりな あつさゆみ ひくまののへの はきのあさつゆ | 式子内親王 |
| 329 | きゆるたに をしけにみゆる あきはきの つゆふきおとす こからしのかせ | 大弐三位 |
| 330 | とへかしな にはのあきはき つゆけさの これよりまさる やとはあらしを | 按察(鷹司院) |
| 331 | ひとりぬる とこはよさむの あきかせに したはいろつく にはのはきはら | 実雄 |
| 332 | はきのはな ちらはをしけむ あきのあめ しはしなふりそ いろのつくまて | 人麿 |
| 333 | はなのいろは こなたかなたに みゆれとも あきのこころは ひとつなりけり | 醍醐天皇 |
| 334 | さくはなを みれともあかぬ あきののは ゆきもやられす とまるともなし | 伊勢 |
| 335 | ゆふきりに ほのかにみゆる をみなへし われよりさきに つゆやむすはむ | 具平親王 |
| 336 | なにことを しのふのをかの をみなへし おもひしをれて つゆけかるらむ | 俊恵 |
| 337 | なひくとや ひとはみるらむ をみなへし おもふかたにそ かせもふきける | 読人不知 |
| 338 | をみなへし はなのたもとに つゆおきて たかゆふくれの ちきりまつらむ | 後鳥羽院 |
| 339 | しらつゆの たまくらののの をみなへし たれとかはせる けさのなこりそ | 経平(衣笠家良男) |
| 340 | ゆくみつに かけをうつせる をみなへし したのこころを たれによすらむ | 時文 |
| 341 | うちまねく けしきことなる はなすすき ゆきすきかたく みゆるのへかな | 資綱 |
| 342 | ゆきすきぬ けしきともみす はなすすき まねくにとまる ひとしなけれは | 弁乳母 |
| 343 | はなすすき かせになひきて みたるるは むすひおきてし つゆやとくらむ | 深養父 |
| 344 | ものおもふ ひとのそてには あらねとも つゆけかりけり はなすすきかな | 親子(典侍親子朝臣) |
| 345 | いとすすき こなたかなたに うゑおきて あたなるつゆの たまのをにせむ | 後嵯峨院 |
| 346 | とやまなる ならのはまては はけしくて をはなかすゑに よわるあきかせ | 宮内卿(後鳥羽院) |
| 347 | はなすすき おほかるのへは からころも たもとゆたかに あきかせそふく | 宗尊親王 |
| 348 | ゆめちにそ さくへかりける おきてみむと おもふをまたぬ あさかほのはな | 宗尊親王 |
| 349 | しののめと ちきりてさける あさかほに たかかへるさの なみたおくらむ | 後鳥羽院 |
| 350 | おきてゆく たかかよひちの あさつゆそ くさのたもとも しほるはかりに | 定家 |
| 351 | なほふかく あはれやそはむ ふちはかま ぬしさためたる にほひとおもはは | 小宰相(土御門院) |
| 352 | つゆのぬき あたにおるてふ ふちはかま あきかせまたて たれにかさまし | 土御門院 |
| 353 | ゆふくれは むくらのやとの しらつゆも おもひあれはや そてにおくらむ | 土御門院 |
| 354 | いかにせむ つゆははらはて あきかせの ふくにつけても ぬるるたもとを | 宗尊親王 |
| 355 | ふきはらふ のはらのかせの ゆふくれも そてにとまるは あきのしらつゆ | 実氏 |
| 356 | あきはなほ ゆふへよいかに こころにも しられぬつゆの そてにおくらむ | 顕朝 |
| 357 | このあきは むそちあまりに つゆそおく おいやゆふへの あはれとはなる | 知家 |
| 358 | ゆふまくれ しきたつさはの わすれみつ おもひいつとも そてはぬれなむ | 慈円 |
| 359 | あきよたた なかめすてても いてなまし このさとのみの ゆふへとおもはは | 定家 |
| 360 | いつもかく さひしきものか つのくにの あしやのさとの あきのゆふくれ | 家隆 |
| 361 | おほえすよ いつれのあきの ゆふへより つゆおくものと そてのなりけむ | 後鳥羽院 |
| 362 | みよしのの いはのかけちを ならしても なほうきときか あきのゆふくれ | 後鳥羽院 |
| 363 | そてのつゆを いかにかこたむ こととへと こたへぬそらの あきのゆふくれ | 後鳥羽院 |
| 364 | なかなかに かせもおとせぬ ゆふくれの みやまのあきは こころすみけり | 後鳥羽院 |
| 365 | ゆふくれは いかなるいろの かはれはか むなしきそらに あきのみゆらむ | 教家 |
| 366 | そてのうへに とすれはかかる なみたかな あないひしらす あきのゆふくれ | 宗尊親王 |
| 367 | なにことと こころにものは わかねとも あはれとそおもふ あきのゆふくれ | 良実 |
| 368 | なかむれは すすろにおつる なみたかな いかなるときそ あきのゆふくれ | 実氏 |
| 369 | われなから おもひもわかぬ なみたかな たそかれときの あきのならひは | 後嵯峨院 |
| 370 | いかなれは いつともわかぬ ゆふくれの かせさへあきは かなしかるらむ | 月花門院 |
| 371 | なみたさへ あきのものとは いつなりて くるれはひとの そてぬらすらむ | 小宰相(土御門院) |
| 372 | いまよりも かさねてものの かなしくは たへてもいかか あきのゆふくれ | 重時 |
| 373 | ものをのみ さもおもはする さきのよの むくひやあきの ゆふへなるらむ | 信実 |
| 374 | ふくかせも わきてみにしむ ときそとは たかならはしの あきのゆふくれ | 公雄 |
| 375 | さひしさは いつくもおなし ことわりに おもひなされぬ あきのゆふくれ | 長時 |
| 376 | そのことと おもはてものの かなしきや あきのゆふへの ならひなるらむ | 経平(衣笠家良男) |
| 377 | なくむしの こゑのいろには みえねとも うきはみにしむ あきのゆふくれ | 少将(藻璧門院) |
| 378 | あきはこれ いかなるときそ われならぬ のはらのむしも つゆになくなり | 俊成(藤原俊忠男) |
| 379 | つゆになく をはなかもとの きりきりす たかたまくらの なみたそふらむ | 宗尊親王 |
| 380 | あさちふの つゆふきむすふ こからしに みたれてもなく むしのこゑかな | 但馬(規子内親王家) |
| 381 | ゆふされは つゆふきおとす あきかせに はすゑかたよる をののしのはら | 家良 |
| 382 | さとのあまの たくものけふり こころせよ つきのてしほの そらはれにけり | 後鳥羽院 |
| 383 | いてぬまの やまのあなたへ おもひこす こころやさきに つきをみるらむ | 頼政 |
| 384 | おほそらの くもものこさす ふきなして かせもつきまつ けしきなるかな | 後嵯峨院 |
| 385 | みしひとの たのめてふけし よひよひの つらさににたる やまのはのつき | 知家 |
| 386 | たれしかも くもゐはるかに とよくにの ゆふやまいつる つきをみるらむ | 知家 |
| 387 | つくはねの やまとりのをの ますかかみ かけていてたる あきのよのつき | 家隆 |
| 388 | たちのほる かはせのきりや はれぬらむ まきのをやまを いつるつきかけ | 実氏 |
| 389 | いつくより ゆきてはかへる つきなれは よなよなおなし やまをいつらむ | 光俊(葉室光親男) |
| 390 | あなしふく ゆつきかたけに くもきえて ひはらのうへに つきわたるみゆ | 基家 |
| 391 | ふしのねの つきにあらしや はらふらむ かみたにけたぬ けふりなれとも | 後鳥羽院 |
| 392 | これをこそ くものうへとは おもひつれ はるかにつきの すみのほるかな | 崇徳院 |
| 393 | こころあらは ゑしのたくひも たゆむらむ こよひそあきの つきはみるへき | 順徳院 |
| 394 | ささなみや くにつみかみの ますかかみ かけてもすめる みよのつきかな | 道家 |
| 395 | いかなれは すまのせきやを もるつきの あかしのうらに なをととむらむ | 忠良 |
| 396 | きのくにや ゆらのみさきの つききよみ たまよせかくる おきつしらなみ | 師光(源師頼男) |
| 397 | さとのなも ひさしくなりぬ やましろの とはにあひみむ あきのよのつき | 後嵯峨院 |
| 398 | すむつきの かけすさましく ふくるよに いととあきなる をきのうはかせ | 実氏 |
| 399 | おほつかな いかなるむかし さえそめて こよひのつきの なをのこしけむ | 俊頼(源経信男) |
| 400 | みつのおもに かそへしあきの つきみれは そらにもいまそ なかはなりける | 帥(鷹司院) |
| 401 | つきかけを こほりとみてや すきなまし いはもるみつの おとせさりせは | 登蓮 |
| 402 | のとかにも みゆるそらかな くもはれて いることおそき あきのよのつき | 侍従乳母 |
| 403 | おほそらも いけのおもても くもりなく こよひはみちて すめるつきかな | 師実 |
| 404 | こよひわれ よしののたけの たかねにて くももおよはぬ つきをみるかな | 行意 |
| 405 | くもこそは そらになからめ あつまのの けふりもみえぬ よはのつきかな | 実伊 |
| 406 | さしのほる ゐなのみなとの ゆふしほに ひかりみちたる あきのよのつき | 実氏 |
| 407 | かせわたる ゆらのみなとの ゆふしほに かけさしのほる つきのさやけさ | 政村 |
| 408 | しきたへの とこのうらわの なみまくら やとるやつきの うきねなるらむ | 定円(葉室光俊男) |
| 409 | なにしおふ さかひやいつく あかしかた なほうらとほく すめるつきかな | 信実 |
| 410 | みなせかは こほるもつきの かけなれは なほありてゆく みつのしらなみ | 時直 |
| 411 | みるひとの こころはそらに あくかれて つきのかけのみ すめるやとかな | 経信母 |
| 412 | こころのみ もろこしまても うかれつつ ゆめちにとほき つきのころかな | 定家 |
| 413 | あちきなく なくさめかねつ さらしなや かからぬやまも つきはすむらむ | 後鳥羽院 |
| 414 | かきくもる こころいとふな よはのつき なにゆゑおつる あきのなみたそ | 良経(九条兼実男) |
| 415 | たれとなく こころにひとの またるるや なかむるつきの さそふなるらむ | 慈円 |
| 416 | きみかこぬ なさけのほとも あらはさて しはしはつきに くものかかれな | 定家 |
| 417 | ひとをこそ またすもあらめ くもれとは いかかおもはむ あきのよのつき | 光俊(葉室光親男) |
| 418 | ひととはぬ むくらのやとの つきかけに つゆこそみえね あきかせそふく | 宗尊親王 |
| 419 | そてのうへ まくらのしたに やとりきて いくとせなれぬ あきのよのつき | 定家 |
| 420 | いくめくり なれぬるあきを おもふにも おいてそつきに あはれそひける | 後嵯峨院 |
| 421 | なかめきて さのみつきせぬ なみたとも おいてしりぬる あきのよのつき | 家良 |
| 422 | あきのよの つきこそありけれ よのなかに いまもむかしの かたみはかりは | 為氏 |
| 423 | われならぬ くさはにつきの やとりてや そてよりほかの つゆをしるらむ | 行家(藤原知家男) |
| 424 | つゆしけき はなのえことに やとりけり のはらやつきの すみかなるらむ | 俊成(藤原俊忠男) |
| 425 | くさのはら のもせのつゆに やとかりて そらにいそかぬ つきのかけかな | 為家 |
| 426 | むさしのは つきのいるへき みねもなし をはなかすゑに かかるしらくも | 通方 |
| 427 | ふけゆけは あまつそらなる くももなし こころなかくそ つきはみるへき | 知家 |
| 428 | みるままに あきかせさむし あまのはら とわたるつきの よそふけにける | 為家 |
| 429 | やまのはは きよくみゆれと あまつそら たたよふくもの つきやかくさむ | 人麿 |
| 430 | うはたまの よはふけぬらし たまくしけ ふたかみやまに つきかたふきぬ | 家持 |
| 431 | なかきよは いつのひとまに ふけぬらむ めかれぬつきそ にしになりゆく | 公相 |
| 432 | わきてなほ ふけゆくかけの さやけきは にしこそあきと つきやすむらむ | 資平 |
| 433 | ありあけの そらにそにたる やまのはに いりかかりぬる つきのおもかけ | 後嵯峨院 |
| 434 | つきのいる こすゑはたかく あらはれて かはきりふかき をちのやまもと | 雅成親王 |
| 435 | あききりの あさたつやまに つまこめて またよふかしと しかのなくらむ | 為家 |
| 436 | ねられすや つまをこふらし しめのゆき むらさきのゆき しかそなくなる | 後嵯峨院 |
| 437 | よさむなる ほやのすすきの あきかせに そよさそしかも つまをこふらむ | 実経 |
| 438 | しのひかね つまやこふらむ さをしかの なみたもあまる をののしのはら | 基平(近衛兼経男) |
| 439 | ややさむき をののあさちの あきかせに いつよりしかの なきはしめけむ | 資季 |
| 440 | いろかはる のはらのこはき たかあきに あらぬものゆゑ しかのなくらむ | 為氏 |
| 441 | あはてこし つまをこふとや あきののに ささわけてなく さをしかのこゑ | 弁内侍(後深草院) |
| 442 | つれもなき つまをやたのむ あきかせの みにさむきよは しかもなくなり | 小宰相(土御門院) |
| 443 | あきはきに みたるるつゆは なくしかの こゑよりおつる なみたなりけり | 貫之 |
| 444 | みやきのに しからむはきや ちりぬらむ あらはれてなく さをしかのこゑ | 順徳院 |
| 445 | ゆふされは をくらのやまに なくしかの こよひはなかす いねにけらしも | 舒明天皇 |
| 446 | このころの あきのあさけの きりかくれ つまよふしかの こゑのさやけさ | 人麿 |
| 447 | あまのかは あきのひとよの ちきりたに かたのにしかの ねをやなくらむ | 家隆 |
| 448 | やまさとは あきのねさめそ あはれなる そこともしらぬ しかのなくねに | 後白河院 |
| 449 | ともしせし はやましけやま しのひきて あきにはたへぬ さをしかのこゑ | 雅経 |
| 450 | をくらやま あきはならひと なくしかを いつともわかぬ なみたにそきく | 為家 |
| 451 | たれきけと こゑたかさこに さをしかの なかなかしよを ひとりなくらむ | 友則 |
| 452 | みかさやま つきさしのほる そらはれて みねよりたかき さをしかのこゑ | 道家 |
| 453 | をしかなく はやまのかけの ふかけれは あらしまつまの つきそすくなき | 定家 |
| 454 | われのみと こゑにもしかの たつるかな つきはひかりに みせぬあきかは | 定家 |
| 455 | つきかけに しかのねきこゆ たかさこの をのへのはきの はなやちるらむ | 兼盛 |
| 456 | あきのたの おしねいろつく いまよりや ねられぬいほの よさむなるらむ | 雅成親王 |
| 457 | ひたはへて もるしめなはの たわむまて あきかせそふく をやまたのいほ | 経信 |
| 458 | あしひきの やまたのいねの かたよりに つゆこきたれて あきかせそふく | 行念 |
| 459 | しらつゆの おくてのおしね うちなひき たなかのゐとに あきかせそふく | 実氏 |
| 460 | あききぬと くもゐのかりの こゑすなり こはきかもとや つゆけかるらむ | 権中納言(大宮院) |
| 461 | はつかりの こゑにつけてや ひさかたの そらのあきをは ひとのしるらむ | 貫之 |
| 462 | あはれとも しらてやかりの すきつらむ ねさめにおつる おいのなみたを | 基家 |
| 463 | かりかねの きこゆるそらや あけぬらむ まくらにうすき まとのつきかけ | 家隆 |
| 464 | ふかくさや たかふるさとと しらねとも むかしわすれす ころもうつなり | 土御門院 |
| 465 | なかきよの あかつきかたの こからしに ねさめもしるく うつころもかな | 実氏 |
| 466 | うらかせや よさむなるらむ まつしまや あまのとまやに ころもうつなり | 通親 |
| 467 | こぬひとを まつよつもりの うらかせに とほさとをのは ころもうつなり | 具親 |
| 468 | まとほにて おともきこゆる すまのあまの しほやきころも うちすさふらし | 隆博 |
| 469 | まはきちる とほさとをのの あきかせに はなすりころも いまやうつらむ | 宗尊親王 |
| 470 | たかためと しらぬきぬたの おとにさへ なみたうちそふ よそのころもて | 静仁法親王 |
| 471 | さらてたに みにしむよはの あきかせに いかなるいろの ころもうつらむ | 少将(藻璧門院) |
| 472 | いまよりは みにしむものと あきかせの ふくにつけてや ころもうつらむ | 成実(藤原親実男) |
| 473 | やまひこの こたふるやとの さよころも わかうつおとや ほかにきくらむ | 後嵯峨院 |
| 474 | あきかせは いたらぬそても なきものを たかさとよりか ころもうつらむ | 順徳院 |
| 475 | さらしなや よわたるつきの さとひとも なくさめかねて ころもうつなり | 順徳院 |
| 476 | ひさかたの かつらのさとの さよころも をりはへつきの いろにうつなり | 定家 |
| 477 | あかしかた むかしのあとを たつねきて こよひもつきに そてぬらしつる | 為家 |
| 478 | かめのをの たきつかはなみ たまちりて ちよのかすみる あきのよのつき | 通成 |
| 479 | あきやまの よものくさきや しをるらむ つきはいろそふ あらしなれとも | 順徳院 |
| 480 | さをしかの いるののすすき しもかれて たまくらさむき あきのよのつき | 素暹 |
| 481 | かつらきや とよらのてらの あきのつき にしになるまて かけをこそみれ | 具氏 |
| 482 | なかきよも あかすそみつる ひさかたの あまのとわたる ありあけのつき | 後鳥羽院 |
| 483 | みかつきの ありあけのかけに かはるまて あきのいくよを なかめきぬらむ | 良経(九条兼実男) |
| 484 | ありあけの つきはたもとに なかれつつ かなしきころの むしのこゑかな | 赤染衛門 |
| 485 | きけはなほ なきこそまされ つきかけの ふくるやむしの うらみなるらむ | 秀茂 |
| 486 | むしのねも いかにうらみて まくすはふ をののあさちの いろかはりゆく | 雅経 |
| 487 | むしのねも ほのかになりぬ はなすすき あきのすゑはに しもやおくらむ | 実朝 |
| 488 | うらかれて したはいろつく あきはきの つゆちるかせに うつらなくなり | 俊成女 |
| 489 | ふくかせも さそさむからし うつらなく かちののをのの あきのゆふくれ | 実経 |
| 490 | ふかくさの やまのすそのの あさちふに ゆふかせさむみ うつらなくなり | 寂超 |
| 491 | ふかくさや たけのはやまの ゆふきりに ひとこそみえね うつらなくなり | 家隆 |
| 492 | あきののに たひねせよとや ゆふきりの ゆくへきかたを たちへたつらむ | 後三条院 |
| 493 | すまのあまの もしほのけふり たちそひて ゆくかたしらぬ せきのゆふきり | 月花門院 |
| 494 | あききりの たえまたえまを なかむれは そらにうきたる つきそなかるる | 淑景舎女御 |
| 495 | たれをかも こころもうきて かはきりの そらにまつらむ うちのはしひめ | 後嵯峨院 |
| 496 | あけぬとも えこそおもはね かはきりの けさもをくらの やまのふもとは | 実経 |
| 497 | いととまた よをなかつきの なにたてて あくるもしらぬ やまのあききり | 知家 |
| 498 | ゆきてみぬ ひとのためにと おもはすは たれかをらまし にはのしらきく | 宇多天皇 |
| 499 | はつしもと ひとついろには みゆれとも かこそしるけれ しらきくのはな | 俊蔭/後蔭 |
| 500 | ゆふくれに かせのふかすは きくのはな にほふまかきを いかてしらまし | 白河院 |
| 501 | よそにゆく あきのひかすは うつろへと またしもうとき にはのしらきく | 土御門院 |
| 502 | いまよりや とやまのいろも かはるらむ あきかせさむし しからきのさと | 宗尊親王 |
| 503 | あきのいろを いかにまちみむ ときはやま しくれもつゆも そめしとおもへは | 公朝 |
| 504 | このさとは いつしくれけむ をくらやま ほかにいろみぬ みねのもみちは | 家良 |
| 505 | たつたひめ しくれぬさきの はつしほは なににそめたる みねのもみちそ | 基雅 |
| 506 | こゑたてて しかそなくなる かみなひの いはせのもりは もみちすらしも | 為氏 |
| 507 | いまよりの しくれもつゆも いかならむ うつろひそめし かみなひのもり | 実氏 |
| 508 | きのふけふ しくるとみゆる むらくもの かかれるやまは もみちしぬらし | 実氏 |
| 509 | しくれぬと みゆるそらかな かりなきて いろつくやまの あきのむらくも | 宗尊親王 |
| 510 | くちなしの ひとしほそめの うすもみち いはてのやまは さそしくれけむ | 為家 |
| 511 | ほかよりは しくれもいかか そめさらむ わかうゑてみる やまのもみちは | 後嵯峨院 |
| 512 | はつしくれ やまのこのまを もりそめて こころつくしの したもみちかな | 資平 |
| 513 | をくらやま いまひとたひも しくれなは みゆきまつまの いろやまさらむ | 光俊(藤原知家男) |
| 514 | こもりえの はつせのやまは いろつきぬ しくれのあめは ふりにけらしも | 坂上郎女 |
| 515 | かすかのに しくれふるみゆ あすよりは もみちかささむ たかまとのやま | 真楯 |
| 516 | くもとなり あめとなりてや たつたひめ あきのもみちの いろをそむらむ | 俊成(藤原俊忠男) |
| 517 | ははそはら しくるるかすの つもれはや みるたひことに いろかはるらむ | 白河院 |
| 518 | みるままに ならのはかしは もみちして さほのわたりの やまそしくるる | 信実 |
| 519 | みるままに うつろひにけり しくれゆく けしきのもりの あきのもみちは | 教良 |
| 520 | あさなあさな しくれてみゆる こすゑこそ とやまのまつの たえまなりけれ | 経平(衣笠家良男) |
| 521 | あきのいろに しくれぬまつも なかりけり はふきあまたの かつらきのやま | 公経(藤原実宗男) |
| 522 | しくるれと よそにのみきく あきのいろを まつにかけたる つたのもみちは | 俊成女 |
| 523 | そめてけり まなくときなく つゆしもの かさなるやまの みねのもみちは | 実雄 |
| 524 | したはまて つゆもしくれも そほちつつ もりけるやまは うつろひにけり | 基平(近衛兼経男) |
| 525 | つゆしくれ もらぬみかさの やまのはも あきのもみちの いろはみえけり | 為経(藤原資経男) |
| 526 | そめてけり つゆよりのちも しもとゆふ かつらきやまの あきのもみちは | 通氏 |
| 527 | なほもまた やまちのすゑの しくるれは これよりふかき もみちをやみむ | 帥(鷹司院) |
| 528 | ふりまさる なみたもあめも そほちつつ そてのいろなる あきのやまかな | 定家 |
| 529 | むらしくれ いくしほそめて わたつうみの なきさのもりの もみちしぬらむ | 家良 |
| 530 | いろかへぬ みわのかみすき しくれつる しるしはよその もみちなりけり | 則俊 |
| 531 | あきかせに なひくあさちは しもかれて いろことになる みねのもみちは | 順徳院 |
| 532 | きのふみて けふみぬほとの かせのまに あやなくもろき みねのもみちは | 公経(藤原実宗男) |
| 533 | きのふけふ ちりこそまされ みしひとの こころもとめぬ やとのもみちは | 後嵯峨院 |
| 534 | よもちらし きみかちとせの やとなれは いろそまさらむ あきのもみちは | 光俊(藤原知家男) |
| 535 | うきしつみ ふちせなかるる もみちはは ふかくあさくそ いろもみえける | 伊勢 |
| 536 | をしめとも あきはとまらぬ たつたやま もみちをぬさと そらにたむけて | 読人不知 |
| 537 | たつたかは もみちなかれて ゆくあきの つひによるせや いつくなるらむ | 親子(典侍親子朝臣) |
| 538 | さらてたに なかめわひぬる ゆふくれの あきのかたみと なるそかなしき | 実氏 |
| 539 | ゆくあきの つゆのかたみも とめしとや くさはをかせの ふきみたるらむ | 忠良 |
| 540 | ゆくあきの かたみとたにも ちきりおけ うつろふきくの はなのしらつゆ | 為氏 |
| 541 | あらしふく やまのこのはの そらにのみ さそはれてゆく あきのくれかな | 為氏 |
| 542 | そらもなほ あきのわかれや をしむらむ なみたににたる よはのむらさめ | 宗尊親王 |
| 543 | やまのはは かくこそあきも しくれしか なにをけさより ふゆといふらむ | 忠岑 |
| 544 | いつしかと ふりそふけさの しくれかな つゆもまたひぬ あきのなこりに | 俊成(藤原俊忠男) |
| 545 | おきまよふ しものしたくさ かれそめて きのふはあきと みえぬのへかな | 土御門院 |
| 546 | をしみえぬ なみたのつゆを かたみにて そてにのこれる あきもはかなし | 基家 |
| 547 | あきはいぬ かせにこのはは ちりはてて やまさひしかる ふゆはきにけり | 実朝 |
| 548 | ふゆきぬと いはぬをしるも わかそての なみたにまかふ しくれなりけり | 宗尊親王 |
| 549 | いつもふる そてのしくれに わかねとも そらこそくもれ ふゆやきぬらむ | 具氏 |
| 550 | そてぬらす さよのねさめの はつしくれ おなしまくらに きくひともかな | 実定 |
| 551 | そてぬらす おいそのもりの しくれこそ うきにとしふる なみたなりけれ | 光俊(藤原知家男) |
| 552 | わかそての ほすひまあれや かみなつき たえたえにこそ そらもしくるれ | 読人不知 |
| 553 | たつたやま いまはこのはも かみなつき しくれにそへて ふりまさるなり | 成賢(祝部成茂男) |
| 554 | このはさへ やまめくりする ゆふへかな しくれをおくる みねのあらしに | 越前(嘉陽門院) |
| 555 | ふくかせに ちるたにをしき さほやまの もみちこきたれ しくれさへふる | 家持 |
| 556 | みむろやま しくれこきたれ ふくかせに ぬれなからちる みねのもみちは | 後鳥羽院 |
| 557 | こすゑにて なほそそめまし ゆふしくれ もろともにふる このはならすは | 伊長 |
| 558 | しはのとに あめとしくるる このはかな なみたのほかに そてはぬれねと | 為教 |
| 559 | よひのまは もらぬこのはに そてぬれて しくれになりぬ あかつきのそら | 慈円 |
| 560 | このはちる いくたのもりの はつしくれ あきよりのちを とふひともかな | 後鳥羽院 |
| 561 | おほあらきの もりのもみちは ちりはてて したくさかるる ふゆはきにけり | 顕仲(藤原資仲男) |
| 562 | もみちはの ちるをぬさとや たむくらむ あらしふくなり かみなひのもり | 延秀/延季 |
| 563 | みなひとの あかすのみみる もみちはを さそひにさそふ こからしのかせ | 枇杷皇太后宮 |
| 564 | なかれゆく もみちのいろの ふかけれは たつたのかはは ふちせともなし | 躬恒 |
| 565 | かせわたる かはせのみつの しからみに なほあきかけて のこるもみちは | 為氏 |
| 566 | となせかは おとにはたきと ききつれと みれはもみちの ふちにそありける | 俊房 |
| 567 | あらしふく やまのあなたの もみちはを となせのたきに おとしてそみる | 経信 |
| 568 | おほゐかは もみちのいろは かはるとも ふるきなかれの あとはみゆらむ | 順徳院 |
| 569 | もみちはは いりえのまつに ふりぬれと ちよのみゆきの あとはみえけり | 道家 |
| 570 | にはのおもに たかさそひおく このはとて つもれはかせの またはらふらむ | 忠経 |
| 571 | にはのおもに あきみしはなは しもかれて いろのちくさに ちるこのはかな | 公基 |
| 572 | このはちる やまこそあらめ ひさかたの そらなるつきも ふゆそさひしき | 重時 |
| 573 | このころは つきこそいたく もるやまの したはのこらぬ こからしのかせ | 雅経 |
| 574 | このはさへ ふかくなりゆく やまちかな あらしもおくや はけしかるらむ | 実氏 |
| 575 | ゆふつくひ さすやをかへの こからしに まつをのこして ちるもみちかな | 師継 |
| 576 | もみちちる やまはあさひの いろなから しくれてくたる うちのかはなみ | 公経(藤原実宗男) |
| 577 | そめつくす いろのちしほの はてはまた しくれてともに ふるこのはかな | 公経/家良 |
| 578 | しくるへき けしきをみする やまかせに まつさきたちて ふるこのはかな | 宗尊親王 |
| 579 | ははそちる いはたのをのの こからしに やまちしくれて かかるむらくも | 宗尊親王 |
| 580 | いてやこの しくれおとせぬ あかつきも おいのねさめは そてやぬらさぬ | 俊恵 |
| 581 | さらすとて そてやはかわく かみなつき なにとしくれの ふりそはるらむ | 按察(鷹司院) |
| 582 | みやまへの まきのいたやに もるしくれ なみたならねと そてぬらせとや | 月花門院 |
| 583 | いなふねも とまひきおほへ もかみかは しはしはかりの しくれなりとも | 基家 |
| 584 | すくもたく うらのとまやの あしすたれ そらもすすけて ふるしくれかな | 実氏 |
| 585 | さらにまた おもひありとや しくるらむ むろのやしまの うきくものそら | 信実 |
| 586 | かたしきの ころもてさむく しくれつつ ありあけのやまに かかるむらくも | 後鳥羽院 |
| 587 | しろたへの ころもふきほす こからしの やかてしくるる あまのかくやま | 雅経 |
| 588 | ゆくすゑは いつれのやまに かかるらむ しくれてわたる そらのうきくも | 公親 |
| 589 | かせはやみ うきたるくもの ゆきかへり そらにのみして ふるしくれかな | 宗尊親王 |
| 590 | ふくかせの やとすこのはの したはかり しもおきはてぬ にはのふゆくさ | 定家 |
| 591 | しもうつむ かりたのこのは ふみしたき むれゐるかりも あきをこふらし | 良経(九条兼実男) |
| 592 | いつれそと くさのゆかりも とひわひぬ しもかれはつる むさしののはら | 土御門院 |
| 593 | のへはみな しもかれにけり むらすすき ほのかにみえし さともあらはに | 季保 |
| 594 | ささのはに むすへるしもの とけぬれは もとのつゆとも なりにけるかな | 匡衡 |
| 595 | ひかけさす かれののまくす しもとけて すきにしあきに かへるつゆかな | 宗尊親王 |
| 596 | かれはてむ のちしのへとや しらきくの うつろふふゆは いろまさるらむ | 顕朝 |
| 597 | ちりはてて はななきときの きくなれは うつろふいろの をしくもあるかな | 醍醐天皇 |
| 598 | うつろはむ ときやみわかむ ふゆのよの しももひとつに さけるしらきく | 順 |
| 599 | かれかれに しもおきまよふ ふゆのひの ゆふかけやまの みちのしはくさ | 基家 |
| 600 | あさあらしの やまのかけなる かはのせに なみよるあしの おとのさむけさ | 後嵯峨院 |
| 601 | なにはえや よるみつしほの ほとみえて あしのかれはに のこるあさしも | 後鳥羽院 |
| 602 | おきつしま しほかせいかに さむからし しもおきまよふ つるのけころも | 資季 |
| 603 | ときつかせ さむくふくらし かすゐかた しほひのちとり よはになくなり | 為家 |
| 604 | こゑたてて ちとりなくなり ふるさとの さほのかはかせ よさむなるらし | 為氏 |
| 605 | しほかせも よやさむからし おきつなみ たかしのはまに ちとりなくなり | 雅言 |
| 606 | さゆるよの ねさめのちとり をりからや よそのたもとに なみたそふらむ | 公相 |
| 607 | なくちとり そてのみなとを とひこかし もろこしふねの よるのねさめに | 定家 |
| 608 | ゆふくれの うらもさためす なくちとり いかなるあまの そてぬらすらむ | 土御門院 |
| 609 | なみのよる いそのうきねの さよまくら こととひすてて ゆくちとりかな | 宗尊親王 |
| 610 | しもかれの よこののつつみ かせさえて いりしほとほく ちとりなくなり | 光俊(葉室光親男) |
| 611 | わたのはら ふくれはさゆる しほかせに やそしまかけて ちとりなくなり | 通方 |
| 612 | うたたねと おもひつるまに ふゆのよの ちとりなくまて ふけにけるかな | 小弁 |
| 613 | こころとや ひとりあかしの うらちとり ともまとふへき よはのつきかは | 寂蓮 |
| 614 | はしたてや よさのふけひの さよちとり とほよるおきに さゆるつきかけ | 家良 |
| 615 | いせしまや はるかにつきの かけさえて とほきひかたに ちとりなくなり | 基政(藤原基綱男) |
| 616 | たれかまた なみたのつらら そてさえて しもよのつきに ものおもふらむ | 行家(藤原知家男) |
| 617 | かくれぬと みれはたえまに かけもりて つきもしくるる むらくものそら | 守覚法親王 |
| 618 | ふかきよの くもゐのつきや さえぬらむ しもにわたせる かささきのはし | 順徳院 |
| 619 | みちのくの のたのたまかは みわたせは しほかせこして こほるつきかけ | 順徳院 |
| 620 | くもはらふ ひらやまかせに つきさえて こほりかさぬる まののうらなみ | 経信 |
| 621 | みよしのの たきつはやせに すむつきや ふゆもこほらぬ こほりなるらむ | 素暹 |
| 622 | あしかもの はらひもあへぬ しものうへに くたけてかかる うすこほりかな | 真昭 |
| 623 | よはにふく はまかせさむみ まののうらの いりえのちとり いまそなくなる | 式子内親王 |
| 624 | をしほやま まつかせさむし おほはらの さえののぬまや さえまさるらむ | 中務 |
| 625 | はるはると いそのうらなみ さえくれて こほれるくもの ゆくかたもなし | 実経 |
| 626 | ふゆくれは すさのいりえの こもりぬも かせさむからし つららゐにけり | 顕朝 |
| 627 | ふゆくれは こほりとみつの なをかへて いはもるこゑを なとしのふらむ | 俊成(藤原俊忠男) |
| 628 | ふゆさむみ しのふのやまの たにみつは おとにもたてす さそこほるらむ | 親子(典侍親子朝臣) |
| 629 | このねぬる よのまのかせや さえぬらむ かけひのみつの けさはこほれる | 近衛院 |
| 630 | いけみつを いかにあらしの ふきわけて こほれるほとの こほらさるらむ | 良経(九条兼実男) |
| 631 | さえくれぬ けふふくかせに あすかかは ななせのよとや こほりはてなむ | 道家 |
| 632 | ふちせこそ さためなからめ あすかかは こほりてかはる なみのおとかな | 良教 |
| 633 | あすかかは ゆくせのみつの うすこほり こころありてや よとみそむらむ | 後嵯峨院 |
| 634 | ころもての たなかみかはや こほるらむ みをのやまかせ さえまさるなり | 実雄 |
| 635 | よしのかは たきつかはかせ おとさえて いはとかしはに こほるしらなみ | 為氏 |
| 636 | あしろもり さそさむからし ころもての たなかみかはも こほるしもよに | 為家 |
| 637 | うちわたす こまなつむなり しろたへに こほるまつちの やまかはのみつ | 知家 |
| 638 | ふゆかはの ふちともならて よとめるは いかにせをせく こほりなるらむ | 実伊 |
| 639 | はやきせに めくるみなわの うきなから こほりてとまる やまかはのみつ | 実経 |
| 640 | かちひとの みきはのこほり ふみならし わたれとぬれぬ しかのおほわた | 寂蓮 |
| 641 | けふりたつ おもひもしたや こほるらむ ふしのなるさは おとむせふなり | 後鳥羽院 |
| 642 | さえくらす みやこはゆきも ましらねと やまのはしろき ゆふくれのあめ | 定家 |
| 643 | おしなへて しくれしまては つれなくて あられにおつる かしはきのもり | 土御門院 |
| 644 | はかなくも ひろへはきゆる たまささの うへにみたれて ふるあられかな | 小宰相(土御門院) |
| 645 | ぬれつつも しひてとかりの あつさゆみ すゑのはらのに あられふるらし | 道家 |
| 646 | はしたかの すすのしのはら かりくれて いりひのをかに ききすなくなり | 土御門院 |
| 647 | いりひさす ゆふかりをのの したはれて くさとるとりの あともかくれす | 知家 |
| 648 | はしたかの みよりのつはさ みにそへて なほゆきはらふ うたのみかりは | 家隆 |
| 649 | さののをか こえゆくひとの ころもてに さむきあさけの ゆきはふりつつ | 道家 |
| 650 | ふゆふかく のはなりにけり あふみなる いふきのとやま ゆきふりぬらし | 好忠 |
| 651 | ふりそめて ともまつゆきは まちつけつ やとこそいとと あとたえにけれ | 俊成(藤原俊忠男) |
| 652 | をはつせや みねのときはき ふきしをり あらしにくもる ゆきのやまもと | 定家 |
| 653 | なにはひと あしひたくやに ふるゆきの うつみのこすは けふりなりけり | 守覚法親王 |
| 654 | みくまのや いくへかゆきの つもるらむ あとたにみえす うらのはまゆふ | 季宗(藤原成宗男) |
| 655 | ふるゆきの はれゆくあとの なみのうへに きえのこれるや あまのつりふね | 泰時 |
| 656 | けふいくか ふるのかみすき みえぬまて たむけにあける ゆきのしらゆふ | 隆親(藤原隆衡男) |
| 657 | とふひとも えやはまちみむ みわのやま ゆきにはみちの あらしとおもへは | 弁内侍(後深草院) |
| 658 | とへかしな あともいとはて またれけり またそらはれぬ にはのしらゆき | 隆祐 |
| 659 | やまさとは ゆきのうちこそ さひしけれ さらぬつきひも ひとはとはねと | 尊海 |
| 660 | ふみわくる われよりさきの あとをみは ゆきそやまちの しをりならまし | 行家(藤原知家男) |
| 661 | まつひとの ゆききのをかも しらゆきの あすさへふらは あとやたえなむ | 家隆 |
| 662 | あけぬとて いてつるひとの あともなし たたときのまに つもるしらゆき | 定家 |
| 663 | いととまた かりにもひとの あとたえて つもれはゆきの ふかくさのさと | 為氏 |
| 664 | いそのかみ ふるののみゆき ふみわけて いまそむかしの あともみるへき | 為経(藤原資経男) |
| 665 | あまのはら くもまもみえす ふるゆきの いくかともなき みよしののやま | 家良 |
| 666 | ひさかたの そらもまかひぬ くもかかる たかまのやまに ゆきのふれれは | 実定 |
| 667 | いたつらに けふもかさねて ふりしきぬ けぬかうへなる やまのしらゆき | 信実 |
| 668 | まかきたに やまかとみゆる ゆふくれは をのへにつつく にはのしらゆき | 亀山院 |
| 669 | たつぬへき ともこそなけれ やまかけや ゆきとつきとを ひとりみれとも | 俊成(藤原俊忠男) |
| 670 | つもりゆく おいとなるとも いかてかは ゆきのうへなる つきをみさらむ | 家隆 |
| 671 | さらてたに それかとまかふ やまのはの ありあけのつきに ふれるしらゆき | 為家 |
| 672 | ききなれし あらしのおとは うつもれて ゆきにそなひく みねのまつはら | 家隆 |
| 673 | けさみれは ゆきもつもりの うらなれや はままつかえの なみにつくまて | 慈円 |
| 674 | つきかけの もりこしほとそ つもりける をのへのまつの ゆきのしたみち | 知家 |
| 675 | ここのへの おほうちやまの いかならむ かきりもしらす つもるゆきかな | 公相 |
| 676 | わすれめや くものかよひち たちかへり をとめのそてを つきにみしよは | 後鳥羽院 |
| 677 | くものうへの とよのあかりに つきさえて しもをかさぬる やまあゐのそて | 亀山院 |
| 678 | けふにあふ とよのあかりの ひかけくさ いつれのよより かけはしめけむ | 資季 |
| 679 | しらゆきの ふりにしあとに かはらねは こよひやかみも こころとくらむ | 後嵯峨院 |
| 680 | しらゆきの ふりにしあとを たつねても こよひそいのる みよのちとせを | 兼経 |
| 681 | みちしあれは ふりにしあとに たちかへり またあふさかの せきのしらゆき | 良実 |
| 682 | としのうちの ゆきをきことの はなとみて はるをおそしと きゐるうくひす | 為家 |
| 683 | はるちかく なりぬるふゆの おほそらは はなをかねてそ ゆきはふりける | 貫之 |
| 684 | をのやまや やくすみかまに こりうつむ つまきとともに つもるとしかな | 俊成(藤原俊忠男) |
| 685 | たちかへり としのゆくへを たつぬれは あはれわかみに つもるなりけり | 教長 |
| 686 | あらいその いはたちのほり よるなみの はやくもかへる としのくれかな | 讃岐(二条院) |
| 687 | なからふる いのちはかりの かことにて あまたすきぬる としのくれかな | 定家 |
| 688 | ひととせは ひとよはかりの ここちして やそちあまりを ゆめにみるかな | 俊成(藤原俊忠男) |
| 689 | われたのむ ひとのねかひを てらすとて うきよにのこる みつのともしひ | 稲荷 |
| 690 | われをしれ しやかむにふつの よにいてて さやけきつきの よをてらすとは | 春日明神 |
| 691 | なてしこの うすくもこくも ひくるれは みむひとわきて おもひさためよ | 道真 |
| 692 | たけのよも わかよもともに おいにしを くちはさやにも おけるしもかな | 道真 |
| 693 | まつのいろは にしふくかせや そめつらむ うみのみとりを はつしほにして | 道真 |
| 694 | からふねに のりまもりにと こしかひは ありけるものを ここのとまりに | 新羅明神 |
| 695 | おとにきく きぬかさをかを またみねは まちつつそふる あめのみやには | 雨の宮の神 |
| 696 | われあらは よもきえはてし たかのやま かたきみのりの のりのともしひ | 高野山明神 |
| 697 | おしなへて あめのしたにも ちはやふる かみちのやまの かみはくもらし | 躬恒 |
| 698 | をくるまの にしきたむくる かみちやま まためくりあふ としもきにけり | 後嵯峨院 |
| 699 | みやはしら たつるこよひの あきのつき またいくたひか めくりあふへき | 延季 |
| 700 | かみかせに こころやすくそ まかせつる さくらのみやの はなのさかりは | 西行 |
| 701 | かみかせや いすすのかはの いそのみや とこよのなみの おとそのとけき | 師継 |
| 702 | かみさひて あはれいくよに なりぬらむ なみになれたる あさくまのみや | 越前(嘉陽門院) |
| 703 | ひさかたの つきのかつらの をとこやま さやけきかけは ところからかも | 兼直 |
| 704 | いはしみつ すみけるつきの ひかりにそ むかしのそてを みるここちする | 後鳥羽院 |
| 705 | まつもおひ またもこけむす いはしみつ ゆくすゑとほく つかへまつらむ | 貫之 |
| 706 | いはしみつ こかくれたりし いにしへを おもひいつれは すむこころかな | 後嵯峨院 |
| 707 | つかふへき われをもすつな すめらきの ももよをまもる かみとこそきけ | 頼実(藤原経宗男) |
| 708 | ひさにへて きみきみなれと まもるらし ひとのくにより わかくにのため | 長時 |
| 709 | いさきよき みたらしかはの そこふかく こころをくみて かみはしらなむ | 高遠 |
| 710 | きりふかき かものかはらに まよひしや けふのまつりの はしめなりけむ | 実経 |
| 711 | きみみすや さくらやまふき かさしきて かみのめくみに かかるふちなみ | 隆信 |
| 712 | あめのした うけけるかみの こころこそ けふのみゆきの のちにみえけれ | 少将内侍(後深草院) |
| 713 | かくしこそ かものやしろの ゆふかつら かみをさまれは しももみたれね | 少将内侍(後深草院)/光俊(葉室光親男) |
| 714 | いのりおきし わかかねことの いやましに さかゆくみよは かみそしるらむ | 延成 |
| 715 | をしほやま をのへのまつの あきかせに かみよもふりて すめるつきかけ | 信実 |
| 716 | なにはつに ふゆこもりせし はななれや ひらののまつに ふれるしらゆき | 家隆 |
| 717 | さかきさす しはのかきとの かすかすに なほかけそふる ゆきのしらゆふ | 実氏 |
| 718 | よをいのり きみをいのると かみかきに わかみをしらて としそへにける | 忠成(祝部親成男) |
| 719 | きみをいのる たたひとことの かみのみや ふたこころなき ほとはしるらむ | 氏久 |
| 720 | かすかのに いはふみむろの うめのはな さきつつまてや かへりくるまて | 清行/清河 |
| 721 | そのかみや いのりおきけむ かすかのの おなしみちにも たつねゆくかな | 道長 |
| 722 | かすかやま かみのこころは しらねとも いのりしままに みをたのむかな | 実氏 |
| 723 | かすかやま たむくるしての おとさえて このまのつきに あきかせそふく | 実氏 |
| 724 | かすかのや こそのやよひの はなのかに そめしこころは かみそしるらむ | 順徳院 |
| 725 | ちきりあれや かすかのやまの まつにしも かかりそめける きたのふちなみ | 良経(九条兼実男) |
| 726 | ちはやふる かみよにうゑし はこさきの まつはひさしき しるしなりけり | 行清 |
| 727 | みやゐせし そのはしめにも いそのかみ ふるのやしろと ひとやいひけむ | 経家(六条重家男)/知家(六条重家男) |
| 728 | いかはかり わかのうらかせ みにしみて みやはしめけむ たまつしまひめ | 良経(九条兼実男) |
| 729 | かねてより わかのうらちに あとたれて きみをやまちし たまつしまひめ | 隆信 |
| 730 | にしのうみや あはきのうらの しほちより あらはれいてし すみよしのかみ | 兼直 |
| 731 | みやゐせし としもつもりの うらさひて かみよおほゆる まつのかせかな | 良経(九条兼実男) |
| 732 | かみかきに みそめしまつも おいにけり おもひしらるる としのほとかな | 資長 |
| 733 | みそきせし すゑとたにみよ すみよしの かみよむかしを わすれはてすは | 隆親(藤原隆衡男) |
| 734 | すみよしの かみのみむろの ゆふたすき こころにものの かからすもかな | 親子(典侍親子朝臣) |
| 735 | すみよしの きしのみつかき かみさひて そのよもしらぬ まつのいろかな | 家良 |
| 736 | けふやまた さらにちとせを ちきるらむ むかしにかへる すみよしのまつ | 公相 |
| 737 | かみよかみ なほすみよしと みそなはせ わかよにたつる みやはしらなり | 後嵯峨院 |
| 738 | くまのかは せきりにわたす すきふねの へなみにそての ぬれにけるかな | 後嵯峨院 |
| 739 | みくまのの かみくらやまの いはたたみ のほりはてても なほいのるかな | 実氏 |
| 740 | なちのやま はるかにおつる たきつせに すすくこころの ちりものこらし | 御匣(式乾門院) |
| 741 | よろつよを かさぬるこゑに しるきかな かきりもしらぬ きみかみよとは | 通親 |
| 742 | ここにまた ひかりをわけて やとすかな こしのしらねや ゆきのふるさと | 良経(九条兼実男) |
| 743 | さかきはの ちえたのむらに ゆふしてて とよのあかりの たむけにそとる | 家衡 |
| 744 | ふかみとり いはとのやまの さかきはを さしてそいのる よろつよのため | 経光 |
| 745 | さくらはな おいかくるやと かさしても かみのいかきに みこそふりぬれ | 成茂 |
| 746 | みをつみて てらしをさめよ ますかかみ たかいつはりも くもりあらすな | 顕輔 |
| 747 | たれゆゑに ちりにましはる ひかりそと とははやかみの いかかこたへむ | 土御門院 |
| 748 | わかくには よるひるまもる かみしあれは たのむそやかて いのるなりける | 道家 |
| 749 | あまくたる かみのかこやま いまもしそ きみかためにと みるもかしこき | 為家 |
| 750 | まもれたた よものやしろの あまつかみ きみゆゑにこそ あともたるらめ | 基家 |
| 751 | みつのかは ひとつのうみと なるときは しやりふつのみそ まつわたりける | 伝教 |
| 752 | こののりを たたひとことも とくひとは とものほとけの つかひならすや | 伝教 |
| 753 | わかいのち なかしとききて よろこへる ひとはかならす ほとけとそなる | 伝教 |
| 754 | くもしきて ふるはるさめは わかねとも あきのかきねは おのかいろいろ | 慈覚 |
| 755 | あめふれは にはにうかへる うたかたの ひさしからぬは わかみなりけり | 赤染衛門 |
| 756 | つねならぬ わかみはゆめの おなしくは うからぬことを みるよしもかな | 公任 |
| 757 | よもすから ほとけのみちを もとむれは わかこころにそ たつねいりぬる | 源信 |
| 758 | あかつきの かねのこゑこそ うれしけれ なかきうきよの あけぬとおもへは | 源信 |
| 759 | うしとても おもひほとけは ゆめのよを いとふはひとの さめぬなりけり | 教家 |
| 760 | まことしく ほとけのみちを たつぬれは たたよのつねの こころなりけり | 教家 |
| 761 | こころなき よもののやまの くさきまて われをすつれは わかみなりけり | 教家 |
| 762 | いるつきの かへりてやみは てらすとも うきよにめくる かけはととめし | 定修 |
| 763 | さとりゆく こころのうちに すむつきは いてているへき やまのはもなし | 隆専 |
| 764 | うきかけは やとりもはてし あしかもの さわくいりえの あきのよのつき | 光俊(葉室光親男) |
| 765 | むねのつき こころのみつも よなよなの しつかなるにそ すみはしめける | 土御門院 |
| 766 | なにとかは つきやあらぬと たとるへき わかもとのみを おもひしりなは | 後嵯峨院 |
| 767 | おほそらを むなしとみれは いとゆふの あるにもあらす なきにしもなし | 後嵯峨院 |
| 768 | のりのはな いまもふるえに さきぬとは もとみしひとや おもひいつらむ | 後嵯峨院 |
| 769 | あさことの かかみのうへに みるかけの むなしかりける よにやとるかな | 良経(九条兼実男) |
| 770 | あさちはら かせをまつまの すゑのつゆ つひにはそれも もとのしつくを | 有家(藤原重家男) |
| 771 | かそふれは とをちのさとに おとろへて いそちあまりの としそへにける | 崇徳院 |
| 772 | おなしのに わかぬしくれは そむれとも くさもこのはも いろかはりつつ | 公豪 |
| 773 | なみたをや ころものたまと むすひけむ ありときくより ぬるるそてかな | 寂蓮 |
| 774 | うれしさは そてにつつみし たまそとも けふこそききて みにあまりぬれ | 快雅 |
| 775 | きくひとも はるかにこれを あふけとて そらにそのりを とくこゑはせし | 忠通 |
| 776 | そのかみの ちきりくちねは いくよとも しらぬすかたを そらにみるかな | 公任 |
| 777 | わたつうみの そこのたまもに やとかりて みなみのそらを てらすつきかけ | 定家 |
| 778 | なをたにも きかぬみのりを たもつまて いかてちきりを むすひおきけむ | 崇徳院 |
| 779 | いまそしる こころのそらに すむつきは わしのみやまの おなしたかねと | 俊恵 |
| 780 | わしのやま いかにすみける つきなれは いりてののちも よをてらすらむ | 顕昭 |
| 781 | かりそめに よはのけふりと のほりしや わしのたかねに かへるしらくも | 俊成(藤原俊忠男) |
| 782 | ゆくすゑも なからのはしの くちすして つくるよもなく ひとをわたさむ | 読人不知 |
| 783 | よのすゑの ひともやみにや まとふとて いらしとちかふ ありあけのつき | 忠通 |
| 784 | まちえたる わしのたかねの ほとときす たたふたこゑそ よもにきこえし | 聖憲 |
| 785 | ななそちの はるをかさねて ときそめし のりのころもの はなのしたひも | 隆弁 |
| 786 | わしのやま むかしのはるは とほけれと みのりのはなは なほにほひけり | 時広 |
| 787 | ゆくみつに ととまるいろそ なかりける こころのはなは ちりつもれとも | 良実 |
| 788 | かくしつつ なかきねふりの さめやせむ まつあかつきは はるかなれとも | 良覚 |
| 789 | うけとめし みのりのみつの ゆくすゑに やまのかひある なをなかすかな | 成源 |
| 790 | むそちまて いのちをそおもふ のりのみつ このよにすまは くみやはつると | 家良 |
| 791 | いとふなよ くるしきうみに よるなみも みのりのみつの ほかにやはたつ | 後鳥羽院 |
| 792 | くみてとふ ひとなかりせは いかにして やまゐのみつの そこをしらまし | 崇徳院 |
| 793 | おとにきく たまのいつみの すゑよりや みのりのみつの なかれそめけむ | 宗尊親王 |
| 794 | よををさめ たみをたすくる こころこそ やかてみのりの まことなりけれ | 宗尊親王 |
| 795 | みるからに まつさきたちて おつるかな なみたやのりの しるへなるらむ | 道信 |
| 796 | しのひつつ いくたひかける たまつさも おもふほとには いはれさりけり | 思順 |
| 797 | おとつるる おとになかなか やまさとの さひしさまさる ゆふしくれかな | 思順 |
| 798 | いにしへは ふみみしかとも しらゆきの ふかきみちこそ あともおほえね | 貞慶 |
| 799 | よをすてて すまれぬみこそ かなしけれ かかるみやまの あとをみなから | 実氏 |
| 800 | うらむなよ はなとつきとを なかめても をしむこころは おもひすててき | 良経(九条兼実男) |
| 801 | おもひいれは ひともわかみも よそならす こころのほかの こころなけれは | 道家 |
| 802 | こころとて けにはこころも なきものを さとるはなにの さとるなるらむ | 実伊 |
| 803 | つゆわくる はなすりころも かへりては むなしとみるそ いろはありける | 信生 |
| 804 | みわかはの きよきなかれに すすきてし わかなをここに またやけかさむ | 玄賓 |
| 805 | まことには ほとけのくにも よそならす まよふかきりそ うきよともみる | 後鳥羽院 |
| 806 | ちかひあれは いつつのさはり あらためて むつのみちをや ゆきわかれなむ | 知家 |
| 807 | いにしへに いかなるちきり ありてかは みたにつかふる みとなりにけむ | 永観 |
| 808 | こくらくを ねかふおもひの けふりこそ むかへのくもと やかてなるらめ | 源信 |
| 809 | むらさきの くものむかへを まつはなほ こころのつきの はれぬなりけり | 智海 |
| 810 | うきみをも すてぬちかひを まちわひぬ むかへのくもよ そらたのめすな | 具親 |
| 811 | いろいろの はなのにほひを あさことに よものほとけに たむけつるかな | 証慧 |
| 812 | こころなき うゑきものりを とくなれは はなもさとりを さそひらくらむ | 隆弁 |
| 813 | あたにちる はなみるたにも あるものを たからのうゑき おもひこそやれ | 花山院 |
| 814 | いとふへき よのことわりの くるしさも うきみよりこそ おもひしりぬれ | 道然 |
| 815 | さたかにも うきよのゆめを さとらすは やみのうつつに なほやまよはむ | 澄覚法親王 |
| 816 | なにことも むなしきゆめと きくものを さめぬこころに なけきつるかな | 清輔 |
| 817 | なかきよの ゆめのうちにも まちわひぬ さむるならひの あかつきのそら | 長恵 |
| 818 | けふひける こまはのりこそ かしこけれ ほとけのみちに あふさかのせき | 源信 |
| 819 | わしのやま ふたたひかけの うつりきて さかののつゆに ありあけのつき | 寂蓮 |
| 820 | なにめてし さかののあきの をみなへし これもほたいの たねとしらすや | 後嵯峨院 |
| 821 | ゆめさめて ころものうらを けさみれは たまかけなから まよひけるかな | 慈恵 |
| 822 | ささなみや あふみのをとめ あすよりは みやまかくれて みえすかもあらむ | 顕宗天皇 |
| 823 | ふるさとの もみちみにゆく たひひとは にしきをきてや ひるはこゆらむ | 醍醐天皇 |
| 824 | たひころも いかてたつらむと おもふより とまるそてこそ つゆけかりけれ | 村上天皇 |
| 825 | よろつよを いのりにたつる つかひをは わかれもいたく をしまさらなむ | 円融院 |
| 826 | ゆきめくり あひみまほしき わかれには いのちもともに をしまるるかな | 実資 |
| 827 | きみかよの はるかにみゆる たひなれは いのりてそゆく いきのまつはら | 高遠 |
| 828 | ゆきゆかす きかまほしきは いつかたに ふみさたむらむ あしのうらやま | 定頼 |
| 829 | おくれゐて われやはこひむ はるかすみ たなひくやまは きみしこえなは | 人麿 |
| 830 | あかすして けふのわかれを おもふこそ ゆくにまさりて かなしかりけれ | 凝 |
| 831 | あしからの やみちはみねと わかれなは こころのみこそ ゆきてかへらめ | 躬恒 |
| 832 | ひとひたに みねはこひしき きみかいなは としのよとせを いかてくらさむ | 躬恒 |
| 833 | あやめくさ けふしもなとか ひきわかれ たひねにひとの おもひたつらむ | 能宣 |
| 834 | いろいろに おもふこころを そめてこそ きみかたむけの ぬさとなしつれ | 能宣 |
| 835 | をしみつつ わかるるひとを みるときは わかなみたさへ とまらさりけり | 貫之 |
| 836 | あききりの たちてゆくらむ つゆけさに こころをそへて おもひやるかな | 選子内親王 |
| 837 | よそなから たつあさきりは なになれや のへにたもとは わかれぬものを | 斎宮女御 |
| 838 | くものなみ けふりのなみの たちへたて あひみむことの かたくもあるかな | 一条院皇后宮 |
| 839 | わかれなむ おほつかなさを かるかやの おもひみたるる あきのくれかな | 上総(堀河院中宮) |
| 840 | わすられぬ わかみなりせは わかれちに いのちあらむと いひもしてまし | 重之女 |
| 841 | かへりこむ あすをまつへき わかみかは けふそやかての わかれなりける | 大輔(殷富門院) |
| 842 | かへりこむ またあふさかと たのめとも わかれはとりの ねそなかれける | 為家 |
| 843 | わかるとも たちもはなれし ひとしれす そふるおもひの けふりはかりは | 月花門院 |
| 844 | なれきても わかるるみちの たひころも つゆよりほかに そてやぬれなむ | 長雅 |
| 845 | しらさりき たこのうらなみ そてひちて おいのわかれに かかるものとは | 頼政 |
| 846 | たまきはる いのちもしらす わかれぬる ひとをまつへき みこそおいぬれ | 元輔(清原春光男) |
| 847 | たのめとも けふをかきりの わかれちは しらぬいのちの ほとそはかなき | 顕仲(藤原資仲男) |
| 848 | ゆくすゑを いはひていつる わかれちに こころもなきは なみたなりけり | 孝行 |
| 849 | おもひわひ こころもゆかぬ みちにしも いつちさきたつ なみたなるらむ | 清輔 |
| 850 | なにしかも なをたのみけむ あふさかの せきにてしもそ ひとにわかるる | 隆信 |
| 851 | いとふとは てるひのもとに ききしかと もろこしまては おもはさりしを | 俊頼(源経信男) |
| 852 | もろこしも なほすみうくは かへりこむ わすれなはてそ やへのしほかせ | 家隆 |
| 853 | かたみとも ちきらぬつきの かたふくを そなたのそらと なほしたふかな | 慶政 |
| 854 | とはねとも おなしみやこは たのまれき あはれくもゐを へたてつるかな | 行能 |
| 855 | わかれちに したふこころの おくれねは ひとりゆくとは おもはさらなむ | 伊勢大輔 |
| 856 | わかるれと かけをはそへつ ますかかみ としつきふとも おもひわするな | 成仲 |
| 857 | そへてやる こころのほかに なにのまた なほわかれちを なけくなるらむ | 恵慶 |
| 858 | ありあけの つきにこころは なくさまて めくりあふよを まつそかなしき | 祐盛 |
| 859 | けふやさは へたてはてつる はるかすみ はれぬおもひは いつとわかねと | 匡房 |
| 860 | くものゐる とやまのすゑの ひとつまつ めにかけてゆく みちそはるけき | 定家 |
| 861 | わすれすよ きよみかせきの なみまより かすみてみえし みほのうらまつ | 宗尊親王 |
| 862 | なほしはし みてこそゆかめ たかしやま ふもとにめくる うらのまつはら | 宗尊親王 |
| 863 | しらとりの さきさかやまの まつかけに やとりてゆかむ よもふけにけり | 為氏 |
| 864 | うちまやま あさかせさむし たひにして ころもかすへき いももあらなくに | 人麿 |
| 865 | やまみれは ちかつきぬるを ふるさとに いつともしらて まちやわふらむ | 安麿 |
| 866 | こすゑたに みえすなりゆく ふるさとを そなたとはかり おもひやるかな | 嘉言 |
| 867 | あるときは うきことしけき ふるさとに いそくやなにの こころなるらむ | 貞慶 |
| 868 | ちかつけは のちのささはら あらはれて またすゑかすむ ふたむらのやま | 道済 |
| 869 | ふるさとを みはてぬゆめの かなしきは ふるほともなき さよのなかやま | 泰時 |
| 870 | なみかくる のしまかさきに そてぬれて をはなかたしき ねぬるよはかな | 雅経 |
| 871 | たひひとは たもとすすしく なりにけり せきふきこゆる すまのうらかせ | 伊平 |
| 872 | あふさかを こえたにはてぬ あきかせに すゑこそおもへ しらかはのせき | 行平 |
| 873 | おもひやれ いくたのもりの あきかせに ふるさとこふる よはのねさめを | 寂蓮 |
| 874 | うはたまの くろかみやまを あさこえて このしたつゆに ぬれにけるかな | 修範 |
| 875 | よそにみし をささかうへの しらつゆを たもとにかくる ふたむらのやま | 人麿 |
| 876 | つゆしけき をののしのはら いかにまた あまりてたひの そてぬらすらむ | 頼朝 |
| 877 | かきりあれは われこそそはね たひころも たたむひよりは みをなはなれそ | 少将(藻璧門院) |
| 878 | いせしまや あらきはまへの うらつたひ きのうみかけて みつるつきかな | 良守 |
| 879 | こよひわれ をはすてやまの ふもとにて つきまちわふと たれかしるへき | 覚忠 |
| 880 | いはみのや ゆふこえくれて みわたせは たかつのやまに つきそいさよふ | 為氏 |
| 881 | たかしやま ゆふこえくれて ふもとなる はまなのはしを つきにみるかな | 政村 |
| 882 | むさしのは ゆくすゑちかく なりにけり こよひそみつる やまのはのつき | 知家 |
| 883 | けふはまた くものなみより いてにけり きのふのくれの やまのはのつき | 後鳥羽院 |
| 884 | そてのうへに ぬるるかほなる ひかりかな つきこそたひの こころしりけれ | 俊成女 |
| 885 | ふるさとに おなしくもゐの つきをみは たひのそらをや おもひいつらむ | 堀河(待賢門院) |
| 886 | つきをみは おなしそらとも なくさまて なとふるさとの こひしかるらむ | 光俊(葉室光親男) |
| 887 | みやこをは やまのいくへに へたてきて ふしのすそのの つきをみるらむ | 資季 |
| 888 | みやこおもふ わかこころしれ よはのつき ほとはちさとの やまちこゆとも | 橘 忠幹 |
| 889 | すきつらむ みやこのことも とふへきに くものよそにも わたるつきかな | 顕輔 |
| 890 | たひねする そてにもつゆの おきそめて くさはにあまる つきをみるかな | 行念 |
| 891 | かるもかく ゐなののはらの かりまくら さてもねられぬ つきをみるかな | 隆祐 |
| 892 | ゆふつゆの いほりはつきを あるしにて やとりおくるる のへのたひひと | 定家 |
| 893 | たたくれね せきのとささぬ ころなれは つきにもこえむ あしからのやま | 家隆 |
| 894 | かけうつす そてはうきねの われからに つきそもにすむ むしあけのせと | 雅経 |
| 895 | たひねする いせのはまをき つゆなから むすふまくらに やとるつきかけ | 実朝 |
| 896 | あへしまの やまのいはかね かたしきて さぬるこよひの つきのさやけさ | 為家 |
| 897 | ふねとむる あかしのつきの ありあけに うらよりをちの さをしかのこゑ | 俊成(藤原俊忠男) |
| 898 | たひころも あきのくさきに あらねとも なほやまかせに しをれてそゆく | 雅忠 |
| 899 | ふるさとに わかれしそても いかならむ しらぬたひねの あきのゆふつゆ | 家隆 |
| 900 | くさまくら たひにしあれは あきかせの さむきゆふへに かりなきわたる | 人麿 |
| 901 | あめふらは もみちのかけに やとりつつ たつたのやまに けふはくらさむ | 素性 |
| 902 | もろこしの こすゑもさひし ひのもとの ははそのもみち ちりやしぬらむ | 栄西 |
| 903 | あきもくれ みやこもとほく なりしより そらのしくれそ ひまなかりける | 斎宮女御 |
| 904 | みやこいてて やそせわたりし すすかかは むかしになれと わすれやはする | 御匣(式乾門院) |
| 905 | ころもてに ゆふかせさむし しのはらや しくるるのへに やとはなくして | 行意 |
| 906 | みやこいてし ひかすはふゆに なりにけり しくれてさむき しらかはのせき | 秀茂 |
| 907 | そてぬらす をしまかいその とまりかな まつかせさむみ しくれふるなり | 俊成(藤原俊忠男) |
| 908 | さえくらす さやのなかやま なかなかに これよりふゆの おくもまさらし | 家隆 |
| 909 | ひきむすふ くさはもしもの ふるさとは くるるひことに とほさかりつつ | 定家 |
| 910 | あられふる のちのささはら ふしわひて さらにみやこを ゆめにたにみす | 式子内親王 |
| 911 | ちとりなく そかのかはかせ みにしみて ますけかたしき あかすよはかな | 讃岐(二条院) |
| 912 | あきまては ふしのたかねに みしゆきを わけてそこゆる あしからのせき | 光俊(葉室光親男) |
| 913 | おなしくは こえてやみまし しらかはの せきのあなたの しほかまのうら | 行能 |
| 914 | とりのねに なほやまかけの くらけれは あけてをいてむ あしからのせき | 土御門院 |
| 915 | よをこむる すすのしのやの あさといてに やまかけくらき みねのまつかせ | 行意 |
| 916 | くもかかる いはのかけみち ふみみても あやふきものは このみなりけり | 道慶 |
| 917 | いつとても うきみはあとも さためぬに またうかれぬと なにおもふらむ | 厳雅 |
| 918 | ふみわけし むかしはゆめか うつのやま あとともみえぬ つたのしたみち | 雅経 |
| 919 | ふちしろの みさかをこゆと しろたへの わかころもては ぬれにけるかな | 読人不知 |
| 920 | おしてるや なにはをすきて うちなひく くさかのやまを けふみつるかな | 読人不知 |
| 921 | いはのうへの かたしきころも たたひとへ かさねやせまし みねのしらくも | 基家 |
| 922 | ふもととて みねよりみゆる さともなほ ゆききはとほき やまちなりけり | 教定(飛鳥井雅経男) |
| 923 | くれぬとや われよりさきに とまるらむ いくののすゑに あふひとのなき | 公経(藤原実宗男) |
| 924 | あふひとに とへとかはらぬ おなしなの いくかになりぬ むさしののはら | 下野(後鳥羽院) |
| 925 | またしらぬ のはらのすゑの ゆふつくひ しはしなくれそ いほりさすまて | 信実 |
| 926 | いかにねて ゆめもむすはむ くさまくら あらしふくよの さやのなかやま | 宗尊親王 |
| 927 | うらかせに ものおもふとしは なけれとも なみのよるこそ ねられさりけれ | 高遠 |
| 928 | しほかせに とまのうはふき ひまみえて うきねのまくら あけぬこのよは | 信実 |
| 929 | あまのすむ いそのとまやの たひねには かるもそくさの まくらなりける | 兼実 |
| 930 | たひにして ものこひしきに やまもとの あけのそほふね おきにこくみゆ | 読人不知 |
| 931 | ふなてする おきつしほさゐ しろたへの かしひのわたり なみたかくみゆ | 家持 |
| 932 | かせふけは なみやたたむと まつほとに つたのほそえに うらかくれゐぬ | 赤人 |
| 933 | ゆくすゑの とまりやいつく わたのはら くものなみちに ひはくれにけり | 良実 |
| 934 | ふなひとの とまりはかせの こころにて いそくによらぬ なみのうへかな | 長時 |
| 935 | ふねよはふ ふしのかはとに ひはくれぬ よはにやすきむ うきしまのはら | 基政(藤原基綱男) |
| 936 | さてもわれ いかになるみの うらなれは おもふかたには とほさかるらむ | 四条(安嘉門院) |
| 937 | あはれなり なにとなるみの はてなれは またあくかれて うらつたふらむ | 光俊(葉室光親男) |
| 938 | みやことり なにこととはむ おもふひと ありやなしやは こころこそしれ | 後嵯峨院 |
| 939 | このさとは すみたかはらも ほととほし いかなるとりに みやことはまし | 宗尊親王 |
| 940 | おもふひと ありやととへは みやことり ききもしられぬ ねをのみそなく | 道因/道円 |
| 941 | たをやめの そてふきかへす あすかかせ みやこをとほみ いたつらにふく | 志貴皇子 |
| 942 | みやこなる あれたるやとに ひとりねは たひにまさりて くるしかるへし | 旅人 |
| 943 | みるままに なくさみぬへき うみやまも みやこのほかは ものそかなしき | 俊成(藤原俊忠男) |
| 944 | けふはなほ みやこもちかし あふさかの せきのあなたに しるひともかな | 隆祐 |
| 945 | ふくかせの めにみぬかたを みやことて しのふもかなし ゆふくれのそら | 土御門院 |
| 946 | しらくもを そらなるものと おもひしは またやまこえぬ みやこなりけり | 土御門院 |
| 947 | きみにより おもひならひぬ よのなかの ひとはこれをや こひといふらむ | 業平 |
| 948 | たれにより おもひみたるる こころそと しらぬそひとの つらさなりける | 躬恒 |
| 949 | みぬひとを こころひとつに たつぬれは またしらねとも こひしかりけり | 素性 |
| 950 | かきりなく またみぬひとの こひしきは むかしやふかく ちきりおきけむ | 定家 |
| 951 | けふよりや ひとにこころを おきつなみ かけてもしらぬ そてのうらかせ | 雅経 |
| 952 | いりそむる こひちはすゑや とほからむ かねてくるしき わかこころかな | 兼実 |
| 953 | しらせはや またいろみせぬ たつたやま そてにしくれの そむるこころを | 実氏 |
| 954 | くれなゐの こそめのころも ふりいてて こころのいろを しらせつるかな | 土御門院 |
| 955 | くれなゐの いろにうつりて こひねとも なみたのしるく みするなりけり | 是則 |
| 956 | おもふより たもとはふかく そめてけり こころのいろや なみたなるらむ | 忠良 |
| 957 | やまひめの そめぬころもも くれなゐの いろにいててや いまはこひまし | 民部卿典侍(後堀河院) |
| 958 | ちしほにも あまるはかりや そめてまし いてぬるいろの きみにうつらは | 隆房 |
| 959 | いかにせむ そてよりほかに もるやまの したくさかけて いろにいてなは | 道家 |
| 960 | いろならは いつれかいかに うつるらむ みせはやみはや おもふこころを | 信実 |
| 961 | こひしとも いははおろかに なりぬへし こころをみする ことのはもかな | 俊成(藤原俊忠男) |
| 962 | したにのみ しのふもちすり くるしきは こころのうちの みたれなりけり | 忠良 |
| 963 | したをきの ほにこそあらね つゆはかり もらしそそむる あきのはつかせ | 有家(藤原重家男) |
| 964 | ひとこころ したにつれなき まつそうき うへにはゆきの うちとくれとも | 敏行 |
| 965 | しのふさへ こころにかなふ みならねは せくにつけても もるなみたかな | 公基 |
| 966 | みちのくの しのふのたかの とやこもり かりにもしらし おもふこころは | 宗尊親王 |
| 967 | いはておもふ こころのいろを ひととはは をりてやみせむ やまふきのはな | 宗尊親王 |
| 968 | しらすへき ひまこそなけれ なにはなる こやのしのひに おもふこころを | 宗尊親王 |
| 969 | しのふとも うはのそらにや しられまし こひにけふりの たつよなりせは | 後嵯峨院 |
| 970 | よとともに くゆるもくるし なにたてて あはてのうらの あまのもしほひ | 後鳥羽院 |
| 971 | わかこひは あまのいさりひ よるはもえ ひるはくるしき うらのあみなは | 家良 |
| 972 | いかてかは もろこしふねの ほのかにも わかこふらくを しらせそめまし | 良実 |
| 973 | たちかへり みなとにさわく しらなみの しらしなおなし ひとにこふとも | 為氏 |
| 974 | かけろふの いはかきふちの わきかへり うはなみたたぬ ものをこそおもへ | 公継 |
| 975 | みたるとも ひとしらめやも かけろふの いはかきふちの そこのたまもは | 政村 |
| 976 | やまかはの たきついはふち わきかへり ふかかりけりな そこのこころは | 基政(藤原基綱男) |
| 977 | おくやまの いはかきぬまの いはすとも しれかしひとの ふかきこころを | 真昭 |
| 978 | おもへとも こころにこめて しのふれは そてたにしらぬ なみたなりけり | 顕朝 |
| 979 | つゆけさも ひとこそしらね さをしかの あさふすをのの くさかくれつつ | 知家 |
| 980 | またよひの はやまのほくし もえそめて しかまつとたに いかてしらせむ | 基家 |
| 981 | あきののに あさきりかくれ なくしかの ほのかにのみや ききわたりなむ | 実朝 |
| 982 | ひとしれす おもふこころは あきはきの したはのいろに いてぬへきかな | 兼祐/兼輔 |
| 983 | しるらめや おとにのみきく あきかせの みにしむはかり おもふこころを | 経平(衣笠家良男) |
| 984 | なそやかく しのへはくるし はなすすき いかなるのへに ほにはいつらむ | 伊尹 |
| 985 | またみねは おもかけもなし なにしかも まののかやはら つゆみたるらむ | 顕朝 |
| 986 | おもひねの なみたなそへそ よはのつき くもるといはは ひともこそしれ | 少将(藻璧門院) |
| 987 | われさへに またいつはりに なりにけり まつといひつる つきそかたふく | 後嵯峨院 |
| 988 | つくはやま こかくれおほき つきよりも しけきひとめは もるかたもなし | 基家 |
| 989 | とほやまた もるやひとめの しけけれは ほにこそいてね わすれやはする | 躬恒 |
| 990 | なにとまた まくらのちりを はらふらむ ならひなきみの ねやのあきかせ | 公経(藤原実宗男) |
| 991 | しらせはや そこはかとなき うきくもの そらにみたるる こころまよひを | 行家(藤原知家男) |
| 992 | しられしな たえすこころに かかるとも いはてのやまの みねのしらくも | 内侍(京極院) |
| 993 | しくれつつ みねのあらしに ゆくくもの はやくもそらに こひわたるかな | 家隆 |
| 994 | かみなひの いはせのもりの はつしくれ しのひしいろは あきかせそふく | 順徳院 |
| 995 | こひわひぬ こころのおくの しのふやま つゆもしくれも いろにみせしと | 定家 |
| 996 | しくるるを おさふるそての したもみち みえぬちしほは とふひともなし | 信実 |
| 997 | いはすとも みゆらむそての はつしくれ そむるもみちの いろのふかさは | 基良 |
| 998 | とへかしな まきたつやまの ゆふしくれ いろこそみえね ふかきこころを | 土御門院 |
| 999 | ことのはの いろにいつへき あきそなき いはてとしふる そてのしくれは | 通氏 |
| 1000 | しくれにも つれなきまつは あるものを なみたにたへぬ そてのいろかな | 宗尊親王 |
| 1001 | いろにいてぬ おもひのみこそ ときはやま わかみしくれは ふるかひもなし | 宮内卿(後鳥羽院) |
| 1002 | たくひなく ほさぬそてかな くさもきも つゆふきはらふ かせはあるよに | 親子(典侍親子朝臣) |
| 1003 | ものおもふと われたにしらぬ ゆふくれの そてをもとめて おけるつゆかな | 行能 |
| 1004 | わかそてや まつのかけなる あきくさの うへはつれなき いろにいてなむ | 順徳院 |
| 1005 | かれねたた のきはのくさよ なかなかに そのなにつけて ひともこそしれ | 光俊(葉室光親男) |
| 1006 | ひとしれす しのふのくさに おくつゆの みたれてのみや おもひきえなむ | 公相 |
| 1007 | とはぬをも たかつらさにか なしはてむ かたみにしのふ こころくらへに | 後嵯峨院 |
| 1008 | とはぬをも うきにやひとの なしはてむ しのふにつけて すくるつきひを | 通忠 |
| 1009 | あらいその いはねにかくる しらなみの うちもやすまぬ こひのみちかな | 冬忠 |
| 1010 | にほとりの かよへるみちも あるものを したにもなとか ひとのたのまぬ | 為継 |
| 1011 | にこりえに おふるすかこも みかくれて わかこふらくは しるひとそなき | 躬恒 |
| 1012 | おもふとも こふともいはし くちなしの いろにころもを そめてこそきめ | 読人不知 |
| 1013 | みくさゐて ありともみえぬ ぬまみつの したのこころを しるひとそなき | 読人不知 |
| 1014 | かりにても ひとはしらしな あしねはふ うきにとしふる したのこころは | 実氏 |
| 1015 | かくれぬの したはふあしの ねになけと ひとこそしらね そてはぬれつつ | 長雅 |
| 1016 | よにもらは わかこころをや うたかはむ またしらせたる ひとしなけれは | 行家(藤原知家男) |
| 1017 | としへての のちにもこひの あらはれは しのひけりとや ひとにしられむ | 信実 |
| 1018 | みのうさの なみたになれぬ そてならは いかにいひてか こひをつつまむ | 俊成(藤原俊忠男) |
| 1019 | せきかへし なほもるそての なみたかな しのふもよその こころならぬに | 通具 |
| 1020 | おろかにや しのふとひとの おもふらむ こころにかなふ なみたならぬを | 家良 |
| 1021 | かきりなく おもふなみたや かはとみて わたりかたくは なりまさるらむ | 伊勢 |
| 1022 | そてのうへに ほさぬなみたの いろみえは いかにせむとか ねのみなくらむ | 少将(藻璧門院) |
| 1023 | いかにせむ おもひそめつる なみたより やかてちしほの いろにいてなは | 教定(飛鳥井雅経男) |
| 1024 | そてのうへの ひとめしられし をりまては みさをなりける わかなみたかな | 西行 |
| 1025 | わかなみた よしののかはの よしさらは いもせのやまの なかになかれよ | 慈円 |
| 1026 | なにことも こころにこめて しのふるを いかてなみたの まつしりぬらむ | 和泉式部 |
| 1027 | おもひせく こころのたきの あらはれて おつとはそての いろにみえぬる | 雅経 |
| 1028 | おとなしの たきのみなかみ ひととはは しのひにしほる そてやみせまし | 為家 |
| 1029 | おとになほ たてぬもくるし おもひせく こころのうちに たきなくもかな | 弁内侍(後深草院) |
| 1030 | かけろふの ほのめくかけを みてしより たれともしらぬ こひもするかな | 読人不知 |
| 1031 | よしやたた あしやのさとの なつのひに うきてよるてふ そのなはかりは | 為家 |
| 1032 | ちきりをは あさかのぬまと おもへはや かつみなからに そてのぬるらむ | 亀山院 |
| 1033 | うしつらし あさかのぬまの くさのなよ かりにもふかき えにはむすはて | 定家 |
| 1034 | なにはなる みつとはかりの ちきりにて おきふしあしの ねこそなかるれ | 実雄 |
| 1035 | おほつかな いかにあひみて すかのねの なかきはるひに こひわたるらむ | 赤人 |
| 1036 | うちとけて なきそしつへき ほとときす ひとにしられぬ はつねなれとも | 範永 |
| 1037 | なつころも ひとへにつらき ひとこふる わかこころこそ うらなかりけれ | 顕輔 |
| 1038 | あさなあさな きみにこころを おくしもの きくのまかきに いろはみえなむ | 好忠 |
| 1039 | かささきの ちかふるはしの まとほにて へたつるなかに しもやおくらむ | 好忠 |
| 1040 | かささきの くもゐのはしの よそにのみ かけてこころに こひやわたらむ | 読人不知 |
| 1041 | よそにみし ひとにおもひを つけそめて こころからこそ したにこかるれ | 読人不知 |
| 1042 | いまさらに ひとをはなにか つららゐる したにもしのふ みつからそうき | 順徳院 |
| 1043 | くれまたむ いのちもしらす いははしの よるとはたれか ちきりそめけむ | 行意 |
| 1044 | おなしよに たのむちきりの むなしくは みをかへてたに あふこともかな | 御匣(式乾門院) |
| 1045 | いかはかり こひちはすゑの とほけれは おもひいりても としのへぬらむ | 季経 |
| 1046 | しもつけや むろのやしまに たつけふり おもひありとも いまこそはしれ | 読人不知 |
| 1047 | こひせむと なれるみかはの やつはしの くもてにものを おもふころかな | 読人不知 |
| 1048 | おほゐかは ゐせきをこえて ゆくみつの たえすもものを おもふころかな | 読人不知 |
| 1049 | あしひきの やまなしをかに ゆくみつの たえすそきみを こひわたるへき | 読人不知 |
| 1050 | いせのうみの なみまにくたす つりのをの うちはへひとを こひわたるかな | 読人不知 |
| 1051 | すまのうらに たまもかりほす あまころも そてひつしほの ひるときやなき | 読人不知 |
| 1052 | このやまの みねにちかしと わかみつる つきのそらなる こひもするかな | 人麿 |
| 1053 | かくしつつ さてややみなむ おほあらきの うきたのもりの しめならなくに | 人麿 |
| 1054 | さされいしの なかのおもひの うちつけに もゆともひとに しられぬるかな | 式子内親王 |
| 1055 | おもふこと いはてやみなは やましろの とはにくるしき みとやなりなむ | 元真 |
| 1056 | あしかきの まちかきかひも なかりけり こころかよはぬ なかのへたては | 亀山院 |
| 1057 | いつはりと かつしりなから けふまてに たのむやこひの あまりなるらむ | 顕輔 |
| 1058 | のちのよを ちきるとたにも いひおきて たたこひしぬる なをはのこさし | 顕家 |
| 1059 | いつまてか みたれてこひむ あふことの なほかたいとに ぬけるしらたま | 知家 |
| 1060 | いせのうみ みるめなきさは かひもなし なみたにひろふ そてのしらたま | 基良 |
| 1061 | おもひかね おつるなみたの たまたまも ほさてやそての はたはくちなむ | 弁内侍(後深草院) |
| 1062 | いつまてか ときはのもりの みしめなは つれなきいろに かけてこふらむ | 家良 |
| 1063 | ひとめのみ しのふかはらに ゆふしめの こころのうちに くちやはてなむ | 家隆 |
| 1064 | おほそらに しめゆふよりも はかなきは つれなきひとを こふるなりけり | 元良親王 |
| 1065 | しぬはかり おもひけりとも あふことに みをかへてこそ ひとにしられめ | 隆昭 |
| 1066 | ももよまて あはていくへき いのちかは かきもはしめし しちのはしかき | 覚寛 |
| 1067 | いつかわれ かりそめにたに やとりきの ねもみぬものを うきなたつらむ | 行家(藤原知家男) |
| 1068 | あふまての こひにいのちの なからへは うきをかきりの よをやつくさむ | 少将(藻璧門院) |
| 1069 | あふことを みにかふはかり なけけとも つれなきものは いのちなりけり | 顕頼 |
| 1070 | つれなきを なほさりともと なくさむる わかこころこそ いのちなりけれ | 長方 |
| 1071 | これもみな むくひあるらむ さきのよに われゆゑきみも ものやおもひし | 長方 |
| 1072 | なにゆゑに けふまてものを おもはまし いのちにかへて あふよなりせは | 西行 |
| 1073 | くちはてむ そてのゆくへも しらぬまて あふをかきりと せくなみたかな | 実経 |
| 1074 | おのつから あふをかきりの いのちとて としつきふるも なみたなりけり | 為家 |
| 1075 | なかなかに さてもこころの いろみえは あふにはかへて みをやすてまし | 通成 |
| 1076 | いたつらに そのなもつらし あふさかの やまはわかみの せきちなりけり | 雅忠 |
| 1077 | ひとめもる せきよりほかに あふさかを こゆるやまちの なとなかるらむ | 行家(藤原知家男) |
| 1078 | しなのなる あさまのやまの あさからぬ おもひのすゑそ けふりともなる | 土御門院 |
| 1079 | いつとてか わかこひさらむ しなのなる あさまのやまの けふりたゆとも | 貫之 |
| 1080 | くらへはや こひをするかの やまたかみ およはぬふしの けふりなりとも | 宗尊親王 |
| 1081 | ふしのねも たちそふくもは あるものを こひのけふりそ まかふかたなき | 讃岐(二条院) |
| 1082 | いかなりし こひのけふりの きえやらて むろのやしまの なをのこしけむ | 俊成女 |
| 1083 | たえすたつ むろのやしまの けふりたに したはまことの おもひやはある | 寂蓮 |
| 1084 | たえすたつ もしほのうらの ゆふけふり いかなるときか おもひけたれむ | 光俊(葉室光親男) |
| 1085 | これやこの あはてのうらに やくしほの けふりたえせぬ おもひなるらむ | 親清女 |
| 1086 | したむせふ あしひのけふり いかにして なにはたてしと おもひそむらむ | 俊定(源具定男) |
| 1087 | しほかまの うらのけふりも あるものを たつなくるしき みのおもひかな | 知家 |
| 1088 | すみよしの ちきのかたそき としをへて またゆきあひも しらぬこひかな | 道家 |
| 1089 | たかためか あふのまつはら なをとめて われにつれなき いろをみすらむ | 良教 |
| 1090 | あきやまの まつのこすゑの むらしくれ つれなきなかは ふるかひもなし | 為教 |
| 1091 | あたなみの たかしのはまの そなれまつ なれすはかけて われこひめやも | 定家 |
| 1092 | あしのやの なたのしほくむ あまひとも しほるにそての いとまなきまて | 後鳥羽院 |
| 1093 | みのならむ ふちせもしらす いもせかは おりたちぬへき ここちのみして | 篁 |
| 1094 | あふことは いつにかあらむ あすかかは さためなきよそ おもひわひぬる | 村上天皇 |
| 1095 | おもひかは あふせまてとや みなわなす もろきいのちも きえのこるらむ | 御匣(式乾門院) |
| 1096 | こひわひて なとしなはやと おもふらむ ひとのためなる いのちならぬに | 為氏 |
| 1097 | さもこそは みなとはそての うへならめ きみにこころの まつさわくらむ | 定家 |
| 1098 | ひとしれぬ そてのみなとの あたなみは なのみさわけと よるふねもなし | 良平女 |
| 1099 | なみたのみ もろこしふねも よりぬへし みはうきしつむ とこのうらなみ | 道家 |
| 1100 | なみたかは せきやるかたの なけれはや みをはなれては なかれさるらむ | 業平 |
| 1101 | なみたかは わたらぬなかの おもひねは みるもあたなる ゆめのうきはし | 長時 |
| 1102 | としをふる なみたよいかに あふことは なほいなふちの たきまされとや | 具氏 |
| 1103 | こひすてふ そてしのうらに ひくあみの めにたまらぬは なみたなりけり | 成実(藤原親実男) |
| 1104 | あひみねは いつのならひの つらさとも しらてはいかに なみたおつらむ | 基家 |
| 1105 | そてのみと おもふなみたの くれなゐを こすゑにみする むらしくれかな | 実氏 |
| 1106 | さけはつむ ものとおもひし くれなゐは なみたのみする いろにそありける | 貫之 |
| 1107 | せくそての くれなゐくくる なみたかは わたらぬよりそ なかはたえける | 有長 |
| 1108 | ますかかみ おのかこころと くもりける なみたをしらて なにかこつらむ | 少将内侍(後深草院) |
| 1109 | あふことを いつしかとのみ まつしまの かはらすひとを こひわたるかな | 人麿 |
| 1110 | むかしより おもふこころは ありそうみの はまのまさこの かすもしられす | 閑院大君 |
| 1111 | かたいとの あはてのうらの なみたかみ こなたかなたに よるふねもなし | 経家(藤原基家男) |
| 1112 | かけてなほ たのむもかなし たまのをの あはすはなけの ちきりはかりに | 俊成女 |
| 1113 | よそにみて そてやぬれなむ ひたちなる たかまのうらの おきつしらなみ | 光俊(葉室光親男) |
| 1114 | わかこひは やまとにはあらぬ からあゐの やしほのころも ふかくそめてき | 良経(九条兼実男) |
| 1115 | おもひわひ ひとりやねなむ さよころも かへすならひの ゆめをたのみて | 俊平(源泰光男) |
| 1116 | ぬるにこそ ゆめもみゆらめ さよころも かへすはあさき おもひなりけり | 兼宗 |
| 1117 | かつらきや わたしもはてぬ いははしも よるのちきりは ありとこそきけ | 家隆 |
| 1118 | かつらきの よるのちきりは かたくとも ふみたにみせよ くめのいははし | 匡房 |
| 1119 | われはまつ ひとはこすゑの ほとときす むなしきねをも なきくらすかな | 一条院 |
| 1120 | わかせこを まつちのやまの くすかつら たまさかにたに くるよしもなし | 実朝 |
| 1121 | やまひこは こたふるたにも あるものを おとせぬひとを まつかくるしさ | 朝光 |
| 1122 | いかさまに ねてあかせとて まつひとの こぬたにあるを あきかせそふく | 忠景 |
| 1123 | つのくにの こやのあしふき のわきして ひまこそあれと ひとにつけはや | 光俊(葉室光親男) |
| 1124 | つれなさの つもるつきひを かそへても いまさらつらき としのくれかな | 公宗(洞院実雄男) |
| 1125 | あらたまの としのくれまつ おほそらは くもるはかりの なくさめもなし | 定家 |
| 1126 | そまかはの あさきこころに ひかれつつ いくたひくれの さはりきつらむ | 高光 |
| 1127 | わかこひは せにゐるふねの みつをあさみ うきておもひの やるかたもなし | 実氏 |
| 1128 | ひろせかは そてつくはかり あさきせに こころふかめて われはおもはむ | 読人不知 |
| 1129 | かしはきの もりのしたくさ おいぬとも みをいたつらに なさすもあらなむ | 監命婦 |
| 1130 | かしはきの もりのしたくさ おいのよに かかるおもひは あらしとそおもふ | 遍昭 |
| 1131 | そてにおく つゆのゆくへを たつぬれは あはてこしよの みちのささはら | 後鳥羽院 |
| 1132 | あつまちの さののふなはし さのみやは つらきこころを かけてたのまむ | 家隆 |
| 1133 | われをきみ まつよもあらは いひてまし たのめてこぬは さそやつらきと | 公実 |
| 1134 | こひしなて こころつくしに いままても たのむれはこそ いきのまつはら | 親隆 |
| 1135 | こひしぬる はてをはしらて あふまての いのちををしく おもひけるかな | 信実 |
| 1136 | いつはりと おもひなからも たのむかな うきをしらぬは こころなりけり | 順徳院 |
| 1137 | うかりける こころをしらて やましろの ゐてのたまみつ なにたのみけむ | 実雄 |
| 1138 | あすしらぬ みにはたのます おのつから ちきりしままの ひかすなりとも | 按察(鷹司院) |
| 1139 | なみたのみ いはぬをしると おもひしに わきてやとかる そてのつきかけ | 御匣(式乾門院) |
| 1140 | こひせしと つきにややかて ちかはまし くもるなみたの うきにつけても | 少将内侍(後深草院) |
| 1141 | なかむれは そらやはくもる あきのつき こひはこれまて うきなみたかな | 通具 |
| 1142 | つきをたに くもらぬそらに みしものを たかおもかけの かきくらすらむ | 下野(後鳥羽院) |
| 1143 | かきくもれ たのむるよひの むらさめに さはらぬひとの こころをもみむ | 下野(後鳥羽院) |
| 1144 | なくさめし つきにもはては ねをそなく こひやむなしき そらにみつらむ | 顕昭 |
| 1145 | こぬひとの なさけなりけり なかきよの ふくるまてみる やまのはのつき | 公朝 |
| 1146 | まつひとと ともにそみまし いつはりの なきよなりせは やまのはのつき | 宗尊親王 |
| 1147 | ありあけの つきをもいはし つれなさの ためしはひとの こころにそみる | 公相 |
| 1148 | あかつきの とりのうきねも またきかす わかみにしらぬ せきのななれは | 実氏 |
| 1149 | たまくしけ みむろとやまの さねかつら さねすはつひに ありとみましや | 鎌足 |
| 1150 | すすきとる あまのをふねの いさりひの ほのかにたにや いもにあはさらむ | 聖武天皇 |
| 1151 | おほはらの このいちしはの いつしかと わかおもふいもに こよひあひぬる | 志貴皇子 |
| 1152 | けふはまた ゆくすゑとほく ちきるかな つらきにかへし いのちなれとも | 実定 |
| 1153 | もらすなよ まくらのほかに しるひとも なくなくちきる よよのかねこと | 下野(後鳥羽院) |
| 1154 | むすひおく ちきりはいまと おもへとも なほさきのよや はしめなりけむ | 信実 |
| 1155 | ならはねは あふよもおつる なみたかな うきにぬれにし そてのなこりに | 政村 |
| 1156 | うかるへき わかれをかねて したへとや またふかきよに とりのなくらむ | 行家(藤原知家男) |
| 1157 | こひこひて まれにとけぬる したひもを ゆふつけとりの ねこそつらけれ | 景綱 |
| 1158 | あかつきの ゆふつけとりの おなしねに いくたひつらき わかれしつらむ | 基隆(藤原基綱男) |
| 1159 | あけぬとて おなしこころに なくとりを つらきためしに なにおもひけむ | 道円 |
| 1160 | あきのよの ちよをひとよに なせりとも ことはのこりて とりやなきなむ | 読人不知 |
| 1161 | かきりとは おもはぬものを あかつきの わかれのとこの おきうかるらむ | 読人不知 |
| 1162 | きぬきぬの たもとにわけし つきかけは たかなみたにか やとりはつらむ | 信実 |
| 1163 | もろともに あかぬわかれの きぬきぬに いつれのそてか ぬれまさるらむ | 小侍従(太皇太后宮) |
| 1164 | きぬきぬの わかれやさても かなしきと あかつきしらぬ とりのねもかな | 土御門院 |
| 1165 | をくるまの にしきのひもを ときかけて あまたはねすな たたひとよのみ | 允恭天皇 |
| 1166 | しはしたに なほひきとめよ あつさゆみ つれなくかへる けさのわかれち | 公相 |
| 1167 | やすらひに いてけるかたも しらとりの とはやままつの ねにのみそなく | 定家 |
| 1168 | くもれけふ いりあひのかねも ほととほし たのめてかへる はるのあけほの | 家隆 |
| 1169 | あさねかみ ひとのたまくら おきわかれ みたれてのちそ ものはかなしき | 家隆 |
| 1170 | たれかまつ けさみちしはを わけつらむ もとおくつゆも ひとのなみたか | 慈円 |
| 1171 | あかつきは いかにちきりて むかしより わかれかなしき ときとなりけむ | 忠成(祝部親成男) |
| 1172 | おきわかれ かへるみちをは おくるとも つきはものをや おもはさるらむ | 保季 |
| 1173 | しのふへき これやかきりの つきならむ さためなきよの そてのわかれは | 基家 |
| 1174 | かたみとや そてのわかれに ととめけむ なみたにうかふ ありあけのつき | 真昭 |
| 1175 | ひさかたの あまのとなから みしつきの あかていりにし そらそこひしき | 実方 |
| 1176 | ねてまちし はつかのつきの はつかにも あひみしことを いつかわすれむ | 是則 |
| 1177 | われならぬ ひともありあけの そらをのみ おなしこころに なかめけるかな | 敦道親王 |
| 1178 | ひとりねの おきてかなしき あさしもの きえなてなにと よをかさぬらむ | 公経(藤原実宗男) |
| 1179 | みにかへて いまひとたひと しのふこそ わかれをうしと おもはさりけれ | 親子(典侍親子朝臣) |
| 1180 | みるゆめの さめてもさめす かなしきは いかにねしよの なこりなるらむ | 親子(典侍親子朝臣) |
| 1181 | うきものと たれかいひけむ あかつきの わかれのみこそ かたみなりけれ | 俊成女 |
| 1182 | ありしよの わかれもいまの ここちして とりのねことに われのみそなく | 為家 |
| 1183 | あふことは おもひたえぬる あかつきも わかれしとりの ねにそなかるる | 重頼女 |
| 1184 | うつつにも わかれしかねの こゑなれは あふとみしよの ゆめもさめけり | 兼実 |
| 1185 | みてもなほ いかはかりなる なくさめに まとろむほとの ゆめをまつらむ | 家良 |
| 1186 | おもひねの ゆめにたになほ つらきよの なこりはなにに こひしかるらむ | 良実 |
| 1187 | はかなしや そのよのゆめを かたみにて うつつもしらぬ とこのさむしろ | 教実 |
| 1188 | ねさめまて なほそくるしき ゆきかへり あしもやすめぬ ゆめのかよひち | 有家(藤原重家男) |
| 1189 | あふとみて いかにはかなく あけぬらむ うきよのゆめは さめぬならひを | 行意 |
| 1190 | おもひねに あひみるゆめの さむるこそ とりのねきかぬ わかれなりけれ | 雅経 |
| 1191 | うつつにて あるたにあるを ゆめにさへ あかてもひとの みえわたるかな | 小町 |
| 1192 | ゆめならは またみるよひも ありなまし なになかなかの うつつなるらむ | 小町 |
| 1193 | おもひつつ ぬるよもひとの つらきかな ゆめもうつつの みゆるなりけり | 亀山院 |
| 1194 | うかるへき みのよかたりを おもふにも なほくやしきは ゆめのかよひち | 御匣(式乾門院) |
| 1195 | はかなくて みえつるゆめの おもかけを いかにねしよと またやしのはむ | 小宰相(土御門院) |
| 1196 | くれなゐの なみたそいとと たのまれぬ うつるこころの いろとみゆれは | 紫式部 |
| 1197 | あきやまに こひするしかの こゑたてて なきそしぬへき きみかこぬよは | 読人不知 |
| 1198 | きみにしも あきをしらせぬ つのくにの いはてのもりを わかみともかな | 馬内侍 |
| 1199 | ときわかぬ なみたよいかに もるやまの したはのつゆも あきそそむなる | 伊平 |
| 1200 | かきりありて めくりあふへき いのちとも おもははこそは のちもたのまめ | 小督(中務卿親王家) |
| 1201 | なからへむ ひとのこころは いさやかは いさわれはかり こひわたるとも | 亀山院 |
| 1202 | しくれする くもちのほしの かすかすに かくれあらはれ こひぬまそなき | 基家 |
| 1203 | あらはれて そてのうへゆく なとりかは いまはわかみに せくかたもなし | 定家 |
| 1204 | かきりあらむ いのちもさらに なからへし これよりまさる つきひへたては | 定家 |
| 1205 | ねられねは ゆめともみえす はるのよを あかしかねつる みこそつらけれ | 村上天皇 |
| 1206 | こころには わすれぬものを あひみすて ひかすもおほく つきそへにける | 駿河丸 |
| 1207 | おもはぬを おもふといはは おほのなる みかさのもりの かみそしるらむ | 百世 |
| 1208 | みくさゐる いたゐのしみつ としふりて こころのそこを くむひとそなき | 良経(九条兼実男) |
| 1209 | しらつゆの あたなるたれに なれそめて われにもかかる こころおくらむ | 経平(衣笠家良男) |
| 1210 | いかかせむ しなはともにと おもふみに おなしかきりの いのちならすは | 光俊(葉室光親男) |
| 1211 | なにとなく おつるなみたに まかすれは そこともみえぬ ふてのあとかな | 俊成(藤原俊忠男) |
| 1212 | みれはまつ そこはかとなく なけかれて なみたおちそふ ふてのあとかな | 読人不知 |
| 1213 | あらたまの としのみとせを まちわひて たたこよひこそ にひまくらすれ | 読人不知 |
| 1214 | わするなよ みとせののちの にひまくら さたむはかりの つきひなりとも | 定家 |
| 1215 | おしかへし おもへはひとそ つらからぬ これもむかしの ちきりなるらむ | 光頼 |
| 1216 | とへかしな このよはかりの なさけとて うきはむかしの むくひなりとも | 高倉(八条院) |
| 1217 | まちなれし ゆふへのそらも かはれたた ひとのこころの あらすなるよに | 少将(藻璧門院) |
| 1218 | いかならむ ときかはとのみ おもふかな ひとをわすれぬ こころなかさに | 信実 |
| 1219 | わすれしと いひしはかりの ことのはや たのまぬものの かたみなるらむ | 雅言 |
| 1220 | ゆふされは またれしものと おもふこそ こころにのこる かたみなりけれ | 忠成(大江) |
| 1221 | おもひいてて ねこそなかるれ あふことの ありしむかしや つらさなるらむ | 定円(葉室光俊男) |
| 1222 | そてこほる しもよのとこの さむしろに おもひたえても あかすころかな | 基綱(藤原基清男) |
| 1223 | たかさこの やまのやまとり をのへなる はつをのたれを なかくこふらむ | 為家 |
| 1224 | ほかさまに なひくをみつつ しほかまの けふりやいとと もえまさるらむ | 侍従(本院) |
| 1225 | うらむとや よそにはひとの おもふらむ こひしきほかの こころならぬに | 小督(宗尊親王家) |
| 1226 | うらみても あまのあみなは くりかへし こひしきかたに ひくこころかな | 為家 |
| 1227 | なにとかは わかみをおきて あまのすむ さとのしるへを ひとにとふへき | 行家(藤原知家男) |
| 1228 | しらせはや こひをするかの たこのうら うらみになみの たえぬひはなし | 良経(九条兼実男) |
| 1229 | しかのあまの しほやきころも なるれとも こひてふものは わすれかねつも | 人麿 |
| 1230 | あふことの いまはかたほに なるふねの かせまつほとは よるかたもなし | 忠岑 |
| 1231 | さてもまた ひとのこころの つらきえに たななしをふね なほやこかれむ | 家良 |
| 1232 | みのうさを おもひしりぬる ものならは つらきこころを なにかうらみむ | 兼通 |
| 1233 | やまたかみ たにへにはへる たまかつら たゆることなく みるよしもかな | 読人不知 |
| 1234 | ちはやふる かみのたむけの ゆふたすき かけてやひとの ひとをこふらむ | 貫之 |
| 1235 | かけてのみ こひわたりつる からころも きてこそそては ぬれまさりけれ | 伊尹 |
| 1236 | かくはかり ありけるものを くれなゐの やしほのころも なににそめけむ | 宇多天皇 |
| 1237 | ときときそ しくれもしける よとともに わひつつふるは なみたなりけり | 師氏(藤原忠平男) |
| 1238 | きみこふと わかなくなみた しきたへの まくらとほりて そてはぬれつつ | 人麿 |
| 1239 | ひとをこひ せめてなみたの こほるれは こなたかなたの そてそぬれける | 人麿 |
| 1240 | うはたまの わかくろかみを なきぬらし おもひみたれて こひわたるかな | 人麿 |
| 1241 | をきのはに みにしむかせは おとつれて こぬひとつらき ゆふくれのそら | 後鳥羽院 |
| 1242 | かせさむみ こころにもあらぬ うたたねは いととひとこそ こひしかりけれ | 国経(藤原長良男) |
| 1243 | あきかせの ふかぬころたに あるものを こよひはいとと ひとそこひしき | 重之 |
| 1244 | わすれても あるへきものを なかなかに とふにつらさを おもひいてつる | 西院皇后宮 |
| 1245 | こひこひて いくよといふに しきたへの まくらのちりを またはらふらむ | 頼実(藤原経宗男) |
| 1246 | たれにまた ちよにひとよの よかれして さすかにわれを おもひいつらむ | 兼宗 |
| 1247 | あまのかは あきのなぬかを なかめつつ くものよそにも おもひけるかな | 有家(藤原重家男) |
| 1248 | あふことの まれなるものは あきをまつ もみちのはしと われとなりけり | 後嵯峨院 |
| 1249 | おのつから いかにねしよの ゆめたえて つらきひとこそ つきはみせけれ | 家隆 |
| 1250 | おもひあまり なかむるそらも かきくもり つきさへわれを いとひけるかな | 国信 |
| 1251 | ことならは くもゐのつきと なりななむ こひしきかけや そらにみゆると | 中務 |
| 1252 | やまのはに またれていつる つきかけの はつかにみえし よはのこひしさ | 定家 |
| 1253 | あひそめし よはさへつきの ころならて のちしのふへき かたみたになし | 実氏 |
| 1254 | うかりける ひとのこころの あさねかみ なにいたつらに みたれそめけむ | 後鳥羽院 |
| 1255 | あちきなく なにとみにそふ おもかけそ それともみえぬ やみのうつつに | 定家 |
| 1256 | おもかけは たちもはなれす からころも わかれしままの そてのなみたに | 大納言典侍(後嵯峨院) |
| 1257 | たれしかも われをこふらむ したひもの むすひもあへす とくるこころは | 人麿 |
| 1258 | やまかはの いしまをわけて ゆくみつは ふかきこころも あらしとそおもふ | 人麿 |
| 1259 | ふりにける かはらのうへの まつかねの ふかくはいかか ひとをたのまむ | 俊成(藤原俊忠男) |
| 1260 | われなから ちきりしらるる むかしかな いかにつらさを ひとにみえけむ | 右衛門佐(高松院) |
| 1261 | くれたけの よよのちきりも しられけり うきふししけき こひのむくひに | 土御門院 |
| 1262 | なかしとも しらすやねのみ なかれつつ こころのうきに おふるあやめは | 頼宗母 |
| 1263 | あはぬまの みきはにおふる あやめくさ ねのみなかるる きのふけふかな | 実方 |
| 1264 | わひぬれは きのふならねと あやめくさ けふもたもとに ねをそかけける | 道信 |
| 1265 | わすれくさ おふるのへとは なるらめと こはしのふなり のちもたのまむ | 業平 |
| 1266 | たつぬれは そこともみえす なりにけり たのみしのへの もすのくさくき | 式子内親王 |
| 1267 | わかかとの のへのあきはき ちらさらは きみかかたみと みつつしのはむ | 家持 |
| 1268 | あきはきの したはにひとは あらねとも こころははやく うつろひにけり | 元方 |
| 1269 | ひにそへて しもかれゆけは くすのはの ありしはかりも えこそうらみね | 俊恵 |
| 1270 | まくすはら かせたにさむく ふきこすは みえぬひとをも うらみさらまし | 好忠 |
| 1271 | われなから かはるこころの ゆくすゑを しらてやひとの ちきりおきけむ | 良印 |
| 1272 | うつりゆく ひとのこころに したかはは なみたもそてに いろやかはらむ | 為義 |
| 1273 | つきくさの はなもあたにや おもふらむ ぬれぬにうつる ひとのこころを | 有教 |
| 1274 | いろかはる みののなかやま あきこえて またとほさかる あふさかのせき | 定家 |
| 1275 | なにとかく いろかはるらむ きにもあらす くさにもあらぬ ひとのことのは | 宗尊親王 |
| 1276 | いふきやま みねなるくさの さしもこそ わすれしとまて ちきりおきしか | 宗尊親王 |
| 1277 | いまはたた わするはかりの あふことを つらきにつけて しのはすもかな | 月花門院 |
| 1278 | うらみけむ こころさへこそ こひしけれ つらきになれぬ むかしとおもへは | 高倉(安嘉門院) |
| 1279 | いまははや むかしかたりに なりなまし つらきにたへぬ わかみなりせは | 重家 |
| 1280 | いつはりを たのむはかりに なからへは つらきそひとの いのちなるへき | 通成 |
| 1281 | なほさりに これやかきりと いひしよの つらきまことに なりにけるかな | 宗尊親王 |
| 1282 | さはたかは ゐてなるあしの かりそめに あさしやちきり ひとよはかりは | 宗尊親王 |
| 1283 | ひとことの たのみかたさに なにはなる あしのうらはの うらみつるかな | 醍醐天皇 |
| 1284 | かりにこし ひとをこそまて はしたかの こひをわすれぬ こころならひに | 堀河(待賢門院) |
| 1285 | はしたかの とかへるやまも しくるなり かはりやはてむ ひとのことのは | 小宰相(土御門院) |
| 1286 | なきくらす なみたのつゆも むなしくて みをうつせみの あるかひもなし | 実氏 |
| 1287 | みをかへて なにしかおもふ うつせみの よはたのまれぬ ひとのこころを | 実雄 |
| 1288 | ふくかせに こそのさくらは ちらすとも あなたのみかた ひとのこころは | 業平 |
| 1289 | むさしのに おふとしきけは むらさきの そのいろならぬ くさもむつまし | 小町 |
| 1290 | あふさかの せきのあなたの いかなれは こえてもまよふ こひちなるらむ | 忠家(藤原教実男) |
| 1291 | つらくとも さてしもはてし ちきりしに あらぬこころも さためなけれは | 式子内親王 |
| 1292 | つらしとも おもひなさすは なつころも たたひとへにや こひしからまし | 俊頼(源経信男) |
| 1293 | おもひあまり みつのかしはに とふことの しつむにうくは なみたなりけり | 小侍従(太皇太后宮) |
| 1294 | かくはかり おもふこころは ひまなきを いつくよりもる なみたなるらむ | 清輔 |
| 1295 | みちのくに ありてふかはの うもれきの いつあらはれて うきなとりけむ | 時清 |
| 1296 | みちのくに ありといふなる まつしまの まつにひさしく とはぬきみかな | 読人不知 |
| 1297 | まつかけて たのめしことは なけれとも なみのこゆるは なほそかなしき | 伊勢 |
| 1298 | あふことを いまやとまつに かかりてそ つゆのいのちの としもへにける | 兼盛 |
| 1299 | としへても なほあふことは かたをかの まつこそこひの いのちなりけれ | 実雄 |
| 1300 | それをたに こころのままの いのちとて やすくもこひに みをやかへてむ | 少将(藻璧門院) |
| 1301 | あふまてと おもひおもひて はてはまた いけるをいとふ わかいのちかな | 公衡(藤原公能男) |
| 1302 | あはさりし むかしをいまに くらへてそ うきはためしも ありとしらるる | 政村 |
| 1303 | さてもまた なほやうらみむ あつさゆみ いてやとひとを おもふものから | 知家 |
| 1304 | なからへて あるたにみには つれなきに うらむとまては ひとにきかれし | 行能 |
| 1305 | たのめはと おもふはかりに うきひとの こころもしらす うらみつるかな | 宗尊親王 |
| 1306 | つらからは つらきになして やみもせて したのおもひの なにしたふらむ | 道家 |
| 1307 | つらしとも おもひもはてぬ こころこそ なほこひしさの あまりなりけれ | 小督(宗尊親王家) |
| 1308 | このよにて いかにわすれむ かたもなし こひはいのちや かきりなるらむ | 基家 |
| 1309 | こひしさの かきりたにある よなりせは としへてものは おもはさらまし | 是則 |
| 1310 | おもひたえ わひにしものを なかなかに なにかくるしく あひみそめけむ | 家持 |
| 1311 | よしさらは われもともにと したひもに むすふくさはは なほそつゆけき | 実経 |
| 1312 | さのみやは ひとのこころに まかすへき わするるくさの たねをしらはや | 惟明親王 |
| 1313 | うきにこそ けにいつはりは なかりけれ わするるかたの つらきまことに | 為氏 |
| 1314 | はるのよの ゆめにまさりて ものそおもふ ほのかにみえし つきのうつつは | 定家 |
| 1315 | しはしこそ こぬよあまたと かそへても なほやまのはの つきをまちしか | 良経(九条兼実男) |
| 1316 | うらみても なきてもなにを かこたまし みしよのつきの つらさならては | 少将内侍(後深草院) |
| 1317 | あはれまた いつれのよにか めくりあひて ありしありあけの つきをみるへき | 孝標女 |
| 1318 | すきにける としつきなにを おもひけむ いましもものの なけかしきかな | 堀河女御 |
| 1319 | きみをまた みすしらさりし いにしへの こひしきをさへ なけきつるかな | 式子内親王 |
| 1320 | とはるるに つけてそひとは つらかりし おもひたえては うらみやはする | 高倉(安嘉門院) |
| 1321 | さてもなほ はかなかりける ちきりかな あはれむかしの よこそつらけれ | 忠良 |
| 1322 | いまはまた かけたにみえぬ うきひとの かたみのみつは なみたなりけり | 宗尊親王 |
| 1323 | みしひとを おとにもきかぬ たきつせの なにそはそてに たえすおつらむ | 隆祐 |
| 1324 | てにならす かひこそなけれ あつさゆみ ひけはなかのみ とほさかりつつ | 信実 |
| 1325 | まののうらの よとのつきはし つきもせす つらしとひとを ききわたるかな | 経朝 |
| 1326 | よひよひに はかなきゆめの なくさめも まくらさためて いつまてかみし | 小宰相(土御門院) |
| 1327 | なみたこそ うつつのうさに あまりぬれ ゆめにもいまは ねのみなかれて | 政村 |
| 1328 | なかれてと たのめしことは ゆくすゑの なみたのうへを いふにそありける | 小町 |
| 1329 | あひみても なほかくれぬの いはこすけ いはてもなかき ねをのみそなく | 泰光(源師光男) |
| 1330 | うきをしる こころはなにの こころにて なほまたひとの こひしかるらむ | 良平 |
| 1331 | いせのうみの あまのもしほき こりもせて おなしうらみに としそふりぬる | 家良 |
| 1332 | あしまゆく みなとのをふね さしもやは かよひしみちの さはりはつへき | 家良 |
| 1333 | なるみかた あさりにいつる あまならて みをうらみても そてはぬれけり | 読人不知 |
| 1334 | ひとこころ わかみのあきに なれはこそ うきことのはの しけくちるらめ | 小町 |
| 1335 | めのまへに たえすもみゆる つらさかな うきをむかしと おもふへきよに | 実方 |
| 1336 | つらからは もとのこころの わすれなて かさねてほさぬ そてのつゆかな | 道家 |
| 1337 | もろともに みしはむかしの ますかかみ うきかけはかり なにのこるらむ | 行家(藤原知家男) |
| 1338 | なさけにも なとかとまちし よなよなは うきほとしらぬ わかみなりけり | 基家 |
| 1339 | しなはうし いけれはものの かなしきに こころをかへて あらぬみもかな | 公光(藤原季成男) |
| 1340 | うきよをは あられはあるに まかせつつ こころよいたく ものなおもひそ | 西行 |
| 1341 | とへかしな なさけはひとの みのためを うきわれとても こころやはなき | 西行 |
| 1342 | きみこふと こころはちちに くたくるを なとかすならぬ わかみなるらむ | 好忠 |
| 1343 | しらさりき ちきりしなかは あとたえて ゆふくれはかり みにとまれとは | 実氏 |
| 1344 | いきてよに いつまてぬれむ たもとそと なみたはしるや あきのゆふくれ | 実氏 |
| 1345 | うきことを をりをりことに しのふれは つらきもひとの かたみなりけり | 伊勢 |
| 1346 | こひしさの なくさむかたや なからまし つらきこころを おもひませすは | 清輔 |
| 1347 | ひとすちに いとふつらさは わすられて こひしきにのみ ぬるるそてかな | 公衡(藤原公能男) |
| 1348 | なさけあらは いかはかりかは おもはまし つらきをたにも しのふこころに | 通俊 |
| 1349 | おもはしと おもへとものの なけかれて われにもあらす なるこころかな | 知家 |
| 1350 | あふことの たえはいのちも たえなむと おもひしかとも あられけるみを | 右衛門佐(高松院) |
| 1351 | こひをのみ しつのをたまき いやしきも おもひはおなし なみたなりけり | 土御門院 |
| 1352 | おもひいてよ このはのしたの わすれみつ うつりしいろに たえははつとも | 順徳院 |
| 1353 | あふことは さてややまたの わすれみつ ぬれにしそては ひるよなけれと | 大弐(修明門院) |
| 1354 | わすれすは なほかきやらむ あかさりし たなゐのしみつ そてはぬるとも | 弁内侍(後深草院) |
| 1355 | ちきりあらは またもむすはむ やまのゐの あかてわかれし かけなわすれそ | 少将内侍(後深草院) |
| 1356 | いかてまた あかてやみにし おくやまの いはかきしみつ かけをたにみむ | 小宰相(土御門院) |
| 1357 | こころにも まかせはとこそ たのまるれ たえたえなれと なかかはのみつ | 後嵯峨院 |
| 1358 | ちりをたに はらはぬとこの やまかはの いさやいつより おもひたえけむ | 宗尊親王 |
| 1359 | なかれてと おもひしものを ふしかはの いかさまにして すますなりけむ | 知家 |
| 1360 | わすれくさ たねあらはこそ しけるらめ のきはやひとの こころなるらむ | 宗尊親王 |
| 1361 | わするるも しのふもおなし ふるさとの のきはのくさの なこそつらけれ | 顕氏(六条顕家男) |
| 1362 | さためなき こころとひとを みしかとも つらさはつひに かはらさりけり | 素暹 |
| 1363 | たのめすは おもひたえても やみなまし なになかなかの なさけなるらむ | 実房 |
| 1364 | なからへて さもうくつらき としつきを いかにすきける いのちなるらむ | 為教 |
| 1365 | たのめすは なかなかよにも なからへて ひさしくものは おもはさらまし | 俊成(藤原俊忠男) |
| 1366 | もろこしの ひとまてとほく たつねはや かはかりつらき なかはありやと | 俊成(藤原俊忠男) |
| 1367 | ちきりしに かはるつらさも なけかれす もとよりたのむ こころならねは | 政村 |
| 1368 | こころたに いかなるみにか かなふらむ おもひしれとも おもひしられす | 紫式部 |
| 1369 | すきにける むかしもいまの つらさにて うきおもひいてに ぬるるそてかな | 御匣(式乾門院) |
| 1370 | わすらるる わかみにつらき むくひあらは つれなきひとも ものやおもはむ | 教定(飛鳥井雅経男) |
| 1371 | うきみをは わすれはつとも ちきりおきし わかいつはりや おもひいつらむ | 按察(鷹司院) |
| 1372 | ちかひてし いのちにかへて わするるは うきわれからに みをやすつらむ | 親子(典侍親子朝臣) |
| 1373 | みをうしと おもひしりぬる ものならは つらきこころも なにかうらみむ | 侍従(本院) |
| 1374 | なにことも ゆめときくよに さめやらて うつつにひとを うらみつるかな | 小侍従(太皇太后宮) |
| 1375 | をりをりに かくとはみえて ささかにの いかにおもへは たゆるなるらむ | 読人不知 |
| 1376 | しもかれの あさちにまよふ ささかにの いかなるをりに かくとみゆらむ | 紫式部 |
| 1377 | うきをうしと おもはさるへき わかみかは なにとてひとの こひしかるらむ | 西行 |
| 1378 | あきかせに なひくさやまの くすかつら くるしやこころ うらみかねつつ | 後鳥羽院 |
| 1379 | まくすはら うらみしころの あきかせや かれかれになる はしめなりけむ | 宗尊親王 |
| 1380 | こひそめし こころをたれに かこたまし あはぬはひとの うきになせとも | 宗尊親王 |
| 1381 | おもひかね いまはわかみの つらきかな なとうきひとの こひしかるらむ | 匡房 |
| 1382 | あちきなや こはいかなりし ちきりにて つらきひとしも こひしかるらむ | 顕昭 |
| 1383 | ひとしれす こひわたるまに くちにける なからのはしを またやつくらむ | 隆房 |
| 1384 | いまこむと たのめしよはの ふけしこそ かはるつらさの はしめなりけめ | 備前(宗尊親王家) |
| 1385 | あはさりし こひにやかねて ならひけむ のちのつらさに いけるこころは | 信実 |
| 1386 | たのめつつ こぬよをまちし いにしへを しのふへしとは おもひやはせし | 小侍従(太皇太后宮) |
| 1387 | ありあけに わかれしままの としへても つれなくのこる わかいのちかな | 資季 |
| 1388 | うきなから みしおもかけの かはらぬや さすかになれし かたみなるらむ | 隆房 |
| 1389 | おもかけを うきみにそへて こひしなは のちのよまての つらさをやみむ | 少将(藻璧門院) |
| 1390 | いさしらす なるみのうらに ひくしほの はやくそひとは とほさかりにし | 為家 |
| 1391 | かきくらし あめふるかはの うたかたの うたてほとなき よとはしらすや | 崇徳院 |
| 1392 | よのなかを なににたとへむ かせふけは ゆくへもしらぬ みねのしらくも | 順 |
| 1393 | なにことを われなけくらむ かけろふの ほのめくよりも つねならぬよに | 孝標女 |
| 1394 | いまきなる とやまのみねに くもたにも しるくしたたは なにかなけかむ | 斉明天皇 |
| 1395 | ひとはいさ おもひやむとも たまかつら かけにみえつつ わすられぬかも | 倭太后 |
| 1396 | はるふかき みやまさくらも ちりぬれは よをうくひすの なかぬひそなき | 醍醐天皇 |
| 1397 | はることに はなはちるとも さきぬへし またあひかたき ひとのよそうき | 定方 |
| 1398 | あきかせに たくふこのはの いまはとて おのかちりちり なるそかなしき | 仁善子 |
| 1399 | ゆめかとそ わひてはおもふ たまさかに とふひとあれや またやさむると | 朝忠 |
| 1400 | あはれとも おもひそわかぬ うはたまの おなしゆめにて まとふみなれは | 好古 |
| 1401 | おもひいつる むかしはつゆか ふるさとの はなみることに そてのぬるらむ | 貫之 |
| 1402 | みるからに たもとそぬるる さくらはな そらよりほかの つゆやおくらむ | 実頼 |
| 1403 | おくれても こえけるものを してのやま さきたつことを なになけきけむ | 宣耀殿女御 |
| 1404 | ありしよを ゆめにみなして なみたさへ とまらぬやとそ かなしかりける | 紫式部 |
| 1405 | たれもみな きえのこるへき みならねと ゆきかくれぬる きみそかなしき | 伊周 |
| 1406 | しぬはかり なけくをとはぬ ひとよりも いままていける みこそつらけれ | 隆国/行成 |
| 1407 | みやこにて まつへきひとも おもほえす やまよりふかく いりやしなまし | 行成/隆国 |
| 1408 | あつさゆみ はるのやまへの かすむこそ こひしきひとの かたみなりけれ | 堀河院 |
| 1409 | のほりにし はるのかすみを したふとて そむるころもの いろもはかなし | 順徳院 |
| 1410 | いるつきの おほろのしみつ いかにして つひにすむへき かけをとむらむ | 順徳院 |
| 1411 | はるのよの みしかきゆめと ききしかと なかきおもひの さむるまもなし | 順徳院 |
| 1412 | ありしよの こひしきままに ふるさとの はなにむかひて ねをのみそなく | 上総(堀河院中宮) |
| 1413 | あるしなき すみかにのこる さくらはな あはれむかしの はるやこひしき | 国基 |
| 1414 | をしむへき あるしをはなに さきたてて こころのままに ちるさくらかな | 心海 |
| 1415 | ねをそなく やよひのはなの かれしより をしへぬにはの あとをなかめて | 道家 |
| 1416 | おくれしと したひしつきひ うきなから けふもつれなく めくりあひつつ | 定家 |
| 1417 | かすみにし けふのつきひを へたてても なほおもかけの たちそはなれぬ | 道家 |
| 1418 | わかれにし むかしのはるを おもひいてて やよひのけふの そらそかなしき | 忠家(藤原教実男) |
| 1419 | ほとときす なくこゑきかは まつとはむ してのやまちを ひとやこえしと | 道命 |
| 1420 | ゆふされは わきてなかめむ かたもなし けふりとたにも ならぬわかれは | 堀河(待賢門院) |
| 1421 | あすまても あるへきみとも おもはねは けふひくらしの こゑそかなしき | 梅壷女御(後朱雀院女御藤原生子) |
| 1422 | けふといへは あきのさかなる しらつゆも さらにやひとの そてぬらすらむ | 実氏 |
| 1423 | けふまても うきはみにそふ さかなれは みとせのつゆの かわくまそなき | 為家 |
| 1424 | かへにおふる くさのなかなる きりきりす いつまてつゆの みをやとすらむ | 雅成親王 |
| 1425 | きえぬへき つゆのうきみの おきところ いつれののへの くさはなるらむ | 大輔(殷富門院) |
| 1426 | おとにきく むかしのあとや これならむ のへのをささに あきかせそふく | 公衡(藤原公能男) |
| 1427 | あすしらぬ つゆのよにふる ひとにたに なほはかなしと みゆるあさかほ | 公任 |
| 1428 | はかなくも つきにこころの とまるかな すみはつましき みをはわすれて | 堀河(待賢門院) |
| 1429 | むかしわか つらねしそては くちはてて なみたにのこる あきのよのつき | 忠定(藤原兼宗男) |
| 1430 | なくなくも あととふわかの うらちとり いかなるなみに たちわかれけむ | 時直(平) |
| 1431 | かなしさを なくさめよとて とふほとに まつわかそての ぬれにけるかな | 顕昭 |
| 1432 | おくれゐて おもひやるこそ かなしけれ たかののやまの けふのみゆきは | 俊成(藤原俊忠男) |
| 1433 | かなしさは いひつくすへき かたもなし わかこころにて ひとをしらなむ | 成通 |
| 1434 | なきひとの かたみのけふり それたにも はてはむなしき そらにきえつつ | 顕氏(六条顕家男) |
| 1435 | のほりにし けふりのあとを たつぬれは むなしくはらふ みねのまつかせ | 御匣(式乾門院) |
| 1436 | おくつゆを いかにしほれと ふちころも ほさぬたもとに あきのきぬらむ | 忠景 |
| 1437 | ふちころも そてはほすへき ひまもなし なみたしくるる あきのわかれに | 忠兼(藤原忠行男) |
| 1438 | なみたのみ かかるとおもふ すみそめの そてのうへにも ふるこのはかな | 仲業 |
| 1439 | ゆくあきを いのちあらはと たのめても ひとのわかれは まつかたもなし | 兼氏 |
| 1440 | はかなさは よのつねとても なくさめつ こひしきをこそ しのひわひぬれ | 道命 |
| 1441 | つねならぬ よのためしたに なかりせは なにによそへて あはれしらまし | 高弁 |
| 1442 | たれとても とまるへきかは あたしのの くさのはことに すかるしらつゆ | 西行 |
| 1443 | なけかすよ さはへのあしの うきふしも よしやいつまて あらしとおもへは | 大納言典侍(後嵯峨院) |
| 1444 | よのなかに あるをありとは いとふとも なきをなしとは たれかしのはむ | 権大夫(七条院) |
| 1445 | よのなかは かくこそみゆれ つくつくと おもへはかりの やとりなりけり | 高光 |
| 1446 | はかなくそ おくるるつゆの みをしらて ひとのあはれに そてぬらしける | 通雅 |
| 1447 | あはれにそ つゆのゆかりを たつねける きえにしあとに のこることのは | 大弐(安嘉門院) |
| 1448 | つらかりし あきさへいまは むかしにて なみたしくるる かみなつきかな | 良実 |
| 1449 | いかにまた さらてもこけの したなるを かさねてうつむ けさのしらゆき | 定雅(藤原忠経男) |
| 1450 | あめとなり くもとなりにし かたみにも まかふさくらの いろやみるらむ | 後嵯峨院 |
| 1451 | またもこむ はるのわかれを なけきしは せめておもひの なきよなりけり | 実雄 |
| 1452 | たちかへり つねなきよそと しりなから ひとのおもひに またなけくかな | 良実 |
| 1453 | いまさらに つねなきよをは おとろかて しりていとはぬ みをなけくかな | 実雄 |
| 1454 | ぬきすつる かひこそなけれ ふちころも いまもいろなる そてのなみたに | 実伊 |
| 1455 | いろいろに おもひこそやれ すみそめの たもともあけに なれるなみたを | 匡衡 |
| 1456 | なつとても ころもはかへし すてしよの かたみにきたる すみそめのそて | 基氏(藤原基家男) |
| 1457 | ものおもふ やとのこすゑの もみちこそ なみたとともに とまらさりけれ | 実定 |
| 1458 | かつきえて とまらぬよとは しりなから はかなきかすも つもるゆきかな | 実経 |
| 1459 | かつきゆる ものともしらて あはゆきの よにふるはかり はかなきはなし | 慶政 |
| 1460 | しのはるる むかしのあとは なけれとも こそにかはらぬ けさのしらゆき | 道玄 |
| 1461 | いかなれは つらきならひの ゆめのよに さらぬわかれの うつつなるらむ | 覚宗 |
| 1462 | いまさらに おとろかれぬる こころかな ゆめよりのちも うつつならぬを | 尊家 |
| 1463 | おもひきや きみにおくるる みちしはに おいのなみたの つゆわけむとは | 湛空 |
| 1464 | あはれなと おなしけふりに たちそはて のこるおもひの みをこかすらむ | 為家 |
| 1465 | こころにも あらぬわかれは ありやせむ たれもしるよの いのちならねは | 深養父 |
| 1466 | かめのうへの やまをたつねし ひとよりも そらにこふらむ きみをこそおもへ | 尊子内親王 |
| 1467 | たつぬへき かたたにもなき わかれには こころをいつち やらむとそおもふ | 円融院 |
| 1468 | たらちねの なからむのちの かなしさを おもひしよりも なほそこひしき | 為家 |
| 1469 | みそきして ころもをとこそ おもひしか なみたをさへも なかしつるかな | 俊頼(源経信男) |
| 1470 | これやもし ゆめなるらむと おもふこそ せめてはかなき たのみなりけれ | 能清 |
| 1471 | なきとこに まくらとまらは たれかみて つもらむちりを うちもはらはむ | 一条院皇后宮 |
| 1472 | うゑおきて あめときかする まつかせに のこれるひとは そてそぬれける | 能因 |
| 1473 | なきひとの こころととめし たきつせを いまはかたみの なみたにそかる | 実氏 |
| 1474 | ひとこゑの かねのおとこそ あはれなれ いかなるひとの をはりなるらむ | 澄覚法親王 |
| 1475 | つひのみち きのふはすきぬ けふもまた よもとおもふそ はかなかりける | 信実 |
| 1476 | われはまた むなしきゆめの さめぬまに たかあかつきと とりのなくらむ | 雅成親王 |
| 1477 | おほかたは おきあへぬつゆの いくよしも あらしわかみの そてのあきかせ | 雅経 |
| 1478 | かかるをも しらすやありけむ しらつゆの けぬへきほとも わすれやはする | 村上天皇 |
| 1479 | ゆきとまる やととさたむる かたもなし かせのうへなる ちりのみなれは | 尊快法親王 |
| 1480 | おもひいつる けふしもそらの かきくれて さこそなみたの あめとふるらめ | 宗尊親王 |
| 1481 | おくるるは よのことわりの みちなれと さらぬわかれは なほそかなしき | 基良 |
| 1482 | つひにゆく みちのわかれの あるものを いつまてとてか よををしむらむ | 知家 |
| 1483 | さきたたは さきたつひとそ なけかまし おいておくるる おいのおもひを | 惟方 |
| 1484 | うけれとも いけるはさても あるものを しぬるみのみそ かなしかりける | 貫之 |
| 1485 | めくりあふ むかしかたりの あきのつき なくさめかぬる わかこころかな | 慶政 |
| 1486 | かたかたに あはれなるへき このよかな あるをおもふも なきをしのふも | 西行 |
| 1487 | はつねとは おもはさらなむ ひととせに ふたたひきたる はるのうくひす | 後嵯峨院 |
| 1488 | ゆきふかき やまはかすめる いろもなし としのうちなる はるのあけほの | 実氏 |
| 1489 | けふといへは みそふりまさる あらたまの たかためとしの はしめなるらむ | 知家 |
| 1490 | かすかのの まつのふるえの かなしきは ねのひにあへと ひくひともなし | 俊成(藤原俊忠男) |
| 1491 | まきもくの ひはらにたてる はるかすみ はれぬおもひは なくさまるやは | 人麿 |
| 1492 | あしひきの やまへにいまは やとりせし かすみもふかみ とふひともなし | 遍昭 |
| 1493 | しらさりき やまよりたかき よはひまて はるのかすみの たつをみむとは | 定家 |
| 1494 | つくつくと なかむるままに こひしきは かすめるかたや むかしなるらむ | 忠定(藤原兼宗男) |
| 1495 | かすみにも ふしのけふりは まかひけり にたるものなき わかおもひかな | 土御門院 |
| 1496 | かすみさへ なほことうらに たちにけり わかみのかたは はるもつれなし | 後鳥羽院 |
| 1497 | しほみては あまのつりかと みゆるかな きしにみたるる あをやきのいと | 有仁 |
| 1498 | はるさめの あまねきみよの めくみとは たのむものから ぬるるそてかな | 基良 |
| 1499 | くさもきも ときにあひける はるさめに もれたるそては なみたなりけり | 基家 |
| 1500 | はなのかの にほふにものの かなしきは はるやむかしの かたみなるらむ | 長家 |
| 1501 | やとかへて にほひおとるな うめのはな むかしわすれぬ ひともあるよに | 馬内侍 |
| 1502 | そてふれは なほいかならむ うめのはな たちよるたにも ひととかめけり | 高定 |
| 1503 | いかにして はるのひかりも しらぬみに かすめるつきの そてにみゆらむ | 忠定(藤原兼宗男) |
| 1504 | あきかせに またこそとはめ つのくにの いくたのもりの はるのあけほの | 順徳院 |
| 1505 | かへるかり くもゐはたれも なれしかと うらやましきは はるのかよひち | 土御門院 |
| 1506 | よのなかは いつくかいつく かへるかり なにふるさとへ いそくなるらむ | 基俊 |
| 1507 | ななそちに ひととせたらぬ おいかみの いつとたのみて はなをまつらむ | 実氏 |
| 1508 | はなさかぬ ときはのやまの みねにたに さくらをみせて かかるしらくも | 宗尊親王 |
| 1509 | みるたひに あはれこころの なくさみて うきにまきれぬ はなのいろかな | 民部卿(後一条関白〈実経〉家) |
| 1510 | したにこそ ひとのこころも うつろふを いろにみせたる やまさくらかな | 宗尊親王 |
| 1511 | はなさきし ときのはるのみ こひしくて わかみやよひの そらそのとけき | 為家 |
| 1512 | われならて みしよのはるの ひとそなき わきてもにほへ くものうへのはな | 後鳥羽院 |
| 1513 | あはれわか きみかみよより みしはなの かはらぬいろに としのへにける | 雅経 |
| 1514 | いにしへの おほうちやまの さくらはな おもかけならて みぬそかなしき | 為家 |
| 1515 | なつかしき かにこそにほへ そてふれし よよのむかしの はなのしたかせ | 後嵯峨院 |
| 1516 | ふりにける よよのみゆきの あとなれと けふこそはなに いろはそへつれ | 隆親(藤原隆衡男) |
| 1517 | なれゆくは うきよなれはや みよしのの やまのさくらも あかてちるらむ | 後鳥羽院 |
| 1518 | うきよをは はなみてたにと おもへとも なほすきかたく はるかせそふく | 光俊(葉室光親男) |
| 1519 | なからへは わかよのはるの おもひいてに かたるはかりの はなさくらかな | 長方 |
| 1520 | あくかれし はるのこころを いまよりは やとにとめよと はなそさきける | 貞慶 |
| 1521 | さくらはな さきそふままに しらくもの かさなるやまに にほふはるかせ | 成賢(祝部成茂男) |
| 1522 | みるひとそ むかしのいろは かはりける はなはおいきの はるもありけり | 隆衡 |
| 1523 | わきてみむ おいきははなも あはれなり いまいくたひか はるにあふへき | 西行 |
| 1524 | はなのいろの いまはさたかに みえぬかな おいははるこそ あはれなりけれ | 慶暹 |
| 1525 | おもかけの うつらぬときも なかりけり こころやはなの かかみなるらむ | 仙覚 |
| 1526 | むかしより こころにそめし はなのかは こけのそてまて かはらさりけり | 伊平 |
| 1527 | もろともに ありしむかしを おもひいてて はなみることに ねこそなかるれ | 伊勢 |
| 1528 | わかために なにのあたとて はるかせの をしむとしれる はなをふくらむ | 伊勢 |
| 1529 | をりふしの ゆくへもいまは しらぬみに はるこそかかる はなはみえしか | 実資 |
| 1530 | ねかはくは はなのしたにて はるしなむ そのきさらきの もちつきのころ | 西行 |
| 1531 | みてもなほ あかぬこころの あやにくに ゆふへはまさる はなのいろかな | 伊長 |
| 1532 | ちるはなは のちのはるとも またれけり またもくましき わかさかりはも | 清輔 |
| 1533 | さくらはな うつろふはるを あまたへて みさへふりぬる あさちふのやと | 定家 |
| 1534 | やまかけの ふるきのさくら おなしえも いかなるすゑに はなのさくらむ | 為綱 |
| 1535 | さくらはな ちるをかきりと おもふみは さくとみるまや いのちなるらむ | 政村 |
| 1536 | さけはちる ならひをしれは やまさくら さかりをみても をしまるるかな | 頼景 |
| 1537 | ひとしれぬ みやまかくれの さくらはな いたつらにちる はるやへぬらむ | 時茂 |
| 1538 | をしめとも たたおほかたの いつはりに おもひなしてや はなのちるらむ | 時広 |
| 1539 | あすしらぬ わかみなからも さくらはな うつろふいろそ けふはかなしき | 小宰相(土御門院) |
| 1540 | やまのはに ややいりぬへき はるのひの こころなかきも かきりこそあれ | 土御門院 |
| 1541 | かくはかり くるるわかれを したふとも おもひもしらす はるやゆくらむ | 師継 |
| 1542 | よをすてて のちさへはるを をしむこそ むかしわすれぬ こころなりけれ | 知家 |
| 1543 | このはるの わかれやかきり とまるみの おいてひさしき いのちならねは | 知家 |
| 1544 | おいかよの わかみのはなの なこりまて ことしはいたく をしきはるかな | 家隆 |
| 1545 | けふみれは なつのころもに なりにけり うきはかはらぬ みをいかにせむ | 重之女 |
| 1546 | うのはなの さけるかきねに ときならて わかことそなく うくひすのこゑ | 小町 |
| 1547 | いつくより なきていつれは ほとときす やまのおくにも なほまたるらむ | 良覚 |
| 1548 | おとせぬは まつひとからか ほとときす たれをしへけむ かすならぬみを | 俊頼(源経信男) |
| 1549 | うきみには つれなきやまの ほとときす たれにまたせて はつねきかまし | 素暹 |
| 1550 | あけぬれと なほもまたれて わきもこか こぬよにまさる ほとときすかな | 基政(藤原基綱男) |
| 1551 | まちつけて ことしもききつ ほとときす おいはたのみの なきみなれとも | 頼輔 |
| 1552 | いまはとて みやまをいつる ほとときす いかなるやとに なかむとすらむ | 大輔(延喜皇后宮) |
| 1553 | いささらは なみたくらへむ ほとときす われもうきよに なかぬひはなし | 雅成親王 |
| 1554 | いにしへを おもひいつれは ほとときす くもゐはるかに ねこそなかるれ | 為家 |
| 1555 | なつかりの あしふみしたく みつとりの よにたつそらも なきみなりけり | 静仁法親王 |
| 1556 | ふるかはの いりえのはしは なみこえて やまもとめくる さみたれのころ | 尊海 |
| 1557 | なつやまの おなしみとりの こすゑにも まつはしらるる かせのおとかな | 最信/良信 |
| 1558 | ゆふたちの またすきやらぬ みなとえの あしのはそよく かせのすすしさ | 時親(平) |
| 1559 | ひとしれす ねこそなかるれ うつせみの みはなきものと おもひなせとも | 四条(安嘉門院) |
| 1560 | みそきする たもとにふるる おほぬさの ひくてあまたに なひくかはかせ | 土御門院 |
| 1561 | なつはつる あかつきかたの まきのとは あけてののちそ すすしかりける | 兼通 |
| 1562 | さらてたに つゆほしやらぬ わかそての おいのなみたに あきはきにけり | 教定(飛鳥井雅経男) |
| 1563 | ときしらぬ みともおもはし あきくれは たかそてよりも つゆけかりけり | 光俊(葉室光親男) |
| 1564 | いくとせの なみたのつゆに しをれきぬ ころもふきほせ あきのはつかせ | 秀能(藤原秀宗男) |
| 1565 | かせわたる をかのかやはら あきくれは こころみたれぬ ゆふくれそなき | 澄覚法親王 |
| 1566 | いせしまや わかのまつはら みわたせは ゆふしほかけて あきかせそふく | 道家 |
| 1567 | まつかけの いりうみかけて しらすけの みなとふきこす あきのしほかせ | 基家 |
| 1568 | ちきりけむ ほとはしらねと たなはたの たえせぬけふの あまのかはなみ | 頼通 |
| 1569 | いつしかと まちくらしけむ たなはたの けさはきのふや こひしかるらむ | 義孝(藤原敦舒男) |
| 1570 | あきかせに のきはのをきの こたへすは ひとりやせまし むかしかたりを | 家隆 |
| 1571 | しをりして ゆくひともかな あきはきに はなのみたれて みちもしられす | 公実 |
| 1572 | なかつきの つつきのはらの あきくさに ことしはあまり おけるつゆかな | 行家(藤原知家男) |
| 1573 | くさしけみ にはこそあれて としへぬれ わすれぬものは あきのしらつゆ | 恵慶 |
| 1574 | いにしへは みにしむあきも なかりしを おいてはものや かなしかるらむ | 道済 |
| 1575 | あきをへて かさなるとしの かすよりも なみたそおいの しるしなりける | 隆親(藤原隆衡男) |
| 1576 | ふりにけり わかもとゆひの そのかみに みさりしいろの あきのはつしも | 兼康 |
| 1577 | くろかみは すちかはれとも こむらさき わかもとゆひの いろそつれなき | 後嵯峨院 |
| 1578 | おもふより つゆそとまらぬ こはきはら みさらむのちの あきのゆふかせ | 知家 |
| 1579 | あさかほの あしたのはなの つゆよりも あはれはかなき よにもふるかな | 道兼 |
| 1580 | ひとのよか つゆかなにそと みしほとに おもなれにける あさかほのはな | 英明女 |
| 1581 | ひとならぬ いはきもさらに かなしきは みつのこしまの あきのゆふくれ | 順徳院 |
| 1582 | あはれうき あきのゆふへの ならひかな ものおもへとは たれをしへけむ | 宗尊親王 |
| 1583 | わかこころ とまるところは なけれとも なほおくやまの あきのゆふくれ | 教家/康能 |
| 1584 | よそにゆく くもゐのかりの なみたさへ そてにしらるる あきのゆふくれ | 康能/教良 |
| 1585 | くさのはの つゆもわかみの うへなれは そてのみほさぬ あきのゆふくれ | 少将(藻璧門院) |
| 1586 | かくはかり ものおもふあきの いくとせに なほのこりける わかなみたかな | 順徳院 |
| 1587 | ふしわふる まかきのたけの なかきよも なほおきあまる あきのしらつゆ | 順徳院 |
| 1588 | おほかたの うきみはときも わかねとも ゆふくれつらき あきかせそふく | 後鳥羽院 |
| 1589 | いかさまに あきのゆふへを なくさめむ よはそむけとも もとのみにして | 知家 |
| 1590 | いつまてと こころをとめて ありはてぬ いのちまつまの つきをみるらむ | 義政 |
| 1591 | うらみすよ くもれはとても あきのつき みのうきとかの なみたなりけり | 忠兼(藤原忠行男) |
| 1592 | うきにのみ そてをやぬらす あきのつき こころすむにも なみたおちけり | 長雅 |
| 1593 | いくたひか わかみひとつに あきをへて そてのなみたに つきをみるらむ | 成実(藤原親実男) |
| 1594 | みのうさを なけかぬあきの よはもあらは そてにくまなき つきはみてまし | 時茂 |
| 1595 | いかにして みをかへてみむ あきのつき なみたのはるる このよならねは | 雅成親王 |
| 1596 | おいらくの わかみのかけは かはれとも おなしむかしの あきのよのつき | 忠信 |
| 1597 | いととしく ものおもふよはの つきかけに むかしをこふる そてのつゆけさ | 東三条院 |
| 1598 | つきことに みるつきなれと このつきの こよひのつきに にるつきそなき | 村上天皇 |
| 1599 | いにしへは われたにしのふ あきのつき いかなるよよを おもひいつらむ | 為家 |
| 1600 | なくなくも わかよふけぬと みつるかな かたふくつきを そてにやとして | 実氏 |
| 1601 | さもこそは ねまちのつきの ころならめ いてもやられぬ くものうへかな | 承仁法親王 |
| 1602 | ふかきよの くもゐのつきや さえぬらむ しもにわたせる かささきのはし | 順徳院 |
| 1603 | うはたまの よはのまくらに おくしもの かさなるままに みこそふりぬれ | 基氏(藤原基家男) |
| 1604 | つゆおかぬ そてにはつきの かけもなし なみたやあきの いろをしるらむ | 宗尊親王 |
| 1605 | くもれとは おもはぬものを あきのよの つきになみたの なとこほるらむ | 信実 |
| 1606 | きりはれは あすもきてみむ うつらなく いはたのをのは もみちしぬらむ | 順徳院 |
| 1607 | なつのひは かけにすすみし かたをかの ははそはあきそ いろつきにける | 能因 |
| 1608 | よそへても みれはなみたそ ふりまさる のこりすくなき にはのもみちは | 実氏 |
| 1609 | このはこそ かせのさそへは もろからめ なとかなみたも あきはおつらむ | 能清 |
| 1610 | くれてゆく あきををしまぬ そらたにも そてよりほかに なほしくるなり | 親行(源光行男) |
| 1611 | やまたもる そほつのみこそ あはれなれ あきはてぬれは とふひともなし | 玄賓 |
| 1612 | そてぬれし ときをたにこそ なけきしか みさへしくれの ふりもゆくかな | 道綱母 |
| 1613 | しくれのみ おとはのさとは ちかけれと みやこのひとの ことつてはなし | 実雄 |
| 1614 | とはすとも おとはのさとの はつしくれ こころのいろは もみちにもみよ | 後嵯峨院 |
| 1615 | やまかはの こほりやうすく むすふらむ したにこのはそ みえてなかるる | 泰時 |
| 1616 | まきのやに このはしくれと ふりはてて そてにとまるは なみたなりけり | 覚寛 |
| 1617 | このはのみ そらにしられぬ しくれかと おもへはまたも ふるなみたかな | 具氏 |
| 1618 | ここにても そてぬらせとや よのうきめ みえぬやまちの なほしくるらむ | 宗尊親王 |
| 1619 | かみなつき しくれはかりを ふりぬとも わかみのよそに いつおもひけむ | 家良 |
| 1620 | かみなつき しくるるくもは はれにけり つれなくふるや わかみなるらむ | 家良 |
| 1621 | かせさわく ゆふへのそらの むらくもに おもひもあへす ふるしくれかな | 範忠 |
| 1622 | いたつらに なみたしくれて かみなつき わかみふりぬる もりのかしはき | 教定(飛鳥井雅経男) |
| 1623 | しくれつつ さひしきやとの いたまより もるにもすきて ぬるるそてかな | 政村 |
| 1624 | かくはかり さためなきよに としふりて みさへしくるる かみなつきかな | 家隆 |
| 1625 | いかはかり ふもとのさとの しくるらむ とほやまうすく かかるむらくも | 順徳院 |
| 1626 | とやまにて よしののおくを おもふかな みゆきふるらし しくれふるなり | 行意 |
| 1627 | つもれたた さらにもたれか ふみわけむ このはふりにし にはのはつゆき | 具定 |
| 1628 | ふりそめて いくかともなき ゆきのうちに かつかつひとの とはぬやとかな | 伊信 |
| 1629 | かせはやみ あまきるゆきの くもまより こほれるつきの かけそさやけき | 親清女 |
| 1630 | あさなあさな よそにやはみる ますかかみ むかひのをかに つもるしらゆき | 知家 |
| 1631 | しろたへに ゆきもわかみも ふりはてぬ あはれなこりの ありあけのつき | 公経(藤原実宗男) |
| 1632 | ふしのねは ゆきのうちにも あらはれて うつもれぬなに たつけふりかな | 近衛(今出河院) |
| 1633 | つきもせす おなしうきよを をしむとや わかみにつもる としはみるらむ | 俊成女 |
| 1634 | おいぬれは はやくもとしの くるるかな むかしもおなし つきひなれとも | 信生 |
| 1635 | いたつらに つきひはゆきと つもりつつ わかみふりぬる としのくれかな | 通具 |
| 1636 | としといひて ことしさへまた くれにけり あはれおほくの おいのかすかな | 信実 |
| 1637 | わかのうらに しほみちくれは かたをなみ あしへをさして たつなきわたる | 赤人 |
| 1638 | みなとかせ さむくふくらし なこのえに つまよひかはし たつさはになく | 家持 |
| 1639 | なにはかた しほひにたちて みわたせは あはちのしまに たつわたるみゆ | 読人不知 |
| 1640 | かこのしま まつはらこしに みわたせは ありあけのつきに たつそなくなる | 後鳥羽院 |
| 1641 | をくろさき みつのこしまに あさりする たつそなくなる なみたつらしも | 後嵯峨院 |
| 1642 | ともつるの むれゐしことは むかしにて みしまかくれに ねをのみそなく | 成実(藤原親実男) |
| 1643 | くさかえの いりえのたつの たつきなく ともなきねをや ひとりなくらむ | 忠家(藤原教実男) |
| 1644 | すまのあまの うらこくふねの かちをたえ よるへなきみそ かなしかりける | 小町 |
| 1645 | さよふけて ほりえこくなる まつらふね かちおとたかし みをはやみかも | 人麿 |
| 1646 | そてのかや なほとまるらむ たちはなの こしまによせし よはのうきふね | 後嵯峨院 |
| 1647 | かきりあれは かすまぬうらの なみまより こころときゆる あまのつりふね | 隆祐 |
| 1648 | よをうみの あまのをふねの つなてなは こころのひくに みをなまかせそ | 泰時 |
| 1649 | あしねはふ いりえのをふね さすかなほ うきにたへても よをわたるかな | 円勇 |
| 1650 | たちかへり みてこそゆかめ ふしのねの めつらしけなき けふりなりとも | 宗尊親王 |
| 1651 | やまひとの ころもなるらし しろたへの つきにさらせる ぬのひきのたき | 良経(九条兼実男) |
| 1652 | みなかみは いつこなるらむ しらくもの なかよりおつる ぬのひきのたき | 輔親 |
| 1653 | やまひめの みねのこすゑに ひきかけて さらせるぬのや たきのしらなみ | 俊頼(源経信男) |
| 1654 | かせふけは あまのとまやの あれまくも をしまかいそに よするなみかな | 有家(藤原重家男) |
| 1655 | あかしかた なみのおとにや かよふらむ うらよりをちの をかのまつかせ | 帥(鷹司院) |
| 1656 | さととほみ しほやくうらは みえわかて けふりにかくる おきつしらなみ | 信実 |
| 1657 | おほうみは しまもあらなくに うなはらや たゆたふなみに たてるしらくも | 人麿 |
| 1658 | あかつきの ゆめにみえつつ かちしまの いはこすなみの くたけてそおもふ | 宇合 |
| 1659 | いなみのや やまもととほく みわたせは をはなにましる まつのむらたち | 土御門院 |
| 1660 | みわたせは しほかせあらし ひめしまや こまつかうれに かかるしらなみ | 宗尊親王 |
| 1661 | いつかたか しけりまさると わすれくさ よしすみよしの なからへてみよ | 清少納言 |
| 1662 | みつしほも きしへはるかに なりはてて いまはうらなる すみよしのまつ | 後嵯峨院 |
| 1663 | すゑたえぬ よしののかはの みなかみや いもせのやまの なかをゆくらむ | 醍醐天皇 |
| 1664 | えにふかく としはへにける まつなれと かかるみゆきは けふやみるらむ | 伊衡 |
| 1665 | このかはの いりえのまつは おいにけり ふるきみゆきの ことやとはまし | 是則 |
| 1666 | おほゐかは そこにもみゆる かめやまの かはらぬかけは いくよへぬらむ | 中務 |
| 1667 | わかやとの ものかあらぬか あらしやま あるにまかせて おつるたきつせ | 後嵯峨院 |
| 1668 | ありあけの そらにわかれし いもかしま かたみのうらに つきそのこれる | 後嵯峨院 |
| 1669 | はまきよく すむつきかけを あけぬとや ゆらのみなとに ふねよはふなり | 実定 |
| 1670 | つきかけの ふけひのうらの さよちとり のこるあとにも ねはなかれけり | 素俊 |
| 1671 | ふくかせも のとけきはなの みやことり をさまれるよの ことやとはまし | 少将内侍(後深草院) |
| 1672 | はまちとり あとをみるにも そてぬれて むかしにかへる すまのうらなみ | 月花門院 |
| 1673 | いまさらに すまのうらちの もしほくさ かくにつけても ぬるるそてかな | 良平女 |
| 1674 | あさりすと いそにわかみし なのりそを いつれのしまの あまかかるらむ | 読人不知 |
| 1675 | いはしろの まつこともなき わかみさへ なにとうきよに むすほほるらむ | 資実 |
| 1676 | こころをは わかこころこそ なくさむれ あらましことの とはすかたりに | 家隆 |
| 1677 | おのつから ふるきにかへる いろしあらは はなそめころも つゆやわけまし | 後鳥羽院 |
| 1678 | よものうみ むかしにかへる なみのうへに はまひといまや みかりまつらむ | 道家 |
| 1679 | ひさかたの あめよりおろす たまほこの みちあるくにそ いまのわかくに | 後嵯峨院 |
| 1680 | よをてらす つきひのひかり みるたひに くもらしとおもふ こころこそつけ | 実氏 |
| 1681 | くもらしな ますみのかかみ かけそふる くすはのみやの はるのよのつき | 実経 |
| 1682 | おとはかは せきいれしみつに かけとめて ひとのこころを つきにみるかな | 公経(藤原実宗男) |
| 1683 | われのみや いりえのなみに そてぬれて しつめるかけを つきにうれへむ | 為綱 |
| 1684 | むそちあまり みつるもかなし なにとして こころのとまる つきとなるらむ | 基家 |
| 1685 | なにことに こころをとめて ありあけの つきもうきよの そらにすむらむ | 新右衛門督(宗尊親王家) |
| 1686 | あかすのみ おもひおかるる かなしさに このころいたく つきをみるかな | 信実 |
| 1687 | おほそらの むかしににたる つきかけを みやこにあらて みるそかなしき | 義懐 |
| 1688 | おくやまに みをはのかれぬ あはれまた こころをすつる みちをしらはや | 隆衡 |
| 1689 | うしとても またはいつちか あくかれむ やまよりふかき すみかなけれは | 忠良 |
| 1690 | はなすすき まねきもやまぬ やまさとに こころのかきり ととめつるかな | 兼家 |
| 1691 | ふくかせも とふにつらさの まさるかな なくさめかぬる あきのやまさと | 定雅(藤原忠経男) |
| 1692 | さらてたに こころうかるる やまさとの ゆふくれことに あきかせそふく | 公基 |
| 1693 | こころたに うきよをふかく いとひなは なにかはやまの おくももとめむ | 宗尊親王 |
| 1694 | さきたてて こころはやまに すむものを いへをいてぬと いはぬはかりそ | 顕朝 |
| 1695 | やまふかく なにかいほりを むすふへき こころのうちに みはかくれけり | 定円(葉室光俊男) |
| 1696 | すてしより やまのおくにと おもふみの すまれぬものは こころなりけり | 基氏(藤原基家男) |
| 1697 | やまさとに いつしかひとの またるるや すみはつましき こころなるらむ | 基政(藤原基綱男) |
| 1698 | たえすとふ かけひのみつの なさけこそ おとつれなから さひしかりけれ | 為家 |
| 1699 | やまふかく すむにもよらぬ こころかな つらきよをのみ なほしのひつつ | 土御門院 |
| 1700 | つゆしもの をくらのやまに いへゐして ほさてもそての くちぬへきかな | 定家 |
| 1701 | しりぬらむ ゆききにならす しほつやま よにふるみちは からきものそと | 紫式部 |
| 1702 | わりなしや ひとこそひとと いはさらめ みつからみをや おもひすつへき | 紫式部 |
| 1703 | よのなかよ いかかたのまむ あすかかは きのふのふちの あさせしらなみ | 少将(藻璧門院)/但馬(藻璧門院) |
| 1704 | ふちはせに かはるとみれと あすかかは しつむみくつは うかふせもなし | 光行 |
| 1705 | すすかかは わかみふりぬる おいのなみ やそせもちかく ぬるるそてかな | 知家 |
| 1706 | おもふこと なほしきなみに おほしまの なるとはなくて としのへぬらむ | 知家 |
| 1707 | いつまてか そてうちぬらし ぬまみつの すゑもとほらぬ ものおもひけむ | 光俊(葉室光親男) |
| 1708 | かすならて よにふるかはの うもれみつ ゆくかたもなく ぬるるそてかな | 頼重 |
| 1709 | うしとても みをはいつくに おくのうみの うのゐるいはも なみはかくらむ | 順徳院 |
| 1710 | なにことの いつあるへしと おもひてか かかるうきよに つれなかるらむ | 基家 |
| 1711 | ひにそへて なみたのつゆの しけけれは あたなるたまの をこそよわけれ | 貞慶 |
| 1712 | いにしへは よのうきはかり おほえしに おいをかさねて みをなけくかな | 政村 |
| 1713 | さりともと むかしはすゑも たのまれき おいそうきみの かきりなりける | 道円 |
| 1714 | きくひとも あはれとおもへ おいのなみ たちゐにつけて やすからぬみを | 実氏 |
| 1715 | むかしみし のはらはさとと なりにけり かすそふたみの かすはしらねと | 実氏 |
| 1716 | たかまとの をのへのみやの あさちはら あれにしのちも いくよへぬらむ | 真昭 |
| 1717 | みしよこそ おもひいてても しのはるれ しらぬむかしの なそやこひしき | 基政(藤原基綱男) |
| 1718 | みつのおもに おひてみたるる うきくさは なみのうへにや たねをまきけむ | 躬恒 |
| 1719 | ひとはみな もとのこころそ かはりゆく のなかのしみつ たれかくむへき | 後鳥羽院 |
| 1720 | ゆくすゑは ゆかしけれとも こしかたの こひしきはかり おほえやはする | 頼輔 |
| 1721 | ねさめして おもひとくこそ かなしけれ うきよのゆめを いつまてかみむ | 頼輔 |
| 1722 | むかしいま おもひのこさぬ ねさめかな あかつきはかり ものわすれせて | 実氏 |
| 1723 | あかつきの とりのねきかぬ やまさとは ねさめそよはの ほとをしりける | 家良 |
| 1724 | みをおもふ ねさめのなみた ほさぬまに なきつつけたる とりのこゑかな | 為家 |
| 1725 | うきものと ねさめをたれに ならひてか あかつきことに とりのなくらむ | 隆弁 |
| 1726 | あけぬとて ゆふつけとりの こゑすなり たれかわかれの そてぬらすらむ | 定家 |
| 1727 | せきのとも あけかたちかく なりにけり いまなくとりは そらねならしな | 心円 |
| 1728 | あふさかの せきのあらしの はけしきに しひてそゐたる よをすきむとて | 蝉丸 |
| 1729 | うなはらや たゆたふなみの はてもなし いつくなるらむ くものをちかた | 実氏 |
| 1730 | あけわたる あしやのうみの なみまより ほのかにめくる きちのとほやま | 為家 |
| 1731 | いこまやま よそになるをの おきにいてて めにもかからぬ みねのあまくも | 家長(源時長男) |
| 1732 | かせふけは いつれのしまと たのむらむ はるかにいつる あまのつりふね | 秀能(藤原秀宗男) |
| 1733 | かせわたる はまなのはしの ゆふしほに さされてのほる あまのつりふね | 為家 |
| 1734 | つきいてて いまこそかへれ なこのえに ゆふへわするる あまのつりふね | 光俊(葉室光親男) |
| 1735 | わかのうらや しらぬしほちに こきいてて みにあまるまて つきをみるかな | 光俊(葉室光親男) |
| 1736 | ふけゆけは やまかけもなし よしのなる なつみのかはの あきのよのつき | 行実 |
| 1737 | わかみから ものおもふことも なくさまて うきよのままに つきをみるかな | 経平(衣笠家良男) |
| 1738 | くさのいほを つきとともには いてぬれと かけかくすへき やまのはそなき | 胆空 |
| 1739 | くもゐより やとりなれにし あきのつき いかにかはれる なみたとかしる | 土御門院 |
| 1740 | つきはなほ みしよのかけや のこるらむ あるにもあらぬ そてのなみたに | 伊平 |
| 1741 | いくたひか あはれむかしと おもひいてて みのいたつらに つきをみるらむ | 良実 |
| 1742 | いにしへの おもかけをさへ さしそへて しのひかたくも すめるつきかな | 俊頼(源経信男) |
| 1743 | いにしへを おもひいてつつ なかむれは やかてなみたに くもるつきかな | 師季(中原師綱男) |
| 1744 | かそふれは としこそいたく おいにけれ よをへてみつる つきのつもりに | 西音 |
| 1745 | つきみては なれにしひとも こひしきに われをはたれか おもひいつらむ | 道命 |
| 1746 | いまはわれ つきもなかめし はれやらぬ こころたくはは くもりもそする | 隆俊 |
| 1747 | われもまた やまのはちかし ありあけの つきをあはれと なかめせしまに | 実定 |
| 1748 | ふりにける みわのひはらに こととはむ いくよのひとか かさしをりけむ | 知家 |
| 1749 | いにしへの ことはしらぬを われみても ひさしくなりぬ あまのかくやま | 惟明親王 |
| 1750 | としつもる をすてのやまの まきのはも ひさしくみねは こけおひにけり | 読人不知 |
| 1751 | あなしかは かはおとたかし まきもくの ゆつきかたけに くもたてるらし | 人麿 |
| 1752 | おちたきつ ちちのなかれは つもれとも かはらぬものは おきつしらなみ | 人麿 |
| 1753 | せりかはの なみもむかしに たちかへり みゆきたえせぬ さかのやまかせ | 俊成(藤原俊忠男) |
| 1754 | けふをいかに みそなはすらむ むかしより みをはなれたる かけしなけれは | 良経(九条兼実男) |
| 1755 | みははやく よはひもおいぬ かきのもとの ひさしきかけは わかきみのため | 後嵯峨院 |
| 1756 | をはたたの みやのふるみち いかならむ たえにしのちは ゆめのうきはし | 知家 |
| 1757 | たまきはる いのちはしらす まつかえを むすふこころは なかくとそおもふ | 土御門院 |
| 1758 | すみよしと たかいひおきし うらならむ さひしかりける まつのかせかな | 家持 |
| 1759 | いたつらに としもつもりの うらにおふる まつそわかみの たくひなりける | 基隆(藤原基綱男) |
| 1760 | いたつらに わかみもふりぬ たかさこの をのへにたてる まつひとりかは | 頼政 |
| 1761 | よにあらは またかへりこむ つのくにの こかけのまつよ おもかはりすな | 能因 |
| 1762 | とへかしな たまくしのはに みかくれて もすのくさくき めちならすとも | 基俊 |
| 1763 | しらすやは いせのはまをき かせふけは をりふしことに こひわたるとは | 俊頼(源経信男) |
| 1764 | ゆくすゑは うきよりほかに なにをかは むかしはとても ひとにかたらむ | 顕季 |
| 1765 | あかさりし むかしのことを かきつくる すすりのみつは なみたなりけり | 下野(後鳥羽院) |
| 1766 | いにしへの こひしさいかに おほゆらむ きのふのことも わすらるるみに | 和泉式部 |
| 1767 | おもひいての ありきあらすは いにしへを こふるこころの うちそしるらむ | 信実 |
| 1768 | みつくきの むかしのあとに なかるるは みぬよをしのふ なみたなりけり | 信実 |
| 1769 | なかなかに おもひいててそ なくさむる わすられぬへき むかしならねは | 為家 |
| 1770 | なかなかに むかしそつらき あはれてふ ことをあまたに おもひいつれは | 仲敏 |
| 1771 | いきてかく きみにつかふる おいかみを たくひなしとは よひとさためよ | 長時 |
| 1772 | たらちねの こころのやみを しるものは こをおもふときの なみたなりけり | 実氏 |
| 1773 | ことのはは みにこそしらね たらちねの かたみはかりに とふひともかな | 基良 |
| 1774 | たらちねの あらましかはと おもふにそ みのためまても ねはなかれける | 隆祐 |
| 1775 | たらちねの みちのしるへの あとなくは なににつけてか よにつかへまし | 光俊(葉室光親男) |
| 1776 | あとあれは おとろのみちも ふみそめつ いまゆくすゑの まよはすもかな | 為家 |
| 1777 | やくもたつ いつもやへかき けふまても むかしのあとは へたてさりけり | 高定 |
| 1778 | やくもたつ みちはふかきを あさかやま あさくもひとの おもひいるかな | 良経(九条兼実男) |
| 1779 | いまもまた つもれることを とはるるは ちりにつけとや やまとことのは | 基家 |
| 1780 | いそのかみ ふるのなかみち たちかへり むかしにかよふ やまとことのは | 行家(藤原知家男) |
| 1781 | わすられぬ もとのこころの ありかほに のなかのしみつ かけをたにみし | 具親 |
| 1782 | かけたえて ひとこそとはね いにしへの のなかのしみつ つきはすむらむ | 俊成女 |
| 1783 | そてぬらす かたみなりけり もしほくさ かきおくあとの わかのうらなみ | 教雅 |
| 1784 | みれとなほ のへにかれせぬ たまささの はわけのつゆは いつもきえせし | 秀茂 |
| 1785 | ささたけの わかよのほとの おもひいてに しのはれぬへき ひとふしもかな | 天暦贈太皇太后宮 |
| 1786 | いかにせむ みはいやしくて としたかき ひとをあはれと おもふよもかな | 後嵯峨院 |
| 1787 | かたるへき ひとしなけれは こしかたを こころにとひて ねをのみそなく | 家隆 |
| 1788 | なからへて ものはおもはし いまのまの うきにかきれる いのちなりせは | 実氏 |
| 1789 | なけくとて あはれをかくる ひともあらし なにになみたの うきをしるらむ | 通氏 |
| 1790 | くれたけの うきふししけく なりにけり さのみはよもと おもひしものを | 忠良 |
| 1791 | ひくるれは たけのそのふに ぬるとりの そこはかとなく ねをもなくかな | 俊頼(源経信男) |
| 1792 | なにことに おもひきゆらむ あさつゆの うきわかみたに あれはあるよに | 俊頼(源経信男) |
| 1793 | おもひおく つゆのよすかの しのふくさ きみをそたのむ みはきえぬとも | 基俊 |
| 1794 | ゆふくれの なからましかは しらくもの うはのそらなる ものはおもはし | 定家 |
| 1795 | くるるまも たのむものとは なけれとも しらぬそひとの いのちなりける | 土御門院 |
| 1796 | おもひわく みのことわりの しるしとて うきもうからす なるこころかな | 順徳院 |
| 1797 | むくらはふ やとたにあきは さひしきを いくへかとつる みねのしらくも | 行能 |
| 1798 | あはれしる ひとしなけれは よとともに わかおもふことを いはてやみぬる | 長明 |
| 1799 | ありわふる みはわれのみと おもひしに たかなつけける うきよなるらむ | 顕仲(藤原資仲男) |
| 1800 | すませとも あさきせにたつ うはなみの しつめかたきは こころなりけり | 基隆(藤原基綱男) |
| 1801 | いけるよに しのはるるなの あらはこそ くちなむこけの したにのこらめ | 俊定(源具定男) |
| 1802 | よのなかを いつかたにとか うらむらむ ひとこそあさき こころなるらめ | 定通(土御門通親男) |
| 1803 | ぬるかうちに おもひのほかの こともみつ ゆめよいかなる ものとしらはや | 宇多天皇 |
| 1804 | なにそこの ゆめてふものの ありそめて ぬるかうちにも みをなけくらむ | 後嵯峨院 |
| 1805 | さめてこそ はかなかりけれ ぬるかうちに ゆめをうつつと おもふこころは | 実経 |
| 1806 | まとろむも おなしこころの みれはこそ さめてもゆめの わすれさるらめ | 基平(近衛兼経男) |
| 1807 | ゆめはなほ むかしにもまた かへりなむ ふたたひみぬは うつつなりけり | 家良 |
| 1808 | うつつこそ なほうかりけれ ゆめならは こふるむかしを またもみてまし | 宗尊親王 |
| 1809 | すきぬれは うつつもゆめに かはらぬを ぬるかうちとも おもひけるかな | 行家(藤原知家男) |
| 1810 | なかきよに ねふりはさめて いかなれは このよをゆめと おもひなるらむ | 具房 |
| 1811 | ききなるる やそちあまりの かねのこゑ よひあかつきも あはれいつまて | 顕真 |
| 1812 | なほしはし いのちををしと おもふこそ おいをいとはぬ こころなりけれ | 信実 |
| 1813 | ななそちを すききつるたに ほとなきに いまいくかとて よをたのむらむ | 信実 |
| 1814 | いかにせむ みにななそちの すきにしを きのふもおもへは けふもくれぬる | 祐盛 |
| 1815 | いまそわれ しほみついその いはかねの のこりすくなき みとはなりぬる | 蓮生法師 |
| 1816 | けふそおもふ きみにあはてや やみなまし やそちあまりの よはひならすは | 隆弁 |
| 1817 | いつまてか なかきよからと かこちけむ おいのねさめは をりをわくかは | 昭平法親王 |
| 1818 | なかきよの ねさめにおもふ ほとはかり うきよをいとふ こころありせは | 後鳥羽院 |
| 1819 | ねさめする よはのこころの ままならは おもひさためぬ みとはなけかし | 小宰相(土御門院) |
| 1820 | うつつにて ゆめなるものは なかきよの ねさめにおもふ むかしなりけり | 政村 |
| 1821 | としたけは いとふへきよと おもひしに おいのこころの なほとまりぬる | 公朝 |
| 1822 | なけくそよ かかみのかけの あさことに つもりてよする ゆきとなみとを | 時広 |
| 1823 | うきたひに そむきてもまた いかかせむ このよひとつの おもひならねは | 為家 |
| 1824 | さりとても そむきもはてす ひとことに たたいつはりの うきよなりけり | 順徳院 |
| 1825 | おもふこと なきたにやすく そむくよに あはれすてても をしからぬみを | 実経 |
| 1826 | つらきにも うきにもたへて としはへぬ いかなるときか よをはいとはむ | 越前(嘉陽門院) |
| 1827 | なにことの まつなけかれて そむくへき みをもわするる こころなるらむ | 能清 |
| 1828 | そむくへき わかよやちかく なりぬらむ こころにかかる みねのしらくも | 知家 |
| 1829 | みはかりは なほもうきよを そむかはや こころはなかく きみにたかはて | 慈円 |
| 1830 | よのなかの そむきかたさに みのほとを おもひしらすと ひとにみえぬる | 俊頼(源経信男) |
| 1831 | しりなから いとはぬよこそ かなしけれ わかためつらき みをおもふとて | 実氏 |
| 1832 | さてもまた いつくをつひの すみかとて いへをいてむと おもひたつらむ | 顕家 |
| 1833 | みをつめは そてそぬれぬる あまころも おもひたつらむ ほとのかなしさ | 東三条院 |
| 1834 | なけかしと かねてこころを せしかとも けふになるこそ かなしかりけれ | 赤染衛門 |
| 1835 | さらてたに ありしにもあらぬ おなしよを そむくときくそ いととかなしき | 四条(安嘉門院) |
| 1836 | ありしにも あらぬたもとの あきのかせ いかなるいろに ふきかはるらむ | 為継 |
| 1837 | そてのうへは ありしにもあらぬ いろなから おなしみにしむ あきかせそふく | 仲能 |
| 1838 | ますかかみ しらぬおきなは みなれにき いまさらたとる おもかけもうし | 基良 |
| 1839 | うきたひの たたあらましと おもひしに ちきりありける すみそめのそて | 明教 |
| 1840 | そむきにし しるしはいつら たちかへり うきよにかくて すみそめのそて | 小侍従(太皇太后宮) |
| 1841 | にしへゆく つきはたのみも ありなから こころのやみの はれかたのよや | 大弐(修明門院) |
| 1842 | いるかたを うきよのほかに なくさめて つきにこころの やみははるけよ | 按察(鷹司院) |
| 1843 | おもひやる こころはつねに かよふとも しらすやきみか ことつてもなき | 泰時 |
| 1844 | ひとしれす おもふこころの かよふこそ いふにまされる しるへなるらめ | 高弁 |
| 1845 | うつもれぬ のちのなさへや とめさらむ なすことなくて このよくれなは | 良経(九条兼実男) |
| 1846 | うきなから なほつれなくて すくすとも あらしわかみの すゑのおもひて | 有家(藤原重家男) |
| 1847 | みのうさの こころにあまる ときにこそ なみたはそてに おちはしめけれ | 按察(鷹司院) |
| 1848 | うきよには かかれとてこそ うまれけめ ことわりしらぬ わかなみたかな | 土御門院 |
| 1849 | ひとすちに ひとやはつらき よのなかの うきにつけては みをそうらむる | 通忠 |
| 1850 | なへてよの ひとこそさらに つらからね わかこころたに みをはおもはす | 家良 |
| 1851 | うきことに なれぬるものは こころとて なほもつれなく よをやすくさむ | 寂身 |
| 1852 | ふかけれと ちひろのうみは ほとしりぬ ひとのおもひは さをもおよはす | 忠岑 |
| 1853 | あやしくも なくさめかたき こころかな をはすてやまの つきもみなくに | 小町 |
| 1854 | うきよとて いとひすてても いかかせむ そむかぬたにも かすならぬみを | 良教 |
| 1855 | いにしへは かくやおほえし まつことの なけれははやく ゆくつきひかな | 公朝 |
| 1856 | おもひいても またまつことも なけれとも さすかによこそ すてもやられね | 祐盛 |
| 1857 | よろこふも なけくもあたに すくるよを なとかはいとふ こころなからむ | 永観 |
| 1858 | いとひても なほいとふへき よのうさの おもふほとには おもはれぬかな | 伊平 |
| 1859 | いままても あるはおもひの ほかなれは みをなけくへき ことわりもなし | 光俊(葉室光親男) |
| 1860 | なにゆゑに いままてよには ふるみそと こころのとへは ねこそなかるれ | 光俊(葉室光親男) |
| 1861 | ふたはより まつのよはひを おもふには けふそちとせの はしめとはみる | 一条院 |
| 1862 | ふくかせの えたもならさぬ このころは はなもしつかに にほふなるへし | 花山院 |
| 1863 | つきもせす よはひひさしき かめやまの さくらはかせも ちらささりけり | 伊勢大輔 |
| 1864 | たつねきて あかぬこころに まかせなは ちとせやはなの かけにすくさむ | 亀山院 |
| 1865 | はなみても のとけかりけり いくちよと かきりもしらぬ はるのこころは | 親子(典侍親子朝臣) |
| 1866 | うめかえに よよのむかしの はるかけて かはらすきゐる うくひすのこゑ | 後嵯峨院 |
| 1867 | いろいろに えたをつらねて さきにけり はなもわかよも いまさかりかも | 後嵯峨院 |
| 1868 | いろいろに さかえてにほへ さくらはな わかきみきみの ちよのかさしに | 実氏 |
| 1869 | もろひとの てことにかさす さくらはな あまたちとせの はるそしらるる | 公親 |
| 1870 | このはるそ こころのいろは ひらけぬる むそちあまりの はなはみしかと | 実氏 |
| 1871 | さきそむる かさしのはなの ちよをへて こたかくならむ かけをこそまて | 頼綱 |
| 1872 | ちよをへて そこまてすめる いけみつに ふかくもうつる はなのいろかな | 宗忠 |
| 1873 | としとしの みゆきかさなる やまさくら はなのところは はるもかきらし | 実雄 |
| 1874 | いくはるも ちらてそはなは にほふへき かせしつかなる くものうへとて | 基平(近衛兼経男) |
| 1875 | みちよへて なるてふももの すゑのよの はなのさかりは きみのみそみむ | 時文 |
| 1876 | ふちなみの かけさしならふ みかさやま ひとにこえたる こすゑをそみる | 下野(後鳥羽院) |
| 1877 | おもひやれ みかさのやまの ふちのはな さきならへつつ みつるこころは | 実氏 |
| 1878 | なかれての ゆくすゑとほき みつくきは きみかすむへき かすをこそかけ | 後朱雀院 |
| 1879 | たつのゐる いはかきぬまの あやめくさ ちきりてひかむ きみかためには | 師頼 |
| 1880 | いけみつに いはほとならむ さされいしの かすもあらはに すめるつきかけ | 雅経 |
| 1881 | きみかよの ちとせのかけを さしそへて つきやとれとや すめるいけみつ | 良平 |
| 1882 | よをてらす よもきかほらの つきかけは あきつしまねの ほかもくもらし | 雅真/雅具 |
| 1883 | くものうへの ほしかとみゆる きくなれは そらにそちよの あきはしらるる | 堀河(待賢門院) |
| 1884 | ももしきに うつろひわたる きくのはな にほひそまさる よろつよのあき | 聖武天皇 |
| 1885 | あめつちも うけたるとしの しるしにや ふるしらゆきも やまとなるらむ | 後朱雀院 |
| 1886 | ゆきつもる まつはおいきと おもひしに さらにはなさく としのくれかな | 公相 |
| 1887 | かみかせや みもすそかはの なかれこそ つきひとともに すむへかりけれ | 良経(九条兼実男) |
| 1888 | いかにいかか かそへやるへき やちとせの あまりひさしき きみかみよをは | 紫式部 |
| 1889 | きみをいのる けふのたふとさ かくしこそ をさまれるよは たのしきをつめ | 定家 |
| 1890 | しもゆきの しろかみまてに つかへきぬ きみのやちよを いはひおくとて | 定家 |
| 1891 | くりかへし きみをそいはふ おいぬれは おなしことのみ しつのをたまき | 家長(源時長男) |
| 1892 | ふりぬとて なになけきけむ きみかよに おいといふものそ みはさかえける | 実氏 |
| 1893 | よろつよに つかへてそみむ つきもなほ かけをととむる せきのふちかは | 良実 |
| 1894 | いくちよの あきをへぬらむ をののえの くちしところの やまのはのつき | 公雄 |
| 1895 | きみかよは をののえくちし やまひとの ちたひかへらむ ときもかはらし | 俊成(藤原俊忠男) |
| 1896 | おほゐかは ちよにひとたひ すむみつの けふのみゆきに あひにけるかな | 匡房 |
| 1897 | このたひと なみよせつくす たまつしま みかくみことを かみはうくらし | 基家 |
| 1898 | わかのうらに なみよせかくる もしほくさ かきあつめてそ たまもみえける | 後嵯峨院 |
| 1899 | いそのかみ ふるきをいまに ならへこし むかしのあとを またたつねつつ | 後鳥羽院 |
| 1900 | しきしまや やまとことはの うみにして ひろひしたまは みかかれにけり | 良経(九条兼実男) |
| 1901 | きみかよは つもりのうらに あまくたる かみもちとせを まつとこそみれ | 俊恵 |
| 1902 | うこきなき いはほにねさす うみまつの ちとせをたれに なみのよすらむ | 恵慶 |
| 1903 | かきりなき ときしもきみに あふみなる しかのはままつ いくよふりなむ | 忠信 |
| 1904 | きみかよも わかよもつきし いしかはや せみのをかはの たえしとおもへは | 実朝 |
| 1905 | みやはしら ふとしきたてて よろつよに いまそさかえむ かまくらのさと | 実朝 |
| 1906 | きみかよは なからのはしを ちたひまて つくりかへても なほやふりなむ | 頼政 |
| 1907 | かみなひの やまのうへなる いはしみつ いはひてそくむ よろつよのため | 読人不知 |
| 1908 | ななたひの よしののかはの みをつくし きみかやちよの しるしともなれ | 行意 |
| 1909 | やほよろつ かみもさこそは まもるらめ てるひのもとの くにつみやこを | 為家 |
| 1910 | すめらきの くらゐのやまの こまつはら ことしやちよの はしめなるらむ | 宗尊親王 |
| 1911 | いけみつに くにさかえける まきもくの たまきのかせは いまものこれり | 実頼 |
| 1912 | てるつきの かつらのやまに いへゐして くもりなきよに あへるあきかな | 義忠(藤原為久男) |
| 1913 | いはさかの やまのいはねの うこきなく ときはかきはに こけのむすかな | 匡房 |
| 1914 | をさまれる ときにあふみの やすかはは いくたひみよに すまむとすらむ | 永範 |
| 1915 | すかのねの なからのやまの みねのまつ ふきくるかせも よろつよのこゑ | 資実 |
| 1916 | けふよりそ ちちのまつはら ちきりおく はなはとかへり きみはよろつよ | 為長(菅原長守男) |
| 1917 | ももしきは かめのうへなる やまなれは ちよをかさねよ つるのけころも | 通親 |
| 1918 | ひさかたの あまのかこやま そらはれて いつるつきひも わかきみのため | 家隆 |
