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「千載和歌集」一覧

2131件


1いつるひの おなしひかりに わたつうみの なみにもけふや はるはたつらむ定家
2をさまれる みよのはしめに たつはるは くものうへこそ のとかなりけれ実兼
3やまかはの こほりもとけて はるかせに としたちかへる みつのしらなみ後宇多院
4たちかへり はるはきにけり ささなみや こほりふきとく しかのうらかせ為家
5あさひさす かけものとかに ひさかたの そらよりはるの いろやみゆらむ実氏
6みかさやま さすやあさひの まつのはに かはらぬはるの いろはみえけり土御門院
7あらたまの としのあけゆく やまかつら かすみをかけて はるはきにけり順徳院
8うくひすの なくねややかて つけつらむ かすみのころも はるきたりとは安芸(郁芳門院)
9はるのたつ けふうくひすの はつこゑを なきてたれにと まつきかすらむ躬恒
10はるたちて ねのひになれは うちむれて いつれのひとか のへにこさらむ貫之
11やまさとは たにのうくひす うちはふき ゆきよりいつる こそのふるこゑ定家
12かすかやま みねのあさひの はるのいろに たにのうくひす いまやいつらむ定家
13たにふかき ふるすをいつる うくひすの こゑきくときそ はるはきにける亀山院
14おしなへて そらにしらるる はるのいろを おのかねのみと うくひすそなく後醍醐院
15いへゐして ききそなれぬる うめのはな さけるをかへの うくひすのこゑ後宇多院
16うくひすの ふるすにたれか ことつてし うめさくやとを わきてとへとは高倉(八条院)
17けさみれは はるきにけらし わかやとの かきねのうめに うくひすのなく道済
18うめかえに なくうくひすの こゑきけと やまにはけふも ゆきはふりつつ躬恒
19ふるすをは みやこのはるに すみかへて はなになれゆく たにのうくひす惟明親王
20うめかえに ふりつむゆきを はらふには あやなくはなの ちりにけるかな道因
21かすかのの くさのはつかに ゆききえて またうらわかき うくひすのこゑ良経(九条兼実男)
22かけろふの もゆるはるひの あさみとり かすめるそらも ゆきはふりつつ為氏
23あさみとり かすめるそらは はるなから やまかせさむく ゆきはふりつつ実兼
24いつしかと またるるはなは さきやらて はるともみえす ゆきはふりつつ後伏見院
25はるとたに またしらゆきの ふるさとは あらしそさむき みよしののやま伏見院
26みよしのは なほやまさむし きさらきの そらもゆきけの のこるあらしに後二条院
27はるのたつ あとこそみゆれ あさひかけ さすやをかへに きゆるしらゆき後嵯峨院
28したもえや まついそくらむ しらゆきの あささはをのの わかなつむなり為家
29しろたへの そてにわかなを つみためて ゆきまのくさの いろをみるかな実氏
30そてのうへに かつふるゆきを はらひつつ つもらぬさきと わかなつむなり後宇多院
31わかなつむ そてこそぬるれ けぬかうへに ふるののはらの ゆきまたつねて実兼
32いつくとも のへをはわかす しらゆきの きゆるかたより わかなをそつむ実重(三条公親男)
33あたらしき はるくることに ふるさとの かすかののへに わかなをそつむ能宣
34おしなへて いさはるののに ましりなむ わかなつみくる ひともあふやと深養父
35はるのこし あしたのはらの やへかすみ ひをかさねてそ たちまさりける相模
36みわたせは かすみそたてる たかさこの まつのあらしの おとはかりして順徳院
37たかさこの をのへのまつの あさかすみ たなひくみれは はるはきにけり信実
38はるかすみ たちにしひより かつらきや たかまのやまは よそにたにみす実氏
39はるはまた かすみにきえて ときしらぬ ゆきともみえす ふしのしはやま道性
40ころもての たかなみやまの あさかすみ たちかさねても はるはきにける為氏
41けふりさへ かすみそへけり なにはひと あしひたくやの はるのあけほの為世(御子左藤原為氏男)
42のとかなる はるのひかりに まつしまや をしまのあまの そてやほすらむ良経(九条兼実男)
43はるはまつ なひきにけりな さほひめの そむるてひきの あをやきのいと信実
44あさみとり たまぬきみたる あをやきの えたもとををに はるさめそふる定家
45きえやすき こすゑのゆきの ひまことに うつもれはてぬ うめかかそする後醍醐院
46けぬかうへに ふるかとそみる うめかえの はなにあまきる はるのあはゆき為定(御子左二条為道男)
47ふきまよふ よそのこすゑの うめかかに わかそてにほふ はるのゆふかせ道良女/道良
48かをとめて とはれやすると わかやとの うめのたちえに はるかせそふく覚助法親王
49ことならは いろをもみせよ うめのはな かはかくれなき よはのはるかせ後嵯峨院
50なにはえや ふゆこもりせし うめかかの よもにみちくる はるのしほかせ為家
51うめかかや まつうつるらむ かけきよき たましまかはの はなのかかみに定家
52わかやとの うめさきたりと つけやらは こてふににたり ちりぬともよし読人不知
53わかやとに さかりにさける うめのはな ちるへくなりぬ みむひともかな読人不知
54かへるさを よしやうらみし はるのかり さそふるさとの ひともまつらむ隆博
55わかれけむ こしちのあきの なこりさへ おもひしらるる はるのかりかね良教
56かへるかり ゆくらむかたを やまのはの かすみのよそに おもひやるかな国助
57おなしくは そらにかすみの せきもかな くもちのかりを しはしととめむ為世(御子左藤原為氏男)
58かへるさの みちもやまよふ ゆふくれの かすむくもゐに きゆるかりかね永福門院
59よしのやま みねとひこえて ゆくかりの つはさにかかる はなのしらくも後京極院
60あつさゆみ はるゆくかりも まてしはし はななきさとに こころひくとも実兼
61ゆきとふる はなをこしちの そらとみて しはしはとまれ はるのかりかね宗尊親王
62はるさめの いろはこしとも みえなくに のへのみとりを いかてそむらむ友則
63のもやまも おなしみとりに そめてけり かすみよりふる このめはるさめ良経(九条兼実男)
64いまよりは またるるはなの おもかけに たつたのやまの みねのしらくも為子(贈従三位)
65まつほとに ひかすはかりは うつりきて はなよりさきの はるそひさしき冬平
66さのみやは またさきやらぬ はなゆゑに みまくほしさの やまちくらさむ兼氏
67さかぬより はなはこころに かかれとも それかとみゆる くもたにもなし為家
68はなをまつ おもかけみゆる あけほのは よものこすゑに かをるしらくも式子内親王
69たれにかは をりてもみせむ なかなかに さくらさきぬと われにきかすな和泉式部
70ふるあめの あまねくうるふ はるなれは はなさかぬひは あらしとそおもふ鳥羽院
71おとにきく よしののさくら みにゆかむ つけよやまもり はなのさかりは人麿
72さくらはな またみぬさきに みよしのの やまのかひある みねのしらくも慈円
73さくらはな はやさかりなり ももしきの おほみやひとは いまかさすらし伏見院
74をとめこか かつらきやまの さくらはな こころにかけて みぬときそなき実雄
75さほひめの はつはなそめの そてのいろも あらはれてさく やまさくらかな公雄
76はなのいろも ひとつにかすむ やまのはの よこくもにほふ はるのあけほの定為
77やまさくら けふはさかりに なりにけり きのふにまさる みねのしらくも実泰
78やまさくら くものはたての はるかせに あまつそらなる はなのかそする雅有/実泰
79やまふかみ のきはにかかる しらくもの やへにかさなる はなさくらかな実氏
80よしのやま かすみのうへに ゐるくもや みねのさくらの こすゑなるらむ丹後(宜秋門院)
81やまさくら さくよりそらに あくかるる ひとのこころや みねのしらくも俊成(藤原俊忠男)
82たつねてそ はなとしりぬる はつせやま かすみのおくに みゆるしらくも良経(九条兼実男)
83きみかため しらぬやまちを たつねつつ おいのかさしの はなをみるかな実経
84たつねける しらぬやまちの さくらはな けふここのへの かさしとそみる亀山院
85ゆくさきの くもはさくらに あらはれて こえつるみねの はなそかすめる為世(御子左藤原為氏男)
86かくはかり をしとおもふひを くれぬとて はなみてかへる ひとさへそうき後嵯峨院
87なかしとも おもはてくれぬ ゆふひかけ はなにうつろふ はるのこころは為家
88はるのひは はなにこころの あくかれて ものおもふひとと みえぬへきかな重之女
89おもひねの こころやゆきて たつぬらむ ゆめにもみつる やまさくらかな清輔
90てるつきも ひかりをそへよ はるならて いつかははなと ともにみるへき兼実
91ほのほのと あけゆくやまの さくらはな かつふりまさる ゆきかとそみる順徳院
92みよしのの やまにいりけむ やまひとと なりみてしかな はなにあくやと実朝
93よしのやま まかふさくらの いろならは よそにやみまし みねのしらくも談天門院
94あらしやま ふもとのはなの こすゑまて ひとつにかかる みねのしらくも為氏
95しらくもの へたつるかたや やまとりの をのへにかかる さくらなるらむ有房(六条通有男)
96おほはらや をしほのさくら さきぬらし かみよのまつに かかるしらくも為実(御子左藤原為氏男)
97さきにけり とやまのみねの さくらはな たなひくくもに いろそうつろふ万秋門院
98しらくもは たちもわかれて よしのやま はなのおくより あくるしののめ経継
99みよしのや をのへのはなに いるつきの ひかりをのこす やまさくらかな貞時
100かすみつる をちのたかねも あらはれて ゆふひにみゆる やまさくらかな俊光
101はなのいろは なほくれやらて はつせやま をのへのかねの こゑそきこゆる師信
102かつらきや たかまのかすみ たちこめて よそにもみえぬ はなのいろかな邦省親王
103やまさくら はなのほかなる にほひさへ なほたちそふは かすみなりけり実兼
104さきつつく はなはそれとも みえわかて かすみのまより にほふしらくも覚助法親王
105みやまきの しけみのさくら さきなから えたにこもれる はなとこそみれ国助
106みのはるを いつとかまたむ ここのへの みはしのさくら よそにのみみて実泰
107いにしへの くもゐのさくら たねしあれは またはるにあふ みよそしらるる為教/冬教
108ももしきや みはしのはなは いにしへの いつまてうめの にほひなりけむ冬平
109ふるさとに むかしわすれす さくはなは たかよのはるを おもひいつらむ後宇多院
110ささなみや しかのふるさと あれまくを いくよのはなに をしみきぬらむ為藤
111はなゆゑに しかのふるさと けふみれは むかしをかけて はるかせそふく後鳥羽院
112すみすてし わかふるさとを きてみれは はなはかりこそ むかしなりけれ性助法親王
113へたてゆく むかしのはるの おもかけに またたちかへる はなのしらくも兼氏
114としことに きつつわかみる さくらはな かすみもいまは たちなかくしそ中務
115ふくかせを いとひてのみも すくすかな はなみぬとしの はるしなけれは俊頼(源経信男)
116いきてこそ ことしもみつれ やまさくら はなにをしきは いのちなりけり宣時(北条)
117はなをみて なくさむよりや みよしのの やまをうきよの ほかといひけむ為家
118いかはかり ひとをまたまし やとからに とはれぬはなと おもひしらすは四条(安嘉門院)
119よしさらは かせにもちりね さくらはな みるわれならて とふひともなし少将(藻壁門院)
120おのつから はなのをりのみ とふひとの こころのいろを いかかたのまむ読人不知
121たちかへり いさまたゆかむ やまさくら はなのにほひの うしろめたさに長家
122みねつつき にほふさくらを わかものと をりてやきつる はるのひくらし白河院
123をしむとて いくかもあらし やまさくら こころのままに をりてかへらむ顕輔
124いかはかり まつもをしむも はなゆゑは ひとのこころを みよしののやま公継
125たれもみな はなにかへさや わするらむ けふはやまちに あふひともなし実教
126たつねつる しるへとたのむ やまひとの かへるもしらす はなをみるかな定為
127ぬれつつも あかすそみつる やまさくら かをるのきはの はなのしつくに順助法親王
128ちるをこそ うしともかこて さくはなの にほひはさそへ はるのやまかせ長舜
129あたにさく はなのつらさに ならはすは ちらぬよりまつ ものはおもはし宗宣(北条宣時男)
130あたにちる ものからいかて さくらはな のとけきはるの いろをみすらむ隆信
131かせのまに ちらすはありとも やまさくら いくかをはなの さかりとかみむ為氏
132はるかせは ふくともちるな さくらはな はなのこころを われになしつつ通俊
133かすみたつ やまのさくらは いたつらに ひとにもみえて はるやすくらむ花山院
134うつろはて しはしはまかふ やまさくら ちれはよそなる みねのしらくも為経(甘露寺藤原資経男)
135いとはしよ そらにあらしの さそはすは よものこすゑの はなをみましや師教(九条忠教男)
136あたなりと うつろふはなに かこつかな ちらぬをかせも さそひやはする後醍醐院
137はなとみる よそめはかりの しらくもも はらふはつらき はるのやまかせ守覚法親王
138わかきつる あとたにみえす さくらはな ちりのまかひの はるのやまかせ定家
139みやこには ちりにしものを やまさくら われをまつとや かせもよきけむ弁乳母
140あたなりと かねてしりにき さくらはな をしむほとたに のとけかるらむ朝忠
141ちるときは うしとみれとも わすれつつ はなにこころの なほとまるかな貫之
142たをりても なほうつろはは さくらはな こころつからの うさやわすれむ読人不知
143はるかせは はなちるへくも ふかぬひに おのれうつろふ やまさくらかな雅経
144さくらはな ちらてもおなし たむけやま ぬさとなふきそ はるのゆふかせ国助
145ちるはなの あかぬいろかを みにかへて さもしたはるる やまさくらかな道良
146なれてみる おいきのはなよ ちりやすき わかなみたには ならはさらなむ実兼
147あめはるる のきはのはなに かせすきて つゆもたまらす ちるさくらかな冬平
148たちかへり かせをのみこそ うらみつれ ふかすははなも ちらしとおもへは恒明親王
149はなよりも つきをそこよひ をしむへき いりなはいかか ちるをたにみむ俊恵
150をしとたに いはれさりけり さくらはな ちるをみるまの こころまとひに俊頼(源経信男)
151はるかせの ふきまふときは さくらはな ちりぬるえたに さくかとそみる経信
152よしのかは はなのしからみ かけてけり をのへのさくら いまやちるらむ通雄
153ちるはなの なみをいはねに ふきこして かせにそまさる やまかはのみつ氏久
154おもひやる こころのはなも いけみつに うつるはかりの いろやみゆらむ実氏
155けふこすは あすともまたし さくらはな いたつらにのみ ちらはちらなむ公経(藤原実宗男)
156あすはまた いかになかめむ ちりはてぬ けふたにつらき はなのこすゑを兼康
157ふくかせを うらみははてし やまさくら こころとちらは はなのなもうし邦長
158なれてみる わかなこりをは をしまてや さそふあらしに はなのちるらむ貞時
159きのふみし こすゑのはなは このねぬる あさけのかせに ふれるしらゆき斉時
160わきてなと おなしこすゑの はるかせに かたえのこして はなのちるらむ実超
161ちりのこる みきはのさくら かけみえて はなのなみたつ はるかせそふく泰宗
162さくらはな ちりのこるらし よしのやま あらしのあとに かかるしらくも国冬
163かせわたる くものはやしの やまさくら はなのところそ ゆきとふりぬる定為
164ゆきとのみ ふりこそまされ やまさくら うつろふはなの はるのこのもと為氏
165ちりまかふ おもかけをたに おもひやれ たつねぬやとの はなのしらゆき伏見院
166とはてしも みるそかひある よそまても ちりくるにはの はなのしらゆき実兼
167けふもまた とはてくれぬる ふるさとの はなはゆきとや いまはちるらむ良経(九条兼実男)
168よしのやま くもらぬゆきと みるまてに ありあけのそらに はなそちりける後鳥羽院
169かつらきや たかまのあらし ふきぬらし そらにしらるる はなのしらゆき家隆
170たつねこぬ さきにはちらて やまさくら みるをりにしも ゆきとふるらむ顕季
171やまさとは とひくるひとの あともなし ふりつむはなは ゆきとみれとも実氏
172ちらぬまに こゆへかりける やまちとも あとつけかたき はなにこそしれ為道
173うつろふも こころつからの はなならは さそふあらしを いかかうらみむ伏見院
174あはれなと かせにこころの なきよとて はるさくはなを ちらしはつらむ少将(藻壁門院)
175そてのうへに あかぬいろかは ととめおけ くれなははるの はなのかたみに公経(藤原実宗男)
176あとたえて しつけきやとに さくはなの ちりはつるまて みるひとそなき千里
177うくひすの はかせにはなや ちりぬらむ はるくれかたの こゑになくなり読人不知
178さのみやは はるのみやまの はなをみむ はやすみのほれ くものうへのつき後醍醐院
179おいてこそ なみたもくもれ はるのよの つきはいつより かすみそめけむ為世(御子左藤原為氏男)
180かすむよの つきにそさらに しのはるる わするはかりの はるのむかしは覚助法親王
181はるのよは かすみにくもる そらなれと なみたいとはて つきやみるへき時村
182くもるとは みえぬものから ひさかたの そらにかすめる はるのよのつき少将内侍(後深草院)
183つらしとは うらみさらまし はるのよの つきをへたてぬ かすみなりせは読人不知
184みすもあらす みもせぬかけの なかそらに あやなくかすむ はるのよのつき為氏
185つきかけを かすみにこめて やまのはの またあけやらぬ しののめのそら伏見院
186ひとりのみ みつつそしのふ やまふきの はなのさかりに あふひともなし躬恒
187やまふきの はなこそいはぬ いろならめ もとのまかきを とふひともかな為家
188くれぬとて ひともとまらぬ まかきには さくやまふきの はなのなもをし小宰相(土御門院)
189さくらはな ちりにしのちは やまふきの さけるまかきに のこるはるかな後宇多院
190くれはつる はるのなこりを をしとたに えやはいはねの やまふきのはな公雄
191ゆくはるを をしとはいはぬ いろなから こころにうつる やまふきのはな覚円
192やまふきの はないろころも さらすてふ かきねやゐての わたりなるらむ後鳥羽院
193ゆくはるは さてもとまらし やまふきの はなにかけたる ゐてのしからみ為氏
194まつかえは みとりすくなく うつもれて むらさきかくる いけのふちなみ後宇多院
195いくはるも はなのさかりを まつかえに ひさしくかかれ やとのふちなみ房実
196ふたはより ちきりおきてや ふちなみの こたかきまつに かかりそめけむ公親
197おきつかせ ふくともみえぬ たかさこの をのへのまつに かかるふちなみ隆信
198わかやとの かけとそたのむ ふちのはな たちよりくとも なみにをらるな伊勢
199むらさきに にほふふちなみ うちはへて まつにそちよの いろはかかれる朝忠
200ときはなる はなとそみゆる わかやとの まつにこたかく さけるふちなみ兼盛
201さくらはな ちりたにせすは おほかたの はるををしとは おもはさらまし能宣
202ゆくはるの ひかすにはなも うつりきて のこりすくなき やまさくらかな景綱
203いかにして しはしととめむ さくらはな ちりなはなけの はるのひかすを実雄
204ひとかたの わかれをせめて ととめはや はなとはるとの おなしなこりを家定
205ゆくはるも なほこのもとに たちとまれ にはのさくらの ちりのまかひに内経
206ちりかかる はなをさそひて ゆくみつの かへらぬなみに はるそくれぬる雲雅
207ふきおろす あらしのやまに はるくれて ゐせきにむせふ はなのしらなみ兼季
208ちりかかる はなのかけみし やまのゐの あかてもはるの くれにけるかな公経(藤原実宗男)
209いたつらに はるくれにけり はなのいろの うつるををしむ なかめせしまに後鳥羽院
210はるをのみ をしみしほとに なつころも たつひにはやく なりにけるかな家良
211きのふをは はなのかけにて くらしてき けふこそいにし はるはをしけれ和泉式部
212またちらぬ はなにこころを なくさめて はるすきぬとも おもはさりけり赤染衛門
213あさひやま ふもとのさとの うのはなを さらせるぬのと おもひけるかな顕輔
214かみまつる うつきのはなも さきにけり やまほとときす ゆふかけてなけ讃岐(二条院)
215すみのえの まつはひさしき ほとときす とほさとをのに ひとこゑもかな御匣(式乾門院)
216はつねをは わかかたになけ ほとときす ことうらにまつ ひとはありとも読人不知
217みやまいてむ まつはつこゑは ほとときす よふかくまたむ わかやとになけ元方
218ほのかにも きかぬかきりは ほとときす まつひとのみそ ねられさりける公任
219ほとときす はつねまたるる ときにこそ みしかきよはも あかしかねけれ少将内侍(後深草院)
220あけやすき なつのよなれと ほとときす まつにいくたひ ねさめしつらむ新少将(芬陀利花院前関白内大臣家)
221まちかねて まとろむよはの ほとときす ゆめならてきく ひとこゑもなし雅孝
222われならぬ ひとにもかくや ほとときす さのみはつねの つれなかるらむ公顕
223ほとときす ひともきかすは つれなさを わかみひとつと うらみさらまし冬平
224ひとことに ききつとかたる ほとときす なとわかために なほまたるらむ師重(源師親男)
225たつねはや しのふのやまの ほとときす こころのおくの ことやかたると達智門院
226ほとときす なほいそかるる はつねかな みやこのひとの きかぬさきにと慈道法親王
227あたひとの いつのちきりに ならひけむ またれてとはぬ ほとときすかな近衛(今出河院)
228たのめおく ときとはなしに ほとときす ゆふへはわきて なほまたるらむ伏見院
229はつこゑを さてもやきくと ほとときす またてとしふる ひとにとははや顕昭
230まつほとの こころもくるし ほとときす いかておもひの ほかにきかまし実房
231つれなさを ならひになさて ほとときす ことしははやく はつねなかなむ時元
232ほとときす さつきまつまの しのひねも あらはれぬへき むらさめのそら泰宗
233われにこそ つれなしとても ほとときす かたふくつきに ねをはをしまし季雄
234ありあけの つきにはまたし ほとときす つれなきかけに ならひもそする兼季
235つれなさを いつとたのみて ほとときす なほありあけの つきにまつらむ俊定(藤原経俊男)
236つれなさを つきにそかこつ ほとときす まつにむなしき ありあけのそら伏見院
237からころも たつたのやまの ほとときす うらめつらしき けさのはつこゑ基俊
238ききそむる かひこそなけれ ほとときす またれぬよはは あらしとおもへは安法
239ほとときす よふかきこゑは つきまつと おきていをねぬ ひとそききける伊勢
240ほとときす ありあけのつきの いりかたに やまのはいつる よはのひとこゑ寂蓮
241ほとときす なくこゑきけは やまさとに つねよりことに ひとそまたるる道済
242やまふかく たつねていれは ほとときす わけつるくもの あとになくなり行済
243またれつる みにこそたのめ ほとときす かたらふこゑは たれとなけれと為藤
244われとまた いさかたらはむ ほとときす まちつるほとの こころつくしを後嵯峨院
245なほさりに なきてやすくる ほとときす まつはくるしき こころつくしを為定(御子左二条為道男)
246ほとときす ひとこゑとこそ おもひしに まちえてかはる わかこころかな宣時(北条)
247はつこゑの のちはなかなか ほとときす なかぬたえまそ なほまたれける長舜
248いつくにも またれしものを いまはまた なかぬさとなき ほとときすかな国助女
249わかためは はつねなれとも ほとときす たれかふたたひ いまはきくらむ覚助法親王
250なきすくる ならしのをかの ほとときす ふるさとひとに ことやつてまし後宇多院
251つまこひを しのひかねてや ほとときす けふはいはせの もりになくらむ定為
252いつしかと まちつるよりも ほとときす ききてそいとと しつこころなき弁典侍(祐子内親王家)
253まつことは はつねまてかと おもひしに ききふるされぬ ほとときすかな西行
254ひととはて おのれそなのる ほとときす くれゆくそらを すくるひとこゑ師実
255まとろまは きかすやあらまし ほとときす さもよふかくも なきわたるかな高遠
256あけはまつ ひとにかたらむ ほとときす よふかくやとを なきてすくなり通俊
257ゆめかとそ おとろかれぬる ほとときす またもきかぬは よはのひとこゑ摂津(二条太皇太后宮)
258あけかたに はつねはききつ ほとときす まつとしもなき おいのねさめに兵衛(上西門院)
259すすかやま あけかたちかき あまのとを ふりいててなく ほとときすかな雅有
260あけかたに なきてそきぬる ほとときす つれなきよはと なにうらみけむ家平
261あかつきの とりのやこゑに ひとこゑを なきそへてゆく ほとときすかな良信
262ほとときす あかてききつる なこりより ねさめののちは またそねられぬ新宰相(伏見院)
263ほとときす こゑもたかねの よこくもに なきすててゆく あけほののそら永福門院
264ほとときす ひとこゑゆゑに むさしのの のをなつかしみ すきもやられす実雄
265ほとときす しはしやすらへ すかはらや ふしみのさとの むらさめのそら定家
266やすらはは しはしはきかむ ほとときす あしのまろやの かりねなりとも道家
267なにはかた あしふくこやの のきはにも けふやあやめの ひまなかるらむ邦長
268さつききぬ みとしろをたに しめはへて かみのみやひと さなへとるらむ成茂
269ほとときす しのはぬこゑを きくよりや やまたのさはに さなへとるらむ頼宗
270あしひきの やましたみつを ひきかけし すそわのたゐに さなへとるなり公継
271みわたせは とはやまをたの まつかけに みとりをそへて とるさなへかな定為
272したくさは うゑぬにしける おほあらきの もりのうきたに さなへとるなり国道(津守国助男)
273まちかくも はなたちはなの にほふかな むかしはとほき やとののきはに経継
274ふるさとに いかにむかしを しのへとて はなたちはなの かせにちるらむ俊成(藤原俊忠男)
275そてふれし むかしのひとそ しのはるる はなたちはなの かをるゆふへは基俊
276かせかよふ よはのねさめの たまくらに そてのかそへて にほふたちはな雅貞/維貞
277たちはなの かけふむみちを すきやらて しはしまたるる ほとときすかな定房(藤原経長男)
278ほとときす こころしてなけ たちはなの はなちるさとの ゆふくれのそら後鳥羽院
279ほとときす あやめのねにも あらなくに さつきをかけて なとまたるらむ為子(贈従三位)
280さつきこそ なれかときなれ ほとときす いつをまてとて こゑをしむらむ俊成(藤原俊忠男)
281ほとときす おのかさつきの あめはれて むらくもまよふ そらになくなり一条(昭慶門院)
282さみたれに けふりたえても あまひとの なほしほたるる そてのうらなみ成賢(祝部成茂男)
283たつねはや いはてのやまの たにみつも おとたてつへき さみたれのころ国助
284やまかはの いはにせかるる おともなし うへこすなみの さみたれのころ為世(御子左藤原為氏男)
285やまのゐも まさるみかさに にこるらし かけさへみえぬ さみたれのころ為世(御子左藤原為氏男)
286いけみつの みきはもみえす なりにけり にはになみこす さみたれのころ実性
287ひかすへて なみやこすらむ さみたれは くもまもみえす ふるのたかはし宗秀(大江時秀男)
288さみたれに なかれてくたる やまかはの みをのそまきは よとむせもなし宗成
289もかみかは みかさまさりて さみたれの しはしはかりも はれぬそらかな冬平
290さみたれは いくさきふかし いはたかは わたるせことに みつまさりつつ為家
291たつたかは みきはのなみも たちそひぬ みむろのやまの さみたれのころ道家
292みつまさる ふもとのかはの おとそひて なほみねふかき さみたれのくも道昭
293あまのかは まさるみかさは しらねとも くものなみたつ さみたれのそら為藤
294さみたれは あまのかくやま そらとちて くもそかかれる みねのまさかき定家
295みてもなほ あかぬよのまの つきかけを おもひたえたる さみたれのそら俊成女
296あけやすき そらにそいとと なくさまぬ をはすてやまの みしかよのつき貞重
297なつくさの あかつきおきの つゆのまに うつれはあくる やまのはのつき為氏
298なつのよも かけそすすしき ひさかたの つきのいつくに あきやとるらむ後嵯峨院
299なつのよの あけゆくほとも はやせさす うかはのかかり かけしらむなり師員
300うかひふね くたすほとなき みしかよの かはせにのこる かかりひのかけ通雄
301おほゐかは うふねくたせる あかつきの つきはそらにそ さしのほりける実兼
302うかひふね せせさしのほる しらなみに うつりてくたる かかりひのかけ為世(御子左藤原為氏男)
303あさなあさな みつのうへのに かるくさの きのふのあとは かつしけりつつ順徳院
304なつくさは ひことにふかく なりゆけと かれにしひとの とはぬやとかな躬恒
305なつくさの つゆわけころも このころも あかつきおきは そてそすすしき雅経
306なつくさの はなのえことに おくつゆを さつきのたまに ぬきてととめむ後宇多院
307しけりあふ なつののくさの ふかけれは わけゆくひとそ よそにしられぬ宣子(従三位藤原)
308いまはみの ことしけからぬ やとにしも なほみちとつる にはのなつくさ後伏見院
309ふみわけて とふへきひとも なきみには やとからしける にはのなつくさ亀山院
310あさみとり くさのわかはと みしのへの はやなつふかく しけるころかな公守女
311なつくさの しけみにましる をきのはは したにやあきの かせをまつらむ行房
312かせそよく あしまのほたる ほのみえて なみのよるまつ ほとそすすしき後伏見院
313なつふかく しけるなにはの あしまにも さはらてゆくは ほたるなりけり俊定(藤原経俊男)
314おほゐかは そらにもゆるや かかりひに あらぬほたるの おもひなるらむ為子(贈従三位)
315かりてほす あさかのぬまの くさのうへに かつみたるるは ほたるなりけり為氏
316ほたるとふ おほろのしみつ かすかにも しらはやおのか もゆるこころを国冬
317かやりひの したやすからぬ けふりこそ あたりのやとも なほくるしけれ為家
318もろともに みむひともかな ひとりのみ をれはかひなき とこなつのはな高明
319こころして うをしもしるく なてしこの はなのさかりを いまもみるかな惟成
320このさとも ふりぬとおもふ ゆふたちの くもるはかりに すきにけるかな家良
321なるかみの おとにもしるし まきもくの ひはらのやまの ゆふたちのそら行家(藤原知家男)
322おきつなみ おとふきたてて しほかせの みなとにかかる ゆふたちのくも為氏
323かきくらす そらともみえす ゆふたちの すきゆくくもに いりひさしつつ後嵯峨院
324ひとむらは やかてすきぬる ゆふたちの なほくものこる そらそすすしき能清
325ゆふたちは すきぬるみねの むらくもに しはしほのめく よひのいなつま実兼
326ほともなく はれつるかたに うつりきて ひかけにかかる ゆふたちのくも成久
327あききぬと いはぬはかりそ なつころも すそののはらの ならのしたかけ祐賢
328すすしさは たちよるからに しられけり あきかせちかき ころもてのもり為氏
329ゆふされは しののをささを ふくかせの またきにあきの けしきなるかな頼通
330なつころも かとりのうらの うたたねに なみのよるよる かよふあきかせ定家
331なつころも かさぬはかりに すすしきは むすふいつみに あきやまつらむ兵衛(上西門院)
332せきいるる にはのしみつは それなから あきをこころに まかせやはせぬ兼氏
333ゆふくれの このしたかせに あめすきて つゆもたまらぬ せみのはころも為道
334しはしたに たえまもなきは なつやまの こすゑにつつく せみのもろこゑ寂蓮
335をちこちの こすゑにせみの こゑはして やまちすすしき まつのしたかせ道順
336しけりあふ のきはのこすゑ あけたては せみのをりはへ なかぬひもなし内経
337みそきする よはのかはなみ おとふけて あけぬよりふく そてのあきかせ道平
338わきてまた すすしかりけり みたらしや みそきにふくる よはのかはかせ公宗母
339そこきよき かはせのみつの あさのはに しらゆふかけて みそきをそする公相
340みなかみに あきやたつらむ みそきかは またよひなから かせのすすしき俊成(藤原俊忠男)
341みそきかは せせのたまもの みかくれて しられぬあきや こよひたつらむ後鳥羽院
342いつしかと かたしくそてに おくつゆの たまくらすすし あきのはつかせ実兼
343けさみれは つゆそひまなき あしのやの こやのひとよに あきやきぬらむ宗尊親王
344きのふより をきのしたはに かよひきて けさあらはるる あきのはつかせ惟明親王
345いつのまに あきかせたちて おほともの みつのはままつ おとまさるらむ道家
346あまのかは みつかけくさの いくあきか かれなてとしの ひとよまつらむ為相
347たなはたの ふなのりすらし あまのかは きよきつきよに くもたちわたる家持
348ひこほしと たなはたつめと こよひあふ あまのかはらに なみたつなゆめ赤人
349あまのかは わたりてのちそ たなはたの ふかきこころも おもひしるらむ読人不知
350あまのかは たえしとそおもふ たなはたの おなしくもゐに あはむかきりは為家
351ほしあひの そらのひかりと なるものは くもゐのにはに てらすともしひ良経(九条兼実男)
352たなはたの つゆのちきりの たまかつら いくあきかけて むすひおくらむ有房(六条通有男)
353つゆおきて なかむるほとを おもひやれ あまのかはらの あかつきのそら選子内親王
354あけゆけは かはせのなみの たちかへり またそてぬらす あまのはころも実兼
355たなはたの くものころもを ふくかせに そてのわかれは たちもとまらす兼氏
356ちきりありて おなしふつきの かすそはは こよひもわたせ あまのかはふね定房(藤原経長男)
357あさつゆの をかのかやはら やまかせに みたれてものは あきそかなしき後鳥羽院
358わするなよ けふはむかしの あきまても このゆふくれの をきのうはかせ後鳥羽院
359いくかへり なれてもかなし をきはらや すゑこすかせの あきのゆふくれ定家
360さひしさに あきのあはれを そへてけり あれたるやとの をきのうはかせ讃岐(二条院)
361わかそては をきのうははの なになれや そよめくからに つゆこほるらむ俊成(藤原俊忠男)
362をきのはに おけるしらつゆ たまかとて そてにつつめは たまらさりけり花山院
363わきてなほ ゆふへはつゆの をきのはに なみたもそよと あきかせそふく公雄
364ふきむすふ をきのはわけに ちるつゆを そてまてさそふ あきのゆふかせ慶融
365ゆふされは のへのあさちに ふくかせの いろこそみえね つゆそこほるる実兼
366むらさめの のわきのつゆの たますたれ そてもふきまく あきのゆふかせ為氏
367むらさめに きりのはおつる にはのおもの ゆふへのあきを とふひともかな伏見院
368やとことの ゆふくれとはむ あきといへは われにかきらす ものやおもふと後二条院
369さひしさを かねてならはぬ やとならは あきのゆふへを いかてしのはむ定資
370いまさらに なにかうしとも わきていはむ おもひのみそふ あきのゆふくれ覚助法親王
371ものおもはぬ ひとはよそにや なかむらむ うきみひとつの あきのゆふくれ経長女
372いかにせむ ものおもふそての なみたたに ほさてつゆそふ あきのゆふくれ久時
373おのつから なみたほすまも わかそてに つゆやはおかぬ あきのゆふくれ実重(三条公親男)
374みなせやま ゆふかけくさの したつゆや あきゆくしかの なみたなるらむ通光
375あきにあへぬ そてのなみたや くさはまて このころしるき つゆとなるらむ遊義門院
376むすひおきし あきのさかのの いほりより とこはくさはの つゆにぬれつつ定家
377しらつゆの おくよりみつる はなすすき ほにいててかせに なひきぬるかな師輔
378はなすすき たかなみたとも しらつゆの そてにみたるる あきのゆふくれ国道(津守国助男)
379ふちはかま なににほふらむ すみすてて のとなるにはは たれかきてみむ道性
380あきののに いろいろさける はなみれは かへらむほとそ いつとしられぬ公忠(源国紀男)
381しめのうちの はなのにほひを すすむしの おとにのみやは ききふるすへき読人不知
382いろいろの はなはさかりに にほふとも のはらのかせの おとにのみきけ選子内親王
383わかやとの にはのあきはき さきにけり あさおくつゆの いろかはるまて教定(飛鳥井雅経男)
384たかまとの はきさきぬらし みやひとの そてつきころも つゆそうつろふ邦省親王
385いろふかく うつりにけりな かりひとの まそてにわくる はきのあさつゆ氏久
386わかそてを けさもほしあへす あすかかは ゆききのをかの はきのしらつゆ家隆
387むさしのは なほゆくすゑも あきはきの はなすりころも かきりしられす読人不知
388あさなあさな おくとみしまに しらすけの まののはきはら つゆそうつろふ万秋門院
389そてにこそ みたれそめけれ かすかのの わかむらさきの はきかはなすり為定(御子左二条為道男)
390たかまとの のへのあきかせ ふくたひに たもとにうつす はきかはなすり後宇多院
391たかまとの のちのあきはき さきにけり たひゆくひとの そてにほふらむ行意
392さしすきの くるすのをのの はきのはな ちらむときにし ゆきてたむけむ旅人
393おもふとち いさみにゆかむ みやきのの はきはかなちる あきのゆふくれ実定
394あきはきの したにかくれて なくしかの なみたやはなの いろをそむらむ忠岑
395つゆむすふ はきのしたはや みたるらむ あきののはらに をしかなくなり相模
396さをしかの つまこひまさる こゑすなり まののはきはら さかりすくらし小弁
397むらさきの ゆかりのいろを たつねてや はきさくのへに しかのなくらむ道平
398をしかなく はきのにしきの からころも きつつなれにし つまやこふらむ忠房親王
399あきくさの いろつくみれは かたをかの あしたのはらに しかそなくらむ為継
400はつせやま このはいろつく あきかせに まついねかたの さをしかのこゑ知家
401ゆふされは こぬつまよりも あきかせを つらきものとや しかのなくらむ定円(葉室光俊男)
402われたにも ねにたてつへき ゆふくれを さそつまこひに しかはなくらむ経継
403たかさこの をのへのしかは つれもなき まつをためしに つまやこふらむ定為
404あきをしる しかのねのみか たかさこの まつのあらしも ふかぬひはなし行念
405をくらやま みねのあきかせ ふかぬひは あれともしかの なかぬよはなし宗尊親王
406さをしかの みねのたちとも あらはれて つまとふやまを いつるつきかけ民部卿典侍(後堀河院)
407つきゆゑに わかこころこそ そらならめ しかのねさへに すみのほるかな経房(藤原光房男)
408やまふかみ たえたえかよふ しかのねに このまのつきも あはれそひけり貞時
409さそはれて おなしみやまや いてつらむ すそののつきに しかそなくなる景綱
410つきみれは あきのおもひも なくさむを なとよとともに しかはなくらむ基任
411よそにきく われさへかなし さをしかの なくねをつくす ありあけのそら実泰
412はなすすき ほのかにきけは あききりの たちののすゑに をしかなくなり実兼
413をやまたの いほたちかくす あききりに もるひとなしと しかそなくなる為世(御子左藤原為氏男)
414あききりに たちかくれつつ なくしかは ひとめよきてや つまをこふらむ覚助法親王
415やまたもる しつかねさめの をりをりや またしかのねの とほさかるらむ桓守
416よさむなる たなかのゐとの あきかせに いなはをわけて しかそなくなる基忠(鷹司兼平男)
417ふかくなる あきのあはれを ねにたてて みねのをしかも なきまさるかな後宇多院
418なくしかの こゑもをします たかさこの をのへのあきや よさむなるらむ万秋門院
419ふかきよの あはれはたれも しるものを おのれはかりと しかやなくらむ宗泰(北条宣時男)
420よそにまた なみたをそへて きくとたに しらしなしかの ねをはなくとも季雄
421をかへなる いなはのかせに しもおきて よさむのしかや つまをこふらむ少将(藻壁門院)
422ちりにけり しかなくのへの こはきはら したはのいろも もみちあへぬに亀山院
423はきのうへの つゆはいつより おきつらむ いまそくもゐの かりはなくなる行家(藤原知家男)
424かりなきて はきのしたはの いろつくは わかそてよりや ならひそめけむ蓮生法師
425やまかせの さむきあさけに みねこえて いくつらすきぬ あきのかりかね宗宣(北条宣時男)
426ふるさとを おもひおきつつ くるかりの たひのこころは そらにそありける躬恒
427ゆきかよふ くもゐはみちも なきものを いかてかかりの まよはさるらむ人麿
428ものやおもふ くものはたての ゆふくれに あまつそらなる はつかりのこゑ後鳥羽院
429あきかせに きつつよさむや かさぬらむ とほやますりの ころもかりかね為藤
430あきやまの ふもとをめくる ゆふきりに うきてすきゆく はつかりのこゑ基忠(鷹司兼平男)
431きりはるる むろのやしまの あきかせに のこりてたつは けふりなりけり宗秀(藤原宗泰男)
432かりころも すそののきりは はれにけり をはなかそてに つゆをのこして頼重
433わけまよふ のはらのきりの したつゆに なみたならても そてはぬれけり読人不知
434ひかけさす まかきのはなの いろいろに つゆをかさねて はるるあさきり定為
435たちこめて ひかけへたつる ほとはかり きりのまかきに のこるあさかほ長雅
436うちむれて ふもとをくたる やまひとの ゆくさきくるる のへのゆふきり永福門院
437さとひとの をしむこころは しらねとも やまのあなたの つきそまたるる公雄
438ゆふくれは つきまつとても ものそおもふ くものはたての あきのやまのは隆祐
439もろともに まつへきつきを またすして ひとりもそらを なかめけるかな実方
440あきかせに みねゆくくもを いてやらて まつほとすくる いさよひのつき為家
441またれつる やまをはいてて たかさこの をのへのまつに つきそいさよふ実兼
442くるるまの そらにひかりは うつろひて またみねこえぬ あきのよのつき為世(御子左藤原為氏男)
443やまのはの くるれはやかて かけみえて またれぬほとに いつるつきかな実教
444いてやらぬ ほとたにあるを やまとりの をのへのつきに くもなへたてそ讃岐(後照念院関白太政大臣家)
445くるるまの あらしはなにを はらふらむ かねてくもなき やまのはのつき信実
446ゆふくれの そらもさやかに すみわたる つきのためにや あきもきぬらむ頼宗
447まちいつる をのへのつきも さやかにて たなひくくもに あきかせそふく源承
448まきもくの あなしのかはに かけみえて ひはらをいつる あきのよのつき淑氏
449あまつかせ くもふきとつな をとめこか そてふるやまの あきのつきかけ国夏
450あめはるる しつかふせやの いたまより つきそもりきて そてぬらしける貞文
451かすかやま みねのあらしに くもはれて てるつきかけを いくよみつらむ摂津(二条太皇太后宮)
452くもはみな はれにしままの あきかせに いくよもおなし つきそさやけき信実
453はてはまた とよはたくもの あともなし こよそのつきの あきのうらかせ国冬
454つきをみて ちさとのほかを おもふかな こころそかよふ しらかはのせき俊成(藤原俊忠男)
455あきのよは せきのとさしも ゆるさなむ ゆきとまるへき つきのかけかは為藤
456こよひしも くもゐのつきに ひかりそふ あきのみやまを おもひこそやれ永福門院
457むかしみし あきのみやまの つきかけを おもひいててや おもひやるらむ後醍醐院
458ひさかたの そらにかかれる あきのつき いつれのさとも かかみとそみる経信
459つきみれは ころもてさむし さらしなや をはすてやまの みねのあきかせ実朝
460つくつくと なかむるからに みにしむは つきよりあきの かせやふくらむ実兼
461ものおもふ ひとのためとや あきのつき うきをわするる かけをみすらむ実教
462いつまてか ともとみるへき おいらくの みのゆくすゑは つきそしるらむ実承
463なれてみる おなしひかりの つきのみや むそちのあきの ともとなるらむ読人不知/長円法師
464おいかよに あきのこころも はれにけり むそちちかつく やまのはのつき後宇多院
465つかへつつ みるそかひある かけなひく わかみいそちの あきのよのつき通重
466いにしへに すみこしままの かけならは つきはいくよの あきをしるらむ資宣女
467ふりにける やとはむかしの なこりにて つきもかはらぬ かけそひさしき通光/通基
468あきのよの つきにいくたひ なかめして ものおもふことの みにつもるらむ雅経
469よのなかの うきにつけても なかむれは つきをかこつに なりぬへきかな大輔(殷富門院)
470ゆくすゑを いかにせよとて ことしまた つきみるそての ぬれまさるらむ但馬(藻壁門院)
471あきをへて やとりなれぬる わかそての つきはなみたも いとはさりけり実教
472いかはかり つきみるひとに いとはれむ よそまてくもる なみたなりせは公朝
473ひととはぬ みやまのあきの さひしさを たへてもすめる よはのつきかな時遠
474なかきよは くものいつくも あけやらて つゆにそやとる のへのつきかけ国道(津守国助男)
475おくつゆの いととふかくさ さとはあれて つきのすむのと なりにけるかな少将内侍(後醍醐院)
476たつねても わすれぬつきの かけそとふ よもきかにはの つゆのふかさを俊成女
477あきはきの はなののつゆに かけとめて つきもうつろふ いろやそふらむ達智門院
478このはふく あきかせさむみ あしひきの やまへにひとり つきをみるかな光俊(葉室光親男)
479つゆしもの そめぬいろさへ まさりけり かつらのさとの あきのよのつき公雄
480さとのなも あらはにしるし なかつきの つきのかつらの あきのこよひは為家
481つきかけの とほさかりゆく やまのはに のこるともなき よそのうきくも有長
482みむろやま みねにやくもの はれぬらむ かみなひかはに つきそさやけき少将(藻壁門院)
483となせかは たまちるせせの つきをみて こころそあきに うつりはてぬる定家
484おほゐかは こほりもあきは いはこえて つきになかるる みつのしらなみ維貞
485かせわたる にほのみつうみ そらはれて つきかけきよし おきつしまやま冬平
486すみのえの まつのあきかせ おとつれて そらにふけゆく よはのつきかけ為氏
487すみよしの まつもわかみも ふりにけり あはれとおもへ あきのよのつき公経(藤原実宗男)
488くもりなき かけもかはらす むかしみし ままのいりえの あきのよのつき為教
489おいぬれは むかしはかりも なかめぬを こころかはると つきやおもはむ寂恵
490もろこしの なみちわけゆく ふなひとは こころのこらぬ つきやみるらむ泰時
491すむつきの かけさしそへて いりえこく あしわけをふね あきかせそふく為藤
492ほにいつる をきのうはかせ うちそよき いりえよさむに すめるつきかけ後二条院
493ふけゆけは まつかせさむし おほともの みつのとまりの あきのよのつき宗尊親王
494しらさりき あきのしほちを こくふねの いかはかりなる つきをみるらむ定家
495わたつうみの かさしのなみも しろたへに つきもてみかく あきのうらかせ定為
496あかしかた なみのちさとの すゑはれて つきはかきりも みえぬそらかな忠守
497いせのうみや しほせはるかに くもはれて つきにそかかる あきのうらなみ冬教
498なみかくる をしまのとまや あきをへて あるしもしらす つきやすむらむ国助
499ふるさとと おもふはかりそ なにはかた むかしにかはる つきのかけかは観意
500なにはかた うらよりをちの つきかけに なみもへたてぬ あはちしまやま為氏
501とふひとも あらしふきそふ みやまへに このはわけくる あきのよのつき道助法親王
502あきふかき とこのやまかせ みにしみて つきかけさむき よはのたまくら承鎮法親王
503あれにけり わかふるさとの かけのいほ みしよのままに つきはすめとも長舜
504たきすさふ けふりやのこる あきのたの かひやかうへに かすむつきかけ定為
505ひとよりも まつこそみつれ ここのへの くもゐにすめる よゐのつきかけ慈道法親王
506いまははや ちかきまもりに なれしみも よそにみはしの くものうへのつき有忠
507ささたけの おほみやひとは とひもこて はわけのつきを ひとりこそみれ為実(御子左藤原為氏男)
508むさしのや いるへきみねの とほけれは そらにひさしき あきのよのつき久明親王
509あきのよの つきはいつくと わかねとも わかやまにすむ かけそさやけき仁澄
510ささなみや ひらのやまかせ さよふけて つきかけさむし しかのからさき実朝
511かはかせに ありあけのつきを まちいてて ねぬよふけぬる うちのはしひめ国助
512ふけゆけは かねのひひきも あらしやま そらにきこえて すめるつきかな為道
513あけやらぬ かねのひひきは ほのかにて はつせのひはら つきそかたふく隆博
514かねのおとに ねさめてみれは あかつきの まとにそつきは かたふきにける頼実女
515なかきよも しはしとおもふ うたたねの まくらのうへに つきそかたふく俊光
516あかしかた おきにかたふく つきかけに くもこそなけれ なみそかかれる為世(御子左藤原為氏男)
517やまのはの みえぬはかりそ わたつうみの なみにもつきは かたふきにけり素暹
518つきのいる やまのあなたの さとひとと こよひはかりは みをやなさまし恵慶
519くもかかる みねたにとほき ものならは いるよのつきは のとけからまし実方
520そてのうへに なれてもかなし おくやまの まつのはわけの ありあけのつき後鳥羽院
521いかかせむ なかきならひの あきのよも つきをしみれは あくるやすさよ為道
522あかすみて あくるなこりの をしけれは つきにもつらき とりのこゑかな景綱
523くさむらの そこまてつきの てらせはや なくむしのねの かくれさるらむ
524あはれとは いつれをわきて あきののに おほかるむしの こゑをきかまし隆博
525このくれと たのむるひとも なきやとに そのこととなく まつむしそなく師教(九条忠教男)
526ふけてこそ つらさもみえめ まつむしの くるるよりなと ねにはたつらむ公宗母
527くさのはら くるるよことの あきかせに ひとをやたのむ まつむしのこゑ家隆
528ゆふされは よもきかねやの きりきりす まくらのしたに こゑそきこゆる顕仲(源顕房男)
529きりきりす おもふこころを いかにとも たかひにしらて なきあかすかな為家
530つゆふかき よさむのあきの きりきりす くさのまくらに うらみてそなく後醍醐院
531こころとや なきよわるらむ きりきりす おのかなみたの つゆのよさむに実教
532いととまた むしやうらむる あさちはら おきそふしもの よさむかさねて公賢
533しもむすふ あさちかはらの きりきりす かれはともにと ねをやなくらむ基任
534いろかはる あさちかすゑは つゆちりて むしのねさむく あきかせそふく読人不知
535あさちふの しもよのむしも こゑすみて あれたるにはそ つきはさひしき基家
536むしのねは かはらぬあきの うらみにて すみすててける あさちふのやと通親
537したはちる をののはきはら ふくかせに とこあれぬとや うつらなくらむ実泰
538をやまたの いほもるしつの あきのそて やとかるつゆそ おきあかしける俊成女
539よさむなる かりほのつゆの いねかてに やまたをもると ころもうつこゑ為道
540ころもうつ きぬたのおとも たかまとの やまのこのはに あきかせそふく道家
541たかまとの をのへもさむき あきかせに そてつきころも たれかうつらむ定為
542あきそとも わかぬときはの さとひとは たたよさむにや ころもうつらむ兼誉
543をはなふく かりいほさむき あきかせに うちのみやこは ころもうつなり顕盛
544ふるさとの つきをいくよか みよしのの やまかせさむみ ころもうつらむ師信
545ふかくさや きりのまかきに たれすみて あれにしさとに ころもうつらむ雅経
546をちこちに ころもうつなり さとひとの よさむやおなし こころなるらむ俊光
547いそくなる あきのきぬたの おとにこそ よさむのたみの こころをもしれ後醍醐院
548よさむなる すまのあまひと いまよりや かせにうらみて ころもうつらむ実兼
549あきさむく なるをのうらの あまひとは なみかけころも うたぬよもなし貞重
550ささなみや にほてるあまの ぬれころも うらかせさむく うたぬよもなし為氏
551あちきなく いそかぬよその まくらまて ゆめちとほさす うつころもかな俊成女
552おとろかす きぬたのおとに さよころも かへすほとなき うたたねのゆめ伏見院
553うちあかす きぬたのおとの かなしきは なかきよさむの ねさめなりけり遊義門院
554よもすから つきみるひとの いねかてに あかつきかけて うつころもかな忠房親王
555たれゆゑか かたふくまての つきかけに ねなましひとの ころもうつらむ邦長
556しつかうつ よそのきぬたの おとのみそ あきのねさめの ともとなりける宣子(従三位藤原)
557ぬれつつや しひてうつらむ しらつゆの あかつきおきの あさのさころも雲雅
558そてのうへの つゆもみたるる あきかせに たれかしのふの ころもうつらむ隆博
559のこりける あきのひかすを かそへつつ しものよなよな うつころもかな亀山院
560しろたへの そてのはつしも つきさえて いととよさむに うつころもかな源承
561やまかはの みつのみなかみ たつねきて ほしかとそみる しらきくのはな俊成(藤原俊忠男)
562ちりはてて はななきときの きくなれは うつろふいろの をしくもあるかな興風
563あきふかき まかきはしもの いろなから おいせぬものと にほふしらきく覚助法親王
564やまひとの ちとせのあきを ゆつりおきて きみかためにと さけるしらきく後醍醐院
565ゆくすゑは なほなかつきの きくのえに かさなるちよを きみにゆつらむ後宇多院
566ゆくすゑの あきをかさねて ここのへに ちよまてめくれ きくのさかつき冷泉(花園院)
567のこりける あきのひかすも あるものを うつりなはてそ にはのしらきく内侍(永福門院)
568わかそてに つゆをのこして なかつきや すゑののをはな うらかれにけり道平
569なかつきも すゑののはらの はなすすき ほのかにのこる あきのいろかな時敦
570したつゆの そむるはいろの うすけれは もみちもあきの しくれをやまつ成久
571つのくにの いくたのもりの はつしくれ あすさへふらは もみちしぬへし教実
572そめてけり みむろのやまの はつもみち しくれもつゆも いろにいてつつ通雄
573いとはやも そめていろこき もみちかな このひともとや まつしくるらむ経継
574たまほこの みちのゆくての はしもみち をちこちひとや をりてかささむ為藤
575つゆしくれ いかにそめてか しのふやま ききのこのはの いろにいつらむ内経
576しくれゆく くものとたえは ひかけにて にしきをさらす みねのもみちは雅孝
577をくらやま こころにそむる もみちはは しくれのほかの いろやまさらむ公雄
578つゆしもの かさなるやまの もみちはは ちしほののちも いろやそふらむ為信
579いろふかき みやまかくれの もみちはを あらしのかせの たよりにそみる顕季
580もみちはの ちりくるあきは おほゐかは わたるふちせも みえすそありける元輔(清原春光男)
581みなそこに かけしうつれは もみちはの いろもふかくや なりまさるらむ貫之
582たつたかは みねのもみちの ちらぬまは そこにそみつの あきはみえける家隆
583たつたかは みつのあきをや いそくらむ もみちをさそふ みねのあらしに為子(贈従三位)
584うつりゆく ははそのもみち ひととはは いかにいはたの をののあきかせ為嗣
585ちりつもる にはのもみちは のこるとも あきのひかすは とまりしもせし花園院
586おほゐかは なかれてはやき このはにも とまらぬあきの いろはみえけり実泰
587いかたしよ あきのなこりの おほゐかは このくれしはし いそかすもかな師行
588しもふかく うつろひゆくを あきのいろの かきりとみする しらきくのはな伏見院
589ゆくあきの なこりおもはぬ ときたにも あかすやはみぬ ありあけのつき為理
590いかかまた おもひすてては すくすへき とまらぬあきの わかれなりとも後二条院
591めにみえぬ こころはかりに したへとも みをしわかねは あきそとまらぬ為世(御子左藤原為氏男)
592あすしらぬ みをはおもはて めくりこむ あきのわかれを なにをしむらむ兵衛(上西門院)
593まつしまの あまのころもて あきくれて いつかはほさむ つゆもしくれも定家
594しくれゆく そらにもしるし かみなつき くもりもあへす ふゆやきぬらむ後宇多院
595いつしかと けさはしくれの おとはやま あきをのこさす ちるもみちかな後伏見院
596かみなつき しくれとともに ふりまかふ このはもふゆの はしめなりけり家隆
597けさとても おなしくもゐを かみなつき ときしりかほに ふるしくれかな実経
598もしほやく けふりをくもの たよりにて しくれをいそく すまのうらかせ宗尊親王
599かつらきや たかねにかかる うきくもは よそにしらるる しくれなりけり性助法親王
600そらはなほ しくれそまさる うきくもの たなひくやまの みねのあらしに為藤
601すきやらて おなしをのへや しくるらむ くもふきかへす まつのあらしに親房(北畠師重男)
602ふかきよの ねさめのゆめの なこりまて またおとろかす むらしくれかな公孝
603ゆふしくれ すきゆくやまの たかねより むらくもわけて いつるつきかけ公賢
604しはしこそ しくれてくもれ うきくもの あとはかかみの やまのはのつき実超
605もみちはを さそふあらしの たひことに こすゑのつきの かけそしくるる行深
606くもかかる みねはしくれて あらしふく ふもとにふるは このはなりけり俊光
607かみなつき ふくやあらしの やまたかみ くもにしくれて ちるこのはかな公明
608おのつから ふかぬたえまも あらしやま なにさそはれて ちるこのはかな為世(御子左藤原為氏男)
609ちはやふる かみなつきとは しらねはや もみちをぬさと かせのふくらむ道命
610あふさかの せきのもみちの からにしき ちらすはそてに かさねましやは隆房
611ちりまかふ もみちのいろに やまもとの あけのそほふね なほこかるらし亀山院
612からにしき たつたのかはの もみちはに みつのあきこそ なほのこりけれ公雄
613かきねなる くさもひとめも しもかれぬ あきのとなりや とほさかるらむ後嵯峨院
614つゆおきし いろともみえす かれはてて まかきものへも しものしたくさ俊光
615にはのおもに あとなきしもの やへむくら かれてもさはる ひとめなりけり為藤
616しもむすふ くさのたもとの はなすすき まねくひとめも いまやかれなむ国助
617かくはかり みにしむいろは あきもあらし しもよのつきの こからしのかせ政長
618ふくかせも あけかたさむき ふゆのよの あさちかしもに つきそさやけき兼季
619おくしもも ひとつにさえて ふゆかれの をののあさちに こほるつきかけ清兼
620あきのいろは とほさとをのに しもかれて つきそかたみの ありあけのそら範宗
621あらしやま ふもとのかねは こゑさえて ありあけのつきそ みねにかかれる後宇多院
622くさもきも ふゆかれさむく しもふりて のやまあらはに はるるつきかけ後二条院
623つかへこし とよのあかりは としをへて またやしもよの つきをみるへき経継
624くれやすき しものまかきの ひかけにも とはれぬころの つもるをそみる定家
625おきまよふ しものまかきは わすれねと ひかけにのこる いろそすくなき公経(藤原実宗男)
626うらつたふ あともなくさの はまちとり ゆふしもみちて そらになくなり師信
627なにはかた ゆふなみたかく かせたちて うらわのちとり あともさためす実衡
628なにはかた みきはのちとり さゆるよは あしまのしもに うらみてそなく隆親(藤原隆衡男)
629なにはえの あしのうきねの なかきよに あかつきとほく なくちとりかな国平
630さえわたる よはのうらかせ おとふけて かたふくつきに ちとりなくなり重村
631さよふけて あしのすゑこす はまかせに うらかなしくも なくちとりかな公能
632ともさそふ みなとのちとり こゑすみて こほりにさゆる あけかたのつき和泉式部
633しもかれの あしまのつきの あけかたを なきてちとりの わかれぬるかな敏行
634かよふらむ ことうらひとの ねさめまて おもひしられて なくちとりかな為道
635さゆるよの こほりとちたる いけみつに かものあをはも しもやおくらむ恒明親王
636やまかけや なつみのかはに なくかもの おのかはかせに なみそこほれる定房(藤原経長男)
637たにふかみ やまかせさむき たきつせの なかなるよとや まつこほるらむ後醍醐院
638ふゆかはの はやせのなみの おのつから こほらぬひまに やとるつきかけ宣子(従三位藤原)
639ふけゆけは いはこすなみや こほるらむ かはせのつきの かけそのとけき行家(藤原知家男)
640もみちはの かけみしみつの うすこほり とまらぬいろを なにふすふらむ秀能(藤原秀宗男)
641いさやかは いまやこほりも しきたへの とこのやまかせ さむくふくなり時元
642うちよする なみもこほりて みなとえの あしのはさむく むすふあさしも重綱(藤原)
643しもかれの あしまのかせは よさむにて こほりによわる なみのおとかな性助法親王
644あしろきに いさよふなみを たよりにて やそうちかはは まつこほりつつ後二条院
645ふねもかな いさよふなみの おとはして またよはふかし うちのあしろき為家
646おとたてて のきはにさやく ささたけの よのまのかせに あられふるなり実兼
647をかのへの ならのおちはや くちぬらむ いまはおとせて ふるあられかな忠房親王
648ころもてに あられみたれて かかるなり はらははそてに たまやくたけむ雲雅
649あらしふく すそののひかけ さえくれて くものたよりに あられふるなり為氏
650くものうへの ありあけのつきも かけさえて ふるやあられの たましきのには為氏
651よのほとに つもりにけらし きのふまて みさりしやまの みねのしらゆき為顕
652みやこには あらしはかりの さゆるひも とやまをみれは ゆきふりにけり後伏見院
653ははそはら しくれしいろも あとたえて いはたのをのに ゆきはふりつつ澄覚
654のもやまも うつもれにけり たかまとの をのへのみやの ゆきのあけほの国冬
655はれぬれは のこるやまなく つもりけり くもまにみつる みねのしらゆき時有
656かせさむみ こほれるくもの みねつつき こえゆくすゑに つもるしらゆき道昭
657よしのやま みねのあらしも いまよりは さむくひことに つもるしらゆき定為
658いととまた ふゆこもりせる みよしのの よしののおくの ゆきのふるさと後二条院
659あまのはら そらかきくらし ふるゆきに おもひこそやれ みよしののやま紀伊(祐子内親王家)
660あすかかは かはおとたかし うはたまの よかせをさむみ ゆきそふるらし家持
661つもれたた みちはたゆとも やまさとに ひをふるゆきを ともとたのまむ俊成(藤原俊忠男)
662けぬかうへに つもらはつもれ ふるゆきの みのしろころも うちもはらはし後宇多院
663ふきおろす あらしのすゑの やまかけは ふるほとよりも つもるしらゆき承覚法親王
664たかさこの をのへのあらし ふくほとは ふれとつもらぬ まつのしらゆき為世(御子左藤原為氏男)
665ゆきをれの おとたにいまは たえにけり うつもれはつる みねのまつはら隆祐
666とふひとを まつとたのみし こすゑさへ うつもれはつる ゆきのふるさと国助
667ふりまさる としをかさねて みつるかな ならひのをかの まつのしらゆき禅助
668したをれの おとこそしけく きこえけれ しのたのもりの ちえのしらゆき国助女
669ちえにさく はなかとそみる しらゆきの つもるしのたの もりのこすゑは重経
670ちりつもる はなかとみえて さくらあさの をふのしたくさ ゆきふりにけり顕盛
671よしのやま ふもとにふらぬ ゆきならは はなかとみてや たつねいらまし西行
672けふりたつ ふしのたかねに ふるゆきは おもひのほかに きえすそありける相模
673やまふかみ けふりをたにと おもひしを しはとるみちも ゆきにたえつつ政国女
674ふゆふかき あこきのあまの もしほきに ゆきつみそへて さゆるうらかせ国助
675ふゆかれの をはなおしなひ ふるゆきに いりえもこほる まののうらかせ宗行
676うらかせに かへらぬなみと みゆるかな おなしみきはに ふれるしらゆき為氏
677たつたかは こほりのうへに かけてけり かみよもきかぬ ゆきのしらゆふ国冬
678かみかきに ゆきのしらゆふ うちはへて なひくとみゆる まつのしたをれ読人不知
679ゆきにたに あとまつかたそ なかりける あたにもこえぬ かみのいかきは達智門院
680つのくにの こやのあしふき うつもれて ゆきのひまたに みえぬころかな覚助法親王
681わけきつる あとともみえす ささのはの みやまもさやに つもるしらゆき信雅
682つたへこし よよのあとをも たつねみつ たけのそのふの にはのしらゆき慈道法親王
683ふかくさや たけのしたみち わけすきて ふしみにかかる ゆきのあけほの冬平
684さゆるよの かせはおとせて あけにけり たけのはうつむ けさのしらゆき大夫(延明門院)
685かねのおとに いまやあけぬと なかむれは なほくもふかし みねのしらゆき家隆
686いくへとは わけてもしらし あらちやま くももかさなる みねのしらゆき為実(御子左藤原為氏男)
687ふりくらす けふさへゆきに あとたえは あすかのさとを たれかとふへき兼氏
688よしさらは ひととはすとも にはのおもに あとなきゆきを ひとりこそみめ遠衡
689こぬひとを けさはうらみし われたにも あとつけかたき にはのしらゆき兼信
690かよふらむ こころもいさや しらゆきの あとみぬほとは いかかたのまむ長舜
691しられしな とはぬをひとの なさけとは われこそみつれ にはのしらゆき家良
692ふみわけむ わかあとさへに をしけれは ひとをもとはぬ にはのしらゆき為世(御子左藤原為氏男)
693しはしこそ ひとのなさけも またれしか あまりなるまて つもるゆきかな実兼
694しらゆきの ふるのなかみち なかなかに とふひとつらき あとそのこれる国夏
695うつみひの きえぬはかりを たのめとも なほしもさゆる とこのさむしろ定家
696くものうへに ねまちのつきは ふけにけり のふしのそても しもむすふまて実兼
697けふもまた をしむとなれは くれはとり あやにくにのみ すくるとしかな氏久
698つきひのみ たたいたつらに こゆるきの いそくにつけて くるるとしなみ教定(飛鳥井雅経男)
699かきりある つきひはかねて しりなから おとろかれぬる としのくれかな実泰
700いにしへは いそくはかりの こころにて くれゆくとしを なけきやはせし宣時(北条)
701おもへたた ふりぬるのちの としのくれ いにしへたにも をしまれしみに基忠(鷹司兼平男)
702そらにこそ つきひもめくれ さのみなと むなしきとしの みにつもるらむ定為
703つもりゆく としのおもはむ ことわりも はかなくくるる けふそしらるる高倉(八条院)
704ひとかたに おもひそはてぬ はるをまつ こころにをしき としのくれかな守覚法親王
705よよたえす のりのしるしを つたへきて あまねくてらす ひのもとのくに後宇多院
706ふちなみの さかりはすきぬ あしひきの やまほとときす なとかきなかぬ読人不知
707あすかかは かはよとさらす たつきりの おもひすくへき こひにあらなくに赤人
708これもまた ひとえたのこれ しをれても さけるひさしさ はなのかたみそ実兼
709こまわたす ひとせもみえす やへこほり うはなみなきは ふかきみなそこ為氏
710ふゆかれを ちくさおしなひ はてはみな かせにゆきさへ またつもるらし為氏
711いかにまた ひとりあかすか しのふてふ ひとはつらしな おもひこりねよ兼実
712ふたはにて わかひきうゑし まつのきの えたさすはるに あひにけるかな好忠
713はなのかの えたにしとまる ものならは くるるはるをも をしまさらまし好忠
714なにことも すつるみなれと よのなかの えさるましきは きみゆゑとしれ伊勢
715うくひすは はなのしるへを もとむめり さくらむかたの かせもふかなむ国助
716よをすつと いかていふらむ けふあすも ものはなにゆゑ おもふわかみそ隆信
717なにはひと あしのわかはや ほさてたく みとりにかすむ ゆふけふりかな俊成(藤原俊忠男)
718さよころも かへすかひなき みにはたた きみをうらみて そてそぬれぬる実兼
719まはらなる ねやをとめては もりくれと やとるほとなき なつのよのつき実泰
720かみやまに いくよへぬらむ さかきはの ひさしくしめを ゆひかけてけり定家
721つゆなから いろもかはらす すりころも ちくさのはなの みやきののはら為氏
722わすれすよ しものしたなる はなすすき をしきかたみの あきのおもかけ実兼
723いにしへよ いかにすきこし かたなれは しのへとかへる みちなかるらむ実重(三条公親男)
724あふことに かへむいのちも かへりみす たたみをすてて こふるはかなさ国助
725ほともなく とくさむくのは なりにけり むしのこゑこゑ よわりゆくまて俊頼(源経信男)
726おしなへて よものくさきの いろつくは やますしくれの ふれはなりけり公守
727はるたつと きくにつけても かすかのの わかなをなとか ひとのわするる紀伊(祐子内親王家)
728たもとには にほはさりせは うめのはな ひきかくしても をるへきものを大弐三位
729あをやきの うちたれかみを みせむとや いつへきかとに まちたてるらむ頼政
730そらはまた あまけになれや はるのよの つきもかすみの そてかさをきて実兼
731きみかため かせをそいとふ このはるは はなゆゑとのみ なにおもひけむ行尊
732まねくとて さのみもひとの ととまらは をはなかもとや ところなからむ信実
733みたれたる なをのみそたつ かるかやの おくしらつゆを ぬれてきぬらむ大弐三位
734わかことく はたおるむしも ねをやなく ひとのつらさを たてぬきにして読人不知
735やまのはを いつるのみこそ さやけけれ うみなるつきの くらけなるかな弁乳母
736よるよるは きぬたのおとを さそひきて かせそまくらに ころもうちける為世(御子左藤原為氏男)
737しつのめか きなれころもの あきあはせ はやくもいそく つちのおとかな知家
738さほやまの あらしそやかて ぬかせける もみちのにしき みにはきたれと康資王母
739ははききは おもてふせやと おもへはや ちかつくままに かくれゆくらむ俊頼(源経信男)
740ふりかくる ひたひのかみの かたみたれ とくとたのむる けふのくれかな知家
741のせてやる わかこころさへ ととめおきて ねたくもかへす むなくるまかな頼政
742ますらをの すけのあみかさ うちたれて めをもあはせす ひとそなりゆく家良
743いくへつつ いくつかさねて たのままし かりのこのよの ひとのこころは和泉式部
744かちひとの のわきにあへる ふかみのの けをふくよこそ くるしかるらめ為家
745よをすてて ひとにもみえす しられねは われこそいまは かくれみのなれ光俊(葉室光親男)
746きみかうた しかまのいちと みしかとも かちのなきこそ あやしかりけれ俊恵
747ゆきかへる ものとしるしる あやしくも わかれといへは をしまるるかな敦忠
748みちのくは よをうきしまも ありといふ せきこゆるきの いそかさらなむ小町
749おくれしと いはぬなみたも たむけには ととめかねつる ものにそありける忠見
750もみちをも はなをもをれる こころとは たむけのやまの かみやしるらむ貫之
751みやこなる ひとのかすには あらねとも あきのつきみは おもひいてなむ恵慶
752きみかため いのりてたてる からころも わかれのそてや たむけなるらむ清正
753きみかゆく くもちおくれぬ あしたつは いのるこころの しるへなりけり中務
754つゆのこと はかなきみをは おきなから きみかちとせを いのりやるかな高光
755まちつけむ いのちををしむ わかれちは きみをもみをも いのるとをしれ頼輔
756わかれちそ いまはなくさむ きみかかく まつとしきかは ちよもへぬへし季広
757なほさりに かへらむほとを ちきるかな いのちをしらぬ わかれなれとも円嘉
758かきくらし ゆくそらもなき わかれちは とまるもとまる こころならしを信生
759いまさらに わかるとなにか おもふらむ われこそさきに いへをいてしか蓮生法師
760あつさゆみ ひきととめても みてしかな いなはこひしと おもふへけれは公任
761みなれよと そふるかかみの かけたにも くもらてすくせ ひとわするとも馬内侍
762あさきりに よとのわたりを ゆくふねの しらぬわかれも そてぬらしけり土御門院
763ゆくこまの あとたにもなし たひひとの かちののはらに しけるなつくさ実雄
764うらうらの すゑのとまりは しらねとも おなしいそへを いつるともふね家平
765けさはみな まほにそかくる おひかせの ふくひとかたに いつるともふね為世(御子左藤原為氏男)
766はるかなる なみちへたてて こくふねは ゆくともみえす とほさかりつつ氏村
767てるつきを くもなかくしそ しまかけに わかふねよせむ とまりしらすも読人不知
768なにはかた こきいつるふねの はるはると わかれくれとも わすれかねつも読人不知
769かへりみる みやこやいつく わたのはら くものなみちは はてもしられす花園院
770なにはかた おなしいりえに ふねとめて いくよあしまの つきをみつらむ定房(藤原経長男)
771なみたそふ そてのみなとを たよりにて つきもうきねの かけやとしけり国助
772ねさめして いくよあかしの うらかせを なみのまくらに ひとりきくらむ忠成女
773まとろまて こよひやひとり あかしかた なみのまくらに かよふうらかせ秀賢
774はるはると なみちのすゑに こきくれて しらぬみなとに とまるふなひと通重
775なこのうらに とまりをすれは しきたへの まくらにたかき おきつしらなみ後二条院
776ふねとむる としまかいその うらひとも うきてよわたる ならひをそしる公顕
777たひひとも たたぬひもなき あつまちの ゆききになるる たこのうらなみ斉時
778かりそめと おもひなからも たひころも たちわかるれは そてそしをるる行朝
779たひころも みやこへいそく みちならは いとかくそては しほらさらまし右衛門督(惟康親王家)
780たひひとの こころつくしの みちなれや ゆききゆるさぬ もしのせきもり承覚法親王
781いまもかく とさしやささぬ たひひとの みちひろきよに あふさかのせき公顕
782あつまちの かたになこその せきのなは きみをみやこに すめとなりけり慈円
783みやこには きみにあふさか ちかけれは なこそのせきは とほきとをしれ頼朝
784たひころも あかつきふかく たちにけり はるかにきても あふひとそなき寂信
785みやこをは ひとりいてしを いかにして うきことはかり みにはそふらむ了然
786みやこいてて いくよになりぬ くさまくら むすふかりねの つゆをのこして重顕(藤原頼重男)/重名
787かりねとも いまはおもはし ひかすへて むすひなれぬる くさのまくらを有高
788たひねとは おもはさらなむ くさまくら あやめにこよひ むすひかへつつ公朝
789かりそめの あやめにそへて くさまくら こよひたひねの ここちこそせね為道
790ふしなれぬ たひねのまくら ほともなく あかつきまたて ゆめそさめぬる宗直
791ゆめむすふ たひねのいほの くさまくら ならはぬほとの そてのつゆかな貞時
792ゆめをたに みつとはいはし なにはなる あしのしのやの よはのあきかせ為氏
793かりねする まののいりえの あきのよに かたしくそては をはななりけり親長
794ささまくら いくののすゑに むすひきぬ ひとよはかりの つゆのちきりを宗尊親王
795すきかてに のなかのしみつ かけみても もとすみなれし かたそわすれぬ斉時
796わけきつる やまちのつゆの ぬれきぬは ほさてかたしく のへのかりいほ円位/円伊
797いまこむと むすふちきりも あたにのみ おもひおかるる みちしはのつゆ読人不知
798ふるさとは つゆもわすれす くさまくら むすふかりねの よはをかさねて重顕(藤原頼重男)
799たひころも かさなるそての つゆしくれ きのふもほさす けふもかわかす実兼
800いそきつる みちのゆくては くらきよに さとをしらせて とりのなくなる実兼
801たひころも たつよりそての なみたにて むすふまくらも のへのゆふつゆ永福門院
802くれはつる あらしのそこに こたふなり やととふやまの いりあひのかね永福門院
803いまそきく ゆふこえくれて はつせやま ひはらのおくの いりあひのかね道我
804くれすとて さとのつつきは うちすきぬ これよりすゑに やとやなからむ基忠(鷹司兼平男)
805いつくとも さためぬたひは ゆきくるる さとをかきりに やとやからまし成瑜/読人不知
806つゆわけて やとかりころも いそけとも さとはとほちの のへのゆふくれ宣子(従三位藤原)
807ゆくさきの ちかつくほとは ふるさとの とほさかりぬる ひかすにそしる道平
808たひころも ゆふこえかかる やまのはに ゆくさきみえて いつるつきかけ了雲
809ゆきくれて ふもとののへに やととへは こえつるやまを つきもいてけり淑文
810あまつそら おなしくもゐに すむつきの なとかたひねは さひしかるらむ宗秀(大江時秀男)
811くさまくら つゆのやととふ つきかけに ほさぬたひねの そてやかさまし忠景
812つきもまた したひきにけり われはかり やとるとおもふ のへのかりいほ宣子(従三位藤原)
813したひくる かけはたもとに やつるとも おもかはりすな ふるさとのつき土御門院
814したひきて またふみなれぬ やまちにも みやこにてみし つきそともなふ遊義門院
815よもすから かよふゆめちは たえはてて つきをみやこの かたみにそみる兼氏
816ときしもあれ なかめすてにし なかつきの つきをみやこの なこそをしけれ忠盛/忠守
817いつくにも なほおもかけの みにそへは つきのみやこを おもひこそやれ雅孝
818ぬれつつも なほそわけゆく たひころも あさたつやまの まきのしたつゆ清忠(藤原俊輔男)
819ひとりゆく さよのなかやま なかそらに あきかせさむく ふくるつきかけ観意
820みやことて くものたちゐに しのへとも やまのいくへを へたてきぬらむ定家
821あかつきの せきのあききり たちこめて みやこへたつる あふさかのやま基行
822きよみかた なみのせきもり とめすとも つきをみすてて たれかすくへき成茂
823よをこめて やまちはこえぬ ありあけの つきよりのちの ともやなからむ光吉
824たひひとの とこのやまかせ ゆめたえて まくらにのこる ありあけのつき師員
825こけむしろ たたひとへなる いはかねの まくらにさむき とこのやまかせ景久
826かりねする こよひはかりの いはかねに いたくなふきそ みねのこからし少将(藻壁門院)
827つきまちて なほこえゆかむ ゆふやみは みちたとたとし さやのなかやま為氏
828こえやらて やととひかぬる ときしもあれ あらしふきそふ さやのなかやま範貞
829ことのはも およはぬふしの たかねかな みやこのひとに いかかかたらむ有房(六条通有男)
830たちまよふ あさまのやまの みねのくも けふりをひとの みやはとかめむ国道(津守国助男)
831ゆくすゑも あともさなから うつもれて くもをそわくる あしからのやま広房(大江広茂男)
832あきかせは おもふかたより ふきそめて みやここひしき しらかはのせき邦長
833ゆくひとも えそすきやらぬ ふきかへす ころものせきの けさのあらしに為子(贈従三位)
834ゆきのうちに むかしのみちを たつぬれは まよはぬこまの あとそしらるる後醍醐院
835ゆきのもる すまのせきやの いたひさし あけゆくつきも ひかりとめけり定家
836みやこたに しくるるころの むらくもに そなたのそらの ゆきけをそしる慶融
837みやこたに はれぬしくれに おもひやれ こしちはゆきの ふらぬひそなき頼重
838うちまやま けさこえゆけは たひひとの ころもてさむし ゆきはふりつつ能円
839ふみわくる あとよりほかは たひひとの かよふかたなき のへのしらゆき寂恵
840なれきつる としとともにも かへらすは なみたはかりや みにはそはまし成茂
841かへるさの たひねのゆめに みえやせむ おもひおくれぬ こころはかりは義行
842かへるさに おもひおくれぬ こころとも たひねのゆめに みえはたのまむ為氏
843ふるさとの ゆめのかよひち せきもゐは なにをたひねの なくさめにせむ為相
844ゆめをたに むすひもはてす くさまくら かりねのとこの よはのあらしに経継
845いはかねの まくらはさしも なれにしに なにおとろかす まつのあらしそ土御門院
846ふるさとに かよふゆめちも ありなまし あらしのおとを まつにきかすは良経(九条兼実男)
847すきにける やまはももへを へたつれと ひとよにかよふ わかゆめちかな後宇多院
848いつこをか いへちとわきて たのむへき なへてこのよを たひとおもへは後宇多院
849あとたれし かみよにうゑは すみよしの まつもちとせを すきにけらしも後嵯峨院
850いくちよと またゆくすゑを ちきるらむ けふまちえたる すみよしのまつ為経(甘露寺藤原資経男)
851すみのえや けふのみゆきを まつとてそ かみもちとせの たねはまきけむ為教
852すみよしの まつのちとせも みゆきする けふのためとや かみはうゑけむ公守
853ちとせとも いのるしるしの ことのはを むすひやしつる すみよしのまつ実氏
854すみよしの まつもはなさく みよにあひて とかへりまもれ しきしまのみち為藤
855さらぬたに あささはをのの わすれみつ わすれはてても いくかへぬらむ経国
856おもひいてよ かみよもみきや あまのはら そらもひとつに すみのえのつき俊成(藤原俊忠男)
857みやゐせし かみよおもへは かたそきの ゆきあひのしもは としふりにけり読人不知/文知/文智
858ちきりありて つかふるかみの みしめなは なほよよかけて みにたのむかな国道(津守国助男)
859みかきおく あとをおもはは たまつしま いまもあつむる ひかりをもませ為家
860しきしまの やまとことのは わかよまて うけけるかみの すゑもたのもし為氏
861わかのうらや もにうつもれし たまもいま ひかりをそへて かみそみるらし讃岐(後照念院関白太政大臣家)
862わかのうらに たてしちかひの みやはしら いくよもまもれ しきしまのみち国助
863ひとすちに うきをもいかに なけかまし かみにまかせぬ わかみなりせは国助
864うもれきの みはいたつらに ふりぬとも かみたにはるの めくみあらはせ為氏
865みかさやま おいきもいまは はなさきて よよにかはらす はるにあひぬる実聡/実超/実聴
866みかさやま はるのめくみの あまねくは ふちのすゑはも なほやさかえむ雅孝
867てらせなほ やまはみかさの あさひかけ あふくこころも くもりやはする内実
868なかなかに さしてもいはし みかさやま おもふこころは かみもしるらむ定家
869かすかやま ふかくたのみし なつくさの しけきめくみそ みにあまりぬる実氏
870ひとよりは あはれとおもへ かすかやま しかもたのみを かくるとしつき後二条院
871のほるへき あとをはすてし かすかやま いまひとさかは かみにまかせむ定資
872かすかやま あまつこやねの ますかかみ うつりしかけの つきをみるかな祐茂
873さかきはに しらゆふかけて つもりけり みかさのもりの けさのはつゆき実聡
874たのもしな さほのかはせの かみさひて みきはのちとり やちよとそなく良経(九条兼実男)
875よよかけて かみにつかふる なとりかは かかるせまてと みをそいのりし祐春
876ふたはより かみをそたのむ をしほやま われもあひおひの まつのゆくすゑ秀房
877おもひやる そてもぬれけり いはたかは わたりなれにし せせのしらなみ公順
878いまもなほ あはれをかけよ みくまのや むかしのあとは かみもわすれし禅助
879いなりやま いのるしるしの かひもあらは すきのはかさし いつかあひみむ後宇多院
880ふゆされは みわのすきむら かみさひて こすゑにかかる ゆきのしらゆふ経継
881ゆきふれは みわのすきむら ゆふかけて ふゆこそかみの しるしみえけれ実兼
882ちはやふる かみのみむろの ますかかみ かけていくよの かけをこふらむ家隆
883かみかきや みむろのやまの ほとときす ときはかきはの こゑときかはや忠通
884もろかつら かたかたかくる こころをは あはれともみし かものみつかき紀伊(祐子内親王家)
885きみのみや ちとせもあかす ききふりむ わかかみやまの まつむしのこゑ氏久
886いくちよか なきてへぬらむ ちはやふる そのかみやまの まつむしのこゑ資季
887くもりなき きみかみよにそ ちはやふる かみもひよしの かけをそふらむ桓守
888きみまもる かみもひよしの かけそへて くもらぬみよを さそてらすらむ仁澄
889さりともと てらすひよしを たのむかな くもらすとおもふ こころはかりに慈円
890あさからぬ めくみにしりぬ のちのよの やみもひよしの てらすへしとは兼誉
891わすれしな おもひしままに みるつきの ちきりありける ななのかみかき慈勝
892みちまもる ななのやしろの めくみこそ わかななそちの みにあまりけれ為世(御子左藤原為氏男)
893いにしへに かみのみふねを ひきかけし こすゑやいまの からさきのまつ行氏(祝部行言男)
894みなひとの たのみをかけて かみかきに いのれはなひく まつのしらゆふ慶宗
895おほかたの よをしつかにと いのるこそ かみのこころに まつかなふらめ家基(近衛基平男)
896あめつちの ひらけそめける かみよより たえぬひつきの すゑそひさしき道平
897かたふかぬ はやひのみねに あまくたる あめのみまこの くにそわかくに後宇多院
898わかくにに うちとのかみと あらはれて つたへしのりを いままもるらむ後宇多院
899にこりなき かみのこころを あらはして みもすそかはや なかれそめけむ公顕
900いすすかは たえぬなかれの そこきよみ かみよかはらす すめるつきかけ伏見院
901すむつきの かけをうつして いすすかは にこらぬよにも かへるなみかな恵助法親王
902いすすかは とほきむかしの かみよまて こころにうかふ よはのつきかけ最信
903すめらきの あまつみおやの みことのり つかへていのる とよのみやひと行忠(度会)
904かみちやま かけのこくさは もえにけり すゑはももれぬ はるのめくみに氏忠
905いせのうみや いまもあまてる かみかせに みちあるなみの よるへをそまつ源承
906いのりこし しるしあらはせ いはしみつ かみもわかみを おもひすてすは貞重
907ここのへの けふのかさしの さくらはな かみもむかしの はるはわすれし師重(源師親男)
908よのためも あふくとをしれ をとこやま むかしはかみの くにならすやは後二条院
909よをおもふ わかすゑまもれ いはしみつ きよきこころの なかれひさしく後宇多院
910ふけぬるか まゆみつきゆみ おしかへし うたふかくらの もとすゑのこゑ為世(御子左藤原為氏男)
911そらさえて またしもふかき あけかたに あかほしうたふ くものうへひと定家
912よはふなる おとたかやまの さかきはの いろにかはらぬ きみかみよかな匡房
913ちはやふる みかみのやまの さかきはを かをかくはしみ とめてこそみれ顕輔
914ひさかたの あまのいはとの やまのはに とこやみはれて いつるつきかけ俊光
915ひにそへて かけはかはれと おほそらの つきはひとつそ すみまさりける後宇多院
916つきのため なにをいとはむ くもきりも さはらぬかけは いつもさやけし後宇多院
917さとりいる とをのこころの ひらけてそ おもひのままに よはすくひける後宇多院
918かくはかり たるまをしれる きみなれは たたかたまてそ いたるなりけり弘法
919くわむねむの こころしすめは やまかせも しやうらくかしやう とこそきこゆれ智弁
920しかのなみ くくうむかとは たたねとも きけはこころそ すみわたりける明尊
921きりになほ まよひしほとそ あきのよの つきをへたつる さはりとはみし実乗/実承
922きりはれて くもらぬにしの やまのはに かかるもきよき つきのかけかな守禅
923みかつきの くもゐにたかく いてぬれは かすみもきりも たちそへたてぬ公澄
924くもりなく いにしへいまを へたてぬは こころにみかく かかみなりけり了然
925ますかかみ うつしおこする すかたをは みことにみよの ほとけとそみる覚鑁
926おしなへて たれもほとけに なりぬとは かかみのかけに けふこそはみれ鳥羽院
927みつのよに つねにすむへき ことわりは ちらぬさくらの いろそみせける後宇多院
928みつのよに ちるもちらぬも ここのへの はなのいろをは きみそみるへき禅助
929むなしとも ありともいはし いまさらに まことののりの ふたつなけれは道我
930はるのくる かたをてらして のりのはな ひらくるときを よにそしらする尊円法親王
931むかしみし はるのひかりの かはらねは いまもみのりの はなそさくらむ有長
932すみそめの そてにもふかく うつりけり をりをりなるる はなのにほひは親瑜
933をしますよ あけほのかすむ はなのかけ これもおもひの したのふるさと定家
934わかこころ みつのくるまに かけつるは おもひのいへを うしとなりけり近衛院
935しらてこそ むすひおきけめ あけまきの いとけなかりし ほとのちきりを定為
936ひとときに そそきしあめに うるひつつ みくさふたきも えたさしてけり源信
937いかはかり うれしかりけむ さらてたに こむよのことは しらまほしきを俊成(藤原俊忠男)
938しつかなる いほりをしめて いりぬれは ひとかたならぬ ひかりをそみる俊成(藤原俊忠男)
939いけみつの そこよりいつる はちすはの いかてにこりに しますなりけむ俊成(藤原俊忠男)
940きりふかき あきのみやまの このもとに ことのはのみそ ちりのこりける惟方
941しはしこそ かけをもかくせ わしのやま たかねのつきは いまもすむなり隆淵
942みぬひとの ためとやわしの やまさくら ふたたひとける はなのしたひも成運
943つねならぬ よにふるはては きえぬとや けにみをすてし ゆきのやまみち為家
944きかぬまは むなしきそらの ほとときす けふはまことの はつねなりけり忠源
945くまもなき つきをうつして すむみつの いろもそらにそ かはらさりける瞻西
946くさのはの つゆもひかりの あれはとて たまといひては いかかひろはむ厳教
947くさのはを いかなるひとの むすひてか とかてもつゆの みをはおきけむ頼齢/頼験
948くもはれて そらもひかりも みえわかす ひとつにすめる あきのよのつき良信
949にこりなき もとのこころに まかせてそ かけひのみつの きよきをもしる覚懐
950はれやらぬ こころのやみの ふかきよに まとろまてみる ゆめそかなしき実寿
951おしなへて こころひとつと しりぬれは うきよにめくる みちもまとはす顕俊
952みなれさを いはまになみは ちかへとも たゆますのほる うちのかはふね定家
953おろかなる こころからこそ わかそてに かけけるたまを なみたとはみれ道良女
954まよひこし たまのゆくへも あらはれぬ みをうつせみの うすきたもとに憲実
955いかにして うらみしそてに やとりけむ いてかたくみし ありあけのつき西行
956いにしへに かはらすいまも てらすなる わしのみやまの つきをこひつつ道基
957すゑのよを てらしてこそは きさらきの なかはのつきは くもかくれけれ澄世
958みをかへて あまたにみえし すかたこそ ひとをもらさぬ ちかひなりけれ定資
959あひかたき のりのうききを えたるみは くるしきうみに なにかしつまむ頼輔
960つひにまた いかなるみちに まよふとも ちきりしままに しるへわするな兼氏
961いまはまた とふへきみちそ なかりける こころのおくを たつねきはめて忠源
962さこそけに うつすひかりも てらすらめ みのりのはなの さとりひらけて禅助
963むかしおもふ みのりのはなの つゆことに なみたやそへて かきなかすらむ氏久
964たねまきし こころのみつに つきすみて ひらけやすらむ むねのはちすも俊成(藤原俊忠男)
965たとへこし あふきもさこそ わするらめ つきをもつきと わかぬこころに後嵯峨院
966にしへゆく つきをやよそに おもふらむ こころにいらぬ ひとのためには西行
967おのつから こころにのこる ちりもなし きよきなかれの やまかはのみつ為氏
968はるやとき みやまさくらに さきたちて みやこのはなは まつそひらけし円胤
969ゆふつくひ いりえのあしの ひとすちに たのむこころは みたれさりけり照空
970そこきよく すますこころの みつのおもに むすふこほりを かさねてそみる為家
971つきかけの いたらぬさとは なけれとも なかむるひとの こころにそすむ源空
972みちもなく わすれはてたる ふるさとに つきはたつねて なほそすみける蓮生法師
973くもとみて すきこしあとの やまさくら にほひにいまそ はなとしりぬる順空
974ふえのねに ことのしらへの かよへるは たなひくくもに かせやふくらむ俊頼(源経信男)
975くるしとも うしともものを おもひしは みしゆめのよの こころなりけり俊頼(源経信男)
976こくらくの はちすのうへに おくつゆを わかみのたまと おもはましかは成賢
977さとりゆく こころのたまの ひかりにて うきよのやみを てらせとそおもふ聖覚
978ふかしとも おもひなはてそ のりのみつ そのみなもとは くみもつくさし道宝
979むすふての しつくそきよき たにかはの なかれはすゑも にこらさりけり桓守
980ちりのこる のりのはやしの こすゑには ことはのはなの いろそすくなき澄俊
981おもひきや にはのしらゆき ふみわけて たえにしみちの あとつけむとは定海
982おもはすよ かしこきよよの のりのみち おろかなるみに つたふへしとは禅助
983たつねいる うたののかせを うけてこそ のりをつたへし やとはしめけれ後宇多院
984わかやまに ちよをかさねし かひもなく うすきはみつの ころもなりけり道玄
985なかきよに まよふさはりの くもはれて つきのみかほを みるよしもかな堀河(待賢門院)
986まよひこし やみのうつつを なけきても こころのつきを たのむはかりそ公紹
987ありあけは もとみしそらの つきそとも しるこそやかて さとりなりけれ成運
988にこりえの みつのこころは すますとも やとれるつきの かけはくもらし宣子(従三位藤原)
989てらしける ひかりもよその かけならて もとみしつきの みやこなりけり達智門院
990まよふへき やみもあらしな みをさらぬ こころのつきの くもりなけれは宰相典侍(後宇多院)
991おのつから のりのみちある よのなかに またたちかへり まよはすもかな談天門院
992めくりあふ ちきりもうれし ときおける のりのくるまの あとたえぬよに親源
993とほるへき みちはさすかに あるものを しらはやとたに ひとのおもはぬ慈円
994ひさかたの そらのつきひの めくるこそ まとひをてらす はしめなりけれ後宇多院
995やはらくる ひかりをみても はるのひの くもらぬもとの さとりをそしる範憲
996あきらけき みのりにあへる かひもなく うきよのやみに なほやまよはむ良信
997はしめなく まよひそめける なかきよの ゆめをこのたひ いかてさまさむ永福門院
998たつねいる みちこそいまも かたからめ まよふをさそと しるひとのなき実兼
999まよひをは たかをしへより しりそめて まことのみちの うたかはるらむ承覚法親王
1000さとるへき みちもこころの うちなれは よそになしては いかかまよはむ禅助
1001うけかたき みをしほりてそ まよひこし もとのさとりの みちはしりける俊誉
1002よをてらす ひかりはひとを わかねとも わかみにくらき のりのともしひ実教
1003かかけおく のりのともしひ のちのよの なかきやみちの しるへともなれ忠源
1004いかかして ひかりそへまし ともすれは きえなむとする のりのともしひ範憲
1005きえぬへき のりのともしひ みるたひに かかくるひとの なきそかなしき覚円
1006きえぬへき のりのともしひ かかけても たかののやまの あくるをそまつ性助法親王
1007たかのやま みゆきのあとは おほけれと まことのみちは いまそみえける道順
1008そこきよき こころのみつの すみぬれは なかるるすゑも にしへこそゆけ覚鑁母
1009のりつめる ひとをしわたす ふねなれは にしのなかれに さをやさすらむ覚鑁
1010ともにこそ やまはいてしか おなしくは にしにとさそへ あきのよのつき漸空
1011さのみよも いるつきかけも したはれし にしにこころを かけぬみならは彰空
1012かねておもふ むかへのくもの あらましも こころにうかふ にしのやまのは如空
1013よをすてて あみたほとけを たのむみは をはりおもふそ うれしかりける永観
1014こくらくの みたのちかひに すくはれて もるへきひとも あらしとそおもふ千観
1015むらさきの くもをもかくし まちみはや いほりののきに かかるふちなみ実兼
1016むらさきの くもゐをねかふ みにしあれは かねてむかへを ちきりこそおけ在良
1017ふちのはな わかまつくもの いろなれは こころにかけて けふもなかめつ覚法法親王
1018むらさきの くものおりゐる やまさとに こころのつきや へたてなからむ基俊
1019へたてなき こころのつきは むらさきの くもとともにそ にしへゆきける覚性法親王
1020むかしより みくにはるかに つたはれる のりそこのよの まもりなりける道玄
1021あまくもの はるはるみえし みねよりも たかくそきみを おもひそめてし元良親王
1022おもふより やかてこころそ うつりぬる こひはいろなる ものにそありける俊成(藤原俊忠男)
1023しらさりし わかこひくさや しけるらむ きのふはかかる そてのつゆかは良経(九条兼実男)
1024かきりあれは さつきのたこの そてたにも おりたたぬより かくはしほらし公雄
1025おもひそむる こころのいろを むらさきの くさのゆかりに たつねつるかな後宇多院
1026やまとりの はつをのかかみ ひとめみし おもかけさらす ひとのこひしき後宇多院
1027おちそむる なみたはそてに あらはれて つつみならはぬ ほとやみゆらむ基忠(鷹司兼平男)
1028あひみすは みをうらなみの いかならむ うちつけにたに ぬるるそてかな公顕
1029わたるより そてこそぬるれ なかれての ちきりもしらぬ なかかはのみつ行房
1030さそとたに ほのめかさはや なにはひと をりたくこやの あしのしのひに為氏
1031けふりたに たてすはしらし あまのたく あしのしのひの したむせふとも盛徳
1032かりにたに うへになたてそ あしのやの したたくけふり おもひきゆとも実俊(西園寺公相男)
1033しらすへき ひまこそなけれ あしかきの まちかきなかの しけきひとめに宗緒母
1034しられしと おもふこころや なかなかに ひとのとかむる いろにいつらむ重顕(藤原頼重男)
1035きみにさへ しのひはつへき なみたかは いつのひとまに そてをみせまし一条(昭慶門院)
1036せきかへし なほこそつつめ わかそてに しのひはつへき なみたならねと公宗母
1037おもひあまる こころをなにに つつままし なみたはしはし そてにせくとも為世(御子左藤原為氏男)
1038なみたをも なにかつつまむ わかそてに かかるをひとの あはれともみは親子(典侍親子朝臣)
1039としをへて われのみしるは くれなゐの そてにふりぬる なみたなりけり御匣(式乾門院)
1040ひとしれぬ おもひはふかく そむれとも いろにいてねは かひなかりけり兼宗
1041ひとしれぬ こころにあまる なみたこそ いろにいてぬへき はしめなりけれ公顕
1042おちまさる なみたとひとに しられすは おさふるそての いろかはるとも宣旨(後京極院)
1043まくらたに しるてふことの なくもかな ひとめはかりを せめてつつまむ為子(贈従三位)
1044われはかり おもふもくるし たまかつら かけてもひとは しらしものゆゑ師久
1045こひしとも いはぬにおつる なみたをは そてよりほかに しるひとそなき親清四女
1046くちはてむ のちこそあらめ そてにせく なみたよしはし ひとにしらるな重村
1047せくそての くちすはなにに かこてとて なほもりぬへき なみたなるらむ実性
1048わかそての なみたはかさし ほとときす なきてはよそに もらしもそする光吉
1049ひとしれす もゆるおもひは それとみよ そてにつつまぬ ほたるなりとも為信
1050よもすから もゆるほたるに みをなして いかておもひの ほともみせまし為道
1051もゆとたに ひとにしられぬ おもひこそ ほたるよりけに みさをなりけれ国夏
1052しられしな とほやまとりの よそにのみ をのへへたてて ねをはなくとも信氏
1053よそなから しらせてしかな みかりのの ましろのたかの こひのこころを基俊
1054わきかへり いはまのみつの いははやと おもふこころを いかてもらさむ堀河(待賢門院)
1055しられしな いはかきふちの いはてのみ ふかきこころに こひわたるとは清兼
1056おくやまの いはもとこすけ ねをふかみ なかくやしたに おもひみたれむ実伊
1057しらせはや いはもるみつの たよりにも たえすこころの したにせくとは亀山院
1058もらしわひ むせふおもひの ありとたに たれにいはせの やまのしたみつ為道
1059すみよしの なみうつきしの くさなれや ひとめわすれて ぬるるたもとは兼氏
1060ひとしれす ぬるるたもとに くらへはや なみよせかくる みつのはままつ大輔(殷富門院)
1061いかにせむ くちきのさくら おいぬとも こころのはなは しるひともなし実氏
1062しらせはや なみたもいまは くれなゐの うすはなさくら いろにいてつつ読人不知
1063これをみよ うへはつれなき なつくさも したはかくこそ おもひみたるれ清少納言
1064かよふへき みちさへたえて なつくさの しけきひとめを なけくころかな後醍醐院
1065しられしな くさはのつゆに あらぬみの よるはおきゐて ものおもふとも宰相典侍(後宇多院)
1066ほしわひぬ をののしのはら しのひかね ひとめにあまる そてのしらつゆ実重(三条公親男)
1067えそしらぬ にほのしたみち みかくれて かよふこころの ありやなしやと為相
1068いけみつの そこのたまもの みかくれて なひくこころを たれによすらむ後宇多院
1069うきにはふ あしのしたねの みこもりに かくれてひとを こひぬひはなし為家
1070またしらぬ ひとのこころを たとるまに いはてつきひの つもりぬるかな後醍醐院
1071かくとたに いはてのもりの こからしに よそよりちらむ ことのはもうし為実(御子左藤原為氏男)
1072おもふこと いはてのもりの ことのはは しのふるいろの ふかきとをしれ国基
1073おもひかね こころひとつは くるしきは ひとにいはての もりのしめなは為方
1074おほのなる みかさのもりの ゆふたすき かけてもしらし そてのしくれは国冬
1075かみなひの いはせのもりの いはすとも そてのしくれを とふひともかな性助法親王
1076おもひあまり いかにいはせの もりのつゆ そめしこころの ほとをみせまし兵衛佐(新陽明門院)
1077きえそむる ゆきまのわかな それとたに もえてしらるる おもひなりせは宗成
1078わかこひは みやまかくれの うもれきの くちはてぬとも ひとにしられし冬平
1079ひとしれぬ そてのなみたや みちのくの いはてしのふの やまのしたつゆ通雄
1080いたつらに ほすひまなくて くちねとや ひとにしられぬ なみのしたくさ読人不知
1081おもひつつ いはねはいとと こころのみ さわくはそての みなとなりけり少将内侍(後深草院)
1082しられしな そてのみなとに よるなみの うへにはさわく こころならねは祐臣
1083ぬるとても しほくむあまの そてならは ひとめつつまて しほりこそせめ公朝
1084ひとめのみ しのふのうらに おくあみの したにはたえす ひくこころかな兼氏
1085いかにせむ そてにあまれる なみたかは せかぬによとむ ならひともかな為親
1086ひとしれぬ こころにあまる なみたかは そてよりほかの しからみもかな時敦
1087よにもらむ なこそつらけれ あふせなき なみたのかはは そてにせくとも公雄
1088せきわふる なみたのかはは はやくとも うきなはかりは なかさすもかな頼泰(藤原)
1089いかにして くちたにはてむ なとりかは せせのうもれき あらはれぬまに少将内侍(後醍醐院)
1090なかれては ひとのためうき なとりかは よしやなみたに しつみはつとも久明親王
1091ことうらに なひくけふりも あるものを わかしたもえの ゆくかたそなき政村
1092したもえの おもひをそらに しのはすは ふしのけふりは たちもおよはし成茂
1093なにたたむ のちそかなしき ふしのねの おなしけふりに みをまかへても為家
1094こひしなむ のちもたつなの かなしきに けふりにまかへ よはのうきくも宗成
1095しらせはや きえなむのちの けふりにも たちそふはかり おもふこころを維貞
1096われはかり こかれておもふ かひもなし こひのけふりの よそにみえねは基明
1097つきもせぬ わかしたもえの けふりこそ たつとはよそに しられさりけれ経清
1098したもえの おもひのけふり すゑつひに うきななからや そらにたつらむ為定(御子左二条為道男)
1099しられしな すくもたくひの ゆふけふり なにはたてしと しのふおもひを小督(昭訓門院)
1100もしほやく けふりになるる あまころも うきめをつつむ そてやぬれなむ斎宮女御
1101たちまよふ かすみのうらの ゆふけふり それともよそに しるひとそなき行意
1102ひとめをも いまはつつまし はるかすみ のにもやまにも なはたたはたて躬恒
1103そらにもや ひとはしるらむ よとともに あまつくもゐを なかめくらせは高明
1104うはたまの よるのゆめたに まさしくは わかおもふことを ひとにみせはや中務
1105したにのみ おもふこころを そのままに ことのはならて いかてしらせむ読人不知
1106おもひおく うきなこそなほ かなしけれ きゆともつゆの みをはをします近衛(今出河院)
1107もらぬまに こひしなはやと おもふこそ いのちにまさる うきななりけれ為子(贈従三位)
1108こひしなむ のちにもかたる ひともかな おなしよにこそ しのひはつとも能誉
1109しらせての つらさをせめて なけかはや いはねはとても ものやおもはぬ円伊
1110いはておもふ こころのうちの くるしさも しらせてのちは なくさみやせむ実任
1111つゆとたに たれにこたへむ わかそての なみたのたまは とふひともなし読人不知
1112もらさしと こころにはせく おもひをも そてにしらする わかなみたかな宣子(従三位藤原)
1113いはしたた さてしもつひに よにもらは なきなとひとの おもふはかりに冬平
1114うしとても あふにしかへは なとりかは よしあらはれよ せせのうもれき政長
1115くちぬとも たれかはしらむ よとともに ほさぬたもとや たにのうもれき為実(御子左藤原為氏男)
1116さのみなと たかまのやまの みねのくも よそなからたつ うきななるらむ実兼
1117こひすてふ うきなはそらに たつくもの かかるつらさに きえやはてなむ師継
1118うきみには なひかぬうらの ゆふけふり なきなはかりを なにとたつらむ頼範女
1119こひすてふ みをのそまひと あさゆふに たつなはかりは やむときもなし実兼
1120しのふへき ものともひとの おもはぬは かすならぬみの うきななりけり二条(後光明照院前関白家)
1121たれをかは かこちたにせむ せきわふる わかなみたより もらすうきなは宣子(従三位藤原)
1122せきかぬる こころのうちの たきつせや はてはなみたの かはとなるらむ雅朝
1123もらさしと せくかひもなし なみたかは よとまぬそてに かくるしからみ談天門院
1124もるとても なみたのほかは いかかせむ うきなはそてに つつむものかは実兼
1125しのへはと おもひなすにも なくさみき いかにせよとて もれしうきなそ後醍醐院
1126いたつらに たつなもくるし あまのかる みるめはよその そてのうらなみ公親
1127みるめなき いそのいはなみ よるしこそ うちあらはれて ねはなかれけれ実兼
1128おもひかは いはもとすけを こすなみの ねにあらはれて ぬるるそてかな頼舜
1129もらさしと ちかひしものを たむけやま ぬさとちりぬる ことのはそうき円世
1130いかにせむ もらしそめつる なみたにも おもふはかりの いろしみえすは兼胤
1131せきかぬる よはのたもとに かけとめて なみたのほとも つきそしるらむ清隆
1132なほさりに しのふとひとや おもふらむ せきかねてこそ もらすなみたを冬基
1133とにかくに こころひとつを つくはやま しけきひとめに もるなみたかな実雄
1134なみたこそ そてにもみゆれ ひとしれす いひしちきりの いかてもりけむ為理
1135わかこひの ころものうらの たまならは あらはれぬるも うれしからまし忠実
1136おくやまの このはかくれに ゆくみつの おとききしより つねにわすれす人麿
1137ゆふされは やまのはいつる つきくさの うつしこころも きみにそめてき読人不知
1138ひとこふる こころはそらに なきものを いつくよりふる しくれなるらむ宗于
1139いひそめぬ ほとはなかなか ありにしを しつこころなき きのふけふかな信明
1140あはれてふ なけのなさけの かかりなは そをたにそての かわくまにせむ崇徳院
1141わたるらむ たなはたよりも あまのかは おもひやるみそ そてはぬれける範永
1142わたのはら あとなきなみの ふなひとも たよりのかせは ありとこそきけ後鳥羽院
1143わかこひは いそまにわくる いさりふね ほのかにかよふ なみのまもかな後鳥羽院
1144かけをたに いかてかみまし ちきりこそ うたてあさかの やまのゐのみつ為氏
1145なみたかは したにもかよふ こころあらは なかれてすゑの あふせたのまむ後醍醐院
1146みにあまる おもひありやと ひととはは わかなみたにも なくさみなまし実兼
1147おもひしる ひとたにあらは なみたにそ なけくこころの いろをみせまし範行
1148まつのはの かはらぬいろを うらみても なほしくるるは なみたなりけり邦省親王
1149いつよりか あきのもみちの くれなゐに なみたのいろの ならひそめけむ宗尊親王
1150とへかしな いはたのをのの ははそはら しつくもつゆも ほさぬたもとを澄守
1151たくへはや なみたのそらの うきくもに ものおもふみの そてのしくれを覚助法親王
1152いつまてか ゆくへさためぬ うきくもの うきてたちゐに ものをおもはむ永福門院
1153そらにしれ くもまにみえし みかつきの よをへてまさる こひのこころを実兼
1154すむつきの おなしそらゆく くもなれや よそなからたに いとはるるみは実教
1155よるよるは ゑしかたくひの こかれても ひとをくもゐに おもふころかな為藤
1156ふしのねの けふりのすゑは あとなくて もゆるおもひそ みをもはなれぬ亀山院
1157ときしらぬ こひはふしのね いつとなく たえぬおもひに たつけふりかな丹後(宜秋門院)
1158いかにせむ かかるおもひの きえやらて もえまさるへき のちのうきよを経信
1159あまのたく うらのけふりの すゑたにも おもふかたには なひかぬそうき師信
1160いつまてか あまのしわさと おもひけむ わかみたくもの うらのけふりを公順
1161いせのうみの あまのもしほひ たくなはの くるれはいとと もえまさりつつ兵衛督(達智門院)
1162こひわひて もえむけふりの すゑもうし さのみあはての うらのもしほひ為道女
1163いかかせむ あはてのうらに よるなみの よるたにひとを みるゆめもかな季宗(荒木田氏成男)
1164あふことは なみよるいその うつせかひ つひにくたけて ものおもへとや通時
1165わかそてに うらわのなみは かくれとも とひもこぬよの はまのなそうき資明
1166まつしまや をしまのあまに たつねみむ ぬれてはそての いろやかはると知家
1167まつしまや をしまのあまの すてころも おもひすつれと ぬるるそてかな忠定(藤原兼宗男)
1168おもはすよ みぬめのうらに よるなみを まなくもそてに かけむものとは隆博
1169あまころも ぬれそふそての うらみても みるめなきさに もしほたれつつ雅有
1170しらせはや みるめはからて あさゆふに なみこすそての うらみありとも為道
1171よそにたに みぬめのうらの あまひとや たたいたつらに そてぬらすらむ師光(藤原)
1172なにかせむ かれなてあまの いたつらに たえぬうらみの みるめはかりは公恵
1173わかこひは しかつのうらの あまなれや みるめはなくて そてのぬるらむ成久
1174さのみやは からぬものゆゑ わたつうみの うらのみるめに そてぬらすへき内経
1175くちねたた そてのうらなみ かけてたに ひとをみるめは ちきりなけれは親子(従三位源)
1176ふかきえに なかれしやらぬ みたれあしの うきふしなから さてやくちなむ覚助法親王
1177ものおもふ こころのうちは みたれあしの うきふししけき ころにもあるかな小兵衛督(永福門院)
1178なにはえや あしまかくれの みをつくし あふよさはらぬ しるしともかな尊親
1179なにはえや おなしあしまを こくふねも おもはぬかたや なほさはるらむ公雄
1180あしかきの まちかけれとも いたつらに みとせあひみぬ ちきりなりけり後宇多院
1181おのつから かよふはかりの ことのはに つゆのいのちを かけてこそまて覚助法親王
1182あふまてと たれゆゑをしむ いのちとて いけるをひとの なほいとふらむ実重(三条公親男)
1183あふことを なほさりともと おもふこそ いのちもしらぬ たのみなりけれ宣時(北条)
1184あひみての のちもつらさの かはらすは たたこのままに こひやしなまし実教
1185なからふる いのちのみこそ はかなけれ ゆくすゑとたに ちきりやはする実前
1186ありてよに なからへはこそ おのつから ひとのちきりの すゑもたのまめ公宗母
1187あはれわか こひにいのちを かけはしの さていつまてか たのみわたらむ為継
1188いたつらに すくるはよその つきひにて わかみにたのむ ゆふくれもなし忠長
1189さのみやは ひとのつらさの としつきを しなぬいのちの うきになすへき俊定(源具定男)
1190さりともと おもふはかりの なくさめに いきてつれなき みをなけくかな良実
1191こひわふる みのためつらき いのちにて ちきりもしらぬ おなしよそうき為氏
1192たえぬへき いのちをこひの うらみにて あらはあふよの すゑもたのます定為
1193しぬはかり おもふといひて としもへぬ いままていける みとはしられし長舜
1194いたつらに なみたをかけて さよころも かさねぬとこに としそへにける新兵衛督(邦良親王家)
1195としつきの つもるもなにか をしまれむ ひとのこころの つれなからすは為躬
1196つれもなき ひとのこころは うきものを われたにいかに おもひよわらむ為子(贈従三位)
1197こひしさの うきにわするる ものならは つれなきひとを うらみさらまし雲雅
1198あふことは かたののみのの まくすはら うらみもあへす つゆそこほるる為実(大中臣)/為貫
1199おもひしる こころもなくて つれなきは うきにやひとの ならはさるらむ秀長(藤原秀弘男)
1200たえぬへき いのちなりとも ゆくすゑを ちきらはなにも なからへやせむ浄道
1201のちのよと ちきりもおかは いそかまし あふにはかへぬ いのちなりとも宰承
1202あひみるも たかためなれは たまのをの たえぬへきまて ひとをこふらむ道洪
1203あふまてと おもふいのちの いたつらに たたこひしなむ みこそをしけれ兼誉
1204こひしなむ いのちのはてを いかかせむ のちさへひとの あはれしらすは宣平
1205こひしなは われゆゑとたに おもひしれ さこそつれなき こころなりとも冬隆
1206つれなさを なけかむための いのちとは なからへてこそ おもひしりぬれ親長
1207いのちこそ つれなかりけれ あひみすは たへてあるへき ここちやはせし実衡
1208いのちをは のちにすつとも つれなさの つらきかきりは いきてこそみめ為世(御子左藤原為氏男)
1209いかにせむ なほつれなくて あふことを いのちにたにも ひとのかへすは為世(御子左藤原為氏男)
1210こころにも みにもまかせぬ いのちをは あふにかへむと いかかちきらむ有房(六条通有男)
1211こひしなむ いのちのさきに あふといふ なきなをたにも たつときかはや後二条院
1212おのつから はかなきよにも ありふるは こひせぬひとの いのちなりけり家隆
1213いかてなほ こひしぬはかり こふるみを ひとつてにたに さそときかれむ家良
1214おもひかね もらしてのちも つれなきに いつをまつへき ちきりなるらむ公賢/公実
1215のちのよの むくひをいかて しらせまし さてもやひとの おもひよわると宣時(北条)
1216よよかけて おもへはつらき むくひかな たかこころより つれなかりけむ為定(御子左二条為道男)
1217まよふへき のちのうきみを おもふにも つらきちきりは このよのみかは後京極院
1218なにゆゑか おなしよまては めくりきて ちきりなきみと つれなかるらむ為子(贈従三位)
1219とにかくに おもへはとても かひもなし くるしやちきり あるにまかせむ国冬
1220かすならぬ みをこそかこて ゆふたすき かけしちきりの うきにつけても為藤
1221さかきはに かみのゆふして かけてたに つれなきいろを えやはいのらむ為氏
1222よそにのみ みわのかみすき いかなれは いのるしるしの なきよなるらむ周防(永嘉門院)
1223つれもなき ひとをはおきて いのるとも あはすはまたや かみをうらみむ為世(御子左藤原為氏男)
1224かみかきや よるへのみつも なのみして いのるちきりの なとよとむらむ達知門院
1225きふねかは うきとしつきの かかれとは いのらぬものを そてのしらたま後宇多院
1226なかれての よをはたのます きふねかは たまちるなみに みをくたきつつ為実(御子左藤原為氏男)
1227たえねたた いしまつたひに ゆくみつの すゑもあふせの たのみなけれは祐世(中臣祐賢男)
1228いととまた なみたはふちと なりにけり あふせもしらぬ なかかはのみつ時見
1229こまとむる ひのくまかはに あらはこそ こひしきひとの かけをたにみめ国助女
1230あふみちに かよひなれたる こまもかな つれなきなかの こひのしるへに為氏
1231とふほたる わかかけみせて くらへはや けたぬおもひは たれかまさると承覚法親王
1232とふとりの こころはそらに あくかれて ゆくへもしらぬ ものをこそおもへ好忠
1233はしたかの かりはのをのに たつとりの あはてはなにに みをもかへまし宗尊親王
1234ねをそなく とほやまとりの ますかかみ みてはかひなく ものおもふとて宗尊親王
1235あふことは とほやまとりの おなしよに こころなかくて ねをのみそなく実兼
1236かくてしも よをはつくさむ やまとりの はつかりころも くちはてぬとも通光
1237うみやまの はてもこひちと おもふには あはれこころを いつちやらまし亀山院
1238あふみにか あるといふなる とこのやま とことはにこそ みまくほしけれ盛明親王
1239あふさかや かよふこころは せきもゐす ゆるさぬなかは ひとめなりけり兼康
1240いそのかみ ふるのたかはし たかために うきをわすれて こひわたるらむ道玄
1241うきなかは あすのちきりも しらたまの をたえのはしは よしやふみみし後伏見院
1242いかかせむ うきみなかみの なみたかは あふせもしらて しつみはてなは覚助法親王
1243わたりえぬ なみたのかはの せをはやみ みさへなかると いかてしらせむ少将(万秋門院)
1244ものおもふ なみたのかはの みをつくし ふかきしるしは そてにみゆらむ祐春
1245わかなみた よしやよしのの かはとなれ いもせのやまの かけやうつると国平
1246いかなれは うきなはかりの なとりかは あふせをよそに ききわたるらむ広茂
1247あふせなき ふちとなりても さらはなと よとまぬそての なみたなるらむ行氏(平胤行男)
1248いつまてか ぬるるそてにも やとるへき あふよはしると つきにとははや俊文
1249あふとみる ゆめはさめぬる うたたねに のこるそそての なみたなりける祐親
1250おもひねの ゆめのかよひち かはらねは なけくこころの ほとはみゆらむ経尹(世尊寺経朝男)
1251あふことは おなしうつつの つらさにて ぬるよをたのむ ゆめたにもなし為氏
1252さすかまた こころやかよふ つれもなき ひとをゆめちに あひみつるかな雅有
1253つらしとて うらみもはてす さよころも かへせはひとそ ゆめにみえける祐治
1254おもひねの まくらにみえし おもかけは ゆめとしりても なほそこひしき成兼
1255はかなくも なほやたのまむ あふとみる ゆめをうつつの なくさめにして時実
1256はかなくも たのみけるかな おもひねの みるよのゆめの ちきりはかりを読人不知
1257よなよなの ゆめはかよへと あふさかの せきそうつつの へたてなりける読人不知
1258あふことの ゆめはかりにも なくさまは うつつにものは おもはさらまし読人不知
1259あきのよを まとろまてのみ あかすみは ゆめちとたにも たのまさりけり是則
1260よをかさね まとろまてこそ あかしつれ ねすはとちきる ひともなきよに公実
1261なつひきの てひきのいとの うちはへて くるしきこひは よるそまされる後伏見院
1262うちとけぬ ちきりそつらき こひをのみ しつはたおひの むすほほれつつ有房(六条通有男)
1263いまはたた さてうちとけよ したおひの むすひすつへき ちきりならねは定為
1264あふまての いのちをひとに ちきらすは うきにたへても えやはしのはむ弁内侍(後深草院)
1265さためなき いのちもいかに をしまれむ ちきりしすゑを たのむみならは為子(贈従三位)
1266なほさりに たのめしことを いのちにて いけるはかりの かひやなからむ房観/房親
1267たのましな いのちもしらぬ よのなかに ひとのちきりは まことなりとも宗宣(北条宣時男)
1268ゆくすゑの ちきりもよしや なからへて まつへきほとの いのちならねは按察(中務卿恒明親王家)
1269いのちあらは よそにそきかむ ゆくすゑも みにはたのまぬ ちきりなりけり為子(贈従三位)
1270ちきりしを まつとせしまの としつきに つもるなみたの いろをみせはや師重(源師親男)
1271いつはりと かねてはしらぬ ことのはを かはらむまては たのみこそせめ為理
1272おのつから いひしちきりの ままならは みはつるまての いのちともかな後醍醐院
1273いつはりの なきよなりとも いかかせむ ちきらてとはぬ ゆふくれのそら順徳院
1274さりともと なほたのまるる ゆふくれを ちきりしままに とふひともかな亀山院
1275たのみける こころとひとの しるはかり いつはりをたに まつときかれむ為世(御子左藤原為氏男)
1276まこともや そのかねことに ましるらむ いつはりはかり あるよならねは実重(三条公親男)
1277ひとこころ きのふにかはる いつはりに しらすやすゑの よよのかねこと実兼
1278ちきれとも なほいつはりと うたかひし こころのすゑそ まことなりける師重(源師親男)
1279たのめはそ かはるもつらき かねてより なといつはりと おもはさりけむ能信
1280いつはりと おもひなからも ことのはに かかるはつゆの いのちなりけり行源/行深
1281ちきりしも なほたのまれす いつはりと おもひそめにし こころならひに貞時
1282まちよわる こころやあると あきかせの みにさむからぬ ゆふくれもかな宣時(北条)
1283わかための おとつれとたに おもははや ひとまつよひの をきのうはかせ円世
1284いろにいてて いはぬはかりそ をしほやま まつとはかせの たよりにもきけ実兼
1285たのめおく たかまことより ゆふくれの またるるものに おもひそめけむ為世(御子左藤原為氏男)
1286さのみやは わかいつはりに なしはてむ つらくはまたぬ こころともかな宗円(高階泰重男)
1287たのめても こぬひとをまつ ゆふくれに こころをつくす いりあひのかね隆長
1288いつはりと おもひもはては いかかせむ まつをたのみの ゆふくれのそら経長女
1289わかこひは けふりとたにも しらせはや こぬゆふくれの そらのうきくも源承
1290こぬくれの つらきむくひも みせてまし またるるほとの わかみなりせは国冬
1291いかかせむ つきのしるへは たのめとも ちきりしよはと おもひいてすは為道
1292いつはりの まことにならむ ゆふへまて あはれいくよの つきかみるへき国助
1293しらせはや たのむるよひの まつのとに ふけゆくつきの こころつくしを宰相典侍(後宇多院)
1294いまこむと ちきりしほとも ふけにけり こよひもさてや やまのはのつき政国女
1295まちかねて なみたかわかぬ わかそてに やとるもつらく ふくるつきかな春衡
1296とはれつる いつのならひの ありかほに こよひふけぬと またなけくらむ資名
1297おのつから おもひもいては とふはかり ふけぬるよはと いかてしらせし為子(贈従三位)
1298しはしたに ふけぬになして なくさめむ まつよのかねの こゑなきかせそ俊兼
1299つくつくと ひとりなかめて ふけにけり まきのとささぬ いさよひのつき景綱
1300まちわふる こころつくしの ほとをたに みせはやよはの つきそふけゆく宣時(北条)
1301あちきなく まつよひふくる つきかけを ふけぬになして なほたのむかな実超
1302つきのみそ おなしまくらに やとりける こよひもひとは そらたのめして仁澄
1303たのめすは ねなましつきと なかめても うきいつはりに ふくるそらかな後二条院
1304せめてたた いつはりとたに おもははや たのめてふくる よはのつらさを伏見院
1305きみまつと いくよのしもを かさぬらむ ねやへもいらぬ おなしたもとに後醍醐院
1306かそへても いつまてひとり またれけむ ももよもすきぬ しちのはしかき為世(御子左藤原為氏男)
1307きみこすは たれとかさねむ からころも つまふくかせに よはふけにけり隆康
1308あふことを こよひこよひと たのめすは なかなかはるの ゆめはみてまし家持
1309しらせはや つかはぬをしの うきぬなは いかなるせせに みたれゆくらむ道綱母
1310たのめつつ まつよむなしき うたたねを しらてやとりの おとろかすらむ後京極院
1311こよひこそ つらさなからに あけぬとも まちけりとたに いかてしらせむ実兼
1312あきたもる しつかかりほの いなむしろ いなてふよはそ とこはつゆけき実兼
1313おもひかね ゆきてはかへる みちしはの つゆをかさぬる そてのうへかな淑氏
1314おもひきや なみたにしほる そてになほ みをしるあめを そへむものとは小宰相(土御門院)
1315かきりあれは いまそかさぬる せきかへし なみたにくちし よはのころもて後二条院
1316かかるへき ちきりもしらす きのふまて よそにもひとを おもひけるかな大納言(昭訓門院)
1317もろともに うちとけられぬ にひまくら かはせるよはも くるしかりけり泰宗
1318わするなよ むすふひとよの にひまくら ゆめはかりなる ちきりなりとも読人不知/基世
1319こよひさへ おなしひとめを いとふかな あふにまきるる なみたならねは為道
1320かたみとも のちにこそみめ しのひつつ あふよのつきよ くもかくれせよ実兼
1321つれなさに すてしいのちも をしまれて あふにかはるは こころなりけり為世(御子左藤原為氏男)
1322このままに うきみにさめぬ ゆめならは うつつにかへて またやなけかむ光俊(葉室光親男)
1323いかにせむ うつつもゆめと たとられて あふにもまよふ わかこころかな頼重
1324かりそめの こよひはかりの ゆめならて またみるまての ちきりともかな良兼
1325ひとはよも さむるなこりも をしからし こころかよはぬ ゆめのちきりは実超
1326しのひつつ たたときのまに あふほとの こころまよひそ ゆめにかはらぬ兼季
1327ふけてとふ たたなほさりの ちきりこそ こぬにはまさる うらみなりけれ光忠
1328こよひたに おもひしらるる みのほとを いまよりのちと いかかちきらむ実任
1329なくさむる そのかねことも よしやいま しのはれぬへき わかれならねは康衡
1330きぬきぬに ならはいかにと おもふより よふかくおつる わかなみたかな光俊(葉室光親男)
1331とりのねの うきにもせめて なさしとや あくるをまたぬ わかれなるらむ具行
1332なかなかに むなしきよりも うきものを ふけてあふよの とりのこゑこゑ親子(従三位源)
1333さらてたに わかれをいそく うきひとの こころにかなふ とりのこゑかな実教
1334うきひとの こころにいそく わかれちを よそなるとりの ねにかこつかな家雅
1335うらみしよ あけぬととりは つけすとも さてとまるへき わかれならねは公恵
1336したひわひ なくはならひの わかれちに なにとかとりの ねをもかこたむ道性
1337あけぬとも こころなるへき わかれちを なととりのねに かこちそめけむ少将内侍(後醍醐院)
1338ひとはなほ なからへぬへき こころかと のちをちきるも うきわかれかな後醍醐院
1339ゆくすゑの ふかきちきりも よしやたた かかるわかれの いまなくもかな遊義門院
1340あやにくに さてもやひとの やすらふと をしまてみはや つらきわかれを有忠
1341しはしとも ひとはととめぬ わかれちの われのみつらき あかつきのそら寂恵
1342しはしとて なほいかはかり したはまし これをかきりの わかれなりせは成久
1343つらしとや おもひはてまし またこむと いひてかへらぬ わかれなりせは秀長(藤原秀弘男)/季長
1344のちとたに たのめもおかは わかれちの いまのつらさは なくさみなまし基祐
1345わかれちの のちをはいかに ちきるとも なくさみぬへき わかこころかは読人不知
1346あけぬとも しはしはなほや したはまし しのふるなかの わかれならすは貞康
1347くもれたた のちにしのはむ かけもうし わかかへるさの ありあけのつき宗秀(藤原宗泰男)
1348つきたにも おもかけとめよ きぬきぬの そてのわかれを したふなみたに宗行
1349わかれちの うきにたへすは いきてよに またありあけの つきやみさらむ隆博
1350うきものと またはいふとも わかれちに ふたたひみはや ありあけのつき通顕
1351ありあけの つきさへうしや いかなれは わかれかなしき そらにみゆらむ広義門院
1352きぬきぬの そてのなみたを かたみにて おもかけとむる ありあけのつき後宇多院
1353みるままに これやかきりと かなしきは わかるるそての ありあけのつき後宇多院
1354こひこひて あふよもやかて わかれちの なみたにくるる ありあけのそら後醍醐院
1355おきわかれ なみたくもらぬ つきならは そてになこりの かけはみてまし冬平
1356しののめの みねにもくもは わかれけり わかきぬきぬの なこりのみかは道平
1357せきもりは あかつきはかり うちもねよ わかかよひちを しのふわかれに後二条院
1358こころにも あらてそいそく せきもりの うちぬるほとと おもふわかれは師信
1359こころから いくたひそてに かけつらむ こりぬわかれの しののめのつゆ教定(飛鳥井雅経男)
1360このねぬる あしたのはらの つゆけさは おきわかれつる なみたなりけり後嵯峨院
1361おとにのみ ききしはさても なくさみき なとかけさしも そてのつゆけき朝光
1362なみたかと みるしもかなし わきもこか かへるあさけの みちしはのつゆ実兼
1363とけてぬる はなたのおひの ひとすちに かへるいろこそ けさはつらけれ久世
1364おきわかれ かへるたもとの いつのまに けささへやかて つゆけかるらむ定経
1365おもひやれ あたなるゆめに むすほほれ さむるかたなき けさのこころを読人不知
1366とりのねに おきわかれつる きぬきぬの なみたかわかぬ けさのとこかな遊義門院
1367わかれては またよはふかき とりのねを ひとりなこりの とこにきくかな永福門院
1368いまはとて おのかきぬきぬ たちわかれ とりのねおくる しののめのみち覚助法親王
1369わすれはや はかなきゆめの なこりゆゑ けさのまくらに のこるおもかけ隆博
1370けふたにも なくさめかたき こころには いかてすくしし むかしなりけむ輔親
1371いたつらに たちかへりにし しらなみの なこりにそての ひるときそなき素性
1372すまのあまの しほやきころも おのれのみ なれてもかかる そてのなみかな道家
1373いかにせむ うきなかかはの あさきせに むすふちきりの さてもたえなは俊光女
1374おもひのみ ますたのいけの うきぬなは たえぬちきりそ くるしかりける俊成女
1375あまのかは おなしわたりに ありなから けふもくもゐの よそにきくかな和泉式部
1376よしやまた さてもたえすは あまのかは おなしあふせに たくへこそせめ兼氏
1377うつろはむ ひとのこころも しらきくの かはらぬいろと なにたのむらむ家基(近衛基平男)
1378たのましな うつろひぬへき しらきくの しもまつほとの ちきりはかりは為世(御子左藤原為氏男)
1379われにのみ うつりはつとも つきくさの うすはなこころ いかかたのまむ国道(津守国助男)
1380あたにのみ うつろふいろの つらけれは ひとのこころの はなはたのまし長舜
1381はなかつみ かつみてもなほ たのまれす あさかのぬまの あさきこころは公雄
1382なからへは わかこころたに しらぬみの ひとのちきりを えやはたのまむ能清
1383おもかけを おもひもいつな ますかかみ またこそひとも こころうつらは宗秀(藤原宗泰男)
1384ひくかたは あまたありとも あつさゆみ もとのこころの かはらすもかな利行
1385かかれとは いのらさりしを みしめなは あらぬこころの たれにひくらむ宗泰(藤原時宗男)
1386ちはやふる かみのいかきも こえぬへし おほみやひとの みまくほしさに読人不知
1387こひしくは きてもみよかし ちはやふる かみのいさむる みちならなくに業平
1388うきくもに みをしなさねは ひさかたの つきへたつとも おもはさりけり兼輔
1389わかれても いくありあけを しのふらむ ちきりていてし ふるさとのつき土御門院
1390つきにしも とふへきものと おもはぬを なとみるからに なみたそふらむ実泰
1391いまさらに おもひいつるも たのまねは まつともいはし ゆふくれのそら後醍醐院
1392ともねせぬ かものうはけの よるのしも おきあかしつる そてをみせはや後鳥羽院
1393なにはめの あしのしのやの しのすすき ひとよのふしも わすれやはする俊成(藤原俊忠男)
1394きのふけふ あしまのをふね さはりきて あすをあふよと またちきるかな祐春
1395きぬきぬの わかれたにうき とりのねを こぬよのとこに ききやあかさむ行朝
1396もろともに みしをなこりの はれまにて こぬよはくもる そてのつきかけ円勇
1397みしままの そてになみたは はれやらて こぬよはつらき つきのかけかな忠守
1398おもかけも なみたにはては くもりけり つきさへひとの ちきりわすれて道義
1399ほしわふる わかそてかたれ よはのつき ひとはなみたの ほかにみるとも基有
1400おもかけそ いつしかかはる ますかかみ みさりしよりも くもるなみたに為藤
1401いととなほ あひみてのちも かかれとは たかならはしの そてのなみたそ親房(北畠師重男)
1402ありしよを こふるうつつは かひなきに ゆめになさはや またもみゆやと為氏
1403なけくとも さめてののちに かひなきは またみぬゆめの ちきりなりけり為世(御子左藤原為氏男)
1404わかれては わすれやすらむ ふるさとの ひとのこころを みるゆめもかな基任
1405ひとこころ いかなるひまに かよひけむ またはゆるさぬ よはのせきもり為信
1406ひとはよも ひとにかたらし ありしよの ゆめをゆめとも おもひいてすは公雄
1407つらかりし そのつれなさの ままならは なかなかかかる ものはおもはし師教(九条忠教男)
1408みるもうし おきてわかれし ありあけの そらにかはらて のこるつきかけ忠良
1409よそにても おなしこころに ありあけの つきはみるやと たれにとはまし和泉式部
1410あきやまに あさたつきりの みねこめて はれすもひとを おもふころかな是則
1411あきはきの したにかよひし しかのねも いまはかひなく なりやしぬらむ師輔
1412かりにたに とはれぬさとの あきかせに わかみうつらの とこはあれにき定家
1413ものおもふ なみたをそへて おくつゆに わかみのあきと ぬるるそてかな弁内侍(後深草院)
1414さそとたに おもひもいてし あきのたの かりにもかくと おとろかさすは為氏
1415いそのかみ ふるのわさたに つなはへて ひくひとあらは ものはおもはし讃岐(二条院)
1416たのめおきし ことのはさへに しもかれて わかみむなしき あきのゆふくれ道家
1417かれはつる ちきりもつらし あとたえて ふるののみちの しものしたくさ俊成女
1418わけなれし をののあさちふ しもかれて かよひしみちの いつたえにけむ覚助法親王
1419いろかはる ひとのこころの あさちはら いつよりあきの しもはおくらむ公脩
1420たつねても とはるるほとの あともなし ひとはかれにし にはのよもきふ道良女
1421かはらすは たつねもみはや みわのやま ありしこすゑの すきのしるしを内侍(達智門院)
1422きえねたた わすれかたみの ことのはも あるかなきかの そてのしらつゆ道玄
1423ぬれてほす ひまこそなけれ こひころも みをしるあめの はれぬおもひに慈慶
1424ことのはの うつろふあきの しくれには わかみひとつの そてそぬれける広房(大江広茂男)
1425つきくさの はないろころも たかそての なみたよりまつ うつりそめけむ親教
1426うつりゆく ひとのこころの あきのいろに むかしなからの ことのはそなき公敏
1427みのあきそ かこつかたなき ことのはに つゆもかからす なりぬとおもへは実泰
1428つゆはかり かけしなさけも ととまらす かれゆくなかの みちのしはくさ読人不知
1429あさことに ほすかたもなし からころも よなよなそての そほちまされは読人不知
1430ほすかたも ありとこそきけ からころも うすくなりゆく ひとのたもとは侍従(本院)
1431たちかへり いくたひそてを ぬらすらむ よそになるみの おきつしらなみ雅朝
1432あふことも いまはなくさの はまかせに なほなみさわく そてをみせはや教定(藤原教頼男)
1433しられしな あまのもしほき こりすまに なほしたもえの たえぬおもひは時元
1434ひとこころ あさかのぬまの みをつくし ふかきしるしも かひやなからむ雲雅
1435あふことも いまはかたみの うらなみに とほさかりゆく あまのつりふね経朝
1436いかにせむ うきなかかはの みつをあさみ せたえかちなる こころほそさを宣子(従三位藤原)
1437なかれてと ちきりしすゑの いかなれは ありしにかはる なかかはのみつ観意
1438あひみても ひとのこころの かはるせに またそてぬらす なかかはのみつ唯教
1439とにかくに かはるそやすき あすかかは ふちせやひとの こころなるらむ貞重
1440なつむしの かけみしさはの わすれみつ おもひいてても みはこかれつつ定顕(源)
1441みつとりに あらぬなみたの うきねして ぬれつついまは なかぬひもなし重時
1442ふかきえの うきにしをるる あしのねの よよのちきりも くちやしぬらむ雅経
1443わすれくさ こころなるへき たねたにも わかみになとか まかせさるらむ宗宣(北条宣時男)
1444いかにして おもひたえなむ わすれゆく ひとのこころを わかみともかな経長(丹波経基男)
1445かくてたた とはぬはかりは つらくとも こころよりたに わすれはてすは冬平
1446わすらるる みをうきものと おもひしる こころひとつの なとなかるらむ宗氏
1447おのつから またもやとふと またれしは つらさになれぬ こころなりけり雅孝
1448くやしくそ ちきりおきける なからへて かはるこころの はてをみるにも通顕
1449おもひやる こころはかりの かよひちは よひよひことの せきもりもなし読人不知
1450せくそての いろさへかはる なみたかな みしにもあらぬ ひとのちきりは為経(甘露寺藤原資経男)
1451ふかくのみ おもひそめにし ままならて こころのいろの なとかはるらむ治部卿(瓊子内親王家)
1452いつかたに またあきかせの かはるらむ なひきそめにし をののしのはら国助
1453ことのはは たよりあらはと おもひしを ことかたにのみ あきかせそふく師継
1454つれなくも なほしたはるる こころかな おもひたえねと つらきちきりを実俊(西園寺公相男)
1455あひみしも ひとのこころの ほかなれや またつれなさに かへるちきりは実前
1456いけみつの いひたえぬとや おもふらむ ふかきこころは いつかかはらむ定頼
1457やまのゐの あさきなからも たのみしは かけみしまての ちきりなりけり邦長
1458なにゆゑに そてぬらすらむ ひとこころ あささはみつの おもひたえなて為道
1459ふかからぬ ひとのちきりに いにしへの のなかのみつは むすひたえにき甲斐(安嘉門院)
1460つひにさて たえけるものを みなせかは ありてゆくみつ いまはたのまし為世(御子左藤原為氏男)
1461かはふねの みをさかのほる つなてなは たえにしのちも みはこかれつつ為藤
1462かつらきや くめのいははし なかたえて かよはぬひとの ちきりをそしる公相
1463こひわたる こころはかりや たえさらむ くめちのはしの よるのちきりは兼氏
1464あふことは をたえのはしの はしはしら またたちかへり こひわたるかな久明親王
1465おもはすよ そをたにのちの かたみにて うかりしふしも しのはれむとは冬教
1466もろともに おもふかなかの いかならむ つらきたにこそ こひしかりけれ禅心
1467かくはかり おもふといふを たのまぬは たれにつらさを ならひそめけむ義行
1468いのちをは あふにかへてし なかなれは あるものとたに ひとはおもはし国助
1469はかなくも このよはかりを ちきりける またあふまても しらぬいのちに公茂
1470おなしよを たのむかたには あらねとも なれしなこりそ わすれかねぬる永福門院
1471こひしなむ のちをたのまむ このよこそ みしかかりける ちきりなりとも兼季
1472たえなはと ちかひしすゑの いのちさへ わかいつはりに なからへにけり冬平
1473せめてなと そのあかつきを かきりそと いひてもひとの わかれさりけむ貞俊(平時俊男)
1474いまははや よそにのみきく あかつきも おなしねにこそ とりはなくなれ宣時(北条)
1475もろともに いとひなれにし とりのねを ひとりきくにも そてはぬれけり公茂
1476やまとりの はつをのかかみ それならは へたつるひとの かけをみてまし行家(藤原知家男)
1477いまさらに いかかはすへき にひまくら としのみとせを まちわひぬとも讃岐(二条院)
1478うちはらふ ちりのみつもる さむしろも なけくかすには しかしとそおもふ道綱母
1479いまははや まちならひこし ゆふくれを むかしになして ぬるるそてかな泰氏
1480いまさらに くへきよひとも たのまれす ちきりたえにし ささかにのいと棟国
1481なつひきの てひきのいとの わくらはに とはれしなかそ いまはたえぬる宗行
1482とはすとて いつまてひとを うらみけむ おもひたえては ことのはもなし貞忠
1483こぬまても こころひとつを なくさめて たのみしほとの いつはりもなし為道
1484はかなくそ ひとよふたよの へたてをも みにならはすと むかしうらみし後二条院
1485おのつから おもひいつやと たのむかな つらきこころの はてはみしかと後京極院
1486いつなれし おもかけそとも かこたれす たたみにそふを なくさめにして万秋門院
1487めくりあふ つきはかはらぬ おもかけを いかなるくもの たちへたつらむ覚円
1488おもかけの わすれぬはかり かたみにて まちしににたる やまのはのつき為氏
1489もろともに まちいてしよの おもかけも さらにこひしき やまのはのつき隆博
1490くれをたに なほまちわひし ありあけの ふるきわかれと なりにけるかな順徳院
1491つきもなほ みしおもかけや かはるらむ なきふるしてし そてのなみたに順徳院
1492いつまてか しらぬかたみの つきかけを やとすなみたに そてやくちなむ信実
1493つきをたに みしよのかけと おもひいてよ ちきりのすゑは あらすなるとも隆博
1494おのつから ともにみしよの おもかけも むかしになりぬ あきのよのつき為道
1495めくりあふ つきをそのよの かたみとも ひとはかけても おもひいてしを兵衛督(花園院)
1496いろかはる つきのかつらの かけよりや あきのこころは うつりはてけむ実重(三条公親男)
1497わすらるる わかみそあらぬ めくりあふ つきはむかしの かけもかはらて公明
1498おのつから おもひやいつる うきひとの こころしらせよ よはのつきかけ雅孝
1499もろともに みしをかたみの おもかけに つきそなみたを なほさそひける行済
1500うきなから いまはかたみの よはのつき せめてなみたに くもらすもかな義円
1501ひとはよも おもひもいてし あふことは みしをかきりの ありあけのつき経継
1502ありあけの つきこそみしに かはらねと わかれしひとは かけたにもなし広義門院
1503ありあけの つきとともには いてしかと きみかかけをそ ととめさりけり基俊
1504かきりとも しらてわかれし ありあけの つきをかたみと いくよみるらむ為綱
1505おもひいつる ありあけのつきも かきくれて うかりしなかは かたみたになし近衛(今出河院)
1506もろともに なかめしよはの つきはかり おもかけのこる かたみとそなる泰宗
1507わすれすよ やへくもかくれ いるつきの へたてしなかに のこるおもかけ斉時
1508うきひとは かけはなれにし そてのうへに つきなれはとて いかかやとさむ親子(従三位源)
1509もろともに みしをかたみの つきたにも くちなはそてに かけやたえなむ良教
1510いかにみし このまのつきの なこりより こころつくしの おもひそふらむ国助
1511ひとりわか なみたにくらす つきかけを たれとさやかに ひとのみるらむ行家(藤原知家男)
1512そのままに ゆめのたたちも たえにけり いかにさためし よはのまくらそ行家(藤原知家男)
1513かたしきの そてのみぬれて いたつらに みしよのゆめは またもむすはす隆弁
1514まれにみし ゆめのちきりも たえにけり ねぬよやひとの つらさなるらむ貞資(平時国男)
1515おとろかす ちきりはさこそ かたからめ みしよをたにも ゆめになせとや祐春
1516あふゆめに つらさをなほや そへつらむ さむるうつつに ものおもへとて行氏(平胤行男)
1517むすはても あらましものを なれしよの ちきりをいまの ゆめとしりせは為相
1518みすもあらす さめにしゆめの わかれより あやなくとむる ひとのおもかけ近衛(今出河院)
1519いかなれは みしよのゆめを うつつとも おもひあはせぬ ちきりなるらむ後京極院
1520われのみそ おもひあはする そのままに またみぬゆめの むかしかたりは実重(三条公親男)
1521いまはたた ゆめとそなれる いつまてか おもひいてしも うつつなりけむ家親
1522おなしよに みしはうつつも かひなくて ゆめはかりなる ひとのおもかけ亀山院
1523ゆめにても またあふことや かたからむ まとろまれぬそ せめてかなしき為実(御子左藤原為氏男)
1524おのつから みしやそのよの おもかけも いかなるゆめの ちきりなりけむ成良
1525あひみしは ゆめかとつねに なけかれて ひとにかたらま ほしきころかな重之女
1526あかすして わかれしひとを ゆめにみて うつつにさへも おつるなみたか貫之
1527たちかへり おもひすつれと いそのかみ ふりにしこひは わすれさりけり友則
1528としたにも とをとてよつは へにけるを いくたひひとを たのみきぬらむ業平
1529としつきは むかしにもあらす なりぬれと こひしきときは かはらさりけり宗于/宗行
1530わすられぬ ものからつらき としつきは いかなるなかの へたてなるらむ少将内侍(後深草院)
1531さりともと なほたのみしは としつきを へたてぬほとの つらさなりけり為明
1532ひとよたに なほへたてしと おもひしに うきとしつきの つもりぬるかな後伏見院
1533としつきの あはぬつらさを かさねても なほたちかへる そてのうらなみ亀山院
1534つらくのみ みゆるきみかな やまのはに かせまつくもの さためなきよに兼盛
1535うきことの しけさまされる なつやまの したゆくみつの おともかよはす敦忠
1536かけてたに またいかさまに いはみかた なほなみたかし あきのしほかせ定家
1537すゑのまつ あたしこころの ゆふしほに わかみをうらと なみそこえぬる信実
1538いつしかと わかまつやまの いまはとて こゆなるなみに ぬるるそてかな元良親王
1539わすれしと ちきりしなかの すゑのまつ たかつらさにか なみはこゆらむ為氏
1540わすらるる みののをやまの つれなくも まつときかれむ なこそをしけれ為氏
1541こえなれし あとともみえす たちかへり つらきのちせの やまのはのくも定為
1542なへてたた すくさぬつきも かこたれぬ つらきひとゆゑ くもるなみたに公雄
1543いまはたた つらきかたみと いとへとも そてをはなれぬ つきのかけかな時敦
1544つらしとも うきひとならは いひてまし みしよにかはる そてのつきかけ貞時
1545くもるとも みさりしものを とはぬまの うらみにかはる そてのつきかけ斉時
1546つれなくて なにとうきよに のこるらむ おもひもいてぬ ありあけのつき宗朝
1547いかにせむ くもるなみたの ますかかみ うらみしよりそ かけはたえにし家良
1548よしさらは なみたにくもれ みるたひに かはるかかみの かけもはつかし成実(藤原親実男)
1549うらみても かひこそなけれ あまをとめ いさりたくひの もえこかれつつ後宇多院
1550なもつらし またもみぬめの うらなみの あさゆふそてに かかるはかりは後伏見院
1551しほたるる そてこそあらめ あまのすむ うらみよとての みるめなりけり土御門院
1552おのつから とへかしひとの あまのすむ さとのしるへに おもふこころを家隆
1553いかにせむ よそになるとの おきつなみ はてはよるへも しらぬうらみを時元
1554くちねたた しほくむあまの ぬれころも うらみはてぬと ひとにしらせむ円世
1555おもひしる ひともなきさに やくしほの からきうらみに みをこかすかな重綱(藤原)
1556みをはさて おもひそすてし うつせかひ むなしきこひの うらみせしまに為実(御子左藤原為氏男)
1557うらみわひ われからぬるる たもとかな もにすむむしに あらぬみなれと師継
1558なきわひて みをうつせみと なりぬれは うらむるこゑも いまはきこえし興風
1559はかなしや こひもうらみも うつせみの むなしきよには ねのみなかれて後宇多院
1560うつつには ちきりたえぬる おもひねの ゆめになしても なほやうらみむ光成(大炊御門光俊男)
1561こころひく かたこそしらね わすらるる みをはうきたの もりのしめなは行済
1562かれはては おもひたえなて まくすはら なににのこれる うらみなるらむ親教
1563とへかしな たえぬうらみの まくすはら かせまつほとの つゆはいかにと通重
1564みのうさに おもひかへせは まくすはら たたうらみよと あきかせそふく実兼
1565あきかせに うらみわふとも まくすはら つゆこほるとは ひとにしらせし大弐(安嘉門院)
1566あまのすむ さとのとまやの くすかつら ひとかたにやは うらかせもふく為家
1567わすれくさ つみにこしかと すみよしの きしにしもこそ そてはぬれけれ俊成(藤原俊忠男)
1568いかにせむ みをすみのえの くさのなに おもひなしてや とふひとのなき親子(典侍親子朝臣)
1569うきひとの こころのたねの わすれくさ いつわかなかに しけりそめけむ氏之
1570うきなかに かれはてぬるを おもひくさ なにになみたの つゆかかるらむ経久
1571ほしわふる おなしたもとの あきかせに ありしよりなほ つゆそこほるる時邦
1572うかりける ひとのこころの わすれみつ なとふかからぬ ちきりなるらむ円蓮
1573ちきりしは さてやまのゐの わすれみつ わすれしのちの みるかけもなし貞煕
1574ことわりと おもふにつけて かなしきは わすらるるみの つらさなりけり政国女姉
1575いまさらに わすらるるみそ かこたるる かねておもひし つらさなれとも経定(藤原)
1576むすひけむ あたしちきりそ うかりける つひにたえぬる なかとなるにも実衡
1577かくはかり けにたえはてむ つらさとも しはしはしらて うらみさりしを懐世
1578うらみても かひこそなけれ ことわりと おもひしるへき こころならねは読人不知
1579おもひいてて またとふまては かたくとも わすられしみと いかてしらせむ後醍醐院
1580ひとすちに わすれもはては いかかせむ うきためしにや おもひいつらむ読人不知
1581よしさらは おもひないてそ なかなかに うきみしらるる むかしかたりを為藤
1582おのつから おもひいつとも かひそなき ちきりしままの こころならすは為定(御子左二条為道男)
1583かかるへき ちきりをなとか むすひけむ さきのよしらて ひとはうらみし信実
1584ひともいさ つらきかたにや かこつらむ われはうらみて とはぬつきひを実兼
1585わすらるる ひとはよそにて としつきの つもるをとかに なにかそふらむ定為
1586わすられぬ あふせはよその なのみして わかなかかはの みつからそうき少将(永陽門院)
1587たえはつる ちきりをひとり わすれぬも うきもわかみの こころなりけり権大納言典侍(後醍醐院)
1588うきをたに おもひもしらぬ こころにて われさへみをも わすれけるかな為世(御子左藤原為氏男)
1589われはかり さのみおもふも かこそなき けにつらくなる ひとのこころは実泰
1590わすれむと おもふものから したふこそ つらさもしらぬ こころなりけれ花園院
1591つらきをも けにおもひしる なかならは いとかくひとを したはさらまし覚助法親王
1592つらさをも おもひとかめぬ わかみこそ せめてうらむる こころなりけれ経宣
1593はてはまた わかみにかへる うらみかな しはしそひとの うきもしられし秀行
1594ちきらすよ うきおもかけを のこしおきて わすらるるみの かたみなれとは祐敦
1595わすらるる うきみのほとを しらぬかな ひとをつらしと おもふはかりに読人不知
1596うきみには つらさもしらて いまはたた ひとをうらみぬ こころともかな基夏
1597わすれゆく ひとはかりこそ つらからめ みをさへさのみ なにうらむらむ折節/節折(前斎宮)
1598こひしさは さもこそあらめ なにとまた つらきかたには わすれさるらむ冬平
1599たちかへり ひとのつらさを うらむれは うきみのとかを しるそかひなき冬平
1600うらむるも こふるこころの ほかならて おなしなみたそ せくかたもなき為家
1601うらみわひ かかるとたにも しらせはや つらさにたへぬ そてのなみたを師賢(藤原師信男)
1602つらしとも よそのひとめを かこたはや しのふよりこそ いひもたえしか読人不知
1603わすらるる のちさへなほも したはれて ひとのつらさを しらぬみそうき貞直/貞宣
1604いのちこそ うきにつれなき われならめ うらみによわる こころともかな祐夏(鴨祐雄男)
1605ありてよに のこるうらみも なからまし あふをかきりの いのちなりせは為理
1606いのちたに つらさにたへぬ みなりせは このよなからは うらみさらまし有房(六条通有男)
1607かすかすに うきよりほかは なにをかは おもひいてても ひとをしのはむ師教(九条忠教男)
1608たえにしも わかこころそと いひなして ひとのつらさを よにはもらさし冬隆
1609つらしとも いはてこころに おもふこそ しのひなれぬる うらみなりけれ惟継
1610つらしとも うしともいはし わかそての なみたにおもふ いろはみゆらむ宣時(北条)
1611わかおもふ こころのうちを しらせはや ひとのつらさも うらみはてまし範秀
1612うらみすは くやしからまし ことのはも またはかよはぬ なかのちきりに為藤
1613おのつから うらみしほとの たのみたに いまはよそなる みをなけくかな公守
1614なにせむに うしともひとを うらみけむ さてもつらさは まさるものゆゑ俊成(藤原俊忠男)
1615うらむへき かたたにいまは なきものを いかてなみたの みにのこるらむ和泉式部
1616つらからむ ことのはもかな わひつつは うらみてたにも なくさめにせむ顕輔
1617かすかやま ふりさけみれは みねにおふる まつはこたかく としふりにけり基忠(鷹司兼平男)
1618たれしかも まつのこころに たくへけむ われにあひおひの みをあはせつつ後宇多院
1619としもへぬ なにをかいまは かくてみの おいとなるをの まつことにせむ為世(御子左藤原為氏男)
1620いたつらに おいのねさめの なかきよは わかなみたにそ とりもなきける為家
1621いたつらに やこゑのとりは なれにけり つかへてきかむ あかつきもかな為実(御子左藤原為氏男)
1622あさゆふに あふくこころに かかるかな なからのやまの みねのしらくも雲雅
1623わけいれは ふかきみやまの たかねより おちくるたきの おとのさやけさ後宇多院
1624やまひめの てたまもゆらに おりはへて ちひろにさらす ぬのひきのたき公経(藤原実宗男)
1625あまをふね いまやいつらむ おほしまの なたのしほかせ ふきすさふなり資平
1626ほりえには たましかましを おほふねの みふねこかむと かねてしりせは諸兄
1627あしのやの なたのしほちを こくふねの あとなきなみに くもそかかれる読人不知
1628なにはかた あしへはるかに はるるひは こゑものとかに たつそなくなる後二条院
1629すみよしの きしのいはねに むすこけの みとりにまつの いろやそふらむ為経(甘露寺藤原資経男)
1630あさひかけ さすやをかへの まつのゆきも きえあへぬまに はるはきにけり読人不知
1631いととまた たみやすかれと いはふかな わかみよにたつ はるのはしめは後宇多院
1632たにかけに あらはれそむる うくひすの おなしふるすに ねこそなかるれ為藤
1633ここのへの たけのそのよも わすられす ききてなれにし うくひすのこゑ基忠(鷹司兼平男)
1634わかみよに ふりゆくとしを かさねきて いくはるききつ うくひすのこゑ資季
1635いたつらに わかみよにふる やまかけに なほはるしらて のこるしらゆき公紹
1636はるくれは とやまのみゆき きえにけり わかおいらくの としはつもれと実兼
1637やまはなほ みゆきしふれと かけろふの もゆるのはらの はるのさわらひ実綱(藤原公道男)
1638かはのせに みたれてうつる あをやきの みとりはなみの いろかとそみる公守女
1639たかさとに まつさくうめの にほひきて かせのたよりに ひとさそふらむ時村
1640さきのこる おいきのうめに しのふかな なにはのはるの むかしかたりを念阿
1641いろもかも わすれはてにし すみそめの そてにおとろく うめのしたかせ実兼
1642うゑおきし うめのそのふや あれぬらむ にほひもよその ふるさとのはる土御門院
1643ふきおくる おほろつきよの はるかせに うめかかのみそ かすまさりける家隆
1644いまはとて くもゐをいてし いさよひの むつきのつきの かけそわすれぬ実重(三条公親男)
1645すまのあまの もしほのけふり そのままに かすみなれたる はるのよのつき宗秀(大江時秀男)
1646あはれなる いそちののちの なみたかな むかしもかすむ つきはみしかと実超
1647かすむよの つきはむかしの はるなから もとのみならぬ すみそめのそて道洪
1648ふるさとに なきてなけくと ことつてよ みちゆきふりの はるのかりかね秀能(藤原秀宗男)
1649かへるかり こしちのそらの しらくもに みやこのはなの おもかけやたつ覚寛
1650はるさめは よものくさきを わかねとも しけきめくみは わかみなりけり公経(藤原実宗男)
1651あさみとり あまねきめくみ いろにいてて のなるくさきに はるさめそふる後二条院
1652おいかみの なほなからへて ことしまた ふたたひはるの はなやみるへき後宇多院
1653はなをみし みのおもひてを いささらは むそちのはると ひとにかたらむ禅助
1654のちにまた たれかしのはむ うゑおきし はなはやとせの はるそへにける家経(一条実経男)
1655はなははや したひもとけて からころも たつたのやまに にほふはるかせ能信
1656あふさかの やまのさくらや さきぬらむ くもまにみゆる せきのすきむら宗宣(北条宣時男)
1657たれかまた はなかとよそに たとるらむ わけつるあとの みねのしらくも隆氏
1658にほはすは はなのところも しらくもの かさなるやまも なほやまよはむ長舜
1659わけいりて これよりおくと おもはねは みやまははなを のとかにそみる道順
1660あくかるる こころのままに たつねきて やまちのはてを はなにみるかな能誉
1661たちまかふ いろもにほひも ひとつにて はなにへたてぬ みねのしらくも宗秀(大江時秀男)
1662よしさらは さなからはなと いひなさむ おなしこすゑの みねのしらくも行親
1663よしのやま おなしさくらの いろなから をられぬはなや みねのしらくも重泰
1664をらすとも ひとにかたらむ やまさくら みるおもかけを いへつとにして行氏(祝部行言男)
1665おいらくの かさしにをらむ さくらはな このはるはかり ひとなとかめそ祐親
1666めつらしき ものかはあやな さくらはな ここらのはるに あかすもあるかな山田
1667しのふへき ひとなきみこそ かなしけれ はなはあはれと たれかみさらむ赤染衛門
1668ありてよの うきをしれはや やまさくら よしののおくの はなとなりけむ国助
1669このもとの くれぬるのちも やまさくら のこるははなの ひかりなりけり泰宗
1670さくらいろに やまわけころも うつろひぬ かつちりかかる はなのしたみち定成(藤原経朝男)
1671さくらはな ゆきとやまちに ふりしけは うへこそひとの ふみたかへけれ肥後(京極前関白家)
1672ゆきとふる はなならねとも いにしへを こふるなみたに まかふとをしれ俊忠
1673はなちると かけてもいはし うくひすの いととおとせす なりもこそすれ具平親王
1674さためなき よをうちかはの たきつせに ことわりしれと ちるさくらかな万秋門院
1675ことしなほ ちりゆくはなを をしむまて のこるへきみと おもひやはせし光俊(葉室光親男)
1676またとたに おいてたのまぬ わかれには いよいよちるも をしきはなかな行氏(平胤行男)
1677みのよその はるとやかせも おもふらむ やとにとめしと はなさそふなり順西/読人不知
1678ふくかせの さそははせめて いかかせむ こころとはなの ちるそかなしき師親
1679はなはみな ちりはてぬらし つくはねの このもとことに つもるしらゆき兼誉
1680やまふきの はなもこころの あれはこそ いはぬいろには さきはしめけめ業平(在原)/業尹(藤原)
1681すみそめの たもとははるの よそなから なつたちかはる いろたにもなし為顕
1682ななそちの なつにかかれる ふちのはな かさしておいの なみにまかへむ公雄
1683つきとみて よるもやこえむ ゆふくれの まかきのやまに さけるうのはな伏見院
1684みをかくす かひこそなけれ うのはなの うきよへたてぬ おなしかきほは定為
1685よのなかを いとふやとには うゑおきて みをうのはなの かけにかくさむ慶融
1686むかしこそ こころにかかれ あふひくさ かみのみあれに いつかさしけむ基氏(藤原基家男)
1687みちありて みたれすもかな なつくさの ことしけきよに またもましらは後宇多院
1688さゆりはの しられぬやとと なりやせむ あとなきにはの くさのしけみに実経
1689おろかなる おいのなみたの つゆけきは ゆふひのかけの やまとなてしこ経継
1690つれなさを われもかたらむ ほとときす おなしこころに まつひともかな定宣(賀茂)
1691まちわふる やまほとときす ひとこゑも なかぬにあくる みしかよのそら時香
1692おもひねの ゆめのたたちの ほとときす さめてもおなし こゑをきかはや忠顕
1693ふるさとに たれききつらむ ほとときす のきはのくさの しのふはつねを景綱
1694このさとを なきてすきつる ほとときす よそにもこよひ たれかきくらむ資名
1695まつほとの こころかよはは ほとときす おなしはつねを ひともきくらむ宗俊
1696まとろまて まちつるものを ほとときす ゆめかとききて おとろかれぬる尊空
1697よひのまの つきまちいつる やまのはに こゑもほのめく ほとときすかな頼氏(藤原頼広男)
1698ほとときす はつかのつきの やまのはを いててよふかき そらになくなり義政
1699ひとこゑを ひとにはつけす ほとときす ききさためむと おもふこころに真浄
1700きけはまつ そてこそぬるれ ほとときす おのれやひとに なみたかすらむ長経
1701ふるさとと おもひなすてそ ほとときす なれもむかしの こゑはかはらし隆祐
1702ほとときす はなたちはなに きこゆなり むかしわすれぬ よよのふるこゑ時親(藤原)
1703とにかくに むかしをかけし きのふより そてのうきねは なほもかわかす為子(贈従三位)
1704われのみと むかしをかけし そてのうへに けふはうきねを またそそへつる万秋門院
1705あやめくさ かけはなれても すみそめの そてにはあらぬ ねそかかりける実兼
1706すみそめの そてにかこちて あやめくさ おもはぬかたそ かけはなれける読人不知
1707たちはなの はなもにほはぬ やとならは なににむかしを おもひいてまし宗円(高階泰重男)
1708ゆくすゑに さてもやひとの しのふとて わかそてふるる のきのたちはな宗宣(北条宣時男)
1709にほひくる はなたちはなの そてのかに このさとひとも むかしこふらし成賢(祝部成茂男)
1710さみたれの くさのいほりの よるのそて しつくもつゆも さてやくちなむ為家
1711かくてしも よにふるみこそ あはれなれ くさのいほりの さみたれのそら西音
1712しほくまぬ ひまたにそてや ぬらすらむ あまのとまやの さみたれのころ貞宗
1713さみたれの くものとたえの やまのはに しはしみえつる つきのかけかな広房(大江広茂男)
1714みしかよの つきにうらこく ふなひとの なみちほとなく あくるしののめ真昭
1715あつめこし まとのほたるの ひかりもて おもひしよりも みをてらすかな有房(六条通有男)
1716かせわたる なつみのかはの ゆふくれに やまかけすすし ひくらしのこゑ忠宗
1717みそきかは なつゆくみつの はやきせに かけてすすしき なみのしらゆふ静仁法親王
1718すすしさは ゆふくれかけて むすふての そてにせかるる やまのしたみつ後二条院
1719みそきせて はやいくとせに なりぬらむ いのるへきみの いのちならねは右衛門督(惟康親王家)
1720みしまえの たまえのあしの ひとよにも おとこそかはれ あきのはつかせ経平母
1721おもひやる よそまてくるし たなはたの くれまつほとの けふのこころは時夏女/時夏母
1722いかにせむ あきにもあらぬ ゆふへたに ものおもふみは ぬるるたもとを良信
1723さのみなと なみたのとかと かこつらむ つゆにもぬるる おいのたもとを興信
1724しらたまか なにそととはむ うちわたす をちかたのへの あきのゆふつゆ国夏/国基
1725あはれとも おほかたにこそ おもひしか いまはうきみの あきのゆふくれ宗尊親王
1726ふくかせの うきになしてや かこたまし ゆふへはまさる あきのあはれを伏見院
1727いつしかと はつあきかせの ふきしより そてにたまらぬ つゆのしらたま後二条院
1728ひととはて としふるのきの わすれくさ みをあきかせに つゆそこほるる良信
1729こころなき わかころもてに おくつゆや くさのたもとの たくひなるらむ道玄
1730よのなかは あきのくさはを ふくかせの つゆもこころそ とまらさりける性助法親王
1731わけわひし つゆのかけても おもひきや きみなきやとの にはのよもきふ実氏
1732たつねきて ひとのわけけむ しらつゆの やかてそてにも かかりぬるかな読人不知
1733あれにける ふしみのさとの あさちはら むなしきつゆの かかるそてかな式子内親王
1734つゆをたに はらひかねたる をやまたの いほもるそてに すくるむらさめ実重室
1735いくよわれ いなはのかせを みにしめて つゆもるいほに ねさめしつらむ実泰
1736あききても とはれすとてや つのくにの いくたのもりに しかのなくらむ承空
1737わひひとの あきのねさめは かなしきに しかのねとほき やまさともかな近衛(今出河院)
1738まつひとも なきやとなれと あきかせの ふきくるよはは いこそねられね読人不知
1739あしひたく なにはのこやに たつけふり つきまつよひの そらなへたてそ政国女
1740かつはるる きりのたえまの あきかせを たよりになして いつるつきかけ親範(藤原範宗または親之男)
1741あらしふく みねにかかれる うきくもの はるるかたより いつるつきかけ行胤
1742かへるさの そてまてつきは したひきぬ ひとはおくらぬ あきのやまちに道性
1743としへぬる まつのとほそは くちぬとも ひとりやすまむ やまのはのつき国平
1744くもはみな あらしのやまの ふもとにて かつらのさとに つきそくまなき頼景
1745あきをへて ひともこぬみの はまかせに いくよのつきの ひとりすむらむ親長
1746しかのあまの つりするそてに つきさえて くもふきかへす ひらのやまかせ行観/行親
1747かこつへき ことわりもなき なみたかな つきみぬそての ぬれぬものかは実兼
1748ちきりおく つきのころさへ すきゆけは めくりあふへき たのみたになし親世
1749やまのはの つきははつかに なりぬれと めくりあふへき ちきりをそまつ為氏
1750よもすから そてのなみたに なれにけり ものおもふころの あきのつきかけ成久
1751やとるとも そてわくあきの つきならは うきみなくさむ かけやなからむ行氏(平胤行男)
1752うきことを おもへはくもる なみたかな みをわすれてそ つきはみるへき本如
1753いととなほ なみたをそへて みのために うきをしらする つきのかけかな為世(御子左藤原為氏男)
1754くもはれて のとけきそらの あきのつき おもひなきよの ひかりとそみる覚助法親王
1755みるままに ひかりもよそに なりにけり かつらきやまの ありあけのつき保能
1756たれかまた こころとむらむ きみよかた せきもるなみの あきのよのつき静伊
1757さやかなる なをはととめて きよみかた かたふくつきに せきもりそなき祐殖
1758おもかけそ なほのこりける いもかしま かたみのうらの ありあけのつき忠能
1759かたしきの そてのあきかせ よをさむみ ねさめてきけは ころもうつなり清寿
1760しもむすふ すすのしのやの あさころも うつにつけてや よさむなるらむ経親(大江基親男)
1761わかそてに もとよりふかき いろをみよ みねのこのはは いまそしくるる基良
1762いろまさる ほとこそみえね むらしくれ そめてくれぬる やまのもみちは清兼
1763みのうさを おもへはいとと よをあきの そてのしくれの はるるまそなき永胤
1764かせはやみ あきはてかたの くすのはの うらみつつのみ よをもふるかな元輔(清原春光男)
1765いつくにも おとらしものを わかやとの よをあきはつる けしきはかりは孝標女
1766よをすつる すみかにもなほ をしむかな おもひなれにし あきのなこりを実冬(藤原公忠男)
1767くれてゆく あきのなこりを をしほやま しかもこよひや なきあかすらむ師宗
1768あけぬとて みねにわかるる よこくもを そらにのこして ふるしくれかな成朝
1769なかきよの おいのねさめの なみたたに かわかぬそてに ふるしくれかな公雄
1770けふよりの しくれよなにの ためならむ このははあきに そめつくしてき後伏見院
1771いかにせむ たのむこかけの しくれにも ふりてなれにし あきのなみたを基良
1772しからきの とやまにかかる うきくもの ゆくかたみえて ふるしくれかな広茂
1773すきやすき しくれをかせに さきたてて くものあとゆく ふゆのよのつき祐臣
1774とたえして よそになりぬと みるくもの またしくれくる かつらきのやま尚長(丹波経長男)
1775さらてたに しきれかさなる やまのはに なほくもおくる よそのこからし貞広
1776わかみさへ おいそのもりの こからしに このはよりなほ ふるしくれかな俊光
1777ちるたひに もとこしみちは うつもれて このはのうへを かよふやまひと秀長(藤原秀弘男)
1778こけころも なほそてさむし みのうへに ふりゆくしもを はらひすてても経清
1779ふくとても あきにやかへる おくしもの したはふくすに のこるゆふかせ道性
1780なにはえや あさおくしもに をれふして のこるともなき よよのあしはら為家
1781かけろふの をののくさはの かれしより あるかなきかと とふひともなし土御門院
1782あまをとめ そてふるよはの かせさむみ つきをくもゐに おもひやるかな永福門院
1783さえくらす あらしのそらの くもまより かけもゆきけに こほるつきかな兼信
1784うらかせや ふきまさるらむ こゆるきの いそのなみまに ちとりなくなり読人不知
1785みつしほに うらのひかたは みえわかて なみよりうへに たつちとりかな範秀
1786いにしへの わかのうらちの ともちとり あとふむほとの ことのはもかな経国
1787しのふへき ひともやあると はまちとり かきおくあとを よにのこすかな御匣(式乾門院)
1788にほのうみや みきはのちとり こゑたてて かへらぬなみに むかしこひつつ亀山院
1789むかしより いまもかはらす たのみつる こころのあとそ ゆきにみるへき亀山院
1790たのみつる こころのいろの あとみえて ゆきにしらるる きみかことのは性助法親王
1791いまはよに ふりはてにける おいかみの やまとしたかく つもるしらゆき行済
1792ふるゆきも いくへかうつむ よしのやま みしはむかしの すすのしたみち覚助法親王
1793つもれたた いりにしやまの みねのゆき うきよにかへる みちもなきまて頓阿
1794ふりにける あとともみえす かつらきや とよらのてらの ゆきのあけほの読人不知
1795きえすとて たのむへきかは おいかよの ふくるにのこる ねやのうつみひ為家
1796おいとなる つらさもしらて いそかれし むかしのとしの くれそこひしき基任
1797ゆきめくる としはかきりも なきものを くるるをはてと なにかおもはむ国冬
1798このふゆも こほりをふみて くれにけり いつかこころの はるにあふへき氏久
1799かかみやま みてもものうき しもゆきの かさなるままに くるるとしかな覚助法親王
1800いまはみの ゆきにつけても いたつらに つもれはおいの としもふりつつ為氏
1801あふきみる そらなるほしの かすよりも ひまなきものは こころなりけり亀山院
1802こころすむ はこやのやまの あきのつき ふたたひよをも てらしつるかな後宇多院
1803さすかまた くもらしとおもふ こころをは はこやのやまの つきやみるらむ定房(藤原経長男)
1804つかふへき みちをおもへは きみかため こころくもらて つきをみるかな公守
1805くらゐやま みはしもなから かけみれは のほらぬみねに つきそさやけき能清
1806すみそめの そてになみたを ほしわひて つきもみしよに かけかはるなり公雄
1807みのうさを なけくなみたや くもるらむ つきたにそてに かけもやとさす亀山院
1808うきなから このよはさても すみそめの そてにはつきの くもらすもかな宰相典侍(後宇多院)
1809むかしみし かけにそかはる むそちあまり おいぬるのちの あきのよのつき実聡
1810みのうさを なくさめとてや かすならぬ そてにもつきの かけやとすらむ実重室
1811いつまてか たへてすむへき よをうしと おもはぬつきも やまにこそいれ道意(西園寺実兼男)
1812なみたにも なにくもるらむ よのうきめ みえぬやまちの あきのよのつき帥(談天門院)
1813やまのはに いそきないりそ ゆふつくよ うきみたにこそ よにはすみけれ顕仲(藤原資仲男)
1814よをあきの やまのあらしの はけしきに いかてかすめる ありあけのつき秀能(藤原秀宗男)
1815すまはやと おもふみやまの おくまても ともとなるへき つきのかけかな基忠(鷹司兼平男)
1816つくつくと おもへはこれも かりのよを わかすみかとて なにいそくらむ氏久
1817いかにして おもひたたまし よのうさを へたつるくもの ふかきやまちに兼氏
1818みやこひと とははとはなむ おなしくは はなのさかりの をりをすくさて道玄
1819おのつから はらふひとなき ふるさとの にははあらしに まかせてそみる広義門院
1820よよへぬる ほともしられて ふるさとの のきはにたかき まつのひともと道昭
1821なにとまた わかたつそまき としをへて すみえぬやまに こころひくらむ浄弁/道昭
1822うきよたに こころにやすく のかれなは なにかはやまの おくももとめむ時直
1823あらましの うきよのほかの くさのいほ すまておもふも さひしかりけり読人不知
1824おもひやる ほとのはるけき やまさとは そてつゆけくも なりまさるかな師輔
1825おもひきや くさのいほりの つゆけさを つひのすみかと たのむへしとは行尊
1826いまはとて いりにしやまの あをつつら なほもくるしき このよなりけり了然
1827やまかけの まつにさひしき あらしこそ きかしとすれと しひてふきけれ為世(御子左藤原為氏男)
1828みねつつき まつのこすゑを ふきすきて あらしもとはぬ たにかけのいほ静澄
1829ひとよりも なほやまふかく すむいほに けによをいとふ ほとはみゆらむ宗厳
1830やまふかく たつぬるひとの ありとても くさのとさしを たれかをしへむ少将(藻壁門院)
1831たつねきて みるもはかなき すまひかな いはねにむすふ くさのいほりは後宇多院
1832まはらなる ましはのとほそ あけくれは みねのあらしの なにたたくらむ家良
1833よをうさの なくさむまては なけれとも すみなれにける やまのおくかな家経(一条実経男)
1834やまさとに にこるみつをは せきいれし すまぬこころの みえもこそすれ国助
1835のかれても もとのこころの かはらねは なほやまさとも うきよなりけり良宋
1836やまかけは うきよのほかと おもへとも なみたはなれぬ すみそめのそて良雲
1837こころにも あらてすまるる やまさとを うきよいとふと ひとやおもはむ一条(延政門院)
1838やまさとの さひしさをたに しのはすは おきところなき わかみならまし尊円
1839やまふかみ ひとのゆききや たえぬらむ こけにあとなき いはのかけみち宣時(北条)
1840やまかけや たれにとはるる やととてか あとなきにはの こけもはらはむ時俊
1841こけのしたの こころのやみや はれぬらむ けふみをてらす あけのころもに師員
1842うれしさを つつみならひし そてにまた そのみにあまる けふとこそみれ慈円
1843そてになほ ふたたひつつむ うれしさを わかみひとつと おもふものかは公経(藤原実宗男)
1844おもふとも いはてほとへむ つきひには こころのくまも あらしとそおもふ談天門院
1845ことのはに いはぬつきひは つもれとも おもひいてはと たのみこそせめ達智門院
1846いまはさは おもひしりぬや わすれみつ たゆるはたれも おなしつらさを実国
1847とふひとに ありとはえこそ いひはてね われやはわれと おとろかれつつ清少納言
1848けふはなほ ぬるるのみこそ うれしけれ あめかしたにし ふるみとおもへは朝光
1849これをたに あたにはおかし あきのしも ちかきまもりの かたみとおもへは公守
1850あきはつる かとたのなるこ いつまてと ひくひともなき よにのこるらむ実重(三条公親男)
1851いたつらに すくるつきひは はやせかは おいのなみには しからみはなき栄算
1852あらたまの ことしもかくて こゆるきの いそちのなみを そてにかけつつ行能
1853よものうみの しほくむあまの こころから やくとはかかる なけきをやつむ紫式部
1854うきよそと おもひすつれと いのちこそ さすかにをしき ものにはありけれ相模
1855いのちをは あたなるものと ききしかと うきみのためは なかくそありける清正
1856かきりある いのちのさすか なからへて なにのためとも なきわかみかな俊誉
1857いきてよの うきにつもれる としつきは みをしれとての いのちなりけり行氏(平胤行男)
1858つれなくて よにありあけの つきもみつ たたわれはかり うきものはなし玄恵/玄忠
1859うきことに たへてつれなき いのちとも おいののちこそ おもひしりぬれ行済
1860いつまてと おもふもかなし おいかみの よわるにつけて もろきなみたは利行
1861はかなしや いまいくほとの いのちとて やそちあまりの みをなけくらむ丹波長有
1862いとへとも くるしかりける このよかな むそちのさかは さてもこゆれと公雄
1863みのうさの すきこしかたに かはらすは いまゆくすゑも いかになけかむ一条(昭慶門院)
1864あらましに みをなくさめて すくせとや ゆくすゑしらぬ ならひなるらむ国藤
1865さりともと ゆくすゑまちし こころこそ みのほとしらぬ むかしなりけれ長経
1866みのほとを おもひつつけて うきときは ことわりにのみ ぬるるそてかな読人不知
1867いつまてと おもふにぬるる たもとかな あるもいのちの たのまれぬみは行政
1868かひなしや としをかさねて うきことの つもらむとての いのちはかりは基顕
1869はてはまた あすしらぬよを たのむかな けふまてはうき みをなけきつつ有忠
1870としつきの うきにたへける ならはしに なほゆくすゑも さてやすくさむ実教
1871なへてよに をしむいのちも をしからす かくてうきみの としをかさねて遊義門院
1872うきことは よにふるほとの ならひそと おもひもしらて なになけくらむ慈勝
1873かすならは よにもひとにも しられまし わかみのほとに あまるうれへを定為
1874ありはつる よとしおもはは いかはかり かすならぬみも なほうからまし公茂
1875みひとつの うきになしても なけかまし ひとのいとはぬ このよなりせは宗泰(藤原時宗男)
1876うけかたき みをいたつらに なすものは のちのよしらぬ こころなりけり政長
1877かくてよに うきをむくひと おもひしる こころのなきを みにかこつかな延誠
1878いきていま なけくたにうし のちのよを いかにせむとて そむかさるらむ氏村
1879うきみには のちのよをさへ なけくかな なきあととはむ ひとしなけれは読人不知
1880いかにせむ つかへしままの あとにたに なほかすならて まよふわかみを親教
1881よそちあまり みよまてあはぬ なけきして たくひすくなく みそしつみぬる家経(一条実経男)
1882よよのあとを おもふはかりに やすらひて をしかるましき みををしむかな道平
1883よよへぬる あととはひとに しらるとも みにしのはれむ ことのはそなき祐臣
1884あととめて ふみまよはしと おもふにも わかしきしまの みちそくるしき為世(御子左藤原為氏男)
1885いまさらに なににこころの とまるそと おもへはいへの よよのたまつさ師宗
1886しるらめや こをおもふやみの よるのつる わかよふけゆく しもになくとは有長
1887ききなるる おいのねさめの とりのねに なみたをそへぬ あかつきそなき守誉
1888しつかなる ねさめならては よのなかの うきにみをしる ときやなからむ俊誉
1889なにことか おもひのこさむ あきのよの あくるまつまの おいのねさめに実承
1890こしかたの あかつきおきに ならはすは おいのねさめや なほうからまし良宋
1891ときのまの おいのねふりは さめぬれと のこるよなかき あかつきのそら円伊
1892うたたねの ゆめはほとなく さめにけり なかきねふりの かからましかは道意(西園寺実兼男)
1893よよをへて まよひしゆめの さめやらて いつをかきりの ねふりなるらむ覚円
1894ゆめのうちの ゆめそとひとの をしふとも さめすはいかか うつつなるへき実香(藤原公敦男)
1895こしかたの みのおもひても ゆめなれは うきをうつつと いまはなけかし行済
1896あたにみし ゆめにいくらも かはらぬは むそちすきにし うつつなりけり実重(三条公親男)
1897たのみつつ くらせるよひも ねられねは おいのむかしに あふゆめそなき覚助法親王
1898かねのおとを ともとたのみて いくよかも ねぬはならひの をはつせのやま慈円
1899ふきまよふ あらしにかはる ひひきかな おなしふもとの いりあひのかね叡俊
1900かねのおとは あけぬくれぬと きけとなほ おとろかぬみの はてそかなしき実香(藤原公敦男)
1901わかやとは のきはのたけの よよをへて かはらぬあとと みこそふりぬれ保能
1902これまても きみかためとそ うゑおきし いまここのへの にはのくれたけ冬平
1903よよをへて あとたえはてし くものうへに またたちかへる みちをしらはや長有
1904すみすてし やとはむかしの あとふりて のこるのきはの まつそひさしき親子(従三位源)
1905くらゐやま かくてかはらぬ みねのまつ いまひとしほの はるをしらはや顕氏(六条顕家男)/頼氏(一条高能男)
1906みつのやま たかくそのほる くもにふし あらしになれし みちにまかせて道昭
1907ふたよまて きみにあふみの かかみやま こころくもらは いかかみるへき経任(中御門藤原為経男)
1908たちかへり またきみかよに あふさかの こゆるせきちに すゑもまよふな内実
1909さりともと おもひしあとは ふみそめつ みちあるみよの かすかののはら内経
1910いかにして むかしよりすむ しらかはの あとにこらすと ひとにしられむ俊定(藤原経俊男)
1911われまては よよにかはらす つかへきぬ なほすゑたゆな せきのふちかは為世(御子左藤原為氏男)
1912いまもなほ ふるきなかれの たえすして むかしをうつす せりかはのみつ公雄
1913つのくにの なにはのあしの よのなかを のとかにとおもふ わかこころかな亀山院
1914かくてしも あるへきみとは しらすけの まののはきはら つゆもおもはす公朝
1915なみたかは うきせをしはし すくしてや しつみもはてぬ みをはたのまむ禅隆
1916さのみやは みをうちかはの たまかしは きみのみよにも なほしつむへき道玄
1917ひとかたに しつむわかみの おもひかは かはるふちせは さもあらはあれ道性
1918とみすれは よるせもしらぬ かはふねの くたりやすきは うきみなりけり貞頼
1919としをのみ おもひつもりの おきつなみ かけてもよをは うらみやはする雅経
1920いたつらに こころはかりは よすれとも またなをかけぬ わかのうらなみ貞俊(平時俊男)
1921このはるそ あつまになをは のこしける よよのあとある わかのうらなみ景綱
1922わかのうらに またもひろはは たまつしま おなしひかりの かすにもらすな忠景
1923もしほくさ かくかひあらは わかのうらに あとつけぬへき ことのはもかな経顕(藤原定資男)
1924よをうみの なみのしたくさ いつまてか しつみはてぬと みをうらむへき業連
1925ゆくすゑの なをこそおもへ もしほくさ かきおくあとの くちぬたのみに朝棟
1926あらはれぬ なををしとりの みかくれて しつむうらみに ねこそなかるれ能信
1927たておきし ちかひもきよき はしはしら くちてやよよの ひとをわたさむ実氏
1928わたすへき たよりたになし はしはしら くちせぬなのみ いまものこりて順空
1929なにとよに うきみなからの はしはしら なほありかほに くちのこるらむ資直/資宣
1930としつきを ふるのたかはし いたつらに おもひてなくて よをやわたらむ実誉/実鑑
1931いかはかり うれしかるらむ とたえして またわたりぬる くものかけはし実定
1932とたえして またわたりぬる かけはしは けふふみみてそ いととうれしき隆信
1933よのなかは たたけふのこと おもほえて あはれむかしに なりもゆくかな朝忠
1934わすれすよ なれしくもゐの よはのつき ひかりをそての うへにやとして読人不知
1935いにしへの なこりやなほも へたてまし つきにおほえぬ むかしなりせは基忠(鷹司兼平男)
1936みしことも かはらぬつきの おもかけや たためのまへの むかしなるらむ忠資
1937むかしをは おもひいつやと ふるさとの のきもるつきに ことやとはまし基平(近衛兼経男)
1938なかめつつ なほもむかしを しのふへき つきをへたつる わかなみたかな後二条院
1939むかしをも わすれぬやとの つきなれや かはらぬかけに すみそめのそて慈道法親王
1940いくあきか かはらぬつきの やとならむ あとはむかしの にはのあさちふ雲禅
1941みしままの かけたにのこれ よはのつき あきはむかしの あきならすとも行乗
1942なにゆゑに かはらぬともと たのむらむ つきはむかしの あきもしのはし玄守
1943みれはまつ なみたなかるる みなせかは いつよりつきの ひとりすむらむ西音
1944むかしおもふ おいのなみたに そふものは わかみをあきの しくれなりけり基忠(鷹司兼平男)
1945いにしへの のなかのしみつ くまねとも おもひいててそ そてぬらしける忠秀
1946ゆくとしは むそちつもりの うらかせに かへらぬおいの なみそかなしき顕範
1947いまはわか やそちあまりの とももなし たれとみしよの ことかたらまし長有
1948あはれなり おもひしよりも なからへて むかしをこふる おいのこころは基忠(鷹司兼平男)
1949みすしらぬ むかしのひとの こひしきは このよをなけく あまりなりけり後鳥羽院
1950むかしまて とほくはいはし すきぬれは きのふのことも こひしかりけり雅有
1951あはれとも たれかはきかむ ひとしれぬ こころのうちの むかしかたりは少将(藻壁門院)
1952かすかすに しのふへしとは おもひきや なほさりにこそ すきしむかしを慈勝
1953ゆくすゑも なほこしかたの ままならは いつをわかみの おもひてにせむ読人不知
1954わすられぬ そのおもひても なきものを なにゆゑしのふ むかしなるらむ岩蔵姫君
1955いまさらに むかしをなにと しのふらむ うきよとてこそ おもひすてしか盛徳
1956とほさかる ものとはいはし おもひいてて しのふこころに かへるむかしは貞長
1957おもひての なきをうきみに かこちても たかためしのふ むかしなるらむ基有
1958たけくまの まつをたのみに なからへて むかしをみきと たれにかたらむ基忠(鷹司兼平男)
1959つかへこし むかしなりせは ふかくさの さとはくれぬと いそかさらまし実教
1960おいぬれは ぬるかうちにも いにしへの おなしことこそ ゆめにみえけれ行氏(祝部行言男)
1961みるままに ゆめになりゆく いにしへを おもひしりても なにしのふらむ性助法親王
1962よをのこす ねさめのとこに おもふかな むかしをみつる ゆめのなこりを新宰相(伏見院)
1963ひとよあふ ゆききのひとの うかれつま いくたひかはる ちきりなるらむ斉時
1964そむくよに いつおもひたつ みちもなし くるるひことに あすはたのめと行蓮
1965そむくへき ものそとよをは しりなから こころならてや たれもすくらむ源恵
1966やまふかく せめてはさそふ とももかな われとそむくは かたきよなれは読人不知
1967なにことを をしむとしもは なけれとも いとふにかたき うきよなりけり読人不知
1968いまさらに すつともなにか をしからむ もとよりよにも あるみならねは公顕女
1969すみわひて そむくへきよと おもひしる こころにいつか みをもまかせむ明玄
1970なけくへき よのことわりは なきものを おもふにもにぬ こころなるらむ道順
1971うきたひに なほよをかこつ こころこそ けにかすならぬ みをわすれけれ相真
1972うらむへき よにしあらねは なかなかに かすならぬみそ すみよかりける時夏
1973かくてみの うきにつけても いとはすは けによをすつる をりやなからむ基久
1974さためなき ならひならすは よのなかの うきにややかて いとひはてまし宗直
1975いとひても のちはいかにと おもふこそ なほよにとまる こころなりけれ景綱/重綱(藤原)
1976よをすつる かすにさへこそ もれにけれ うきみのすゑを なほたのむとて頼氏(藤原頼広男)
1977いとひても こころをすてぬ ものならは うきよへたつる やまやなからむ教定(飛鳥井雅経男)
1978ひとすちに やまのおくとも いそかれす すみはてぬへき こころならねは祐春
1979うきよをは いとひそはてぬ あらましの こころはやまの おくにすめとも隆泰
1980いつまてか すまてこころに かかるへき ふかきみやまの みねのしらくも一条(昭慶門院)
1981すてはてむ のちこそひとに よのうきを いはていとひし みともしられめ時常
1982ありはてぬ うきよのなかの かりのやと いつくにわきて こころととめむ兼季
1983しつかやに かこふやしはの かりのよは すみうしとても あはれいつまて後伏見院
1984ありとても うきみはよしや よしのかは はやくこのよを いとひはてなむ示証
1985うきことも ありはてぬよと おもはすは いつをかきりに みをなけかまし厳教
1986いまははや よをもうらみす みひとつの うきになしてそ ねはなかれける宣時女
1987みこそはや こころのままに なりにけり うしとおもひし よをのかれつつ定円(葉室光俊男)/定宗
1988なけかしよ うきみにそへる うきよとも しらてそやまの おくはもとめし公雄
1989すてしよの しるしやなにそ いまもなほ うきみはなれぬ わかなみたかな公雄
1990いけるみの ためとはかりに みしひとの なかきよまての ともとなりける実兼
1991いけるみの うさもわすれて のちのよの ともときくにそ いまはうれしき読人不知
1992いかにして なくさむものそ うきよをも そむかてすくす ひとにとははや兼好
1993よのなかを いてぬとなとか つけさりし おくれしとおもふ こころあるものを実定
1994ひとをさへ みちひくほとの みなりせは よをいてぬとは つけもしてまし寂蓮
1995うれしくそ またみぬやまの おくもみし よのうきときの やともとむとて実氏
1996おなしよを すつるこころの へたてなく ともにもとめむ みちそうれしき実兼
1997たつねいる おなしみちにと いそきてそ ころものいろも おもひそめにし実俊(西園寺公相男)
1998いかにせむ つらきところの かすそへて よしののおくも すみよからすは実経
1999おいのみに よしののみねの すすわけて うきよをいつる みちはしりにき静仁法親王
2000なからへて ありはつましき ことわりを おもふよりこそ うきよなりけれ宗宣(北条宣時男)
2001いくほとも あらしものゆゑ なからへて なにとうきよの ゆめをみるらむ順助法親王
2002さめやすき おいのねふりの ゆめにこそ いやはかななる ほとはみえけれ基氏(藤原基家男)
2003つもりゆく わかよのほとの としつきは たたときのまの うたたねのゆめ覚助法親王
2004うつつたに おもふにたかふ ゆくすゑを みしゆめとても いかかたのまむ冬隆
2005ななそちの ゆめよりのちの いかならむ なかきねふりの はてそかなしき澄舜
2006こころをは ゆめのうちにそ なくさむる うつつはつらき うきよなれとも仁澄
2007いかにして うつつのうさを なくさめむ ゆめてふものを みぬよなりせは盛徳
2008よのなかは たたかりそめの くさまくら むすふともなき ゆめとこそみれ守誉
2009ゆめとのみ おもひなしてや やみなまし うきよしたはぬ こころなりせは御匣(式乾門院)
2010ぬるかうちに ゆめをもゆめと おもはねは しらすいつれか うつつなるらむ実重(三条公親男)
2011おとろかて こころのままに みるほとは ゆめもうつつに かはらさりけり為連/読人不知
2012よをわたる うつつもさそと あたにみて おもひしらるる ゆめのうきはし読人不知
2013よのなかは いつかはゆめと おもはねと うつつすくなき ころにもあるかな具平親王
2014きえはてし いくよのひとの あとならむ そらにたなひく くももかすみも良経(九条兼実男)
2015ひとのよの ならひをしれと あきつのに あさゐるくもの さためなきかな後宇多院
2016たきつせに はやくおちくる みつのあわの ありとはみえて なきよなりけり覚仁法親王
2017おもひきや あふひをよその かさしにて たれもなみたの かかるへしとは大弐(修明門院)
2018かたみそと みるになみたそ かかりける あふひはよその かさしとおもふに通忠母
2019おもへたた おいのいのちの なかきねに またねをそへて なけくこころを基忠(鷹司兼平男)
2020おもはすよ こそのうきねを かたみにて けふもろともに しのふへしとは家定
2021あさかほの つゆにいのちを くらふれは はなのにほひは ひさしかりけり師氏(藤原忠平男)
2022あさかほの はなはまかきに うゑてみむ つねならぬよを おもひしるやと花園院
2023なにことか おもひもおかむ すゑのつゆ もとのしつくの かかるうきよに内侍(永福門院)
2024わすらるる ときこそなけれ あたにみし ととせのゆめの あきのおもかけ道性
2025あききりの はれぬなけきも ふかかりき かくれしつきの あかつきのそら慈道法親王
2026すみなれし みやこのやとに つきをみは ひとりむかしの かけやしのはむ維貞
2027うきあきの おなしあはれに むかしとも いまともわかす ぬるるそてかな一条(昭慶門院)
2028わすれすよ きえにしつゆの くさまくら たたそのたひの なかきわかれは実重(三条公親男)
2029いまさらに とふにもあきの くさまくら きえにしつゆの たひそかなしき為世(御子左藤原為氏男)
2030きえはてし つゆのかたみの ことのはに なみたをそへて ぬるるそてかな読人不知
2031けふかはる そてのいろにも つゆきえし あはれやさらに おきところなき伏見院
2032おもへたた たのみしかけも いろかはる みやまのおくの あきのかなしさ久明親王
2033たつねはや みぬいにしへの あきよりも きみかすむらむ やとはいかにと下野(後鳥羽院)
2034みやこひと なにのいろにか たつねみむ しくれぬさきの あきのやまさと為家
2035くちぬへし おもひやるたに しをるなる うきみのさかの あきのたもとは為家
2036しくれさへ かかるあきこそ かなしけれ なみたひまなき ころのたもとに新宰相(伏見院)
2037きくもうし なみたのほかの ゆふしくれ ぬるるをいとふ そてならねとも教範
2038いかはかり しくるとかしる めくりあふ あきさへはての なかつきのそら定為
2039なきあとは かたみたになほ ととまらて あきもわかれと ちるこのはかな為氏
2040たちよりて しくれもしはし すくすへき ははそのもりの かけたにもなし遠久
2041をしむへき ひかすもあきも くれぬとや つゆはなみたの いろをそふらむ行深
2042けふはまた なかきわかれを したひてや あきよりのちも しかのなくらむ宗宣(北条宣時男)
2043なきあとを しのふむかしの ともちとり おもひやるたに ねはなかれけり公守
2044すみすてし ひとはむかしに なりはてて はなにあととふ やとそふりぬる業尹
2045ひとのよも わかみひとつに かなしきは おなしこころの やみちなりけり雅有
2046かなしさの つきひにそへて いまよりは わかみひとつに とまるへきかな信明
2047おくれゐて なけくたにこそ かなしけれ ひとりややみに きみまよふらむ読人不知
2048おもふらむ こころやいかに なへてよの さらぬわかれと いひはなすとも重家
2049いさやまた さらぬわかれも ならはねは なほさめやらぬ ゆめかとそおもふ俊恵
2050おもかけを こころにのこす おもひねの ゆめこそひとの かたみなりけれ道性
2051はかなしや これはゆめかと おとろかて なかきよすから さめぬこころは良教
2052ゆめのよを みてそおとろく うつつにて おくれさきたつ ならひありとは源恵
2053おとろけは ゆめをのみきく よなりけれ まとろむほとや うつつなるらむ氏久
2054うつつとも ゆめともわかぬ おもかけの みにそひなから わかれぬるかな貞房
2055しはしこそ うきをゆめとも たとりしか さめぬうつつの はてそかなしき兼胤
2056おとろかぬ こころそつらき めのまへに さためなきよの ゆめはみれとも慈寛
2057さむるより やかてなみたの みにそひて はかなきゆめに ぬるるそてかな宗秀(大江時秀男)
2058かせにちる まくすかつゆは むすへとも きえにしひとそ またもかへらぬ憲淳
2059よしさらは このたひつきね わかなみた またもあるへき わかれならねは国冬
2060ききそふる よのはかなさに おとろかて さていつまての みとおもふらむ覚円
2061をりをりに あらましかはと おもひいつる こころそいまも かはらさりける忠性
2062こころたに かよははこけの したにても さそなあはれと みつくきのあと氏村
2063ゆくさきの みちもおほえす たかのやま これをわかれの はてとおもへは憲基
2064みゆきとは ききなれしかと このやまの けふりをはてと おもひやはせし覚守
2065とりへやま はれせぬみねの うきくもや なきかかすそふ けふりなるらむ御匣(式乾門院)
2066たちのほる けふりもくもも きえにしを なみたのあめそ はるるよもなき久明親王
2067みにかへて とむるならひも ありもせは われそこよひの けふりならまし宗成
2068あはれなほ とまるいのちも あるものを かはるならひの なとなかるらむ蓮生法師
2069すゑとほく おもひしひとを さきたてて しはしうきよに のこるはかなさ道昭
2070おのつから とははおもひも なくさまて またなみたそふ すみそめのそて重綱(藤原)
2071いととなほ なみたのいろの ふかきかな ふたたひきつる すみそめのそて読人不知
2072たちそめし ときはうかりし ふちころも またぬきかふる はてそかなしき基任
2073ことしわか きるへきものを あさころも よそなるさへそ いととつゆけき実泰
2074ぬきかふる そてのわかれの ふちころも みにそふつゆは さてもかわかし実氏
2075みそかあまり けふとふのりの ことのはに しるやなみたの つゆかかるとは小督(昭訓門院)
2076わきてかく とはるるのりの ことのはや けふゆくみちの しるへなるらむ公宗母
2077なきかけの あととふけふの なこりさへ くれなはまたや とほさかりなむ宗秀(藤原宗泰男)
2078いきてよに あらはとひとを おもふにも けふこそそては なほしをれけれ時仲
2079くらへはや たれかまさると ととせあまり おなしみとせの あきのなみたを道性
2080なきあとに なほたちのほる くらゐやま ありてきくよと おもはましかは雅有
2081ひさかたの あまのいはとの あけしより いつるあさひそ くもるときなき後嵯峨院
2082たみやすく くにゆたかなる みよなれは きみをちとせと たれかいのらぬ内実
2083いけみつに みきはのまつの うつるより つきもちとせの かけやそふらむ順徳院
2084ちきりても としのをなかき たまつはき かけにやちよの かすそこもれる土御門院
2085おなしくは やほよろつよを ゆつらなむ わかここのへの にはのくれたけ後二条院
2086ひくひとも なくてちとせを すくしける おいきのまつの かけにやすまむ道長
2087けふよりは ねのひのこまつ ひきうゑて やほよろつよの はるをこそまて匡房
2088ねのひする こまつかはらの あさみとり かすみにちよの かけそこもれる有家(藤原重家男)
2089まつならて なにをかひかむ ゆくすゑの ちとせのはるの けふのねのひに後宇多院
2090ふけしこそ おもひもいつれ ゆきのうちに いはひそめてし ちよのはつはる後宇多院
2091つもるへき ちとせのはるも しられけり こそにかはらぬ けふのみゆきに実兼
2092たましきの にはのくれたけ いくちよも かはらぬはるの うくひすのこゑ伏見院
2093うくひすの こゑのうちにも こもりけり みかきのたけの よろつよのはる万秋門院
2094さくはなを かしらのゆきに まかへても ちよのかさしは をりにあふらし公任
2095ちよまての おほみやひとの かさしとや くもゐのさくら にほひそめけむ定家
2096のとかなる みよのはるしる いろなれや くもゐのさくら うつろひもせぬ実泰
2097ときすきて さらにはなさく ふちなみの たちさかえゆく いまにもあるかな伏見院
2098たちかへり きみかためとや ふちなみも またときすきて はるにあふらむ基忠(鷹司兼平男)
2099いつかとて まちしあやめも いまよりそ きみかちとせを かけてつかへむ家基(近衛基平男)
2100あやめくさ ひきくらへても つかふへき ためしはなかき よにやのこらむ伏見院
2101はきのとの はなのしたなる みかはみつ ちとせのあきの かけそうつれる良経(九条兼実男)
2102いまやしる かりねなりつる まつむしの ひとよにちよを こめてなくとは円融院
2103かせわたる たみのくさはも としあれは きみにそなひく ちよのあきまて基良
2104かきりなき やまちのきくの かけなれは つゆもやちよを ちきりおくらむ定家
2105きみかよは きくのしたゆく たにのみつ なかれをくみて ちとせをそまつ顕綱
2106ちとせまて かはらぬあきは めくりきて うつろはぬよの きくのさかつき亀山院
2107みつかきの ひさしきよより あととめて けふかさすてふ しらきくのはな後宇多院
2108よろつよの あきのかたみに なるものは きみかよはひを のふるしらきく顕仲(藤原資仲男)
2109ももしきや みかきのまつも ゆきふれは ちよのしるしの はなそさきける俊成(藤原俊忠男)
2110かすかやま まつふくかせの たかけれは そらにきこゆる よろつよのこゑ為家
2111わかきみの くらゐのやまし たかけれは あふかぬひとは あらしとそおもふ忠通
2112あきらけき みよそしらるる くらゐやま またうへもなく あふくひかりに万代(後醍醐院女蔵人)
2113ちよふへき きみかみゆきに くらゐやま またわけのほる みねのしひしは祐親
2114ちよふへき きみかすみかの さかのやま いまもむかしの あとそかしこき良覚
2115きみかよの ちとせをかけて かめのをの いはねにたえぬ たきのしらいと為信
2116きみかよを いはふこころは かめのをの いはねのまつに こけおふるまて小弁
2117いまもまた かめのをやまの みねのまつ たえぬみかけと なほあふくかな実兼
2118あつめおく ことはのはやし ちりもせて ちとせかはらし わかのうらまつ後宇多院
2119はるあきの かけをならへて みつるかな わかすめらきの おなしひかりに後宇多院
2120くもりなき みよのひかりは かくしこそ いつるあさひの のとかなりけれ基良
2121くもりなき つきひのかけも きみかよの ひさしかるへき すゑてらさなむ公顕
2122つきもひも ひかりをそへて あきらけき きみかみよをは さそてらすらむ為方
2123あきらけき ひかりそしるき よろつよの はしめとあふく あきのよのつき貞時
2124いまもなほ くもりなきよと いのるかな きみかためなる みつのかかみに雅有
2125わかのうらに みかけるたまを ひろひおきて いにしへいまの かすをみるかな為氏
2126よよふとも たえすそすまむ むかしより なかれひさしき さほのかはみつ重家
2127ゆくすゑも いくよのしもか おきそへむ あしまにみゆる つるのけころも定家
2128ちきりおかむ わかよろつよの ともなれや たけたのはらの つるのもろこゑ後宇多院
2129きみはたた こころのままの よはひにて ちとせよろつよ かすもかきらし為相
2130わかきみの ちとせのかけを かかみやま とよのあかりに みるかたのしさ読人不知
2131ときはなる ちちのまつはら いろふかみ こたかきかけの たのもしきかな匡房