「詞花和歌集」一覧
415件
1 | こほりゐし しかのからさき うちとけて ささなみよする はるかせそふく | 匡房 |
2 | きのふかも あられふりしは しからきの とやまのかすみ はるめきにけり | 惟成 |
3 | ふるさとは はるめきにけり みよしのの みかきかはらを かすみこめたり | 兼盛 |
4 | たまさかに わかまちえたる うくひすの はつねをあやな ひとやきくらむ | 道命 |
5 | ゆききえは ゑくのわかなも つむへきに はるさへはれぬ みやまへのさと | 好忠 |
6 | かすかのに あさなくきしの はねおとは ゆきのきえまに わかなつめとや | 重之 |
7 | よろつよの ためしにきみか ひかるれは ねのひのまつも うらやみやせむ | 赤染衛門 |
8 | ねのひすと はるののことに たつぬれは まつにひかるる ここちこそすれ | 崇徳院 |
9 | ふきくれは かをなつかしみ うめのはな ちらさぬほとの はるかせもかな | 時綱(源) |
10 | うめのはな にほひをみちの しるへにて あるしもしらぬ やとにきにけり | 公行(藤原) |
11 | とりつなく ひともなきのの はるこまは かすみにのみや たなひかるらむ | 盛経(藤原) |
12 | まこもくさ つのくみわたる さはへには つなかぬこまも はなれさりけり | 俊恵 |
13 | もえいつる くさはのみかは をかさはら こまのけしきも はるめきにけり | 覚雅 |
14 | さほひめの いとそめかくる あをやきを ふきなみたりそ はるのやまかせ | 兼盛 |
15 | いかなれは こほりはとくる はるかせに むすほほるらむ あをやきのいと | 季遠 |
16 | ふるさとの みかきのやなき はるはると たかそめかけし あさみとりそも | 道済 |
17 | みやまきの そのこすゑとも みえさりし さくらははなに あらはれにけり | 頼政 |
18 | くれなゐの うすはなさくら にほはすは みなしらくもと みてやすきまし | 康資王母 |
19 | しらくもは たちへたつれと くれなゐの うすはなさくら こころにそそむ | 師実 |
20 | しらくもは さもたたはたて くれなゐの いまひとしほを きみしそむれは | 康資王母 |
21 | あさまたき かすみなこめそ やまさくら たつねゆくまの よそめにもみむ | 紀伊(祐子内親王家) |
22 | しらくもと みゆるにしるし みよしのの よしののやまの はなさかりかも | 匡房 |
23 | やまさくら をしむにとまる ものならは はなははるとも かきらさらまし | 公実 |
24 | ここのへに たつしらくもと みえつるは おほうちやまの さくらなりけり | 出雲(前斎院)/出羽(前斎院) |
25 | はることに こころをそらに なすものは くもゐにみゆる さくらなりけり | 戒秀 |
26 | しらかはの はるのこすゑを みわたせは まつこそはなの たえまなりけれ | 俊頼(源経信男) |
27 | はるくれは はなのこすゑに さそはれて いたらぬさとの なかりつるかな | 白河院 |
28 | いけみつの みきはならすは さくらはな かけをもなみに をられましやは | 師賢(源) |
29 | いにしへの ならのみやこの やへさくら けふここのへに にほひぬるかな | 伊勢大輔 |
30 | ふるさとに とふひとあらは やまさくら ちりなむのちを まてとこたへよ | 教長 |
31 | さくらはな てことにをりて かへるをは はるのゆくとや ひとはみるらむ | 登平(源) |
32 | はることに みるはななれと ことしより さきはしめたる ここちこそすれ | 道命 |
33 | ふるさとの はなのにほひや まさるらむ しつこころなく かへるかりかな | 長実母 |
34 | なかなかに ちるをみしとや おもふらむ はなのさかりに かへるかりかね | 忠季(源) |
35 | さくらはな ちらさてちよも みてしかな あかぬこころは さてもありやと | 元真 |
36 | さくらはな かせにしちらぬ ものならは おもふことなき はるにそあらまし | 能宣 |
37 | さくらはな ちりしくにはを はらはねは きえせぬゆきと なりにけるかな | 摂津(二条太皇太后宮) |
38 | はくひとも なきふるさとの にはのおもは はなちりてこそ みるへかりけれ | 俊頼(源経信男) |
39 | さくらさく このしたみつは あさけれと ちりしくはなの ふちとこそなれ | 師賢(源) |
40 | ちるはなも あはれとみすや いそのかみ ふりはつるまて をしむこころを | 範永 |
41 | わかやとの さくらなれとも ちるときは こころにえこそ まかせさりけれ | 花山院 |
42 | みにかへて をしむにとまる はなならは けふやわかよの かきりならまし | 俊頼(源経信男) |
43 | にはもせに つもれるゆきと みえなから かをるそはなの しるしなりける | 有仁 |
44 | ちるはなに せきとめらるる やまかはの ふかくもはるの なりにけるかな | 能宣 |
45 | ひとへたに あかぬにほひを いととしく やへかさなれる やまふきのはな | 長能 |
46 | やへさける かひこそなけれ やまふきの ちらはひとへも あらしとおもへは | 読人不知 |
47 | こぬひとを まちかねやまの よふことり おなしこころに あはれとそきく | 肥後(京極前関白家) |
48 | さきしより ちりはつるまて みしほとに はなのもとにて はつかへにけり | 忠通 |
49 | おいてこそ はるのをしさは まさりけれ いまいくたひも あはしとおもへは | 俊綱/俊成(橘) |
50 | をしむとて こよひかきおく ことのはや あやなくはるの かたみなるへき | 崇徳院 |
51 | けふよりは たつなつころも うすくとも あつしとのみや おもひわたらむ | 増基 |
52 | ゆきのいろを ぬすみてさける うのはなは さえてやひとに うたかはるらむ | 俊頼(源経信男) |
53 | としをへて かけしあふひは かはらねと けふのかさしは めつらしきかな | 長房 |
54 | さかきとる なつのやまちや とほからむ ゆふかけてのみ まつるかみかな | 兼昌 |
55 | むかしにも あらぬわかみに ほとときす まつこころこそ かはらさりけれ | 周防内侍 |
56 | ほとときす なくねならては よのなかに まつこともなき わかみなりけり | 忠兼(藤原隆忠男) |
57 | ことしたに まつはつこゑを ほとときす よにはふるさて われにきかせよ | 花山院 |
58 | やまさとの かひこそなけれ ほとときす みやこのひとも かくやまつらむ | 道命 |
59 | やまひこの こたふるやまの ほとときす ひとこゑなけは ふたこゑそきく | 能因 |
60 | ほとときす あかつきかけて なくこゑを またぬねさめの ひとやきくらむ | 伊家 |
61 | まつひとは ぬるよもなきを ほとときす なくねはゆめの ここちこそすれ | 公教 |
62 | なきつとも たれにかいはむ ほとときす かけよりほかに ひとしなけれは | 俊頼(源経信男) |
63 | こやのいけに おふるあやめの なかきねは ひくしらいとの ここちこそすれ | 堀河(待賢門院) |
64 | よもすから たたくくひなは あまのとを あけてのちこそ おとせさりけれ | 頼家 |
65 | さみたれの ひをふるままに すすかかは やそせのなみそ こゑまさるなる | 治部卿(皇嘉門院) |
66 | わきもこか こやのしのやの さみたれに いかてほすらむ なつひきのいと | 匡房 |
67 | さみたれに なにはほりえの みをつくし みえぬやみつの まさるなるらむ | 忠季(源) |
68 | もしほやく すまのうらひと うちたえて いとひやすらむ さみたれのそら | 通俊 |
69 | さつきやみ はなたちはなに ふくかせは たかさとまてか にほひゆくらむ | 良暹 |
70 | やとちかく はなたちはなは ほりうゑし むかしをしのふ つまとなりけり | 花山院 |
71 | うすくこく かきほににほふ なてしこの はなのいろにそ つゆもおきける | 経衡 |
72 | たねまきし わかなてしこの はなさかり いくあさつゆの おきてみつらむ | 顕季 |
73 | なくこゑも きこえぬものの かなしきは しのひにもゆる ほたるなりけり | 高遠 |
74 | さつきやみ うかはにともす かかりひの かすますものは ほたるなりけり | 読人不知 |
75 | かせふけは かはへすすしく よるなみの たちかへるへき ここちこそせね | 家経(藤原) |
76 | そまかはの いかたのとこの うきまくら なつはすすしき ふしとなりけり | 好忠 |
77 | まつほとに なつのよいたく ふけぬれは をしみもあへぬ やまのはのつき | 道済 |
78 | かはかみに ゆふたちすらし みくつせく やなせのさなみ たちさわくなり | 好忠 |
79 | つねよりも なけきやすらむ たなはたは あはましくれを よそになかめて | 大弐(太皇太后宮) |
80 | したもみち ひとはつつちる このしたに あきとおほゆる せみのこゑかな | 相模 |
81 | むしのねも またうちとけぬ くさむらに あきをかねても むすふつゆかな | 好忠 |
82 | やましろの とはたのおもを みわたせは ほのかにけさそ あきかせはふく | 好忠 |
83 | きみすまは とはましものを つのくにの いくたのもりの あきのはつかせ | 清胤 |
84 | はきのはに すかくいとをも ささかには たなはたにとや けさはひくらむ | 元任(橘) |
85 | たなはたに ころももぬきて かすへきに ゆゆしとやみむ すみそめのそて | 花山院 |
86 | たなはたに こころはかすと おもはねと くれゆくそらは うれしかりけり | 顕綱 |
87 | いかなれは とたえそめけむ あまのかは あふせにわたす かささきのはし | 加賀左衛門 |
88 | あまのかは よこきるくもや たなはたの そらたきものの けふりなるらむ | 顕輔 |
89 | おほつかな かはりやしにし あまのかは としにひとたひ わたるせなれは | 能宣 |
90 | あまのかは たまはしいそき わたさなむ あさせたとるも よのふけゆくに | 顕季 |
91 | あふよとは たれかはしらぬ たなはたの あくるそらをも つつまさらなむ | 良暹 |
92 | たなはたの まちつるほとの くるしさも あかぬわかれと いつれまされり | 顕綱 |
93 | あまのかは かへらぬみつを たなはたは うらやましとや けさはみるらむ | 成仲 |
94 | みつきよみ やとれるあきの つきさへや ちよまてきみと すまむとすらむ | 順 |
95 | いかなれは おなしそらなる つきかけの あきしもことに てりまさるらむ | 雅定 |
96 | はるなつは そらやはかはる あきのよの つきしもいかて てりまさるらむ | 家成 |
97 | あきにまた あはむあはしも しらぬみは こよひはかりの つきをたにみむ | 三条院 |
98 | ありしにも あらすなりゆく よのなかに かはらぬものは あきのよのつき | 明快 |
99 | あきのよの つきのひかりの もるやまは このしたかけも さやけかりけり | 重基(藤原) |
100 | あまつかせ くもふきはらふ たかねにて いるまてみつる あきのよのつき | 良暹 |
101 | あきのよは つきにこころの ひまそなき いつるをまつと いるををしむと | 頼綱 |
102 | ひくこまに かけをならへて あふさかの せきちよりこそ つきはいてけれ | 朝隆 |
103 | あきのよの つゆもくもらぬ つきをみて おきところなき わかこころかな | 隆縁(六条藤原) |
104 | あきのよの つきまちかねて おもひやる こころいくたひ やまをこゆらむ | 嘉言 |
105 | あきやまの しみつはくまし にこりなは やとれるつきの くもりもそする | 忠兼(藤原隆忠男) |
106 | あきのよの つきにこころの あくかれて くもゐにものを おもふころかな | 花山院 |
107 | ひとりゐて なかむるやとの をきのはに かせこそわたれ あきのゆふくれ | 道済 |
108 | をきのはに そそやあきかせ ふきぬなり こほれやしぬる つゆのしらたま | 嘉言 |
109 | あきふくは いかなるいろの かせなれは みにしむはかり あはれなるらむ | 和泉式部 |
110 | みよしのの きさやまかけに たてるまつ いくあきかせに そなれきぬらむ | 好忠 |
111 | をきのはに つゆふきむすふ こからしの おとそよさむに なりまさるなる | 顕綱 |
112 | ゆふきりに こすゑもみえす はつせやま いりあひのかねの おとはかりして | 兼昌 |
113 | あきののの はなみるほとの こころをは ゆくとやいはむ とまるとやいはむ | 赤染衛門 |
114 | かみかきに かかるとならは あさかほも ゆふかくるまて にほはさらめや | ばい子内親王 |
115 | ぬしやたれ きるひとなしに ふちはかま みれはのことに ほころひにけり | 隆源(藤原) |
116 | あさなあさな つゆおもけなる はきかえに こころをさへも かけてみるかな | 周防内侍 |
117 | をきのはに こととふひとも なきものを くるあきことに そよとこたふる | 敦輔王 |
118 | あきののの くさむらことに おくつゆは よるなくむしの なみたなるへし | 好忠 |
119 | やへむくら しけれるやとは よもすから むしのねきくそ とりところなる | 永源/永縁 |
120 | なくむしの ひとつこゑにも きこえぬは こころこころに ものやかなしき | 和泉式部 |
121 | ふるさとに かはらさりけり すすむしの なるみののへの ゆふくれのこゑ | 為仲(橘) |
122 | あきかせに つゆをなみたと なくむしの おもふこころを たれにとはまし | 正通 |
123 | あふさかの すきまのつきの なかりせは いくきのこまと いかてしらまし | 匡房 |
124 | きくひとの なとやすからぬ しかのねは わかつまをこそ こひてなくらめ | 出羽弁 |
125 | あきはきを くさのまくらに むすふよは ちかくもしかの こゑをきくかな | 伊家 |
126 | あきふかみ はなにはきくの せきなれは したはにつきも もりあかしけり | 崇徳院 |
127 | しもかるる はしめとみすは しらきくの うつろふいろを なけかさらまし | 雅光 |
128 | ことしまた さくへきはなの あらはこそ うつろふきくに めかれをもせめ | 道命 |
129 | くさかれの ふゆまてみよと つゆしもの おきてのこせる しらきくのはな | 好忠 |
130 | せきこゆる ひとにとははや みちのくの あたちのまゆみ もみちしにきや | 頼宗 |
131 | いくらとも みえぬもみちの にしきかな たれふたむらの やまといひけむ | 能元 |
132 | ゆふされは なにかいそかむ もみちはの したてるやまは よるもこえなむ | 匡房 |
133 | やまさとは ゆききのみちの みえぬまて あきのこのはに うつもれにけり | 好忠 |
134 | はるさめの あやおりかけし みつのおもに あきはもみちの にしきをそしく | 道命 |
135 | なこりなく しくれのそらは はれぬれと またふるものは このはなりけり | 俊頼(源経信男) |
136 | あれはてて つきもとまらぬ わかやとに あきのこのはを かせそふきける | 兼盛 |
137 | あきふかみ もみちおちしく あしろきは ひをのよるさへ あかくみえけり | 惟成 |
138 | はつしもも おきにけらしな けさみれは のへのあさちも いろつきにけり | 能宣 |
139 | いつかたに あきのゆくらむ わかやとに こよひはかりは あまやとりせて | 公任 |
140 | なにことも ゆきていのらむと おもひしに かみなつきにも なりにけるかな | 好忠 |
141 | ひさきおふる さはへのちはら ふゆくれは ひはりのとこそ あらはれにける | 好忠 |
142 | こすゑにて あかさりしかは もみちはの ちりしくにはを はらはてそみる | 資通 |
143 | いろいろに そむるしくれに もみちはは あらそひかねて ちりはてにけり | 家成 |
144 | やまふかみ おちてつもれる もみちはの かわけるうへに しくれふるなり | 嘉言 |
145 | いまさらに おのかすみかを たたしとて このはのしたに をしそなくなる | 隆頼(惟宗) |
146 | かせふけは ならのうらはの そよそよと いひあはせつつ いつちちるらむ | 隆頼(惟宗) |
147 | とやまなる しはのたちえに ふくかせの おときくをりそ ふゆはものうき | 好忠 |
148 | あきはなほ このしたかけも くらかりき つきはふゆこそ みるへかりけれ | 読人不知 |
149 | もろともに やまめくりする しくれかな ふるにかひなき みとはしらすや | 道雅 |
150 | いほりさす ならのこかけに もるつきの くもるとみれは しくれふるなり | 瞻西 |
151 | みやまには あらしやいたく ふきぬらむ あしろもたわに もみちつもれり | 兼盛 |
152 | あられふる かたののみのの かりころも ぬれぬやとかす ひとしなけれは | 長能 |
153 | やまふかみ やくすみかまの けふりこそ やかてゆきけの くもとなりけれ | 匡房 |
154 | としをへて よしののやまに みなれたる めにめつらしき けさのはつゆき | 義忠(藤原) |
155 | ひくらしに やまちのきのふ しくれしは ふしのたかねの ゆきにそありける | 匡房 |
156 | おくやまの いはかきもみち ちりはてて くちはかうへに ゆきそつもれる | 嘉言 |
157 | くれなゐに みえしこすゑも ゆきふれは しらゆふかくる かみなひのもり | 忠通 |
158 | まつひとの いまもきたらは いかかせむ ふままくをしき にはのゆきかな | 和泉式部 |
159 | かすならぬ みにさへとしの つもるかな おいはひとをも きらはさりけり | 成尋 |
160 | たままつる としのをはりに なりにけり けふにやまたも あはむとすらむ | 好忠 |
161 | きみかよに あふくまかはの そこきよみ ちとせをへつつ すまむとそおもふ | 道長 |
162 | めつらしく けふたちそむる つるのこは ちよのむつきを かさぬへきかな | 伊勢大輔 |
163 | すききにし ほとをはすてつ ことしより ちよのかすつむ すみよしのまつ | 能宣 |
164 | きみかよは しらくもかかる つくはねの みねのつつきの うみとなるまて | 能因 |
165 | さかきはを てにとりもちて いのりつる かみのよよりも ひさしからなむ | 赤染衛門 |
166 | あかてのみ かへるとおもへは さくらはな をるへきはるそ つきせさりける | 中務 |
167 | まつしまの いそにむれゐる あしたつの おのかさまさま みえしちよかな | 元輔(清原) |
168 | ひととせを くれぬとなにか をしむへき つきせぬちよの はるをまつには | 公任 |
169 | たれにとか いけのこころも おもふらむ そこにやとれる まつのちとせは | 恵慶 |
170 | きみかよの ひさしかるへき ためしにや かみもうゑけむ すみよしのまつ | 読人不知 |
171 | すみよしの あらひとかみの ひさしさに まつもいくたひ おひかはるらむ | 経信 |
172 | みやこにて おほつかなさを ならはすは たひねをいかに おもひやらまし | 民部内侍 |
173 | もろともに たたましものを みちのくの ころものせきを よそにきくかな | 和泉式部 |
174 | よろこひを くはへにいそく たひなれは おもへとえこそ ととめさりけれ | 俊頼(源経信男) |
175 | とまりゐて まつへきみこそ おいにけれ あはれわかれは ひとのためかは | 輔尹 |
176 | かへりこむ ほとをもしらす かなしきは よをなかつきの わかれなりけり | 道経 |
177 | むとせにそ きみはきまさむ すみよしの まつへきみこそ いたくおいぬれ | 国基 |
178 | あかねさす ひにむかひても おもひいてよ みやこははれぬ なかめすらむと | 一条院皇后宮 |
179 | わかれちの くさはをわけむ たひころも たつよりかねて ぬるるそてかな | 有禅 |
180 | またこむと たれにもえこそ いひおかね こころにかなふ いのちならねは | 玄範 |
181 | ととまらむ ととまらしとも おもほえす いつくもつひの すみかならねは | 寂昭 |
182 | ふたつなき こころをきみに ととめおきて われさへわれに わかれぬるかな | 清胤 |
183 | くれはまつ そなたをのみそ なかむへき いてむひことに おもひおこせよ | 甲斐(太皇太后宮) |
184 | あつまちの はるけきみちを ゆきめくり いつかとくへき したひものせき | 甲斐(太皇太后宮) |
185 | たちわかれ はるかにいきの まつなれは こひしかるへき ちよのかけかな | 永縁 |
186 | はかなくも けさのわかれの をしきかな いつかはひとを なからへてみし | 靡 |
187 | あやしくも わかみやまきの もゆるかな おもひはひとに つけてしものを | 忠通 |
188 | いかてかは おもひありとも しらすへき むろのやしまの けふりならては | 実方 |
189 | かくとたに いはてはかなく こひしなは やかてしられぬ みとやなりなむ | 隆恵 |
190 | おもひかね けふたてそむる にしききの ちつかもまたて あふよしもかな | 匡房 |
191 | たにかはの いはまをわけて ゆくみつの おとにのみやは きかむとおもひし | 兼盛 |
192 | よとともに こひつつすくる としつきは かはれとかはる ここちこそせね | 一条院 |
193 | わかこひは ゆめちにのみそ なくさむる つれなきひとも あふとみゆれは | 伊家 |
194 | なくさむる かたもなくてや やみなまし ゆめにもひとの つれなかりせは | 公能 |
195 | いのちあらは あふよもあらむ よのなかに なとしぬはかり おもふこころそ | 惟成 |
196 | よそなから あはれといはむ ことよりも ひとつてならて いとへとそおもふ | 成通 |
197 | こひしなは きみはあはれと いはすとも なかなかよその ひとやしのはむ | 寛念 |
198 | いかはかり ひとのつらさを うらみまし うきみのとかと おもひなさすは | 成助 |
199 | いかならむ ことのはにてか なひくへき こひしといふは かひなかりけり | 頼保(藤原) |
200 | わかために つらきひとをは おきなから なにのつみなき よをやうらみむ | 浄蔵法師 |
201 | わするやと なからへゆけと みにそひて こひしきことは おくれさりけり | 兼盛 |
202 | としをへて もゆてふふしの やまよりも あはぬおもひは われそまされる | 読人不知 |
203 | わひぬれは しひてわすれむと おもへとも こころよわくも おつるなみたか | 読人不知 |
204 | おもはしと おもへはいとと こひしきは いつちかわれか こころなるらむ | 読人不知 |
205 | こころさへ むすふのかみや つくりけむ とくるけしきも みえぬきみかな | 能因 |
206 | ひとかたに おもひたえにし よのなかを いかかはすへき しつのをたまき | 公任 |
207 | かけみえぬ きみはあまよの つきなれや いててもひとに しられさりけり | 覚雅 |
208 | たなはたに けさひくいとの つゆをおもみ たわむけしきを みてややみなむ | 道綱 |
209 | みのほとを おもひしりぬる ことのみや つれなきひとの なさけなるらむ | 隆縁(六条藤原) |
210 | わひつつも おなしみやこは なくさめき たひねそこひの かきりなりける | 家成 |
211 | かせをいたみ いはうつなみの おのれのみ くたけてものを おもふころかな | 重之 |
212 | わかこひは よしののやまの おくなれや おもひいれとも あふひともなし | 顕季 |
213 | むねはふし そてはきよみか せきなれや けふりもなみも たたぬひそなき | 祐挙 |
214 | いたつらに ちつかくちにし にしききを なほこりつまに おもひたつかな | 永実 |
215 | やまさくら つひにさくへき ものならは ひとのこころを つくささらなむ | 道命 |
216 | しもおかぬ ひとのこころは うつろひて おもかはりせぬ しらきくのはな | 家時 |
217 | しらきくの かはらぬいろも たのまれす うつろはてやむ あきしなけれは | 公実/公任 |
218 | くれなゐの こそめのころも うへにきむ こひのなみたの いろかくるやと | 顕綱 |
219 | しのふれと なみたそしるき くれなゐに ものおもふそては そむへかりけり | 道済 |
220 | くれなゐに なみたのいろも なりにけり かはるはひとの こころのみかは | 雅光 |
221 | こひしなむ みこそおもへは をしからね うきもつらきも ひとのとかかは | 実重(平) |
222 | つらさをは きみにならひて しりぬるを うれしきことを たれにとはまし | 道命 |
223 | うれしきは いかはかりかは おもふらむ うきはみにしむ ものにそありける | 道信 |
224 | こひすれは うきみさへこそ をしまるれ おなしよにたに すまむとおもへは | 心覚 |
225 | みかきもり ゑしのたくひの よるはもえ ひるはきえつつ ものをこそおもへ | 能宣 |
226 | わかこひや ふたみかはれる たまくしけ いかにすれとも あふかたもなき | 読人不知 |
227 | こほりして おとはせねとも やまかはの したになかるる ものとしらすや | 範永 |
228 | かせふけは もしほのけふり かたよりに なひくをひとの こころともかな | 親隆 |
229 | せをはやみ いはにせかるる たきかはの われてもすゑに あはむとそおもふ | 崇徳院 |
230 | はりまなる しかまにそむる あなかちに ひとをこひしと おもふころかな | 好忠 |
231 | ほともなく くるるとおもひし ふゆのひの こころもとなき をりもありけり | 道命 |
232 | こひわひて ひとりふせやに よもすから おつるなみたや おとなしのたき | 俊忠 |
233 | きみをわか おもふこころは おほはらや いつしかとのみ すみやかれつつ | 相如(藤原) |
234 | わかこひは あひそめてこそ まさりけれ しかまのかちの いろならねとも | 道経 |
235 | よをふかみ かへりしそらも なかりしを いつくよりおく つゆにぬれけむ | 元輔(清原) |
236 | こころをは ととめてこそは かへりつれ あやしやなにの くれをまつらむ | 俊成(藤原俊忠男) |
237 | たけのはに たまぬくつゆに あらねとも またよをこめて おきにけるかな | 実方 |
238 | みなひとの をしむひなれと われはたた おそくくれゆく なけきをそする | 読人不知 |
239 | すみよしの あささはをのの わすれみつ たえたえならて あふよしもかな | 範綱 |
240 | われのみや おもひおこせむ あちきなく ひとはゆくへも しらぬものゆゑ | 和泉式部 |
241 | おもふこと なくてすきつる よのなかに つひにこころを ととめつるかな | 為基(大江) |
242 | つねよりも つゆけかりける こよひかな これやあきたつ はしめなるらむ | 紀伊(祐子内親王家) |
243 | せきとむる いはまのみつも おのつから したにはかよふ ものとこそきけ | 明兼 |
244 | あふことは まはらにあめる いよすたれ いよいよわれを わひさするかな | 恵慶 |
245 | いつくをも よかるることの わりなきに ふたつにわくる わかみともかな | 雅定 |
246 | もろともに おきゐるつゆの なかりせは たれとかあきの よをあかさまし | 赤染衛門 |
247 | きたりとも ぬるまもあらし なつのよの ありあけつきも かたふきにけり | 好忠 |
248 | こぬひとを うらみもはてし ちきりおきし そのことのはも なさけならすや | 忠通 |
249 | ゆふくれに ものおもふことは まさるやと われならさらむ ひとにとははや | 和泉式部 |
250 | なみたさへ いてにしかたを なかめつつ こころにもあらぬ つきをみしかな | 和泉式部 |
251 | つらしとて われさへひとを わすれなは さりとてなかの たえやはつへき | 読人不知 |
252 | あふことや なみたのたまの をなるらむ しはしたゆれは おちてみたるる | 公誠 |
253 | みかりのの しはしのこひは さもあらはあれ そりはてぬるか やかたをのたか | 最厳 |
254 | たけのはに あられふるなり さらさらに ひとりはぬへき ここちこそせね | 和泉式部 |
255 | ありふるも くるしかりけり なからへぬ ひとのこころを いのちともかな | 相模 |
256 | うきなから さすかにものの かなしきは いまはかきりと おもふなりけり | 元輔(清原) |
257 | とはぬまを うらむらさきに さくふちの なにとてまつに かかりそめけむ | 大進(俊子内親王家) |
258 | おもひやれ かけひのみつの たえたえに なりゆくほとの こころほそさを | 章行女 |
259 | うくひすは こつたふはなの えたにても たにのふるすを おもひわするな | 仁祐 |
260 | うくひすは はなのみやこも たひなれは たにのふるすを わすれやはする | 行尊 |
261 | よをかさね しもとともにし おきゐれは ありしはかりの ゆめたにもみす | 出雲(皇嘉門院) |
262 | あふことも わかこころより ありしかは こひはしぬとも ひとはうらみし | 国信 |
263 | くみみてし こころひとつを しるへにて のなかのしみつ わすれやはする | 仲実 |
264 | あさちふに けさおくつゆの さむけくに かれにしひとの なそやこひしき | 基俊 |
265 | わすらるる みはことわりと しりなから おもひあへぬは なみたなりけり | 清少納言 |
266 | いまよりは とへともいはし われそたた ひとをわするる ことをしるへき | 読人不知 |
267 | さりとては たれにかいはむ いまはたた ひとをわするる こころをしへよ | 読人不知 |
268 | またしらぬ ことをはいかか をしふへき ひとをわするる みにしあらねは | 通俊 |
269 | いくかへり つらしとひとを みくまのの うらめしなから こひしかるらむ | 和泉式部 |
270 | ゆふくれは またれしものを いまはたた ゆくらむかたを おもひこそやれ | 相模 |
271 | わすらるる ひとめはかりを なけきにて こひしきことの なからましかは | 読人不知 |
272 | はるかすみ かすめるかたや つのくにの ほのみしまえの わたりなるらむ | 頼家 |
273 | すまのうらに やくしほかまの けふりこそ はるにしられぬ かすみなりけれ | 俊頼(源経信男) |
274 | なみたてる まつのしつえを くもてにて かすみわたれる あまのはしたて | 俊頼(源経信男) |
275 | なかゐすな みやこのはなも さきぬらむ われもなにゆゑ いそくつなてそ | 忠盛 |
276 | このもとを すみかとすれは おのつから はなみるひとと なりぬへきかな | 花山院 |
277 | ちらぬまに いまひとたひも みてしかな はなにさきたつ みともこそなれ | 源心 |
278 | はるくれは あちかたたのみ ひとかたに うくてふうをの なこそをしけれ | 匡房 |
279 | みをしらて ひとをうらむる こころこそ ちるはなよりも はかなかりけれ | 頼宗 |
280 | はるのこぬ ところはなきを しらかはの わたりにのみや はなはさくらむ | 小式部内侍 |
281 | たれかこの かすはさためし われはたた とへとそおもふ やまふきのはな | 道綱母 |
282 | かすかやま きたのふちなみ さきしより さかゆへしとは かねてしりにき | 師頼 |
283 | みまさかや くめのさらやまと おもへとも わかのうらとそ いふへかりける | 師頼 |
284 | わかのうらと いふにてしりぬ かせふかは なみのたちこと おもふなるへし | 長実 |
285 | くもゐより つらぬきかくる しらたまを たれぬのひきの たきといひけむ | 隆季 |
286 | なにはえの しけきあしまを こくふねは さをのおとにそ ゆくかたをしる | 行宗 |
287 | おもひいても なくてやわかみ やみなまし をはすてやまの つきみさりせは | 済慶 |
288 | なにたかき をはすてやまも みしかとも こよひはかりの つきはなかりき | 為真 |
289 | つきはいり ひとはいてなは とまりゐて ひとりやわれか そらをなかめむ | 能宣 |
290 | いけみつに やとれるつきは それなから なかむるひとの かけそかはれる | 小一条院 |
291 | よのなかを おもひないりそ みかさやま さしいつるつきの すまむかきりは | 読人不知 |
292 | つききよみ たなかにたてる かりいほの かけはかりこそ くもりなりけれ | 崇徳院 |
293 | すみのほる つきのひかりに さそはれて くものうへまて ゆくこころかな | 実行 |
294 | いたまより つきのもるをも みつるかな やとはあらして すむへかりけり | 良暹 |
295 | くまもなく しのたのもりの したはれて ちえのかすさへ みゆるつきかけ | 実能 |
296 | さひしさに いへてしぬへき やまさとを こよひのつきに おもひとまりぬ | 道済 |
297 | ゆくひとも あまのとわたる ここちして くものなみちに つきをみるかな | 忠盛 |
298 | きみまつと やまのはいてて やまのはに いるまてつきを なかめつるかな | 為義 |
299 | いかなれは まつにはいつる つきなれと いるをこころに まかせさるらむ | 公実 |
300 | こころみに ほかのつきをも みてしかな わかやとからの あはれなるかと | 花山院 |
301 | うらめしく かへりけるかな つきよには こぬひとをたに まつとこそきけ | 具平親王 |
302 | かこやまの しらくもかかる みねにても おなしたかさそ つきはみえける | 嘉言 |
303 | よもすから ふしのたかねに くもきえて きよみかせきに すめるつきかな | 顕輔 |
304 | やましろの いはたのもりの いはすとも こころのうちを てらせつきかけ | 輔尹 |
305 | つきにこそ むかしのことは おほえけれ われをわするる ひとにみせはや | 長国 |
306 | なからへは おもひいてにせむ おもひいてよ きみとみかさの やまのはのつき | 琳賢 |
307 | あふさかの せきのすきはら したはれて つきのもるにそ まかせたりける | 匡房 |
308 | つれつれと あれたるやとを なかむれは つきはかりこそ むかしなりけれ | 伊周 |
309 | ふかくいりて すまはやとおもふ やまのはを いかなるつきの いつるなるらむ | 頼宗母 |
310 | おのかみの おのかこころに かなはぬを おもははものは おもひしりなむ | 和泉式部 |
311 | あやめくさ かりにもくらむ ものゆゑに ねやのつまとや ひとのみるらむ | 和泉式部 |
312 | ひとしれす ものおもふことは ならひにき はなにわかれぬ はるしなけれは | 和泉式部 |
313 | おもはれぬ そらのけしきを みるからに われもしくるる かみなつきかな | 読人不知 |
314 | あたひとは しくるるよはの つきなれや すむとてえこそ たのむましけれ | 堀河(待賢門院) |
315 | たかさとに かたらひかねて ほとときす かへるやまちの たよりなるらむ | 読人不知 |
316 | よしさらは つらさはわれに ならひけり たのめてこぬは たれかをしへし | 清少納言 |
317 | かつきけむ たもとはあめに いかかせし ぬるるはさても おもひしれかし | 江侍従 |
318 | ふかくしも たのまさらなむ きみゆゑに ゆきふみわけて よなよなそゆく | 好忠 |
319 | よのひとの またしらぬまの うすこほり みわかぬほとに きえねとそおもふ | 赤染衛門 |
320 | あきはみな おもふことなき をきのはも すゑたわむまて つゆはおくめり | 和泉式部 |
321 | いかなれは おなしなかれの みつにしも さのみはつきの うつるなるらむ | 忠清 |
322 | すみよしの ほそえにさせる みをつくし ふかきにまけぬ ひとはあらしな | 相模 |
323 | ふるあめの あしともおつる なみたかな こまかにものを おもひくたけは | 道綱母 |
324 | かみなつき ありあけのそらの しくるるを またわれならぬ ひとやみるらむ | 赤染衛門 |
325 | しのふるも くるしかりけり かすならぬ みにはなみたの なからましかは | 出羽弁 |
326 | おとせぬは くるしきものを みにちかく なるとていとふ ひともありけり | 和泉式部 |
327 | ひとのよに ふたたひしぬる ものならは しのひけりやと こころみてまし | 大弐三位 |
328 | ゆふきりに さののふなはし おとすなり てなれのこまの かへりくるかも | 俊雅母 |
329 | すみよしの なみにひたれる まつよりも かみのしるしそ あらはれにける | 資業 |
330 | いかてかく ねををしむらむ あやめくさ うきにはこゑも たてつへきよを | 周防内侍 |
331 | よのなかに ふるかひもなき たけのこは わかつむとしを たてまつるなり | 花山院 |
332 | としへぬる たけのよはひを かへしても このよをなかく なさむとそおもふ | 冷泉院 |
333 | あしかれと おもはぬやまの みねにたに おふなるものを ひとのなけきは | 和泉式部 |
334 | ひたふるに やまたもるみと なりぬれは われのみひとを おとろかすかな | 能因 |
335 | みかさやま さすかにかけに かくろへて ふるかひもなき あめのしたかな | 仲正 |
336 | きみひかす なりなましかは あやめくさ いかなるねをか けふはかけまし | 致経 |
337 | おもひかね わかれしのへを きてみれは あさちかはらに あきかせそふく | 道済 |
338 | ふるさとへ われはかへりぬ たけくまの まつとはたれに つけよとかおもふ | 為仲(橘) |
339 | かれはつる ふちのすゑはの かなしきは たたはるのひを たのむはかりそ | 顕輔 |
340 | よるのつる みやこのうちに はなたれて こをこひつつも なきあかすかな | 儀同三司母 |
341 | みのうさは すきぬるかたを おもふにも いまゆくすゑの ことそかなしき | 師頼 |
342 | うもれきの したはくつれと いにしへの はなのこころは わすれさりけり | 匡房 |
343 | いまはたた むかしそつねに こひらるる のこりありしを おもひてにして | 伊通 |
344 | おいてのち むかしをしのふ なみたこそ ここらひとめを しのはさりけれ | 元輔(清原) |
345 | ゆくすゑの いにしへはかり こひしくは すくるつきひも なけかさらまし | 政平 |
346 | いとひても なほをしまるる わかみかな ふたたひくへき このよならねは | 季通(藤原) |
347 | なにはえの あしまにやとる つきみれは わかみひとつも しつまさりけり | 顕輔 |
348 | あしひたく まやのすみかは よのなかを あくかれいつる かとてなりけり | 俊頼(源経信男) |
349 | しつのめか ゑくつむさはの うすこほり いつまてふへき わかみなるらむ | 俊頼(源経信男) |
350 | むかしみし くもゐをこひて あしたつの さはへになくや わかみなるらむ | 公重(藤原) |
351 | みかつきの またありあけに なりぬるや うきよをめくる ためしなるらむ | 教長 |
352 | ちるはなに またもやあはむ おほつかな そのはるまてと しらぬみなれは | 実方 |
353 | あさなあさな しかのしからむ はきかえの すゑはのつゆの ありかたのよや | 増基 |
354 | はなすすき まねかはここに とまりなむ いつれののへも つひのすみかそ | 親元 |
355 | よそにみし をはなかすゑの しらつゆは あるかなきかの わかみなりけり | 四条中宮 |
356 | かくしつつ いまはとならむ ときにこそ くやしきことの かひもなからめ | 花山院 |
357 | ゆふくれは ものそかなしき かねのおとを あすもきくへき みとししらねは | 和泉式部 |
358 | うくひすの なくになみたの おつるかな またもやはるに あはむとすらむ | 教良母 |
359 | みなひとの むかしかたりに なりゆくを いつまてよそに きかむとすらむ | 清昭 |
360 | このよたに つきまつほとは くるしきに あはれいかなる やみにまとはむ | 顕仲女 |
361 | おほつかな またみぬみちを してのやま ゆきふみわけて こえむとすらむ | 良暹 |
362 | かはらむと いのるいのちは をしからて さてもわかれむ ことそかなしき | 赤染衛門 |
363 | このよには またもあふまし うめのはな ちりちりならむ ことそかなしき | 行尊 |
364 | このみをは むなしきものと しりぬれは つみえむことも あらしとそおもふ | 読人不知 |
365 | わかおもふ ことのしけさに くらふれは しのたのもりの ちえはかすかは | 増基 |
366 | あしろには しつむみくつも なかりけり うちのわたりに われやすままし | 以言 |
367 | おほはらや またすみかまも ならはねは わかやとのみそ けふりたえたる | 良暹 |
368 | なみたかは そのみなかみを たつぬれは よのうきめより いつるなりけり | 賢智 |
369 | おもひやれ こころのみつの あさけれは かきなかすへき ことのはもなし | 実行 |
370 | かりそめの うきよのやみを かきわけて うらやましくも いつるつきかな | 匡房 |
371 | かへるかり にしへゆきせは たまつさに おもふことをは かきつけてまし | 蓮寂 |
372 | みをすつる ひとはまことに すつるかは すてぬひとこそ すつるなりけれ | 読人不知 |
373 | つくはやま ふかくうれしと おもふかな はまなのはしに わたすこころを | 肥後(京極前関白家) |
374 | としをへて ほしをいたたく くろかみの ひとよりしもに なりにけるかな | 能宣 |
375 | くものうへは つきこそさやに さえわたれ またととこほる ものやなになり | 国基 |
376 | ととこほる ことはなけれと すみよしの まつこころにや ひさしかるらむ | 顕季 |
377 | しらかはの なかれをたのむ こころをは たれかはそらに くみてしるへき | 成通 |
378 | ももとせの はなにやとりて すくしてき このよはてふの ゆめにさりける | 匡房 |
379 | ひさかたの あまのかくやま いつるひも わかかたにこそ ひかりさすらめ | 崇徳院 |
380 | このもとに かきあつめつる ことのはを ははそのもりの かたみとはみよ | 義国妻 |
381 | おもひかね そなたのそらを なかむれは たたやまのはに かかるしらくも | 忠通 |
382 | わたのはら こきいててみれは ひさかたの くもゐにまかふ おきつしらなみ | 忠通 |
383 | うちむれて たかくらやまに つむものは あらたなきよの とみくさのはな | 家経(藤原) |
384 | いたくらの やまたにつめる いねをみて をさまれるよの ほとをしるかな | 顕輔 |
385 | みなかみを さためてけれは きみかよに ふたたひすめる ほりかはのみつ | 好忠 |
386 | いさやまた つつきもしらぬ たかねにて まつくるひとに みやこをそとふ | 頼通 |
387 | みやこにて なかめしつきの もろともに たひのそらにも いてにけるかな | 道命 |
388 | みやこにて なかめしつきを みるときは たひのそらとも おほえさりけり | 伊周 |
389 | かさこしの みねのうへにて みるときは くもはふもとの ものにそありける | 家経(藤原) |
390 | むかしみし たるゐのみつは かはらねと うつれるかけそ としをへにける | 隆経 |
391 | おもひいても なきふるさとの やまなれと かくれゆくはた あはれなりけり | 正言 |
392 | いにしへを こふるなみたに くらされて おほろにみゆる あきのよのつき | 公任 |
393 | そのことと おもはぬたにも あるものを なにここちして つきをみるらむ | 頼宗 |
394 | ゆめならて またもあふへき きみならは ねられぬいをも なけかさらまし | 相如(藤原) |
395 | おもひかね なかめしかとも とりへやま はてはけふりも みえすなりにき | 円融院 |
396 | ゆふまくれ こしけきにはを なかめつつ このはとともに おつるなみたか | 義孝(藤原伊尹男) |
397 | ひとしれす ものおもふことも ありしかと このことはかり かなしきはなし | 安芸(待賢門院) |
398 | おひたたて かれぬとききし このもとの いかてなけきの もりとなるらむ | 元輔(清原) |
399 | けふよりは あまのかはきり たちわかれ いかなるそらに あはむとすらむ | 元輔(清原) |
400 | たなはたは のちのけふをも たのむらむ こころほそきは わかみなりけり | 読人不知 |
401 | あさましや きみにきすへき すみそめの ころものそてを わかぬらすかな | 顕仲(源) |
402 | こそのはる ちりにしはなも さきにけり あはれわかれの かからましかは | 赤染衛門 |
403 | いつるいきの いるをまつまも かたきよを おもひしるらむ そてはいかにそ | 崇徳院 |
404 | なみたのみ たもとにかかる よのなかに みさへくちぬる ことそかなしき | 有信 |
405 | をりをりの つらさをなにに なけきけむ やかてなきよも あはれありけり | 読人不知 |
406 | ひとをとふ かねのこゑこそ あはれなれ いつかわかみに ならむとすらむ | 読人不知 |
407 | くやしくも みそめけるかな なへてよの あはれとはかり きかましものを | 四条中宮 |
408 | かくてのみ よにありあけの つきならは くもかくしてよ あまくたるかみ | 読人不知 |
409 | なかきよの くるしきことを おもへかし なになけくらむ かりのやとりに | 稲荷 |
410 | おもへとも いむとていはぬ ことなれは そなたにむきて ねをのみそなく | 選子内親王 |
411 | あくかるる みのはかなさは ももとせの なかはすきてそ おもひしらるる | 顕仲(源) |
412 | つゆのみの きえてほとけに なることは つとめてのちそ しるへかりける | 読人不知 |
413 | よそになと ほとけのみちを たつぬらむ わかこころこそ しるへなりけれ | 忠通 |
414 | いかてわれ こころのつきを あらはして やみにまとへる ひとをてらさむ | 顕輔 |
415 | よのなかの ひとのこころの うきくもに そらかくれする ありあけのつき | 登蓮 |