「新後拾遺和歌集」一覧
1554件
1 | あまつそら かすみへたてて ひさかたの くもゐはるかに はるやたつらむ | 為定(御子左二条為道男) |
2 | たちかへる はるのしるしは かすみしく おとはのやまの ゆきのむらきえ | 俊頼(源経信男) |
3 | おとはかは やまにやはるの こえつらむ せきいれておとす ゆきのしたみつ | 順徳院 |
4 | はるといへは やかてかすみの なかにおつる いもせのかはも こほりとくらし | 良基(二条道平男) |
5 | にほのうみや けふよりはるに あふさかの やまもかすみて うらかせそふく | 定家 |
6 | あしひきの やまのかひより かすみきて はるしりなから ふれるしらゆき | 忠岑 |
7 | はれやらぬ くもはゆきけの はるかせに かすみあまきる みよしののやま | 雅経 |
8 | よしのやま ことしもゆきの ふるさとに まつのはしろき はるのあけほの | 良経(九条兼実男) |
9 | たちわたる かすみのうへの やまかせに なほそらさむく ゆきはふりつつ | 為氏 |
10 | なほさゆる ゆきけのそらの あさみとり わかてもやかて かすむはるかな | 後光厳院 |
11 | やまのはに はれぬゆきけを のこしても はるたちそふは かすみなりけり | 義満 |
12 | はしひめの かすみのころも ぬきをうすみ またさむしろの うちのかはかせ | 家隆 |
13 | はるかすみ たちてののちに みわたせは かすかのをのは みゆきさむけし | 伊勢 |
14 | さらにまた むすほほれたる わかくさの すゑののはらに ゆきはふりつつ | 家良 |
15 | うちはふき なけともはねの しろたへに またゆきさむき はるのうくひす | 読人不知 |
16 | はなもまた にほはぬほとの あさなあさな なけやうくひす はるとおもはむ | 按察(鷹司院) |
17 | うめかかを こつたふえたに さきたてて はなにうつろふ うくひすのこゑ | 亀山院 |
18 | はるのくる しるへとならは さきやらぬ はなをもさそへ うくひすのこゑ | 後醍醐院 |
19 | くれたけの ねくらかたよる ゆふかせに こゑさへなひく はるのうくひす | 冬平 |
20 | はるののに なくやうくひす なつけむと わかいへのそのに うめのはなさく | 赤人 |
21 | ふるゆきの したににほへる うめのはな しのひにはるの いろそみえける | 信明 |
22 | ふりかかる こすゑのゆきの あさあけに くれなゐうすき うめのはつはな | 良基(二条道平男) |
23 | いさけふは ころもてぬれて ふるゆきの あはつのをのに わかなつみてむ | 為家 |
24 | かすかのの わかなもいまは もゆらめと ひとにはみせす ゆきそふりつむ | 能宣 |
25 | さとひとは いまやのはらに ふるゆきの あともをします わかなつむらむ | 為藤 |
26 | きえかての ゆきもともまつ はるののに ひとりそけさは わかなつみける | 道嗣 |
27 | けさはまつ のもりをともと さそひてや しらぬゆきまの わかなつままし | 後円融院 |
28 | たれかまた ゆきまをわけて かすかのの くさのはつかに わかなつむらむ | 為氏 |
29 | かつきゆる をちかたのへの ゆきまより そてみえそめて わかなつむなり | 為定(御子左二条為道男) |
30 | しもゆきに うつもれてのみ みしのへの わかなつむまて なりにけるかな | 宗尊親王 |
31 | みやこひと けふやのはらに うちむれて しるもしらぬも わかなつむらむ | 実氏 |
32 | ゆききゆる かれののしたの あさみとり こそのくさはや ねにかへるらむ | 良経(九条兼実男) |
33 | それなから はるはくもゐに たかさこの かすみのうへの まつのひとしほ | 定家 |
34 | はるかすみ たなひきわたる まきもくの ひはらのやまの いろのことなる | 深養父 |
35 | さほひめの かすみのころも おりかけて ほすそらたかき あまのかくやま | 為重 |
36 | あしひきの やまのたえたえ みえつれは はるのかすみの たてるなりけり | 読人不知 |
37 | はるきぬと かすみのころも たちしより まとほにかかる そてのうらなみ | 後円融院 |
38 | なにはかた あしひのけふり そのままに やかてそかすむ こやのまつはら | 尊氏 |
39 | はるのいろは わきてそれとも なかりけり けふりそかすむ しほかまのうら | 知家 |
40 | いまさらに かすますとても なにはかた なかむるものを はるのあけほの | 実氏 |
41 | こすゑをは よそにへたてて うめのはな かすむかたより にほふはるかせ | 為世(御子左藤原為氏男) |
42 | いつくそと うめのにほひを たつぬれは しつかかきねに はるかせそふく | 師教(九条忠教男) |
43 | このまより うつるゆふひの かけなから そてにそあまる うめのしたかせ | 伏見院 |
44 | こすゑをは さそひもあかす うめかかの うつるそてまて はるかせそふく | 為冬 |
45 | さきにほふ のきはのうめの はなさかり さそはぬほとの かせはいとはし | 後光厳院 |
46 | うめのはな ひもとくはるの かせにこそ にほふあたりの そてはしみけれ | 康資王母 |
47 | をるそてに ふかくもにほへ うめのはな そのうつりかを たれかとかめむ | 大輔(殷富門院) |
48 | くれなゐの こそめのうめの はなのえは さくもさかぬも いろにいてつつ | 読人不知 |
49 | いろよりも なほたくひなき くれなゐの こそめはうめの にほひなりけり | 為遠 |
50 | うめのはな いろかはかりを あるしにて やとはさたかに とふひともなし | 為家 |
51 | そてのうへに かきねのうめは おとつれて まくらにきゆる うたたねのゆめ | 式子内親王 |
52 | わかやとに うめのはなちる ひさかたの そらよりゆきの ふるとみるまて | 旅人 |
53 | たゆるよも あらしとそおもふ はるをへて かせにかたよる あをやきのいと | 好忠 |
54 | たちならふ こすゑはあれと あをやきの いとのみなひく はるかせそふく | 道嗣 |
55 | ふくかせの こころもしらて ひとかたに なひきなはてそ あをやきのいと | 後光厳院 |
56 | あすかかせ ふきにけらしな たをやめの やなきのかつら いまなひくなり | 為定(御子左二条為道男) |
57 | けさみれは やなきのまゆの あさみとり みたるるまてに はるかせそふく | 義詮 |
58 | あさみとり いろそめかけて はるかせの えたにみたるる あをやきのいと | 為氏 |
59 | あめはれて つゆのたまぬく あをやきの はなたのいとに はるかせそふく | 尊氏 |
60 | はるさめの ふるひやけふも くれぬらし またおちやまぬ のきのたまみつ | 義満 |
61 | はるさめに のさはのみつは まさらねと もえいつるくさそ ふかくなりゆく | 家長(源時長男) |
62 | なにはめの すくもたくひも うちしめり あしやのさとに はるさめそふる | 知家 |
63 | つまこひを ひとにやつつむ やまもとの かすみかくれに ききすなくなり | 光厳院 |
64 | へたてゆく かすみもふかき くもゐちの はるけきほとに かへるかりかね | 為藤 |
65 | ことつてむ みちゆきふりも しらくもの よそにのみして かへるかりかね | 定為 |
66 | はるをへて かへりなれたる ふるさとに まつへきものと かりやゆくらむ | 為遠 |
67 | こしのうみや なれけるうらの なみゆゑに かならすかへる はるのかりかね | 為実(御子左藤原為氏男) |
68 | ときわかぬ かはせのなみの はなにさへ わかれてかへる はるのかりかね | 隆祐 |
69 | しらなみの あとこそみえね あまのはら かすみのうらに かへるかりかね | 土御門院 |
70 | なきかへる かりのはかせに ちるはなを やかてたむけの ぬさかとそみる | 具平親王 |
71 | かへるかり みやこのはるに いつなれて ありなははなの うきをしりなむ | 為信 |
72 | はなをこそ おもひもすてめ ありあけの つきをもまたて かへるかりかね | 右京大夫 |
73 | よこくもの そらにわかれて ゆくかりの なこりもとめぬ はるのあけほの | 俊光 |
74 | たれかはと おもひしはるを おのれのみ うらみはててや かへるかりかね | 為子(贈従三位) |
75 | たのめこし ひとのたまつさ いまはとて かへすににたる はるのかりかね | 宗尊親王 |
76 | さきやらぬ はなまつほとの やまのはに おもかけみせて かかるしらくも | 義詮 |
77 | さくらはな さけるやいつこ みよしのの よしののやまは かすみこめつつ | 伏見院 |
78 | さくらはな いまやさくらむ みよしのの やまもかすみて はるさめそふる | 後円融院 |
79 | みよしのの やまのやまもり こととはむ いまいくかありて はなはさきなむ | 後醍醐院 |
80 | さくらはな いまさきぬらし しからきの とやまのまつに くものかかれる | 光俊(葉室光親男) |
81 | あくるよの とやまのはなは さきにけり よこくもにほふ そらとみるまて | 公賢 |
82 | さくらはな さきぬるときは みよしのの やまのかひより なみそこえける | 俊頼(源経信男) |
83 | をはつせの はなのさかりや みなのかは みねよりおつる みつのしらなみ | 清輔 |
84 | よしのやま はなのしたふし ひかすへて にほひそふかき そてのはるかせ | 道命 |
85 | あしひきの やまさくらとの はるかせに おしあけかたは はなのかそする | 道家 |
86 | いたつらに このひとえたは なりぬなり のこりのはなを かせにまかすな | 和泉式部 |
87 | ひとえたも をらてかへらは ふるさとに はなみぬものと ひとやおもはむ | 為世(御子左藤原為氏男) |
88 | かへさにも いかかたをらむ やまさくら はなにおとらぬ いへつともかな | 寛尊法親王 |
89 | やまさくら ちりのまかひの ころよりも いへちわするる はなさかりかな | 国冬 |
90 | しらくもに まかへてたにも しをりせし はなのさかりや いへちわすれむ | 通陽門院 |
91 | としことに そむるこころの しるしあらは いかなるいろに はなのさかまし | 登蓮 |
92 | あかすみる こころをしらは さくらはな なれよいくよの はるもかはらて | 業子(従二位) |
93 | はるをへて しかのふるさと いにしへの みやこははなの なにのこりつつ | 為定(御子左二条為道男) |
94 | いまもなほ さけはさかりの いろみえて なのみふりゆく しかのはなその | 為遠 |
95 | しらくもの たえまにかすむ やまさくら いろこそみえね にほふはるかせ | 白河院 |
96 | しらくもの かさなるみねに たつねつる はなはみやこの こすゑなりけり | 寂蓮 |
97 | やまたかみ をのへのさくら さきしより くもゐはるかに にほふはるかせ | 定通(土御門通親男) |
98 | まつのはの かすめるほとは なけれとも をのへにとほき はなのいろかな | 為重 |
99 | へたつるも おなしさくらの いろなれは よそめいとはぬ かつらきのくも | 実重(三条公親男) |
100 | ひにそへて くもこそかかれ かつらきや たかまのはなは はやさかりかも | 法守法親王 |
101 | かつらきや うつるよそめの いろなから くもまてにほふ やまさくらかな | 義満 |
102 | たちかくす たえまもはなの いろなれや くもゐるみねの あけかたのそら | 実兼 |
103 | みわたせは いまやさくらの はなさかり くものほかなる やまのはもなし | 為家 |
104 | はなのいろに なほをりしらぬ かさしかな みわのひはらの はるのゆふくれ | 順徳院 |
105 | これならて なにをこのよに しのはまし はなにかすめる はるのあけほの | 高倉(八条院) |
106 | ときのまに うつろひやすき はなのいろは いまをさかりと みるそらもなし | 実俊(西園寺公宗男) |
107 | はるかせも こころしてふけ わかやとは はなよりほかの なくさめもなし | 読人不知 |
108 | くれはてて いろもわかれぬ こすゑより うつろふつきそ はなになりゆく | 邦長 |
109 | よしのやま あらしやはなを わたるらむ こすゑにかをる はるのよのつき | 惟明親王 |
110 | はるのよの つきはかりとや なかめまし ちりくるはなの かけなかりせは | 経信 |
111 | こすゑには はなもたまらす にはのおもの さくらにうすき ありあけのかけ | 伏見院 |
112 | はることの つらきならひに ちるとみて あるへきはなを なほやしたはむ | 為定(御子左二条為道男) |
113 | せめてわか ちかきまもりの ほとたにも みはしのさくら ちらさすもかな | 為定(御子左二条為道男) |
114 | はなさそふ かせはふくとも ここのへの ほかにはしはし ちらさすもかな | 伊尹 |
115 | さくらはな にほふにつけて ものそおもふ かせのこころの うしろめたさに | 顕季 |
116 | まちしより かねておもひし ちることの けふにもはなの なりにけるかな | 俊恵 |
117 | のとかなる こすゑはかりと おもひしに ちるもさかりと みゆるはなかな | 宮内卿(後鳥羽院) |
118 | くるとあくと みてもめかれす いけみつの はなのかかみの はるのおもかけ | 実方 |
119 | たにかくれ かせにしられぬ やまさくら いかてかはなの つひにちるらむ | 忠通 |
120 | みよしのの たきつかはうちに ちるはなや おちてもきえぬ みなわなるらむ | 良基(二条道平男) |
121 | おほゐかは さくらをつれて こすなみに せくともみえぬ みつのしからみ | 崇賢門院 |
122 | くもゐなる たかまのさくら ちりにけり あまつをとめの そてにほふまて | 後鳥羽院 |
123 | かせかよふ をのへのさくら ちりまかひ つもらぬほとも ゆきとみえつつ | 道嗣 |
124 | ちりまかふ はなのあとふく やまかせに かたみあたなる みねのしらくも | 実氏 |
125 | さくらいろも わかそめうつす からころも はなはとめける かたみたになし | 国夏 |
126 | さくらはな ちりぬるにはの さかりたに ありてうきよと はるかせそふく | 尊道法親王 |
127 | にはにたに とめぬあらしを かこたはや ちるをははなの とかになすとも | 後光厳院 |
128 | くもとみえ ゆきとふりても ととまらぬ ならひをはなに なほかこつかな | 時光 |
129 | むかしより うつろふからに うらむるを くるしきよとや はなのちるらむ | 帥 |
130 | うつつには さらにもいはす さくらはな ゆめにもちると みえはうからむ | 躬恒 |
131 | さそひゆく あらしのすゑも ふきまよひ このもとうすき はなのしらゆき | 師嗣 |
132 | はるかせの よそにさそはぬ はなならは このもとのみや ゆきとつもらむ | 為冬 |
133 | やまさくら ちりていくかそ ふみわくる あとたにふかき はなのしらゆき | 忠光 |
134 | やまひとの かへるつまきの おひかせに つもれとかろき はなのしらゆき | 後円融院 |
135 | このもとに ふるとみえても つもらぬは あらしやはらふ はなのしらゆき | 忠基(九条経教男) |
136 | おほろなる かけともみえす のきちかき はなにうつろふ はるのよのつき | 義詮 |
137 | このまもる かけともいはし よはのつき かすむもおなし こころつくしを | 伏見院 |
138 | さらてたに かけみえかたき ゆふつくよ いつるそらより まつかすみつつ | 良基(二条道平男) |
139 | よとともに かすめるつきの なとりかは なきなといはむ はれまたになし | 為重 |
140 | てりもせぬ ならひをはるの ひかりにて つきにかすみの はるるよそなき | 内経 |
141 | くらふやま このしたかけの いはつつし たたこれのみや ひかりなるらむ | 崇徳院 |
142 | いはつつし いはてやそむる しのふやま こころのおくの いろをたつねて | 定家 |
143 | みつとりの はかひのやまの はるのいろに ひとりましらぬ いはつつしかな | 順徳院 |
144 | きのふけふ かへすとみえて なはしろの あせこすみつも まつにこりつつ | 兼綱(藤原光業男) |
145 | いろもかも なつかしきかな かはつなく ゐてのわたりの やまふきのはな | 小町 |
146 | やまふきの はなこすなみも くちなしに うつろひゆくか ゐてのたまかは | 基忠(鷹司兼平男) |
147 | たきつせの たまちるみつや かかるらむ つゆのみしけき やまふきのはな | 俊成(藤原俊忠男) |
148 | ちるはなの かたみもよしや よしのかは あらぬいろかに さけるやまふき | 後宇多院 |
149 | をしめとも うつるひかすに ゆくはるの なこりをかけて さけるふちなみ | 為教 |
150 | ふちのはな こきむらさきの いろよりも をしむこころを たれかそめけむ | 元輔(清原) |
151 | わかゆきて いろみるはかり すみよしの きしのふちなみ をりなつくしそ | 兼盛 |
152 | まつかえに かかるよりはや とかへりの はなとそさける はるのふちなみ | 義満 |
153 | はるのひの のとけきやまの まつかえに ちよもとかかる きたのふちなみ | 良基(二条道平男) |
154 | みつのおもに さきたるふちを かせふけは なみのうへにも なみそたちける | 貫之 |
155 | いけのおもの みくさかたよる まつかせに みなそこかけて にほふふちなみ | 通相 |
156 | すゑのまつ さきこすふちの なみのまに またややよひの はるもくれなむ | 宣子(従一位) |
157 | ほりえこく かすみのをふね ゆきなやみ おなしはるをも したふころかな | 定家 |
158 | いまはたた のこるはかりの ひかすこそ とまらぬはるの たのみなりけれ | 為藤 |
159 | つもりぬる わかれははるに ならへとも なくさめかねて くるるそらかな | 俊成女 |
160 | いかはかり けふのくるるを なけかまし あすもとはるを おもはさりせは | 通親 |
161 | つきひとて やすくなすきそ くれてゆく やよひのそらの はるのわかれち | 実氏 |
162 | つれつれと はなをみつつそ くらしつる けふをしはるの かきりとおもへは | 躬恒 |
163 | ぬきかへて かたみとまらぬ なつころも さてしもはなの おもかけそたつ | 定家 |
164 | なつころも いそきかへつる かひもなく たちかさねたる はなのおもかけ | 越前(嘉陽門院) |
165 | けふといへは はやぬきかへぬ はなころも ちりていくかの かたみなりけむ | 深守法親王 |
166 | なにをかは はるのかたみと たつねまし こころありける おそさくらかな | 実衡女 |
167 | あをはにも しはしのこると みしはなの ちりてさなから しけるころかな | 為冬 |
168 | そてにこそ うつらさりけれ うのはなの かきねはかりの よはのつきかけ | 為子(贈従三位) |
169 | うのはなの かきねはかりの ゆふつくよ をちかたひとの みちやまよはむ | 浄弁 |
170 | ぬのさらす うちのわたりの かきねより めつらしけなく さけるうのはな | 実氏 |
171 | かみまつる けふはあふひの もろかつら やそうちひとの かさしにそさす | 教定(飛鳥井雅経男) |
172 | きみかよに ふたたひかさす あふひくさ かみのめくみも かさねてそしる | 読人不知 |
173 | きみかよに またたちかへり あふひくさ かけてそかみの めくみをはしる | 為道 |
174 | おほそらの ひかりになひく かみやまの けふのあふひや ひかけなるらむ | 匡房 |
175 | はるをいまは いたくもこひし あしひきの やまほとときす うらみもそする | 花山院 |
176 | つれなさや かはらさるらむ ひとことに まつとのみきく ほとときすかな | 為親 |
177 | またきかぬ うらみもあらし ほとときす なきぬとつくる ひとなかりせは | 実任 |
178 | ほとときす おのかはつねを こころから なかてやひとに うらみらるらむ | 忠岑 |
179 | いてなはと たのめもおかぬ やまのはの つきにまたるる ほとときすかな | 瑒子内親王 |
180 | なきぬへき ころとおもへは ほとときす ねさめにまたぬ あかつきそなき | 後二条院 |
181 | いまこむと たのめやはせし ほとときす ふけぬるよはを なにうらむらむ | 良経(九条兼実男) |
182 | つらきなの たつをはしらて ほとときす なくねはかりと なにしのふらむ | 後円融院 |
183 | つひにきく ものゆゑなとて ほとときす まついそかるる はつねなるらむ | 為氏 |
184 | やまさとに こそまてききし ほとときす みやこにまつと いかてしらせむ | 義将 |
185 | まちわふる こころにまけよ ほとときす しのふならひの はつねなりとも | 経継 |
186 | しのひねを たれにしらせて ほとときす まれなるころに またれそめけむ | 家良 |
187 | こころをも われこそつくせ ほとときす たかためをしむ はつねなるらむ | 義詮 |
188 | わきてまつ われにかたらへ ほとときす まつらむさとは あまたありとも | 春日(昭訓門院)→公宗母 |
189 | ほとときす ひとつてにのみ ききふりて うきみよそなる ねこそつらけれ | 実継 |
190 | ちえにこそ かたらはすとも ほとときす しのたのもりの ひとこゑもかな | 慈円 |
191 | ほとときす いまやみやこへ いつみなる しのたのもりの あけかたのこゑ | 知家 |
192 | これそけに はつねなるらむ きくひとも まちあへぬまの ほとときすかな | 後嵯峨院 |
193 | ほとときす おもひもわかぬ ひとこゑを ききつといかか ひとにかたらむ | 西行 |
194 | あくるをそ まつへかりける よこくもの みねよりいつる ほとときすかな | 氏村 |
195 | やまちをは けさこえぬとや ほとときす やかておとはの さとになくらむ | 為重 |
196 | このさとも なほつれなくは ほとときす いつくのやまの おくをたつねむ | 家経(一条実経男) |
197 | よひのまも おほつかなきを ほとときす なくなるこゑの ほとのはるけき | 赤人 |
198 | しらせはや たたひとこゑの ほとときす まちしにまさる こころつくしを | 公清 |
199 | なへてよに つれなきよりも ほとときす さとわくころの ねこそつらけれ | 為秀 |
200 | ときははや しりぬるころの ほとときす このさとひとも ききやふるらむ | 宣子(従三位) |
201 | いくこゑと かそへむものを ほとときす なきつとはかり なにおもひけむ | 義満 |
202 | あやめくさ けふはかけよと なかきねを そてよりみする ときはきにけり | 義満 |
203 | なかきよの ためしにひけは あやめくさ おなしよとのは わかれさりけり | 妍子 |
204 | おりたちて ひけるあやめの ねをみてそ けふよりなかき ためしともしる | 道長 |
205 | あやめくさ けふかるあとに のこれるや よとのにおふる まこもなるらむ | 経教 |
206 | ひきむすふ あやめのくさの まくらをは たひとやいはむ ひとよねにけり | 道嗣 |
207 | なかきねを ひくにまかせて ぬまみつの ふかさしらるる あやめくさかな | 公宗(西園寺実衡男) |
208 | かくれぬに おひてねふかき あやめくさ こころもしらす たれかひくらむ | 寛尊法親王 |
209 | さみたれは あやめのくさの しつくより なほおちまさる のきのたまみつ | 後光厳院 |
210 | さみたれは やとにつくまの あやめくさ のきのしつくに かれしとそおもふ | 匡房 |
211 | をやまたに みつひきわふる しつのをか こころやはるる さみたれのそら | 寂蓮 |
212 | たねまきし わさたのさなへ うゑてけり いつあきかせの ふかむとすらむ | 俊成(藤原俊忠男) |
213 | をやまたに いたゐのしみつ くみためて わかかとさらす とるさなへかな | 為藤 |
214 | すきたてる そとものたにに みつおちて さなへすすしき やまのしたかけ | 進子内親王 |
215 | さなへとる おなしたのもの やまかけの くるるかたより かへるさとひと | 為定(御子左二条為道男) |
216 | にほひくる はなたちはなの ゆふかせは たかむかしをか おとろかすらむ | 忠基(九条経教男) |
217 | ためしある みはしのみきに うつるより なほそてふれて にほふたちはな | 義満 |
218 | わかやとの はなたちはなに ほとときす よふかくなけは こひまさりけり | 家持 |
219 | なくねをや しのひはてまし ほとときす おのかさつきの なきよなりせは | 道嗣 |
220 | なつのよの つきまつほとは ほとときす わかやとはかり すきかてになけ | 清正 |
221 | をちかへり なきふるせとも ほとときす なほあかなくに けふはくらしつ | 実雄 |
222 | をちこちに はやなきふるす ほとときす いまはききても たれにかたらむ | 為尹 |
223 | なつのよの ゆめちにきなく ほとときす さめてもこゑは なほのこりつつ | 後鳥羽院 |
224 | さみたれの をやむはれまの ひかけにも なほくもふかし あまのかくやま | 俊成女 |
225 | くれぬとて いつへきつきも まちわひぬ くもにみねなき さみたれのころ | 為重 |
226 | いととなほ やへたつくもの さみたれに よかはのみつも さそまさるらむ | 国量 |
227 | さみたれに をささかはらを みわたせは ゐなのにつつく こやのいけみつ | 兵衛内侍(順徳院) |
228 | まこもおふる いかほのぬまの いかはかり なみこえぬらむ さみたれのころ | 順徳院 |
229 | ひをふれは もとのみちさへ わすれみつ のさはとなれる さみたれのころ | 実兼 |
230 | にはのおもに まかせしみつも いはこえて よそにせきやる さみたれのころ | 家隆 |
231 | さみたれの みかさをみれは あすかかは きのふのふちも あさせなりけり | 義詮 |
232 | あすかかは あすさへふらは ふちはせに かはるもしらし さみたれのころ | 師嗣 |
233 | みよしのや かはおとたかき さみたれに いはもとみせぬ たきのしらあわ | 後円融院 |
234 | そこきよく なりそしぬらし さみたれに もくつなかるる やまかはのみつ | 実俊(西園寺公宗男) |
235 | なのみして やまはあさひの かけもみす やそうちかはの さみたれのころ | 頓阿 |
236 | みなとかは うはなみはやく かつこえて しほまてにこる さみたれのころ | 為相 |
237 | いととなほ いりうみとほく なりにけり はまなのはしの さみたれのころ | 国道(津守国助男) |
238 | さみたれに おちそふたきの しらたまや やかてふりゆく ひかすなるらむ | 為定(御子左二条為道男) |
239 | しはしほす なみのまもなし あまころも たみののしまの さみたれのころ | 良基(二条道平男) |
240 | いせのあまの しほやきころも このほとや すつとはいはむ さみたれのころ | 国夏 |
241 | なにはかた こやのやへふき もりかねて あしまにやとる なつのよのつき | 行能 |
242 | わすれては はるかとそおもふ かやりひの けふりにかすむ なつのよのつき | 基氏(足利尊氏男) |
243 | ふけてこそ おくへきしもを よひのまに しはしみせたる にはのつきかけ | 為遠 |
244 | みるほとも なくてあけゆく なつのよの つきもやひとの おいとなるらむ | 澄弁 |
245 | まちいつる やまのはなから あけにけり つきにみしかき なつのよのそら | 通陽門院 |
246 | なつのよは ともしのしかの めをたにも あはせぬほとに あけそしにける | 和泉式部 |
247 | さつきやみ ともすほくしの まつやまに まつとてしかの よらぬよもなし | 為重 |
248 | おほゐかは やまもととほく こきつれて ひろせにならふ かかりひのかけ | 為世(御子左藤原為氏男) |
249 | うかひふね のほりもやらぬ おなしせに ともまちそふる かかりひのかけ | 光吉 |
250 | うかひふね くたすはやせの かはなみに なかれてきえぬ かかりひのかけ | 時光 |
251 | なつくさは しけりにけりな おほえやま こえていくのの みちもなきまて | 忠定(藤原兼宗男) |
252 | はるそみし みつのみまきに あれしこま ありもやすらむ くさかくれつつ | 家隆 |
253 | わきもこか やとのさゆりの はなかつら なかきひくらし かけてすすまむ | 良経(九条兼実男) |
254 | ほにいてぬ をはなかもとの くさのなも かつあらはれて とふほたるかな | 良基(二条道平男) |
255 | みつくらき いはまにまよふ なつむしの ともしけたても よをあかすかな | 式子内親王 |
256 | むすふての あかぬしつくも かけみえて いしゐのみつに とふほたるかな | 資康 |
257 | かせをいたみ はすのうきはに やとしめて すすしきたまに かはつなくなり | 後鳥羽院 |
258 | かせかよふ いけのはちすは なみかけて かたふくかたに つたふしらたま | 実教 |
259 | ゆふたちの ふりくるいけの はちすはに くたけてもろき つゆのしらたま | 光厳院 |
260 | おのつから かたへのくもや はれぬらむ やまのはとほき ゆふたちのそら | 弁内侍 |
261 | なつやまの このはのいろは そめねとも しくれににたる ゆふたちのそら | 成茂 |
262 | ひとむらは やかてすきぬる ゆふたちの なほくものこる そらそすすしき | 能清 |
263 | ゆふたちの ひとむらすすき つゆちりて むしのねそはぬ あきかせそふく | 杲守 |
264 | なるかみの おとはかりかと きくほとに やまかせはけし ゆふたちのそら | 為定(御子左二条為道男) |
265 | いなつまの ひかりのまとも いふはかり はやくそはるる ゆふたちのそら | 公蔭 |
266 | ゆふたちの かつかつはるる くもまより あめをわけても さすひかけかな | 為世(御子左藤原為氏男) |
267 | すきにけり のきのしつくは のこれとも くもにおくれぬ ゆふたちのあめ | 後宇多院 |
268 | ゆくすゑは つゆたにおかし ゆふたちの くもにあまれる むさしののはら | 読人不知 |
269 | むらさめの なこりのつゆは かつおちて こすゑにとまる せみのもろこゑ | 実教 |
270 | あめはるる ゆふかけやまに なくせみの こゑよりおつる ききのしたつゆ | 俊光女 |
271 | わけすくる やましたみちの おひかせに はるかにおくる せみのもろこゑ | 実泰 |
272 | せみのはの ころもにあきを まつらかた ひれふるやまの くれそすすしき | 定家 |
273 | すすしさは いつれともなし まつかせの こゑのうちなる やまのたきつせ | 良基(二条道平男) |
274 | しつかなる こころのうちや まつかけの みつよりもなほ すすしかるらむ | 頼之 |
275 | やまもとの ならのこかけの ゆふすすみ いはもるみつに あきかせそふく | 雅孝 |
276 | すすしくは ゆきてをくまむ みくさゐる いたゐのしみつ さととほくとも | 後醍醐院 |
277 | まつたてる よさのみなとの ゆふすすみ いまもふかなむ おきつしほかせ | 良経(九条兼実男) |
278 | あしのはに かくれてすめは なにはめの こやはなつこそ すすしかりけれ | 好忠 |
279 | なにはひと みそきすらしも なつかりの あしのひとよに あきをへたてて | 尊氏 |
280 | みたらしや たかみそきとも しらゆふの しらすなかるる なつのくれかな | 為遠 |
281 | みたらしや ひくてもけふは おほぬさの いくせになかす みそきなるらむ | 尊道法親王 |
282 | みそきかは としもこよひの なかそらに ふくるをあきと かせそすすしき | 資名 |
283 | みそきして かへさよふかき かはなみの あきにかかれる おとのすすしさ | 覚誉法親王 |
284 | かはのせに おふるたまもの ゆくみつに なひきてもする なつはらへかな | 顕輔 |
285 | あさとあけの のきはのをきに ふきてけり ひとはのさきの あきのはつかせ | 良基(二条道平男) |
286 | このねぬる あさけのかせの かはるより をきのはそよき あきやきぬらむ | 尊氏 |
287 | きのふまて ひとにまたれし すすしさを おのれといそく あきのはつかせ | 為相 |
288 | すすしさの まさるはかりを ふきかはる かせとてけふは あきやきぬらむ | 道嗣 |
289 | けふよりは あきのはしめと きくからに そてこそいたく つゆけかりけれ | 高明 |
290 | かせかはる なつのあふきは てになれて そてにまつおく あきのしらつゆ | 俊成女 |
291 | ふちはせに かはらぬほとも あまのかは としのわたりの ちきりにそしる | 為子(贈従三位) |
292 | かささきの わたせるはしの ひまをとほみ あはぬたえまの おほくもあるかな | 花園院 |
293 | としをへて けふよりほかの あふせをは たかしからみそ あまのかはなみ | 後円融院 |
294 | きてもなほ うすきちきりや うらむらむ としにまれなる あまのはころも | 性助法親王 |
295 | たなはたの こひもうらみも いかにして ひとよのほとに いひつくすらむ | 法守法親王 |
296 | よのほとの つゆのしたをき おとたてて けさほにしるき あきかせそふく | 義満 |
297 | あきかせの ふきしくときは をきのはの おとそなかなか きこえさりける | 経教 |
298 | おとつるる なさけはかりを まちえても おのれさひしき をきのうはかせ | 実兼 |
299 | をきのはの つゆをもそてに さそひきて あまるなみたに あきかせそふく | 行氏(祝部行言男) |
300 | さをしかの あさたつあとも あらはれて つゆまはらなる のへのはきはら | 定資 |
301 | みやきのに しからむしかの あとなれや もとあらのこはき つゆもたまらす | 通陽門院 |
302 | みやきのの つゆわけころも あさたては わすれかたみの はきかはなすり | 忠定(藤原兼宗男) |
303 | つゆのぬき よわきもしらす みやきのの はきのにしきに あきかせそふく | 通藤女 |
304 | まはきさく あきのはなのの すりころも つゆにまかせて なほやわけまし | 行輔 |
305 | さきてこそ のなかのみつに うつりけれ ふるえのはきの もとのこころは | 為定(御子左二条為道男) |
306 | ここのへや いますむやとの はきのとも いくよふるえの いろにさくらむ | 後円融院 |
307 | のへことに まねけはとても はなすすき そてをたのみて くるひともなし | 為世(御子左藤原為氏男) |
308 | まねくとて ゆくもとまるも おなしのに ひとたのめなる はなすすきかな | 実雄 |
309 | まねくとは よそにみれとも はなすすき われかといひて とふひとそなき | 長舜 |
310 | うちはらふ そてよりなひく はつをはな わくるをのへと あきかせそふく | 頼之 |
311 | はなすすき たれをとまれと いはくらの をののあきつに ひとまねくらむ | 為藤 |
312 | いまよりの たかたまくらも よさむにて いるののすすき あきかせそふく | 宗尊親王 |
313 | きのふまて よもきにとちし しはのとも のわきにはるる をかのへのさと | 良経(九条兼実男) |
314 | かりにさす いほりまてこそ なひきけれ のわきにたへぬ をののしのはら | 家隆 |
315 | さきましる はなのあたなも たちぬへし なにみたるらむ のへのかるかや | 瞻西 |
316 | まつむしの なくかたとほく さくはなの いろいろをしき つゆやこほれむ | 定家 |
317 | くれゆけは むしのねにさへ うつもれて つゆもはらはぬ よもきふのやと | 実兼 |
318 | あしかきの ましかきほとの きりきりす おもひやなそと いかてとはまし | 為氏 |
319 | よそにきく こゑたにあるを きりきりす まくらのしたに なにうらむらむ | 良基(二条道平男) |
320 | あかつきの まくらのしたに すみなれて ねさめこととふ きりきりすかな | 後嵯峨院 |
321 | みるままに かとたのおもは くれはてて いなはにのこる かせのおとかな | 義詮 |
322 | みわたせは やまたのほなみ かたよりに なひけはやかて あきかせそふく | 崇賢門院 |
323 | ゆめさむる ひたのいほりの あけかたに しかのねさむく あきかせそふく | 俊光 |
324 | おもひいる やまにてもまた なくしかの なほうきときや あきのゆふくれ | 雅経 |
325 | つまこひの こころはしらす さをしかの つきにのみなく こゑそふけゆく | 業子(従二位) |
326 | こころから あはれならひの つまこひに たかあきならぬ さをしかのこゑ | 後円融院 |
327 | あきをへて かはらぬこゑに なくしかは おなしつまをや こひわたるらむ | 読人不知 |
328 | まはきちる あきののかせや さむからし なほこのくれは しかそなくなる | 成光(祝部成国男) |
329 | ねにたてて あきにかはらぬ つまこひを なれぬるものと しかやなくらむ | 資教 |
330 | なかめしと おもひすつれと あはれのみ みにそひてうき あきのゆふくれ | 為世(御子左藤原為氏男) |
331 | ひとかたに おもひわくへき みのうさの それにもあらぬ あきのゆふくれ | 為重 |
332 | たかかたに よるなくかりの ねにたてて なみたうつろふ むさしののはら | 定家 |
333 | かりかねの かきつらねたる たまつさを たえたえにけつ けふのあききり | 崇徳院 |
334 | きりはれぬ そらにはそこと しらねとも くるをたのむの かりのたまつさ | 覚家 |
335 | たかためと うはのそらなる たまつさを かならすかけて かりはきぬらむ | 経教 |
336 | いくちさと ほとはくもゐの あきことに みやこをたひと かりのきぬらむ | 是則 |
337 | いつしかと なきてきにけり あきかせの よさむしらるる ころもかりかね | 義詮 |
338 | このさとは むらさめふりて かりかねの きこゆるやまに あきかせそふく | 宗尊親王 |
339 | さほやまの こすゑもいろや かはるらむ きりたつそらに かりはきにけり | 家良 |
340 | をちかたの きりのうちより ききそめて つきにちかつく はつかりのこゑ | 覚誉法親王 |
341 | はつかりの きなくときはの もりのつゆ そめぬしつくも あきはみえけり | 定家 |
342 | かへりみは こなたもさこそ へたつらめ きりにわけいる あきのたひひと | 実氏 |
343 | みねになる ゆふひのかけは のこれとも きりよりくるる をちのやまもと | 道平 |
344 | かはきりの みをもすゑより ひまみえて たえたえおつる うちのしはふね | 読人不知 |
345 | たちくもる きりのへたても すゑみえて あふくまかはに あまるしらなみ | 為重 |
346 | たちこむる せきちもしらぬ ゆふきりに なほふきこゆる すまのあきかせ | 俊成女 |
347 | くるるより やかてまたるる こころにも ならはておそき やまのはのつき | 基嗣 |
348 | いてやらぬ みねよりをちの つきかけに あたりうつろふ むらくものそら | 実俊(西園寺公宗男) |
349 | ほともなく まつよりうへに なりにけり このまにみつる やまのはのつき | 尊氏 |
350 | みねこゆる ほとこそしらね ゐるくもの たちそふひまを いつるつきかけ | 為遠 |
351 | いはみかた たかつのやまに くもはれて ひれふるみねを いつるつきかけ | 後鳥羽院 |
352 | むらくもも やまのはとほく なりはてて つきにのみふく みねのまつかせ | 伏見院 |
353 | あらしふく みねのうきくも さそはれて こころもそらに すめるつきかけ | 伏見院 |
354 | ゆくへなく たたよふくもを ふきかけて かせにもしはし くもるつきかな | 後光厳院 |
355 | そらにすむ ものならなくに わかこころ つきみるたひに あくかれてゆく | 後宇多院 |
356 | くもきゆる ちさとのほかの そらさえて つきよりうつむ あきのしらゆき | 良経(九条兼実男) |
357 | やまのはの つきにたちそふ うきくもの よそになるまて あきかせそふく | 盛徳 |
358 | ふきわくる このまもしるし あきかせに つれていてぬる やまのはのつき | 国久 |
359 | くもはらふ かせのあとより いてそめて さはるかけなき あきのよのつき | 成国(祝部) |
360 | さそはれて つきにかかれる うきくもも やかてはれゆく よはのあきかせ | 経氏 |
361 | あまのはら つきのみやこも たましきの ひかりにみかく あきかせそふく | 国夏 |
362 | あまつかせ いかにふくらむ ひさかたの くものかよひち つきそさやけき | 為定(御子左二条為道男) |
363 | さらしなや をはすてやまも さもあらはあれ たたわかやとの くものうへのつき | 後二条院 |
364 | あふさかの せきのすきむら きりこめて たちともみえぬ ゆふかけのこま | 堀河(待賢門院) |
365 | きよみかた なみちさやけき つきをみて やかてこころや せきをもるらむ | 俊成(藤原俊忠男) |
366 | おもひいてよ つゆをひとよの かたみにて ささわくるのへの そてのつきかけ | 俊成女 |
367 | さをしかの しからむはきに あきみえて つきもいろなる のちのたまかは | 仲光 |
368 | たえたえに みゆるのなかの わすれみつ よかれかちにや つきもすむらむ | 有家(藤原重家男) |
369 | よもきふの つゆのみふかき ふるさとに もとみしよりも つきそすみける | 為兼 |
370 | よもすから そらをうつして ゆくみつに なかれてふくる つきのかけかな | 実教 |
371 | みしまえは あしのはかくれ しけけれは こきいててみる あきのよのつき | 国道(津守国助男) |
372 | みつやそら そらやみつとも みえわかす かよひてすめる あきのよのつき | 読人不知 |
373 | あきたもる かりほのとまや うすからし つきにぬれたる よひのさむしろ | 順徳院 |
374 | あけぬとは よひよりみつる つきなれと いまそかとたに しきもなくなる | 守覚法親王 |
375 | きりはるる たのものすゑの やまのはに つきたちいてて あきかせそふく | 国助 |
376 | わさたもる とこのあきかせ ふきそめて かりねさひしき つきをみるかな | 秀能(藤原秀宗男) |
377 | よなよなは つきのかけもや うつるらむ とほやまとりの をろのかかみに | 為定(御子左二条為道男) |
378 | あまのかは くものしからみ もれいてて みとりのせせに すめるつきかけ | 後円融院 |
379 | つきのふね さしいつるより そらのうみ ほしのはやしは はれにけらしも | 読人不知 |
380 | ひさかたの なかにありてふ さとのなを そらにしれとも すめるつきかな | 経国 |
381 | かすならぬ みをしるそての なみたとも つきよりほかは たれかとふへき | 慶融 |
382 | あくかるる こころのはてよ いつくまて さやけきよはの つきにそふらむ | 為冬 |
383 | あくかれむ こころのはても みのうさも あきにまかせて つきをみるかな | 為信 |
384 | もろともに みるとはなしに ゆきかへり つきにさをさす ふなちなりけり | 仲実 |
385 | さしかへる しつくもそての かけなれは つきになれたる うちのかはをさ | 為家 |
386 | つきかけも にほてるうらの あきなれは しほやくあまの けふりたになし | 為家 |
387 | ゆふしほの さすにはつれし かけなから ひかたにのこる あきのよのつき | 後円融院 |
388 | ふねとむる いそのまつかけ くるるまに はやつきのほる うらのとほやま | 基氏(足利尊氏男) |
389 | つきはかり すめとそなれる ささなみや あれにしさとは しかのうらかせ | 義満 |
390 | かかみやま くもらぬあきの つきなれは ひかりをみかく しかのうらなみ | 高倉 |
391 | やまのなを わきてはいはし つきかけの にほてるうみも かかみなりけり | 道嗣 |
392 | ささなみの おとにもよはや ふけぬらし つきにしつまる しかのうらかせ | 頼春 |
393 | あくかれて ことうらならは いてなまし すまのうきねに みつるつきかけ | 基成 |
394 | みちとほき さののふなはし よをかけて つきにそわたる あきのたひひと | 信実 |
395 | あらちやま やたのひろのの つきかけに やとりのこさぬ あさちふのつゆ | 長秀 |
396 | をささしく ゐなののつきの ふくるよに ふしはらさむき つゆのたまくら | 宣子(従一位) |
397 | ふけぬるか つゆのやとりも よさむにて あさちかつきに あきかせそふく | 伏見院 |
398 | あれまもる のきはのつきは つゆしけき しのふよりこそ やとりそめけれ | 守覚法親王 |
399 | ぬれてこそ つきをもやとせ わかそての つゆをはほさし なみたなりとも | 信実 |
400 | それをたに みのおもひてと なくさめて あきのいくよか つきをみつらむ | 隆教 |
401 | たれにまた つきよりほかは うれへまし なれぬやまちの あきのこころを | 伏見院 |
402 | すゑのまつ まつよふけゆく そらはれて なみよりいつる やまのはのつき | 有家(藤原重家男) |
403 | おとはかり しくるとそきく つきかけの くもらぬよはの みねのまつかせ | 尊氏 |
404 | やまかせに しくるるまつを もるつきは くもまにいつる かけかとそみる | 光之 |
405 | まこととも たれかおもはむ ひとりみて のちにこよひの つきをかたらは | 西行 |
406 | おもふこと わかみにありや そらのつき かたしくそてに おけるしらつゆ | 後鳥羽院 |
407 | つもるとて いとひしかとも みはふりぬ いまはあくまて つきをたにみむ | 知家 |
408 | つもるとも なにのためにか いとふへき おいぬるのちの あきのよのつき | 光俊(葉室光親男) |
409 | みひとつに つもりはてたる おいなれは こころのままに つきをこそみれ | 公雄 |
410 | よさむなる のてらのかねは おとつれて あさちかしもと すめるつきかけ | 国冬 |
411 | はつせやま あけぬとつきに おとろけは よふかきかねの おとそきこゆる | 資宣 |
412 | いつるより いるまてみるを あきのよの つきにはたれか ねさめしつらむ | 貞秀 |
413 | にしになる かけはこのまに あらはれて まつのはみゆる ありあけのつき | 為世(御子左藤原為氏男) |
414 | あきのよの ふかきあはれは ありあけの つきみしよりそ しくれそめにし | 俊成(藤原俊忠男) |
415 | つゆはまた むすひもかへぬ つきかけを くさはのしもと むしやなくらむ | 為敦 |
416 | よもすから つゆのやとりに なくむしの なみたかすそふ にはのあさちふ | 宗秀(大江時秀男) |
417 | よひのまに おくなるのへの つゆよりも なほことしけき むしのこゑかな | 良基(二条道平男) |
418 | なかきよは たえまもあれや きりきりす なきつくすへき うらみならぬを | 資明 |
419 | きりきりす なくねもかなし ひとしれす あきのおもひの ふかきねさめに | 御匣 |
420 | なみをこす をはなかもとに よわるなり よさむのすゑの まつむしのこゑ | 国冬 |
421 | ことしみる わかもとゆひの はつしもに みそちあまりの あきそふけぬる | 良経(九条兼実男) |
422 | さとひとは ころもうつなり しからきの とやまのあきや よさむなるらむ | 頓阿 |
423 | からころも このさとひとの うつこゑを ききそめしより ぬるよはそなき | 顕仲(源顕房男) |
424 | さとひとや よさむのしもの おきゐつつ ふくるもしらす ころもうつらむ | 定宗(藤原家親男) |
425 | さよころも うつおとさむし あきかせの ふけゆくそてに しもやおくらむ | 長綱(菅原茂長男) |
426 | あくかるる こころなれはや さよころも あくるもしらす つきにうつらむ | 為連 |
427 | あきふかき よさむはさとを わかねはや おなしこころに ころもうつらむ | 覚済 |
428 | さよふけて なかはたけゆく つきかけに あかてやひとの ころもうつらむ | 実朝 |
429 | よひのまは しはしとたえて ありあけの つきよりさらに うつころもかな | 義満 |
430 | あすかには ころもうつなり たをやめの そてのあきかせ よさむなるらし | 行家(藤原知家男) |
431 | やまみつの おいせぬちよを せきとめて おのれうつろふ しらきくのはな | 定家 |
432 | つゆとても あたにやはみる なかつきの きくはちとせを すくすとおもへは | 貫之 |
433 | いつまてか おいせぬあきと かさしけむ いたたくしもの しらきくのはな | 基任 |
434 | わけすくる やまちのきくの はなのかに ぬれてもほさぬ そてのしらつゆ | 為定(御子左二条為道男) |
435 | ひかすこそ うつろひはてめ くれてゆく あきをはのこせ にはのしらきく | 実教 |
436 | しらきくの ひといろならす うつろふや やへさくはなの しるしなるらむ | 実直母 |
437 | ふるさとの かきほのつたも いろつきて かはらのまつに あきかせそふく | 宗尊親王 |
438 | はつしもの をかのくすはら いまよりは うらかれわたる あきかせそふく | 行朝 |
439 | いととしく よをなかつきに なりぬれは ねさめかちにて あかすへきかな | 好忠 |
440 | あけかたに あきのねさめや なりぬらむ のこるかたなく ものそかなしき | 家隆 |
441 | ゆふされは かりのこえゆく たつたやま しくれにきほひ いろつきにけり | 読人不知 |
442 | はつしくれ ふりにしひより あしひきの やまのこのはは もみちしぬらし | 法守法親王 |
443 | つゆしもの おくあしたより かみなひの みむろのやまは いろつきにけり | 人麿 |
444 | ひにそへて いろこそまされ きのふより けふはしくるる みねのもみちは | 欣子内親王 |
445 | そめてけり しくれもつゆも ほしやらぬ しつくのもりの あきのもみちは | 実継 |
446 | からにしき おりはへそめよ やまひめの たちきるそての つゆもしくれも | 読人不知 |
447 | たつたひめ もみちのいほに すみなさは たまらてそめよ つゆもしくれも | 読人不知 |
448 | むらしくれ ふりいててそむる くれなゐも いまいくしほの もみちなるらむ | 和義 |
449 | からにしき しくれのあめの たてぬきに おりかけてほす やまのもみちは | 国夏 |
450 | たつたかは もみちをみつの みかさとや うつるもふかき いろにみゆらむ | 良基(二条道平男) |
451 | もみちはも たかみそきとて たつたやま あきかせふけは ぬさとちるらむ | 国冬 |
452 | となせかは やまもひとつの もみちはに そめてのこらぬ たきのしらいと | 兼綱(藤原光業男) |
453 | となせかは もみちにむせふ たきつせの なかなるよとや いろまさるらむ | 義将 |
454 | またきより ちるかとそみる もみちはの うつりておつる やまのたきつせ | 公忠(藤原実忠男) |
455 | あらしやま ちらぬもみちの かけなから うつれはおつる たきのしらなみ | 実時(藤原公清男) |
456 | あきふかき もみちのぬさの からにしき けふもたむけの やまそしくるる | 為兼 |
457 | ゆくあきの すゑはのあさち つゆはかり なほかけとむる ありあけのつき | 伏見院 |
458 | なこりをは ゆふへのくもに ととめおきて あすとたになき あきのわかれち | 弁内侍 |
459 | あきよりも おとそさひしき かみなつき あらぬしくれや ふりかはるらむ | 宗尊親王 |
460 | けさはなほ しくれもあへす かみなつき ひかすやふゆの はしめなるらむ | 為定(御子左二条為道男) |
461 | しからきの とやまのくもの うちしくれ けふやさとひと ふゆをしるらむ | 尊氏 |
462 | そてぬれし あきのなこりも したはれて しくれをふゆと さためかねつつ | 実雄 |
463 | ふるもかつ はるるそやすき わかそての なみたはからぬ しくれなりけり | 深守法親王 |
464 | かせにゆく たたひとむらの うきくもに あたりははれて ふるしくれかな | 為世(御子左藤原為氏男) |
465 | ききなれし このはのおとは それなから しくれにかはる かみなつきかな | 高秀 |
466 | やまかせの さそひもやらぬ うきくもの たたよふそらは なほしくれつつ | 為量 |
467 | わきてまた くもるとはなき むらくもの ゆききにつけて うちしくれつつ | 道意(西園寺実兼男) |
468 | やまのはに しはしたえまの あるほとや さとまてめくる しくれなるらむ | 国冬 |
469 | くもるとも わかぬやまちの このまより ひかけとともに もるしくれかな | 慶運 |
470 | やまのはに たたよふくもの はれすのみ うきてしくれの ふらぬひそなき | 公守 |
471 | あはちしま むかひのくもの むらしくれ そめもおよはぬ すみよしのまつ | 定家 |
472 | あらしやま もろきこのはに ふりそへて みねゆくくもも またしくれつつ | 為氏 |
473 | さそはるる あらしとともに しくれきて のきはにちるは このはなりけり | 泰宗 |
474 | かみなつき いまやおちはの はつしくれ にはをこすゑに そめかへてけり | 行春(二階堂時元男) |
475 | やまかせの ふくかたにのみ さそはれて このははねにも かへらさりけり | 藤経(源) |
476 | あしひとの やまおろしふきて ふゆはきぬ いかにこのはの ふりまさるらむ | 公朝 |
477 | とやまなる ならのおちはを さそひきて かれのにさわく こからしのかせ | 能清 |
478 | ちしほとは なにいそきけむ いろふかき このはよりこそ ちりそめにけれ | 道嗣 |
479 | よもやまの ききのもみちも ちりはてて ふゆはあらはに なりにけるかな | 重之女 |
480 | こすゑには さてもかへらぬ もみちはを にはよりおくる こからしのかせ | 一条(昭慶門院) |
481 | おちつもる ほとよりうすき もみちかな あらしやにはを またはらふらむ | 忠光 |
482 | みたれつる おちははにはに しつまりて よわるあらしを こすゑにそきく | 良基(二条道平男) |
483 | はつしもは ふりにけらしな しなかとり ゐなのささはら いろかはるまて | 俊成(藤原俊忠男) |
484 | すみよしの ちきのかたそき ゆきもあはて しもおきまよふ ふゆはきにけり | 俊頼(源経信男) |
485 | ひとめさへ かれゆくしもの ふるさとに のこるもさひし にはのふゆくさ | 成光(祝部成国男) |
486 | かれのこる ふゆののをはな うちなひき たかたまくらも しもやおくらむ | 為定(御子左二条為道男) |
487 | なにはかた あしのかれはに かせさえて みきはのたつも しもになくなり | 俊成(藤原俊忠男) |
488 | なにはえや あしのよなよな しもこほり かれはみたれて うらかせそふく | 為重 |
489 | いりえなる あしのしもかれ かりにたに なにはのふゆを とふひともかな | 国助 |
490 | なにはかた かれてもたてる あしのはの をれふすまてと うらかせそふく | 雅家 |
491 | しもさやく よはもふけゆく ささのはに こほれるつきを はらふやまかせ | 義種 |
492 | しもかれの のなかにこほる わすれみつ しのふかけなき ふゆのよのつき | 重時 |
493 | ねやのうへに つもるこのはを ふきわけて かせそいたまの つきはみせける | 公時(藤原実国男) |
494 | むらくもの かかれとてしも うはたまの よわたるつきの なとしくるらむ | 行家(藤原知家男) |
495 | しくれつる むらくもなから ふくかせを しらてやつきの やまをいつらむ | 順徳院 |
496 | きよたきや いはまによとむ ふゆかはの うへはこほりに むすふつきかけ | 順徳院 |
497 | そこまては やとるともみす やまかはの こほりのうへを みかくつきかけ | 隆博 |
498 | そらよりも かけやさゆらむ いけみつの こほりにやとる ふゆのよのつき | 義詮 |
499 | ひさかたの つきのかかみと なるみつを みかくはふゆの こほりなりけり | 資季 |
500 | ふたみかた つきかけさえて ふくるよに いせしまとほく ちとりなくなり | 尊氏 |
501 | さよちとり うらつたひゆく なみのうへに かたふくつきも とほさかりぬる | 良平 |
502 | かせによる なみのまくらを いとひきて しほひやとこと ちとりなくらむ | 後円融院 |
503 | ともちとり なにをかたみの うらつたひ あとなきなみに なきてゆくらむ | 為定(御子左二条為道男) |
504 | なみよりも さきにとたちて うらかせの ふきこすいそに なくちとりかな | 親雅 |
505 | おきつなみ たちもかへらて しほかせの ふきしくかたに なくちとりかな | 周清 |
506 | ふねいたす よさのみなとの あけかたに ともよふこゑは ちとりなりけり | 資明 |
507 | とけてねぬ すまのせきもり よやさむき ともよふちとり つきになくなり | 義詮 |
508 | かちまくら うきねもさむき うらかせに ゆめをさそひて なくちとりかな | 氏頼 |
509 | ふゆのよは つかはぬをしも ともとみよ おなしいりえに やとるつきかけ | 為子(贈従三位) |
510 | あふことの ととこほりたる みつのうへに つかはぬをしの うきねをそなく | 安芸(郁芳門院) |
511 | おくしもを はらひかねてや あをはなる かものはかひも いろかはるらむ | 尊氏 |
512 | したくくる みちとみしまに にほとりの うきすをかけて こほるいけみつ | 具通 |
513 | うすこほり なほとちやらて いけみつの かものうきねを したふなみかな | 義満 |
514 | おのつから こほりにもれて ゆくなみも すゑはおとせぬ やまかはのみつ | 承覚法親王 |
515 | たえたえに なほみなかみは なかれきて こほりにとまる やまかはのみつ | 成国(祝部) |
516 | おちたきつ くたくるなみは いはこえて ゆくせにこほる やまかはのみつ | 実遠(藤原季雄男) |
517 | さはたかは そてつくほとの なみもなし こほりにわたす まきのつきはし | 長秀 |
518 | あしろきに せかるるみつや こほるらむ おとこそよわれ うちのかはなみ | 尊円法親王 |
519 | あしろきに よせくるいろは ひとつにて とまらぬひをや うちのかはなみ | 惟明親王 |
520 | しくれつる よひのむらくも さえかへり ふけゆくかせに あられふるなり | 家隆 |
521 | あらしふく ならのひろはの ふゆかれに たまらぬたまは あられなりけり | 後二条院 |
522 | しはしこそ おともきこゆれ ならのはの ともにたまらす ちるあられかな | 尊道法親王 |
523 | かれはてて しものしたなる をきのはも くたくはかりに ふるあられかな | 実氏 |
524 | おとたてて ふれともいとと たまらぬや をささかうへの あられなるらむ | 頼元 |
525 | けふもはや かたののみのに たつとりの ゆくへもみえす かりくらしつつ | 義詮 |
526 | はしたかの とかへるやまの このしたに やとりとるまて かりくらしつつ | 貞世 |
527 | みかりする かたののゆきの ゆふくれに あまのかはかせ さむくふくらし | 実名(藤原公脩男) |
528 | みかりする かたののをのに ひはくれぬ くさのまくらを たれにからまし | 俊成(藤原俊忠男) |
529 | かりひとの くるれはかへる すすのおと あはせぬとりや くさかくるらむ | 資康 |
530 | みかりはの つかれのとりの おちくさは なかなかゆきの つもるにそしる | 寂真 |
531 | このさとは しくれてさむき ふゆのよの あくるたかねに ふれるしらゆき | 為兼 |
532 | みねにまつ よそのなかめは ふりぬれと にはこそゆきの はしめなりけれ | 後円融院 |
533 | ほのほのと あけゆくやまの たかねより よこくもかけて ふれるしらゆき | 亀山院 |
534 | さえあかす あらしのほとも けさみえて ゆきにわかるる みねのよこくも | 雅幸 |
535 | つきはなほ くもまにのこる かけなから ゆきにあけゆく をちのやまのは | 経賢 |
536 | あしひきの やまにしろきは わかやとに きのふのくれに ふりしゆきかも | 読人不知 |
537 | けさはまつ ともなふかたに さそはれて ひとをもまたす にはのしらゆき | 為理 |
538 | あらちやま みねのこからし さきたてて くものゆくてに おつるしらゆき | 定家 |
539 | やたののに うちいててみれは やまかせの あらちのみねは ゆきふりにけり | 為家 |
540 | けさはなほ またしもかれと みゆるまて はつゆきうすき あさちふのには | 国貴 |
541 | ひさかたの そらもまかひぬ くもかかる たかまのやまに ゆきのふれれは | 実定 |
542 | さらてたに かへさくるしき やまひとの つまきのうへに つもるしらゆき | 兼氏 |
543 | よしのやま おくよりつもる しらゆきの ふるさとちかく なりまさるかな | 国助 |
544 | みよしのの やまのかよひち たえしより ゆきふるさとは とふひともなし | 顕詮 |
545 | おくやまの まさきのかつら うつもれて ゆきにはいとと くるひともなし | 氏経 |
546 | たれかまた おなしやまちを たとるらむ こゆれはうつむ あとのしらゆき | 有長 |
547 | いつのまに ふりつもりぬる ゆきなれは かへるやまちに みちまよふらむ | 仲実 |
548 | ふりつもる うははのゆきの ゆふこりに こほりてかかる まつのしたつゆ | 行家(藤原知家男) |
549 | さののをか こえゆくひとの ころもてに さむきあさけの ゆきはふりつつ | 道家 |
550 | くさかれに のこるとみえし まかきさへ なほあともなく うつむゆきかな | 義満 |
551 | たちかへり きみそのこさむ あとたえし のへのみゆきの ふるきためしは | 尊道法親王 |
552 | こほるそと みしよりくまぬ いなみのの のなかのみつを うつむしらゆき | 義将 |
553 | とはてふる ひかすのみこそ つもりけれ けふもあとなき にはのしらゆき | 行済 |
554 | やまふかき すみかならすは にはのゆきに とはれぬまても あとやまたれむ | 浄弁 |
555 | やまひとの みちのたよりも おのつから おもひたえねと ゆきはふりつつ | 寂蓮 |
556 | あとをしむ わかならはしに いひなさむ さのみとはれぬ にはのしらゆき | 為子(贈従三位) |
557 | ふみわけて いてつるもとの あとをさへ またふりうつむ にはのしらゆき | 為世(御子左藤原為氏男) |
558 | あとつけし そのむかしこそ こひしけれ のとかにつもる ゆきをみるにも | 小侍従(太皇太后宮) |
559 | にはにこそ つもりそへけれ まつかえの こすゑのゆきを はらふあらしに | 邦省親王 |
560 | おきつかせ ふきこすいその いはねまつ なみこそかかれ ゆきはたまらす | 実重(三条公親男) |
561 | うつもれぬ けふりをやとの しるへにて ゆきにしほくむ さとのあまひと | 元可 |
562 | わたつうみの なみもひとつに さゆるひの ゆきそかさしの あはちしまやま | 為重 |
563 | みのうへに かからむことそ とほからぬ くろかみやまに ふれるしらゆき | 頼政 |
564 | くものほる ふしのやまかせ そらさえて けふりもみえす ゆきはふりつつ | 兼直 |
565 | さゆるひに なほたきまさる すみかまの けふりはゆきも うつまさりけり | 頼春 |
566 | すみかまの あたりのまつも うつもれて のこるけふりは ゆきよりそたつ | 善成 |
567 | すみかまの けふりのすゑも うちなひき ゆきふきおろす をののやまかせ | 義詮 |
568 | なけきのみ おほはらやまの すみかまに おもひたえせぬ みをいかにせむ | 読人不知 |
569 | いつまてか けふりもたてむ ふるさとに つまきたえぬる をののすみかま | 為子(贈従三位) |
570 | たかみにも つもれるとしの くれなれは さこそはゆきも ふかくなるらめ | 光俊(葉室光親男) |
571 | よしのかは なかれてすくる としなみに たちゐのかけも くれにけるかな | 匡房 |
572 | なにとなき よのひとことに まきれきて くれはててこそ としはをしけれ | 公雄 |
573 | はからさる やそちのほかの としのくれ つもるとたにも いまはおほえす | 信実 |
574 | あはれまた すゑのまつやま むそちにも ちかつくとしの こえむとすらむ | 道助法親王 |
575 | いまはみに こむといふなる おいらくの はるよりちかき としのくれかな | 良基(二条道平男) |
576 | すききつる いそちのゆめの ほとなさを さらにおとろく としのくれかな | 尊円法親王 |
577 | みにつもる かすこそかはれ たちかへり ことしもおなし はるはきにけり | 花園院 |
578 | はるしらて おほつかなきに うくひすの けふめつらしき こゑをきかはや | 選子内親王 |
579 | こほりとく かせのおとにや ふるすなる たにのうくひす はるをしるらむ | 経信 |
580 | いてそむる あさひかくれの たにかけに ねくらなからの うくひすのこゑ | 尊円法親王 |
581 | いりしより はるしらぬみも あるものを みやまないてそ たにのうくひす | 信専 |
582 | うちいつる なみのはなかと みゆるまて こほりのうへに あはゆきそふる | 道嗣 |
583 | ことうらの はるよりもなほ かすめるや やくしほかまの けふりなるらむ | 頼印 |
584 | しほかまの うらよりほかも かすめるを おなしけふりの たつかとそみる | 為冬 |
585 | わかなつむ わかあとはかり きえそめて よそにはみえぬ ゆきまなりけり | 定久 |
586 | しるしらす おなしのはらに うちむれて ひとつゆきまの わかなつむなり | 直氏 |
587 | ふみわけし きのふののへの ゆきまより けふもえいつる わかなをそつむ | 興雅 |
588 | けふもなほ わかなつまはや かすかのの きのふのゆきは いとときゆらむ | 為連 |
589 | はなにたに そはてよそなる うめかかを そてにうつして はるかせそふく | 国貴 |
590 | おほろなる なにはたつとも はるのつき やとるそてまて かすますもかな | 小督(瓊子内親王家) |
591 | いまさらに くもりなはてそ はるのつき はれぬはおいの なみたなりとも | 兼氏 |
592 | かすむとも このはるよりや よはのつき おいのこころも はれてみるへき | 為世(御子左藤原為氏男) |
593 | おいぬれは われからかすむ はるのよを つきやあらぬと なにかこつらむ | 定宗(藤原家親男) |
594 | おいぬるも もとのみそとは かこてとも なみたそはれぬ はるのよのつき | 定為 |
595 | おいかみの なみたのとかに なしはてて かすむもわかぬ はるのよのつき | 通定 |
596 | すみうさに しはしをくらの やとかへて みるにもかすむ はるのよのつき | 公雄 |
597 | やまのはも ともににほひて はるのつき かすみのそこに かけそいさよふ | 宣子(従一位) |
598 | なきてゆく こゑそきこゆる はるのかり わかれはおのか こころなれとも | 棟国 |
599 | わかかたに よるともなかぬ ちきりをも かへれはしたふ はるのかりかね | 雅能 |
600 | ふるさとの はなのさかりも すきぬへし かへらはいそけ はるのかりかね | 浄阿 |
601 | おのかすむ こしちのはなは またさかし いそかてかへれ はるのかりかね | 公朝 |
602 | なほふかく たつねもいらは やまさくら さかぬにまつや いへちわすれむ | 国量 |
603 | あらましの こころのうちに さきそめて ひとにしられぬ やまさくらかな | 道甚 |
604 | さきやらて またれしほとの ひかすより さかりすくなき やまさくらかな | 実性 |
605 | やまさくら おもふあまりに よにふれは はなこそひとの いのちなりけれ | 慈円 |
606 | みよしのも おなしうきよの やまなれは あたなるいろに はなそさきける | 宗尊親王 |
607 | やまさくら さきそふままに さほひめの かすみのそてに あまるしらくも | 邦省親王 |
608 | いてそむる つきはこすゑに みえなから なほくれはてぬ はなのかけかな | 経賢 |
609 | はつせやま はなのあたりは さやかにて よそよりくるる いりあひのかね | 詮政 |
610 | さきあまる をのへのはなや いこまやま へたつるくもを またへたつらむ | 寂真 |
611 | かたのなる なきさのさくら いくはるか たえてといひし あとにさくらむ | 定円(葉室光俊男) |
612 | やとかさぬ あまのかはらや うからまし かたのにはなの かけなかりせは | 国助 |
613 | さしこもる むくらのやとの はなにさへ なほおもひある はるかせそふく | 善成 |
614 | あふさかは せきのとさしも なかりけり ゆききのひとを はなにまかせて | 頼俊 |
615 | やまさとは はなゆゑにたに とはれねは ちりてもたれか こひしかるへき | 藤茂 |
616 | さきぬとて ひとにかたらは やまさくら みのかくれかも いまやとはれむ | 源全 |
617 | のとかにそ なかなかみつる やまさくら くれてかへらむ いへちならねは | 深守法親王 |
618 | はなにふる ひかすもしらす けふとてや ふるさとひとの われをまつらむ | 宮内卿(後鳥羽院) |
619 | としとしの はなになれても ふりはてぬ さのみやのちの はるをまつへき | 覚助法親王 |
620 | あたらよに こそはことしを しらさりし いのちつれなく はなをみるかな | 経継 |
621 | おもひいての なきみといはは はることに なれしやそちの はなやうらみむ | 祖月 |
622 | ななそちの はるにもあひぬ あたにちる はなやつれなく みをおもふらむ | 雅久 |
623 | やまかけの のきはのはなを たつねても あるしまてとふ ひとやなからむ | 広房(大江広茂男) |
624 | うらむなよ わかすむやまの さくらはな みやこのはるに かへるこころを | 信専 |
625 | はることに うらみもはてぬ こころとや をしむによらて はなのちるらむ | 超空 |
626 | みれはこそ ちるもをしけれ はることに はななきさとの かくれかもかな | 読人不知 |
627 | このもとに ちりしくたにも うきものを さそひなはてそ にはのはるかせ | 覚増法親王 |
628 | ちるままに にはにはあとも なかりけり こすゑやはなの ゆきまなるらむ | 道英 |
629 | ちるはなの なこりをにはに ふきとめて このもとにほへ はるのゆふかせ | 義則 |
630 | ちるはなの ゆきとつもらは たつねこし しをりをさへや またたとらまし | 頼隆 |
631 | ちるはなの いろなりけりな はるのひの ひかりにふれる みねのしらゆき | 国久 |
632 | たつねきて くもはまかはぬ このもとに いかてさくらの ゆきとちるらむ | 淳家 |
633 | まかひつる くもやあらしに はれぬらむ ちらてをのへの はなそすくなき | 基任 |
634 | みねにたつ くももわかれて よしのかは あらしにまさる はなのしらなみ | 頼貞 |
635 | わたるへき ものともみえす やまかはに かせのかけたる はなのうきはし | 通藤女 |
636 | やまさくら なかるるみつを せきとめて せせのうもれき はなさきにけり | 頼康 |
637 | やまおろしの さくらふきまく しかのうらに うきてたちそふ はなのささなみ | 為道 |
638 | ひらのやま たかねのあらし ふくなへに はなをよせくる しかのうらなみ | 藤経(源) |
639 | はるふかく なりゆくくさの あさみとり のはらのあめは ふりにけらしも | 素性 |
640 | かけうつす のさはのみつの そこみれは あかるもしつむ ゆふひはりかな | 忠光 |
641 | いほむすふ やまのすそのの ゆふひはり あかるもおつる こゑかとそきく | 慶運 |
642 | ききすなく いはたのすみれ さきしより をののしはくさ わけぬひはなし | 為秀 |
643 | きふねかは すゑせきいるる なはしろに かみのみしめを ひきやそへまし | 義将 |
644 | そてふれし むかしおほえて たちはなの こしまにかをる やまふきのはな | 良基(二条道平男) |
645 | よしのかは いはとかしはも いろかへて はなちりかかる きしのやまふき | 頼英 |
646 | やましろの ゐてのなかみち ふみわけて とはてはえこそ やまふきのはな | 重基(平) |
647 | ひかりなき たににもはるの いはつつし いかていりひの いろにさくらむ | 重之 |
648 | かすかやま まつにかけつつ いのりこし ふちのすゑはは いまそはなさく | 資宣 |
649 | はなちりし やまはあをはに さくふちの いろにものこる はるやみゆらむ | 実音 |
650 | こころなき はなこそねにも かへるとも とりさへなとか くもにいるらむ | 資名 |
651 | おのかねの のこるはかりや うくひすの なれにしはなの かたみなるらむ | 高秀 |
652 | ととまらぬ うらみもしらす はることに したひなれたる けふのくれかな | 宗遠 |
653 | あすしらぬ いのちのほとに わかれては いつあひみむと はるのゆくらむ | 具氏 |
654 | かすならぬ みにはよそなる はるなれと けふのわかれは なほやしたはむ | 雅有 |
655 | おほゐかは はるをととめぬ しからみに はなもきのふの せせのしらなみ | 桓輸 |
656 | おそさくら はるくれてさく はななれは のこるものから かたみともなし | 国夏 |
657 | なつやまの あをはにましり さくはなや はるにおくるる こすゑなるらむ | 師氏(平常顕男) |
658 | もろかつら いかにみあれの としをへて みやこをたにも かけはなれけむ | 為実(御子左藤原為氏男) |
659 | いつなれて うきみとしれは ほとときす われにはつねの つれなかるらむ | 賢俊 |
660 | いかはかり またるるものと ほとときす しりてつれなき はつねなるらむ | 承恵 |
661 | まちわふる やまほとときす ひとつてに きくはかりこそ はつねなりけれ | 信空 |
662 | ほとときす いつとさためぬ はつねこそ やかてまつひの たのみなりけれ | 昭覚 |
663 | ことしまた なかすときかは ほとときす みにつれなさも うらみさらまし | 承覚法親王 |
664 | こそききし ころそすきぬる ほとときす ことしはなほや つれなかるらむ | 源意(藤原源守男) |
665 | ささかにの くものはたての ほとときす くへきよひとや そらにまつらむ | 実重(三条公親男) |
666 | つれなさを しはしわすれて ほとときす またてやみまし ありあけのそら | 為世(御子左藤原為氏男) |
667 | まちかねて われそうらむる ほとときす なかなくこゑは ひとをわかしを | 聖尊法親王 |
668 | よしさらは たたつれなかれ ほとときす まつをうきみの なくさめにせむ | 隆淵 |
669 | ほとときす きかぬかきりは まとろまて まてはやなつの よはのみしかき | 為経(甘露寺藤原資経男) |
670 | おもふこと なきみなりせは ほとときす ききてののちは まとろみなまし | 小弁 |
671 | いくこゑも あたにそきかぬ ほとときす まつさとひとの かきりなけれは | 永行 |
672 | やまふかく たつねてきけは ほとときす すきつるかたの くもになくなり | 良兼 |
673 | ほとときす またさとなれぬ ほとなれや ききぬとかたる ひとのすくなき | 成広(祝部) |
674 | なきあかす ここちこそすれ ほとときす ひとこゑなれと みしかよのそら | 読人不知 |
675 | よひのまは しはしまたれて ほとときす ふくれはつきの かけになくなり | 宗秀(藤原宗泰男) |
676 | またれつる くもゐのうへの ほとときす ことしかひある はつねをそきく | 兼煕 |
677 | まつひとの ためならすとも ほとときす おのかおさつきに こゑなをしみそ | 基名 |
678 | くちねたた いはかきぬまの あやめくさ うきみこもりは ひくひともなし | 経氏 |
679 | ひくひとの なきにつけても あやめくさ うきにしつめる ねこそなかるれ | 兼直 |
680 | くもかかる ゆつきかたけの さみたれに あなしのかはは みつまさるらし | 実継 |
681 | なにはより みえしくもまの いこまやま いまはいつくそ さみたれのころ | 貞秀 |
682 | いたつらに ひかすふるなり あすかかは かはらぬふちや さみたれのころ | 親文 |
683 | すすかかは あらぬなかれも おちそひて やそせにあまる さみたれのころ | 遠村 |
684 | よしのかは みつのこころも いまさらに はやさしらるる さみたれのころ | 為冬 |
685 | みつまさる よとのわかこも すゑはかり もえしににたる さみたれのころ | 光正 |
686 | さみたれに なほみつふかき みなとたは いそくさなへも とりそかねぬる | 氏春 |
687 | さみたれに たのものさなへ みつこえて おりたちかたく みゆるころかな | 読人不知 |
688 | さなへとる たこのうらひと このころや もしほもくまぬ そてぬらすらむ | 教定(飛鳥井雅経男) |
689 | やまみつの あるにまかせて いくはくも つくらぬをたの さなへとるなり | 道嗣 |
690 | みつくきの をかへのをたの むらさめに つゆかきわけて さなへとるなり | 常顕 |
691 | ひかすのみ ふるのわさたの さみたれに ほさぬそてにも とるさなへかな | 義弘 |
692 | ふるさとの はなたちはなに むかしたれ そてのかなから うつしうゑけむ | 浄阿 |
693 | のちはみな しのふならひの たちはなに いまそへおかむ そてのかもかな | 為重 |
694 | たちはなの かけふむみちは あれにけり むかしのあとを たれにとはまし | 忠房親王 |
695 | たちなれし はなたちはなの うつりかも いまはのこらぬ すみそめのそて | 基時 |
696 | やかてはや かくろへぬるか なつのゆく をしかのつのの みしかよのつき | 聖統 |
697 | なつくさは ふかくそしける しみつくむ のなかもそこと みえぬはかりに | 為量 |
698 | あきちかき をののしのはら おくつゆの あまりてよそに とふほたるかな | 宗信 |
699 | やまのはの ほのめくよひの つきかけに ひかりもうすく とふほたるかな | 道元 |
700 | さとのなの つきのかつらに とふほたる くるるかたにや ひかりそふらむ | 読人不知 |
701 | よよへぬる あとをはのこせ わかみこそ あつめぬまとの ほたるなりとも | 時光 |
702 | やかてまた つつきのさとに かきくれて とほくもすきぬ ゆふたちのそら | 為世(御子左藤原為氏男) |
703 | うちもとも みえぬあふきの ほとなきに すすしきかせを いかてこめけむ | 頼基(大中臣輔道男) |
704 | ひさきおふる かけにやあきも かよふらし きよきかはらの なつのゆふかせ | 実名(藤原公脩男) |
705 | ゆふすすみ みねたちのほる ひさかたの つきはなつとも みえぬそらかな | 師信 |
706 | しつかなる こころはいまや むすふての いはまのみつそ みさへすすしき | 詮政 |
707 | まつかせの ふくおとなから やまみつの いはねをつたふ なみそすすしき | 秀幸 |
708 | いはまくら したゆくみつの すすしさを そてひつはかり せきやかけまし | 読人不知 |
709 | みそきかは はやせすすしく ゆくみつや やかてなつなき おとをたつらむ | 宰相(瑒子内親王家) |
710 | なこむてふ かみのしるしも みたらしの かはのせきよき なつはらへかも | 読人不知 |
711 | かそふれは なみたのつゆも ととまらす これやみそちの あきのはつかせ | 土御門院 |
712 | ひとはこそ おつともおちめ なみたさへ さそひなそへそ あきのはつかせ | 杲守 |
713 | ふきにけり わかたまくらの ちりならて たつなもしるき あきのはつかせ | 深守法親王 |
714 | つゆたにも またおきあへぬ あさあけに かせこそあきを つけのをまくら | 公兼 |
715 | ゆくみつの ふちせならねと あすかかせ きのふにかはる あきはきにけり | 頓阿 |
716 | ふけてなほ すすしくなりぬ ほしあひの かけみるみつに よやふけぬらむ | 為冬 |
717 | たなはたは おもひしらなむ あまのかは いそくわたりに ふねをかしつる | 国基 |
718 | ひとよをも ちきりになして たなはたの うときもなかと うらみやはする | 資衡 |
719 | たなはたの ちきりまつまの なみたより つゆはゆふへの ものとやはおく | 後二条院 |
720 | をさまれる たみのくさはを みせかほに なひくたのもの あきのはつかせ | 定家 |
721 | かせのおとも けさこそかはれ をきのはに あきをしらせて つゆやおくらむ | 景実 |
722 | ゆふへのみ みにしむものと おもひしを ねさめもかなし をきのうはかせ | 親賢女 |
723 | つゆをこそ はらひもはてめ うたたねの ゆめをもさそふ をきのうはかせ | 英時 |
724 | わけつつや ころもはすらむ あさつゆに ぬれていろそふ あきはきのはな | 氏元 |
725 | ゆふくれは くさはのほかの おきところ ありとやそてに かかるしらつゆ | 為道 |
726 | むかしいま おもふにものの かなしきは おいてよにふる あきのゆふくれ | 顕実母 |
727 | そてのうへの つゆをはつゆと はらひても なみたかすそふ あきのゆふくれ | 道応 |
728 | そのことと おもはてそての つゆけきや あきのゆふへの ならひなるらむ | 読人不知 |
729 | あきのたの かりほのまはき さきしより なほいほちかく しかそなくなる | 善成 |
730 | よもすから もるいほちかき しかのねは いなはのかせや さそひきぬらむ | 増瑜 |
731 | あきをへて わすれぬかりの たまつさを たれまちみよと かけてきぬらむ | 邦省親王 |
732 | あまのとの きりはれそめて ほのほのと あけゆくそらを わたるかりかね | 直義 |
733 | あきかせの ふくにまちかく きこゆるは こゑにおくれて かりやきぬらむ | 国量 |
734 | みなとたの いなはにかせの たちしより かりなきわたる あきのうらなみ | 素観 |
735 | くもをなす わさたのほなみ ふきたてて むらさめなから わたるあきかせ | 実継 |
736 | ゆふされは のたのいなはの ほなみより をはなをかけて あきかせそふく | 為道 |
737 | まつにのみ おとはひひきて すみよしの きしたのほなみ あきかせそふく | 公勝 |
738 | あきのよの なかきおもひは おいかみの ねさめよりこそ まつしられけれ | 雄舜 |
739 | しはしなほ いさよふくもを さきたてて あとよりいつる やまのはのつき | 読人不知 |
740 | かつらきや よるともみえす はれにけり くものよそなる あきのつきかけ | 為量 |
741 | まちいつる つきのあたりの うきくもに よきよとはらふ まつかせそふく | 為遠 |
742 | つきもなほ このはかくれの をくらやま あきまつほとと なにおもひけむ | 良憲 |
743 | こけのそて ほしえぬつゆに やとりきて つきさへかけの やつれぬるかな | 実兼 |
744 | つきかけも つゆのやとりや たつぬらむ くさにはてなき むさしののはら | 長綱(菅原茂長男) |
745 | かはかみに さとあれのこる みなせやま みしものとては つきそすむらむ | 基家 |
746 | おほゐかは せせにいくよか みなれさを くたすいかたの とこのつきかけ | 為藤 |
747 | よふねこく かいのしつくや しけからし ぬるるたもとに やとるつきかけ | 昌家 |
748 | あしのやは すむあまやなき つきかけに こきいててみる なたのともふね | 国実(津守) |
749 | わすれすよ たひをかさねて しほきつむ あこきかうらに なれしつきかけ | 崇金 |
750 | いつまてか よにありあけと おもふにも かたふくつきを あはれとそみる | 成仲 |
751 | とりのねは ふもとのさとに おとつれて みねよりにしに のこるつきかけ | 雅朝 |
752 | いるかたの やまのはちかき つきかけを みにたくへても あはれとそみる | 有房(六条通有男) |
753 | なくなみた われとつゆけき むしのねの あきのくさはを なにかこつらむ | 弁内侍 |
754 | まつむしの なくともたれか きてとはむ ふかきよもきの もとのすみかを | 宣子(従一位) |
755 | やたののの あさちいろつく ほとをたに またてかれゆく むしのこゑかな | 高秀 |
756 | うらかるる のちはなかなか おくつゆも あさちかにはの まつむしのこゑ | 成忠 |
757 | あさちはら すゑはかれゆく はつしもの したにものこる むしのこゑかな | 頼之 |
758 | ふしみやま かとたのきりは よをこめて まくらにちかき しきのはねかき | 光厳院 |
759 | はつせやま をのへのきりの へたてにも あけゆくかねは なほきこえつつ | 秀長(菅原長綱男) |
760 | よをのこす ねさめのともと なりにけり おいのまくらに ころもうつこゑ | 寛尊法親王 |
761 | たれかなほ ねやへもいらて もとゆひの しものよさむに ころもうつらむ | 為冬 |
762 | つきかけに おきそふしもの よやさむき ふくるにつけて うつころもかな | 実音 |
763 | つゆのまと なにかおもはむ ぬれてほす やまちのきくの ちよのゆくすゑ | 実忠 |
764 | ものおもふ たかなみたにか そめつらむ いろこそかはれ ころもてのもり | 大弐(安嘉門院) |
765 | はれくもり しくるるやまの もみちはに いそくちしほの ほとそみえける | 嗣定 |
766 | しくれせぬ かたこそあらめ ははそはら そめてもうすき いろにみゆらむ | 読人不知 |
767 | こころとや いろにいつらむ あめつゆも もらぬいはやの つたのもみちは | 良宋 |
768 | あすまての しくれもしらす あきのいろを そめつくしぬる みねのもみちは | 頼隆 |
769 | なかつきの ありあけのつきの ほとはかり しくれはふゆを いそかすもかな | 朝村 |
770 | けふといへは なにそはつゆの かたみたに おきもととめす かへるあきかな | 実直母 |
771 | うきにこそ なみたはおつれ かみなつき そのこととなく ふるしくれかな | 光俊(葉室光親男) |
772 | あきのそら いかになかめし なこりとて けさもしくれの そてぬらすらむ | 宗尊親王 |
773 | ふりそむる おとよりふゆは しらるるを いくたひつくる しくれなるらむ | 経氏 |
774 | ふゆをこそ しくれもつくれ さためなき よはいつよりか はしめなりけむ | 元可 |
775 | すくるかと おもへはなほも めくりきて おなしねさめに ふるしくれかな | 道洪 |
776 | けさはまた そらもくもらて かみなつき このははかりそ まつしくれける | 懐通 |
777 | あれはつる のきはこのはに うつもれて なかなかもらぬ しくれをそきく | 行朝 |
778 | ふらぬよも ふるよもまかふ しくれかな このはののちの みねのまつかせ | 実朝 |
779 | くれたけの みとりはときも かはらねは しくれふりにし まかきともなし | 土御門院 |
780 | さとまては ふきもおくらぬ やまかせに しくれてとまる みねのうきくも | 経深 |
781 | やまかはの みつしまさらは みなかみに つもるこのはは おとしはつらむ | 人麿 |
782 | みなのかは なかれてせせに つもるこそ みねよりおつる このはなりけれ | 良基(二条道平男) |
783 | もみちせし つたもまさきも ちりはてて はふきあまたに やまかせそふく | 栄宝 |
784 | あきにみし いろもにほひも それなから しもにのこれる にはのしらきく | 宋親 |
785 | おくしもに のこれるにはの しらきくも あきなきときの かたみとそみる | 直頼 |
786 | あさひさす まやののきはの しもとけて しくれぬそらに おつるたまみつ | 道嗣 |
787 | かせさむき いりえのあしの ゆふしもに かれてもさやく おとそのこれる | 満親 |
788 | なにはかた いりえのあしの かれしより うらふくかせの おとそすくなき | 成豊 |
789 | つきまつと たちやすらへは しろたへの ころものそてに おけるはつしも | 秀能(藤原秀宗男) |
790 | しくるとは みゆるものから このはのみ ふれははれゆく ふゆのよのつき | 読人不知 |
791 | たつたやま もみちやまれに なりぬらむ かはなみしろき ふゆのよのつき | 土御門院 |
792 | たまのゐの こほりのうへに みぬひとや つきをはあきの ものといひけむ | 式子内親王 |
793 | よもすから やまおろしふきて ころもての たなかみかはに こほるつきかけ | 是法 |
794 | さゆるひは こほりとちそふ やまかはの したゆくみつも のこりやはする | 円守 |
795 | なつたにも ころをわすれし まつかけの いはゐのみつは さそこほるらむ | 澄覚法親王 |
796 | きくたにも あやふきふちの うすこほり のそむににたる よをわたるかな | 和義 |
797 | うきねする うらわのなみの まくらより あとよりかよふ ともちとりかな | 長尊 |
798 | さすしほに みきはやかはる さよちとり なきつるこゑの ちかくきこゆる | 読人不知 |
799 | とほさかる あしはやをふね あととめて またしまつたふ ともちとりかな | 道嗣 |
800 | なるみかた ゆふなみちとり たちかへり ともよひつきの はまになくなり | 厳阿 |
801 | いにしへの あとあるわかの うらちとり たちかへりても なをやのこさむ | 匡遠 |
802 | わかのうらに かよひけりとも はまちとり こころのあとを いつかしられむ | 親賢女 |
803 | しるへせよ わかのうらちの ともちとり いつひとかすの なをもかけまし | 為永 |
804 | さゆるよは さそふみつたに たえぬとや つららのとこに をしのなくらむ | 瑒子内親王 |
805 | しもにたに うはけはさゆる あしかもの たまものとこに つららゐにけり | 隆房 |
806 | おほゐかは ゐせきのなみに たつかもの かへりてあとに またくたりつつ | 実遠(藤原季雄男) |
807 | あしかもの むれゐるかたの いけみつや こほりもはてぬ みきはなるらむ | 和氏 |
808 | いけみつの こほるみきはの あしかもは ふけてやこゑの とほさかるらむ | 信快 |
809 | ひをならぬ なみもかへりて あしろきに こよひはこほる うちのかはかせ | 道嗣 |
810 | ささたけの おほみやひとの そてのうへに かさしのたまと ふるあられかな | 円昭 |
811 | あらしこす とやまのみねの ときはきに ゆきけしくれて かかるむらくも | 為家 |
812 | はつせやま みねのひはらも うつもれて ゆきのしたなる いりあひのかね | 通元 |
813 | ふりうつむ みねのよこくも よをこめて ゆきよりしらむ ありあけのそら | 有光 |
814 | ふしのねは ふゆこそたかく なりぬらめ わかぬみゆきに ときをかさねて | 為家 |
815 | くもよりも うへにみえたる ふしのねの ゆきはなにとて ふりはしめけむ | 昭祐 |
816 | うつもるる かせやしたより はらふらむ つもれはおつる まつのしらゆき | 源秀 |
817 | やまおろしに まつのうははは あらはれて こかけよりまつ つもるしらゆき | 時光 |
818 | きにもあらす くさにもあらて さくはなや たけのさえたに ふれるしらゆき | 親文 |
819 | このままに ふらはとみつる しらゆきの おもふほとこそ つもらさりけれ | 経顕(藤原定資男) |
820 | あとたえて とはれぬにはは ゆきもさそ ふりてかひなき やととしるらむ | 定宣(賀茂) |
821 | いにしへに いまもならひて しらゆきの ふるきあとをは われそつけつる | 尊氏 |
822 | いにしへに いまたちかへる みちそとも とはれてしりぬ にはのしらゆき | 為定(御子左二条為道男) |
823 | あつまやの まやのいまやと まつひとも あまりにふれは とはぬゆきかな | 良基(二条道平男) |
824 | よよをふる にはのをしへの あとはかり のこしてつもれ やとのしらゆき | 宣明 |
825 | いかにして あとをもつけむ をしへおく ことはあまたの にはのしらゆき | 実時(藤原公清男) |
826 | あつめこし しるしもあれや わかやまの すきふのまとに のこるしらゆき | 能運 |
827 | ときしあれは いまはたあひに あふさかの せきのしらゆき みよにふりつつ | 良基(二条道平男) |
828 | にはのおもは わかかよひちに ふみわけて とはれぬゆきの あともみえつつ | 為敦 |
829 | ゆきてみぬ こころのほとを おもひやれ みやこのうちの こしのしらやま | 周防内侍 |
830 | きてもみよ せきもりすゑぬ みちなれは おほうちやまに つもるしらゆき | 上総(堀河院中宮) |
831 | やまふかみ ゆきにとちたる しはのとの たたそのままに ふるひかすかな | 少将(陽徳門院) |
832 | はしたかの こゐのしたくさ かれしより かくれかねてや ききすなくらむ | 性威 |
833 | くれぬるか つかれにかかる はしたかの くさとるあとも みえぬはかりに | 則祐 |
834 | あらたかを やかてとりかふ かりひとや くれぬにかへる やまちなるらむ | 盛家 |
835 | かせさむみ あかつきふかく ねさめして またおきむかふ ねやのうつみひ | 兼能 |
836 | すみかまも としのさむきに あらはれぬ けふりやまつの つまきなるらむ | 兼好 |
837 | ふりうつむ ゆきのうへにも すみかまの けふりはなほそ たちてみえける | 読人不知 |
838 | みこそかく ふりぬるものを としくれて つもるをゆきと なにおもひけむ | 行広 |
839 | いたつらに すくるつきひの はやせかは はやくもよする おいのなみかな | 信良 |
840 | うきみまて まつとはいはぬ はるなから こころにいそく としのくれかな | 実直母 |
841 | みなひとの いそくこころに さそはれて すくるもはやく くるるとしかな | 道嗣 |
842 | つくつくと あかしくらして としつきを つひにはいかか かそへなすへき | 花山院 |
843 | すききつる つきひのほとは おとろかて いまさらなけく としのくれかな | 義詮 |
844 | ゆきかへる ものとしるしる あやしくも わかれといへは をしまるるかな | 敦忠 |
845 | ゆくひとに そふるこころの あやしくも しるへなきこと まとはるるかな | 中務 |
846 | もろともに をしむわかれの からころも かたみはかりそ まつそほちける | 兼輔 |
847 | ゆくひとの おもひやすつる とまるみは それそわかれの しつこころなき | 兼澄 |
848 | たつねみよ わかのうらちの ともちとり たちはなれゆく あとはいかにと | 高範 |
849 | したひえぬ なこりにそへて おもふかな かへらむほとの こころつくしを | 読人不知 |
850 | さらぬよの ならひをつらき かきりにて いのちのうちは わかれすもかな | 宗尊親王 |
851 | いまよりは たたゆくすゑの まつかせを よそのこととや おもひなしてむ | 斎宮女御 |
852 | なにことも かたらひてこそ すくしつれ いかにせよとて ひとのゆくらむ | 花山院 |
853 | きみかゆく ところときけは つきみつつ をはすてやまそ こひしかるへき | 貫之 |
854 | しのへとや そらゆくつきに ちきらまし たかしたふへき わかれならねと | 春日(昭訓門院)→公宗母 |
855 | ゆくひとの こころとめすは あしからの せきもるかみも かひやなからむ | 行朝 |
856 | とまるへき みちにもあらぬ わかれちは したふこころや せきとなるらむ | 仲実 |
857 | たまきはる こころもしらす わかれぬる ひとをまつへき みこそおいぬれ | 師時 |
858 | いのちあらは めくりあふへき わかれそと なくさめなから ぬるるそてかな | 実清 |
859 | いのちありて わかるるみちは おのつから またあふすゑを たのむはかりそ | 読人不知 |
860 | しるしらす ゆくもかへるも あふさかの せきのしみつに かけはみゆらし | 順徳院 |
861 | わすれすは ゐせきのみつに かけをみよ おもふこころは それにこそすめ | 為道 |
862 | あさきりに よとのわたりを ゆくふねの しらぬわかれも そてはぬれけり | 土御門院 |
863 | いにしへも いまもあらはや わかことく おもひつきせぬ わかれするひと | 長能 |
864 | たのむへき わかみなりせは いくたひか かへりこむひを きみにとはまし | 行宗 |
865 | ととまるも すきゆくみをも すみよしの まつのよはひと いのらさらめや | 経信 |
866 | しひてなほ おもひたつかな たひころも ゆきてはかへる みちとはかりに | 為藤 |
867 | ふるさとを たちしひかすは つもれとも なほすゑとほき たひころもかな | 経通(一条内通男) |
868 | やすらひに わかふるさとを いてしより やかてひかすの つもるたひかな | 為定(御子左二条為道男) |
869 | みやこいてて けふこえそむる あふさかの せきやたひねの はしめなるらむ | 政村 |
870 | こえてゆく すきのしたみち あけやらて とりのねくらき あふさかのせき | 冬平 |
871 | とりのねに せきをはこえて あふさかの やまちよりこそ あけそめにけれ | 道嗣 |
872 | こまなへて うちてのはまを みわたせは あさひにさわく しかのうらなみ | 後鳥羽院 |
873 | あさまたき わかうちこゆる たつたやま ふかくもみゆる まつのいろかな | 人麿 |
874 | ひともこえ こまもとまらぬ あふさかの せきはしみつの もるななりけり | 小式部内侍 |
875 | ゆふけふり とふへきさとの しるへたに またはるかなる むさしののはら | 経朝 |
876 | くももなほ したにたちける かけはしの はるかにたかき きそのやまみち | 頼貞 |
877 | さとまては またはるかなる うつのやま ゆふゐるくもに やとやとはまし | 堯尋 |
878 | あけはまた ひとりやゆかむ よもすから つきにともなふ うつのやまこえ | 政宗 |
879 | おのつから あふひとあらは ことつてよ うつのやまへを こえわかるとも | 式子内親王 |
880 | あしひきの やまわけころも さのみやは くもよりくもに ひかすかさねむ | 実夏 |
881 | つゆはらふ たもともいとと ほしわひぬ やまわけころも ひかすかさねて | 後光厳院 |
882 | ゆくすゑを いそくにつけて たひころも ふるさととほく なほへたてつつ | 為盛 |
883 | ゆきつるる ともとなるより たひころも たちよるやとに ひともつきつつ | 資教 |
884 | ゆきくるる つゆわけころも ほしやらて さなからむすふ くさまくらかな | 通陽門院 |
885 | みやこおもふ なみたのうへに たひころも のやまのつゆを かさねてそしく | 基世女 |
886 | みやこおもふ くさのまくらの ゆめをたに たのむかたなく やまかせそふく | 兼好 |
887 | これよりも ふかきあらしに ききなれて こよひはねぬる さやのなかやま | 行意 |
888 | つゆはらふ くさのまくらに ききわひぬ こよひかりねの とこのやまかせ | 顕詮 |
889 | あらしふく のはらのくさの つゆなから むすふかりねの ゆめそはかなき | 澄基 |
890 | くさまくら たひはいかなる ちきりにて なれぬひとをも ともとまつらむ | 読人不知 |
891 | ゆきくれて けふもやととふ たひころも きつつかりねの かすやかさねむ | 公宗(西園寺実衡男) |
892 | くれはまた いつくにやとを かりのなく みねにわかるる そてのあきかせ | 通光 |
893 | くれぬとて やまちわかるる ころもてに ともなひすつる みねのあきかせ | 為実(御子左藤原為氏男) |
894 | ゆくすゑの やとをやかねて さためけむ くれていそかぬ けふのたひひと | 詮直 |
895 | わかためは むすひもおかぬ いほさきの すみたかはらに やとやからまし | 尚長(祝部) |
896 | たつのねの きこゆるたゐに いほりして われたひなりと いもにつけこせ | 読人不知 |
897 | はかなしや いつこをつひの すみかとて これをはたひと おもひなすらむ | 範兼 |
898 | おもひねと しりてもせめて なくさむは みやこにかよふ ゆめちなりけり | 公敏 |
899 | かりねする をかのかやねの かやむしろ かたしきあかす たひのつゆけさ | 実氏 |
900 | いそけたた あかつきおきの たひころも たちてやまちは つゆふかくとも | 為重 |
901 | かはきりも たひのそらとや おもふらむ またよふかくも たちにけるかな | 兼澄 |
902 | みるらむと おもひおこせて ふるさとの こよひのつきを たれなかむらむ | 和泉式部 |
903 | みやこをは はなをみすてて いてしかと つきにそこゆる しらかはのせき | 義満 |
904 | ゆめにたに あふよまれなる みやこひと ねられぬつきに とほさかりぬる | 良経(九条兼実男) |
905 | かりねとふ つきをひとよの ちきりにて たまくらうとき ゐなのささはら | 定顕(叡山横川宝蔵坊) |
906 | ささまくら ゐなののよはに かりねして ふるさととほき つきをみるかな | 道成 |
907 | やまのはに かたふくかたを みやことて こころにおくる ありあけのつき | 宗宣(北条宣時男) |
908 | くさまくら かりねのつゆに われをおきて ともなふつきも あけかたのそら | 光厳院 |
909 | あけぬるか いまはたちなむ たひころも そてにきえゆく のへのつきかけ | 雅有 |
910 | つきをみて とまりはせしと こきゆけは しらぬなみちに よそあけにける | 信実 |
911 | ありあけの かけをしるへに さそはれて よふかくいつる すまのうらふね | 崇賢門院 |
912 | うらなみの たよりにかせや なりぬらむ ゆらのみなとを わたるふなひと | 為氏 |
913 | かきりなく おもひしよりも わたのはら こきいててとほき すゑのしらなみ | 読人不知 |
914 | うらかせの みなとによわる あけかたも しほにまかせて ふなてをそする | 頼春 |
915 | あはちかた せとのおひかせ ふきそひて やかてなるとに かかるふなひと | 読人不知 |
916 | かちまくら いくよなれてか なみのおとに おとろくほとの ゆめをたにみむ | 秀春 |
917 | かせさむき いそやのまくら ゆめさめて よそなるなみに ぬるるそてかな | 十仏 |
918 | ゆめなから むすひすてつる くさまくら いくよになりぬ のへのかりふし | 清宣 |
919 | あつまちは ふるさとなから むさしのの とほきにすゑを なほやまよはむ | 尊氏 |
920 | くさまくら あまたたひねを かそへても またむさしのは すゑそのこれる | 頼康 |
921 | むさしのも さすかはてある ひかすにや ふしのねならぬ やまもみゆらむ | 宗久 |
922 | ふしのねを ふりさけみれは しらゆきの をはなにつつく むさしののはら | 長秀 |
923 | あらちやま こゆへきみちも ゆきくれぬ やたののくさに まくらむすはむ | 経嗣 |
924 | いつくにか こよひはさねむ いなみのの あさちかうへも ゆきふりにけり | 為定(御子左二条為道男) |
925 | ふるさとの ひとしるらめや かくはかり たひねつゆけき をののしのはら | 読人不知 |
926 | ははそはら したはをりしき やましろの いはたのをのに わひつつそぬる | 隆信 |
927 | いかにして いかにうちいてむ いははまた なへてのことに なりぬへきかな | 道信 |
928 | ゆくすゑは なほいかならむ おもひいる いまたにやかて まよふこころは | 義満 |
929 | ふみそむる ほとはくるしき こひちそと まよふをしひて おもひいるかな | 道嗣 |
930 | なみたかは いかにせくへき なかれとも ならはぬものを そてのしからみ | 公雄 |
931 | みちのくの そてのわたりの なみたかは こころのうちに なかれてそすむ | 相摸 |
932 | おもひつつ ほとふるままに なみたかは いととふかくも なりまさるかな | 読人不知 |
933 | ものおもふ みなかみよりや なみたかは そてになかるる ものとなりけむ | 業子(従二位) |
934 | せきわひぬ もらしやせまし なみたかは ひとめつつみも こころなりけり | 為定(御子左二条為道男) |
935 | なみたかは そてのなかなる みをなれは せせをはやしと しるひともなし | 為重 |
936 | したむせふ いはかきふちの くさかくれ あさしとたにも しるひとそなき | 尊道法親王 |
937 | おもふとも たれかはしらむ はつをはな またほにいてぬ したのこころを | 宋縁 |
938 | しられしな こほりをかつく にほとりの そこにくたくる こころありとは | 良基(二条道平男) |
939 | うきにはふ あしまのみくり したにのみ たえすくるしき ものをこそおもへ | 通藤女 |
940 | そてもしれ まくらももらせ こひしさを せきととむへき なみたならねは | 四条(安嘉門院) |
941 | よしさらは よるはなみたに まかせなむ まくらならては たれかしるへき | 義久二女 |
942 | もらさしと おもふはたれか なみたにて つつむたもとの ひまもとむらむ | 唯円 |
943 | なみたかは はてはうきなや なかさまし せくかひもなき そてのしからみ | 直氏 |
944 | いかにせむ ほとなきそての しからみに つつみなれても あまるなみたを | 頼兼 |
945 | そてまても またもらさねは よなよなの つきたにしらぬ なみたなりけり | 為冬 |
946 | あまのかは ひかりととめす ゆくつきの はやくもひとに こひやわたらむ | 資季 |
947 | つきかけに みをやかへまし あはれてふ ひとのこころを いりてみるへく | 村上天皇 |
948 | ふけてこそ おもひたゆとも みかつきの よひのまはかり みるかけもかな | 為重 |
949 | やまのはの はつかのつきの はつはつに みしはかりにや かくはこひしき | 読人不知 |
950 | かよひちの なきにつけても しのふやま つらきこころの おくはみえける | 為定(御子左二条為道男) |
951 | こころこそ たえぬおもひに みたるとも いろにないてそ しのふもちすり | 藤経(藤原) |
952 | なとりかは おとになたてそ みちのくの しのふかはらは つゆあまるとも | 深守法親王 |
953 | うらわかみ をきのしたはに おくつゆを さもほのめかす かせのおとかな | 惟成 |
954 | わかこひは またふるすなる うくひすの なきてもひとに しらせかねつつ | 兼氏 |
955 | ほたるより もゆといひても たのまれす ひかりにみゆる おもひならねは | 為道 |
956 | ひとしれぬ なみたのいろは かひもなし みせはやとたに おもひよらねは | 少将(藻壁門院) |
957 | ひとしれぬ おもひするかの くににこそ みをこからしの もりはありけれ | 読人不知 |
958 | かたいとの あたのたまのを よりかけて あはてのもりに つゆきえねとや | 定家 |
959 | こひしなむ いのちをたにも をしまぬに たかためつつむ こころなるらむ | 光吉 |
960 | ひとめをも つつまぬはかり こひしきは おほろけならぬ こころとをしれ | 教長 |
961 | たえすたつ けふりよりこそ ふしのねの ならぬおもひも みにしくれけれ | 為定(御子左二条為道男) |
962 | おもふとも しらしなよそに あまのたく もしほのけふり したにこかれて | 信慶 |
963 | ゆふけふり さしもくるしき したもえの たつなとならは なほやこかれむ | 深守法親王 |
964 | わかかたに なひくともみは ゆふけふり せめてうきなは よそにたつとも | 為量 |
965 | ともにさて うきなやたたむ あつまなる かすみのうらの けふりならねと | 経重(藤原経顕男) |
966 | なほさりに おさふるかたも ありけりと もらはなみたを ひとやかこたむ | 後円融院 |
967 | つくはやま しつくにたえぬ たにみつの いかなるひまに もらしそめまし | 家隆 |
968 | よそにちる たまとなみえそ せくそての たきつこころは わきかへるとも | 長康 |
969 | もれぬへき そてのなみたに しらせはや とへとしらたま いはぬならひを | 為定(御子左二条為道男) |
970 | こひしさの ためしもいかか いはつつし そめてなみたは いろにみゆとも | 義満 |
971 | おもふとも いはすなりぬる ときよりも まさるかたにて たのまるるかな | 朝光 |
972 | いはねとも こころのほとを みえぬれは いつれをまさる かたとたのまむ | 読人不知 |
973 | よしさらは いひたにはなて とにかくに あしまのいけの さはるちきりを | 為明 |
974 | きえねたた あまのすくもひ したもえの けふりやそれと ひともこそとへ | 為家 |
975 | きえはてむ むなしけふりの すゑまても なひくかたとは ひとにしられし | 基運 |
976 | ひとしれす またこりすまに やくしほの けふりはしたに なほむせひつつ | 行藤(祝部) |
977 | わたつうみの そこともしらぬ あまなれは もしほのけふり たたはたつねむ | 為信 |
978 | みるめなき しほのみたるる あまなれは そてのうらにそ たつねてもみむ | 読人不知 |
979 | あまのかる いそのたまもの したみたれ しらせそむへき なみのまもかな | 為兼 |
980 | きのふより けふはいろそふ そめかはに たつなもしらす こひやわたらむ | 資康 |
981 | いかにして そらにたちける うきなそと やとりしそての つきにとははや | 深守法親王 |
982 | なひくとも みぬめのうらの ゆふけふり かくてうきなを なほやたつらむ | 義種 |
983 | いかなれは をののあきつに ゐるくもの なひきもあへす うきなたつらむ | 道喜 |
984 | つひにはや おさふるそても くちはてぬ なにになみたを いまはつつまむ | 義詮 |
985 | くちはてむ のちをはなにに なけきけむ いまよりそてに あまるなみたを | 道嗣 |
986 | みにあまる おもひやなほも しられまし なみたはそてに つつみきぬれと | 義宝 |
987 | なほさりに おもひしほとや つつみけむ うらみにあまる そてのなみたを | 梵灯 |
988 | みにあまる おもひのけふり つひにはや よそにうきなの たちにけるかな | 義詮 |
989 | いかにせむ あしのしのひの ゆふけふり なきなはかりは はやたちにけり | 善源 |
990 | いかかせむ うたのやけのに ふすとりの よそにかくれぬ こひのつかれを | 元可 |
991 | あふことに たへぬこころを くらふれは せめてはをしき なをやもらさむ | 兼能 |
992 | こひしなは あふにかへたる いのちかと なきなをさへや あとにのこさむ | 通藤女 |
993 | あふよはの かすになさはや そてのうへに おちてよとなき たきのしらたま | 親雅 |
994 | ころもてよ さのみなぬれそ ふちしろの みさかをこゆる こひのみちかは | 後円融院 |
995 | おほゐかは おろすいかたの いかなれは なかれてつひに こひしかるらむ | 読人不知 |
996 | こひしねと するかのうみの はまつつら くるよもなみの そてぬらすらむ | 桓瑜 |
997 | あふことは なほかたをかの まくすはら うらみもはてす ぬるるそてかな | 兼治 |
998 | もかみかは いなとこたへて いなふねの しはしはかりは こころをもみむ | 下野(後鳥羽院) |
999 | もかみかは のほりもやらぬ いなふねの あふせすくへき ほとそひさしき | 道因 |
1000 | せをはやみ たえすなかるる みつよりも つきせぬものは なみたなりけり | 読人不知 |
1001 | ふかきえに なかれもやらぬ みたれあしの うきふしなから さてやくちなむ | 覚助法親王 |
1002 | あしねはふ ほりえのはしの たえすなほ したにみたれて こひわたるかな | 良基(二条道平男) |
1003 | うらかせの むかふしほせに ゆくふねの たゆむときなく みはこかれつつ | 寂真 |
1004 | いかなれは わかみのかたに おくあみの ことうらにのみ こころひくらむ | 経継 |
1005 | あつさゆみ いそまのうらに ひくあみの めにかけなから あはぬこひかな | 定家 |
1006 | つれつれの はるひにまよふ かけろふの かけみしよりそ ひとはこひしき | 読人不知 |
1007 | あきかせに おとはすれとも はなすすき ほのかにたにも みえぬきみかな | 躬恒 |
1008 | おもかけも またみぬなかに ふくかせの たよりはかりを なにたのむらむ | 義満 |
1009 | くれなゐの こそめのころも そめかけて いまたかるより いろつかむかも | 聖武天皇 |
1010 | さよころも かへすかひなき おもひねの ゆめにもひとを うらみつるかな | 後嵯峨院 |
1011 | うたたねに はかなくひとを ゆめにみて うつつにさへも おつるなみたか | 読人不知 |
1012 | まちわひて しはしまとろむ うたたねの ゆめにもみせよ ひとのおもかけ | 善算 |
1013 | わひぬれは みてもかひなき おもひねに いまはたおなし ゆめそまたるる | 行直 |
1014 | たのまれぬ ゆめもまことの あるよそと あひみていつか ひとにかたらむ | 行氏(平胤行男) |
1015 | こひしさに おもひみたれて ねぬるよの ふかきゆめちを うつつともかな | 素性 |
1016 | いととなほ なけかむためか あふとみて ひとなきとこの ゆめのなこりは | 後二条院 |
1017 | ひとりねは いかにふすゐの とこなれは ゆめちもやすく かよはさるらむ | 尊氏 |
1018 | よひよひに ゆきかへるさへ はかなきは うちぬるほとの ゆめのかよひち | 業子(従二位) |
1019 | わかこひは たたおもひねの ゆめなれは みるとはすれと あふことのなき | 久明親王 |
1020 | はかなしや わかおもひねの こころより かよふたたちの ゆめのちきりは | 善為 |
1021 | をくるまの しちのはしかき いかてなほ ぬるよのかすを そへてまつへき | 弘賢 |
1022 | よをかさね うきふしみえて ささのはに おくはつしもと いかてきえなむ | 尊氏 |
1023 | いくたひも かきこそやらめ みつくきの をかのかやはら なひくはかりに | 尊円法親王 |
1024 | こころたに かよははなとか にほとりの あしまをわくる みちもなからむ | 後光厳院 |
1025 | みつとりを よそにみしかと こひすれは われもなみたに うきねをそなく | 読人不知 |
1026 | つれなくて こぬよかすかく なみたかは よとむあふせは いかかたのまむ | 実算 |
1027 | しひてよも いふにもよらし みこもかる しなののまゆみ ひかぬこころは | 為定(御子左二条為道男) |
1028 | くもるとも よしやなみたの ますかかみ わかおもかけは みてもかひなし | 宗顕 |
1029 | しるらめや まやのほのほの あくるまて あまそそきして たちぬれしとは | 大弐三位 |
1030 | しられしな ひとのこころの うきくもは わかそてはれぬ しくれなりとも | 尊氏 |
1031 | あかてこし そらのしつくは あきのよの つきさへくもる ものにそありける | 公任 |
1032 | みにしらぬ あふさかやまの さねかつら せきをはこえて くるひともなし | 頼言(源) |
1033 | かひなしや せきのこなたに としをへて つひにこゆへき みちをしらねは | 真覚 |
1034 | うつつとも ゆめともみえぬ ほとはかり かよははゆるせ したひものせき | 能宣 |
1035 | うきなかの せきはよひよひ もりそへて ひとめよくまの ゆめもかよはす | 光俊(葉室光親男) |
1036 | せきもりの うちぬるよひの かよひちは ゆるさぬなかと いはぬはかりそ | 寂真 |
1037 | とほからぬ ふしみのさとの せきもりは こはたのみねに きみそすゑける | 家隆 |
1038 | こえかぬる ならひもつらし あふさかの やましもなとか せきちなるらむ | 兼氏 |
1039 | なきになす みをはよそにや おもふらむ こころよりまた もののかなしき | 基氏(足利尊氏男) |
1040 | いきてこそ おもふもうけれ しぬはかり つらきやひとの なさけなるらむ | 寿暁 |
1041 | おなしよの つらきかきりを みぬほとの いのちそこひの たのみなりける | 季雄 |
1042 | あふまての ちきりもよしや いまはたた うきにまけぬる いのちともかな | 為兼 |
1043 | のちのよの ちきりのほとも しらぬみに こひしぬはかり なにしたふらむ | 遠村 |
1044 | のちのよと われたにみをは おもはねは たのみおくへき ひともなきかな | 蓮生法師 |
1045 | かきりとも いはてはいかか こひしなむ たかをしむへき うきみならねと | 頓阿 |
1046 | はかなくそ のちのよしらて いけるみの つらきはかりを おもひわひける | 基任 |
1047 | いけるみの ためとおもひし あふことも いまはいのちに かへつへきかな | 政村 |
1048 | いけるみの ためこそうけれ それをたに かこつかたとて こひやしなまし | 信実 |
1049 | こひしなぬ ほととてみにそ いそかるる ひとはいのちも かけぬちきりに | 秀雅 |
1050 | おもひかね またやしたはむ のちまては うらみはつへき こころならねは | 道勝 |
1051 | さのみよも のちのよまては つらからし いのちそひとの わかれなるへき | 雅成親王 |
1052 | こひしなぬ みのためつらき いのちとも さてなからふる ちきりにそしる | 棟義 |
1053 | さりともと たのむこころの みになくは うきにつけてや おもひよわらむ | 為藤 |
1054 | わすれしと おもふにそへて こひしきは こころにかなふ こころなりけり | 範永 |
1055 | こころをは ならはしものと いふなれと かたときのまも わすれやはする | 元真 |
1056 | いかかせむ あふにかへむと おもふみの そをたにまたぬ いのちなりせは | 守時女 |
1057 | いのちにも かへなてひとの つれなきは なからへてなほ ものおもへとや | 尊宣 |
1058 | かひなしや うきつれなさも なからへて ありときかれむ いのちはかりは | 成光(祝部成国男) |
1059 | よそにたに みぬめのうらの わすれかひ かひなくひろふ そてはぬれつつ | 頼康 |
1060 | ちりはなほ こぬよもはらふ とこのうへに つもるままなる なかのとしつき | 国量 |
1061 | あふことも しらぬよになほ なからへて わかためうきは いのちなりけり | 実俊(西園寺公宗男) |
1062 | としつきの つらさにたへて なからふる わかつれなさそ かこつかたなき | 実教 |
1063 | うらみても こひてもへぬる つきひかな しのふはかりを なくさめにして | 実泰 |
1064 | つれなしな あふたのみなき としつきを かくてもすくす いのちなかさは | 覚助法親王 |
1065 | こひわひぬ いかにまちみむ みわのやま すきたつかとは とふひともなし | 長秀 |
1066 | つれなさを いのるとたにも ゆふたすき かけてやひとに まつしらせまし | 経教 |
1067 | いのりこし いくとしなみの みたらしに うけぬみそきは いふかひもなし | 後円融院 |
1068 | ちはやふる かみのしるしと たのむかな おもひもかけぬ けふのあふひを | 定頼 |
1069 | たのむとや いのれはかみも おもふらむ うきつれなさに まけぬこころを | 為重 |
1070 | ひとかたに たのみそせまし いつはりに ならはぬさきの ちきりなりせは | 公忠(藤原実忠男) |
1071 | いつはりと おもひなせとも ことのはや しはしものこる いのちなるらむ | 清春 |
1072 | いつはりと おもふちきりを せめてみの なくさむかたに たのむはかなさ | 経教 |
1073 | さらはまた たのみてやみむ いつはりを かこつによらぬ なかのちきりを | 周清 |
1074 | さりともと なほこそたのめ いつはりに おもひなすへき ちきりならねは | 寛宗 |
1075 | そのままに いかてたのまむ いつはりも まことににたる ひとのことのは | 和氏 |
1076 | いさやまた かはるもしらす いまこそは ひとのこころを みてもならはめ | 和泉式部 |
1077 | いつはりの あるよにならふ なかならは わかかねことも いかかのこさむ | 為重 |
1078 | かねてより ひとのこころも しらぬよに ちきれはとても いかかたのまむ | 為冬 |
1079 | うちとけぬ ひとのこころの したひもに しひてちきりを なにむすふらむ | 能賢 |
1080 | いつはりの ことのはしけき たまつさに ひきかへしても うらみつるかな | 素暹 |
1081 | ちきりしを まこととまては おもはねと またたのむへき ことのはそなき | 栄海 |
1082 | ゆくすゑを まちみむまての いのちこそ ちきりにそへて うたかはれけれ | 浄弁 |
1083 | いつまての いのちとしりて かはらしと ゆくすゑまてを ちきりおくらむ | 隆覚 |
1084 | わすれしと いひしはかりの ちきりこそ ゆくすゑとほき たのみなりけれ | 為世(御子左藤原為氏男) |
1085 | おもひかね さてもやしはし なくさむと たたなほさりに たのめやはせぬ | 顕房 |
1086 | いつはりに またやなりぬと おもふより まつにつけても ぬるるそてかな | 義詮 |
1087 | いつはりの あるよをしらぬ みになして さはるやかこつ ことのはにせむ | 後光厳院 |
1088 | まことそと おもひさためぬ ゆふくれの なほさりならす なとまたるらむ | 基嗣 |
1089 | さりともと こころひとつに たのめとも いひしままなる ゆふくれもなし | 為兼 |
1090 | たのめしも わすれむとおもふ けふのひを くるとなつけそ いりあひのかね | 花園院 |
1091 | ちきりしも たのむとまては なきなかに なにとまたるる ゆふへなるらむ | 実継 |
1092 | いつはりの あるよもしらす まてとのみ いひしよことの たのまるるかな | 頼春 |
1093 | いつはりは まつとはかりの ちきりにて こころにたのむ ゆふくれそなき | 為藤 |
1094 | うきはみに なれぬるのちも いつはりを たのむやまくる こころなるらむ | 業子(従二位) |
1095 | いつはりに ならふうきみは なかなかに ちきらぬくれや たのみなるらむ | 冬時 |
1096 | いつはりを たのむたにこそ はかなきを ちきらぬくれの なとまたるらむ | 覚為 |
1097 | いつはりと おもひなからも ちきりしや ゆふくれことの たのみなるらむ | 和義 |
1098 | さりともと おもふこころや よわるらむ いまはまたれぬ ゆふくれのそら | 英時 |
1099 | さのみよも こぬいつはりは かさねしと こころにまたぬ ゆふくれそなき | 長衡 |
1100 | とりのねの あかつきよりも つらかりき おとせぬひとの ゆふくれのそら | 順徳院 |
1101 | いかにせむ さはらはあすの たのみたに しらぬちきりの よひのむらさめ | 宣子(従一位) |
1102 | ささかにの くものふるまひ かねてより しるしもみえは なほやたのまむ | 後光厳院 |
1103 | かねてうき こころつくしと なりにけり たのみをかくる ささかにのいと | 為遠 |
1104 | いたつらに まつはくるしき いつはりを かねてよりしる ゆふくれもかな | 氏頼 |
1105 | ふけぬとも しはしうらみし なほさりに たのめしひとの ちきりならねは | 行冬 |
1106 | ふくるまて なほまたれしは いつはりに ならはぬさきの こころなりけり | 成光(祝部成国男) |
1107 | いつはりの かすそふなかは ちきりても たのみならはぬ ゆふくれのそら | 宗仲 |
1108 | ひとりねの よはをもいかて あかさまし とはれぬくれは おもひたゆとも | 国夏 |
1109 | かへるさの よそのうらみを まちあかす みのたくひとは いかかおもはむ | 暁勝 |
1110 | まつひとの こぬよのかすに くらふれは まくらのちりも つもらさりけり | 俊顕 |
1111 | うつつにて こぬうさよりは あふとみる ゆめはいくよも まつへかりけり | 国貴 |
1112 | いつはりの つらさにかへて なかむれは つきそこぬよの かすはしるらむ | 俊定(藤原経俊男) |
1113 | ともすれは くもまかくれに またれつつ そらたのめする よはのつきかな | 公能 |
1114 | ひとをまつ かとはくらくそ なりにける たのめしつきの うちにみえねは | 監命婦 |
1115 | みよかしな はつかあまりの つきたにも いままてひとに またれやはする | 頼政 |
1116 | あはさりし つらさをかこつ ことのはに いまたにぬるる にひまくらかな | 氏清 |
1117 | なみたのみ かたしくそての にひまくら いくとせぬれて こよひほすらむ | 宗遠 |
1118 | あふよたに なほほしやらぬ わかそてや うらみなれにし なみたなるらむ | 義弘 |
1119 | おのつから あふよはかはる こころかな なみたやこひの ひまをしるらむ | 浄弁 |
1120 | こひちには まよふとはかり おもひしに こえけるものを あふさかのせき | 道嗣 |
1121 | こひしなは かひなからまし なからへて あふをかきりも いのちなりけり | 為定(御子左二条為道男) |
1122 | あふよこそ おもひしりぬれ われなから したひきにける こころなかさは | 実時(藤原公清男) |
1123 | そのままに やかていのちも たえぬへし けにみにかふる あふせなりせは | 師賢(藤原師信男) |
1124 | ならはねは みにこそゆめと たとるとも これはうつつと いふひともかな | 能誉 |
1125 | こよひかく かはしそめつる たまくらに いまはなみたの かからすもかな | 長舜 |
1126 | ゆめちより まよひそめぬと わひつるに しるへありとは いまそしりぬる | 醍醐天皇 |
1127 | おもひいつる くもまのつきの おもかけは またいつまての わすれかたみそ | 為冬 |
1128 | うたてなと うきみしらるる わかれちを いそかぬさきに したはさりけむ | 為重 |
1129 | よをこめて いそくわかれの うきなかに たのめぬすゑを なにちきるらむ | 義満 |
1130 | わかこころ なくさめとてや わかれちに かはらしとのみ ちきりおくらむ | 為尹 |
1131 | とりのねは なけともいまた よふかきに なとうきひとの いそくなるらむ | 尊氏 |
1132 | せめてたた ききもつくさは わかれちの やこゑのとりを さのみうらみし | 詮信 |
1133 | よしさらは またともいはし わかれちの つらさにたへむ いのちならねは | 公清 |
1134 | つらきなの たくひまてやは かこつへき わかれしそての ありあけのつき | 後円融院 |
1135 | うきままに さのみかこたし きぬきぬの かたみはのちも ありあけのつき | 資教 |
1136 | かたみそと いはぬはかりの わかれちに のこるもつらき ありあけのつき | 頼元 |
1137 | わするなよ またあふまての ちきりとも しらぬかたみの ありあけのつき | 為氏 |
1138 | いまよりや つらきかたみと なりもせむ わかきぬきぬの そてのつきかけ | 基時 |
1139 | あかつきの わかれはいつも からころも ぬれてそかへる そてのうらなみ | 知家 |
1140 | しぬはかり ひとはわかれを おもはてや またあふことを ちきりおくらむ | 基成 |
1141 | われのみや ほさてしのはむ きぬきぬの そてにのこさぬ ひとのなみたを | 崇賢門院 |
1142 | みちしはの つゆときえなは きぬきぬの わかれやなかき わかれならまし | 成豊 |
1143 | あくるたに をしまぬものを くれはとは こころのほかの そらたのめかな | 宮内卿(後鳥羽院) |
1144 | ほともなく かへるあしたの からころも こころまとひに いかかきつらむ | 元良親王 |
1145 | くるるまを まつへきみとも たのまれす かへりしみちの こころまとひに | 道家 |
1146 | つらかりし きみかこころは わすられて あけぬるそらの うらめしきかな | 読人不知 |
1147 | ひとりねも ならはぬみには あらねとも いもかかへれる とこのさひしさ | 二条院 |
1148 | あかなくに おきつるたにも あるものを ゆくへもしらぬ みちしはのつゆ | 俊成(藤原俊忠男) |
1149 | ゆふくれは たのむこころに なくさめつ かへるあしたは けぬへきものを | 侍従(本院) |
1150 | あふまてを かきりとおもひし なみたこそ かへるけささへ さきたちにけれ | 季広 |
1151 | かへるさの けさのわかれを すくしてそ いのちありとも みをたのむへき | 家隆 |
1152 | しはしなほ またれぬゆめそ さめやらぬ うつつともなき けさのわかれに | 為敦 |
1153 | わかれつる みにはこころの あらはこそ ゆめうつつとも ひとにかたらめ | 定為 |
1154 | くもるさへ うれしとみえし おほそらの くるるもつらく いつなりにけむ | 公経(藤原実宗男) |
1155 | ことのはも かきたえぬれは つらかりし そらたのめさへ こひしかりけり | 読人不知 |
1156 | いつはりと おもははなほも いかならむ たのむにたにも かはるちきりを | 為冬 |
1157 | ちきりしも たのまぬものを いまさらに かはるこころの いかてみゆらむ | 為定(御子左二条為道男) |
1158 | あふまてを かきるいのちと おもひしは ゆくすゑしらぬ こころなりけり | 経顕(藤原定資男) |
1159 | くるひとも あらしいまはの やまかつら あかつきかけて なにとまつらむ | 読人不知 |
1160 | たのましな ことうらかせに ゆくふねの かたほはかりに かかるちきりは | 国助 |
1161 | よるかたと たのむもよその なかなれや ことうらふねの すゑのしほかせ | 読人不知 |
1162 | ことうらに こころをかけし かたほより あとまてしらぬ なかのはやふね | 後円融院 |
1163 | なかからぬ うきねとみれは あやめくさ われそものおもふ みとはなりぬる | 読人不知 |
1164 | ことしおひの たけのひとよも へたつれは おほつかなくも なりまさるかな | 朝忠 |
1165 | たのめこし あさちかすゑに あきくれて いまはのつゆを そてにかけつつ | 後円融院 |
1166 | あらしふく とやまのもみち ふゆくれは いまはことのは たえはてぬらむ | 読人不知 |
1167 | をちこちの みねのあらしに こととはむ いつれのかたか いろはかはると | 公任 |
1168 | いまこむと ちきりしなみも はやこえぬ うきいつはりの すゑのまつやま | 通陽門院 |
1169 | こえぬなり すゑのまつやま すゑつひに かねておもひし ひとのあたなみ | 国助 |
1170 | あふことは とほやまとりの おのつから かけみしなかも へたてはてつつ | 崇賢門院 |
1171 | はてはまた ゆくへもしらぬ むらとりの たつなはかりを なになけきけむ | 定顕(叡山横川宝蔵坊) |
1172 | みかりのの つかれになつむ はしたかの こゐにもさらに かへりぬるかな | 重家 |
1173 | つらかりし とりのねはかり かたみにて わかあふさかは へたてはててき | 宗秀(大江時秀男) |
1174 | なかなかに こえてそまよふ あふさかの せきのあなたや こひちなるらむ | 丹後(宜秋門院) |
1175 | たちかへり こゆへきものと おもひきや たえにしなかの あふさかのせき | 宗実 |
1176 | かよふとも ひとはしらてや よひよひに こころのせきの さはりはつらむ | 頼之 |
1177 | せきもりの うちぬるほとと まちしよも いまはへたつる なかのかよひち | 為敦 |
1178 | いまははや とをちのいけの みくりなは くるよもしらぬ ひとにこひつつ | 為家 |
1179 | をやまたの ひたのかけなは たえしより おとろかすへき たよりたになし | 秀胤 |
1180 | いまははや よそにみつのの こもまくら かりねののちは ゆめたにもなし | 行詮 |
1181 | おもかけを わすれもやらぬ こころこそ ひとののこさぬ かたみなりけれ | 頼秀 |
1182 | ふりにける なからのはしの あとよりも なほたえぬへき こひのみちかな | 隆親(藤原隆衡男) |
1183 | かたいとの をたえのはしや わかなかに かけしはかりの ちきりなるらむ | 長秀 |
1184 | さもこそは あさきちきりの すゑならめ やかてせたえし なかかはのみつ | 貞秀 |
1185 | いかにせむ うきなかかはの あさきせに むすふとすれは たゆるちきりを | 為忠(御子左二条為藤男) |
1186 | なかかはの あさきちきりの すゑかけて なほもあふせを たのむはかなさ | 読人不知 |
1187 | おもひいつや あらいそなみの うつせかひ われてもあひし むかしかたりは | 家良 |
1188 | わかなかは みをうちはしと ふりしより いさよふなみを かけてこひつつ | 国量 |
1189 | よそにのみ なるみのうみの おきつなみ たちかへりても したふころかな | 宗祐 |
1190 | ひとめもる やましたくくる みつくきの かきたえぬるか おとつれもせぬ | 読人不知 |
1191 | みくさのみ しけるいたゐの わすれみつ くまねはひとの かけをたにみす | 雅経 |
1192 | おもひいてよ のなかのみつの くさかくれ もとすむほとの かけはみすとも | 為重 |
1193 | むすひおく もとのちきりの おもかけも みえぬのなかの みつからそうき | 宗明 |
1194 | かきやりし やまゐのしみつ さらにまた たえてののちの かけをこひつつ | 為家 |
1195 | しきたへの まくらにかかる なみたかな いかなるゆめの なこりなるらむ | 義詮 |
1196 | すまのあまの しほたれころも くちぬまや まとほなからも かさねきつらむ | 尊道法親王 |
1197 | かれはつる ひとのちきりは あさちふに なほまつむしの ねこそなかるれ | 基氏(足利尊氏男) |
1198 | しらきくの うつろひはつる ちきりゆゑ ぬれてほすまも なきたもとかな | 宗覚 |
1199 | さてもなほ えやはいふへき したくさの あとなきしもに おもひきえなむ | 通具 |
1200 | ふくかせに みねこえてゆく うきくもの いかにあとなき ちきりなるらむ | 義詮 |
1201 | ことのはの かかるかたなく なりぬれは いつはりさへそ いまはこひしき | 高倉(安嘉門院) |
1202 | とほさかる ひとのこころに まかせなは みしおもかけも みをやはなれむ | 基嗣 |
1203 | つひにさて さはりはてぬる ひとめこそ つらきかことの ちきりなりけれ | 仲光 |
1204 | むかしとも おもひなされぬ おもかけに おなしよつらき みのちきりかな | 行親 |
1205 | おもかけの のこるかたみも かひそなき みしよのゆめの ちきりならねは | 実蔵 |
1206 | おのつから おもひいてても とはれぬは おなしよになき みとやしるらむ | 春日(昭訓門院)→公宗母 |
1207 | いまはたた おもひたえねと つきひさへ へたつるなかを なにしたふらむ | 行広女 |
1208 | しはしこそ ひとめおもひし よひよひの しのふかたより たえやはつへき | 後二条院 |
1209 | おなしよに なにしたふらむ ありあけの おもかけはかり さらぬわかれを | 近衛(今出河院) |
1210 | めくりあふ つきこそひとの かたみとも なみたくもらて みるよはそなき | 氏経 |
1211 | よしさらは なみたいとはて そてのつき くもるをたにも かたみとやみむ | 周清 |
1212 | いまはまた ありしそのよの おもかけも つらきかたみに つきそのこれる | 冬通 |
1213 | わすれては みしよのかけそ しのはるる うきならはしの ありあけのつき | 頼遠 |
1214 | そのままに やかてわかれの かたみとも しらてそみつる ありあけのつき | 親長 |
1215 | わすらるる みをこそつきに かこちつれ ひとをうらみぬ こころよわさに | 後二条院 |
1216 | あたひとの かたみかほなる かけもうし みしよにかはる ありあけのつき | 隆教 |
1217 | まつとせし ならひはかりの ゆふくれに おもかけのこる やまのはのつき | 公経(藤原実宗男) |
1218 | おもかけは のこるともなき ますかかみ くもるなみたも よしやいとはし | 資康 |
1219 | つらしとも たれをかこたむ ますかかみ くもるもひとの なみたならねは | 守遍 |
1220 | ひとはいさ かかみにみゆる かけをたに うつるかたみに たのみやはする | 為家 |
1221 | いつよりか かかみにみゆる かけをさへ むかふなみたに へたてはてけむ | 良基(二条道平男) |
1222 | つきひのみ うつるにつけて ますかかみ みしおもかけは とほさかりつつ | 読人不知 |
1223 | ますかかみ なにおもかけの のこるらむ つらきこころは うつりはてにき | 為氏 |
1224 | わすれなむ ときしのへとそ うつせみの むなしきからを そてにととむる | 素性 |
1225 | わすられて いけるへしとも しらさりし いのちそひとの つらさなりける | 光俊(葉室光親男) |
1226 | わすれなは こしちのゆきの あとたえて きゆるためしに なりぬはかりそ | 馬内侍 |
1227 | いまはたた ひとをわするる こころこそ きみにならひて しらまほしけれ | 読人不知 |
1228 | こころより かはるちきりの すゑなれは おとろかしても かひやなからむ | 後円融院 |
1229 | ともすれは ありしならひに たちかへり なほもとのみと たのむはかなさ | 万秋門院 |
1230 | はかなくや ひとはゆるさぬ おもかけを わすらるるみに そへてのこさむ | 頼之 |
1231 | かきたえて のこるうきみそ たまつさの ふりぬるよりも おきところなき | 良基(二条道平男) |
1232 | かたみとて ひとはのこさぬ みにしあれは いまはあたなる たのみたになし | 定為 |
1233 | こころにも いまはのこらぬ ちきりとや いとひしほとの おもかけもなき | 後円融院 |
1234 | わすれすと いふにつけてそ なかなかに とはぬひかすの つもるとはしる | 読人不知 |
1235 | わすれくさ おふときくより すみよしの きしはよそなる なかのかよひち | 義将 |
1236 | つみにゆく みちたにしらす わすれくさ きしなるたねや ひとにまかせむ | 資康 |
1237 | わすれてし ひとはのきはの くさのはに かけてもまたす くものふるまひ | 覚誉法親王 |
1238 | いろかはる こころのあきの くすかつら うらみをかけて つゆそこほるる | 伏見院 |
1239 | ともすれは なひくさやまの くすかつら うらみよとのみ あきかせそふく | 匡房 |
1240 | ちきりおきし つゆをかことの くすかつら くるもおそしと なほやしたはむ | 頼資(源宗久男) |
1241 | かくはかり たえけるものを くすかつら くるよをかけて なにうらみけむ | 貞秀 |
1242 | みのうきに おもひかへせは まくすはら たたうらみよと あきかせそふく | 実兼 |
1243 | しられしな かたやまかけの まくすはら うらむるかせは みにさむくとも | 教嗣 |
1244 | あきかせの たよりならては まくすはら うらむとたにも いかてしらせむ | 成景 |
1245 | まくすはら つゆのなさけも ととまらす うらみしなかは あきかせそふく | 忠兼(藤原忠行男) |
1246 | みをあきの すゑののはらの しもかれに なほふきやまぬ くすのうらかせ | 経宣 |
1247 | ことのはの かれにしのちは まくすはら うらむるほとの なくさめもなし | 示空 |
1248 | あまのすむ さとのけふりの しるへたに われにはよその うらかせそふく | 長綱(菅原茂長男) |
1249 | あまのすむ さとのけふりは たえにしを つらきしるへの なにのこるらむ | 頓阿 |
1250 | すまのあまの しほやきころも うらみわひ なほもまとほに ぬるるそてかな | 俊長 |
1251 | うらみのみ ふかきなにはの みをつくし しるしやいつら よるふねもなし | 為明 |
1252 | あらいそに よりくるなみの さのみやは こころくたけて みをもうらみむ | 為氏 |
1253 | わかみをそ かこつかたとは うらみつる ひとのつらさの いふにかなはて | 為氏 |
1254 | つもりゆく うらみもかひそ なかりける つきひにそへて つらきちきりに | 秀長(藤原秀弘男) |
1255 | みのほとの うきはよそまて しらるとも うらみとまらは かひやなからむ | 為重 |
1256 | たれもみな うきをはいとふ ことわりを しらすはこそは ひとをうらみめ | 有家(藤原重家男) |
1257 | はてはまた みをうきものと かこつこそ せめてうらみの あまりなりけれ | 冬通 |
1258 | ことわりも おもひしらはと たのむかな うらみをのちの あらましにして | 国久 |
1259 | みをうさを おもひしらすは いかになほ こころのままに うらみはてまし | 尊円法親王 |
1260 | つらしとも こころのままに いひてまし うらみはつへき なかとおもはは | 為藤 |
1261 | つくるなる はしとしるしる うらむれは おもひなからを いふにそありける | 宇多天皇 |
1262 | ひとすちに おもひしらぬに なしやする いはぬうらみも おなしつらさを | 花園院 |
1263 | いまはよも いふにもよらし なほさりの つらさをなとか うらみさりけむ | 善成 |
1264 | みのうさを なけくもなほや たちかへり ひとをうらむる こころなるらむ | 通顕 |
1265 | つらしとて ひとをうらみむ ことわりの なきにうきみの ほとそしらるる | 伏見院 |
1266 | やくもたつ いつもやへかき かきつけて むかしかたりを みるそかしこき | 後嵯峨院 |
1267 | つゆもわか しらぬことはの たまなれと ひろふやよよの かすにのこらむ | 後円融院 |
1268 | ひかりさす くものうへのみ こひしくて かけはなるへき ここちたにせす | 円融院 |
1269 | こころをは にしのやまへに ととめおかむ めくりあふへき つきひありやと | 道覚法親王 |
1270 | なからへて うきよのはては みわのやま すきのすきにし かたそこひしき | 藤子(従三位) |
1271 | いかにせむ わかたつそまの すきのかと すきこしおいの しるしなきみを | 増運 |
1272 | かさしをる あとしもみえぬ こすゑかな ひはらかさなる みわのしけやま | 国夏 |
1273 | やそちまて なからのやまに なからへて ひとこそしらね よをいのるとは | 俊憲 |
1274 | ふるさとに まちかけれはや あしかきの よしののやまと なにしおふらむ | 国量 |
1275 | うらちより うちこえくれは たかしやま みねまておなし まつかせそふく | 国冬 |
1276 | ふしみやま すそのをかけて みわたせは はるかにくたる うちのしはふね | 内侍(永福門院) |
1277 | あさきりに いそのなみわけ ゆくふねは おきにいてぬも とほさかりつつ | 良基(二条道平男) |
1278 | あさゆふに みれはこそあれ すみよしの うらよりをちの あはちしまやま | 国冬 |
1279 | わたのはら やへのしほちを みわたせは うきたるくもに つつくしらなみ | 公相 |
1280 | ゆふしほの ひくかたとほく みわたせは くもにかけたる あまのうけなは | 後円融院 |
1281 | わかのうらの まつにたえせぬ かせのおとに こゑうちそふる たつそなくなる | 義満 |
1282 | おきつなみ よするひひきを のこしても うらになるをの まつかせそふく | 為重 |
1283 | しほかせの あらいそかけて おきつなみ なほよせかくる おとのひまなさ | 為冬 |
1284 | しほかせに あらいそなみの いくかへり くたけてもまた いはにかくらむ | 為継 |
1285 | しほみては それともみえす みをつくし まつこそうらの しるしなりけれ | 義春 |
1286 | わたりきて みはやすくとも うきはしの あやふきみちを いかかわすれむ | 尊氏 |
1287 | こけふかき たにのかけはし としふりて あるかひもなき よをわたるかな | 定伊 |
1288 | なからへは とつなのはしに ひくつなの くるしきよをも なほやわたらむ | 遠村 |
1289 | なけかしよ くめのいははし とてもよを わたりはつへき わかみならねは | 読人不知 |
1290 | あさきせは たたもゆくへき さはたかは まきのつきはし なにわたすらむ | 国冬 |
1291 | あふさかの ゆふつけとりや いそくらむ またせきもりも あけぬとさしを | 頼之 |
1292 | ひとかたに なきぬときけは さとことに やかてかすそふ とりのこゑかな | 義詮 |
1293 | ねさめにも さすかおとろく あかつきを おもひしらすと とりやなくらむ | 実衡女 |
1294 | いまもなほ つかへていそく あかつきを しらてやとりの おとろかすらむ | 時光 |
1295 | とりのねに いそきなれても としはへぬ いまはのとけき あかつきもかな | 良基(二条道平男) |
1296 | やまさとは あけゆくとりの こゑもなし まくらのみねに くもそわかるる | 光厳院 |
1297 | なかきよの おいのねさめは なかなかに かねよりのちそ しはしまとろむ | 尊道法親王 |
1298 | ききなるる のてらのかねの こゑのみそ あかつきことの ともとなりける | 実時(藤原公清男) |
1299 | おいかみの ねさめののちや あかつきの ゆふつけとりも やこゑなくらむ | 浄阿 |
1300 | かすかすに おもひつつくる むかしこそ なかきねさめに なほのこりけれ | 頼仲 |
1301 | よをふかく のこすねさめの まくらとて またきえやらぬ まとのともしひ | 頼春 |
1302 | そむくとて くもにはのらぬ ものなれと よのうきことそ よそになるてふ | 業平 |
1303 | ひとはみな こえぬるあとの くらゐやま おくれてたにも のほりかねつつ | 定宗(藤原家親男) |
1304 | くらゐやま あるにまかする みちなれと いまひとさかそ さすかくるしき | 為定(御子左二条為道男) |
1305 | のほるへき ほとはのほりぬ くらゐやま これよりうへの みちそゆかしき | 政村 |
1306 | そまやまの たにのうもれき としふれと みちあるかたに ひくひともなし | 為氏 |
1307 | くちのこる なたにきこえよ うもれきの はなさくまては しらぬみなれは | 常顕 |
1308 | うかりける みきはのまこも いつまてか こえゆくなみの したにしをれむ | 敦有 |
1309 | よのなかは くるしきものか うきぬなは うきをもしたに おもひみたれて | 為道 |
1310 | うきくさの うきたるよには さそふみつ ありともいかか みをはまかせむ | 媋子内親王 |
1311 | そてぬらす ひともやあると もしほくさ かたみのうらに かきそあつむる | 信実 |
1312 | もしほくさ さすかかきおく あとなれや やそちをこゆる わかのうらなみ | 寛尊法親王 |
1313 | ひとなみの かすにとのみや わかのうらの いりえのもくつ かきあつめまし | 義将 |
1314 | みかくなる たまときくにも わかのうらの もくつはいとと よるかたもなし | 読人不知 |
1315 | およふへき たよりもあらは まつかえに なをたにかけよ わかのうらなみ | 読人不知 |
1316 | しつみにき いまさらわかの うらなみに よらはやよせむ あまのすてふね | 長明 |
1317 | さてもいつ たれかはひかむ わかのうらに またよりやらぬ よよのすてふね | 読人不知 |
1318 | わかのうらや はねうちかはし はまちとり なみにかきおく あとやのこらむ | 順徳院 |
1319 | さてもなほ あはれはかけよ おいのなみ すゑふきよわる わかのうらかせ | 家隆 |
1320 | いまはとて よにもひとにも すてらるる みにななそちの おいそかなしき | 為家 |
1321 | とふひとの あらはそいはむ やまさとは おもひしよりも すみうからぬを | 雲雅 |
1322 | なほふかく やまよりやまを たつねてそ すてしこころの おくもしられむ | 参玄 |
1323 | よをそむく やまはよしのと ききなから こころのおくに いつしるへせむ | 量夏 |
1324 | のかれきて すむはいかなる やととたに ひとにしられぬ やまのおくかな | 慶運 |
1325 | あらはれて わかすむやまの おくにまた ひとにとはれぬ いほりむすはむ | 実氏 |
1326 | まつかせを ともとききても さひしさは なほしのはれぬ やまのおくかな | 円忠 |
1327 | やまさとに すみはてよとや よのうさを くるひとことに まつかたるらむ | 元可 |
1328 | やまふかき こけのしたみち ふみわけて けにはとひくる ひとそまれなる | 読人不知 |
1329 | それまては いとはぬものを やまふかみ とひくるひとの なとなかるらむ | 紹弁 |
1330 | のとかにも もとめしやまの おくもまた あくかれぬへく まつかせそふく | 通藤女 |
1331 | こころすむ まつのあらしも なれてけり のかるるやまの おくならねとも | 良基(二条道平男) |
1332 | さひしさは なれてわするる やまさとを とひくるひとや おとろかすらむ | 義将 |
1333 | おのつから またみをかくす ひとにたに すむとしられぬ やまのおくかな | 頓阿 |
1334 | しつかなる こころのうちの かくれかは のかれてけりと しるひともなし | 成景 |
1335 | さひしさに なれてののちや やまさとの まつのあらしも ともときかまし | 長信 |
1336 | かねてわか おもひしよりも やまさとは なれぬるのちそ さひしかりける | 読人不知 |
1337 | いつくをも いとふこころの みにそはは このやまかけも すみやすてまし | 貞俊(惟宗) |
1338 | あらましの そのままならは やまさとに すむなるひとの かすやそはまし | 資教 |
1339 | さひしとて またすみかふる やまさとも なほききわふる のきのまつかせ | 頼之 |
1340 | さひしさは おもひしままの やまさとに いとふひとめの なとまたるらむ | 経賢 |
1341 | よそにわか おもひやるより やまさとは さひしからてや ひとのすむらむ | 成詮 |
1342 | とはれぬを うしとおもひし やまさとは またすみなれぬ こころなりけり | 頼康 |
1343 | すむからに うきよとならは なほふかく いりてもやまの かひやなからむ | 隆縁 |
1344 | のかれいる かひやなからむ やまさとも こころにそむく うきよならすは | 康行 |
1345 | うきよより すみうくとても みをすてて のちはいつへき やまのおくかは | 蓮道 |
1346 | ともにすむ こころもならへ やまみつを たよりとむすふ しはのいほりに | 顕則 |
1347 | ねぬほとに よやあけかたに なりぬらむ かけひのみつの おとまさるなり | 行尊 |
1348 | あらましに おもひしよりも やまさとの かけひのみつは こころすみけり | 頼清 |
1349 | このさとは たけのかけひの すゑうけて のきはのやまに つまきをそとる | 行輔 |
1350 | をしかふす かとたのしもの さゆるよそ もるころよりも いねかてにする | 慶運 |
1351 | つゆしもの もらぬいはやに もるものは こけのたもとの しつくなりけり | 静仁法親王 |
1352 | よのなかを うしとはたれも いひなから まことにすつる ひとやすくなき | 覚増法親王 |
1353 | いにしへは なほさりともと このころの うきをまちけむ ほとそはかなき | 実教 |
1354 | おもひいつる こころにうかふ いにしへを とほきものそと へたてこしかな | 宗鏡 |
1355 | おもひいての なきいにしへを しのふるは みのうきことや なほまさるらむ | 経定女 |
1356 | おいてなほ うかりけるみを いにしへは ゆくすゑとのみ たのまれしかな | 円伊 |
1357 | よのうさは いまはたおなし いにしへの おいせぬはかり しのはるるかな | 行春(二階堂時元男) |
1358 | こしかたに かへるみちなき おいのさか なにをしるへに こえてきつらむ | 昌義 |
1359 | いつまてと おもふこころに おいかみの うきほとよりは よをそなけかぬ | 乗基 |
1360 | かへりこぬ みのむかしをは しのへとも まよはむのちの よをはなけかす | 性厳 |
1361 | かくはかり おいぬるみには いのちたに あらはとたのむ あらましもなし | 重基(平) |
1362 | はかなくも さていくほとの おもひいてに かへていとはぬ うきよなるらむ | 読人不知 |
1363 | なからふる こころよわさを いのちにて そむかぬよこそ おいとなりけれ | 孝行 |
1364 | のちのよを なけかぬほとそ しられける みのうきにのみ そてはぬれつつ | 兼好 |
1365 | よのなかの うきにかへてし すみそめの そてになみたの なにのこるらむ | 公雄 |
1366 | みわたせは けふりたえたる やまさとに いかにほさまし すみそめのそて | 高光 |
1367 | すみそめの そてにうきよを のかれても こころのいろは かはるともなし | 読人不知 |
1368 | としもへぬ いまひとしほと おもひしも こころにくつる すみそめのそて | 頓阿 |
1369 | いとひても のちをいかにと おもふこそ なほよにとまる こころなりけれ | 宗尊親王 |
1370 | わかこころ くもりあらしと おもふみを ともとはしらて つきやすむらむ | 基嗣 |
1371 | おのつから ひとのこころの くまもあらは さやかにてらせ あきのよのつき | 後醍醐院 |
1372 | いのりこし むかしのよゐの あとなくは よそにそみまし くものうへのつき | 道基(二条良基男) |
1373 | うきみをも さすかくもゐの つきはかり おなしともとは おもひいつらむ | 為理 |
1374 | いまはみの やまとしたかき あきのつき いてていくたひ よにつかふらむ | 良基(二条道平男) |
1375 | さらてたに おもひもすてぬ よのなかに すむをともなる つきのかけかな | 良基(二条道平男) |
1376 | おいかみの なみたにうかふ つきのみや わかむかしをも おもひいつらむ | 光行 |
1377 | よしさらは つもらはつもれ つきをたに みておいらくの おもひいてにせむ | 瑒子内親王 |
1378 | かけきよき よもきかほらの あきのつき しもをてらさは すてすもあらなむ | 通具 |
1379 | われはかり なほふるさとに のこりゐて よもきかにはの つきをみるかな | 延全 |
1380 | あきのつき こたへはいかに かたらまし こころにうかふ よよのあはれを | 公蔭 |
1381 | よをすてて のちはなかめぬ ものならは つきにこころや しはしととめむ | 夢窓 |
1382 | すみわひぬ わかみともなへ あきのつき いつくのかたの のやまなりとも | 頼貞 |
1383 | やまふかき つきにいまより なれそめて そむかむのちの こころをそしる | 公賢 |
1384 | かくはかり いとふへきよに なからへて うきをもしらぬ みとそなりぬる | 定宗(藤原家親男)/定家 |
1385 | いたつらに すくすになれる つきひかな さすかこころの ひまはなけれと | 国冬 |
1386 | いとふへき よのあらましも なかりけり うきときにたに すてられぬみは | 直基 |
1387 | みのために なけかぬのみそ よのなかは よそになしても なほうかりけり | 中忻 |
1388 | すてやらて こころからなる みのうさを たかよのとかに いかかうらみむ | 為量 |
1389 | さりともと ゆくすゑたのむ あらましに つれなくすきし みのむかしかな | 実教 |
1390 | たのむへき みにはあらねと ゆくすゑの あらましにこそ しはしなくさめ | 良憲 |
1391 | なからへて あるさへいとふ おいらくの みのあらましは すゑもたのまし | 昌算 |
1392 | あらましの かなふよならは すてかぬる みのゆくすゑを なほやたのまむ | 宗信 |
1393 | ひとすちに おもひもたえは のかるへき よをなほさりに すくしつるかな | 高範 |
1394 | さりともと なくさめきつる ゆくすゑも たのみなきまて みこそふりぬれ | 宋助 |
1395 | いままても のかれははてぬ おいかみに よをうきものと おもはすもかな | 為連 |
1396 | とにかくに またやなけかむ のかれても みのよそならぬ うきよなりせは | 読人不知 |
1397 | いかなれは わかあらましの すゑをたに おもひさためぬ こころなるらむ | 聖承 |
1398 | おのつから うきをわするる あらましの みのなくさめは こころなりけり | 為世(御子左藤原為氏男) |
1399 | あらましの なからましかは なにをかは かすならぬみの なくさめにせむ | 有雅 |
1400 | そむくそと よそにはみれと いにしへの あらましほとは すてぬみそうき | 妙藤 |
1401 | いとふへき あらましならて よのなかの けにうきときの なくさめそなき | 照覚 |
1402 | おもひわひ よのうきときは あらましに いくたひすてし こころなるらむ | 宗覚 |
1403 | わすれては よをすてかほに おもふかな のかれすとても かすならぬみを | 夢窓 |
1404 | うきものと おもひしりても すくるよを いかにすむみと ひとのみるらむ | 氏直 |
1405 | つひにさて すつるみならは いたつらに すきにしかたや くやしからまし | 覚家 |
1406 | おもふより ほかなるものは よのうさに たへてつれなき いのちなりけり | 読人不知 |
1407 | つらしとて いとひもはては なかなかに よのうきことを たれかなけかむ | 読人不知 |
1408 | よしさらは すてられぬみを あたしよの うきにまかせて はてをこそみめ | 禅要 |
1409 | なにことを まつとはなくて うつりゆく つきひのままに よをやすくさむ | 道雄 |
1410 | なかなかに つらきにつけて わすれなは たれもうきよや なけかさらまし | 高遠 |
1411 | われかみに きにけるものを うきことは ひとのうへとも おもひぬるかな | 小町 |
1412 | さためなき こころよわさを かへりみて そむかぬよこそ いととをしけれ | 為家 |
1413 | さもこそは たけのそのふの すゑならめ みにうきふしの なとしけるらむ | 読人不知 |
1414 | かすならぬ みをおもふには よよへぬる みちをもいかて なほつたへけむ | 雅孝 |
1415 | いにしへの あとにおよはぬ みなれとも おいのかすこそ かはらさりけれ | 良基(二条道平男) |
1416 | しきしまの みちはよよへし あとなから なほみにこゆる わかのうらなみ | 為重 |
1417 | いまはとて さはへにかへる あしたつの なほたちいつる わかのうらなみ | 讃岐 |
1418 | わかかたに わかのうらかせ ふきしより もくつもなみの たよりをそまつ | 尊氏 |
1419 | ととせあまり よをたすくへき なはふりて たみをしすくふ ひとこともなし | 光厳院 |
1420 | よのために われもいのれは かきりある いのちなりとも なからへやせむ | 直義 |
1421 | よのなかを そむきはてぬと いひおかむ おもひしるへき ひとはなくとも | 西行 |
1422 | もとのみの うきはすてても かはらしと おもひしままの よをなけきつつ | 定顕(叡山横川宝蔵坊) |
1423 | このころの うきにくらへて おもひいての なきむかしをも またしのふかな | 顕深 |
1424 | さらにいま ききてたにこそ しのはるれ みしよりさきの むかしかたりは | 杲守 |
1425 | せめていま いひてなくさむ とももかな こころにあまる むかしかたりを | 実衡女 |
1426 | かへりこぬ ならひはかりを むかしにて みしはきのふの よよのおもかけ | 高秀 |
1427 | うきなから いまはとなれは をしきみを こころのままに いとひつるかな | 清輔 |
1428 | はかなくも よのうきことを かこつかな のかれぬほとの みをはなけかて | 重吉 |
1429 | のかるへき わかあらましも たのまれす うきよといひて としのへぬれは | 光正 |
1430 | おろかなる みはうつせみの よのなかに すてぬものから わひつつそふる | 資連 |
1431 | われならて ものおもふひとを よのなかに またありけりと みるそかなしき | 永縁 |
1432 | うつつとも ゆめともわかて こしかたの むかしかたりに なるそはかなき | 運円 |
1433 | みしひとは おもかけちかき おなしよに むかしかたりの ゆめそはかなき | 光厳院 |
1434 | おとろかぬ うつつこそなほ はかなけれ なにかぬるよの ゆめにまさらむ | 尊玄 |
1435 | よなよなは かよふゆめちや うつつにも おもかけちかき むかしなるらむ | 宗済 |
1436 | おもひねの そのままならは ゆくすゑの わかあらましは ゆめにみてまし | 桓恵 |
1437 | ねぬにみし むかしのゆめの はかなさを いまたにさめす なほしのふらむ | 宰相(瑒子内親王家) |
1438 | うつつとて みるにうつつの あらはこそ ゆめをもゆめと おもひあはせめ | 為氏 |
1439 | ゆめならは またもみるへき おもかけの やかてまきるる よをいかにせむ | 忠良 |
1440 | たちかへり かなしくもあるかな わかれては しるもしらぬも けふりなりけり | 貫之 |
1441 | とりへやま おほくのひとの けふりたち きえゆくすゑは ひとつしらくも | 良経(九条兼実男) |
1442 | このよをは くものはやしに かとてして けふりとならむ ゆふへをそまつ | 良暹 |
1443 | やまさくら みぬよのはると うゑおきて そてのみぬらす はなのしたつゆ | 実雄 |
1444 | わかれにし みのゆふくれに くもたえて なへてのはるは うらみはててき | 定家 |
1445 | おほかたの はるのわかれの ほかにまた わかよもつくる けふそかなしき | 有忠 |
1446 | いつをゆめ いつをうつつの ほとそとも みさためかたき あたしよのなか | 一響 |
1447 | よのなかを すてぬみなりと おもひせは つねなきことも かなしからまし | 高弁 |
1448 | なきひとも あるかすかたの かはるをも みていかはかり なみたおつらむ | 光俊(葉室光親男) |
1449 | なきかなく あるかあるにも あらぬよを みるこそおいの なみたなりけれ | 信実 |
1450 | いまはよに われよりほかは あはれとも たれみつくきの あとをしのはむ | 瑒子内親王 |
1451 | なかれてと ちきりしことは ゆくすゑの なみたのかはを いふにそありける | 仲文 |
1452 | たらちねの かたみはかりの ふちころも ぬくにつけても ぬるるそてかな | 読人不知 |
1453 | たらちねそ さらにかなしき おやのおやを われとふへしと おもひやはせし | 国夏 |
1454 | たらちねの ありていさめし ことのはは なきあとにこそ おもひしらるれ | 為氏 |
1455 | よのなかを なににたとへむ ゆふつゆも またてきえぬる あさかほのはな | 順 |
1456 | いかにして おもひすてまし あさかほの きのふのはなの ありかたきよを | 小大進(花園左大臣家) |
1457 | くさのはに きえゆくつゆを みることに ありしありあけの かけそかなしき | 長家 |
1458 | あさちはら すゑはにすかる つゆのみは もとのしつくを よそにやはみる | 仲綱 |
1459 | おくれゐて なほかせさむし いつまてか しものくちはに たちかくれけむ | 少将(藻壁門院) |
1460 | しもかれの をきのうははの そてのつゆ うしろめたくや おもひおきけむ | 周防内侍 |
1461 | かそふれは われもやそちの おなしみに のこりてけふの あとをとふかな | 雄舜 |
1462 | わかれにし つきひやなにの へたてにて きのふはひとの むかしなるらむ | 光吉 |
1463 | かそふるは ととせあまりの あきなれと おもかけちかき つきそかなしき | 伏見院 |
1464 | わすらるる ひまなきものは おもかけも さらぬわかれの なこりなりけり | 実甚 |
1465 | つひにゆく みちもいまはの ときなれや ひつしのあゆみ みにそちかつく | 託阿 |
1466 | はかなしや いかなるのへの よもきふに つひにはたれも まくらさためむ | 守覚法親王 |
1467 | いのちこそ なほたのまれね あたしのの つゆはかせまつ ほともあるよに | 如空 |
1468 | こはたやま きみかゆききは なれにしを かちよりおくる たひそかなしき | 宗成 |
1469 | ゆくへなき たまのをくしも かたみにて なほそのかみを わすれわひぬる | 忠良 |
1470 | はるのはな あきのもみちの なさけたに うきよにとまる いろそまれなる | 土御門院 |
1471 | あさひさす たかねのくもは にほへとも ふもとのひとは しらすそありける | 俊成(藤原俊忠男) |
1472 | いつくにも はるはきぬれと あさひさす たかねよりこそ ゆきはきゆらめ | 宗尊親王 |
1473 | はるはたた はなをそおもふ ふたつなく みつなきものは こころなりけり | 尊円法親王 |
1474 | われはたた ほとけにいつか あふひくさ こころのつまに かけぬまそなき | 源空 |
1475 | のりのはな いまもふるえに さきぬとは もとみしひとや おもひいつらむ | 後嵯峨院 |
1476 | くまもなき つきのひかりに さそはれて わしのみやまを さしてきにけり | 寂然 |
1477 | やまのはに いているつきも めくりては こころのうちに すむとこそきけ | 成尋母 |
1478 | こけのにはを たまのみきりに しきかへて ひかりをわかつ みねのつきかけ | 源承 |
1479 | いまそしる まことのみちに くもはれて にしをたのめは ありあけのつき | 読人不知 |
1480 | われかくて やまのはちかく なるままに すきしつきひの かすそかなしき | 慶政 |
1481 | うかれたる わかみよいかて ふるさとに たひとおもはて すみさたむへき | 頼仲 |
1482 | みをわけし をしへしなくは たらちねの うきよのやみを なほやなけかむ | 読人不知 |
1483 | ともかくも こころこそなせ おなしくは われとさとりを いかてしらまし | 国夏 |
1484 | みなひとの こころのつきの はれやらて まよふのちせの やまのはのくも | 覚深 |
1485 | かはらしな むなしきそらの ゆふつくよ またありあけに うつりゆくとも | 頓阿 |
1486 | くもよりも たかきところに いててみよ しはしもつきに へたてやはある | 夢窓 |
1487 | ねかはくは こころのつきを あらはして わしのみやまに あとをてらさむ | 良経(九条兼実男) |
1488 | へたてこし よよのうきくも けふきえて むかしまたみぬ つきをみるかな | 信生 |
1489 | いるつきの なこりをそへて したふかな みねよりにしの くものをちかた | 示証 |
1490 | うへもなく たのむひよしの かけなれは たかきみねとや まつてらすらむ | 幸円 |
1491 | あかむすふ あとをはのこせ なからなる やまのしたみつ こけふかくとも | 尊道法親王 |
1492 | たれにまた とははこたへむ わかやまの のりのなかれの ふかきこころを | 道玄 |
1493 | にこりある みつにもつきは やとるそと おもへはやかて すむこころかな | 願蓮 |
1494 | にこるよの ひとのこころを そのままに すてぬちかひと たのむはかりそ | 賢珠 |
1495 | ひとなみに のりのなかれを つたへても みつのこころや なほにこるらむ | 読人不知 |
1496 | ふねよはふ こゑにむかふる わたしもり うきよのきしに たれかとまらむ | 為家 |
1497 | しのへとて かきおくうらの もしほくさ なからへてたに かたみともなれ | 基良 |
1498 | としふれと まつのみとりは かはらぬに しもをいたたく かけのしたくさ | 源承 |
1499 | さきのよの むくひときけと みのうさに おもひこるへき ここちこそせね | 寂然 |
1500 | みなひとの うきよのゆめも さむはかり はるかにひひけ あかつきのかね | 尊円法親王 |
1501 | ゆめをまつ よはのころもの うらならは うつつにしらぬ たまもみてまし | 為重 |
1502 | こころをそ なほみかくへき すみそめの ころものうらの たまはみすとも | 重阿 |
1503 | いまはとて ときけるのりの かなしきは けふわかれぬる ここちこそすれ | 赤染衛門 |
1504 | のりのみち いるへきかとは かはれとも つひにはおなし さとりとそきく | 如月 |
1505 | いとふとも をしむともなし かりそめの うきよにやとる わかみとおもへは | 花園院 |
1506 | よのために たてしうちとの みやはしら たかきかみちの やまはうこかし | 基家 |
1507 | みをいのる ひとよりもなほ をとこやま すなほなるをそ まもりとはきく | 尊氏 |
1508 | やはたやま かみやきりけむ はとのつゑ おいてさかゆく みちのためとて | 家長(源時長男) |
1509 | かすかやま さかゆくかみの めくみもて ちよともささし みねのまつかえ | 良基(二条道平男) |
1510 | つかへこし あとをそたのむ みかさやま さすかにかみの すてしとおもへは | 延朝 |
1511 | ひとすちに よをなかかれと いのるかな たのむみかさの もりのしめなは | 実兼 |
1512 | あとたれて ちかひをあふく かみもみな みのことわりに たのみかねつつ | 定家 |
1513 | かみもまた すてぬみちとは たのめとも あはれしるへき ことのはそなき | 宗尊親王 |
1514 | おいのなみ なほしはしはも ありとみは あはれをかけよ たまつしまひめ | 信実 |
1515 | たまつしま たむくるからに ことのはの つゆにもみかく いろやみゆらむ | 光済 |
1516 | いすすかは せせのいはなみ かけまくも かしこきみよと なほいのるかな | 経直 |
1517 | たのむかな わかみなもとの いはしみつ なかれのすゑを かみにまかせて | 義満 |
1518 | さのみなと にこるこころそ いはしみつ さこそなかれの かすならすとも | 恒助法親王 |
1519 | よしさらは かみにまかせて いはしみつ すめるこころを たむけにもせむ | 顕氏(細川頼貞男) |
1520 | つかふへき みとてすてえぬ ことわりを さすかあはれと かみやみるらむ | 成繁 |
1521 | さらにいま はなさくうめの みやはしら たててそちよの さかりをもみむ | 慶有 |
1522 | くもわけし かみよはしらす いまもなほ かけみたらしに やとるつきかな | 脩久 |
1523 | わすれすよ みたらしかはの ふかきえに なれてかけみし やまあゐのそて | 隆教 |
1524 | からさきや ささなみなから よるふねを かみよにかへす まつかせそふく | 玄全 |
1525 | かみかきの まつもさかきも ときはなる ためしかさねて よをいのるかな | 国冬 |
1526 | かみかきや ひとよのまつの みしめなは ちとせをかけて よをいのるかな | 禅厳 |
1527 | みそきする とよみやかはの しきなみの かすよりきみを なほいのるかな | 朝勝 |
1528 | おきつかせ はままつかえに かけてけり たむけかほなる なみのしらゆふ | 国平 |
1529 | あらはれし もとのしほちは しらねとも いますみよしも うらかせそふく | 為重 |
1530 | たちはなの をとのしほせに あらはれて むかしふりにし かみそこのかみ | 国量 |
1531 | すみよしの まつのむらたち いくかへり なみにむかしの はなさきぬらむ | 敏行 |
1532 | わたつうみの まさこのかすに あまれるは ひさしききみか ちとせなりけり | 為氏 |
1533 | かみやまの ふもとをとむる みたらしの いはうつなみや よろつよのかす | 匡房 |
1534 | よしのかは いはとかしはを こすなみの ときはかきはそ わかきみかみよ | 定家 |
1535 | ときしらは はなもときはの いろにさけ わかここのへは よろつよのはる | 後醍醐院 |
1536 | とかへりの はなをけふより まつかえに ちきるもひさし よろつよのはる | 後円融院 |
1537 | きみかよの いととひさしく なりぬれは ちとせのまつも わかはさしけり | 師実 |
1538 | さらにまた ももよはしめて わかきみの あまつひつきの すゑもかきらし | 定為 |
1539 | をとこやま いまをももよの はしめにて さらにやきみを またまもらまし | 具通 |
1540 | あめのした ひとのこころや はれぬらむ いつるあさひの くもりなけれは | 二条院 |
1541 | かきりなく よをこそてらせ そらにすむ つきひやきみか みかけなるらむ | 忠光 |
1542 | ちとせとも いひいてかたし かきりなく つきもすむへき やとのいけみつ | 道嗣 |
1543 | ふしておもひ おきていのりし ほとよりも なほさかえゆく きみかみよかな | 為定(御子左二条為道男) |
1544 | をさまれる みよのしるしも さらにいま みえてさかゆる しきしまのみち | 義満 |
1545 | ここのへの うちののゆきに あとつけて はるかにちよの みちをみるかな | 少将内侍(後深草院) |
1546 | ももしきに みとりそふへき くれたけの かはらぬかけは よよひさしかれ | 後伏見院 |
1547 | ももしきに うつしうゑてそ いろそはむ はこやのやまの ちよのくれたけ | 花園院 |
1548 | よよまてに ふりぬとおもふ やとのまつ ちとせのすゑは またはるかなり | 実兼 |
1549 | たかさこの をのへにたてる まつかえの いろにやふへき きみかちとせは | 後二条院 |
1550 | おふるより としさたまれる まつなれは ひさしきものと たれかみさらむ | 伊勢 |
1551 | きみすめは よするたまもも みかきいてつ ちよもつたへよ わかのうらかせ | 家隆 |
1552 | けふやまた よよのためしを くりかへし まさきのかつら なかくつたへむ | 具氏 |
1553 | つきもせし はまのまさこの かすかすに いまもつもれる やまとことのは | 家経(一条実経男) |
1554 | きみかよは ちきるもひさし ももとせを とかへりふへき ちちのまつはら | 兼綱(藤原光業男) |