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「新続古今和歌集」一覧

2140件


1はるきぬと いふよりゆきの ふるとしを よもにへたてて たつかすみかな雅縁
2しかのうらや よせてかへらぬ なみのまに こほりうちとけ はるはきにけり後小松院
3いつしかと きのふのそらに かはれるは かすみややかて はるをしるらむ義教
4はるやまつ なみよりさきに たちぬらむ かすみそこゆる すゑのまつやま通成
5かすかのに けふもみゆきの ふりしくは くもちにはるや またこさるらむ深養父
6はるはなほ あさまのたけに そらさえて くもるけふりは ゆきけなりけり良経(九条兼実男)
7はるかすみ たつもけふりの いろなれは なほときしらぬ ふしのしはやま雅家
8みかさやま みねもはるかに かすむなり かすかのさとの はるのあけほの義満
9まさかきの はるのみとりの いろなれや かすみそにほふ あまのかくやま後崇光院
10ふみわけし ゆきまのくさも それなから かすむのはらの まつのむらたち実氏
11ひとしほも またそめあへぬ かたさこの まつのみとりは かすみなりけり内経
12はるきては ひともとふへき みよしのに ゆきよりふかき あさかすみかな隆信
13みわたせは みねのはるひに ゆききえて あしたのはらに かすみたなひく匡房
14いつのまに たちかさぬらむ さほひめの かすみのころも ころもへすして道嗣
15ささなみも はるにかへりて しかのうらや みつうみとほく たつかすみかな尊氏
16まつはらの みえしやいつこ かすみたつ みほのおきつの はるのあけほの経賢
17あゆちかた しほひのうらを みわたせは はるのかすみそ またたちにける俊恵
18あしのやの なたのしほやに たつけふり さとわくはるの ゆふかすみかな忠定(藤原兼宗男)
19ゆらのとや かすみをわけて こくふねの いととあとなき なみのうへかな公宗母
20しなのなる あさまのたけの をちこちに ひともとかめぬ かすみたつらし基家
21かすむより みとりもふかし まこもおふる みつのみまきの はるのかはなみ雅経
22はしひめの あさけのそてや まかふらむ かすみもしろき うちのかはなみ家隆
23なにはつの あしのやへかき あれぬれと かすみそはるは へたてなりける経継
24なにはかた しほやくけふり たちそひて かすみもなひく うらかせそふく雅世
25もしほやく けふりはよその うらかせに はるとやそらの なほかすむらむ重経
26いつしかと かすみにけりな しほかまの うらゆくふねの みえまかふまて俊頼(源経信男)
27みちとほき いくののかすみ いくへとも ほとこそしらね はるのゆふくれ信実
28やとからむ すゑののさとの しるへたに かすみにまよふ ゆふけふりかな範宗
29はるさむみ なほふきあけの はまかせに かすみもはてぬ きちのとほやま雅縁
30あかしかた せとのしほかせ ふきにけり かすみもはてぬ おきつしらなみ義詮
31わかのうらの あしへのたつの こゑはかり なみにきこえて たつかすみかな行忠(藤原)
32はるかすみ わけゆくままに をのへなる まつのみとりそ いろかはりぬる讃岐(二条院)
33すかはらや ふしみのくれの おもかけに いつくのやまも たつかすみかな頓阿
34うちきらし ふれともゆきの かつきえて みやこののへは はるめきにけり実雄
35ふりつみし こそのしらゆき むらきえて あらはれそむる のへのかよひち俊光
36まれにたに ひともとひこぬ すきのいほの のきはにのこる はるのあはゆき後鳥羽院
37はるきても こかけつれなき ゆきのいろに ましてみやまの まつそしらるる覚助法親王
38おのつから のこるかうへに ふりそひて よそにつもらぬ はるのあはゆき賢俊
39ゆききゆる まかきのたけの はるかせに こほりておつる にはのあさつゆ経家(藤原定頼男)
40あすかかは いはなみたかし かつらきの やまのしらゆき いまやけぬらし家隆
41よしのかは こほりとけゆく はるかせに あらはれそむる なみのはつはな御匣(式乾門院)
42あさなあさな かすみもふかき たにのとに こゑうつもれぬ はるのうくひす四条(安嘉門院)
43たにをいてて たかきにうつる うくひすは はなさくやとの あるしなりけり俊成(藤原俊忠男)
44のとかなる ひかけとともに のきちかき こすゑにうつる うくひすのこゑ義教
45いつしかと さきにけらしな うくひすや えたにこもれる はなさそふらむ公能
46はるきても うめのたちえは かせさえて はなまちとほに うくひすそなく為明
47はるはまた あさかせさむき たにのとに ひかけまちえて うくひすそなく尭尋
48ふたはより ひきこそうゑめ みるひとの おいせぬものと まつをきくにも人麿
49ことしおひの ふたはのまつを ひきうゑて けふよりのちの ちよをかそへむ顕仲(藤原資仲男)
50かそふれは まつよりとしそ おいにける われをたつねて ひとはひかなむ文範
51うつもるる わかなはそれと みえすとも のへにいててや ゆきままたまし実重(三条公親男)
52いつまてか ふりにしゆきの きえやらて のへのわかなも したもえにせむ顕朝
53はるくれは ちよのふるみち ふみわけて たれせりかはの わかなつむらむ家隆
54たれかまた やまたのはらの ゆきわけて かみよのあとに わかなつむらむ基家
55かすみしく のへのみとりに しろたへの そてをかさねて わかなつむなり公賢
56ゆきもきえ こほりもとけて かはかみの こせのはるのは わかなつむなり為重
57うちわたす をちかたひとも はるとてや よとののさはに わかなつむらむ経嗣
58はつかなる のへのみとりに みえてけり はるのひかすを つまぬわかなは雅世
59をやまたの なはしろみつも せかぬまに まつおりたちて わかなをそつむ為藤
60かすみしく ひかたにあさる なにはめも こころあてにや いそなつむらむ守覚法親王
61むさしのの ゆかりのいろも とひわひぬ みなからかすむ はるのわかくさ定家
62こすゑには おそきみとりを まつみせて はるのけしきの もりのしたくさ重資
63もえいてて けふりみしかき はつくさの またうらわかき のへのいろかな雅孝
64はるきても つもりしゆきは きえやらて むらむらあをし のへのわかくさ後鳥羽院
65はるののに ゆきけのみつは なかるれと つれなくもゆる したわらひかな崇徳院
66やまかつの ときそともなき すさひにも をりはわすれぬ はるのさわらひ栄仁親王
67きえのこる かきねよりはや さきにけり ゆきにかさなる うめのはつはな尊胤法親王
68またきより かつちるはなと みゆるかな うめさくやとの はるのあはゆき実兼
69うめのはな それとはみえぬ やまもとの かすみそかをる はるのゆふくれ良基(二条道平男)
70おのつから かせのたよりに とふひとも ありとやここに にほふうめかか満済
71たかさとを かせにうかれて たよりにも あらぬそてまて にほふうめかか雅有
72をちこちの にほひはいろに しられけり まきのとすくる うめのしたかせ定家
73くれなゐに にほへるいもか そてかけて をりまかへたる うめのはつはな行家(藤原知家男)
74まつひとの しるへともなれ いたつらに うめかかさそふ のきのはるかせ公豊
75うめかかも たかたもとをか ちきるらむ おなしのきはの はるのゆふかせ土御門院
76いろもかも たくひはあらし さきみちて のきはにあまる うめのしたかせ後花園院
77さそひゆく かせのつてにも とはれねは にほふかひなき やとのうめかえ瓊子内親王
78とはてこそ みるもかひあれ うきみをも よそにへたてぬ うめのにほひは■子内親王
79たかさとを わきてたつねむ うめのはな さなからにほふ よものはるかせ為経(甘露寺藤原資経男)
80なかむれは みぬいにしへの はるまても おもかけかをる やとのうめかえ式子内親王
81そてにまつ にほひそうつる あしかきの まちかきのきの うめのしたかせ尊氏
82かせにのみ まかせてはみし うめのはな をりてたもとに かをもうつさむ重之
83よしやたた たをらてすきむ うめのはな たちよるそても うつるにほひに為敦
84あまひとの しほくむそても にほふらし なにはのはるの うめのしたかせ邦省親王
85あれはてし なにはのさとの はるかせに いまはたおなし うめかかそする慶運
86しのふくさ おふるいたまは ありなから もるとしもなき はるさめのそら為定(御子左二条為道男)
87はるさめに のきのいとみつ なかきひの かたふくほとも みえぬそらかな尭仁法親王
88はなとみて けふやぬれなむ はるさめに ゆけとかけなき みねのしらくも道助法親王
89さほやまの みねにかすみは たなひきて かはそひやなき はるめきにけり家良
90はるかせの ふかぬたえまも しらつゆの むすへはなひく あをやきのいと経顕(藤原定資男)
91ぬきとめぬ たまかとそみる はるかせの つゆふきみたす あをやきのいと小宰相(徽安門院)
92たつたかは みむろのきしの ふるやなき いかにのこりて はるをしるらむ家長(源時長男)
93かすむよの ひかりをはなと にほふにそ つきのかつらの はるもしらるる為明
94はるのきる ころものぬきは しらねとも もるかけうすき よはのつきかな為遠
95たましまや かはせのなみの おとはして かすみにうかふ はるのつきかけ順徳院
96なかむれは こぬひとまたる はるのよの つきこそうたて そらたのめなれ実雄
97なにはかた あしのわかはに かせこえて かすみにしつむ なみのうへのつき進子内親王
98おほろなる ひかりはつきの とかならて かすみにかこつ はるのよのそら有忠
99わかそてに おいのなみたの ありとたに しらせぬつきの なとかすむらむ公雄
100いととなほ はれまもみえす はるのつき くもりそへたる おいのなみたに長舜
101ありあけの つきにわかれて ゆくかりは かへるさつらき ねをやなくらむ冬平
102とほさかる くもゐのかりの かけもみす かすみてかへる しかのうらなみ為家
103なこりあれや かすみのそてに しほなれて かへるいせをの あまつかりかね雅縁
104はるはまた わかすむかたに かへるなり あしやのあまの ころもかりかね後亀山院
105いひしらぬ なこりをひとに したはれて いまはとかへる はるのかりかね覚助法親王
106みやこには こころもとめす はるのかり こしちのやまの なこそつらけれ為氏
107ふるさとに まちみるひとも たとるらし かすみてうすき かりのたまつさ良基(二条道平男)
108さよふくる まくらのうへに こゑたてて くもゐのかりの いつちゆくらむ経任(中御門藤原為経男)
109あくかるる われにをしへよ はるのかり はなにもめてす かへるこころを覚誉法親王
110さきやらぬ はなをまつちの やまのはに ひとたのめなる はるのしらくも兼良
111さきてちる つらさはかねて ならひにき たかためなほも はなをまつらむ近衛(今出河院)
112ゆくすゑは はなをかきりの やまちとも みえぬをのへの やへのしらくも忠光
113あやなくや くもにまかへむ みすもあらす みもせぬはなに やまちくらして公保
114さきそむる ひともとゆゑに やまのはの くもをみなから はなかとそみる義運
115はなのいろを それかとそおもふ をとめこか そてふるやまの はるのあけほの良経(九条兼実男)
116ことしより ちらぬならひを しらせはや かせのとかなる はるのはつはな成茂
117ことしより さらにちきりて わかやとの はなにまつへき よろつよのはる義教
118くももきえ かすみもはれて あしひきの やまのさくらの いろそまかはぬ後花園院
119よこくもは みねにわかれて さくはなの いろもまかはぬ あけほののそら道嗣
120さきにけり けふはやまへの さくらはな かすみたたすは いそきみてまし深養父
121おもひたつ くものよそめの いつはりは あるようれしき やまさくらかな満元
122はなみむと おもひたつより かよひきて こころににほふ はるのやまかせ季能
123をちこちも おなしさかりに なりにけり まついつかたの はなをとはまし基嗣
124はるもいまは はなはさくらの ときそとや くもよりにほふ かつらきのやま俊成女
125きのふまて おもかけにみし しらくもの けふはいろそふ やまさくらかな実音
126きのふまて のこりしままに しからきの とやまのはなを ゆきかとそみる経賢
127たかさこの をのへのはなの よそめこそ きえあへぬまつの ゆきとみえけれ永助法親王
128みとりなる とやまのまつの たえまより あらはれてさく はなさくらかな家良
129このねぬる あさけのやまの まつかせは かすみをわけて はなのかそする定家
130あふみちや まののはまへに こまとめて ひらのたかねに はなをみるかな頼政
131さくらさく このしたかけの やとなれは ほかにたつねぬ みよしののさと後円融院
132よしのやま たきのしらいと くりかへし みてしもあかぬ はなのいろかな資教
133みよしのは いつくもはなの かけなれは わきてしをりの あともたつねす善成
134くれてこそ おとろかれぬれ とほしとも おもはてきつる はなのしたみち杲守
135みわたせは はなよりほかの くももなし なきたるあさの みよしののやま宗尊親王
136かつらきの はなのかおくる はるかせに よそなるくもも なほにほふらし宗宣(北条宣時男)
137はなはなほ みねよりおくに さきそめて くもにあとなき しをりをそする後小松院
138へたてつる かすみはよそに なりはてて はなにこもれる しかのやまさと宮内卿(後鳥羽院)
139みなひとの はなをたつねて いてぬれは はるのやともる うくひすのこゑ惟明親王
140わするなよ おなしこかけに たつねきて なれぬるけふの はなのまとゐを守覚法親王
141おほつかな はるはこころの はなにのみ いつれのとしか うかれそめけむ西行
142しろたへの たかねのさくら さきしより かすみもやらぬ つきのかけかな頓阿
143あたにやは ふもとのいほに なかむへき はなよりいつる みねのつきかけ通光
144さくらかり かへるやまちは くれはてて さらにやはなを つきにみるらむ法守法親王
145みやこひと そこともいはす うちむれて はなにやとかる しかのやまこえ後鳥羽院
146ききすなく おおはらやまの さくらはな かりにはあらて しはしみしかな実方
147いへちをは いそかぬものを ねにかへる ほとをもはなの わすれましかは信実
148かへるへき いへちおもはて やまさくら ことしはやとの のきはにそみる覚誉法親王
149はなさかり こすゑにかかる しらくもの うつろふかたや みよしののやま具通
150かさしつつ こころははなに なりぬれと おいのすかたの かくれやはする道意(二条良基男)
151いろもかも なほみにしむと しらせはや おなしむかしの はなならすとも忠定(藤原兼宗男)
152たちなれし かたならねとも わすれぬは よそにみはしの はなのおもかけ公賢
153ひとはなと とはてすくらむ かせにこそ しられしとおもふ やとのさくらを為秀
154よをいとふ こころならては すみぬへし はなのさかりの みよしののおく小宰相(徽安門院)
155はるはなほ さきちるはなの なかにおつる よしののたきも なみやそふらむ義将
156やまさくら うつろふころは つゆなから こほれてにほふ はなのしたかせ実氏
157いろはくも にほひはかせに なりはてて おのれともなき やまさくらかな雅経
158をしとおもふ こころはかせの たよりにも あらぬものとや はなのちるらむ為世(御子左藤原為氏男)
159たつねこし しるへもあたに おもはねと さそふそつらき はなのしたかせ雅有
160たつねつる はなのこすゑを なかむれは うつろふくもに はるのやまかせ寂蓮
161やまたかみ ゆふゐるくもの あともなし ふきこすかせに はなやちるらむ実雅
162ゆきとのみ さそふもおなし かはかせに こほりてとまれ はなのしらなみ雅縁
163やまかせの ふきぬるからに おとはかは せきいれぬはなも たきのしらなみ雅経
164ありてうき はてをもしらす したふかな ちるはならひの はなとみなから実継
165したふそよ ありてはてうき ことわりも あたなるはなの いろにわすれて深守法親王
166うくひすの なきちらすらむ はるのはな いつしかきみと たをりかささむ家持
167なきとむる はなかとそおもふ うくひすの かへるふるすの たにのしらくも家隆
168とりはいま ねくらをしむる こすゑにも はなはとまらぬ はるかせそふく尭孝
169をしみにと きつるかひなく さくらはな みれはかつこそ ちりまさりけれ貫之
170ちるはなの をしさをしはし しらせはや こころかへせよ はるのやまかせ俊成(藤原俊忠男)
171あたにちる さくらをかせの やとりにて ゆきてうらみぬ このもとそなき教雅
172かさせとも かくれぬおいに いまはたた ちりかひくもる はなをたのまむ経氏
173やそちまて わかみよにふる うらみさへ つもりにけりな はなのしらゆき浄弁
174いととうき みのしろころも うらみても かひなくつもる はなのしらゆき実遠(藤原季雄男)
175このしたの にはのかよひち ふきわけて かせにあとある はなのしらゆき兼定
176よをかさね なれこしくもの したふしに いまはかたしく はなのしらゆき義重(斯波義将男)
177はなにこし やまわけころも かせふけは かへるたもとそ ゆきになりぬる尊道法親王
178ゆきとのみ ふるからをのの さくらはな なほこのもとは わすれさりけり後嵯峨院
179めくりあふ けふはやよひの みかはみつ なになかれたる はなのさかつき家賢
180はるこまの のさはになるる けしきにて あしのわかはの ほとそしらるる俊成(藤原俊忠男)
181かたをかの かすみもふかき こかくれに あさひまつまの ひはりなくなり良経(九条兼実男)
182かすみつる そらこそあらめ くさのはら おちてもみえぬ ゆふひはりかな為尹
183さそはれぬ ともそとみてや ゆふひはり のさはのみつの かけにおつらむ雅縁
184まきもくの ひはらのやまの よふことり はなのよすかに きくひとそなき土御門院
185なけやなけ しのふのもりの よふことり つひにとまらむ はるならすとも順徳院
186からころも すそののききす うらむなり つまもこもらぬ をきのやけはら良経(九条兼実男)
187むらさきの ねはふよこのの つほすみれ まそてにつまむ いろもむつまし俊成(藤原俊忠男)
188たつたかは いはねのつつし かけみえて なほみつくくる はるのくれなゐ定家
189はるもはや すゑつむはなの くれなゐに さきてしらるる いはつつしかな雲雅
190くちなしの いはてのさとは やまふきの はなさくよりや なつけそめけむ後二条院
191いはておもふ こころのいろか いもせやま なかなるかはの やまふきのはな雅永
192おもふこと いはぬいろなる やまふきや ひとめつつみの かけにさくらむ尊胤法親王
193たまかはの なみにをらるる やまふきを われにもゆるせ ゐてのさとひと尊円法親王
194をしとたに いはぬいろとて やまふきの はなちるさとの はるそくれゆく尊氏
195さきかかる まつはのこらす うつもれて おのれこたかき はるのふちなみ重光(藤原資康男)
196むらさきの くもかかりつる ふちをしも ふるさととなす ひとのこころよ広平親王
197きみませは くもゐににほふ ふちのはな ここにたちまひ をらむとそおもふ定方
198ことしはや わかむらさきに さきそめて みよにこえたる きたのふちなみ良基(二条道平男)
199とかへりの はなのゆかりや むらさきの にはにいろそふ まつのふちなみ義教
200ふくからに まつのふちなみ なひくなり はるをはかせに まかせさらなむ国冬
201はるふかき いろにそうつる むらさきの ふちさくやとの いけのささなみ伏見院
202こころある あまやうゑけむ はることに ふちさきかかる まつかうらしま後嵯峨院
203このころは たこのふちなみ なみかけて ゆくてにかさす そてやぬれなむ土御門院
204ゆくはるの わすれかたみに すみのえの きしのふちなみ いまやさくらむ御匣(式乾門院)
205むらさきの ねすりのころも はるくれて そてのなこりに かかるふちなみ雅縁
206これもまた かみやうゑけむ すみよしの まつにかかれる きしのふちなみ禅守
207おほかたの はるのわかれの つらさをも おもへははなの なこりなりけり冬平
208はなちると なにうらみけむ ふくかせの さそはぬはるも とまるものかは雅家
209きてみむと いひしはかりに うつろひぬ やよひのはなの はるのくれかた為氏
210はつせやま はなにはるかせ ふきはてて くもなきみねに ありあけのつき良経(九条兼実男)
211はなもみな ちりにしやとの ふかみとり をしまぬいろを はるさめそふる順徳院
212あすよりは おのかなにたに ととまらし しはしなはれそ はるさめのそら為家
213いまはとて こゆらむかたも しらなみの あとなきはるの すゑのまつやま公宗母
214いまはまた はるのなかめも すゑのまつ なこりありあけの やまのはのつき知家
215やよひやま はるのなこりも ほのかなり なにそはありて ありあけのつき雅世
216くれはつる はるはいつくに かへるやま ありとしきかは ゆきてたつねむ実冬/実冬女
217くれぬとも かすみはのこれ しはのとの しはしもはるの わすれかたみに後鳥羽院
218のこりなき はるもなこりや したふらむ おのかかすみの そてのわかれに万秋門院
219けふくれぬ あすはなつみの かはよとに はるせきとむる やまかけもなし実遠(藤原季雄男)
220よしさらは あたなるいろを なにたてて けさこそかへめ はなそめのそて後小松院
221けさよりは たもともうすく たちかへて はなのかとほき なつころもかな後花園院
222ふくかせも なほやいとはむ はなのかの うすきたもとに のこらましかは経嗣
223なつころも けふたちかふる そてもなほ きつつなれにし はなのかそする宗重
224さきぬやと いまこそとはめ やまさくら はるはつれなく みえしこすゑを頓阿
225それとたに しらせてしけれ やまさくら はなこそなつの こすゑなりとも義教
226しけるとも いまさらみえす やましろの ときはのもりの おなしみとりに経賢
227つきてふる ゆきかとそみる やまさくら ちりのまかひに さけるうのはな師嗣
228あさほらけ よしののさとの うのはなも なほありあけの つきかとそみる内経
229ちはやふる かものみつかき としをへて いくよのけふに あふひなるらむ定家
230いつしかと やまほとときす まつことや はるをわするる はしめなるらむ惟明親王
231たつねても いかにまちみむ ほとときす はつねつれなき みわのやまもと宗尊親王
232ほとときす まつよひすきて つれなくは あくるくもゐに ひとこゑもかな頼元
233ほとときす まつにつけてそ なつのよを ねぬにあけぬと おもひしりぬる通光
234ほとときす たれにつけてか つれなしと いはせのもりの むらさめのそら後二条院
235つれなさを かつはつらしと うらみても なほまたれける ほとときすかな隆博
236おきゐつつ いくよつもるを かきりにて やまほとときす つれなかるらむ大納言典侍(後嵯峨院)
237たかさとに まつさそはれて ほとときす われにつれなき はつねなくらむ四条(安嘉門院)
238いまはまた ききそめしより ほとときす あかぬこころに またぬひもなし為世(御子左藤原為氏男)
239ほとときす ききつともなき はつねこそ ゆめにまさらぬ うつつなりけれ為兼
240たつねゆく やまほとときす いへつとに かたるはかりの ひとこゑもかな定為
241なけやなけ やまほとときす はるくれて ものさひしかる ひとのきかくに長能
242けふこすは みわのひはらの ほとときす ゆくてのこゑを たれかきかまし定家
243あくかれし ひとのこころも ほとときす さとなれそむる よはのひとこゑ寂蓮
244つつみえぬ なみたなりけり ほとときす こゑをしのふの もりのしたつゆ冬平
245きかはやと おもひしよりも ほとときす あかぬはつねは くるしかりけり幸清
246さかきとる うつききぬらし ほとときす そのかみやまに ゆふかけてなく後崇光院
247ほとときす さつきまつまの ねをそへて ものおもふやとの ねさめにそきく慶融
248ほとときす たたひとこゑも ほのかにて くもまのつきに なほまたれつつ性助法親王
249さのみやと おもひしかとも ほとときす きくにつけてそ ねはまたれける義詮
250ほとときす よそにすきゆく ひとこゑの またおとつれぬ ほとそつれなき義詮
251きけはなほ あかぬこころに ひとこゑの のちもまたるる ほとときすかな邦省親王
252またぬよの とりのはつねは さたかにて ねさめにたとる ほとときすかな尭尋
253ほとときす あかてすきゆく ありあけに いかなるとりの やこゑなくらむ実忠
254ほとときす しのふのみたれ かきりありて なくやさつきの ころもてのもり国冬
255なきすてて かけたにとめぬ やまのゐの あかてすきぬる ほとときすかな雲雅
256つきもいま みやまいつらし ほとときす ふけゆくそらに こゑのきこゆる後花園院
257たへてまつ ひとのためとや ほとときす あくるくもまの つきになくらむ実雅
258ほとときす はつかになきて すきにけり つきぬなこりの ありあけのそら静仁法親王
259すきぬるか やまほとときす ひとこゑの おほつかなさも はれぬくもゐに雅縁
260まつとしも いまはなけれと ほとときす なれしこころの そらにもあるかな俊成(藤原俊忠男)
261こころあらは ねをそへてなけ ほとときす あやめをむすふ よはのまくらに少将(邦省親王家)
262めくりあふ おなしさつきの ほとときす ききふるしても なほそあかれぬ覚助法親王
263いかてかく おもふこころを ほとときす よふかくなきて きかせやはせぬ村上天皇
264ほとときす いつくにとまる こころもて やとのこすゑを なきてすくらむ読人不知
265さらてたに いそくやまちの ほとときす みやこのかたの くもになくなり下野(後鳥羽院)
266おのれのみ しはしかたらへ ほとときす さやのなかやま あふひともなし少将(藻壁門院)
267たひころも いくののつゆも ほすはかり やまほとときす なみたからなむ家俊
268かたしきの さよのまくらに かよふなり あやめにかをる のきのしたかせ実房
269あやめくさ なかきちきりを ねにそへて ちよのさつきと いはふけふかな定家
270ゆふたちの なこりのくもを ふくかせに とはたのさなへ すゑさわくなり良経(九条兼実男)
271とききぬと やまたのたこの あさころも たたぬひもなく とるさなへかな満済
272なつきては こすゑはかりの みとりかは おなしときはの もりのしたくさ為秀
273なつくさの みとりもふかし いはしろの のへのしたつゆ むすふはかりに雅経
274いはしろの のへのなつくさ しけれたた たひねのまくら つゆむすふまて範宗
275みゆきせし ちよのふるみち あととちて たたいたつらに しけるなつくさ後小松院
276たひひとの ともよひかはす こゑすなり なつののくさに みちまとふらし隆信
277うちなひく のしまかさきの なつくさに ゆふなみかけて うらかせそふく宗尊親王
278しけさのみ ひことにまさる なつくさの かりそめにたに とふひともなし躬恒
279うたたねの とこよをかけて にほふなり ゆめのまくらの のきのたちはな為明
280ときしあれは しつのをたまき くるるよに むかしをいまと にほふたちはな雅永
281ことのはの はなたちはなに しのふそよ よよのむかしの かせのにほひを雅世
282たちよりて なかなかいまや うつさまし そてふれさりし のきのたちはな為遠
283さみたれは まやののきはも くちぬへし さこそうきたの もりのしめなは順徳院
284さみたれは もとのみきはも みつこえて なみにそさわく ゐてのうきくさ雅経
285なみこゆる みつのうへのの さみたれに なひくみくさや しののをすすき実継
286さみたれに みきはまさりて ひろせかは なにこそたてれ みつのしらなみ頓阿
287おちやまぬ のきのしつくに さみたれの はるるたえまも ふるかとそおもふ春日(進子内親王家)
288はれすのみ かさなるくもは そらとちて おもひつきせぬ さみたれのころ定宗(藤原家親男)
289はれぬへき そらかとみるも さみたれに かさなるくもの たえまなりけり公賢
290はれやらぬ くものやへやま みねとちて あくるもくらき さみたれのそら為家
291さらしえぬ いろかとそみる さみたれに にこりておつる ぬのひきのたき祐殖
292やまかはの みかさまさりて ひさかたの そらにもふかき さみたれのくも義教
293さみたれに よとのかはきし みつこえて あらぬわたりに ふねよはふらし定親
294かたしきの そてほしわひて さみたれの はれぬひかすや うちのはしひめ公冬
295くものゐる かつらきやまの さみたれに ききのしつくも まなくときなし雅縁
296ささわくる たもともいとと ほしやらす ゐなののはらの さみたれのころ雅顕
297ともしする はやまかみねの かりころも あきにもまさる そてのつゆかな家隆
298かたふけは やまかけくらき おほゐかは つきにもくたす うふねなりけり後嵯峨院
299いまさらに いやしきみをや しつのめか おもひくゆらむ かやりひのかけ尭仁法親王
300かやりひの つれなきころの したもえを こころよわくも ゆくほたるかな家隆
301やまかけの くらきかたより みえそめて なつみのかはに とふほたるかな公泰
302おもひせく こころしられて たきつせの なかなるよとに とふほたるかな光正
303とふほたる いはもるみつに やとるよは おもひやいとと わきかへるらむ基家
304いけみつの いひいてかたき おもひとや みをのみこかす ほたるなるらむ雅親
305ほたるとふ ほりえのなみの よることに しくてふたまの かすやそふらむ兼良
306あきちかき まかきのくさの つゆまても なほかすみえて ゆくほたるかな持之
307わかためと たたくくひなや おもふらむ ささねとあくる あまのいはとを教長
308くもりなき ひかりをそへて たましきの みきりにすめる なつのよのつき後光厳院
309いつるより くもらぬかけを みかはみつ うつすもきよき なつのよのつき実夏
310あけぬるか またはなさかぬ はきのとの つゆにもうつる なつのよのつき為重
311つきもなほ のこるみきりの あさきよめ なつさへしもを はらふとそみる尭孝
312やとりつる つきはのこりて みしかよの くものいつくも あくるそらかな尭尋
313すみのほる そらかとみれは なつのよの あくるひかりや つきにそふらむ尊道法親王
314ことしおひの たけのさえたの みしかよに はわけのつきも みるほとそなき後小松院
315なつかりの ゐなのささはら をりしきて みしかきよはの いやはねらるる俊成女
316ほとときす おのかさつきも すきぬとや かたらふこゑの とほさかりゆく満詮
317たつねみむ まほろしもかな ほとときす ゆくへもしらぬ みなつきのそら俊成(藤原俊忠男)
318わかやとの なてしこのはな さきにけり たをりてひとめ みせむこもかな家持
319さきてこそ しつかかきねの かすならぬ なもあらはるれ ゆふかほのはな為盛
320なつのひも かたふくいけの はちすはに ゆふなみこゆる かせそすすしき隆源(油小路隆蔭男)
321ゆふたちの くものころもは かさねても そらにすすしき かせのおとかな義教
322いととしく あへのいちひと さわくらし さかこえかかる ゆふたちのくも為明
323このさとは ふらぬもすすし かせすきて とほちにはるる ゆふたちのそら尊氏
324はれぬるか くもさへうすし なくせみの はつせのやまの ゆふたちのそら定為
325くるとあくと とけむこもなき ひむろやま いつかなかれし たにかはのみつ土御門院
326かきりあれは ふしのみゆきの きゆるひも さゆるひむろの やまのしたしは順徳院
327なにしおへは みきりにたえぬ みかはみつ きよくすすしき なかれなりけり良基(二条道平男)
328またさかぬ はきのしたはに つゆちりて すすしくなりぬ むらさめのそら弁内侍(後深草院)
329ひかけにそ みかさもとらむ みやきのや ぬれてすすしき つゆのこのした雅有
330しつかなる こころしすめは やまかけに わかみすすしき なつのゆふくれ後宇多院
331すすしさは なつのほかなる すみかかな やまのいはねの まつのしたみつ実衡女
332しはつやま ならのわかはに もるつきの かけさゆるまて よはふけにけり俊頼(源経信男)
333なつのよの つきのかつらの したもみち かつかつあきの ひかりをそまつ讃岐(二条院)
334かみかきの つきそすすしき なつとあきと ゆきあひのまの しもとみるまて善成
335ねぬるよの ゆめにもあきや かよふらむ あかつきおきの そてのうへのつゆ義持
336めにみえぬ あきやかよひて ゆふくれの まつにすすしき のきのしたかせ公雅
337よそまては しのふのもりの こかくれに かよふかあきの かせのすすしき雅縁
338せみのはの ころもてすすし なつみかは たちよるかたも やまかけにして定煕
339うつせみの なみたのつゆや むすふらむ しのたのもりの ちえのしたくさ範宗
340わすれては あきかとそおもふ かせわたる みねよりにしの ひくらしのこゑ通具
341きみかため けふのみそきに いつみかは よろつよすめと いのりつるかな俊成(藤原俊忠男)
342みそきして むすふかはなみ としふとも いくよすむへき みつのなかれそ定家
343さとひとは こよひこゆてふ みわかはの きよきなかれに みそきすらしも杲守
344みなつきの けふくれたけの よをりにそ きみかちとせの かすはそへける通親
345みそきかは ふけゆくなみの すすしきは あすのあきこそ まつたちぬらし光厳院
346たかみそき しらゆふなみの たつたかは あかつきかけて かよふあきかせ経通(藤原泰通男)
347きのふこそ なつはくれしか あさといての ころもてさむし あきのはつかせ実朝
348みつくきの をかのくすはら ふきかへし ころもてうすき あきのはつかせ定家
349あききぬと ゆふつけとりの なくなへに けさやたつたの やまのしたかせ尊円法親王
350くさもきも いろつくあきの はつかせは ふきそむるより みにそしみける俊成(藤原俊忠男)
351ふくからに みにしむかせの おとはやま せきちこえてや あきもきぬらむ承道法親王
352みにしめと ふきにけらしな たまもかる あさかのうらの あきのはつかせ伊成
353それとなく いまよりさひし くもまよふ ゆふへのそらの あきのはつかせ満詮
354たましきの つゆのうてなも ときにあひて ちよのはしめの あきはきにけり為家
355なにゆゑに きけはさひしき ものそとも ことわりしらぬ あきのはつかせ法守法親王
356さしもやは みにもしみける あきのたつ けしきはかりの をきのうはかせ民部卿(岡屋入道前摂政家)
357このゆふへ かせよりあきの おとつれを をきのうははに ききそそめつる師良(二条良基男)
358あききぬと をきのはならす かせのおとに こころおかるる つゆのうへかな貞世
359をかのへの ひとむらすすき ほにいてて まねくをみれは あきはきにけり範輔
360ふくかせに したはかつちる あをやきの かつらきやまに あきはきにけり通光
361かせのおとに のきはのをきの こたへすは あきのあはれを たれといはまし小大進(花園左大臣家)
362をきにふく おとをきかすは まつかせを さひしとのみや おもひしめまし義教
363あききての かせのやとりは ここにのみ ありとやそよく にはのをきはら永助法親王
364なみたさへ ちちにくたけて かなしきは をきふくかせの あきのゆふくれ良覚
365うゑおきて こころつからに あきかせを ききこそわふれ にはのをきはら忠基(九条経教男)
366あきかせに をきのはすさふ ゆふまくれ たかすみすてし やとのまかきそ良経(九条兼実男)
367ふるさとの のきはのをきを ふくかせに みしよのつゆそ そてにこほるる道意(二条良基男)
368つきかけも なほみにしめと をきのはに よふかきかせの おとそのこれる兼綱(藤原光業男)
369ゆめさそふ かせのやとりと なりにけり まくらにちかき にはのをきはら為明
370あきかせに をきのはそよく まくらより あとなきものは うたたねのゆめ詮信
371いまよりの なかきよさむを いかかせむ ゆふつけとりの をきのうはかせ浄弁
372あまのはら そらなるかはの わたしもり あきにはあへす みふねよせなむ教実
373あまのかは かはおとすみて ひこほしの つまむかへふね まつやひさしき小宰相(土御門院)
374あまのかは やそのふなても みるはかり くもなかくしそ ほしあひのそら四条(安嘉門院)
375たなはたに まをのにひいと ひきかけて くることたえぬ ほしあひのそら師光(源師頼男)
376むかしより いかにちきりて たなはたの ひとやりならぬ ものおもふらむ俊頼(源経信男)
377たなはたの ゆきあひになひく はつをはな こよひはかりや たまくらにせむ為定(御子左二条為道男)
378たなはたの あまのはころも つゆちりて ゆきあひのそらに あきかせそふく雅朝
379たなはたは うらめつらしく おもふらむ こよひはくもの ころもかへさて俊成(藤原俊忠男)
380たなはたの こころやこよひ はれぬらむ くもこそなけれ ほしあひのそら慈円
381ほしあひの こよひはかりは あまくもの よそにへたてぬ ちきりなるらし実継
382たなはたを わたしてのちは あまのかは なみたかきまて かせもふかなむ兼輔
383あまつかせ あふくともゆめ きりたつな こはたなはたの おれるにしきそ為光
384としことに いのるなかにも たなはたの こよひはことに こころあるらし保光
385たなはたの なみたのつゆに あまのかは みつかけくさや なほなひくらむ尊氏
386ささわけし みちたにあるを あまのかは かへるあしたの そてをしそおもふ家隆
387たもとこそ おもひやらるれ たなはたの あけゆくそらの あまのはころも重之
388たちかへり おもへはとほき わたりかな あけゆくそらの あまのかはなみ師氏(平常顕男)
389あまのかは あけゆくほとの つゆけさに いつくもおなし そらをなかめて道長
390わかやとの はきのしたはの けしきにて あきはいろにも いてにけるかな相摸
391あきくれは ものおもふとしは なけれとも はきのうははそ つゆけかりける花山院
392あきをへて ふるえにさける はきのとの はなもむかしの いろやかはらぬ後光厳院
393たかまとの のへのまはきを たよりにて ゆふつゆなから むすふかりいほ雅家
394さとはあれて とはれしそての いろもなし あきののらなる はきのゆふつゆ明魏
395ゆふきりも たつみやきのの あきはきは このしたやみの にしきなりけり家尹
396まはきはら ちくさのいとを くるすのに ひをへておるや にしきなるらむ雅縁
397あきののは はなのいろいろ おほかれと はきのにしきに しくものそなき頼輔
398ちりはてぬ はなこそあらめ あきののに こころをさへも のこしつるかな頼政
399きりはれぬ はなののこはき さきにけり ゆきかふひとの そてにほふまて顕季
400あけわたる のはらのきりの たえまより つゆにしをれて なひくあきはき雅孝
401すかのねの なかつきのよの あけたては つゆけさまさる あきはきのはな家良
402みやきのの あさつゆわけて あきはきの いろにみたるる しのふもちすり頓阿
403わきもこか かたちのをのの をみなへし おもひたはれぬ ひとやなからむ実名(藤原公脩男)
404さくはなの おのかいろにや うつるらむ ちくさにかはる のへのゆふつゆ成光(祝部成国男)
405おきあまる のへのちくさの つゆのまに さきてもはなの かすやそふらむ雅世
406あさなあさな おくしらつゆも うつろひぬ さきそふあきの はなのちくさに為氏
407あきののの はなのつゆとも しらさりつ ちくさのいとに ぬけるしらたま公任
408てにとれは そてさへにほふ をみなへし このしたつゆに ちらまくもをし人麿
409あきかせは よことにふきぬ たかさこの をのへのはきの ちらまくをしも家持
410たかまとの のへのあきはき ちりはてて いろなきつゆに あらしふくなり家衡
411あきののの はなわけころも みやこまて いろはやつさし みむひとのため三河内侍(二条院)
412わたつうみの なきさのをかの はなすすき まねきそよする おきつしらなみ信明
413うちなひく いりえのをはな ほのみえて ゆふなみまかふ まののうらかせ良経(九条兼実男)
414うつらなく のはらのひかけ ほのみえて をはなふきこす あきのゆふかせ為氏
415つゆしけき をはなくすはな ふくかせに たまぬきちらす あきのゆふくれ師光(源師頼男)
416まくすはふ おなしまかきの はなすすき うらみぬそても しけきつゆかな小宰相(土御門院)
417たまほこの みちのゆくての はつをはな わかそてかけて あきかせそふく満元
418すきかてに そてをかはして あきののの をはなにましり けふもくらしつ為忠(御子左二条為藤男)
419うきことも なにをかことの ゆふへそと とははやひとに あきのならひを為敦
420それとなき あはれをあきの こころとは たかならはしの ゆふへなるらむ仲光
421よしさらは みをあきかせに すてはてて おもひもいれし ゆふくれのそら家長(源時長男)
422いくあきか わかみひとつの ゆふくれと ちちにものおもふ としのへぬらむ成実(藤原親実男)
423なかむれは かなしきものと しりなから なほうとまれぬ あきのゆふくれ隆信
424さひしさは なれぬるものと おもへとも またいまさらの あきのゆふくれ為尹
425そのいろと わかぬあはれも ふかくさや たけのはやまの あきのゆふくれ後崇光院
426ひたすらに こころなきみの あきならは ゆふへのそらに ものはおもはし為藤
427かたしきの ころもてさむき まつかせに あきのゆふへと しらせすもかな伊勢
428せみのこゑ むしのうらみそ きこゆなる まつのうてなの あきのゆふくれ定嗣
429あきかせに わかなみたさへ さそはれて をはなにあまる そてのゆふつゆ雅有
430あすかかせ いたつらにふく よひよひに あきそこととふ たをやめのそて亀山院
431かるもかく ゐなののはらの あきかせに こやのいけみつ ささなみそたつ雅光
432ふるさとや あれゆくにはの あさちはら つゆふかしとて たれかはらはむ伏見院
433おきあまる よのまのつゆも あさちふの おのかなみたと むしやなくらむ実重(三条公親男)
434ふかきよの つゆにくさはは うつもれて むしのねたかし のへのつきかけ頓阿
435あきふかき をののあさちの つゆなから すゑはにあまる むしのこゑかな持信
436なかきよの おもひやかはる きりきりす おなしまくらの したになけとも義宝
437きりきりす おいのねさめを あはれとや まくらのしたに なきよわるらむ伊平
438しもむすふ のはらのあさち うらかれて むしのねよわる あきかせそふく義嗣
439あきふかき をののくすはら かれかれに うらみもよわる まつむしのこゑ教経
440あふさかや しみつにうつる かけもみす せきちへたつる きりはらのこま義将
441いかにせむ このまにたにも またみえぬ をのへのつきの こころつくしを国冬
442くるるよの まさきのかつら いろつきて とやまのつきに あきかせそふく雅有
443よそにたに くもこそみえね すみのほる たかまのやまの あきのよのつき実衡女
444あまつかせ みかくくもゐに てるつきの ひかりをうつす やとのいけみつ定家
445くもりなき くもゐのつきを みかはみつ ともにすむへき ちよのゆくすゑ義満
446くもをこそ そらにはらはめ つきやとす つゆをはのこせ にはのあきかせ公脩
447あきらけき ひかりそことに すみのほる かみよなからの やまのはのつき成光(祝部成国男)
448ささなみや しかのうらかせ うみふけは にほてりまさる つきのかけかな後嵯峨院
449からさきや あきのこよひを なかむれは てるつきなみに うらかせそふく雅経
450まつひとは こぬかたしきの ころもてに つきをそやとす うちのはしひめ実教
451きみかよを そらにしりてや ひさかたの あまてるつきも かけをそふらむ俊頼(源経信男)
452あきのよの つきとはよそに ききつれと ときにあへるは こよひなりけり公忠(源国紀男)
453つきたにも そらにすますは あきのよの なかきをあかす ともやなからむ後光厳院
454さもこそは くもりなきよの つきならめ みるひとさへも すむこころかな成通
455やとちかき やまたのいほの いなむしろ たれしきなれて つきをみるらむ後鳥羽院
456いくよわれ いへちわすれて をののえの くちきのそまの つきをみるらむ浄弁
457あきのつき やまのはいてて たかしまの みをのうらわに かけそさやけき左京大夫(永陽門院)
458みなせやま たまをみかきし あととめて わすれぬさとと つきやすむらむ雅縁
459かはみつの ありてよにすむ とももなし たれとみなせの やまのはのつき杲守
460くもりなき つきもますみの かかみやま なにあらはれて みゆるよはかな実雄
461おきつなみ いくあきかけて すみよしの まつのしつえに つきをよすらむ義種
462つきかけの ゆきもつもりの うらかせに なほあきさむし すみよしのまつ義教
463あまひとの ぬるよはなくて すむつきの かけのみやとる とこのうらなみ経賢
464わたのはら おきをふかめて すむつきの ひかりにいつる あまのつりふね為衡
465つきかけも やとりさためぬ しらつゆの たまえのあしに うらかせそふく公豊
466さらしなや をはすてやまの みねまても おもひやらるる よはのつきかけ有宗
467とふとりの あすかのさとの あきのつき よよへしかけは いまもかはらす公賢
468あきのよの つきにやはらふ わたつみと あれにしままの とこのうらかせ後小松院
469あきのあめ よひのむらくも あときえて はらふあらしに のこるつきかな順徳院
470ふけにけり あまのたくもの けふりさへ なたのしほやの よはのつきかけ後花園院
471すまのあまの こころやつきに なひくらむ けふりそよわる うらのしほかま雅有
472ふけにけり おきそふつゆも たまたれの こすのおほのの よはのつきかけ尭孝
473あきかせに よのふけゆけは ひさかたの あまのかはらに つきかたふきぬ実朝
474はらひこし にはのよもきの つゆのうへに とはれぬよはの つきをみるかな俊平(源泰光男)
475ふるさとと あれにしにはの あさちふに さひしくもあるか すめるつきかけ帥(鷹司院)
476わかこころ つきにたとへて なかむれは いととくまなき あきのそらかな欣子内親王
477つきかけも よさむになりぬ いまよりの ねさめをたれか とはむとすらむ行能
478ちとりなく かはかせさむみ つきさえて こほりはあきの ものにそありける俊成(藤原俊忠男)
479つききよみ こほりはてたる やまかはの せせにつれなき みつのしらなみ寂蓮
480みてもまた たれしのへとて たかまとの をのへのみやに つきはすむらむ行房
481をきはらや つゆをあきかせ ふくからに たもとをならす ありあけのつき秀能(藤原秀宗男)
482せきのとの あくるはをしき つきかけに なにそはとりの しひてなくらむ持基
483なかきよも なほあかすとや みしまえの あしまにやとる ありあけのつき通成
484すみなれて たれわかやとと なかむらむ よしののおくに ありあけのつき後鳥羽院
485ありはてぬ うきよをあきの くるかたに さそへとそおもふ やまのはのつき俊顕
486たえすふく まきのはわけの あきかせに みやまのつきや よさむなるらむ尊氏
487かすならて いほもるしつも つきやみる あふたのみある あきのちきりに小宰相(土御門院)
488あくかるる こころのほとは つきもみよ ちさとのほかの ありあけのそら雅経
489ゆみはりの なかはのつきの かけよりも なほすみまさる よつのをのこゑ後小松院
490くものうへの なかはのつきに ひかれてや よつのをまても こゑはすむらむ義仁法親王
491やまさとの ねさめのとこの さむしろに いたまもりくる ありあけのつき義詮
492たかさこの まつはつれなき をのへより おのれあきしる さをしかのこゑ定家
493ふくかせも みにしむあきの ゆふくれに あはれをそふる しかのこゑかな通能
494つまこふる わかみひとつの あきとてや よなよなつきに しかのなくらむ御匣(式乾門院)
495ふきおくる うらよりをちの しほかせに しかのねちかき あはちしまやま為氏
496すみよしの とほさとをのの はなすすき ほのかにききつ さをしかのこゑ読人不知
497たちぬるる このしたつゆに なくしかの こゑきくときの やまのゆふくれ雅経
498ゆふくれの やまのたかねに なくしかも あまつそらにや つまをこふらむ教定(飛鳥井雅経男)
499あらしやま いりあひのかねに ねをそへて けふもくれぬと しかそなくなる実教
500しらつゆを ならしのをかの さねかつら わけくるしかや なみたそふらむ基家
501しひてなほ あきのこころを くたけとや ふしみのくれに しかのなくらむ成家
502あすしらぬ かりはのをのに なくしかは こよひはかりと つまやこふらむ良春
503さをしかの こゑのさやけみ きこゆるは ひとりやぬらむ をののくさふし経信
504たかさこの をのへのつきに あきふけて まつかせちかく しかそなくなる隆直
505ふしみやま ふもとのをたの いねかてに まつかせさむし さをしかのこゑ満詮
506ゆふしもの おくてのおしね ほにいてて さむきをかへに しかそなくなる静仁法親王
507やまたもる ひととはなしに ひたはへて ときそともなく ものをこそおもへ花山院
508こひつつも いなはかきわけ いへゐして ともしくもあらす あきのゆふかせ人麿
509みねにおふる まつにもいまや かよふらむ いなはのかせの ゆふくれのこゑ持世
510ゆふひさす あきのやまもと きりはれて とはたのいなは つゆそみたるる尊氏
511やまもとの いなはのすゑの あきのつゆ いくよつもりて よさむそはまし後二条院
512かせさむき かりほのとまの ひまをあらみ たれいねかてに やまたもるらむ実雄
513あききりの そらにへたてて きなくなり ひもゆふくれの ころもかりかね為明
514みよしのの たのむともなき たまつさを いくあきかけて かりのきぬらむ有家(藤原重家男)
515としとしに ふるさといてて くるかりは こしちのあきや すみうかるらむ為邦
516きりはれて あさひうつろふ やまのはの くもにすきゆく はつかりのこゑ進子内親王
517あききりの やへにかさなる やまのはを こゑもへたてす かりはきにけり教定(飛鳥井雅経男)
518みなとかせ ゆふしほはやき まつかけの いりえのなみに おつるかりかね雅有
519はつかりも おもふかたをや したふらむ なくねにまかふ あきのうらなみ実重(三条公親男)
520かせさむき おいのねさめに ききなれて あきをかさぬる ころもかりかね冬平
521くもゐとふ かりのなみたも おちそひぬ あはれよふかき おいのねさめに満済
522みにさむく あきかせふきぬ うへしこそ ころもかりかね けさはなくなれ行家(藤原知家男)
523ぬしやたれ たのもにおつる かりかねの いなはにむすふ つゆのたまつさ頼之
524ものおもふ くものはたてに なきそめて をりしもつらき あきのかりかね為子(贈従三位)
525おしねほす みわのやまたに かりなきて ゆふひしくるる すきのむらたち道慶
526あしのはに おともかくれす つのくにの なにはのこやは ころもうつなり義詮
527ころもうつ なれもさこそは さむからし あかつきふかき しもにおきゐて進子内親王
528なかきよも ありあけのつきも みしゆめも のこるまくらに うつころもかな満輔
529さよふけて きぬたのおとの きこゆるは たれにしのふの ころもうつらむ定宗(藤原家親男)
530いつくにも ころもうつなり あきかせや さとをはかれす よさむなるらむ俊顕
531かたいとの よるのころもを うつおとは こなたかなたの さともさためす後小松院
532こぬよひを まつもちきりの すゑそとや なれしかたみの ころもうつらむ為重
533さよころも いかにそめてか くさもきも うつろふころの しもにうつらむ頓宗
534さとひとは さそなころもを うちわひて ぬるよもゆめも まとほなるらむ持之
535うらかせも わかすむかたの よやさむき あしやのさとに ころもうつこゑ雅世
536さとはみな いてこしままに あれにけり たれふかくさに ころもうつらむ家隆
537いくよまて とふひとなしに ふるさとの あさちかしもに ころもうつらむ持元
538おきまよふ あきのよさむの そてのしも はらひもあへす うつころもかな義運
539かちひとの とはぬよさむに まちわひて こはたのさとは ころもうつなり為家
540かちひとの みちをそおもふ やましなの こはたのさとの あきのゆふきり良経(九条兼実男)
541やまとりの うらみもあきや かさぬらむ やへたつきりの なかのへたてに順徳院
542をくらやま ふもとのをはな そてみえて たえたえはるる あきのあさきり公泰
543ときわかぬ まつのけふりに たちそひて なほはれかたき みねのあききり経教
544くれゆけは へたつるきりに ありまやま ありともやとや たつねかねまし為定(御子左二条為道男)
545たひひとの あふさかやまは きりこめて ゆくもかへるも わかぬころかな為経(甘露寺藤原資経男)
546けさはなほ ははそのいろも うすきりの したにまたるる さほのやまかせ雅縁
547あしからの やまたちかくす きりのうへに ひとりはれたる ふしのしらゆき慶運
548しらなみの おとはかりして みえぬかな きりたちわたる たまかはのさと顕季
549しかのうらや にほてるおきは きりこめて あきもおほろの ありあけのつき後鳥羽院
550なにはかた いそへのなみの おとすみて ゆふきりよする あきのしほかせ後鳥羽院
551もしほひの あかしのおきの ともふねも ゆくかたたとる あきのゆふきり定家
552あききりの まかきのしまの へたてゆゑ そこともみえぬ ちかのしほかま実量
553しきのたつ はおともさむく なりにけり かりたのおもは しもやおくらむ公宗母
554はしたかの とやののあさち ふみわけて おのれもかへる あきのかりひと順徳院
555はつしもの むすふもまたて まはきはら たかいねかてに いろかはるらむ邦省親王
556たひころも なれすはしらし おほかたの あきのあはれは おもひこしかと秀能(藤原秀宗男)
557うつろふと みるもかはらて しらきくの まかきやつきの いろはそふらむ後光厳院
558わかてみる つきもあやなし よるはかり うつろふきくの まかきともかな為遠
559かきりなき よはひのみかは みるからに こころものふる しらきくのはな清輔
560なみとのみ うちこそみゆれ すみのえの きしにのこれる しらきくのはな是則
561あたらしく われのみやみむ きくのはな うつらぬさきに こむひともかな躬恒
562はなとみし まかきもいまは あれはてて しもににほへる きくのひともと義満
563おくしもに うつろはむとや あさなあさな いろかはりゆく しらきくのはな大納言典侍(後嵯峨院)
564たれゆゑに うつろはむとか はつしもの たわわにおける しらきくのはな土御門院
565くさまくら ゆふかりころも ぬれにけり すそののつゆも いろかはりゆく通光
566なへてしも いろかはらねは ときはなる やまにはあきも しられさりけり貫之
567いてていにし ひとはかへらて くすのはの かせにうらむる ふるさとのあき良経(九条兼実男)
568こころさへ うつりもゆくか たつたやま こすゑにあきの いろをたつねて俊成女
569たつねはや しのふのもりの ゆふしくれ いかにそめてか いろにいつらむ行房
570おなしえを わくそとはかり しらるるや そめあへぬいろの あきのもみちは為遠
571まつかせに をのへのかねは ひひけとも もみちにのこる ゆふつくひかな永助法親王
572しくれゆく あたちのはらの うすきりに またそめはてぬ あきそこもれる定家
573そめあへぬ もみちのいろの あさひやま ふかくもみえす うちのかはなみ隆教
574そめのこす いろかあらぬか まつかえの みとりをかはす ききのもみちは後光厳院
575やまひめや そめのこすらむ もみちはの かけよりおつる たきのしらいと経賢
576そむるより こころやつくす たつたひめ あらしふきそふ あきのこすゑに雅経
577いろふかき やしほのをかの もみちはに こころをさへも そめてみるかな頼輔
578あかなくに なほかさしてや かへらまし けふもくらせる やまのもみちは良基(二条道平男)
579きみのみや あかすかもみむ をののえの くちにしやまの みねのもみちは実継
580たちよれは もみちのかけの すきかてに こころもとまる あきのいろかな長綱(菅原茂長男)
581つゆなから つきもこのまを もるやまの したてるいろと もみちしてけり為敦
582もみちする いくたのもりの いくしほも あかぬいろとや なほしくるらむ義賢
583このころは つゆもしくれも ひまそなき さそこからしの もりのもみちは雅永
584しくれゆく あきのやまちは もみちはの うつろふいろや しるへなるらむ俊成女
585みしあきに いろこそまされ もみちはの うつろふかたや なほしくるらむ宰相典侍(後宇多院)
586くもふかく みえてしくれし やまそとや そむるもいとと ちしほなるらむ為遠
587そめのこす こすゑもあらし はつせやま いりあひのかねに くもそしくるる雅孝
588みよしのの はなはくもにも まかひしを ひとりいろつく みねのもみちは良経(九条兼実男)
589からにしき そめかけてけり さほやまの こすゑしくるる あきのもみちは為氏
590たつたひめ くものころもの うすもみち またおりあへぬ にしきとそみる尊胤法親王
591すきやすき しくれなれはや もみちはに そめかさねたる いろはみゆらむ為重
592ときしあれは いろをもそへつ いそちあまり すきしおいその もりのもみちは道朝法親王
593きりたちて あきはてぬめり もみちはも かせのこころに まかせてやみむ具平親王
594しくれつつ もみちちるみゆ かみなひの みむろのやまは あきのくれかも道意(西園寺実兼男)
595かけやとす つきもしくれて みむろやま あきかせさむし くすのしたつゆ後花園院
596なかつきや つきさへいまは ありあけの かけにすくなき あきのいろかな崇光院
597なかつきの つきもありあけに なりぬれは あきくれはつる ゆふくれのそら有家(藤原重家男)
598くれてゆく あきのなこりも やまのはに つきとともにや ありあけのそら寂蓮
599せきもりも とめぬひかすに あきくれて ありあけのつきの すまのうらなみ為秀
600もとゆひの しもおきそへて ゆくあきは つらきものから をしくもあるかな俊成(藤原俊忠男)
601なかつきは なのみなりけり はるなつの おなしひかすに くるるあきかな為経(甘露寺藤原資経男)
602くれゆくを をしむとすれは あきのひの いととみしかき かけにもあるかな資明
603のもやまも しもおきかへて ゆくあきの なこりにのこる そてのしらつゆ為藤
604かみかきに ぬさとちりかふ もみちかな しめをもこえて あきやゆくらむ兼良
605うらかるる のはらのまくす ふくかせに かへるをみてや あきもゆくらむ実雅
606かきりあれは よをなかつきの ともしひも かかけつくして あきはいぬめり実名(藤原公脩男)
607ふゆきぬと おもふはかりに やまさとの いととさひしく なりまさるかな道済
608はけしさも きのふにけふは まさきちる とやまのあらし ふゆやきぬらむ雅縁
609もみちせし あきはいなはの やまかせに まつのみのこる ふゆはきにけり家長(源時長男)
610ふゆきぬと ゆふしもさむき あさちふの かれはのかせの おとそさひしき定為
611あきははや すきのいたやの はつしくれ おときくしもそ ふゆはさひしき栄仁親王
612むらしくれ ふるかたみえて やまのはに うつりさためぬ ゆふひかけかな後花園院
613たつたやま こすゑのもみち あきくれて つれなきまつに なほしくるなり後鳥羽院
614いたつらに なにしくるらむ まきもくの ひはらかみねは いろもかはらし公賢
615たちかへる をのへのくもに さそはれて またやまめくる ゆふしくれかな宗久
616ききわふる ねさめのとこの さよしくれ ふるほとよりも ぬるるそてかな満意
617うきものと おもひなれたる あかつきの まくらにすくる はつしくれかな秀能(藤原秀宗男)
618かみなつき このはしくれぬ ころならは さのみねぬよの かすはつもらし小宰相(土御門院)
619ゆきふらは みちもたえなむ やまさとを しくるるまては とふひともかな寂蓮
620そむるより ちきりやおきし もみちはの ちらはともにと ふるしくれかな聖尊法親王
621まさきちる あらしのすゑの うきくもや とやまをかけて なほしくるらむ満祐
622えたかはす このはをいかに さそふらむ つひにもみちぬ みねのまつかけ為信
623いまよりは なにをかあきの なこりとも みつつしのはむ このはちるころ光俊(葉室光親男)
624やまひめの そめしこころや かはるらむ あきよりのちは ちるもみちかな実遠(藤原季雄男)
625さそひける けさのあらしの ほとみえて しもよりうへに ちるもみちかな顕詮
626うつもれし にはのおちはに しもきえて またあらはるる あきのいろかな実清(三条西公時男)
627ふくかせの さそひきにける もみちはや そてにこきいれし かたみなるらむ尊道法親王
628いくたかは みつのあきさへ ととまらて このはをおくる もりのしたかせ雅縁
629おほゐかは くれなゐふかく にほふかな をくらのやまの もみちちるらし顕季
630みなのかは みねよりおつる もみちはも つもりてなみを またやそむらむ義重(斯波義将男)
631みなとかは もみちふきこす こからしに やまもとくたる あけのそほふね良心
632このほとは こまうちわたす やまかはも このはのそこに こゑむせふなり家隆
633このはのみ ちりしくころの やまかはに くれなゐくるる にほのかよひち雅世
634そてのうへの つゆをはしらす やとりこし つきそこほりて しもとみえける為定(御子左二条為道男)
635なきそむる そとものとりも こゑさむみ しもにかたふく もりのつきかけ光厳院
636ふけゆけは なほかけさむし あさちふの しもにこほれる ふゆのよのつき公雅
637あまつそら しももみちぬる よはとてや つきにさえゆく かねのおとかな尭尋
638よそにゆく くものなみまて こほりけり さゆるしもよの つきのひかりに為盛
639ふくかせの ゐなのささはら よはふけて おきそふしもに こほるつきかけ行俊
640さひしさは いろもひかりも ふけはてて かれののしもに ありあけのつき亀山院
641いしはしる たきつやまかは はやきせに こほれるつきの かけそくたくる雅成親王
642とけやらぬ そてのこほりに かさねても なほさえまさる ねやのつきかけ御匣(式乾門院)
643ありあけの のこるもうすき にはのおもに それかとはかり おけるはつしも兼敦
644いろふかく にほふきくかな あはれなる をりにをりける はなにやあるらむ醍醐天皇
645しもかるる ちくさのはなの まかきこそ あきみしよりも あはれなりけれ欣子内親王
646おもかけに あきのなこりを ととめおきて しものまかきに はなをみるかな讃岐(二条院)
647しをれふす まかきのしもの したをきや おとせしかせの あきのふるさと為尹
648はなすすき くさのたもとも くちはてぬ なれてわかれし あきをこふとて定家
649かせさむみ よをへてしもも をかのへに のこるをはなの いろそすくなき公種
650たまくらの のへのくさはの しもかれに みはならはしの かせのさむけさ兼好
651あきのいろの うつろふのへを きてみれは あはれはかれぬ ものにそありける慈円
652あさちはら しものしたはは かれはてて みしにもあらぬ のへのいろかな家良
653うちなひく すゑはをかけて はしたかの とやののあさち しもむすふなり常顕
654なにはひと かりふくこやも よやさむき いりえのあしに しもをかさねて為藤
655しもはらふ ましはのあらし おとさえて のもりのかかみ つららゐにけり具親
656よしのかは たきのしらなみ こほりして いはねにおつる みねのまつかせ良経(九条兼実男)
657くりためて けさやこほりに むすふらむ きよたきかはの せせのしらいと行意
658さゆるよは こほりのひまも なけれはや けさやまかはの おとたえぬらむ伊長
659さらてたに いしまをせはみ たにみつの ゆくかたもなく こほるころかな満詮
660ささなみや ひらのやまかせ さゆるひは みきはこほりて よるふねもなし後二条院
661こよひたれ ますけかたしき あかすらむ そかのかはらに ちとりなくなり良経(九条兼実男)
662かはかせに ふけゆくつきの かけさえて しもよのちとり そらになくなり経継
663ふけゆけは なくねもとほし さよちとり またいつかたに ともしたふらむ満親
664かせさゆる このよやいたく ふけぬらむ かはおとすみて ちとりなくなり時煕
665かせをいたみ いそこすなみの しはしはも あととめかたく たつちとりかな知家
666ありあけの つきにむれたつ こゑなから ちとりなみよる おきつしほかせ雅経
667なみのうへに ともなしちとり うちわひて つきにうらむる ありあけのこゑ雅経
668なみさわく なこのみなとの うらかせに いりえのちとり むれてたつなり伏見院
669ふかきよに ねさめてきけは はりまかた いほのみなとに ちとりなくなり嘉言
670しほたるる あまのころもの うらちとり なくねにさへや そてぬらすらむ読人不知
671さらてたに ほさぬそてしの うらちとり いかにせよとて ねさめとふらむ持世
672あしきたの のさかのうらに なくちとり みしまにかよふ こゑそふけぬる道順
673わかのうらの あとをもそへよ ともちとり たひかさなれる かすにもれすは実継
674つきかけに あかしのうらを こきゆけは ちとりしはなく あけぬこのよは匡房
675あかしかた せとのしほかせ さよふけて しまかくれなく ともちとりかな雅顕
676しもとみて なほよやさむく なるみかた しほひのつきに ちとりなくなり義運
677むれてたつ はおとそさむき あしかもの さわくいりえは さそこほるらむ雅親
678みつとりの うきねもたえぬ うきくさの まくらをむすふ よはのこほりに為忠(御子左二条為藤男)
679いけみつに つかはぬをしの いととなほ かけさへみえす こほるころかな宗継
680よもすから あらしふきそふ ささのはに さやくあられは おともわかれす実盛
681ささのはに こほりしつゆの しらたまか なにそとみれは あられちるなり持基
682かせさむみ たまとくたけて たきのうへの あさののくさに ちるあられかな公名
683ありまやま みねゆくくもに かせさえて あられおちくる ゐなのささはら定為
684みやこたに あられふるよは しからきの まきのとやまの おくそしらるる兼宗
685かせさむみ けふもみそれの ふるさとは よしののやまの ゆきけなりけり良経(九条兼実男)
686しろたへの まさこのうへに ふりそめて おもひしよりも つもるゆきかな雅世
687あけわたる みねのさかきは しもやたひ おくかとみれは ゆきふりにけり実性
688ふるほとも あさちにましり さくはなの なひくとそみる けさのはつゆき尭孝
689こほりたに またやまみつに むすはねと ひらのたかねは ゆきふりにけり恵慶
690やまのはは ゆきのひかりに あらはれて なほいてかての ありあけのつき経賢
691ちるははな つもるはつきの ひかりにて おもかけわくる にはのしらゆき雅有
692さひしさを とひこぬひとの こころまて あらはれそむる ゆきのあけほの宮内卿(後鳥羽院)
693ふゆきては さたかなりつる ときはきも またみえわかす つもるゆきかな義教
694さえくるる あらしはよそに おとたてて ゆきにこほれる みねのまつかえ公敏
695かきくれて さたかにもなき やまのはの はるるとみれは つもるゆきかな為之
696しをりせし しはのこすゑを ふみわけて やまちのゆきの ほとそしらるる成家
697ふみわけて わかこしかたも しらかしの しらぬやまちに ゆきはふりつつ雅顕
698ふきおろす あらしのおとも たかしまの みをのそまやま ゆきふりにけり幽提
699たつねくる ひとはおとせて みわのやま すきのこすゑの ゆきのしたをれ雅経
700よしのやま けさふるゆきや つもるらむ いりにしひとの あとたにもなし土御門院
701さかきはも とりにゆくへき かみやまの みちはゆきにや うつもれぬらむ好忠
702つくはやま はやましけやま おしなへて のこるかけなく つもるゆきかな親雅
703ゆきふれは かねてそみゆる かかみやま ちりかふはなの はるのおもかけ為子(贈従三位)
704おとはやま みねのこすゑも みえぬまて せきのこなたは ゆきふりにけり少将(邦省親王家)
705ゆふされは うらかせさむし あまをふね とませのやまに ゆきそふるらし実朝
706けぬかうへに なほふりしきて よしのやま ゆきさへふかき いはのかけみち良瑜
707とふひとも あきかせまてそ またれける いくたのもりの ゆきのゆふくれ行家(藤原知家男)
708しろたへの のはらのゆきに うちわたす をちかたひとの そてまかふらし忠房親王
709たひひとの あさたつのちや つもるらむ あとこそみえね のへのしらゆき実教
710なかめやる さとたにひとの あとたえて のなかのまつに ゆきはふりつつ順徳院
711おほゐかは こほれるうへは きえやらて ゆきにかけたる せせのしからみ邦省親王
712しらなみの せきふきこゆる おとはして ゆきをそおくる すまのうらかせ実冬女
713ささなみや つりするあまの そてまても ゆきにそかへる しかのうらかせ兼治
714うちよする おきつしらなみ おとさえて ゆきになるみの うらかせそふく成胤
715きのうみや おきつなみまの くもはれて ゆきにのこれる うらのはつしま重光(藤原資康男)
716ゆきふれは わかのまつはら うつもれて しほひのたつの こゑそさむけき雅永
717ふるゆきの きえすはありとも やまふかみ あすのひとめを えやはまちみむ尊道法親王
718ふみわけて とひくるほとは いとはぬを かへるあとこそ ゆきにをしけれ道嗣
719さらぬたに ひとめかれゆく やまさとに ものさひしかる にはのしらゆき但馬(藻壁門院)
720けふいくか とふひとなしに あとたえて ゆきにこもれる やとのさひしさ直義
721よしさらは ゆきをもめてし いたつらに つもれとひとの おとつれもせす為藤
722しもゆきも さそこほるらむ ももしきや ふるきみかきの とよのあかりは弁内侍(後深草院)
723くものうへ あまつひれふる をとめこか かさみのそてに あられたまちる宗重
724ふえたけの そのよはかみも おもひいつや にはひのかけに ふけしよのそら永福門院
725みつくきの をかへもしるく やかたをの たかひきすゑて いつるかりひと雅縁
726いはせのに とりふみたてて やかたをの たかをてにすゑ からぬひはなし顕朝
727みかりせし のもりのかかみ むかしをは うつさぬよにも なほやすむらむ後円融院
728みかりせし かりはのあとも いまはよに あはれかたのの ゆきのふるみち崇光院
729ゆきふかき かたののききす ふみたてて そらとるたかの あはぬひもなし為重
730はしたかの はらふうはけに たまちりて かたののはらに あられふるなり忠定(藤原兼宗男)
731はしたかの をふさのすすを ならしはの なれはまさらて たつききすかな忠房親王
732すみかまの けふりはそらに たちそひて そらにしらるる おほはらのさと経継
733そらさゆる ゆきけのくもも すみかまの けふりにまかふ おほはらのやま為明
734よそにても さひしとはしれ おほはらや けふりをたたぬ すみかまのさと土御門院
735すみかまの けふりをさとの なにたてて よそにもしるき をののやまもと伊定
736かきくらす みねのふふきに すみかまの けふりのすゑそ むすほほれゆく良経(九条兼実男)
737いそくへき はるのこころも しらぬみは のとかにおくる としのくれかな伏見院
738よのひとの いそくははるの ためなれは うしとみつつや としのゆくらむ覚助法親王
739すきやすき ひのくまかはの としのくれ みつかふこまの とまるせもなし深守法親王
740はるはると おもひしとしの すゑのまつ おいのなみこそ やすくこえけれ欣子内親王
741くれてゆく としはわかみに つもれとも かへらぬものは つきひなりけり実家(藤原公能男)
742かひなしや はやななそちに みちのくの あたちのまゆみ はるにあふとも守遍
743かきりなく おいぬるのちの ひととせは みにつもるとも よしやなけかし慶運
744かくしつつ ゆくとしなみの あはれみに いまいくたひか こえむとすらむ公賢
745わかたのむ かみちのやまの まつのかせ いくよのはるも いろはかはらし後鳥羽院
746さとわかぬ はるのひかりを しりかほに やとをたつねて きゐるうくひす定家
747あたらしき はるのはしめに ひくまつの つもるかすをは きみそかそへむ輔親
748いにしへの ためしをひけは やちよまて いのちをのへの こまつなりけり
749すみよしの まつはむかしの ふたはより ひさしきことの ためしにそひく実定
750みとりそふ おほうちやまの まつのはは やほよろつよの はるのかすかも後小松院
751きみかため いろそふまつに こととへは こむといふなる よろつよのはる雅縁
752ちとせへて はなさくまつの いととしく のとけきみつに かけそうつれる師実
753かけうつす みきはのまつの おなしえに やちよをかくる いけのささなみ後花園院
754いくはるも おなしことはの たままつに としのをそへて なほやちきらむ雅世
755にはのおもに こたかきまつの ふかみとり いくしほはるの いろにそめけむ忠業
756ここのへの おほうちやまも よはふなり はなさくはるは つきしとそおもふ為定(御子左二条為道男)
757はなのいろは つきしとそおもふ ももしきや おほみやひとの ちよのかさしに兵衛内侍(順徳院)
758さきにほふ くもゐのはなの もとつえに ももよのはるを なほやちきらむ後光厳院
759つかへつつ よはひはおいぬ ゆくすゑの ちとせもはなに なほやちきらむ良基(二条道平男)
760やちよへむ きみにあひおひの はなのえは かせもならさぬ ここのへのはる為邦
761わかきみの ちよのかさしと みるからに けふこそさくら いろもそひけれ懐国
762さきそむる わかむらさきの ふちなみは ちとせをまつの はなにさりける丹後(宜秋門院)
763むらさきの くもうちなひく ふちのはな ちとせのまつに かけてこそみれ兼盛
764そてふれて いくはるなれむ さくふちの まつよりあまる ちよのにほひに通陽門院
765きみかよに やまのはのほる つきかけの ゆくすゑとほく すめるそらかな読人不知
766あきのいけの つきのかつらも いくちよか ひかりをはなの かかみとはみむ道家
767よろつよも つきのひかりを しきしまや やまとしまねに すめるいけみつ家隆
768わかきみの ひかりそふへき よろつよを つきにまかせて すめるいけみつ師良(二条良基男)
769つきかけの くもらぬにはの いけみつに すむへききみか ちよもみゆらし基隆(藤原基成男)
770くさもきも なひくみよとは いけみつの たまもをみかく つきにみゆらし為忠(御子左二条為藤男)
771きみかよの くもらぬかけを うつしてや くもゐのつきは てりまさるらむ宋縁
772あまのはら めくるつきひの さやかにも よろつよすめる くものうへかな経家(藤原定頼男)
773あひにあふ きみをつきひと あふくにも よるひるわかす よをいのるかな満済
774まつのうへに ふるしらゆきの かつきえて ちよはかくれぬ ものにそありける道済
775いにしへの あともまれなる みゆきまて つもるかひある としのかすかな公衡(西園寺実兼男)
776みにつもる としによろつよ とりそへて けふわかきみに たてまつるかな康資王母
777すみのえに はまのまさこの こけふりて いはほとならむ ほとをこそおもへ元輔(清原春光男)
778きみかよは ちくまのかはの さされいしの こけむすいはと なりつくすまて式子内親王
779わかきみは ちとせのさかを こえぬとも なほゆくすゑそ ひさしかるへき有家(藤原重家男)
780まつのはの つゆやつもりて たましきの にはにもちよの かすをそふらむ経嗣
781なへてたに まつのよはひは ひさかたの くもゐのにはに いくとせかへむ満基
782いくよとも かきりはいはし きみかへむ よはひをちきれ にはのまつかえ公行(今出川実直男)
783かけたかき みかきのまつに みえてけり ちよにもこえむ きみかゆくすゑ為尹
784おほゐかは ひさしきことは かけうつす かめのをやまの まつそしるらむ経信
785ちとせをは まつとかめとに まかせつつ やほよろつよは いはておもはむ元輔(清原春光男)
786かすかやま えたさしそむる まつのはは きみかちとせの かすにそありける資綱
787きみかよに かねてうゑける すみよしの まつふくかせは すゑもはるけし慈円
788まつかけに みやつくりせる すみよしの ひさしきよをは きみそみるへき国信
789かけたかき きりのこすゑに すむとりの こゑまちいてむ みよのかしこさ公保
790にしかはや みゆきのあとを かさねても ちよとそちきる つるのけころも光吉
791わかきみの みきりにちかく すむたつや ちとせのかすを かねてしるらむ公雅
792すゑとほき ちよのともとや わかきみに なれてみきりの たつもすむらむ実秀(藤原公仲男)
793もろともに みきりのたつも よはふなり はこやのやまの よろつよのこゑ実秋
794むしろたの いつぬきかはの かはみつと すむてふたつと いつれひさしき後小松院
795たつのすむ いつぬきかはの しきなみに なほたちまさる みよのかすかな惟明親王
796すすかかは ふるきなかれを つたへきて なほすゑとほき きみかみよかな良平
797かみかせや みもすそかはの そこすみて なかれひさしき きみかみよかな丹後(宜秋門院)
798きみかため のとかにすめる いはしみつ ちとせのかけや かねてみゆらむ雅経
799あさひさす かけにもちよを みかさやま みねなるまつの みとりのみかは持賢
800あめのした のとかなるよと なりにけり きみかめくみや よもにみちぬる雅孝
801わかきみの みかけるたまの ひかりもて みちをもよをも さそてらすらむ実夏
802をさまれる わかのうらかせ しつかにて ひろへるたまは ちよのかすかも公泰
803わかのうらに あつめてみかく たまほこの みちあるみよは ひかりそふらむ為明
804みなひとの こころもみかけ たまほこの みちあるときと くもりなきよに善成
805くもらしな あまつひつきの あとうけて むかしにかへる みよのみかけは実任
806すゑとほく なほこそあふけ しきしまの みちよりひろき きみかめくみを為遠
807きみやいま かはらぬいろに ちきるらむ たけのうてなの よろつよのかけ義教
808いけみつに うつりしかけの もろともに ひさしきよまて すまむとそおもふ長家
809よろつよと いはねをめくる なかれまて しつかにすめる にはのいけみつ満政
810わかきみの ちよのかすかも さみたれの たかののむらの のきのたまみつ匡房
811はるかせは えたもならさす しつかにて なひくはかりの あをやきのむら為長(菅原長守男)
812しろたへの ゆふとりしてて かみまつる うつきににほふ はなかきのさと俊光
813よろつよの ためしにそつく たなかみや あきのはつほの なかひこのいね隆教
814とかへりの はなさきぬらし まつやまの こすゑをたかみ つもるしらゆき忠光
815いちしようの みのりをたもつ ひとのみそ みよのほとけの しとはなりける日吉十禅師
816うめのきの かれたるえたに とりのゐて はなさけさけと なくそわりなき清水観音
817うめのはな いろをもかをも みのりとは さとりひらけて みるひとそみる祐性
818よをいのる はるのはしめの のりなれは きみかみゆきの あとはありけり師継
819ともしひの ひかりをさして こたへすは みのりのはなを たれかまちみむ慈円
820いまそしる みのりのはなも ふるきよに ためしありける ひとのをしへを雅縁
821くちせしな たへなるのりの はなかつら なかきよかけて たのむちきりは万秋門院
822をりえても こころゆるすな やまさくら さそふあらしの ありもこそすれ仏国
823いそのかみ ふるののさくら はることに しるもしらぬも たつねてそとふ重阿
824むらさきの くものむかへを まつのとに こころをとほく かくるふちなみ慈澄
825なつころも のりのためにと ぬきつれは けふはすすしき みとそなりぬる顕仲(源顕房男)
826うすくこき みのりのはなの いろはみな ひとつはちすの みとそなりぬる秀茂
827このよより はちすのいとに むすほほれ にしにこころの ひくわかみかな良経(九条兼実男)
828きえぬへき いのちをつゆの かことにて おなしはちすと ちきりおくかな通成
829そてのうへに あたにむすひし しらつゆや うらなるたまの しるへなるらむ後鳥羽院
830にこりえも かけみるはかり すみかへて みつこそつきの こころなりけれ光吉
831いつまてか まよふこころの くまことに みのりのつきの かけをかくさむ慶運
832おもふより こころのやみも はれぬへし わしのたかねに ありあけのつき宮内卿(後鳥羽院)
833さためなく ゆきかふそらの うきくもに こころまよはす ありあけのつき為理
834いるつきを したふこころの まことあらは ふたたひてらす かけはみてまし高範
835たかのやま そのあかつきを ちきりきて ここにもおなし つきやすむらむ宋縁
836つきはいり あさひはまたき なかそらの くらきにまとふ ひとそかなしき清輔
837なにとなく なみたのたまや こほれけむ みねのこのみを ひろふたもとに寂然
838かみなつき しくれふりおける みのりとて ならのみやこに のこることのは後嵯峨院
839ことのはを よそにもらすな ふくかせは よものこすゑを なほさそふとも道雅/道我
840はるかなる よものこすゑの ふゆこもり いかてさくへき はなとみゆらむ玄円
841みなひとの こころこころそ しられける ゆきふみわけて とふもとはぬも雅経
842むかしをも さやかにそみる いつるひに むかふひかりの くもりなけれは慈円
843とりのねも きこえぬやまに きたれとも まことのみちは なほとほきかな仲実
844むくひある みとはしらすや うきことの のかれぬままに よをうらむらむ盛徳
845いかにして さとるみのりの みちとたに まよひのうちは しるかたもなし為藤
846とにかくに みつのくるまの わかれても ひとつみちにや めくりあふらむ永助法親王
847みなひとの ゆきてうまるる やとりこそ うきよのさかの にしにありけれ後小松院
848ことはには みつととけとも ひとすちに まことをいたす こころなりけり後嵯峨院
849うつつとも いととたのまし としつきの すきにしかたは ゆめとなるよに道深法親王
850なかきよの ゆめはいかてか さまさまし おとするつゑに かからさりせは小弁
851なかきよの ゆめをゆめそと しるきみや さめてまよへる ひとをたすけむ高弁
852ゆめのうちに てらすひかりの なかりせは うきよのやみの いつかはるへき実瑜
853をののえも くちやしぬらむ わしのやま しはしとおもふ のりのむしろに経賢
854にしのうみ みちひくしほに まかせつつ われとはさらぬ のりのはやふね基家
855つらきをも うきをもしのふ おもひこそ こころのみちの まことなりけれ季保
856みるたひに いととなみたや ますかかみ むかしにもあらぬ かけにむかひて永縁
857しらすなる きよきかかみに うつりなは むかしにかはる かけもなけかし読人不知
858つくりこし つみをともにて しるひとも なくなくこゆる してのやまみち宣旨(二条院)
859へたつなよ つひにはにしと たのむみの こころをやとす やまのはのくも為相
860やまのはの いりひをかへす たもとにも にしにこころを かくるとそみし頓阿
861やまのはの いりひをいかて かへしけむ われたににしに いそくこころを具行
862ひろさはの よよのなかれを いかにして せはきそてにも うけはしめけむ道我
863かかくへき すゑのひかりを おもふそよ つたへしのちの のりのともしひ道助/通助
864のりのふね ここをとまりと さためけむ かみのちかひは けふのためかも道意(二条良基男)
865いまそしる えたをつらぬる このもとに さとりひらけし おやのこころは為定(御子左二条為道男)
866まよひこし こころのやみを しるへにて こをおもふみちに つきをみるかな玄覚
867あらきうみ きひしきやまの なかなれと たへなるのりは へたてさりけり俊成(藤原俊忠男)
868むかしきく わしのたかねの みねのくも けふのみのりの そらにみるかな道慶
869かひなしな ひとをわたさぬ のりのふね うきよのきしを こきはなれても明魏
870なかめつる はなももみちも ちりはてて こころのいろそ いまはむなしき読人不知
871すすしやと かはせのなみに たちよれは もゆるおもひの みつからそうき道玄
872さとりえぬ こころのやみの うつつこそ ゆめにまされる まよひなりけれ杲守
873はかなしと なにおもひけむ ねぬるよの ゆめそまことの しるへなりける公明
874くもりなく こころのちりを はらひてそ まよひしほとの やみははるけし宰相典侍(後宇多院)
875とほからぬ もとのさとりの みやことり こととふひとの なきそかなしき読人不知
876たかのやま うきよのゆめも さめぬへし そのあかつきを まつのあらしに元可
877ほのかなる くものあなたの ふえのねも きけはほとけの みのりなりけり俊成(藤原俊忠男)
878みのためと おもひていてぬ みちなれは こころはひとを そむきやはする寂然
879かきなかす のりのみつこそ うれしけれ こころのあかを すすくとおもへは季経
880くりかへし おもひつつけて なけくかな なにとまよひを しつのをたまき義持
881あつまちに たつひをたにも しらせねは ころものせきの あるそかひなき顕綱
882あふことの あらしにまかふ をふねゆゑ とまるわれさへ こかれぬるかな師輔
883あはつのの くすのすゑはの かへるまて ありやはつへき つゆのいのちは顕輔
884わかれにし ひとやはかへる あさちはら まねくをはなは よそめはかりそ隆房
885ゆくすゑに いきのまつはら なかりせは なににいのちを かけてまたまし俊頼(源経信男)
886みやこにも ひさしくいきの まつはらの あらはあふよを まちもしてまし周防内侍
887おもひいてよ こよひのつきの ひかりをは たれもくもゐの よそになるとも実叡
888たひころも みやこのつきの おくらすは なにかわかれの かたみならまし頓阿
889いなはやま みねたちわかれ ゆくくもの かへらむほとは まつとたのめよ雅縁
890をしとおもふ こころやきみに たちそひて しらぬなみちを ともにゆくへき実宣
891まつほとの いつともしらぬ わかれちに そふるあふきの なをたのむかな紀伊(祐子内親王家)
892わかれてふ なこそつらけれ たひころも たちはなれては ひかすへすとも俊成(藤原俊忠男)
893うみやまを はるのかすみに へたててむ こころつくしそ かねてしらるる寂身
894うみやまの なみのいくへは かすむとも たのむこころの みちしかよはは読人不知
895たひころも たちおくれしと したふまに たむけぬつきも かけそいさよふ資有
896なからへむ みのはかなさも しらなみの たちかへれとも えこそちきらね行能
897わかそてに かかるなみたを ととめおきて ふねはのとかに こきやゆくらむ成尋母
898あひみむと おもふこころは ふかけれと われやなくなく またすなりなむ成尋母
899こころをは きみにたくふる たひなれは われもととまる ここちやはする重如(山口)
900しぬはかり まことになけく みちならは いのちとともに のひよとそおもふあこ(傀儡)
901しまかくれ こきゆくまても みるへきに またきへたつる はるのかすみか国基
902あふことを なににいのらむ かみなつき をりわひしくも わかれぬるかな則長(橘則光男)
903おもひやれ あかつきことの わかれたに くれをまつまは いかかかなしき教長
904なそもかく わかれそめけむ ひたちなる かしまのおひの うらめしのよや俊頼(源経信男)
905なにことも おもひもしらぬ みなれとも をしきはけふの わかれなりけり親隆
906わかるるも とまるもおなし みやきのの このしたつゆは かさもとりあへす長能
907かへりきて みるへきみとも たのまねは けふのわかれの あはれなるかな顕仲(源顕房男)
908あすしらぬ みをたのむこそ あやふけれ しはしとおもふ わかれなれとも四条(安嘉門院)
909われにあらぬ ひとのたむくる ぬさなれと いのりそそふる とくかへれとて冷泉院
910きみひとり をしむおもひに くらふれは やそうちひとの たむけなにそも助信
911いとへとも うきよのほかに ならぬみを たちはなるとは おもはさらなむ上東門院
912やまのはは とほくなるとも おほそらの くもまのつきを あふきてはみよ下野(四条太皇太后宮)
913うゑおきて はなのみやこへ かへりなは こひしかるへき をみなへしかな粛子内親王
914たひひとの あかつきいそく せきのとは とりのねよりや あけはしむらむ為氏
915あふさかの ゆふつけとりは たひひとの たつをわかれと ねをやなくらむ邦省親王
916よをこめて こゆるせきちの とりのねや いそくにつけて とほさかるらむ盛家
917さとのなも なかなかとはて ゆきくるる ほとをかきりに いそくたひかな為盛
918ゆきくれて ひとよやとかる まつかねに なにとあらしの とこはらふらむ下野(後鳥羽院)
919かへりみて ゆきもやられす たひのそら みやこのやまの のこるかきりは頓阿
920はるのよの つきはところも わかねとも なほすみなれし やとそこひしき和泉式部
921はるをあさみ たひのまくらに むすふへき くさはもわかき ころにもあるかな恵慶
922きりふかき やまのしつくや つもるらむ いはねにたえぬ こけのしたみつ道昭
923かりしくも うすきをはなの たもとかな まつかねさむき つゆのまくらに後小松院
924やとれつき つゆわけきつる たひころも たちしみやこの わすれかたみに後崇光院
925ふるさとを おもひやりつつ なかむれは こころひとつに くもるつきかけ登蓮
926ありあけの つきかけみれは すききつる たひのひかすそ そらにしらるる登蓮
927こえくらす やまわけころも さらてたに ほさぬたもとに ふるしくれかな時清
928おもひやる なみたなからや しくるらむ みやこのかたの やまのはのそら読人不知
929いととしく なけかしきよを かみなつき たひのそらにも ふるしくれかな増基
930たひころも いととひかたき よるのあめに やまのはとほく ましらなくなり師継
931すすかやま うまやつたひに せきこえて いくかになりぬ ふるさとのそら祖月
932かへりみる くものいつこか それならむ しらすつきひを ふるさとのそら氏数
933ゆくすゑも なほかさなれる やまのはの くものいつくを あすはこえまし円照
934こえなはと おもひしみねに きてみれは なほゆくすゑも やまちなりけり素暹
935みやこおもふ そてもかたかた ほしあへす あへのしまやま つゆふかくして通具
936きのふまて くものあなたに みしやまの いはねにこよひ ころもかたしく良経(九条兼実男)
937わけまよふ たかねのくもを ふるさとの ひかすにそへて なほやへたてむ宗継
938けふもたた くるるはかりを かきりにて まつゆきとまる むさしののはら頼豊
939つきにこそ またさそはるれ さらてたに こころもとめぬ くさのまくらに雅縁
940ふるさとに おもふひとなき たひたにも くさのまくらは つゆけからすや兼実
941かりねする をかのささやの ふしうきも わかふるさとと おもはましかは光正
942すみうきも こころとまるも はかなきは ひとよのたひの やとりなりけり行久
943あふひとも またしらかはの せきこえて あきかせふくと たれにつてまし光俊(平)
944きよみかた せきのとならて ゆふしほの ささぬさきにと いそくたひひと実継
945たひころも たつしらなみを よそにみて われそこえゆく すゑのまつやま実量
946くれやらて ひかけはなほも たかしやま おもふとまりや すきてゆかまし雅孝
947くれかかる やまのしたみち わけゆけは くもこそかへれ あふひとはなし尊円法親王
948ましはたく けふりのすゑを たつねきて やととふやまの くれそさひしき後伏見院
949みやまちや ゆふこえくれは さとみえて こなたかなたに けふりたつなり基忠(鷹司兼平男)
950まつらやま ゆふこえくれは たましまの さとのつつきに たつけふりかな忠房親王
951こえくれて ひとりやねなむ さととほき やまのかけちの こけのさむしろ公豊
952むかしたに むかしといひし うつのやま こえてそしのふ つたのしたみち雅世
953うつのやま こえしむかしの あとふりて つたのかれはに あきかせそふく良経(九条兼実男)
954みやこにや ことつてやらむ たひころも ひもゆふくれの うつのやまこえ宋親
955あしひきの やまのしつくの つゆをたに ほさてかたしく たひのころもて経朝
956かつらきや よそにおもひし みねのくも たもとにわくる あきのゆふくれ秀能(藤原秀宗男)
957くれぬまに わけつるくもは あともなし つきにそこゆる みねのかけはし実教
958なかきよの さよのなかやま あけやらて つきにあさたつ あきのたひひと雅経
959うつのやま つきたにもらぬ つたのいほに ゆめちたえたる かせのおとかな家隆
960あつまのの ささやのとこの かりまくら ふしもならはぬ よをかさねつつ為氏
961あつまのの をかやかりしき さぬるよに つきふけゆけは みやこしそおもふ定為
962くさまくら わかふるさとの ほかにまた とほつあすかの みやここひしも尭孝
963ゆくすゑを くさのまくらに いそけとも なほふるさとに かへるゆめかな雅宗
964いかにねて みやこのゆめも みしまのの あさちかりしく つゆのたまくら杲守
965わけわひし のもせのくさの まくらより あとよりむすふ そてのつゆかな瑞禅
966ものおもふ たひねのくさの まくらより いろつきそむる のへのあきかせ家清
967むさしのは けふもはてなく ゆきくれぬ またやむすはむ くさのまくらを読人不知
968むさしのを けふこそわけて かきりなく とほくきにける たひはしらるれ為定(御子左二条為道男)
969かへるさを おもへはひさし あつまちや すゑたにのこる たひのひかすに経嗣
970ふるさとは そなたとはかり みてたにも あかぬやまちを くもなへたてそ大納言典侍(後嵯峨院)
971それとしも こえゆくほとは みえわかて すきつるあとは みねのしらくも公俊
972あけはまた ゆくへきみちと おもひねの ゆめにそこゆる さよのなかやま義宝
973くさまくら ゆふつゆはらふ ささのはの みやまもさやに いくよしをれぬ定家
974くさまくら ねられぬままの ありあけに つきをともとそ いそきたちぬる国平
975けふもまた かさなるやまを こえくれて くものそこなる いりあひのかね後宇多院
976こえくれて はやさとちかく なりにけり やまちのすゑの いりあひのかね公雄
977こえかぬる いはねのみちに やととへは なほやまふかき かねのおとかな為藤
978やつはしを ゆくひとことに とひみはや くもてにたれを こひわたるそと上総(堀河院中宮)
979しるらめや みやこをたひに なしはては なほあつまちに とまるこころを堪覚
980あつまちに きみかこころは とまれとも われもみやこの かたをなかめむ侍従(傀儡)
981なかれいつる なみたはかりを さきたてて ゐせきのやまを けふこゆるかな道命
982くさまくら おもひねにみる ふるさとの ひとはいかなる ゆめむすふらむ尭尋
983みやこおもふ のへのかりいほの たひころも これやうきよの つゆのしたふし公時(藤原実国男)
984ふるさとを よふかくいてし おもかけの つきにたちそふ たひのそらかな経賢
985たひころも すそののをはな つゆわけて そてにみたるる つきのかけかな行忠(度会)
986こまなつむ いはきのやまを こえかねて ひともこぬみの はまにかもねむ定家
987あはれなる みやきかはらの たひねかな かたしくそてに うつらなくなり季経
988さととほき とりのやこゑも ほのかなり やまちのつきの あけかたのそら実伊
989ほのかなる のてらのかねの こゑまても あはれにたへぬ あきのたひひと左京大夫(永陽門院)
990おきなれて あけぬとやしる とりのねも きこえぬやまを いそくたひひと通成
991あへのしま うのすむいしに よるなみの まなくこのころ みやこおもほゆ読人不知
992ふるさとの ひとのおもかけ つきにみて つゆわけあかす まののかやはら宗尊親王
993かりねする ゐなのささはら うきふしも しらてやこよひ つきにあかさむ満詮
994つきもなほ おなしやととふ かけならは くさのまくらの つゆははらはし経賢
995たひねする あしのこやにて みるときも おもかはりせぬ あきのつきかな経信
996こくふねや とほさかるらむ かへりみる いそへのまつを こゆるしらなみ覚誉法親王
997ふるさとは うらよりうらに へたたりぬ あとなきなみの やへのしほかせ定為
998みねのくも いそへのなみは かはれとも なほふるさとの おもかけそたつ為家
999すみよしと きくにこころは ととまるを いかなるなみの たちかへるらむ成仲
1000まとろまぬ うきねのなみの まくらにも みるおもかけは みやこなりけり公宗母
1001とまやかた しほたれあかす こよひかな あまのかるもを ひしきものにて仲綱
1002ききあかす かねのみさきの うきまくら ゆめちもなみに いくよへたてぬ義重(斯波義将男)
1003うきねして きけはあしやの うらかせに ひまこそなけれ おきつしらなみ読人不知
1004なみかくる をしまかいその かちまくら こころしてふけ やへのしほかせ有家(藤原重家男)
1005ちとりなく よさのうらかせ こころせよ みやここひしき たひのねさめに隆信
1006わかこひは あまのたくもの したもえて またほのめかす ほともなきかな清輔
1007たてそむる あしのしのやの ゆふけふり やかてひまなき おもひにそたく雅永
1008いかなれは かつかつものを おもふらむ なこりもなくそ われはかなしき俊子
1009おもひかは いはまのなみの うちつけに せきあへぬそての たまそくたくる後小松院
1010みにはまた ならはぬものを あやしくも ききしににたる そてのうへかな季能
1011しられしな しのひのをかの はつくさの はつかなるより もゆるおもひは公忠(藤原実忠男)
1012けふこそは きみをみあれの あふひくさ おもひかけつと しらせそめぬれ経家(六条重家男)
1013いかにせむ とやまのまつの はつしくれ のちもつれなき いろにみえなは雲雅
1014おもひそむる もりのこのはの はつしくれ しくるとたにも ひとにしらせむ土御門院
1015なひかすは いかにせむとか すまのあまの たくものけふり おもひたつらむ兼良
1016つれなくて やみなむのちの くやしさに おもひそめても えこそもらさね俊定(藤原経俊男)
1017みたれあしの ほのみしまえを ゆくふねの やかてこころに かかるしらなみ公保
1018いろにこそ いつとなけれと むらさきの ひともとゆゑに おもひそめてき能因
1019ひとめみし かたちのをのに かるくさの つかのまもなと わすれさるらむ範政
1020おもひそむる こころのいろの ひとしほに いくたひそての まつしをるらむ公重(西園寺実衡男)
1021しるらめや ほのかにみえし みかつきの そらにもひとを こひわたるとは行家(藤原知家男)
1022しるらめや やとのこすゑを ふきかはす かせにつけても おもふこころを俊成(藤原俊忠男)
1023ふくかせの たよりありとも めにみえぬ こころのいろを いかかたくへむ直明王
1024なにかその こころのほかに しをりせむ たちかへるへき こひちならねは実房
1025あくかれて わかみにそはぬ こころこそ こひのたたちの しるへなりけれ俊長
1026みすやいかに ゆきのしたなる おもひたに もゆれはもゆる ふしのけふりを為重
1027ふしのねに たえぬけふりも こころせよ わかしたもえの おもひあるよに実雄
1028いかにせむ ふしのねにこそ たてねとも そてにおもひの たえぬけふりを継尊
1029ひとめもる こころのうちの せきなれは ゆくもかへるも たれかいさめむ実氏
1030みちのくの ころものせきか ひとしれぬ なみたおさふる われかたもとは寂照
1031いひいてむ ことのはならて せめてたた なみたはかりを もらすまもかな為敦
1032まくらさへ うきぬはかりに なりにけり よるをひとまと ゆるすなみたに為連
1033しるらめや のへのわかくさ したもえて きえあへぬゆきの ひまをまつとは蓮生法師
1034おもひのみ ますたのいけの みかくれに しらぬあやめの ねにみたれつつ順徳院
1035さてもいかに いはかきぬまの あやめくさ あやめもしらぬ そてのたまみつ後鳥羽院
1036さてもまた ひとしれすのみ きえわひぬ みしまかくれの あまのいさりひ知家
1037ひきまゆの いとかくみをも つつますは こひしきのみそ なけきならまし宣旨(六条院)
1038うしとても おもひもたえぬ ものゆゑに さのみつらさを ひとにかたらし俊恵
1039もらさねは またつれなさも みえぬより なにゆゑそての かくしをるらむ直義
1040こころにそ なほせきかへす なみたかは そてにもおちは ひとやしるとて忠房親王
1041しられしな かすみのうらに こくふねの ほのかにかよふ こころありとも後花園院
1042しられしな しのふのやまの はつしくれ こころのおくに そむるもみちは明魏
1043ゆきかよふ こころあれはと なくさめて いととしのふの やまのしたみち義運
1044ひまそなき しのふのやまの ゆふしくれ いはてとしふる そてのなみたを満意
1045ましはこる しつのつまきと なのらせて われひとしれぬ おもひにそたく俊成(藤原俊忠男)
1046うらむなよ よそのひとめを つつむとて こころのほかに とはぬつきひを宗尊親王
1047きえぬへき つゆたにかけし しのふくさ こころはかりの したのみたれは為家
1048いはてのみ ものおもふひとの そてなれや しのふのくさに むすふしらつゆ資忠(藤原資信男)
1049ひとめのみ しのふのつゆの おきもせす ねもせぬこひに みたれてそふる煕貴
1050さてもまた なつのにおふる さゆりはの しられぬつゆは ほすかたもなし信実
1051よひのまは くさはのつゆに ことよせつ ひるのたもとを いかかしのはむ成通
1052みくさかる あらののすすき うらわかみ またほにいてぬ ものをこそおもへ秀茂
1053しのすすき あきのさかりの つゆよりも ほにいてぬまの そてをみせはや国助
1054ほにいてて かよふとまては みえすとも まねくをはなの そてとたにしれ頼益
1055こやのいけの みくさにしつむ あしのはの したにそそての くちはてぬへき秀能(藤原秀宗男)
1056いけみつの ふかきこころを としふとも いひいたさすは いかてもらさむ永縁
1057みさひえの そこのたまもの みたるとも しらるなひとに ふかきこころを兼好
1058ねにたてぬ かりはのききす さのみやは おのかありかを しのひはつへき実甚
1059あしひきの やましたみつの わきかへり いろにはいてし こかくれてのみ後鳥羽院
1060わかこひは またしるひとも しらすけの まののあきはき つゆももらすな良経(九条兼実男)
1061なみかかる そてとなみせそ いそやまの いはもとすけの ねにはたつとも善節
1062しらせはや おのれくたけて よしのかは いはうつなみの いはぬおもひを経嗣
1063いつよりか いもせのなかに おちそめて よしののたきを そてにせくらむ後小松院
1064はしたかの はやまかくれの つゆなれや しられぬこひに おつるなみたは実遠(藤原季雄男)
1065あしひきの やまよりをちに ゐるくもの おもひきゆとも ひとしらめやは資季
1066あたなりや あさゐるみねの しらくもの しられぬひとに おもひきえなは資平
1067ひとしれぬ みをのそまきの いつまてか つれなきかたに こころひかまし後花園院
1068わたらても ぬるるとならは なとりかは かけてこそみめ そてのしからみ有忠
1069たまもかる いせをのあまの そてならは ぬるともひとは とかめさらまし重家
1070すまのあまに あらぬうきみも いつまてか そてほしわふと こたへたにせむ満祐
1071しのひかね しほひもしらぬ なみのおとを なほふきよする そてのうらかせ教実
1072しのふくさ はすゑのつゆの みたれあひて きえはきゆへき かきりをそまつ後小松院
1073しくるるを おさふるそての したもみち みえぬちしほは とふひともなし信実
1074しのふたに くるしきものを あらはれて のちのうきなを いかになけかむ行忠(藤原)
1075ひとしれぬ こひにはみをも えそなけぬ ととまらむなを せめておもへは紀伊(一宮)
1076あひおもふ こころまてこそ かたからめ うきなをせめて もらさすもかな読人不知
1077つゆたにも もらさしとおもふ ことのはを みねのあらしに まかすへしやは大弐三位
1078きえわひぬ つゆもなみたも いろにいてて とふへきほとの ちきりならねは永観
1079うかるへき ひとのこころも しらぬまに しのふはかりそ おもひなりける実性
1080なほさりに つつむこころも みえやせむ おさふるそての なみたもらさは為定(御子左二条為道男)
1081せきあへぬ そてよりおちて うきことの かすにもあまる たきのしらたま為遠
1082しられしと ひろははそてに はかなくも おつるなみたの たまやみたれむ雅世
1083せきとめて つきみるほとの なみたさへ あまれはそてに かけもたまらす永能
1084たれゆゑの そてのなみたと しられすは やとるはかりの つきはいとはし基隆(藤原基成男)
1085つきをたに みるとはみえし ものおもふ わかいねかてを ひともこそしれ経賢
1086なにゆゑに なかむるつきの くもるらむ そらにしられぬ そてのしくれを宰相典侍(後宇多院)
1087こひころも いろにはいてし しもとゆふ まさきのつなの よるのしくれに道家
1088おもひそめし いろはかはらし みつとりの あをはのやまは なほしくるとも隆親(藤原隆衡男)
1089しらつゆも もるてふやまの したそめに たえぬなけきの いろやみゆらむ基任
1090おもひあれは つれなきいろも かはりけり えやはいはねの まつのしたつゆ通光
1091ほにいてて いさみたれなむ いとすすき しのふからにそ ひともつれなき公重(西園寺実衡男)
1092よしさらは おさふるそての つゆはかり もらしそめてや こころをもみむ定為
1093いまはたた ひとのうきなそ しのはるる みはなからへむ いのちならねは光正
1094ふしのねに けふりもゆきも としふりて きえぬおもひの ほとそしらるる雅言
1095ふしのねに たえぬはなほも けふりにて わかみひとつそ けなはけぬへき高国
1096いまはとて いろにいつとも としつきの こころにそめし ほとはしられし義将
1097おもへとも いはねはこそと なくさめて なからへにける われそつれなき光俊(平)
1098つれなきも ひとめゆゑそと なくさめて しのふそこひの いのちなりける道平
1099そてのいろを おもひもしるや としをへて われのみつつむ なみたならねは満季
1100たつねいらむ みちもしられぬ しのふやま そてはかりこそ しをりなりけれ俊成(藤原俊忠男)
1101さりともと たつねこしちの かひもなく あとをたにみて かへるやまかな雅兼
1102たつねかね ゆきけむかたも しらくもの こころそらなる こひもするかな為忠(長良流藤原知信男)
1103たのめこし さとのしるへも とひかねて みぬめのよそに かへるなみかな定家
1104うきなかは くもゐのよその ほとときす きくよりやかて とほさかりつつ師嗣
1105おとはかは おとにきくより そてにはや せきいるるみつの ゆくかたもなし俊豊
1106おもへとも またみぬほとは みつしほに いりぬるいその ためしたになし兼宗
1107やまとりの はつをのかかみ かけをたに またみぬひとに こひつつそなく雅有
1108おもかけを よそにみつつや やまとりの はつをのかかみ へたてはつへき後小松院
1109かりにたに もしほのけふり なひかすは みるめのうらも かひやなからむ資教
1110みそつらき いせをのあまの やくしほも みるめかるまは こかれやはする国夏
1111わたつうみの おきつしほあひに かるくさの みるはかりにて あふよしはなみ雅成親王
1112ほのかにも ひとをみあれの あふひくさ こころにかけて こひぬひもなし秀茂
1113あふひてふ たたあらましの くさのなに かくるたのみも はかなかりけり章義門院
1114ひとよたに ねてこそゆかめ をみなへし つゆけきのへに そてはぬるとも範永
1115ささなみや よるへもしらす なりにけり あふはかたたの あまのすてふね道玄
1116めくりあはむ すゑをはしらて ひたちおひの かことたになき こひもするかな資平
1117おのつから あふよあらはの あらましも おもひたえぬる みのおもひかな通光
1118ゆめにたに みるよもなくて あくるよの かへすころもの そてのうらなみ家長(源時長男)
1119たえねとや するわさならし かたいとの しひてくれとも あはぬつらさは行家(藤原知家男)
1120ささわけし そてのためしの ぬれころも ほさていくよの みちしはのつゆ俊成女
1121よとともに きえぬおもひを しなのなる おなしけふりの あさましのみや家長(源時長男)
1122あすしらぬ なみたのたまの おのつから あはてやさても おもひたえなむ公雄
1123いかにせむ あたなるたまの おのれのみ あふにかへても ひとしとけすは良春
1124あふことに かへむとおもふ たまのをの たえぬはかりや たのみなるらむ尊円法親王
1125あふことは いなおほせとりの なきしより あきかせつらき ゆふくれのそら道助法親王
1126かりならぬ こころそそらに なきわたる くものよそなる ひとをこふとて読人不知
1127いかにせむ うきなをかへて かこつとも つらきこころの ひとをわかすは為定(御子左二条為道男)
1128あふことは なたのしほせに ゆくふねの いやとほさかる なかそかなしき宗尊親王
1129みをうらの あまのをふねも しるへせよ へたつるなかの やへのしほちに遠房
1130なけきつつ かたしくそてに くらふれは きよみかせきの なみはものかは師氏(藤原忠平男)
1131いつまてか せきのなにのみ あふさかを ききてかひなき おもひならまし境空
1132はしりゐの みつをはそてに かけなから いつらはひとに あふさかのせき公蔭
1133はかなくも なほあふさかと たのむかな へたつるなかの なをわすれつつ為経(甘露寺藤原資経男)
1134いとはるる わかみなこその せきのなは つれなきなかや はしめなるらむ為氏
1135こひわふる そてのみなとの なみまくら いくようきねの かすつもるらむ忠良
1136あふことも なきさのとまや いたつらに あれゆくなかは うらかせそふく読人不知
1137あまのすむ さととはきけと おきつなみ たちよるまても なきちきりかな経継
1138いたつらに けふりはかりそ なひきける あはてのうらの あまのいさりひ寂縁
1139ひとりねの ころもはうすき ちきりにて あはぬうらみの よをかさねける成国(祝部)
1140かたいとの ふしみのさとは なのみして あひみぬこひは よるそくるしき忠基(藤原高実男)
1141あふことは なほかたいとの よるのゆめ つらきためしに なとみたれけむ基家
1142あけぬまを たのむひとよの ちきりたに なほかけわふる くめのいははし長遠(菅原秀長男)
1143をはたたの いたたのはしと こほるるは わたらぬなかの なみたなりけり兼氏
1144さのみよも つらかれとては つらからし うきはうきみの とかにそありける経顕(藤原定資男)
1145とはぬよの つらきかすのみ つもりゆく まくらのちりの みをなけくかな定親
1146はかなくも さすかあふよを たのむかな うきにをしまぬ いのちなれとも冬平
1147つきひのみ うつりにけりな つれもなき こころのはなは いろもかはらて元秀
1148なけきわひ よそにつきひは くれたけの またふしなれぬ ひとにこひつつ実継
1149うきふしに またかへるとも せめてたた ひとよはなひけ いささむらたけ読人不知
1150このよには つれなきこひに みをかへて なかくやはれぬ やみにまよはむ少将内侍(後醍醐院)
1151むくひあらは われもつれなき みとなりて こむよもひとに あはしとやする浄意
1152つらかりし いまのむくひに のちまても むなしきなかの ちきりをそみる重吉
1153こひしなむ のちもこころの かはらすは このよならても ものやおもはむ為子(従二位)
1154つひにさて あはてこのよを すくしては たかつれなさの なをかのこさむ公宗母
1155ひのひかり あひみてきえむ あさつゆの きえぬさきにも あひみてしかな実頼
1156このよには ひとことしけし こむよにも あはむわかせこ いまならすとも高田女王
1157ひとしれす われこひしなは あちきなく いつれのかみに なきなおほせむ業平
1158こひしなむ あとにもなほそ のこるへき けふりにそはぬ うきななりせは為理
1159あさゆふに よとのかはをさ さすさての さてこひしなむ のちのよもうし村基
1160これそいま まさしやむくひ あるみとも わかさきのよを しらはうらみし雅有
1161しらせはや あふにしかへむ とはかりの たれゆゑならぬ いのちなかさを公雄
1162こひしなは あはぬためしに なりぬとも のちのよとたに おもはましかは実房
1163こひしなむ みこそをしけれ くやしとも つれなきひとの おもひしらすは頓阿
1164みをしれは なほこそうけれ いつのよに つれなかりける むくひなるらむ宗久
1165こひしなは もえむけふりを ひともみよ きみかかたにそ なほもなひかむ資隆
1166こひしなて なほつれなきや うきひとの こころにならふ いのちなるらむ道嗣
1167こひしぬと いひてもへぬる としつきの いのちやひとに うたかはるらむ胤行女
1168こひしなは くやしかるへき のちのよと しりなからこそ そてはぬれけれ康頼
1169よしさらは われもつれなく なからへて つらきこころの はてをたにみむ有高
1170おなしよに ありときかれし つれなくて たのむとなほや ひとのおもはむ師氏(平常顕男)
1171おなしよに ありときくたに つれなきに こひしなむみの はてそかなしき経継
1172あはれけに こころにかかる あまくもの よそにやひとを おもひきえなむ実雄
1173いかにせむ こころへたつる うきくもの うきにつけても かかるおもひを公忠(藤原実忠男)
1174うちとけよ たにのをかはの うすこほり つかはぬをしの したのおもひに有房(源顕仲男)
1175なけきつつ ひとりやさねむ あしへゆく かものはかひも しもさゆるよに明魏
1176あまのとを あけぬとつくる とりのねも ひとりぬるよは さもあらはあれ家房
1177つれなしや いのるとすれと うきことの ありしにこゆる かみのいかきは実雅
1178たのましな いのるにつけて うきなかの たむけにあける かみのこころは為明
1179ひとしれぬ わかねきことを たのむとも いさやよるへの みつのこころは慶運
1180うきなかを かけていのらむ かみしまや いそまのうらの なみのしらゆふ尊円法親王
1181あふことを いのちにかへて いのらはや かみもあはれと おもふはかりに基嗣
1182あふことを かきりとおもふ いのちをは なかかれとしも いのらぬものを為信
1183なからへて あれはそものも おもふみを あひみむまてと なにいのるらむ為子(贈従三位)
1184みそきかは あふせはよそに なりにけり つれなきひとを かみやうくらむ実教
1185いのりきて あふせしなくは きふねかは かみもむなしき なをやなかさむ義教
1186きふねかは みそきにそては くちぬとも なみのしらゆふ なほやかけまし資任
1187きふねかは あふせもなみに せしみそき はてはなみたの たまそちりかふ定顕(叡山横川宝蔵坊)
1188みそきする わかなかかはの おほぬさは つひによるせや あふせなるらむ寂身/寂真
1189みそきをは いかにうけけむ おほぬさの よるせもしらぬ みのちきりかな為敦
1190ゆふたすき かけてつれなき ちきりゆゑ かみもなひかぬ ほとそしらるる宣子(従一位)
1191こひせしと せしみそきこそ うけすとも あふせはゆるせ かものかはなみ実継
1192みのとかに おもひなすこそ こひせしの みそきをうくる しるしなりけれ雅縁
1193いかにせむ かみのうけける みそきとて みしおもかけも わすれはてなは兼好
1194すみよしの まつはいのるも かひなきに よしさはしけれ こひわすれくさ澄覚法親王
1195いせのあまの しほたれころも なれてたに あかぬみるめに みたれてそふる教定(飛鳥井雅経男)
1196なれてこそ こころにかかれ たまたれの みすはわするる ひまもあらまし後嵯峨院
1197よそなから いははあはれも かけぬへし なかなかうとき みとやなりなむ師郷
1198あさゆふに うきおもかけを みなれさを さすかにさてや なくさみやせむ隆信
1199みるからに ひとのこころそ くまれぬる あさきためしの やまのゐのみつ親清
1200たのましな そこのこころを しらぬまの うきみにふかき おもひありとも為顕
1201おとはかは いひわたらすは いはなみの たちゐにものは おもはさらまし寂念
1202つつめとも せきしあへねは なみたかは しらせそめつる けふにもあるかな頼政
1203ひとこころ いまはわさたの ほになれは いなはのつゆの おもひけぬへし素性
1204うちとくる こころのおくも みえぬるに しのふのやまそ へたてなりける直義
1205つひにさて いろやかはらむ たのめおく ひとのことのは ときはならすは為定(御子左二条為道男)
1206ちきりおく すゑのはらのの あつさゆみ ひきわかるとも たえむなかかは実教
1207ことのはを なほやたのまむ あたひとの こころのはなは うつろひぬとも崇賢門院
1208たまのをの なかきよまては ちきらしよ ひとのこころも あすしらぬみに道嗣
1209ものおもはぬ ひとたにあすを しらぬよに のちとはいかて ちきりおくらむ覚誉法親王
1210たのまむと おもふにつけて いつはりの あるよそつらき ひとのことのは有忠
1211むすひおく ちきりそつらき しらいとの くるしやなにに みたれそめけむ隆教
1212やすらひに たのめていてし あとしあれは なほまつものを にはのよもきふ良経(九条兼実男)
1213あとたえて はてはあさちに なりぬとも たのめしやとの むかしわするな保季
1214つれなくて いくあきかせを ちきりきぬ きさやまかけの まつとせしまに順徳院
1215なほさりに おもひなしてや たのめけむ うきにたへたる いのちなかさを雅世
1216わするなよ さすかちきりを かはしまに へたつるとしの なみはこゆとも尭孝
1217しらなみの かけしちきりを わするなよ またことうらに こころよすとも為子(従二位)
1218わするなよ ちきりしすゑを まつらかた ひれふるやまは へたてはつとも栄仁親王
1219さてもまた とほやまとりの おのつから まてとちきりし ほとそすきゆく成実(藤原親実男)
1220いつはりの ありやなしやの ゆくすゑも なからへはこそ おもひあはせめ少将内侍(後醍醐院)
1221はるかなる ひとまつほとは しのふれと しるくやみゆる わかころもては好忠
1222まちわふる こよひやいろに いてぬらむ またひとしれぬ ちきりなれとも和氏
1223このくれも とはれむことは よもきふの すゑはのかせの あきのはけしさ読人不知
1224をきのおとも さそあらましの ゆふくれに まくらのちりを はらふあきかせ蓮生法師
1225つきをのみ まつへきものを ひたすらに たのめぬくれと おもはましかは実忠
1226いかにせむ こぬよあまたの そてのつゆに つきをのみまつ ゆふくれのそら後鳥羽院
1227いまはたた こぬよあまたの さよふけて またしとおもふに まつかせのこゑ雅経
1228わひつつも えやはねらるる おのつから たのむるよはの あめのつらさに按察(鷹司院)
1229わひつつも ぬるよのあめに たれかまた さはらぬものと ひとをまつらむ重氏
1230いととまた さはりこそせめ なほさりに たのめしよひの むらさめのそら公豊
1231ぬれつつも われやゆかむの よひのあめに やすらふほとを とふひともかな兼良
1232よしさらは とはれぬよはの むらさめを さはるになして なくさみもせむ公冬
1233ぬれつつも とふへきひとの こころかは そをたにくもれ むらさめのそら雅親
1234なほさりの ちきりはかりを たのみにて またいつはりの くれやまたまし雅朝
1235ふちなみの よるとたのめし ことのはを まつにかかりて ひをくらすかな成仲
1236いかかせむ こころくらへに なりはてて とはれすとはぬ ゆふくれのそら定為
1237いたつらに われやあかさむ まつひとの まつよふけぬと おとろかさすは直親
1238まちわふる わかこころにや ふけぬらむ なかむれはなほ よひのつきかけ雲雅
1239こひしさは つかのまたにも わりなきを いまふたよまて ひとりねよとや重家
1240とはぬよの つもるにつけて かはらしと いひしはかりを なほたのむかな満親
1241こぬよはの つもれるちりや わかなかに のちはいもせの やまとならまし成光(祝部成国男)
1242こぬひとを なほこりすまに まつやまは いくよなみこす ちきりなるらむ兼好
1243よなよなを かさねてそなほ しられぬる まちよわるみも こころつよさも雅世
1244いつはりと おもひはすてし まつことの つもらはひとの とひもこそすれ雅孝
1245ふけぬとも なほこそまため われたにも いひしちきりを いかかわすれむ尊円法親王
1246ふけてたに なほそまたるる せきもりの うちぬるひまを ひとやとふとて実量
1247よひよひの わかかよひちを へたつとも ふけてはゆるす せきもりもかな為季(長良流藤原為盛男)
1248うきなかに なもむつましき あふさかの せきちはゆるせ たひならすとも為遠
1249かくはかり ひとのかたむる あふさかを いかてこころの ゆきかへるらむ保憲女
1250くるるまの おそきをたにも なけくみの なほつらかれと ふくるよはかな頼之
1251ちきりしを まちつるよひの てすさひに かきなすことの ねそふけにける師継
1252ひとはいさ かはらぬいろに ちきりおきて わかまつかせの おとそふけゆく為之
1253かならすと いひしもいさや たのまれす まつよふけゆく とこのやまかせ宣子(従一位)
1254たのめつつ きみかこぬよの ころもてや まちかねやまの しつくなるらむ成通
1255ふけぬれと まきのいたとの さすかなほ あけはてぬまは またれすもなし宣子(従三位藤原)
1256たまさかに ちきりしよはも またふけぬ またれぬかねを おとつれにして為相
1257こぬひとの うきをもしらぬ かねのおとに ふけぬとまては うらみさらまし為藤
1258たのめおきし ひともきまさぬ あきのよは またとりのねを まつかくるしさ俊恵
1259ひとめには またぬになせと よもすから さてもいまはの とりのねそうき崇光院
1260おもひやれ あきのよすから ねさめして なけきあかせる そてのしつくを三河内侍(二条院)
1261いつよりか あふひとからと かこたまし まつほとにたに あけやすきよを頓阿
1262ふけぬるも ならひあれはと またれつる ほとにもすきて つきそかたふく冬平
1263あちきなく たのめぬつきの かけもうし いひしはかりの ありあけのそら忠良
1264なかつきの ありあけのつきは いてにけり こひしきひとは かけもみえねと為仲(橘義通男)
1265まつひとは こぬものゆゑに はなすすき ほにいててねたき こひもするかな実朝
1266かたしきの そてゆくみつの うすこほり おもひくたけて いくよねぬらむ忠定(藤原兼宗男)
1267きふねかは かみにいのりし あふせこそ なかれてふかき なかとなりけれ忠守
1268ゆくすゑの ちきりそしらぬ みしめなは なひくまてこそ かみはうくとも経賢
1269ちきりあれは いまあふさかも こえてけり せきよわかれの さはりともなれ永助法親王
1270たのますは しかまのかちの いろをみよ あひそめてこそ ふかくなるなれ俊成(藤原俊忠男)
1271あふことは ゆめにのみこそ またれしか うつつまてとは おもはさりしを俊恵
1272ゆめならて あひみつるかな さよころも こよひうらみぬ つまをかさねて有房(六条通有男)
1273こよひこそ うきをもうしと いふへきに わすれてとくる なかのしたひも雅縁
1274もらすなよ したゆふひもの とけそめて またもむすはぬ ちきりもそある万秋門院
1275つれなさに たえけるよりも したひもの とけてこころは むすほほれつつ為敦
1276あらいその なみのしたなる なひきもの なひくになほそ おもひみたるる義詮
1277つれなさを うらみしよりも かはるなと ゆくすゑおもふ いまそくるしき覚誉法親王
1278なみたかは ゆくすゑたのむ あふせにそ いのちをかくる そてのしからみ実忠
1279あふよさへ ぬるるたもとに ゆくすゑの ちきりたのまぬ ほとやみゆらむ深守法親王
1280あふよさへ ものおもへとや ゆくすゑを さたかにひとの ちきらさるらむ公忠(藤原実忠男)
1281かはくちの せきのあらかき あふことは まとほなりとも こころへたつな雅有
1282たちかへり またやへたてむ こよひさへ こころもとけぬ したひものせき公名
1283とりのねの つらきはかりを うつつにて ゆめにそこゆる あふさかのせき貞国
1284なからへて またもあひみむ このままの ちきりにかへぬ いのちともかな為子(贈従三位)
1285うらみわひ かたみにしほる たもとかな たかことわりの なみたなるらむ光吉
1286もろともに みてしもかなし よはのつき のちしのふへき かけとおもへは実経女
1287いかはかり あひみむよはを かさねてか わかむつことの かきりしられむ為冬
1288のちのよと やかてこよひや ちきらまし あふにかへむと いのりこしみを清空
1289あふことを いまはかきりと おもふには いのちもともに たえぬへきかな頼輔
1290おもへとも みをしわけねは ひとかたは こころのほかの よかれをそする教長
1291うらむなよ ひとめをなけく をりをりは わかこころなる よかれならぬを後二条院
1292われはたた こむよのやみも さもあらはあれ きみたにおなし みちにまよはは長明
1293おもふたに けぬへきものを あさつゆの おきわかれなは なにここちせむ知家
1294いまさらに つつむもつらき わかれより をしとおもふよを なほやのこさむ後光厳院
1295たえてなほ おもふそつらき いまはとて わかるるときに のこるいのちは光俊(葉室光親男)
1296をりをりの つらさをなにに わすれきて いまはたしたふ わかれなるらむ経氏
1297これとても みにそひはてむ かたみかは おきわかれゆく そてのつきかけ忠嗣
1298おきわかれ かへるなみたの そてのうへに またふかきよの つきそのこれる慈忠
1299きぬきぬの そてのなみたに かけとめて つきもわかるる ありあけのそら読人不知
1300いきてまた めくりやあはむ かくはかり つらきわかれの ありあけのつき公泰
1301あふことに かへむといひし ままならは なかきわかれと とりやなくらむ浄弁
1302みをしれは これをかきりの わかれそと いくあかつきか したひきぬらむ高範
1303ゆきめくり なほこのよにと たのむかな いのちをかきる わかれならねは持世
1304こひしなむ わかれをこそは なけきしか おもへはうれし きぬきぬのそら国夏
1305ふかきよの わかれといひて まきのとの あけぬにかへる みとはしられし為定(御子左二条為道男)
1306かきくらす なみたのひまの あらはこそ いまのわかれの おもかけもみめ冷泉(花園院)
1307むつことも またつきかけの ふかきよに なにいそくらむ ひとのわかれち治仁王
1308ありあけの つれなきよりも うきものは とりのねまたぬ わかれなりけり雅平女
1309かこたむと おもひしとりの こゑをさへ またてそいそく ひとのわかれち義将
1310さてもなほ ひとはわかれを いそくかと とりのねきかぬ あかつきもかな匡遠
1311わかれちを ことはのこらす したへとや かねてはとりの おとろかすらむ慶運
1312うたてなと ことはのこりて あくるよに ゆふつけとりは ねをつくすらむ定顕(叡山横川宝蔵坊)
1313あくるまの かねをもまたぬ つらさかな よふかきとりの こゑにわかれて為相
1314おのつから まとろむほとに わすらるる こひをゆめこそ おとろかしつれ越前(嘉陽門院)
1315ゆめちにも よるはこえしと みるはかり まくらのちりよ やまとたになれ隆祐
1316くやしくそ たたときのまの うたたねに またみぬゆめを むすひそめける為兼
1317うつつまて なこりにそへて うきものは ほとなきゆめの ちきりなりけり雅家
1318おもひねに わかこころから みるゆめも あふよはひとの なさけなりけり忠良
1319うらみわひ うちぬるほとの たまくらに あふとみえつる ゆめをしそおもふ茂成
1320みてもまた あとなきゆめの ちきりをは たかうきなかに むすひそめけむ信空
1321こころこそ ゆきてはかへれ あふとみる ゆめちはたれに いさなはれけむ頓宗
1322よしやその さむるわかれは つらくとも みるほとたにも ゆめとしらすは祐臣
1323かねのおとに あふとみえつる ゆめさめて こぬひとにさへ わかれぬるかな義詮
1324さむしろや あたりさひしき ねさめして ゆめのわかれも つゆけかりけり良平
1325はかなくて さめにしゆめの わかれまて おもへはつらし ありあけのつき澄覚母
1326ひとりぬる とほやまとりの ちきりたに かさなるみねを へたてやはする頓阿
1327なかめやる そなたのそらは つれなくて ひとりしくるる さよのなかやま保綱
1328まくらとて いくよのくさを むすひても いつかはきみに あふさかのせき丹後(宜秋門院)
1329いかにせむ せめてはたひの そらたのめ むなしくまたむ ゆふくれもかな家衡
1330わすれしの ちきりはかりを むすひてや あはむひまての のへのゆふつゆ雅経
1331いのちやは あたのおほのの くさまくら はかなきゆめも をしからぬみを順徳院
1332つらしとも けさはたれにか かたらまし みしよのゆめの うつつならすは実氏
1333ゆふくれを たのむなさけの のこらすは けさそかきりの いのちならまし茂重
1334おもひあまり またとたのめし ことのはや くれまつほとの いのちならまし賢雅
1335けさもなほ とりなかすはと かこつかな かへるはひとの つらさなれとも成胤
1336あはてたに としへぬるみの いつのまに けさのわかれを したひわふらむ実勝
1337よもすから つらさをむすふ したひもの たれにとけてか けさはみゆらむ蓮生法師
1338またむすふ ちきりもしらて きえかへる のかみのつゆの しののめのそら後小松院
1339こひこひて よるはあふみの あさつまに きみもなきさと いふはまことか為忠(長良流藤原知信男)
1340こひこひて あふになくさむ ならひとも わかれをしらぬ ひとやいひけむ伊長
1341ゆきやらて さそまよひけむ しらつゆの おきわかれにし あけくれのそら宗宣(北条宣時男)
1342たちかへり あふよまてなほ ほさてみよ わかれしままの そてのうらなみ資明
1343わかれしは つらきなからの おもかけや しひてまたねの ゆめにみゆらむ実清(三条西公時男)
1344まとろまぬ けさのまたねの とこにたに つらきわかれは ゆめかとそおもふ宗泰(藤原宗重男)
1345あふことは あとたにもなき しらくもの そらにのみたつ なをいかにせむ公相
1346かつらきや たかまのくもの いかにして よそなるなかの なにはたつらむ為世(御子左藤原為氏男)
1347いもせやま おもはぬなかに ゆくみつの たかつらさより なをなかすらむ資宣
1348いかにせむ たつなはかりは たかしまや みをのそまきの しけきおもひを実冬女
1349かしはきの もりてうきなに たちぬるや もえしけふりの はしめなりけむ読人不知
1350いまそなほ まさるなみたの たまかしは もにうつもれて なになけきけむ親雅
1351なみたこそ こころにかなふ ものならね おさふるそての なとゆるしけむ定資
1352ひとしれぬ そてにさへなほ つつみしを いかてよにもる なみたなるらむ公豊
1353いかなれは いろにいてても あはれとは ひとにしられぬ なみたなるらむ具行
1354そてにたに せかれぬものは なみたより ほかにもりぬる うきななりけり禅守
1355なみたをは あやなくそてに せきとめて うきなはかりや よそにもるらむ崇賢門院
1356なかそらに なすなよふしの ゆふけふり たつなにかへて おもふわかみを義教
1357うきなのみ たかせのよとの こもまくら かはさぬなかに なほやみたれむ雅永
1358なきなのみ たつことやすき あしかもの さわくいりえの みつからそうき忠定(藤原兼宗男)
1359いつはりの あるをならひに さのみなと なきなをさへに ひとのたつらむ之盛
1360いととしく くちぬるそてに ぬれきぬを ひきかさねても なけくころかな俊頼(源経信男)
1361いかにせむ しのふとすれと ねにたてて あさののききす かくれなきみを読人不知
1362ひとしれぬ をはなかもとは なかなかに かれにしのちそ あらはれにける慶運
1363おとにきく たこのうらなみ それならて こひすてふなの たたぬひそなき静仁法親王
1364くちねたた みらくすくなき うきなのみ よにみつしほの なみのしたくさ経嗣
1365たれとなく よせてはかへる なみまくら うきたるふねの あともとまらて良経(九条兼実男)
1366あすかかは かはるつらさの うきせより やかてなみたの ふちとなりぬる為秀
1367あすかかは みつもまさらて かはるこそ ひとのこころの うきせなりけれ成光(祝部成国男)
1368かきやれと こころのすゑの とほらぬは ちきりやあさき みつくきのあと雅久
1369ふかからぬ ちきりなからの かけたにも なとやまのゐに みえすなりけむ内経
1370みさこゐる いりえのみつは あさけれと たえぬをひとの こころともかな堀河(待賢門院)
1371いまはたた あたちのまゆみ ひくてにも かはるこころの ほとそしらるる但馬(藻壁門院)
1372うきみのみ おもひそよわる あつさゆみ ひくかたつよき ひとのこころに経顕(藤原定資男)
1373あふことを いつとかまたむ いろかはる ひとのこころの あきのはきはら義運
1374しもむすふ まかきにのこる ふゆくさの かれもしぬへき ちきりなりけり読人不知
1375おのつから こころにもあらぬ たえまかと かはるをみても なほたのむかな一条(万秋門院)
1376ひとこころ こなたかなたに よるいとの たたひとすちに たのむはかなさ宝城
1377よそにのみ おもひすてても かなしきは またぬゆふへの いりあひのかね為理
1378いつまてか こころつくしと なりにけむ わかみひとつに のこるゆふくれ資教
1379いまはみに おもひすてにし ゆふくれの ならひもしらぬ にはのまつかせ祐臣
1380ゆめにたに あひみぬなかを のちのよの やみのうつつに またやしたはむ慶運
1381おもひせく なみたのかはの よとはあれと たえむいのちの しからみそなき惟賢
1382しぬはかり おもふといへと めにみえぬ こころなれはや ひとのたのまぬ寂身
1383おなしくは おもふこころの おくのうみを ひとにしらせて しつみはてなむ義教
1384きみたにも せきととめすは よしのかは なかれてはやく すみもしてまし顕仲母
1385あらたまの としかへるまて あひみねは こころもしのに おもほゆるかな家持
1386あひみては はやみとせにも なりにけり ひとひもふへき ここちやはせし匡衡
1387なほさりの たまつさをたに まちもみす くもゐのかりの みたひくるまて頓阿
1388おほつかな たかこころより とけてまた むすほほれけむ よはのしたひも四条(安嘉門院)
1389くもりゆく かかみのかけは とほさかる ひとのこころの みゆるなりけり尊胤法親王
1390ますかかみ うつりやすきは こころにて ともにみしよの おもかけそなき尊道法親王
1391うつりゆく ひとのこころは しらくもの たえてつれなき ちきりなりけり良経(九条兼実男)
1392へたてゆく ひとのこころの おくにこそ またしらかはの せきはありけれ満元
1393かきたえて へたつるなかと なりにけり みしたまつさの もしのせきもり読人不知
1394いかなれは またたちかへり まよふらむ あふをかきりと ききしこひちに実継
1395たちかへり またしたふへき かたそなき うきみしられし のちのつらさは深守法親王
1396たちかへり さてこひしなは あふことに かへしいのちと おもひこそせめ杲守
1397なからへて いまさらなけく いのちこそ あふにかへたる つらさなりけれ雅親
1398いかさまに うらみよとてか あひみての のちさへひとの つれなかるらむ忠景
1399あたになと かはりはすらむ あひみるも このよひとつの ちきりならぬに直義
1400うかりける そのよのゆめを うつつにて うらむるほとの ちきりともかな実躬
1401かくしつつ うきみきえなは ありしよの ゆめをはかなみ あはれとをみよ公経(藤原実宗男)
1402つゆのみの そのあかつきに きえすして たえぬうらみに むすほほれつつ良平
1403いまはたた かさねしさての うつりかも こころのうちに のこるはかりそ通成
1404またれしを かはるつらさと おもふまに やかてこぬよの つもりはてぬる弁内侍(後深草院)
1405かきりそと わかれしときに いはぬこそ おもへはひとの なさけなりけれ読人不知
1406いろみえて うつろふひとの こころより はなはつれなき ものとしりにき成実(藤原親実男)
1407たけくまの まつほとすきて とはぬかな むかしはみきと おもひいてすや為忠(御子左二条為藤男)
1408よそなから ふるかはのへに たつすきも またあひみしと ちきりやはせし為藤
1409つれなくて またもあひみぬ ちきりさへ うきなにたてる ふたもとのすき定親
1410みるめさへ たえにしのちは あまのすむ さとそといひて とふかひもなし為遠
1411いせのうみの つりのうけなは たえぬれと またきえやらぬ あまのいさりひ教実
1412ちかひてし ひとのいのちの かなしきは たのむこころや なほのこるらむ覚助法親王
1413あふことを またとたのみて かへさりし いのちくやしき みのちきりかな国冬
1414おもひかは かけみしみつの うすこほり かさなるよはの つきもうらめし家隆
1415ほともなく なかれそとまる あふせかは かはるこころや ゐせきなるらむ盛方
1416もろともに ちりうちはらひ ねしとこの おもかけのこる よはのさむしろ宗宣(北条宣時男)
1417きぬきぬに かこちしとりの したりをの そのままなかき ねにやたてまし雅縁
1418かひなしや そをたにのちの かたみとも おもはぬなかに かけはなれなは雅永
1419かひなしや にはひのかけに みしひとの わすれぬことの しるへはかりは親清女妹
1420こひをのみ しつのをたまき としをへて またくりかへし あふよしもかな実冬(藤原公光男)
1421ありしよを みはてぬゆめの まくらにも なほうらめしき かねのおとかな通親
1422あひみしは ありしうつつを かきりにて いまはゆめにも ことのはそなき教実
1423しのふへき おもかけたにも みにそはす ありしひとよの やみのうつつは杲守
1424あたにのみ みしはひとよの たまくらに かへるゆめちの なとなかるらむ蘊堅(薀堅)
1425あふとみる ゆめやむかしの ゆめならぬ うきひとりねは もとのみにして持之
1426いまはよし なれしはかりは あらすとも なほさりにたに とふよはもかな為秀/為藤
1427ありしよの おもかけのこる つきにさへ なみたくもりて とほさかりぬる頼之
1428ありしよの ゆめはなこりも なきものを またおとろかす やまのはのつき基綱(藤原基清男)
1429なけきわひ せめてそのよを したへとや わすれしかけの つきにそふらむ為道
1430さらにまた なみたそくもる もろともに みしおもかけや つきにそふらむ談天門院
1431みるほとそ しはしなくさむ なけきつつ ねぬよのそらの ありあけのつき俊成女
1432つきみても なくさむかたそ なかりける たのまぬよはの ありあけのそら寂蓮
1433おもひいては たかなみたにも くもるらむ ちきりしつきの おなしかたみに読人不知
1434もろともに みしはむかしの そてのうへに いまはなみたを かこつつきかな読人不知
1435ありあけの つきをそのよの かたみにて なくさむほとの ちきりたになし光経
1436いまはよも あふにもかへし いたつらに をしまてすてむ おいのいのちは公雄
1437あふことを まつとはなしに としもへぬ おもひたえよと いはぬたのみに公宗母
1438あふことは いつをまてとも ちきらぬに なにをたのみに なからふるみそ小宰相(徽安門院)
1439かくはかり おもひたえにし としつきの うきにまきれす ひとのこひしき顕朝
1440なからへむ ちきりのほとも しらたまの をたえのはしに かけてこひつつ賢俊
1441さりともと こころなかくや たのままし わかたまのをの あらむかきりは師嗣
1442いろかはる のちをたにとへ としのをに かけしなみたの たまはいかにと為重
1443としつきの ひとのちきりも あらぬよに なほいつまてと のこるいのちそ義持
1444たくひなき わかなけきさへ としふりぬ みののをやまの まつとせしまに実雅
1445としつきを ふるのわさたの いまさらに ほにいててひとを こひむものかは雅言
1446かかみやま としへぬるみと なりにけり うつりしなかに ものおもふとて経氏
1447さのみやは うきにとしへむ うきくさの ねもみぬひとを おもひたえなて知家
1448あきはきの したははよそに みしかとも ひとりねむとは おもはさりしを貫之
1449ものそおもふ したはいろつく はきのとの あくるいくよも いねかてにして頓阿
1450わきもこか きぬにはすらし まはきはら うつろふいろに ならひもそする兼良
1451あたひとの こころのはなは をられねは にほひをのこす なこりたにせし大輔(殷富門院)
1452をみなへし たをるそてこそ にほひぬれ うしろめたしと いもやとかめむ通俊
1453みをしらて さのみうらみし ことのはそ わするるなかの はしめなりける公忠(藤原実忠男)
1454はかなしや つらきはさらに つらからて おもはぬひとを なほおもふみは性助法親王
1455きのふといひ けふととはすは あすかかは あすやなみたの ふちとならまし経嗣
1456としもへぬ なみたのつゆの たまのをよ こなたかなたに おもひみたれて義将
1457としをへて おもひけりとも しるはかり かはるなみたの いろをみせはや新右衛門督(中務卿宗尊親王家)
1458ひくかたに ひとのこころは つきゆみの おもひかへさぬ なかそくるしき尊氏
1459われはかり わするるよなく なけけとや うきおもかけを なほのこすらむ為定(御子左二条為道男)
1460きみはかく わすれかひこそ ひろひけれ うらなきものは わかこころかな左近(三条院女蔵人)
1461おなしよに またつれなくて ありやとも いつまてひとの おもひいてけむ為子(贈従三位)
1462きくもうし こころのたねの わすれくさ いつよりかよに なをのこしけむ定為
1463かたみとや いまはいはまの わすれみつ むすひしそての ぬるるはかりを守遍
1464なほそうき われもわすれむ とはかりに おもひとちめぬ こころよわさは茂重
1465よそになる ひとのこころの うきくもや いもせのやまの へたてなるらむ資明
1466いへはなほ ひとこそうけれ いくよしも あらしわかみを なとわするらむ定円(葉室光俊男)
1467わすれしと いひしちきりや おのつから おもひもいては くやしかるらむ浄弁
1468なほさりに なかむへしやは わすられて ものおもふころの ゆふくれのそら素明
1469おもひわひ うちぬるひまの かたけれは ゆめもよかるる とこのうへかな惟明親王
1470はかなくそ よるはすからに おきゐつつ まくらたにせて ひとをこひける為世(御子左藤原為氏男)
1471ひとりのみ ぬるをならひの たまくらに すきまのかせは いとふよもなし尭尋
1472おなしよの たのみはかりの なくさめも かひなきほとの みをいとふかな進子内親王
1473ひとはなと かはりはてなて なかなかに つもるよかれを おとろかすらむ読人不知
1474かくやはと なにかうらみむ うしとても いひしにたかふ こころならすは顕朝
1475おしかへし なほやうらみむ あつさゆみ われにはひかぬ こころつよさを実躬
1476おしかへし うらみてもみむ つらかりし ひとのこころの かはりもそする貞秀
1477つれなきに おもひたえなて なほこふる わかこころをそ いまはうらむる兼房
1478つらしとも いははしたふに なりぬへし なかなかひとを うらみたにせし吉子(従三位)
1479うらみても またたちかへり したふかな おもふにまくる こころよわさは定宗(藤原家親男)
1480うきせのみ まさるなみたの かはやしろ ほさぬころもの うらみわひつつ杲守
1481さのみまた うらみしもせし したひもの したのこころの とけぬかきりは頼秀
1482みせはやと おもふなみたも ことのはも うらみそめては えこそととめね為信
1483ことのはを つくしてのちは たちかへり みをしるかひも なきうらみかな慶運
1484たれかなほ つらさはまさる あまのすむ さとのしるへを ともにたつねて為世(御子左藤原為氏男)
1485ことのはは うきにつけても なきものを かこつやあさき こころなるらむ為藤
1486みにしらぬ つらさなれはや たちかへり われをもひとの なほかこつらむ為定(御子左二条為道男)
1487なにゆゑに うらみもすらむ わかみこそ うきをもうしと おもひそめしに道我
1488おもかけは わすれかたみに なからへて わかためつらき よはのつきかな為氏
1489まちえても ひとのちきりそ うかりける おなしうらみの やまのはのつき教定(飛鳥井雅経男)
1490ちきりのみ あさかのぬまの あやめくさ ふかきうらみに ねこそなかるれ遠久
1491あまころも なほいかならむ しほくまぬ みにたにぬるる そてのうらなみ忠房親王
1492あまのすむ さとのしるへを うらみても ゆくかたしらす たつけふりかな成実(藤原親実男)
1493みにつもる うらみはさても あまのすむ さとのしるへや こころなるらむ通成
1494つらからは かれなてあまの さのみなと みをうらなみに そてぬらすらむ国助
1495うらみても なほたのむかな みをつくし ふかきえにある しるしとおもへは俊成(藤原俊忠男)
1496たくひなく つれなきひとは さておきて いけるわかみの うらめしきかな大輔(殷富門院)
1497みくまのの うらのはまゆふ うらみても つらきこころを いくへとかしる教実
1498うきみから ひとをつらしと しりぬれは ことわりなくも おつるなみたか甲斐(四条宮)
1499かりそめの たえまをさへや うらむへき ことわりなきは なみたのみかは俊頼(源経信男)
1500あはちしま とわたるふねの かちまにも われはわすれす きみをしそおもふ赤人
1501こころうき ものにそありける はるかすみ たなひくときに こひのしけきは坂上郎女
1502とへかしな なみたのとこに ふしわふる わかかたしきの そてのうらなみ実家女
1503つれなさを うらみよとてや ときはやま したはふくすに かせのふくらむ素暹
1504こころにも かなはさりける よのなかに うきめはみしと おもひけるかな小町
1505あまひとの たまもかりほす そてのうらに われたちぬれぬ なみのよるよる進子内親王
1506おきつしま とまるをふねの いかりなは いかてくるしき ほとをしらせむ為家
1507あたひとの こころそみえぬ わかそてに せきいれておとす たきはあれとも基家
1508うかりつる ひとのこころの たきつせに おちそふものは なみたなりけり尭尋
1509つらしとて おもひかへらぬ わかこひや なかるるみつの こころなるらむ教長
1510いまよりは なにをたのみに なからへむ なほいつはりも いのちなりけり嗣継
1511いかにせむ わすれわひぬる こひしさの みをしはなれぬ こころよわさを隆博
1512ひとしれす みにしむいろや くれなゐの なみたになるる そてのあきかせ親清
1513さてもうき たかこころとて ふくからに わかみをしをる あきのあらしそ読人不知
1514そてにもる なみたのはてよ しらたまか なにそはつゆの ちきりたになき満輔
1515まつかせの あやしきときは めにみえぬ ひとをあはれと おもふなりけり師輔
1516あきかせは はやふきたちぬ とはかりや こひせぬひとは よそにきくらむ俊恵
1517わかこひは ゆくかたもなき なかめより むなしきそらに あきかせそふく慈円
1518おもひのみ ますみのかかみ せめてさは うきおもかけは のこらすもかな通敏
1519まことにや ひとのくるには たえにけむ いくののさとの なつひきのいと兼房
1520あさなあさな くさはにしろく おくつゆの きえはともにと いひしきみはも読人不知
1521あはれなと いまはかけみぬ うもれみつ なかれてなほも そてぬらすらむ公相
1522おちつもる このはかくれの わすれみつ すむともみえす たえまのみして伊勢大輔
1523なかなかに たえぬるあとの わすれみつ よにすむとたに ひとにしられし公顕
1524かたみとて ととめもおかぬ おもかけを わすれはてしと おもふはかなさ雅孝
1525ひとかたに つれなきよりも つらきかな いまさらかはる ひとのこころは為尹
1526かはるてふ たねとしならは わすれくさ わすれてもまた ひとのとへかし慶深
1527あたにのみ ちかひしことの なりゆくは かみをもひとや わすれはつらむ忠房親王
1528つれなさに いひたえにしを いけみつの つつみあへぬは なみたなりけり定頼
1529なみたかは あふせもやかて たえはてぬ ひとめはかりを せくとせしまに公泰
1530としつきの つもるうらみを かこつまに いやとほさかる なかとなるらむ頼之
1531いまはとて おもひたえたる よこくもの わかれしそらそ かたみなりける秀能(藤原秀宗男)
1532ふけしよの つらさににたる つきかけも いつまてまちし かたみなりけむ経忠(藤原家平男)
1533たのめしは よよのちきりに なりはてて かたみのつきそ そてにのこれる行房
1534ちきりしも あらぬこのよに すむつきや むかしのそての なみたとふらむ実冬(藤原公忠男)
1535なきなそと いひはてよとや つつみこし ちきりのすゑは とほさかるらむ為遠
1536ちきらすよ せくもひとめを おもひかは あさきになして かけたえむとは元康
1537わかことく おもひはいつや やまのはの つきかけをみて なけくこころを敦道親王
1538たえはてし ひとのこころそ なみたかは なほみなかみの はしめなりける実氏
1539うきたひに これそかきりと かこちしは はかなくたのむ こころなりけり兼好
1540まれにこし うらみはいまそ あさちはら あとたえはつる ひとのちきりに持之
1541かよひこし あとたにみえぬ まくすはら なほわかかたは あきかせそふく読人不知
1542いつはりの うきをうらみし ゆふくれの こひしきまてに なりにけるかな隆博
1543こまのあしも つまつくとてや あをつつら くるよもしらぬ なかとなりけむ為盛
1544こぬまても さすかまたれし まきのとに やすらふほとの なくさみもなし良実
1545うきなをも よそになしてや なくさめむ われをふるせる あきのゆふくれ隆敦/隆親(藤原隆衡男)
1546さりともと まちしたのみの ゆふくれも いつよりよそに おもひたえけむ為氏
1547いつまてか まちわたりけむ たのめしも むかしかたりの ゆめのうきはし資平
1548とはれしは むかしかたりの ゆふくれに おもひもいれぬ をきのうはかせ知家
1549かれにけり ひとのこころの あきかせに はてはなけきの もりのことのは秀茂
1550たまさかに あふことのはも かれぬれは ふゆこそこひの かきりなりけれ俊忠
1551はつしもの をかのかけくさ かりにのみ かよひしあとは やかてかれにき為家
1552なかなかに またたのまるる よなりけり かはるへしとも ちきりやはせし具親
1553あとたえて ふかきなみたの いろまても とはれぬやまの あきそかなしき後鳥羽院
1554ひとこころ をたえのはしに たちかへり このはふりしく あきのかよひち定家
1555くちのこる いたたのはしも かよふよに たえにしなかは なににかけまし持基
1556おのつから くるとみしまに みちのくの とつなのはしの なかはたえにき為明
1557たえはつる ひとのちきりの かたいとは よるとてあはむ たのみたになし義重(斯波義将男)
1558あしかきの まちかくみえし かよひちは たかうきかたに へたてはつらむ一条(万秋門院)
1559をちこちの かせとそいまは なりなまし かひなきものは わかみなりけり朱雀院
1560はなよりも ちりちりになる みをしらて ちとせのはると たのみけるかな常陸乳母
1561つらしとや やまのさくらも おもふらむ しらすかほにて すくるはるかせ道命
1562おもはすよ はなをかたみの さかのやま ゆきにあととふ ちよのふるみち満元
1563つきかけの うきよにいてし けふしもあれ なとたらちねの くもかくれけむ雅有
1564ときしもあれ そてにうきねを かけそへて あめもなみたも はれぬそらかな高範
1565さみたれの そらもかきりは あるものを こころのやみの はるるまそなき顕頼
1566ほしわひぬ こそのなみたの ふちころも ころもわすれぬ さみたれのそら杲守
1567のこしおく あふきのかせも かなしきは わかれしくさの かけのしらつゆ後小松院
1568あきといへは たむけしことの ををたちて あらぬうきねに よをやつくさむ家綱女
1569なきひとの このよにかへる おもかけの あはれふけゆく あきのともしひ隆祐
1570くものうへに ゆくすゑとほく みしつきの ひかりきえぬと きくそかなしき右京大夫(建礼門院)
1571とへかしな かけをならへて むかしみし ひとなきよはの つきはいかにと良経(九条兼実男)
1572いにしへの かけなきやとに すむつきは こころをやりて とふとしらすや慈円
1573ふるさとに かはらすすめる つきみれは なほなきかけそ かなしかりける実伊
1574ききのいろも うつろひそめぬ はつしくれ さためなきよの なけきせしまに公時(藤原実継男)
1575ははそはら ちりしわかれを おもひいてて けふこのもとに いかかしくるる雅孝
1576ははそはら ちりしわかれに おとらめや けふこのもとの そてのしくれは宰相典侍(後宇多院)
1577むしのねを たつねしひとも ふゆくさの はてはのはらの けふりなりけり保綱
1578よのなかの すゑはにかかる つゆのみは もとのしつくを よそにやはみる宣旨(六条院)
1579くさのはら ふきこすかせの すゑのつゆ たまらてもろき よのならひかな茂重
1580はかなしや あたにいのちの つゆきえて のへにやたれも おくりおかれむ西行
1581とりへのの けふりのすゑも あはれなり いつかはとおもふ こころほそさに宋縁
1582なきあとに かけをたにやは ととむへき かへらぬみつの あわときえなは守覚法親王
1583たのみこし のりのみふねの つなてなは ひくひともなき あとのかなしさ行能
1584あすかかは あすともいかか たのむへき たたよのなかは ゆめのうきはし国冬
1585よのなかを はかなきゆめと ききなから いつまてさめぬ こころなるらむ邦省親王
1586なかなかに おとろかさしと おもへとも さむるよもなき ゆめそかなしき尊快法親王
1587うしとみし そのよのゆめの さめやらて おとろかすにそ うつつともしる公豪
1588おなしよに あるをみぬたに こひしきに ゆめとなりにし ひとのかなしさ兼直
1589なきかすの あはれのみそふ ゆめのよに おとろかぬみの はてそかなしき隆教
1590あととへは そてそつゆけき たらちねの をしへしにはの こけのかよひち公泰
1591ことわりと おもふはかりに なくさみぬ やそちあまりの おいのわかれは秀茂
1592わかれては なからふへくも なかりしに あれはあらるる うきみなりけり西蓮(尼)
1593つきひこそ あらぬそらなれ なきひとの おもかけのみそ かはらさりける斎宮女御
1594つくつくと おもへはこひし あるはなく なきはかすそふ ひとのおもかけ実伊
1595けふまては よそのあはれに ききなして なけくわかみも いくよかはへむ伊長
1596ききときく ひとはなくなる よのなかに けふもわかみは すきむとやする和泉式部
1597おもひやる こころはたちも おくれしを たたひとすちの けふりとやみし和泉式部
1598けふりたに たちもとまらて かきりある ひとのいのちの はてそかなしき広秀
1599うれしさの みにあまりぬる なみたこそ こけのしたにも つゆとおくらめ雅有
1600ここやさは つひのすみかと おもふにも またきつゆけき こけのうへかな師尚
1601あひおひの かけのくちきと おくれゐて ととせあまりは なにのこるらむ雅縁
1602くらゐやま あとはむかしに かへれとも かへらぬみちそ いまもかなしき義運
1603かきりとて いてしなかれに くらへても なかきわかれは なほそかなしき能清
1604ふえのねを なかきよまてに つたへすは むなしくなりし ひとやうらみむ寂恵
1605ともにこし みちはさなから うつのやま うつつもゆめと みるそかなしき頼業(宇都宮成綱男)
1606あさこほり とけにけらしな としのうちに くみてしらるる はるのわかみつ為家
1607つららゐて むすほほれたる たきのいとも はるのくるにそ とけわたりける清輔
1608あさみとり かすむをみれは しかのうらや かみよのまつに はるはきにけり成国(祝部)
1609はるははや こえぬるほとも みよしのの やまのはとほく たつかすみかな永行
1610けさのまは ひかりのとかに かすむひを ゆきけにかへす はるのゆふかせ順徳院
1611うちいてし なみのはつはな たちかへり たにかせさむく こほるはるかな禅守
1612きのうみや ゆらのみなとの あさほらけ かすみのそこに ふねこくらしも後小松院
1613すみよしの おきつしほあひは みえわかて かすみにうかふ あはちしまやま善成
1614はるきては あまのもしほの けふりまて かすみのうらの なにやたつらむ雅家
1615もしほやく けふりもおなし かすみえて くもゐにつつく うらのまつはら万代(後醍醐院女蔵人)
1616ふしのねは そこともみえす たこのうらの もしほのけふり そらにかすみて成茂
1617さほひめの ころもをたれに かすゐかた うらなみとほく たつかすみかな持賢
1618ましはたく けふりをこめて やまもとの さとあるかたは なほかすむなり為相
1619くれたけの そのよのはるは よそなから むかしわすれぬ うくひすのこゑ覚誉法親王
1620かすかのや おなしおとろの みちにのみ わかなをわれも としをつみつつ実名(藤原公脩男)
1621あさみとり のへのかすみや わかくさの したもえわたる けふりなるらむ公宗母
1622やまふかみ ひとこそとはね さきなはと いひしはかりの やとのうめかえ後亀山院
1623このもとを すきてそしらむ うめのはな さなからそてに うつるにほひは長方
1624いろもかも わすれしすみの ころもてに なにそはにほふ うめのしたかせ尋継
1625おともせて そてぬらせはや はるさめの ふるはなみたと ひとのいひけむ帥(鷹司院)
1626かはきしの かけゆくみつに うちなひき なみのたまぬく あをやきのいと行長
1627なにはえや もにあらはれぬ ひかりかな かすみてやとる はるのよのつき為子(贈従三位)
1628かこたしな はるやむかしの よはのつき わかみひとつに かすむかけかは詮信
1629こしかたに かへるはかたき よのなかを いかにならひて かりのゆくらむ宗尊親王
1630ちるはなも ねにこそかへれ こしちまて いかなるかりの おもひたつらむ実教
1631たかかたに ゆくともしらす みよしのの たのむのかりの はるのわかれは慶運
1632めくりあはむ あきをやそらに ちきるらむ みやこのつきに かへるかりかね宗秀(藤原宗泰男)
1633うゑたてて おもひおくこそ あはれなれ みさらむはるの はなのゆくすゑ氏久
1634さきやらぬ はなのこすゑは たかさこの まつをともとや つれなかるらむ直明王
1635よをすつる こころをやまの しをりにて よしののおくの はなやたつねむ宋縁
1636いつくとも しらぬやまちの はなのかに やへたつくもを わけやつくさむ則祐
1637わけつくす かきりありとも やまさくら あかぬこころの おくはしられし妙藤
1638よしさらは まかひもはてよ やまさくら さかりまてこそ くもかともみれ為量
1639あひみむと いそきしものを きみはさは はなゆゑのみや われをまちける小侍従(太皇太后宮)
1640よのなかは かくこそありけれ はなさかり やまかせふきて はるさめそふる頓阿
1641はなみるも くるしかりけり あをやきの いとよりよわき おいのちからは頼輔
1642わすれめや むよにつかへて はることに なれしくもゐの はなのおもかけ実躬
1643きみかすむ ここのかさねの はなさかり あらしのかせも きかぬはるかな秀長(菅原長綱男)
1644うらむへき かせたにふかて ちるはなの さらぬわかれも うきならひかな実意
1645ふかぬまも ひかすうつろふ はななれは かせよりあとに ちりやそふらむ国博
1646うきみをも なくさめつるに さくらはな いかにせよとか かくはちるらむ能因
1647しらなみの たつたのやまは はるかせに はなちるころの なにこそありけれ守遍
1648さくらはな このもとことに ふきためて おのかものとや かせのみるらむ兵衛(上西門院)
1649ゆくみつに なかるるはなの いろいろを わかかさしとは たれかみるらむ少将内侍(後深草院)
1650たにかはに ゆくせのはなは かへらねと おのかふるすに うくひすそなく信実
1651はるにあふ かたえをみても なけくかな はなさかぬみの をふのうらなし国助
1652あれはてて さひしきやとの にはなれは ひとりすみれの はなそさきける崇徳院
1653よしのかは はやくもはるの ゆくみつに かけさへうつる やまふきのはな顕氏(細川頼貞男)
1654はなちりて さひしきにはに たちかへり のきまてかかる はるのふちなみ通藤女
1655かみもいかに みかさのもりの ふちのはな おいのなみまて かくるたのみを実任
1656かすかやま こたかきまつに みえてけり かみよのはるを かくるふちなみ満輔
1657かすかやま よそになりぬる みにしあれと たちかへりみる きたのふちなみ道意(二条良基男)
1658いかはかり ときしるひとの をしむらむ われたになけく はるのわかれを雅成親王
1659としとしに あかてわかれし なこりまて かこちそへつる おいのはるかな慶運
1660あかすして わかるるそての はなそめに こころをかへぬ なつころもかな賢俊
1661ときしらぬ みをうのはなの かきねこそ はるをはよそに へたてはてけれ善成
1662ほとときす まつとせしまに ふけにけり ねぬよのとこの やまのはのつき成賢(祝部成茂男)
1663ほとときす なにはのことも かたらはて みしかきあしの よはそふけぬる師信
1664まつひとそ よそにくるしき ほとときす しのふこころの ほとはしらねと為定(御子左二条為道男)
1665ほとときす おのかさつきの ころたにも なにとしのふの もりになくらむ宗宣(藤原宗泰あるいは宗重男)
1666おのつから またぬよもなし ほとときす みはならはしの おいのねさめに成久
1667さのみなと つれなかるらむ ほとときす しのひはつへき はつねならぬに読人不知
1668こころなき ひともきけとや ほとときす いはきのやまに ねをはなくらむ読人不知
1669ゆふくれは なくねそらなる ほとときす くものはたてに たれをこふらむ氏久
1670いまはとて いなはのやまの ほとときす わすれかたみの ひとこゑもかな顕昭
1671そほちつつ ひきかくれとも かひなきは かすならぬまの あやめなりけり周防内侍
1672かみまつる みとしろをたに ひくしめの ゆふかくるまて とるさなへかな益久
1673なのみかる みちのしはくさ おいぬれは しけるにつけて たれかすさへむ雅縁
1674はるるかと さすかにみえて あまくもの よそになりゆく さみたれのそら善成
1675たかせさす うふねのかかり ほのほのと あけかたちかし みしかよのそら基冬
1676もしほやく あまのすみかの かやりひは わきてやたてぬ けふりなるらむ周清
1677うきくさの かせにたたよふ ぬまみつに かけさたまらて とふほたるかな為尹
1678けふそしる まとにあつめし なつむしの みをいたつらに なさぬものかは憲実
1679よるならて もゆともみえぬ ほたるかな いかにしのふる おもひなるらむ読人不知
1680ぬれてほす あまのころもの うらなみに みるめすくなき みしかよのつき雅世
1681そてせはき かとりのうらの あまころも やとるほとなく つきそあけゆく資雅
1682くれなゐの いろこそまされ ゆふつくひ さすやかきねの やまとなてしこ為親
1683あめふりて たまゐるつゆを はちすはの はなのひかりと おもひけるかな崇徳院
1684にこるとも すむともみえす はちすはの うきてひまなき にはのいけみつ親雅
1685えにふかき いつみのみつは ありなから むすはぬなつの いかてすきけむ出羽弁
1686ひをさふる ならのひろはに もりかへて こぬあきすすし もりのしたかせ善節
1687なくせみの はやますすしき ゆふくれに いててもうすき つきのかけかな仁杲
1688あめはるる とやまのききの ゆふかせに すすしくのこる せみのもろこゑ満輔
1689われのみと ねをやなくらむ うつせみの むなしきよとは たれもしれとも秀房
1690しはつやま かせふきすさふ ならのはに たえたえのこる ひくらしのこゑ守覚法親王
1691みたらしや むかしはわれも せしみそき こよひはかみも おもひいつらむ脩久
1692たつなみや あきをよすらむ みそきする けふからさきに かせそすすしき允仲
1693あさちふの をののしのはら かせそよき ひとしるらめや あきたちぬとも読人不知
1694あききぬと かみもしるらむ かたをかの もりのしたかせ おとかはりぬる夏久
1695あききぬと ほのみかつきの ひかりにそ かねてくまなき かけはしらるる通親
1696のきはなる このはのいろは おそけれと あきやとやまの かせそみにしむ教定(飛鳥井雅経男)
1697ねさめとふ なそなならひの かせもうし あきもむかしの あきならぬみに通具
1698おもふにも すきてあはれの きこゆるは をきのはみたる あきのゆふかせ西行
1699をきのはに おとつれそむる あきかせの ふかぬそてさへ つゆそこほるる和氏
1700かせふけは つゆこそおつれ をきのはに むすはぬゆめの いかてさむらむ通敏
1701おいらくの あきのねさめの なかきよに たへてきくへき をきのかせかは重有
1702たなはたも あはれとやみる としをへて かすてふいとの なからふるみを資宣
1703たなはたの ちきりしことや あまのかは みをはやなから かはらさるらむ国量
1704あきのよを ことそともなく あけぬとは たなはたつめや おもひしるらむ親子(典侍親子朝臣)
1705あきはきの はなすりころも うちしをれ ゆくてにかかる のへのゆふつゆ基之
1706したはまて いろつくのへの あきはきは はなにあまりて つゆやおくらむ遠村
1707をみなへし はなのしたひも うちとけて たれとふしみの のへにさくらむ道経
1708かけやとす くものいつくは しらねとも みるほともなき よひのいなつま経成(藤原経豊男)
1709そてのつゆも ふりそふねやの あきのあめに いととひかたき しきたへのとこ読人不知
1710あきのよの なかきおもひの くるしきは ねぬにはあけぬ ものにそありける高遠
1711おもひやる ひとたにあれな すみなれぬ さかののあきの つゆはいかにと後亀山院
1712いろいろに ちくさのはなの さきしより よをへてかはる にはのつきかけ義満
1713かせわたる ふるえのはきも はなちりて つきにそのこる みやきののつゆ義持
1714もりかねて つきもこころや つくすらむ みやまのまつの しけきこのまを雅明
1715くれわたる みねのまつはら ほのほのと このましられて つきそいさよふ公綱
1716はつせやま つきにさひしき かねのおとを ひはらにおくる よはのあきかせ経顕(荒木田)
1717さしのほる ひかりもきよし たきのうへの みふねのやまの あきのよのつき梵灯
1718あきかせの まつふくおとも うらさひて かみもこころや すみのえのつき宝密
1719ふねよはふ まののうらなみ はるはると つきもよわたる よとのつきはし尭尋
1720よるもなほ きそちのはしの あやふきを しらてやつきの すみわたるらむ義教
1721おもひいつる くもゐのつきの おもかけも よかはのみつに すましてそみる真縁
1722くもゐより なれにしつきの かひもなく みをてらすへき ときもすきぬる後小松院
1723なにことに つゆもこころの とまらまし つきをなかめぬ このよなりせは小侍従(太皇太后宮)
1724なれきつる ひともすくなき よのなかに のこりてあきの つきをみるかな基家
1725やまのはに かたふくつきを ととめおきて をしからぬみの かはらましかは有房(源顕仲男)
1726あはれとも おもひしらすは かひもあらし こころそつきの ひかりなりける光行
1727かみさひて いくよをすきぬ ふるさとと なりにしならの やまのはのつき光俊(葉室光親男)
1728なかつきや あきのうらみを かさねても またくもりぬる よはのつきかな光俊(葉室光親男)
1729つきのあきは なほなかつきと ちきりしを こよひもはれぬ わかこころかな兼直
1730むかしみし ほたるのかけは なにならて わかよのつきそ まとにかたふく実冬(藤原公忠男)
1731めくりあはむ たのみをつきに ちきりても わかよふけゆく あきそはかなき成見/盛見
1732いまそしる きみのひかりに きりはれて またみをてらす つきをみむとは雅縁
1733いまははや すみなれぬへき やまさとに なほあくかるる つきのかけかな俊定(藤原経俊男)
1734なかつきや つきもふけぬる かけみえて みをあきはつる みやまへのおく実音
1735なかつきや うきよのあきの つきみても ふかきみやまを おもひこそやれ実継
1736やまのはに つまとふしかの こゑなくは ひとりやつきの すみのほらまし国助
1737をくらやま みねたちならす ほとなれや つきのあたりの さをしかのこゑ宗仲
1738なきあかす おのかなみたの しくれにや ぬれてあさたつ さをしかのこゑ持春
1739ゆふくれは あきのさかのの しかのねに やまもとふかき つゆそこほるる忠定(藤原兼宗男)
1740しくれゆく とやまのくもに なくしかの おもひやはれぬ あきのゆふくれ後円融院
1741あきのたの かりそめなから むすふいほに なれていくよの さをしかのこゑ資広
1742はきかはな うつろふころや かすかのの わかむらさきの ころもうつらむ俊豊
1743なかつきの ありあけのつきに あきふけて うつおとさむし あさのさころも雅親
1744さむしろに しもをかさねて こよひもや ころもうつらむ うちのさとひと雅顕
1745はしひめの かたしきころも たちこめて まつよをたとる うちのかはきり兼煕
1746たとふへき かたこそなけれ まつかえに ゆふきりわたる あまのはしたて為忠(長良流藤原知信男)
1747はれやらぬ ゆふへのそらの あききりに さなからくるる をちのやまさと経継
1748あさほらけ のさはのきりの たえまより たつしらさきの こゑのさむけさ忠良
1749くすのはを ふくゆふかせに うらふれて たこのいりのに うつらなくなり孝広/季広
1750ひとりのみ つきとしもとに おきゐつつ やかてわかよも ふけやしにけむ良経(九条兼実男)
1751くらきよの まとうつあめに おとろけは のきはのまつに あきかせそふく良経(九条兼実男)
1752つゆさゆる あきのすゑはの あさちはら むしのねよりそ かれはしめける具親
1753あらしふく すすのしたくさ うらかれて よしののやまに しくれふるなり家隆
1754きのくにや あきさへしもを おきつかせ ふきあけのつきの ありあけのそら越前(嘉陽門院)
1755むらさきの くもゐまてやは しられけむ あめのしたなる きくのしつくは読人不知
1756むらさきの くもにかよへる はななれは しつくのいろは わかしとそおもふ円融院
1757ことのはを たのむへしやは あきくれは いつれかいろの かはらさりける読人不知
1758しくれつる くもをかさねて をくらやま もみちもあきも ふかきいろかな雅宗
1759そめのこす かきりはまつに あらはれて もみちいろこき あきのやまのは房嗣
1760くれてゆく あきのわかれの みちそとや のはらのくさも いろかはるらむ教親
1761くさのはら つゆのかたみの おのつから きえすはありとも あきやくれなむ念阿
1762けふはまた たかゆふくれの わかれそと あきのなこりの をしかなくなり土御門院
1763ゆめさむる よはのしくれは ふゆきぬと おとろかしてや よそにすくらむ行文
1764ひとしくれ すきにけらしな みよしのの よしののたきつ いはたたくなり勝命
1765きくひとも なくてしくれや すきぬらむ かりたのいほに くもそかかれる師光(源師頼男)
1766つくはねの このもかのもの やまかせに かたもさためす ちるこのはかな良瑜
1767のかれえぬ おいそのもりの もみちはは ちりかひくもる かひなかりけり兼好
1768わかやとの まかきにきくを うゑさらは はなみぬふゆや さひしからまし国基
1769いつしかと しもこそむすへ をささはら ふゆのひかすの ひとよふたよに亀山院
1770あかつきは をのへのてらに かせさえて しもにこたふる かねきこゆなり宣旨(六条院)
1771のへのいろは あさおくしもに むすほほれ うらみによわる くすのしたかせ宗長(藤原頼経男)
1772かすかのの ゆきまにたにも もえいてし くさはそしもに あへすかれぬる慶運
1773ふけゆけは おきそふしもは みえわかて つきにそなひく をののしのはら行観
1774よもすから こほれるつゆを ひかりにて にはのこのはに やとるつきかけ良経(九条兼実男)
1775しもさむき あしのかれはは をれふして いつくかかけの みなとなるらむ国量
1776すすかかは こほりやせきと なりぬらむ やそせのみつも ゆきやらぬまて読人不知
1777かさねては ころもてさむし いつみかは ちとりなくよの あかつきのしも公継
1778おもひいつる むかしもとほく なるみかた たえぬなみたに なくちとりかな忠信
1779ひとしれぬ わかのうらみに なくちとり たえぬあとをも よにのこさはや経有(庭田重資男)
1780いもかしま かたみのうらの さよちとり おもかけそへて つまやこふらむ読人不知
1781さしのほる かこのみなとの ゆふしほに まつはらこして ちとりなくなり国豊
1782おきつかせ ふけてはいとと つきかけも さむきしほひに ちとりなくなり読人不知
1783さためなき よをうきとりの みかくれて したやすからぬ おもひなりけり道誉
1784よはのしも はらひかねても みつとりの うきみひとつと ねをやなくらむ資連
1785いととなほ したにやかよふ いけみつの にほのうきすも かつこほりつつ資藤
1786あさこほり とけなむのちと ちきりおきて そらにわかるる いけのみつとり守覚法親王
1787みやまへを ゆふこえくれは しひしはの うれはにつたふ たまあられかな家房
1788しくれつる とやまのまつの いろよりも ふらぬゆきけの くもそつれなき禅信
1789かみなつき ふりしくゆきは かつきえて しくれにかへる そらのうきくも雅顕
1790めつらしく けさふりそむる ゆきをみて くれゆくとしそ そらにしらるる経信
1791わかみよに ことしけかりし あともなし むかしにかはる にはのしらゆき宗尊親王
1792わかのうらや おいきのまつに ふるゆきの つもれるとしも いまそかひある為定女
1793あまひとの ころもほすまも しらゆきの つもれはかかる そてのうらなみ経豊
1794ふるゆきを あまつをとめや たむくらむ しらゆふかくと みゆるさかきは寂念
1795はなならは さかぬこすゑも ましらまし なへてゆきふる みよしののやま仙覚
1796くちはつる なをたにのこせ かみやまに としもふるえの まつのしらゆき脩久
1797みかりせし よよのためしを しるへにて かたののとりの あとをたつねむ後花園院
1798けふもまた あまのかはなみ たちかへり おなしかたのに かりくらしつつ家豊
1799ふけぬれは みよのほとけの かすならぬ おほみやひとの なをもきくかな長明
1800ひととせも いまはすゑのの むらすすき しもふくよはの かせのさむけさ後鳥羽院
1801いまはさそ おもひしるらむ としといひて つもれはおいの こころほそさを秀茂
1802なにかせむ ありてうきみの としのくれ をしむはひとの ならひなれとも秀顕/季顕
1803ほとちかく きぬなるものを いかなれは はるにもあはて としのゆくらむ中務
1804はかなくて ことしもけふに なりにけり あはれにつもる わかよはひかな清輔
1805なみのうへも なかめはかきり あるものを こころのはてそ ゆくへしられぬ雅経
1806はるるひの うらうらとほく みわたせは おきにかすそふ あまのつりふね忠房親王
1807かきりなき なみちのすゑは ひとつにて そらにうきたる あまのつりふね公雄
1808なにはかた いりえのあしは しほこえて まつのみなひく うらかせそふく基親
1809いりひさす しほせのなみの すゑはれて ひかたにちかき うらのはつしま公豊
1810おきつかせ ふくにまかせて もしほやく けふりのすゑそ うらつたひゆく実教
1811あまのすむ かたやいつくと なかむれは さとのしるへに たつけふりかな秀能(藤原秀宗男)
1812わたのはら こきはなれぬる ふなちには こころもえこそ つなかさりけれ俊成(藤原俊忠男)
1813かせはやみ やへのしほちを ゆくふねは いくうらすくる とまりなるらむ義満
1814うらかせの まほもかたほも みえわかす なみちへたつる あまのつりふね持康
1815あかしかた しほかせあらき ゆふなみに とほしまかけて たつなきわたる成胤
1816せをはやみ あまりてこゆる たきかはの いはにくたくる みつのしらたま為子(従二位)
1817くもかかる まきもひはらも たかしまの みをのそまやま いくよへぬらむ基家
1818みやきひく おともそらにや ひひくらむ たかねのくもの みをのそまやま為忠(御子左二条為藤男)
1819かさしをる みわのひはらの すきのはや としふるいろの しるしなるらむ亀山院
1820あまつそら たかくはれつつ みえつるは くれゆくやまの とほきなりけり千里
1821ゆふひさす やまのたかねに あらはれて くもゐにたてる まつのひとむら常顕
1822たかさこの まつをいくよに なりぬとは すむてふつるや なれてしるらむ深守法親王
1823すみよしの まつのしつえの おきつなみ かくるこころを あはれとはしれ少将(邦省親王家)
1824としをへて こけむすきしの そなれまつ みとりのいろも わかれやはする行冬
1825としへても いそうつなみに あらはれて いはほのこけは むすひまもなし義満
1826くものなみ けふりのなみも みえわかす しほやくうらの ゆふくれのそら実継
1827わかいほは たえすあらしの ならしはに なれはまさらて すみうかれつつ兼良
1828みやこにて そらにたたよふ うきくもの のきはのやまに かかるゆふくれ亀山院
1829さためなき こころやみえむ やまさとを さひしといひて またうかれなは覚助法親王
1830すみなれて われもふりぬる たにかけに のこるおいきの まつのひともと道意(二条良基男)
1831さひしとも おもひけるかな やまさとは とはれむとての すみかならぬに為藤
1832やまさとの さひしさにたに たへぬみの うきよをいかて すくしきつらむ賢俊
1833おいらくの のかれてむすふ しはのいほは かとささすとも たれかとひこむ義教
1834さひしさを しのひそかぬる おくやまの いはかきしみつ なれてすめとも公名
1835やまのいろ みつのなかれも いにしへに なほおもかけの のこるやとかな実俊(西園寺公宗男)
1836このままに すまはすむへき やまみつよ うきよのちりに にこらすもかな栄仁親王
1837さひしさを なににかこたむ かかれとて みをかくしてし みやまへのさと性助法親王
1838すみなるる ひとのこころは しらねとも やかてさひしき やまのかけかな義忠(畠山満則男)
1839いつくをか かくれかにせむ しつかにて すむやまさとの なきよなりせは境空
1840やまふかみ ひとこそあらめ このさとは つきたにいたく またれけるかな邦省親王
1841ともなへよ さすかなれぬる よはのつき みをかくすへき やまのおくまて新右衛門督(宣光門院)
1842にはのまつ めくれるたけを かきほにて かせのみたえぬ やまかけのいほ重資
1843をくらやま あとはむかしと きてみれは あれたるのきに まつかせそふく教定(飛鳥井雅経男)
1844のかれこし みやまのいほや なかなかに さひしからすは うきよならまし浄阿
1845いかにせむ しはのいほりの しはしとて すみこしままの みさへふりぬる読人不知
1846たにふかみ たつるけふりの ひとすちに おもひはなるる うきよとをしれ満元
1847たちのほる けふりにしるし やまふかみ すむらむひとの こころほそさは明魏
1848かすかなる しはのいほりの ゆふけふり よにたえぬみそ よそにしらるる永助法親王
1849やまさとの けふりのすゑも なひくなよ たたやましはの こりはてしよに義運
1850あさゆふの けふりはかりを あるしにて ひとはおとせぬ おほはらのさと小侍従(太皇太后宮)
1851ましはたく このやまもとの ゆふけふり こころほそくや よそにみゆらむ雅言
1852ましはたく けふりのいろも くれそめて やまもととほき いほのさひしさ直義
1853のかれきて ひとめをいとふ こころにも あまりさひしき やまのおくかな覚誉法親王
1854のかれきて しつかにきけは まつかせも うきよにかはる やまのおくかな季尹
1855わひつつも すめはすまるる やまさとに しひてあらしの おとをきくかな為理
1856あしひきの やまのふるみち あとたえて をのへのかねに つきそのこれる秀能(藤原秀宗男)
1857とふひとは やまちのこけに あとたえて よもきかすゑに かせそよくなり忠良
1858みやこいてて ふかくいりにし おくやまに なほのこりける ゆめのかよひち讃岐(二条院)
1859よをいとひ さむなるゆめの みちしらは われにつけこせ ふかきやまもり義運
1860やまふかく すむにもものの かなしきは うきよのほかよ いつくなるらむ栄子内親王
1861やまふかく すまむとまては なけれとも ことしけきよを よそにきかはや宗尊親王
1862やまふかく こころはすみて よのために またそむきえぬ うきみなりけり尊氏
1863こころこそ なほもすみえね やまさとに みをかくさはと なにおもひけむ尊円法親王
1864たつねきて またふみならす あともなし わかすむやまの いはのかけみち公泰
1865しをりせて ひとりわけこし おくやまに たれまつかせの にはにふくらむ良経(九条兼実男)
1866やまさとは つまきこるをの おのれのみ かよひなれたる いはのかけみち義重(斯波義将男)
1867やまのゐの みつのこころは あさけれと あかてとしふる しはのいほかな寂真
1868よをいとふ こころなくても やまみつの すみよきかたに いほやむすはむ尭尋
1869すむひとの こころをくみて おもふにも さそやまみつの にこらさるらむ按察(鷹司院)
1870あれにけり まかきのこけの ふかみとり たかぬきかけし ころもなるらむ後嵯峨院
1871やまさとの まへのたなはし こけむして ゆききまれなる ほとそしらるる公忠(藤原実忠男)
1872おもひいる いはほのうちの こけころも なほすてかたき よこそつらけれ為家
1873なほふかく おもひもいらは やまさとの ともをもすつる よとやなりなむ後小松院
1874あらましの こころのすゑは それなから おもはぬやまに すみそめのそて栄仁親王
1875うきよをも みねのしらくも へたてねは なほやまさとも そてそかわかぬ範兼
1876つねにきく よのうきことや やまさとに すみはてぬへき たよりなるらむ陵阿
1877いつかたに よをのかれまし やまさとも つらきところと まつかせそふく尊円法親王
1878をのへより まつのこすゑに そなれきて かとたのいなは かせそよくなり実房
1879あはれなり をたもるいほに おくりひの けふりやたみの おもひなるらむ後小松院
1880しつかもる かとたのいほの とまひさし ひさしくなりぬ あきはつるまて経教
1881かりそめの かりたのいほの ねさめにも わかみよにふる あめをきくかな俊栄
1882あきのたの いなおほせとりも なれにける かりほのいほを もるとせしまに読人不知
1883みなとたの いほもるほとや あまのこも かりそめなから やとさたむらむ杲守
1884をやまたの ひたのかけなは ひきむすひ かりいほつくる ときそきにける兼良
1885いくよしも あらしいまはと おもはすは なににかおいの うきをしのはむ尊玄
1886しはしたに うれしきそてに つつまはや うきにおつるも おなしなみたを顕昭
1887いつとなき あらましことに をしむへき わかゆくすゑの いそかるるかな経氏
1888いとはるる うきよになほや かへるへき のにもやまにも すまぬこころは通成
1889しきしまの みちあるよよの いにしへに なほたちこえむ あとをしそおもふ後花園院
1890いそちあまり みちあるみよに つかへすは いかてみたひの あとをつけまし経嗣
1891みなひとの こころのたねも かはらねは いまもむかしの わかのうらまつ読人不知
1892もくつそと みえてもましる ことのはや そのなはかりの わかのうらまつ雅家
1893たちかへり わかのうらなみ さそはすは かかるもくつの いかてしられむ義教
1894たちかへり おもへはさすか ふりにけり いそちなれぬる わかのうらなみ経継
1895ことのはの たまえのあしの よよまては およはぬなをも せめてかけはや永助法親王
1896かけてたに およはすなから よよのあと かへるもうれし わかのうらなみ雅世
1897わかのうらや ふりぬるよよの あとをたに うきわれからに なほたとるかな隆博
1898なけくそよ わかのうらなみ よよかけし あとをみるにも おろかなるみを為種
1899ちよくなれは おもひなすてそ しきしまの みちにものうき こころありとも良基(二条道平男)
1900くもゐまて きこえけるかな わかのうらの あしへのたつの ねにもたてぬを頓阿
1901わかのうらや くもゐのともに さそはれて あしまかくれの たつもなくなり後崇光院
1902わかのうらの ちりにつけとや かきおかむ かひもなみまの もくつなれとも行文
1903わかのうらに みはななそちの おいのなみ いつたひおなし なをそかけつる雅孝
1904たまつしま いりえこきいつる いつてふね いつたひあひぬ かみやうくらむ頓阿
1905わかのうらや かせをたよりの しるへにも みそいてかての あまのつりふね秀茂
1906しきしまや やまとしたかく なるまてに なほみちしらぬ みをなけきつつ善成
1907たつねすは かひなからまし いにしへの よよのかしこき ひとのたまつさ通俊
1908たつねつつ かきあつめすは ことのはも おのかちりちり くちやはてまし摂津(二条太皇太后宮)
1909きみみよと かきあつめたる たまつさを しるくもかせの つたへつるかな通俊
1910よしあしを きみしわかすは かきたむる ことのはくさの かひやなからむ範政
1911つたへおく あとにもまかふ ゆふかほの やとのあるしの しるへともなれ雅朝
1912こころあてに それかとはかり つたへきて ぬしさたまらぬ ゆふかほのやと忠守
1913ひとかすに あらすなるみの あまなれは いけるかひをも えこそひろはね顕昭
1914わかみのみ しつみやはてむ わたつうみの おきつしほあひの あはれよのなか道玄
1915よのなかを ゆめそとまては しりなから おとろきかたき みこそつらけれ心海
1916とにかくに うきよをゆめと しりなから さてもいとはぬ われやなになる隆季
1917うきよには そこのみくつと なりぬとも やかてしつむな かものかはみつ季経
1918のほるへき みちをおもへは くらゐやま またふもとなる わかみなりけり兼宗
1919いのりこし きみかめくみに くらゐやま よよにもこえて のほりぬるかな有世
1920おろかなる みにこそさらに しられぬれ ひとをしすてぬ きみかめくみは良基(二条道平男)
1921ひとなみに よをやわたらむ さほかはの すむもにこるも わかぬみにして兼良
1922こころにも まかせぬものは つれなくて うきにたへたる いのちなりけり実冬女
1923いにしへを かかみとすれと おろかなる こころはなとか うつらさるらむ道嗣
1924みるたひに おいのなみたを そそくかな むかしのひとの ふてのすさひに読人不知
1925つかへこし みちこそたえね よよをへて いまもかきおく みつくきのあと兼治
1926しかまかは わたるいちひと こととはむ うきせをかふる みちはありやと為明
1927みをうちの まきのしまふね さしもなと のほりかねたる よをわたるらむ玄円
1928よしのかは よしやとおもふ このよをも わたりかねては またなけくかな雄運
1929いかなれは かすにもあらぬ みなせかは うきせなからに ありてゆくらむ光正
1930なををしむ こころやなほも すてかねむ のかれてやまの おくにすむとも和氏
1931ありあけの つきよりもなほ つれなきは うきよをいてぬ わかみなりけり時朝(宇都宮朝業男)
1932とにかくに こころにものの かなはぬも ありはつましき よにそなくさむ公宗母
1933これもまた ありてなきよと おもふをそ うきをりふしの なくさめにする式子内親王
1934ありてよの はてうかりける ことわりも おもひしられて みこそおいぬれ杲守
1935まつことの あるひといかに をしむらむ かすならぬたに すてられぬよを行範(惟宗)
1936うちかへし おもへはさらに なけかれす ふるのわさたの かりのこのよは読人不知
1937よをいのる みにしあらすは いかてわか きみにつかふる かすとなるへき成前
1938みひとつに かきるうきよと おもふこそ なけくあまりの こころなりけれ読人不知
1939おほかたの よのならひとも なくさます わかみのうさの たくひなけれは長舜
1940いかはかり くるしからまし まつことの うきみにもなほ あるよなりせは憲実
1941うきよとは おもひしりても そむきえぬ わかこころをや なほいとはまし公時(藤原実継男)
1942かりのよの みをありかほに そむくこそ なかなかとむる こころなりけれ国道(津守国助男)
1943うきはみの むくひとしらて おほかたの よのならひとも おもひけるかな雲雅
1944うきことは いろもかはらぬ おなしよに あはれいつまて いきのまつはら道順
1945むかしおもふ なみたのたまの おのつから としつきなかき ほとそしらるる師嗣
1946つれなくも いまはなにをか まつしまや をしまぬおいの なみをかさねて定助
1947つれなくて よはひはおいぬ たかさこの まつもわかみを しるひとにせよ明魏
1948いかはかり こひしからまし ゆめにたに みてもかへらぬ むかしなりせは頼豊
1949おいかみの ならひになりて おもひての なきもこひしき むかしなりけり聖遵
1950ふるほとは ことしけけれと としつきの すきつるかたそ あはれはかなき一条(徽安門院)
1951たちかへり またこそみつれ かかみやま つれなきおいの かけをのこして隆弁
1952たまのをの あるへきほとは なからへぬ いまはたのみを なににかけまし師氏(平常顕男)
1953ぬるかうちに かへるむかしの ゆめもかな みぬよのことを ひとにかたらむ基氏(足利尊氏男)
1954ゆめのよに またしのふかな うつせみの うつつともなく すきしむかしを定顕(叡山横川宝蔵坊)
1955つくつくと よよのむかしを おもひいてて わかみふりぬる ほとそしらるる右衛門督(永福門院)
1956なにをよの おもひてにして はかなくも おなしむかしを みにしたふらむ珍秀
1957きのふより けふはかすそふ なみたかな いやとほさかる むかしかたりに読人不知
1958これまても おいそかなしき いにしへは みのゆくすゑを たのみしものを増珍
1959いにしへを おもへはみさへ ふりにけり まとうつあめの よはのねさめに貞行(平貞信男)
1960うきをたに むかしといへは しのふかな おいはいかなる こころなるらむ俊長
1961いかてかは しのふこころの あさからむ またもあふへき むかしならねは家良
1962しのふへき むかしもみには なきものを なにをわすれぬ なみたなるらむ詮信
1963かへりこぬ むかしをなにと しのふらむ よのことわりに ものわすれして道基(二条良基男)
1964おいかみは またたちかへり ねをそなく そむきてしよに ものわすれして実伊
1965おもひねは さもこそあらめ いかにして しらぬむかしの ゆめにみゆらむ秀長(菅原長綱男)
1966なれしよの ともたにもなし いにしへの みえつるゆめを たれにかたらむ邦省親王
1967なにとなく すきこしかたそ あはれなる むかしもおなし ゆめのよなれと花園院
1968こしかたも いまゆくすゑの あらましも おもひのこさぬ あかつきのそら尊氏
1969きのふみし ゆめかとそおもふ ねさめして むかしをしのふ あかつきのそら公衡(藤原公能男)
1970やまてらの いりあひよりも おいらくの ねさめかなしき かねのおとかな尊道法親王
1971あけわたる よかはのかねの おとはして くものやへたつ みねそよふかき公豊
1972やまのはに またかけとほき つきみれは あくるもをしき かねのおとかな御匣(式乾門院)
1973かすかすに うきみしらるる ねさめして おもひつきせぬ かねのおとかな経賢
1974ゆくすゑを おもふねさめに ききそへて さすかおとろく かねのおとかな兼煕
1975つかふへき みちはしらねと おきなれて いそくはかりの かねのおとかな義将
1976みのおもひ しけきねさめに ききわひぬ あかつきことの しきのはねかき顕詮
1977あはれにも かならすおいの ねさめとて あかつきふかき ゆめそのこれる幸清
1978いにしへも ちかきねさめの そてのうへに やこゑのとりの なみたをそかる実氏
1979このころは とりのつかさも つけたえて われとおとろく あかつきのゆめ後小松院
1980とりのねの おとろかさすは いたつらに ぬるよのうさも おもひしらしを通敏(通俊)
1981おいかみの ねさめにおつる なみたをは しらてやよその とりはなくらむ源意
1982ときしらぬ わかともならは あかつきを わかてやとりの ねをもなかまし禅守
1983あかつきの おいのなみたに さそはれて ゆふつけとりも ねをやそふらむ雅久
1984あけゆくを つくるのみかは をちかたの さとまてとりの ねにそしらるる元吉
1985きよみかた いそこくふねも せきのとの あくるをとりの ねにやしるらむ遠村
1986いまもなほ こころのやみに おとろきぬ つかへてなれし とりのやこゑを満季
1987あしたつの こをおもふやみの あけやらて あかつきふかく ねをやなくらむ行家(藤原知家男)
1988なくつるの おもふこころは しらねとも よるのこゑこそ みにはしみけれ式子内親王
1989いかにせむ わかよふけひの うらみても こをおもふつるの おろかなるみを雅世
1990おくれゐて みちまよへとは わかのうらに よるなくつるや おもはさりけむ慶運
1991なかめやる けしきそいつも あはれなる とほやまもとの あけほののそら師光(源師頼男)
1992いつるひの ひかりやそらに にほふらむ みねよりあくる あまのかくやま忠房親王
1993あめすくる のきのしつくの おとつれて つきなきよはの あはれをそしる師継
1994かかけても ひかりやそふと まとろまぬ かへにそみつる まとのともしひ為重
1995くれたけの よとこねちかき かせのおとに まとうつあめは ききもわかれす為遠
1996ここのへや にはのかはたけ かはらねは よよのあとある しるへとそおもふ後小松院
1997むかしおもふ こころをかはせ かはたけの みよにあひぬる みはふりぬとも雅縁
1998よよへぬる すゑはなりとも くれたけの そのふのいろは かはらすもかな道朝法親王
1999かせそよく にはのくれたけ よもすから みしよにかよふ ゆめたにもなし崇賢門院
2000いつまてか さとのなにおふ くれたけの ふしみにのみも わかよつくさむ崇光院
2001わすれすよ ふしみのさとの はるはると みゆきになれし たけのしたみち公秀
2002くれたけの みのうきふしの かすかすに わかよのほとを おもひしるかな為氏
2003うきふしの しけきみなれは かけなひく なさへかひなき まとのくれたけ公忠(藤原実忠男)
2004くれたけの はにおくつゆや よのなかの うきふししけき なみたなるらむ禅守
2005いつみかは いつよりひとの すみたえて くにのみやこは あれはしめけむ兼氏
2006ささなみや しかのはままつ くちせぬそ ふるきみやこの かたみなりける実忠
2007ふしみやま むかしのあとは なのみして あれまくをしき よよのふるさと後崇光院
2008たちかへり とへはなみたの ふるさとに あはれいくたひ そてぬらすらむ資藤
2009あとみえて さすかにたえぬ ふるさとの いたゐのしみつ かけもかはらす為行(藤原為方男)
2010まつのみや ならひのをかの ふもとてら のきはのつきも かけもらぬまて永助法親王
2011きかてたた あらましものを けふのひも はつせのてらの いりあひのかね通守
2012いたつらに このよもさてや はつせやま かねのおとにも おとろかぬみは秀房
2013みるままに かねのねとほく なりにけり くももかさなる みねのふるてら雅世
2014ひにみかき つきにそさらす しらたまの みたれておつる ぬのひきのたき実継
2015つのくにの いくたのかはの みなかみは いまこそみつれ ぬのひきのたき基隆(藤原基綱男)
2016このよには よしこととはし すみたかは すみえぬかたの とりのなもうし隆祐
2017かくてよに ふるのたかはし ゆくすゑも きみをそたえす たのみわたらむ万秋門院
2018ききわたる さののふなはし かひもなし しらぬむかしを かけてこふれと為家
2019ゆきつるる しつかすかたは みえわかて つまきのましは やまちこゆなり忠守
2020みねのくも かはせのなみも ひとこころ けはしきよには たちもまさらし惟賢
2021いたつらに むそちのはるも すきにけり みやのうくひす こゑはかりして為忠(長良流藤原知信男)
2022みてもなほ みをこそこかせ ときのまの けふりのうちに きゆるおもかけ行能
2023とちはつる まつのとほその ひかりとて たのむもかなし きくのうへのつゆ為秀
2024つゆしもに なへていろつく あきやまの ふもとのまつそ ひとりさめたる覚誉法親王
2025かすならぬ みをしやうさむに いれしかと またをさまれる よにそいてぬる業清(源)
2026みちありと わかきみのよに いてはてて やまのおくには すむひともなし経任(中御門藤原為経男)
2027やまふかく みつのなかれを たつねてそ このよのほかの ところをもみし詮政
2028うきみとは おもひなはてそ みよまてに しつみしたまも ときにあひけり宗尊親王
2029わかのうらの ちきりもふかし もしほくさ しつまむよよを すくへとそおもふ良経(九条兼実男)
2030やまかはの なかれにちきる うたかたは いくよをふとも なにかしつまむ慈円
2031なかれてと たのめしかとも みつくきの かきたえぬへき あとのかなしさ右京大夫(建礼門院)
2032はかなしな かしらのゆきは きえはてて はつかにのこる つゆのいのちよ範兼
2033はかなくて あはれとしつき ふるゆきを はらふときくに きえてこそおもへ大輔(殷富門院)
2034みるからに なくさめかぬる こころとも しらすかほなる つきのかけかな後亀山院
2035いささらは こむよをかねて ちきりおかむ かきりもしらぬ つきのひかりに高倉(八条院)
2036うきみにも ちきりありてや やとるらむ なみたいとはぬ そてのつきかけ浄弁
2037なかめきて ひさしくなりぬ あまのはら むなしきことそ かはらさりける隆祐
2038いたつらに こたへぬそらを あふきつつ あはれあなうと すくすなりけり土御門院
2039ぬるかうちに ももとせすきし ことわりも ゆめてふものそ まことなりける実氏
2040たのまれぬ ものとはしれと あらましに かはらぬゆめは なほそうれしき雅孝
2041はかなくも ゆめをうつつと おもふこそ まとろむほとの こころなりけれ為兼
2042さめぬるを ゆめとはさすか しりなから みるほとはなと うつつなりけむ頼之
2043おもふことを たれにいはまし もしほくさ かきつめてたに なくさみやせむ後小松院
2044しかのなみや うらわのつきの さゆるよに むかしこふらし やまのあきかせ後鳥羽院
2045すきたてる みわのやまもと なをとめて かさしをりけむ しるへをそとふ資平
2046こぬよはと いかかはつらき たかさこの しかのつまとふ きりのをちかた資平
2047ちるはなを あかすみれはや たひひとの しらぬやまちに ひをくらすらむ俊頼(源経信男)
2048ふゆきても しはしはみつの おとつれし かけひもこほる よはのさひしさ澄覚法親王
2049おほさはの いけのけしきは ふりゆけと かはらすすめる あきのよのつき俊成(藤原俊忠男)
2050わかそては まくりてにして かくせとも いかてかさめに ぬるとみるらむ俊頼(源経信男)
2051いせしまや おきつしほかせ ふくからに しきなみにこそ たまもよりけれ実継
2052あまくもや そらにたゆたひ わたるらむ てるひのえしも さやけからぬは好忠
2053あきのこころ ならはしとのみ おもふやとに しはしなつけそ をきのうはかせ慈円
2054ねのひすと はるののことに たつぬれは まつにひかるる ここちこそすれ崇徳院
2055あやなくも かせのぬすめる うめのかに をらぬそてさへ うたかはれぬる重保
2056ももしきの かものみあれの しめのうちに ほとけのみをも なほすすくかな慈円
2057おひしける ねふりのもりの したにこそ めさましくさは ううへかりけれ俊頼(源経信男)
2058くさもきも ほとけになると いふなれと をみなへしこそ うたかはれけれ観教
2059あきのよは つゆにおりはへ たなはたの ててもおとらぬ むしのこゑかな頓阿
2060これをみよ きくよりほかに このころは はななしといふ ひとはありとも読人不知
2061しなののや とくさにおける しらつゆは みかけるたまと みゆるなりけり左近(三条院女蔵人)
2062さむかりし あらしもいまは おとはかり うれしさのみそ みにはしみける読人不知
2063しるらめや あはてひさしの まきはしら ひとまひとまに おもひたつとは親房(源仲房男)
2064うすきぬの いかにはるとも こころよく よりあふへくも みえぬきみかな清輔
2065おほはらへ ゆくとはなしに こひすれは やせとほりぬる ものにそありける清輔
2066あつさゆみ ひきもとむへき わかれちを やといひしにも かへらさるらむ公雄
2067なこりをは よすからこそは なかめつれ けさをわするる ひともありけり修範
2068われはいさ けさわするとも おほえぬに かへすはよるの ころもなるへし顕昭
2069すみよしと いまはたのまし つのくにの なにはたかへる ところなりけり朝家
2070ちはやふる かみもなしとか いふなるを ゆふはかりたに のこらすやきみ胤材
2071あめふれと いのるしるしの みえたらは みつかかみとも おもふへきかな経衡
2072よのひとは うみのおきなと いふめれと またはたちにも たらすそありける能宣
2073ころもたに ふたつありせは あかはたの やまにひとつは かさましものを住吉明神
2074とこしへに きみもあへやも いさなとり うみのはまもの よるときときを玉津島明神
2075はなもさき もみちもちらす ひとえたは ふきなすかせを いかかうらみむ道真
2076よをまもる かみのしるしか いまもなほ しけるちえたの すきのしたかけ義持
2077かみちやま みねのまつかえ としふりて はかへぬいろは わかきみのため冬平
2078かみかせや ふたつのみやの みやはしら ひとつこころに よをまもるらし達智門院
2079あきらけく いはとをいてし あしたより あまてるかみの くにそさかゆる尊氏
2080いすすかは したついはねの みつかきの ひさしきよより みやゐすらしも為忠(御子左二条為藤男)
2081すすかかは うかりしせせを すくしきて すむよそかみの めくみなりける雅家
2082かみかせや みもすそかはの みつきよみ すめるをそらと たれかいひけむ読人不知
2083すむはそら にこるはつちと わかれにし そのいにしへも かみそしるらむ義持
2084くもりなき きみかこころの かかみにそ あまてるかみは かけやとしける師賢(藤原師信男)
2085いはしみつ みつかききよき なかれこそ うけてにこらぬ よよにしらるれ義教
2086きみをこそ かみもあはれと いはしみつ ほかよりいてぬ なかれとおもへは保季
2087かみよより かはらすすめる いはしみつ ちとせののちも くむよしもかな読人不知
2088やはたやま あとたれそめし しめのうちに なほよろつよと まつかせそふく後鳥羽院
2089あとたれて ちよともさらに いはしみつ ちかひしすゑそ いまもかはらぬ道助法親王
2090あさからぬ ちきりをむすふ いはしみつ たのみてもなほ あかすもあるかな頼政
2091きみかへむ ほとをはえこそ いはしみつ ちよもやちよも かみにまかせて行頼(紀)
2092ことにいてて いははかしこし いはてたた たのむこころは かみにまかせむ静賢
2093むかしわか いのりしみちは あらねとも これもうれしな かものかはなみ俊成(藤原俊忠男)
2094かみもみよ みたらしかはに ゆくみつの こころきよくも よをいのるかな雅有
2095ちはやふる かものかはなみ たちゐにも ふかきたのみを かけぬまそなき信実
2096きみをまもる かものかはなみ よよかけて すむみつかきも なほそひさしき雅世
2097きみをまもる かものやしろの みしめなは かみもちきりを なほむすふらし秀久
2098みちしあれは なほたのむかな いつはりを たたすまことの かみにまかせて茂重
2099ちはやふる かみのみむろの やへさかき ときはのかけも きみのみやみむ俊光
2100かみもまた あかすみよとや みしめなは なかきはるひに はなのさくらむ成久
2101しるやいかに をしほのやまの みねのまつ われもかみよの おなしたねとは実継
2102すゑたにと いひしちきりを かすかのの おとろかしてや かみにいのらむ為遠
2103むかしわか なをさへかけぬ みかさやま いかなるふちの したはなるらむ為顕
2104みかさやま およはぬふちの すゑはまて かけてそたのむ ひろきめくみを公保
2105かすかやま ふりさけあふく ことのはの むかしのあとを なほたのみつつ雅縁
2106あとたれし ほとそひさしき ひさかたの あまつこやねの かみのみやゐは教良
2107ももとせを はやよかへりの しもをへて たえぬよしたの かみまつりかな兼煕
2108やはらくる つきのかつらの ひかりには こむよのやみも なにかまよはむ祐盛
2109このもとに つきもひかりを やはらけて かみさひわたる みねのあきかせ慈円
2110しきしまの やまとしまねを ふみそめし かみよのみちそ いまもたたしき栄仁親王
2111やほよろつ そこらのかみの としなみに よるひるまもる きみかみよかな匡房
2112わかのうらに まよひやはてむ みくまのの かみのしるへの なきよなりせは宋助(三宝院僧正?)
2113むすひおく ちきりもおいの すゑなれは またともえこそ いはしろのまつ種成
2114すすわけし みちをつたへて くまのやま きみをそいのる よろつよまてに良瑜
2115まもるらむ あらひとかみも つかへてし むかしののりの すめらきのあと永助法親王
2116みしめひく みわのかみやま そまきにも とらぬしるしの すきそふりぬる杲守
2117うきことは いろもかはらす いのりこし しるしやいつら みわのかみすき実忠
2118おほひえや すきたつかけを たつぬれは しるしもおなし みわのかみかき尭仁法親王
2119あとたれし ちかひはやまの かひあらは かへるしをりの みちはたかはし土御門院
2120そらにすむ ほしとなりても きみかよを ともにそまもる ななのかみかき経賢
2121ささなみや ねかひをみつの はまにしも あとをたれます ななのおほむかみ俊恵
2122やそちまて ななのやしろに つかへきて いのるもきみか みかけなりけり尭全
2123これもまた ちりにましはる かけなれは つきにもかみの めくみをそみる行雅
2124けふまては かくてくらしつ ゆくすゑを めくみひろたの かみにまかせむ頼実(藤原経宗男)
2125わかたのむ あかたのみやの ますかかみ くもらぬかけを あふきてそまつ師光(中原師重男)
2126すみよしの まつはためしも しるらめや ふたよのあとに かへるうらなみ亀山院
2127きみかため みとりかはらす としふりて みよにあひぬる すみよしのまつ為世(御子左藤原為氏男)
2128いくとせも つもりのうらの まつかえに かみよひさしき かせのおとかな通成
2129あゆみをは はこはすとても このみちを まなははまもれ すみよしのかみ尊氏
2130さりともと いのりしことも すみよしの まつほとひさに なりにけるかな経嗣
2131すみのえに かみさひにける まつなれは なみもしつえに ゆふかけてみゆ俊頼(源経信男)
2132よよかけて ふかくそたのむ すみのえの えにしありける かみにつかへて国道(津守国助男)
2133わたつうみを あらはれいてし ちかひまて ふかくそたのむ すみよしのかみ雅永
2134なほまもれ わかのうらなみ かかるよに あへるやみちの かみもうれしき尭孝
2135われまては みよにつかへて たまつしま かひあるかみの めくみをそしる尭尋
2136われもみよ ひともみよまて なれきつつ ともにそみかく たまつしまひめ義満
2137いまここに うつすもたかき みやゐかな もとのなきさの たまつしまひめ雅縁
2138くもりなき みよにひかりを さしそへて なほみちてらせ たまつしまひめ道平
2139ささかにの くものいとすち よよかけて たえぬことはの たまつしまひめ為重
2140たのむかな わかふちはらの みやこより あとたれそめし たまつしまひめ良基(二条道平男)